(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063389
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】ケーブルコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/655 20060101AFI20240502BHJP
H01R 13/56 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
H01R13/655
H01R13/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171294
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100170209
【弁理士】
【氏名又は名称】林 陽和
(72)【発明者】
【氏名】三浦 達也
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA11
5E021FA14
5E021FB07
5E021FC02
5E021FC19
5E021GA05
(57)【要約】
【課題】様々な径の電気ケーブルの保持およびグランドへの接続を効率的に実現することが可能な新規な構造のケーブルコネクタを提供する。
【解決手段】本開示にかかるケーブルコネクタは、端部において編組が露出している電気ケーブルの編組を支持するとともにグランドに電気的に接続される少なくとも内面が導電性のケーブル支持部を含み、端部から突出する内部配線に接続される接続端子を支持する端子ケースを収容するハウジングと、編組を覆いながら弾性力によってケーブル支持部に対して編組を押圧して編組をケーブル支持部の内面に電気的に接続する弾性導電性部材と、を備え、弾性導電性部材は、編組を覆うカバー部と、カバー部により覆われた編組をケーブル支持部側に押圧する押圧部と、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部において編組が露出している電気ケーブルの前記編組を支持するとともにグランドに電気的に接続される少なくとも内面が導電性のケーブル支持部を含み、前記端部から突出する内部配線に接続される接続端子を支持する端子ケースを収容するハウジングと、
前記編組を覆いながら弾性力によって前記ケーブル支持部に対して前記編組を押圧して前記編組を前記ケーブル支持部の内面に電気的に接続する弾性導電性部材と、
を備え、
前記弾性導電性部材は、前記編組を覆うカバー部と、前記カバー部により覆われた前記編組を前記ケーブル支持部側に押圧する押圧部と、を含む、
ケーブルコネクタ。
【請求項2】
前記押圧部は、異なる複数の方向から前記編組を前記ケーブル支持部側に押圧するように構成されている、
請求項1に記載のケーブルコネクタ。
【請求項3】
前記電気ケーブルは、2本の電気ケーブルを含み、
前記ケーブル支持部は、前記編組の外周の一部を前記内面で支持する断面略円弧状の円弧部と、前記2本の電気ケーブルの各々の前記編組を隔てるとともに前記グランドに電気的に接続される壁部と、を含み、
前記押圧部は、前記円弧部の前記壁部とは反対側の端部に向かう第1方向に前記編組を押圧する第1押圧部と、前記円弧部の前記壁部側の端部に向かう第2方向に前記編組を押圧する第2押圧部と、を含む、
請求項2に記載のケーブルコネクタ。
【請求項4】
前記第1押圧部は、前記第2押圧部よりも大きい押圧力を有する、
請求項3に記載のケーブルコネクタ。
【請求項5】
前記弾性導電性部材は、弾性および導電性を有する単一の板状部材によって構成されており、
前記カバー部は、前記編組の外周の一部を円弧状に覆うように断面略円弧状に屈曲された第1板部を含み、
前記押圧部は、断面略円弧状の前記第1板部から前記編組側に延びる第2板部を含む、
請求項1に記載のケーブルコネクタ。
【請求項6】
前記弾性導電性部材は、前記ケーブル支持部に係止される係止部をさらに含む、
請求項1に記載のケーブルコネクタ。
【請求項7】
前記弾性導電性部材は、前記ハウジングに対して前記弾性導電性部材を保持するように前記ハウジングと接触する接触部をさらに含む、
請求項1に記載のケーブルコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ケーブルコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気ケーブルの端部に接続される端子ケースを収容するハウジングを備えたケーブルコネクタが知られている。このような従来のケーブルコネクタにおいては、電気ケーブルの外形に沿った円弧状の部分を含む固定の寸法の蓋部材を、電気ケーブルのハウジングから露出した部分を覆うようにハウジングに取り付けることで、ハウジングに対する電気ケーブルの保持と、ハウジングを介した電気ケーブルのグランドへの接続と、が実現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来の技術では、電気ケーブルの保持およびグランドへの接続を実現するための蓋部材が固定の寸法であるため、径が異なる他の電気ケーブルに流用することができない。つまり、径が異なる他の電気ケーブルを用いたケーブルコネクタを構成する場合、当該他の電気ケーブルの外形に沿った寸法の新たな蓋部材を別途用意する必要があるため、効率的ではない。
