(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063400
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】電池セル及び電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/571 20210101AFI20240502BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20240502BHJP
H01M 50/178 20210101ALI20240502BHJP
H01M 50/553 20210101ALI20240502BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20240502BHJP
【FI】
H01M50/571
H01M50/105
H01M50/178
H01M50/553
H01M50/211
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171314
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社AESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】岡住 綾馬
(72)【発明者】
【氏名】井澤 貴美
【テーマコード(参考)】
5H011
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA02
5H011CC02
5H011CC06
5H011CC10
5H040AA36
5H040AT04
5H040AY08
5H043AA07
5H043CA08
5H043HA02
5H043JA03
(57)【要約】
【課題】外装材における端子の周囲に絶縁材を強い力で固定する。
【解決手段】電池セル100は、電池要素110と、電池要素110を封止する外装材120と、電池要素110に電気的に接続され外装材120から引き出された負極端子134と、外装材120の負極端子134の周囲を覆う第1絶縁テープ140と、を備えている。第1絶縁テープ140は、少なくとも部分的に互いに接合されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池要素と、
前記電池要素を封止する外装材と、
前記電池要素に電気的に接続され前記外装材から引き出された端子と、
前記外装材の前記端子の周囲を覆う絶縁材と、
を備え、
前記絶縁材が少なくとも部分的に互いに接合されている、電池セル。
【請求項2】
前記絶縁材が、互いに接合された少なくとも2つの絶縁材を有する、請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記少なくとも2つの絶縁材のうちの少なくとも1つが、前記少なくとも2つの絶縁材のうちの他の少なくとも1つの端部を覆っている、請求項2に記載の電池セル。
【請求項4】
前記絶縁材の一部分が折り返されている、請求項1に記載の電池セル。
【請求項5】
前記絶縁材が、前記端子が引き出されるスリットを画定している、請求項1に記載の電池セル。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の電池セルと、
前記電池セルの前記端子に電気的に接続される他の端子を有する他の電池セルと、
を備える電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池セル及び電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池として様々な電池セルが開発されている。電池セルは、電池要素と、電池要素を封止する外装材と、電池要素に電気的に接続され外装材から引き出された端子と、を備えている。
【0003】
特許文献1には、電池セルの一例について記載されている。この電池セルでは、外装材における端子が引き出された辺の端面が絶縁テープによって覆われている。
【0004】
特許文献2には、電池セルの一例について記載されている。この電池セルでは、外装材の封止部の端面が封止テープによって覆われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-97064号公報
【特許文献2】特開2007-265879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
