(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063412
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】ソール及びシューズ
(51)【国際特許分類】
A43B 13/14 20060101AFI20240502BHJP
A43B 13/18 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
A43B13/14 D
A43B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171333
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000310
【氏名又は名称】株式会社アシックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小塚 祐也
(72)【発明者】
【氏名】高島 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】谷口 憲彦
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA01
4F050BA02
4F050BA40
4F050BA49
4F050BA55
4F050BF01
4F050HA53
4F050HA55
4F050JA01
4F050KA01
4F050LA01
4F050NA51
(57)【要約】
【課題】接地時における衝撃の低減と、蹴り出し時におけるソールの過度な圧縮の抑制と、の両立が可能なソール及びシューズを提供すること。
【解決手段】ソール10は、ソール本体101と、ソール本体101に隣接するように配置された弾性部と、弾性部の周囲を包囲する包囲部材と、押さえ部材300と、を備える。厚み方向における包囲部材の引張剛性は、厚み方向における弾性部の圧縮剛性よりも大きく、かつ、厚み方向における包囲部材の圧縮剛性よりも大きい。非圧縮状態における弾性部の非圧縮厚みは、初期状態における包囲部材の初期厚みよりも大きい。無荷重状態における弾性部及び包囲部材の基準厚みは、弾性部の非圧縮厚みよりも小さく、包囲部材の初期厚みよりも大きい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソール本体と、
弾性体からなり、前記ソール本体に隣接するように配置された弾性部と、
前記弾性部を形成する材料よりも高い弾性率を有する材料からなり、前記弾性部の周囲を包囲する包囲部材と、
前記弾性部をその厚み方向に押さえ付けた状態で前記包囲部材に固定された押さえ部材と、を備え、
前記ソール本体の厚み方向における前記包囲部材の引張剛性は、前記厚み方向における前記弾性部の圧縮剛性よりも大きく、かつ、前記厚み方向における前記包囲部材の圧縮剛性よりも大きく、
前記押さえ部材による押付け力を含む圧縮荷重が前記弾性部に作用していない非圧縮状態における前記弾性部の厚みである非圧縮厚みは、前記厚み方向における荷重が前記包囲部材に作用していない初期状態における前記包囲部材の厚みである初期厚みよりも大きく、
前記弾性部の上面と前記包囲部材の上面とが面一となるように前記弾性部が前記押さえ部材による前記押付け力を受けかつ前記包囲部材が前記押さえ部材から引張り荷重を受けた状態であって着用者からの荷重が前記弾性部及び前記包囲部材に作用していない無荷重状態における前記弾性部及び前記包囲部材の厚みである基準厚みは、前記弾性部の前記非圧縮厚みよりも小さく、前記包囲部材の前記初期厚みよりも大きい、ソール。
【請求項2】
前記包囲部材は、
枠状に形成された第1フレーム部と、
枠状に形成されており、前記第1フレーム部の下方に配置された第2フレーム部と、
前記第1フレーム部と前記第2フレーム部とを連結する複数の連結部と、を有し、
前記複数の連結部のうちの少なくとも2つの連結部と前記第1フレーム部との第1接続部は、前記第1フレーム部の周方向に間隔を置いて配置されており、
前記複数の連結部のうちの少なくとも2つの連結部と前記第2フレーム部との第2接続部は、前記第2フレーム部の周方向に間隔を置いて配置されている、請求項1に記載のソール。
【請求項3】
前記複数の連結部の各々は、前記第1フレーム部と前記第2フレーム部との間に形成された少なくとも1つの折返し部を有し、
前記少なくとも1つの折返し部は、
前記周方向における一方側に向かうにしたがって次第に下方に向かうように延びる形状を有する第1折返し片と、
前記第1折返し片の下端部から前記周方向における他方側に向かうにしたがって次第に下方に向かうように延びる形状を有する第2折返し片と、を有し、
前記第1折返し片と前記第2折返し片とのなす角は、前記包囲部材が圧縮されるにしたがって次第に小さくなる、請求項2に記載のソール。
【請求項4】