【0005】
そこで、本開示が解決しようとする課題の一つは、様々な径の電気ケーブルの保持およびグランドへの接続を効率的に実現することが可能な新規な構造のケーブルコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかるケーブルコネクタは、端部において編組が露出している電気ケーブルの編組を支持するとともにグランドに電気的に接続される少なくとも内面が導電性のケーブル支持部を含み、端部から突出する内部配線に接続される接続端子を支持する端子ケースを収容するハウジングと、編組を覆いながら弾性力によってケーブル支持部に対して編組を押圧して編組をケーブル支持部の内面に電気的に接続する弾性導電性部材と、を備え、弾性導電性部材は、編組を覆うカバー部と、カバー部により覆われた編組をケーブル支持部側に押圧する押圧部と、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示にかかるケーブルコネクタによれば、様々な径の電気ケーブルの保持およびグランドへの接続を効率的に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態にかかるコネクタ装置を示した斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態にかかるコネクタ装置が分離した状態を示した斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態にかかるプラグコネクタの分解斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示されるプラグコネクタのC-C切断線に沿った断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態にかかる弾性導電性部材を平面的に見た図である。
【
図6】
図6は、実施形態にかかる弾性導電性部材を示した斜視図である。
【
図7】
図7は、
図1に示されるプラグコネクタのA-A切断線に沿った断面図である。
【
図8】
図8は、
図1に示されるプラグコネクタのB-B切断線に沿った断面図である。
【
図9】
図9は、実施形態にかかる接続端子、接地端子、および端子ケースを示した斜視図である。
【
図10】
図10は、実施形態にかかる接地端子を平面的に見た図である。
【
図11】
図11は、実施形態にかかる接地端子を
図10とは異なる方向から平面的に見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。以下に記載する実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および効果は、あくまで一例であって、以下の記載内容に制限されるものではない。
【0010】
また、本開示において、「第1」、「第2」などの序数は、部品または部位などを区別するために便宜上付与されており、特定の優先順位を示すものではない。
【0011】
また、本開示の各図において、X方向は、プラグコネクタ100のカバー130内で電気ケーブル300が延びる方向に対応する。また、Y方向およびZ方向は、それぞれ、プラグコネクタ100の幅方向および厚み方向に対応する。
【0012】
図1は、実施形態にかかるコネクタ装置を示した斜視図であり、
図2は、実施形態にかかるコネクタ装置が分離した状態を示した斜視図である。実施形態にかかるコネクタ装置は、たとえばモータのような電気機器との間の電気信号の入出力を実現するために用いられる。
【0013】
図1および
図2に示されるように、実施形態にかかるコネクタ装置は、本開示の「ケーブルコネクタ」の一例としてのプラグコネクタ100と、レセプタクルコネクタ200と、を備える。プラグコネクタ100は、電気ケーブル300に接続された状態で使用され、レセプタクルコネクタ200は、電気機器の筐体の表面に設置された状態で使用される。なお、実施形態において、電気ケーブル300は、2本設けられており、2本の電気ケーブル300は、たとえば、制御信号などのデータを伝送する用の第1電気ケーブルと、電力信号を伝送する用の第2電気ケーブルと、に分類される。
【0014】
プラグコネクタ100およびレセプタクルコネクタ200は、互いに嵌合することで、電気ケーブル300を介した電気機器への電気信号の入力、または電気ケーブル300を介した電気機器からの電気信号の出力を実現する。
図1には、プラグコネクタ100およびレセプタクルコネクタ200が互いに嵌合した状態が示されており、
図2には、
図1には、プラグコネクタ100およびレセプタクルコネクタ200の嵌合が解除されることで両者が分離した状態が示されている。
【0015】
ここで、プラグコネクタ100およびレセプタクルコネクタ200が互いに嵌合した状態(