異なる電池セルの端子同士を互いに電気的に接続させることがある。この場合、一方の電池セルの外装材の端面の金属及び他方の電池セルの端子の表面の金属の異種金属同士が接触することがある。当該異種金属同士が接触する場合、当該異種金属同士の間の電位差に起因しての外装材及び端子の少なくとも一方における腐食を抑制することが難しいことがある。このような腐食を抑制するため、例えば特許文献1又は2に記載されているように、外装材の端面を絶縁テープ等の絶縁材によって覆うことがある。しかしながら、外装材の端面を絶縁材によって単に覆うだけでは、外装材における端子の周囲に絶縁材が十分に強い力で固定されないことがある。
【0007】
本発明の目的の一例は、外装材における端子の周囲に絶縁材を強い力で固定することにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、以下のとおりである。
[1]
電池要素と、
前記電池要素を封止する外装材と、
前記電池要素に電気的に接続され前記外装材から引き出された端子と、
前記外装材の前記端子の周囲を覆う絶縁材と、
を備え、
前記絶縁材が少なくとも部分的に互いに接合されている、電池セル。
[2]
前記絶縁材が、互いに接合された少なくとも2つの絶縁材を有する、[1]に記載の電池セル。
[3]
前記少なくとも2つの絶縁材のうちの少なくとも1つが、前記少なくとも2つの絶縁材のうちの他の少なくとも1つの端部を覆っている、[2]に記載の電池セル。
[4]
前記絶縁材の一部分が折り返されている、[1]に記載の電池セル。
[5]
前記絶縁材が、前記端子が引き出されるスリットを画定している、[1]に記載の電池セル。
[6]
[1]~[5]のいずれか一に記載の電池セルと、
前記電池セルの前記端子に電気的に接続される他の端子を有する他の電池セルと、
を備える電池モジュール。
【発明の効果】
【0009】
本発明の上記態様によれば、外装材における端子の周囲に絶縁材を強い力で固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る電池モジュールの斜視図である。
【
図2】実施形態に係る電池モジュールの前部の上面図である。
【
図4】実施形態に係る電池セルの前部の側面図である。
【
図6】変形例1に係る電池セルの第1絶縁テープを説明するための断面模式図である。
【
図7】変形例2に係る電池セルの第1絶縁テープを説明するための断面模式図である。
【
図8】変形例3に係る電池セルの第1絶縁テープを説明するための断面模式図である。
【
図9】変形例4に係る電池セルの第1絶縁テープを説明するための断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態及び変形例について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0012】
図1は、実施形態に係る電池モジュール10の斜視図である。
図2は、実施形態に係る電池モジュール10の前部の上面図である。
図3は、
図2のA-A断面模式図である。
【0013】
各図には、説明のため、X方向、Y方向及びZ方向を示す矢印が付されている。X方向は、電池モジュール10の前後方向に平行な方向である。Y方向は、X方向に垂直な方向である。Y方向は、電池モジュール10の左右方向に平行な方向である。Z方向は、X方向及びY方向の双方に垂直な方向である。Z方向は、電池モジュール10の上下方向に平行な方向である。X方向を示す矢印によって指し示される方向、Y方向を示す矢印によって指し示される方向及びZ方向を示す矢印によって指し示される方向は、それぞれ、後方向、左方向及び上方向である。ただし、X方向、Y方向、Z方向、電池モジュール10の前後方向、左右方向及び上下方向の関係はこの例に限定されない。X方向、Y方向又はZ方向を示す黒点付き白丸は、紙面の奥から手前に向けて当該方向を指し示す矢印が延びていることを示している。X方向、Y方向又はZ方向を示すX付き白丸は、紙面の手前から奥に向けて当該方向を指し示す矢印が延びていることを示している。
【0014】
図1に示すように、電池モジュール10は、複数の電池セル100を備えている。各電池セル100の長手方向は、X方向に略平行となっている。各電池セル100の短手方向は、Z方向に略平行となっている。各電池セル100の厚み方向は、Y方向に略平行となっている。複数の電池セル100は、Y方向に積層されている。各電池セル100の形状は、この例に限定されない。
【0015】
各電池セル100は、電池要素110、外装材120、正極端子132及び負極端子134を有している。
【0016】