前記周方向に互いに隣接する前記折返し部同士は、互いに接合されている、請求項3に記載のソール。
【請求項5】
前記複数の連結部の各々は、屈曲部を含む、請求項2に記載のソール。
【請求項6】
前記複数の連結部は、前記第1フレーム部の投影面内で圧縮されるように構成されている、請求項2に記載のソール。
【請求項7】
前記無荷重状態における前記弾性部と、前記無荷重状態における前記第1フレーム部及び前記複数の連結部と、の間には、隙間が形成されている、請求項2に記載のソール。
【請求項8】
前記非圧縮状態における前記弾性部の上面は、前記ソール本体の上面よりも上方に突出しており、
前記押さえ部材は、前記弾性部を前記無荷重状態に押し付けた状態で前記ソール本体の上面及び前記第1フレーム部に固定されている、請求項2に記載のソール。
【請求項9】
前記第1フレーム部は、前記厚み方向と直交する直交方向における各前記連結部の外縁部よりも前記直交方向における外側に張り出す形状を有する、請求項8に記載のソール。
【請求項10】
前記包囲部材は、前記第2フレーム部に接続されており前記弾性部を支持する底壁をさらに有する、請求項2に記載のソール。
【請求項11】
前記ソール本体は、前記弾性部及び前記包囲部材を収容する収容部をさらに備える、請求項1に記載のソール。
【請求項12】
前記ソール本体は、
下ミッドソールと、
前記下ミッドソール上に配置された上ミッドソールと、を含み、
前記押さえ部材は、前記上ミッドソールと前記下ミッドソールとの間に配置されており、
前記弾性部及び前記包囲部材は、前記押さえ部材の下方に配置されている、請求項1に記載のソール。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載のソールと、
前記ソールに接続されており、前記ソールとともに前記着用者の足の収容空間を形成するアッパーと、を備えるシューズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、ソール及びシューズに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ミッドソール内に設けられたプレートを有するシューズが知られている。例えば、米国特許第9833038号明細書には、上ミッドソール部材と、下ミッドソール部材と、プレートと、を備えるソール構造が開示されている。上ミッドソール部材は、上面と、下面と、貫通孔と、を有している。下ミッドソール部材は、上ミッドソール部材の下面に接する上面と、この上面から隆起するとともに上ミッドソール部材の貫通孔内に位置する隆起部と、を有している。隆起部は、上ミッドソール部材の上面と面一の上面を有している。プレートは、上ミッドソール部材の上面と隆起部の上面とに接している。プレートは、隆起部の上面と接着されており、上ミッドソール部材の上面とは接着されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
走行などの動作を伴う運動に用いられるシューズにおいては、蹴り出し時における踏み込み力を確保するため、蹴り出し時におけるソールの過度な圧縮(沈み込み)を抑制することが求められる。そこで、ソールの硬度を高くすることが考えられるが、そうすると、特に接地時における衝撃が増大する。
【0005】
本開示の目的は、接地時における衝撃の低減と、蹴り出し時におけるソールの過度な圧縮の抑制と、の両立が可能なソール及びシューズを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この開示の一局面に従ったソールは、ソール本体と、弾性体からなり、前記ソール本体に隣接するように配置された弾性部と、前記弾性部を形成する材料よりも高い弾性率を有する材料からなり、前記弾性部の周囲を包囲する包囲部材と、前記弾性部をその厚み方向に押さえ付けた状態で前記包囲部材に固定された押さえ部材と、を備え、前記ソールの厚み方向における前記包囲部材の引張剛性は、前記厚み方向における前記弾性部の圧縮剛性よりも大きく、かつ、前記厚み方向における前記包囲部材の圧縮剛性よりも大きく、前記押さえ部材による押付け力を含む圧縮荷重が前記弾性部に作用していない非圧縮状態における前記弾性部の厚みである非圧縮厚みは、前記厚み方向における荷重が前記包囲部材に作用していない初期状態における前記包囲部材の厚みである初期厚みよりも大きく、前記弾性部の上面と前記包囲部材の上面とが面一となるように前記弾性部が前記押さえ部材による前記押付け力を受けかつ前記包囲部材が前記押さえ部材から引張り荷重を受けた状態であって着用者からの荷重が前記弾性部及び前記包囲部材に作用していない無荷重状態における前記弾性部及び前記包囲部材の厚みである基準厚みは、前記弾性部の前記非圧縮厚みよりも小さく、前記包囲部材の前記初期厚みよりも大きい。
【0007】