図1参照)と、プラグコネクタ100およびレセプタクルコネクタ200の嵌合が解除された状態(
図2参照)とは、プラグコネクタ100に取り付けられる操作レバー120によって切り替え可能である。
【0016】
操作レバー120は、プラグコネクタ100(より具体的には後述するハウジング110)の一方の側面から他方の側面まで延びる略U字の帯形状を有し、ハウジング110の側面に設けられる回動軸部121周りに所定角度(たとえば90度)回動可能に構成されている。操作レバー120がハウジング110の正面の位置(
図1参照)に回動すると、プラグコネクタ100およびレセプタクルコネクタ200の嵌合が維持され、操作レバー120がハウジング110の上面の位置(
図2参照)に回動すると、プラグコネクタ100およびレセプタクルコネクタ200の嵌合が解除される。
【0017】
なお、
図2に示されるように、レセプタクルコネクタ200は、プラグコネクタ100側の後述する端子ケース410および420(後述する
図8参照)が挿入される端子穴211および212が設けられる接続部210と、プラグコネクタ100およびレセプタクルコネクタ200が互いに嵌合した際にハウジング110に引っかかることでハウジング110を固定する爪部220と、を含む。なお、端子穴211および212は、接続部210にレセプタクルコネクタ200側の端子ケース(不図示)が装着されることにより形成される。
【0018】
また、
図1および
図2に示されるように、プラグコネクタ100は、上記の操作レバー120のほか、カバー130と、キャップ150と、を含む。以下、
図3~
図11を参照して、プラグコネクタ100の内部構造についてより詳細に説明する。
【0019】
図3は、実施形態にかかるプラグコネクタ100の分解斜視図である。また、
図4は、
図1に示されるプラグコネクタ100のC-C切断線に沿った断面図である。
【0020】
図3に示されるように、プラグコネクタ100は、操作レバー120が取り付けられたハウジング110と、ねじ500によってハウジング110に結合されるカバー130と、カバー130の背面側にガスケットやクランプなどを介して結合されるキャップ150と、の組み合わせとして構成されている。
【0021】
実施形態では、ハウジング110とカバー130とが結合することで、結合されたハウジング110およびカバー130の内側に形成される筒状の空間に、端部において編組320が露出している電気ケーブル300、より詳細には、電気ケーブル300の端部から突出する内部配線310に接続される端子ケース410および420(後述する
図8参照)、が収容される。ハウジング110は、金属または金属めっきされた樹脂などのような導電性材料により構成されており、基準電位点としてのグランド(またはアース)に電気的に接続されている。
【0022】
実施形態において、電気ケーブル300は、ハウジング110に設けられるケーブル支持部111によって支持される。ケーブル支持部111は、少なくとも内面が導電性を有し、電気ケーブル300の編組320を支持するとともにグランドに電気的に接続される。なお、実施形態では、電気ケーブル300として、たとえば電力を伝達するための電源ケーブルと、制御信号を伝達するための信号ケーブルと、の2本のケーブルが設けられる。このため、ケーブル支持部111には、2本の電気ケーブル300の編組320を隔てる壁部112が設けられている。
【0023】
ここで、実施形態では、電気ケーブル300の編組320を覆いながら弾性力によってケーブル支持部111に対して編組320を押圧する弾性導電性部材160が設けられている。弾性導電性部材160は、弾性および導電性を有する単一の板状部材によって構成されている。以下、
図4~
図6を参照して、弾性導電性部材160の構造についてより詳細に説明する。
【0024】
図4は、
図1に示されるプラグコネクタ100のC-C切断線に沿った断面図である。
図5は、実施形態にかかる弾性導電性部材160を平面的に見た図である。
図6は、実施形態にかかる弾性導電性部材160を示した斜視図である。
【0025】
図4~
図6に示されるように、弾性導電性部材160は、カバー部161と、押圧部161Aおよび161Bと、を含む。カバー部161は、ケーブル支持部111によって支持された電気ケーブル300(の編組320)を覆うように断面略円弧状に屈曲された第1板部として構成される。より詳細には、
図4に示されるように、カバー部161は、ケーブル支持部111のうち、編組320の外周の一部を内面で支持する断面略円弧状の円弧部111Aによって支持された編組320を覆うように構成される。押圧部161Aおよび161Bは、カバー部161によって覆われた編組320をケーブル支持部111側に押圧するように、カバー部161から編組320側に延びる板バネ状の第2板部として構成される。
【0026】
ここで、