図3に示すように、電池要素110は、複数の正極112、複数の負極114及びセパレータ116を含んでいる。複数の正極112及び複数の負極114は、Y方向に交互に積層されている。
図3に示す例において、X方向から見て、セパレータ116は、略つづら折り形状となっている。具体的には、X方向から見て、セパレータ116は、各正極112の下端側及び各負極114の上端側において交互に折り返されている。ただし、セパレータ116の形状はこの例に限定されない。例えば、X方向から見て、セパレータ116は、各正極112の上端側及び各負極114の下端側において交互に折り返されていてもよい。或いは、複数の略シート形状のセパレータ116がY方向に隣り合う正極112及び負極114の間に配置されていてもよい。
【0017】
図1及び
図2に示すように、外装材120は、収容部121、前方封止部122、後方封止部123、上方封止部124及び下方封止部125を含んでいる。
【0018】
収容部121は、電池要素110を不図示の電解液とともに収容している。収容部121の前部、後部、上部及び下部は、それぞれ、前方封止部122、後方封止部123、上方封止部124及び下方封止部125によって封止されている。よって、収容部121における電池要素110の収容空間は、外部空間から封止されている。したがって、外装材120は、電池要素110を封止している。
【0019】
実施形態において、外装材120は、電池要素110のY方向の両側を覆う2枚のラミネートフィルムからなっている。各ラミネートフィルムは、アルミニウム層等の金属層を含んでいる。この2枚のラミネートフィルムは、前方封止部122、後方封止部123、上方封止部124及び下方封止部125において、熱融着等の接合方法によって互いに接合されている。ただし、外装材120の構造は、この例に限定されない。例えば、1枚のラミネートフィルムが電池要素110の上部及び下部の一方において折り返されていてもよい。この例では、電池セル100の上部及び下部の他方に封止部が形成されている。この例では、実施形態と同様にして、電池セル100の前部及び後部に前方封止部122及び後方封止部123がそれぞれ形成されている。
【0020】
実施形態において、前方封止部122は、収容部121から前方に向けて引き出されている。後方封止部123は、収容部121から後方に向けて引き出されている。上方封止部124は、収容部121から上方に向けて引き出されており、電池要素110の上面に沿って折り曲げられている。下方封止部125は、収容部121から下方に向けて引き出されており、電池要素110の下面に沿って折り曲げられている。ただし、各封止部の形状はこの例に限定されない。
【0021】
各電池セル100では、正極端子132及び負極端子134の一方の先端部が前方封止部122から前方に向けて引き出されている。前方封止部122から引き出された端子の基端部は、前方封止部122によって封止されている。各電池セル100では、正極端子132及び負極端子134の他方の先端部が後方封止部123から後方に向けて引き出されている。後方封止部123から引き出された端子の基端部は、後方封止部123によって封止されている。各電池セル100において、正極端子132及び負極端子134は、複数の正極112及び複数の負極114にそれぞれ電気的に接続されている。よって、正極端子132及び負極端子134は、電池要素110に電気的に接続されている。
【0022】
実施形態では、複数のセル群100Gが、Y方向の一端に位置するセル群100GからY方向の他端に位置するセル群100Gにかけて直列に接続されている。各セル群100Gは、並列に接続された複数の電池セル100を含んでいる。実施形態において、各セル群100Gは、Y方向に隣り合う2つの電池セル100を含んでいる。各セル群100Gに含まれる2つの電池セル100から引き出された2つの正極端子132は、X方向の同じ側に向けられている。各セル群100Gに含まれる2つの電池セル100から引き出された2つの負極端子134は、X方向の同じ側に向けられている。Y方向に隣り合うセル群100Gの一方から引き出された正極端子132及び負極端子134と、Y方向に隣り合うセル群100Gの他方から引き出された正極端子132及び負極端子134と、はX方向において互いに反対側に向けられている。Y方向に隣り合う2つのセル群100Gは、当該2つのセル群100Gの前方又は後方に位置する端子群130を含んでいる。端子群130は、互いに接合された正極端子132及び負極端子134を含んでいる。よって、電池モジュール10では、複数の電池セル100の前方に位置する複数の端子群130と、複数の電池セル100の後方に位置する複数の端子群130と、が互い違いに配置されている。