また、この開示の一局面に従ったシューズは、前記ソールと、前記ソールに接続されており、前記ソールとともに前記着用者の足の収容空間を形成するアッパーと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
この開示によれば、接地時における衝撃の低減と、蹴り出し時におけるソールの過度な圧縮の抑制と、の両立が可能なソール及びシューズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態におけるソールを含むシューズを概略的に示す断面図である。
【
図5】弾性部及び包囲部材が一体化される前の状態と、弾性部及び包囲部材が一体化された後の状態と、を概略的に示す正面図である。
【
図8】無荷重状態から圧縮された状態における構造体の正面図である。
【
図9】圧縮方向及び引張り方向の各々における、包囲部材の厚み方向における変位と包囲部材に入力される荷重との関係を示すグラフである。
【
図10】ソール本体に対する構造体の配置の変形例を概略的に示す平面図である。
【
図11】ソール本体に対する構造体の配置の変形例を概略的に示す平面図である。
【
図12】ソール本体に対する構造体の配置の変形例を概略的に示す斜視図である。
【
図13】ソール本体に対する構造体の配置の変形例を概略的に示す断面図である。
【
図20】
図19において実線XXで示される範囲の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一又はそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。以下の説明では、足長方向、足幅方向、前方、後方等の用語が用いられる。これら方向を示す用語は、地面等の平坦面P(
図1を参照)に置かれたシューズ1を着用した着用者の視点から見た方向を示す。例えば、前方は、つま先側を指し、後方は、踵側を指す。また、内側又は内足側は、足幅方向における足の第1趾側を指し、外側又は外足側は、足幅方向における足の第5趾側を指す。
【0011】
図1は、本開示の一実施形態におけるソールを含むシューズを概略的に示す断面図である。
図2は、ソールの平面図である。なお、
図2には、右足用のソール10が示されているが、このソール10は、左足にも適用可能である。この場合、左足用のソールは、右足用のソールと左右対称な形状、あるいは、概ねそれに準じる形状に形成される。本実施形態におけるシューズ1は、例えば、ランニングシューズとして好適である。ただし、シューズ1の用途は、これに限られない。
【0012】
図1に示されるように、シューズ1は、ソール10と、アッパー20と、を備えている。
【0013】
アッパー20は、ソール10に接続されている。アッパー20は、ソール10とともに着用者の足の収容空間を形成する。アッパー20は、着用者の足の上面を被覆する。アッパー20の下方に中底(図示略)が接続されてもよい。
【0014】
ソール10は、シューズ1の一部を構成している。ソール10は、アッパー20の下部に接続されている。
図1及び
図2に示されるように、ソール10は、ミッドソール100と、アウトソール200と、押さえ部材300と、を備えている。
【0015】
ミッドソール100は、ソール本体101と、構造体102と、を有している。
【0016】
ソール本体101は、接地時における緩衝機能等を備えている。ソール本体101は、適度な強度を有しつつ緩衝性に優れる樹脂又はゴム材料により形成されることが好ましい。ソール本体101は、例えば、主成分としての樹脂材料と、副成分としての発泡剤や架橋剤と、を含む樹脂製のフォーム材により形成される。
【0017】
図1に示されるように、ソール本体101は、下ミッドソール101Aと、上ミッドソール101Bと、を有している。下ミッドソール101Aは、ソール本体101の下部を構成している。上ミッドソール101Bは、下ミッドソール101A上に配置されている。上ミッドソール101Bは、ソール本体101の上部を構成している。上ミッドソール101B上にアッパー20が接続されている。
【0018】
アウトソール200は、ソール本体101の下面に接続されている。より詳細には、アウトソール200は、下ミッドソール101Aの下面に接続されている。アウトソール200は、ゴムや樹脂等からなる。アウトソール200は、下ミッドソール101Aの下面の全域を被覆していてもよいし、
図1に示されるように、下ミッドソール101Aの下面の一部のみを被覆していてもよい。
【0019】
構造体102は、特に蹴り出し時におけるソール10の過度な圧縮を抑制する機能を有している。構造体102は、ソール本体101に隣接するように配置されている。本実施形態では、下ミッドソール101Aに収容部101a(
図1を参照)が形成されており、構造体102は、その収容部101a内に配置されている。収容部101aは、上向きに開口している。
【0020】
図1及び