図4に示されるように、実施形態において、押圧部161Aおよび161Bは、異なる複数の方向から編組320を前記ケーブル支持部111側に押圧するように構成されている。より具体的に、押圧部161Aは、円弧部111Aの壁部112とは反対側の端部に向かう方向(たとえば第1方向とする)に編組320を押圧する第1押圧部として構成され、押圧部161Bは、円弧部111Aの壁部112側の端部に向かう方向(たとえば第2方向とする)に編組320を押圧する第2押圧部として構成される。なお、実施形態では、2本の電気ケーブル300の編組320がより確実に離間するように、押圧部161Aが、押圧部161Bよりも大きい押圧力を有するように構成される。
【0027】
なお、前述した通り、実施形態では、電気ケーブル300が2本設けられている。したがって、実施形態では、
図4~
図6に示されるように、カバー部161も、2本の電気ケーブル300に対応するように2つ設けられている。そして、2つのカバー部161は、中間部162によって接続されている。
図4に示されるように、中間部162は、ケーブル支持部111の壁部112の上端に当接するように構成される。より詳細には、中間部162は、当該中間部162に設けられた板バネ状の当接部162A(
図6参照)を介して、ケーブル支持部111の壁部112の上端に当接するように構成される。
【0028】
また、実施形態では、
図4~
図6に示されるように、弾性導電性部材160は、カバー部161の中間部162とは反対側の端部に爪状の係止部163を含む。
図4に示されるように、係止部163は、ケーブル支持部111、より具体的には、円弧部111Aの壁部112とは反対側の端部に係止される。
【0029】
また、実施形態では、
図5および
図6に示されるように、弾性導電性部材160は、ハウジング110に対して弾性導電性部材160を保持するようにハウジング110と接触する接触部164を含む。
【0030】
上述した弾性導電性部材160を用いて編組320をケーブル支持部111に固定した上で、ハウジング110とカバー130とを結合すると、プラグコネクタ100の内部構造は、次の
図7~
図9に示されるような構造となる。
【0031】
図7は、
図1に示されるプラグコネクタ100のA-A切断線に沿った断面図である。また、
図8は、
図1に示されるプラグコネクタ100のB-B切断線に沿った断面図である。
【0032】
図7および
図8に示されるように、実施形態では、結合されたハウジング110およびカバー130の内側に形成される筒状の空間に、電気ケーブル300の端部から突出する内部配線310に接続される接続端子450(
図9も参照)が収容される絶縁性の端子ケース410および420が収容される。たとえば、端子ケース410は、電力信号を伝送する用の第2電気ケーブルと対応し、端子ケース420は、制御信号などのデータを伝送する用の第1電気ケーブルと対応する。
【0033】
ここで、実施形態では、
図8に示されるように、電気ケーブル300の内部配線310に接続される接続端子450は、ケーブルコネクタ100とレセプタクルコネクタ200とが嵌合しているか否かに関わらず、端子ケース410内に収容された接地端子411を介して、ハウジング110内に設けられた壁部113と接触する。これにより、接続端子450は、接地端子411および壁部113を介してケーブルコネクタ100側のグランドに接続される。また、接続端子450は、ケーブルコネクタ100とレセプタクルコネクタ200とが嵌合した状態で、レセプタクルコネクタ200側のグランド端子(不図示)と接触する。これにより、接続端子450は、ケーブルコネクタ100とレセプタクルコネクタ200とが嵌合した場合に、レセプタクルコネクタ200側のグランドにも接続される。
【0034】
接続端子450、接地端子411、および端子ケース410の各々は、次の
図9に示されるような構造を有する。
【0035】
図9は、実施形態にかかる接続端子450、接地端子411、および端子ケース410を示した斜視図である。
【0036】
図9に示されるように、接地端子411は、接続端子450の挿入を受け入れるように端子ケース410に設けられた挿入孔410Bに挿入されて固定される。接地端子411は、挿入孔410Bの内側で接続端子450と接触しながら接続端子450を保持する保持部411Aと、ハウジング110の内面(上述した壁部113)と接触しながら端子ケース410に対して固定される固定部411Bと、を含む。より具体的に、接地端子411は、次の
図10および
図11に示されるような構造を有する。
【0037】
図10は、実施形態にかかる接地端子411を平面的に見た図である。
図11は、実施形態にかかる接地端子411を
図10とは異なる方向から平面的に見た図である。
【0038】
図10および
図11に示されるように、接地端子411は、導電性を有する単一の板状部材によって構成されている。
【0039】
接地端子411の保持部411Aは、接続端子450の外周および挿入孔410Bの内面に沿った断面略U状に屈曲され、挿入孔に挿入される第1板部として構成される。保持部411Aは、接続端子450のうち内部配線310を圧着する圧着部を保持するように構成される。
【0040】
また、接地端子411の固定部411Bは、挿入孔410Bの外側でハウジング110の内面(上述した壁部113)と接触しながら端子ケース410に係止される第2板部として構成される。固定部411Bは、端子ケース410に設けられる切欠部410A(