【0023】
図2に示す例において、上方から見て、右側のセル群100Gの2つの前方封止部122は、各前方封止部122の後端から先端に向かうにつれて互いに近接する側に向けてX方向に対して傾いている。当該2つの前方封止部122の各々の先端部には、第1絶縁テープ140が設けられている。よって、当該2つの前方封止部122の各々の先端部は、各先端部に設けられた第1絶縁テープ140を介して互いに近接又は接触している。同様に、上方から見て、左側のセル群100Gの2つの前方封止部122は、各前方封止部122の後端から先端に向かうにつれて互いに近接する側に向けてX方向に対して傾いている。当該2つの前方封止部122の各々の先端部には、第2絶縁テープ150が設けられている。よって、当該2つの前方封止部122の各々の先端部は、各先端部に設けられた第2絶縁テープ150を介して互いに近接又は接触している。
【0024】
図2を用いて前方封止部122について説明した上述の事項は、後方封止部123にも同様に適用可能である。
【0025】
図2に示す例では、上方から見て、右側のセル群100Gの2つの前方封止部122の先端から引き出された2つの負極端子134の先端部が略L字形状に折り曲げられている。具体的には、上方から見て、当該2つの負極端子134の先端部は、前方から左方に向けて略直角に折り曲げられている。
図2に示す例では、上方から見て、左側のセル群100Gの2つの前方封止部122の先端から引き出された2つの正極端子132の先端部が略L字形状に折り曲げられている。具体的には、上方から見て、当該2つの正極端子132の先端部は、前方から右方に向けて略直角に折り曲げられている。当該2つの正極端子132の先端部及び当該2つの負極端子134の先端部は、X方向に略平行に重なり合っている。当該2つの正極端子132の先端部及び当該2つの負極端子134の先端部は、レーザ溶接等の接合方法によって互いに接合されている。したがって、当該2つの正極端子132及び当該2つの負極端子134は、電気的に互いに接続されている。
【0026】
図2を用いて端子群130について説明した上述の事項は、後方の端子群130等の他の端子群130にも同様に適用可能である。
【0027】
図4は、実施形態に係る電池セル100の前部の側面図である。
図5は、
図4のB-B断面模式図である。
【0028】
図4及び
図5を参照し、必要に応じて
図2を参照して、第1絶縁テープ140について説明する。第1絶縁テープ140について説明する事項は、第2絶縁テープ150にも同様に適用可能である。
【0029】
第1絶縁テープ140は、右方絶縁テープ142及び左方絶縁テープ144を有している。
【0030】
右方絶縁テープ142及び左方絶縁テープ144は、前方封止部122の前端部の負極端子134の周囲を覆っている。
図5に示すように、前方から見て、右方絶縁テープ142及び左方絶縁テープ144は、負極端子134のY方向の互いに反対側から負極端子134に貼り付けられている。具体的には、前方から見て、右方絶縁テープ142は、負極端子134の右側に貼り付けられており、左方絶縁テープ144は、負極端子134の左側に貼り付けられている。
【0031】
右方絶縁テープ142及び左方絶縁テープ144は、少なくとも部分的に互いに貼り合わされている。具体的には、
図4に示すように、右方絶縁テープ142及び左方絶縁テープ144は、外装材120及び負極端子134を介さずに少なくとも部分的にY方向に直接重なり合っている。
図4に示す例では、右方絶縁テープ142の上端部及び左方絶縁テープ144の上端部が互いに貼り合わされている。右方絶縁テープ142の下端部及び左方絶縁テープ144の下端部も互いに貼り合わされている。よって、第1絶縁テープ140のいずれの部分も互いに貼り合わされない場合と比較して、右方絶縁テープ142及び左方絶縁テープ144を強い力で互いに接着させることができる。したがって、第1絶縁テープ140のいずれの部分も互いに貼り合わされない場合と比較して、前方封止部122の前端部に右方絶縁テープ142及び左方絶縁テープ144を強い力で固定することができる。
【0032】
右方絶縁テープ142及び左方絶縁テープ144のはく離接着強さは、例えば、0.050N/mm以上、好ましくは0.075N/mm以上、より好ましくは0.10N/mm以上である。右方絶縁テープ142及び左方絶縁テープ144のはく離接着強さは、JIS K6854-1:1999において規定されている180度はく離試験に基づいて測定される。
【0033】
例えば