図2に示されるように、構造体102は、着用者の足のMP関節とソール本体101の厚み方向に重なる部位を足長方向(
図2における上下方向)に跨ぐ範囲に配置されている。
図2に示されるように、構造体102は、足幅方向(
図2における左右方向)における中央部に配置されている。構造体102は、第1末節骨から第3末節骨と厚み方向に重なり、かつ、第1基節骨から第4基節骨と厚み方向に重なる範囲に配置されている。また、構造体102は、各中足骨と厚み方向に重なる範囲に配置されている。
【0021】
図3及び
図4に示されるように、構造体102は、弾性部103と、包囲部材104と、を有している。なお、
図3では、弾性部103が破線の斜線で示されている。
【0022】
弾性部103は、弾性体からなる。弾性部103は、ソール本体101を構成する材料と同じ材料で形成されてもよいし、ソール本体101を構成する材料とは異なる材料で形成されてもよい。弾性部103は、光造形方式の三次元積層造形法にて製作されてもよい。弾性部103のポアソン比は、0.2以下に設定されることが好ましい。なお、ポアソン比は、足幅方向におけるひずみを厚み方向におけるひずみで除した値である。
【0023】
弾性部103の上面103Sに、凹凸形状が付与されてもよい。この場合、弾性部103のうち凸になっている部分の圧縮剛性が高く、凹になっている部分の圧縮剛性が低くなる。したがって、例えば、弾性部103の中央領域の圧縮剛性を低く、周縁領域の圧縮剛性を高く設定することにより、走行中に弾性部103に作用する圧縮荷重を理想的な位置に集中させることが可能となる。
【0024】
図3及び
図4に示されるように、包囲部材104は、弾性部103の周囲を包囲している。包囲部材104は、弾性部103を形成する材料よりも高い弾性率を有する材料からなる。なお、
図4では、平面視における弾性部103の外形及び包囲部材104の外形が円形である例が示されているが、平面視における弾性部103の外形及び包囲部材104の外形は、円形に限られない。平面視における弾性部103の外形は、楕円形でもよい。
【0025】
次に、押さえ部材300について説明する。押さえ部材300は、弾性部103をその厚み方向に押さえ付けた状態で包囲部材104に固定されている。本実施形態では、
図1に示されるように、押さえ部材300は、下ミッドソール101Aと上ミッドソール101Bとの間に配置されている。
図2に示されるように、平面視における押さえ部材300の外形は、平面視における包囲部材104の外形よりも大きい。
【0026】
図1及び
図2に示されるように、押さえ部材300は、厚み方向に着用者の足のMP関節と重なる位置を足長方向(
図2における上下方向)に跨ぐように下ミッドソール101A及び包囲部材104に固定されている。本実施形態では、押さえ部材300は、厚み方向に着用者のつま先を支持する領域から着用者の踵骨を支持する領域に至るように足長方向に延びる形状を有している。ただし、押さえ部材300は、弾性部103を押さえることが可能な形状であればよく、部分的に貫通孔などが設けられていてもよい。
【0027】
押さえ部材300は、ソール本体101の硬度よりも高い硬度を有する材料からなる。押さえ部材300は、ソール本体101の曲げ剛性を高める機能や、ソール本体101に均一に荷重を作用させる機能等をも有している。押さえ部材300は、繊維強化樹脂や非繊維強化樹脂からなる。繊維強化樹脂に用いられる繊維としては、カーボン繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ダイニーマ繊維(登録商標)、ザイロン繊維(登録商標)、ボロン繊維等が挙げられる。非繊維強化樹脂としては、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)やアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)等のポリマー樹脂が挙げられる。押さえ部材300は、合成樹脂と上記繊維とを含む繊維強化プラスチックからなることが好ましく、合成樹脂と炭素繊維とを含む炭素繊維強化プラスチックからなることがより好ましい。
【0028】
図5は、弾性部103と包囲部材104とが互いに一体化される前の状態と、両者が互いに一体化された後の状態と、が示されている。弾性部103及び包囲部材104は、押さえ部材300が弾性部103を厚み方向に押さえ付けた状態で押さえ部材300が包囲部材104に固定されることにより、互いに一体化される。なお、
図5では、押さえ部材300の図示は省略されている。
【0029】
以下、包囲部材104と一体化される前、すなわち、押さえ部材300による押付け力を含む圧縮荷重が弾性部103に作用していないときの弾性部103の状態(
図5における左側の状態)を「非圧縮状態」と表記する。また、弾性部103と一体化される前、すなわち、厚み方向における荷重が包囲部材104に作用していないときの包囲部材104の状態(