図9参照)に係止される。切欠部410Aは、端子ケース410の内側に対してハウジング110の内面(上述した壁部113)を露出させるように設けられるため、固定部411Bは、切欠部410Aに係止されることで、ハウジング110の壁部113と接触し、グランドに接続される。
【0041】
以上説明したように、実施形態にかかるプラグコネクタ100は、ハウジング110と、弾性導電性部材160と、を含む。ハウジング110は、端部において編組320が露出している電気ケーブル300の編組320を支持するとともにグランドに電気的に接続される少なくとも内面が導電性のケーブル支持部111を含み、当該端部から突出する内部配線310に接続される端子ケース410(および420)を収容する。弾性導電性部材160は、編組320を覆いながら弾性力によってケーブル支持部111に対して編組320を押圧して編組320をケーブル支持部111の内面に電気的に接続する。弾性導電性部材160は、編組320を覆うカバー部161と、カバー部161により覆われた編組320をケーブル支持部111側に押圧する押圧部161Aおよび161Bと、を含む。
【0042】
上記のような構成によれば、弾性変形する弾性導電性部材160によって、様々な径の電気ケーブルの保持およびグランドへの接続を効率的に実現することができる。
【0043】
ここで、実施形態において、押圧部161Aおよび161Bは、異なる複数の方向から編組320をケーブル支持部111側に押圧するように構成されている。
【0044】
上記のような構成によれば、たとえば単一の方向のみから編組320をケーブル支持部111側に押圧する場合に比べて、編組320をケーブル支持部111に対して確実に固定することができる。
【0045】
また、実施形態において、電気ケーブル300は、2本設けられている。ケーブル支持部111は、編組320の外周の一部を内面で支持する断面略円弧状の円弧部111Aと、2本の電気ケーブルの各々の編組320を隔てるとともにグランドに電気的に接続される壁部112と、を含む。押圧部161Aは、円弧部111Aの壁部112とは反対側の端部に向かう第1方向に編組320を押圧する第1押圧部として構成され、押圧部161Bは、円弧部111Aの壁部112側の端部に向かう第2方向に編組320を押圧する第2押圧部として構成される。
【0046】
上記のような構成によれば、互いに交差する方向から編組320がケーブル支持部111側に押圧されるので、編組320をケーブル支持部111に対してより確実に固定することができる。
【0047】
なお、実施形態において、第1押圧部としての押圧部161Aは、第2押圧部としての押圧部161Bよりも大きい押圧力を有する。
【0048】
上記のような構成によれば、2本の電気ケーブル300の編組320を互いに離間するように押圧することができるので、2本の電気ケーブル300の編組320を確実に離間させることができる。
【0049】
また、実施形態において、弾性導電性部材160は、弾性および導電性を有する単一の板状部材によって構成されている。カバー部161は、編組320の外周の一部を円弧状に覆うように断面略円弧状に屈曲された第1板部として構成され、押圧部161Aおよび161Bは、カバー部161から編組320側に延びる第2板部として構成される。
【0050】
上記のような構成によれば、単一の板状部材を加工することで弾性導電性部材160を容易に形成することができる。
【0051】
また、実施形態において、弾性導電性部材160は、ケーブル支持部111に係止される係止部163をさらに含む。
【0052】
上記のような構成によれば、係止部163により、弾性導電性部材160をケーブル支持部111に対して確実に固定することができる。
【0053】
また、実施形態において、弾性導電性部材160は、ハウジング110に対して弾性導電性部材160を保持するようにハウジング110と接触する接触部164をさらに含む。
【0054】
このような構成によれば、接触部164により、弾性導電性部材160をハウジング110に対して確実に固定することができる。
【0055】
<変形例>
なお、上述した実施形態では、電気ケーブル300が2本設けられた構成が例示されている。しかしながら、本開示の技術は、電気ケーブル300が1本だけ設けられた構成にも、電気ケーブル300が3本以上設けられた構成にも適用可能である。
【0056】
以上、本発明の実施形態および変形例を説明したが、これらの実施形態および変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態および変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
100 プラグコネクタ(ケーブルコネクタ)
110 ハウジング
111 ケーブル支持部
111A 円弧部
112 壁部
160 弾性導電性部材
161 カバー部(第1板部)
161A 押圧部(第1押圧部、第2板部)
161B 押圧部(第2押圧部、第2板部)
163 係止部
164 接触部
300 電気ケーブル
310 内部配線
320 編組
410 端子ケース