図2に示す右側のセル群100Gでは、負極端子134から発生する熱によって、前方封止部122の前端部の温度は比較的高くなることがある。実施形態では、前方封止部122の前端部の温度が比較的高くなったとしても、右方絶縁テープ142及び左方絶縁テープ144が少なくとも部分的に互いに貼り合わされている。よって、第1絶縁テープ140のいずれの部分も互いに貼り合わされていない場合と比較して、負極端子134から発生する熱による第1絶縁テープ140のはく離を抑制することができる。
【0034】
第1絶縁テープ140は、負極端子134の周囲において前方封止部122の前端面を覆っている。よって、外装材120を構成するラミネートフィルムに含まれるアルミニウム層等の金属層が前方封止部122の前端面から露出しなくすることができる。仮に、
図2に示す例において、上方から見て右側のセル群100Gの右側の電池セル100の前方封止部122の前端面からアルミニウムが露出している場合、このアルミニウムは、上方から見て右側のセル群100Gの左側の電池セル100の負極端子134の表面の銅に接触することがある。前方封止部122の前端面のアルミニウム及び負極端子134の表面の銅の異種金属同士が互いに接触すると、当該異種金属同士の間の電位差に起因して、前方封止部122の前端面のアルミニウムに腐食が生じるおそれがある。これに対して、実施形態では、前方封止部122の前端面のアルミニウム及び負極端子134の表面の銅の接触を第1絶縁テープ140によって防ぐことができる。よって、第1絶縁テープ140が設けられていない場合と比較して、前方封止部122の前端面のアルミニウムの腐食を抑制することができる。
【0035】
異種金属同士の接触の例は、前方封止部122の前端面のアルミニウム及び負極端子134の表面の銅に限定されない。異種金属同士の接触としては、
図2に示す左側のセル群100Gにおける一方の電池セル100の前方封止部122の前端面の金属及び他方の電池セル100の正極端子132の表面の金属の接触も例示される。例えば、
図2に示す例において、上方から見て左側のセル群100Gの左側の電池セル100の前方封止部122の前端面からステンレス鋼が露出しており、上方から見て左側のセル群100Gの右側の電池セル100の正極端子132の表面がアルミニウムからなることがある。この例においては、前方封止部122の前端面のステンレス鋼及び正極端子132の表面のアルミニウムの異種金属同士の接触を第2絶縁テープ150によって防ぐことができる。
【0036】
異種金属同士の接触が生じない場合、第1絶縁テープ140又は第2絶縁テープ150は設けられていなくてもよい。例えば、
図2に示す例において、上方から見て左側のセル群100Gの左側の電池セル100の前方封止部122の前端面からアルミニウムが露出しており、上方から見て左側のセル群100Gの右側の電池セル100の正極端子132の表面がアルミニウムからなることがある。この例では、前方封止部122の前端面及び正極端子132の表面が接触しても、異種金属同士の接触が生じない。よって、この例において、第2絶縁テープ150は設けられていなくてもよい。
【0037】
図4及び
図5に示す例では、右方絶縁テープ142及び左方絶縁テープ144の2つの絶縁テープが互いに貼り合わされている。しかしながら、3つ以上の絶縁テープが互いに貼り合わされていてもよい。
【0038】
図6は、変形例1に係る電池セルの第1絶縁テープ140Aを説明するための断面模式図である。変形例1に係る電池セルは、以下の点を除いて、実施形態に係る電池セル100と同様である。
図6に示す断面は、実施形態におけるB-B断面の位置と略同一の位置にある。
【0039】
変形例1に係る第1絶縁テープ140Aは、負極端子134の下端部において折り返されている。したがって、第1絶縁テープ140Aは、右折返し部142A及び左折返し部144Aを有している。前方から見て、右折返し部142Aは、第1絶縁テープ140Aにおける負極端子134の下端部の折返しに対して右側に位置している。右折返し部142Aは、負極端子134の右側面を覆っている。前方から見て、左折返し部144Aは、第1絶縁テープ140Aにおける負極端子134の下端部の折返しに対して左側に位置している。左折返し部144Aは、負極端子134の左側面を覆っている。
【0040】
実施形態に係る右方絶縁テープ142及び左方絶縁テープ144と同様にして、右折返し部142A及び左折返し部144Aは、少なくとも部分的に貼り合わされている。具体的には、
図4に示した例と同様にして、右折返し部142A及び左折返し部144Aは、外装材120及び負極端子134を介さずに少なくとも部分的にY方向に直接重なり合っている。よって、第1絶縁テープ140Aのいずれの部分も互いに貼り合わされない場合と比較して、前方封止部122の前端面に右折返し部142A及び左折返し部144Aを強い力で固定することができる。