図5における左側の状態)を「初期状態」と表記する。そして、互いに一体化された後、すなわち、弾性部103の上面103Sと包囲部材104の上面104Sとが面一となるように弾性部103が押さえ部材300による前記押付け力を受けかつ包囲部材104が押さえ部材300から引張り荷重を受けた状態であって着用者からの荷重が弾性部103及び包囲部材104に作用していないときの弾性部103及び包囲部材104の状態(
図5における右側の状態)を「無荷重状態」と表記する。
図3及び
図4は、無荷重状態における構造体102を示している。
【0030】
非圧縮状態における弾性部103の上面103Sは、ソール本体101における下ミッドソール101Aの上面よりも上方に突出している。押さえ部材300は、弾性部103を無荷重状態に押し付けた状態で下ミッドソール101Aの上面及び包囲部材104の上面104Sに固定されている。すなわち、弾性部103は、非圧縮状態から厚み方向に圧縮された状態でソール本体101に配置されている。なお、非圧縮状態における弾性部103の下面が下ミッドソール101Aの下面よりも下方に突出しており、押さえ部材300が、弾性部103を無荷重状態に押し付けた状態で下ミッドソール101Aの下面及び包囲部材104の下面に固定されていてもよい。
【0031】
弾性部103の上面103Sは、押さえ部材300に接着されていてもよいし、接着されていなくてもよい。弾性部103が押さえ部材300に接着されておらずかつ構造体102が圧縮された状態から復帰する場合における包囲部材104の戻り速度(戻り値)の方が弾性部103のそれよりも速い(強い)場合、弾性部103が押さえ部材300に接着されていることにより、押さえ部材300を介して弾性部103の戻り速度が速くなる。また、弾性部103が押さえ部材300に接着されていることにより、圧縮以外の力、例えば前後方向へのせん断方向の剛性を担保することができる。さらに、弾性部103は、予め設定された位置に固定され続ける。
【0032】
一方、弾性部103が押さえ部材300に接着されていない場合、弾性部103の上面103Sに、圧縮の度合いに応じて表面形状を付与することが可能となる。例えば、上面103Sに凹凸形状や波形状を設けることによって弾性部103内における圧縮度合いを変化させることが可能となり、走行時の圧力を分散させるなどの設計が容易となる。また、走行時の屈曲動作時、押さえ部材300と弾性部103とはそれぞれ独立して変形することから、弾性部103が押さえ部材300に接着されている場合に比べてソール10の曲げ剛性が低くなる。よって、着用者が違和感を感じにくくなる。
【0033】
図5に示されるように、非圧縮状態における弾性部103の厚みである非圧縮厚みT10は、初期状態における包囲部材104の厚みである初期厚みT11よりも大きい。無荷重状態における弾性部103及び包囲部材104の厚みである基準厚みT20は、弾性部103の非圧縮厚みT10よりも小さく、包囲部材104の初期厚みT11よりも大きい。
【0034】
図4は、無荷重状態における構造体102の平面図である。
図4に示されるように、無荷重状態における弾性部103及び包囲部材104間には、隙間Cが形成されている。隙間Cを設けることによって、弾性部103と包囲部材104との接触に起因するエネルギーロスを軽減することができる。
【0035】
図6及び
図7は、初期状態における包囲部材104を示している。
図6及び
図7に示されるように、包囲部材104は、第1フレーム部110と、第2フレーム部120と、複数の連結部130と、を有している。
【0036】
第1フレーム部110は、枠状に形成されている。本実施形態では、第1フレーム部110は、環状につながる形状に形成されている。ただし、第1フレーム部110は、環状につながっていなくてもよい。第1フレーム部110の上面104Sは、押さえ部材300に接着等によって固定されている。
【0037】
第2フレーム部120は、第1フレーム部110の下方に配置されている。本実施形態では、第2フレーム部120も、環状につながる形状に形成されている。ただし、第2フレーム部120も、環状につながっていなくてもよい。第2フレーム部120は、第1フレーム部110と同じ形状に形成されることが好ましい。第2フレーム部120は、アウトソール200に接着等によって固定されている。
【0038】
各連結部130は、第1フレーム部110と第2フレーム部120とを連結している。各連結部130は、板状に形成されている。
図4に示されるように、複数の連結部130は、第1フレーム部110の投影面内に収まる形状を有している。前記隙間Cは、無荷重状態における弾性部103と、無荷重状態における第1フレーム部110及び複数の連結部130と、の間に形成されている。
【0039】
図6及び