【0041】
本変形例においても、実施形態と同様にして、第1絶縁テープ140Aは、前方封止部122の負極端子134の周囲を覆っている。よって、実施形態と同様にして、前方封止部122の前端面の金属及び負極端子134の表面の金属の異種金属同士の接触を第1絶縁テープ140Aによって防ぐことができる。
【0042】
図6に示す例において、第1絶縁テープ140Aは、負極端子134の下端部において折り返されている。しかしながら、第1絶縁テープ140Aは、負極端子134の上端部において折り返されていてもよい。
【0043】
図7は、変形例2に係る電池セルの第1絶縁テープ140Bを説明するための断面模式図である。変形例2に係る電池セルは、以下の点を除いて、実施形態に係る電池セル100と同様である。
図7に示す断面は、実施形態におけるB-B断面の位置と略同一の位置にある。
【0044】
変形例2に係る第1絶縁テープ140Bは、スリット146Bを画定している。負極端子134は、スリット146Bから前方に向けて引き出されている。第1絶縁テープ140Bは、右折曲げ部142B及び左折曲げ部144Bを有している。右折曲げ部142Bは、スリット146Bに対して後方に向けて折り曲げられている。左折曲げ部144Bは、スリット146Bに対して後方に向けて折り曲げられている。
図7には、右折曲げ部142B及び左折曲げ部144Bの折り曲げによって第1絶縁テープ140Bに形成される折曲げ線148Bが破線によって模式的に描写されている。
【0045】
実施形態に係る右方絶縁テープ142及び左方絶縁テープ144と同様にして、右折曲げ部142B及び左折曲げ部144Bは、少なくとも部分的に貼り合わされている。具体的には、
図4に示した例と同様にして、右折曲げ部142B及び左折曲げ部144Bは、外装材120及び負極端子134を介さずに少なくとも部分的にY方向に直接重なり合っている。よって、第1絶縁テープ140Bのいずれの部分も互いに貼り合わされない場合と比較して、前方封止部122の前端面に右折曲げ部142B及び左折曲げ部144Bを強い力で固定することができる。
【0046】
本変形例においても、実施形態と同様にして、第1絶縁テープ140Bは、前方封止部122の負極端子134の周囲を覆っている。よって、実施形態と同様にして、前方封止部122の前端面の金属及び負極端子134の表面の金属の異種金属同士の接触を第1絶縁テープ140Bによって防ぐことができる。
【0047】
図8は、変形例3に係る電池セルの第1絶縁テープ140Cを説明するための断面模式図である。変形例3に係る電池セルは、以下の点を除いて、実施形態に係る電池セル100と同様である。
図8に示す断面は、実施形態におけるB-B断面の位置と略同一の位置にある。
【0048】
変形例3に係る第1絶縁テープ140Cは、右方絶縁テープ142C及び左方絶縁テープ144Cを有している。右方絶縁テープ142Cの上端部は、左方絶縁テープ144Cの上端部を覆っている。
図8に示す例において、右方絶縁テープ142Cの上端部は、下方に向けて折り返す折り返し部分を有している。右方絶縁テープ142Cの上端部のこの折り返し部分が左方絶縁テープ144Cの上端部を覆っている。左方絶縁テープ144Cの下端部は、右方絶縁テープ142Cの下端部を覆っている。
図8に示す例において、左方絶縁テープ144Cの下端部は、上方に向けて折り返す折り返し部分を有している。左方絶縁テープ144Cの下端部のこの折り返し部分が右方絶縁テープ142Cの下端部を覆っている。
【0049】
変形例3では、右方絶縁テープ142Cの上端部及び左方絶縁テープ144Cの上端部の貼り合わせ界面が上方に向けて露出されていない。よって、この貼り合わせ界面が上方に向けて露出されている場合と比較して、前方封止部122の前端面に右方絶縁テープ142C及び左方絶縁テープ144Cを強い力で固定することができる。同様に、右方絶縁テープ142Cの下端部及び左方絶縁テープ144Cの下端部の貼り合わせ界面が下方に向けて露出されていない。よって、この貼り合わせ界面が下方に向けて露出されている場合と比較して、前方封止部122の前端面に右方絶縁テープ142C及び左方絶縁テープ144Cを強い力で固定することができる。
【0050】
本変形例においても、実施形態と同様にして、第1絶縁テープ140Cは、前方封止部122の負極端子134の周囲を覆っている。よって、実施形態と同様にして、前方封止部122の前端面の金属及び負極端子134の表面の金属の異種金属同士の接触を第1絶縁テープ140Cによって防ぐことができる。
【0051】
右方絶縁テープ142C及び左方絶縁テープ144Cの貼り合わせは、変形例3に限定されない。例えば、左方絶縁テープ144Cの上端部が右方絶縁テープ142Cの上端部を覆っていてもよい。右方絶縁テープ142Cの下端部が左方絶縁テープ144Cの下端部を覆っていてもよい。
【0052】
図9は、変形例4に係る電池セルの第1絶縁テープ140Dを説明するための断面模式図である。変形例4に係る電池セルは、以下の点を除いて、実施形態に係る電池セル100と同様である。
図9に示す断面は、実施形態におけるB-B断面の位置と略同一の位置にある。
【0053】
変形例4に係る第1絶縁テープ140Dは、右方絶縁テープ142D及び左方絶縁テープ144Dを有している。右方絶縁テープ142Dの上端部は、左方絶縁テープ144Dの上端部を覆っている。
図9に示す例において、右方絶縁テープ142Dの上端部は、下方に向けて折り返す折り返し部分を有している。右方絶縁テープ142Dの上端部のこの折り返し部分が左方絶縁テープ144Dの上端部を覆っている。右方絶縁テープ142Dの下端部は、左方絶縁テープ144Dの下端部を覆っている。
図9に示す例において、右方絶縁テープ142Dの下端部は、上方に向けて折り返す折り返し部分を有している。右方絶縁テープ142Dの下端部のこの折り返し部分が左方絶縁テープ144Dの下端部を覆っている。
【0054】
変形例4では、右方絶縁テープ142Dの上端部及び左方絶縁テープ144Dの上端部の貼り合わせ界面が上方に向けて露出されていない。よって、この貼り合わせ界面が上方に向けて露出されている場合と比較して、前方封止部122の前端面に右方絶縁テープ142D及び左方絶縁テープ144Dを強い力で固定することができる。同様に、右方絶縁テープ142Dの下端部及び左方絶縁テープ144Dの下端部の貼り合わせ界面が下方に向けて露出されていない。よって、この貼り合わせ界面が下方に向けて露出されている場合と比較して、前方封止部122の前端面に右方絶縁テープ142D及び左方絶縁テープ144Dを強い力で固定することができる。
【0055】
本変形例においても、実施形態と同様にして、第1絶縁テープ140Dは、前方封止部122の負極端子134の周囲を覆っている。よって、実施形態と同様にして、前方封止部122の前端面の金属及び負極端子134の表面の金属の異種金属同士の接触を第1絶縁テープ140Dによって防ぐことができる。
【0056】
右方絶縁テープ142D及び左方絶縁テープ144Dの貼り合わせは、変形例4に限定されない。例えば、左方絶縁テープ144Dの上端部及び下端部が右方絶縁テープ142Dの上端部及び下端部をそれぞれ覆っていてもよい。或いは、右方絶縁テープ142D及び左方絶縁テープ144Dの上端部及び下端部の一方のみにおいて、右方絶縁テープ142D及び左方絶縁テープ144Dの一方の上端部又は下端部が右方絶縁テープ142D及び左方絶縁テープ144Dの他方の上端部又は下端部を覆っていてもよい。
【0057】
以上、図面を参照して本発明の実施形態及び変形例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0058】
実施形態及び変形例では、絶縁テープが少なくとも部分的に互いに貼り合わされている。すなわち、絶縁テープが少なくとも部分的に互いに接合されている。しかしながら、外装材120における正極端子132又は負極端子134の周囲を覆う絶縁材としては、絶縁テープだけでなく、塗布によって形成されるコーティング剤や、熱収縮フィルムが例示される。これらの絶縁材が用いられる場合、絶縁材は少なくとも部分的に互いに接合させることができる。この場合、実施形態及び変形例において説明したように、絶縁材のいずれの部分も互いに接合されていない場合と比較して、外装材120における正極端子132又は負極端子134の周囲に絶縁材を強い力で固定することができる。
【符号の説明】
【0059】
10 電池モジュール
100 電池セル
100G セル群
110 電池要素
112 正極
114 負極
116 セパレータ
120 外装材
121 収容部
122 前方封止部
123 後方封止部
124 上方封止部
125 下方封止部
130 端子群
132 正極端子
134 負極端子
140,140A,140B,140C,140D 第1絶縁テープ
142,142C,142D 右方絶縁テープ
142A 右折返し部
142B 右折曲げ部
144,144C,144D 左方絶縁テープ
144A 左折返し部
144B 左折曲げ部
146B スリット
148B 折曲げ線
150 第2絶縁テープ