図7に示されるように、複数の連結部130のうちの少なくとも2つの連結部130と第1フレーム部110との第1接続部115は、第1フレーム部110の周方向に間隔を置いて配置されている。複数の連結部130のうちの少なくとも2つの連結部130と第2フレーム部120との第2接続部125は、第2フレーム部120の周方向に間隔を置いて配置されている。
【0040】
各連結部130は、第1フレーム部110と第2フレーム部120との間に形成された少なくとも1つの折返し部132を有している。本実施形態では、各連結部130は、単一の折返し部132を有している。ただし、各連結部130は、複数の折返し部132を有していてもよい。折返し部132は、第1折返し片132aと、第2折返し片132bと、を有している。
【0041】
第1折返し片132aは、周方向における一方側(例えば
図7における右側)に向かうにしたがって次第に下方に向かうように延びる形状を有している。
【0042】
第2折返し片132bは、第1折返し片132aの下端部から周方向における他方側(例えば
図7における左側)に向かうにしたがって次第に下方に向かうように延びる形状を有している。
【0043】
第1折返し片132a及び第2折返し片132bにより形成される角部は、第1フレーム部110の周方向に沿う方向を向いている。このため、複数の連結部130は、第1フレーム部110の投影面内で圧縮される。
【0044】
図6及び
図7に示されるように、周方向に互いに隣接する折返し部132同士、より詳細には、第1折返し片132a及び第2折返し片132bにより形成される角部同士は、互いに接合されている。
【0045】
初期状態における第1折返し片132a及び第2折返し片132bがなす角θ1(
図5及び
図7を参照)は、無荷重状態における第1折返し片132a及び第2折返し片132bがなす角θ2(
図3及び
図5を参照)よりも小さい。前記角θ1は、鋭角に形成されていてもよい。
【0046】
図6~
図8に示されるように、各連結部130は、屈曲部134を含んでいる。
図8は、圧縮された状態における構造体102の正面図である。構造体102に着用者からの荷重(圧縮荷重)が作用した際、
図8に示されるように、各連結部130は、屈曲部134を起点として湾曲する。一方、屈曲部134は、初期状態と無荷重状態との間ないし無荷重状態において、伸びた状態となる。屈曲部134の変形方向が屈曲部134に対して荷重が作用する向きと一致するほど連結部130の剛性は高くなる。このため、包囲部材104の圧縮剛性は、包囲部材104の引張り剛性よりも小さい。
【0047】
圧縮された状態における構造体102の第1折返し片132aと第2折返し片132bとのなす角θ3(
図8を参照)は、前記角θ1よりも小さい。前記角θ3は、構造体102が圧縮されるにしたがって次第に小さくなる。この角θ3が小さくなるほど、換言すれば、各連結部130の圧縮変形量が大きくなるほど、包囲部材104の圧縮剛性が小さくなる。
【0048】
図9は、圧縮方向及び引張り方向の各々における、包囲部材104の厚み方向における変位と包囲部材104に入力される荷重との関係を示すグラフである。
図9に示されるように、厚み方向における包囲部材104の引張剛性は、厚み方向における包囲部材104の圧縮剛性よりも大きい。また、厚み方向における包囲部材104の引張剛性は、厚み方向における弾性部103の圧縮剛性よりも大きい。
【0049】
以上に説明したように、本実施形態におけるソール10では、接地時における衝撃がソール本体101により有効に吸収されるとともに、非圧縮状態から無荷重状態まで圧縮された状態の弾性部103が配置されているため、蹴り出し時におけるソール10の過度な圧縮(沈み込み)が抑制される。
【0050】
さらに、弾性部103の圧縮剛性よりも大きな引張り剛性を有する包囲部材104が弾性部103を包囲しているため、ソール本体101のうち弾性部103に隣接する部位が弾性部103の復帰力(弾性部103が無荷重状態から非圧縮状態に戻ろうとする力)によって引っ張られることが抑制される。
【0051】
加えて、包囲部材104の圧縮剛性は当該包囲部材104の引張り剛性よりも小さいため、接地時ないし蹴り出し時において着用者が包囲部材104から受ける反力が有効に低減される。
【0052】
以下、
図10~
図23を参照しながら、上記実施形態の変形例について説明する。
【0053】
(第1変形例)
図10に示されるように、構造体102は、足幅方向に互いに離間した位置に配置された内足側構造部102A及び外足側構造部102Bを有していてもよい。
【0054】
内足側構造部102Aの前端は、第1末節骨及び第2中節骨と厚み方向に重なる範囲に配置されている。内足側構造部102Aの後端は、第1中足骨の中央部及び第2中足骨の中足骨と厚み方向に重なる範囲に配置されている。
【0055】
外足側構造部102Bの前端は、第3中節骨、第4中節骨及び第5末節骨と厚み方向に重なる範囲に配置されている。外足側構造部102Bの後端は、第3中足骨の中央部、第4中足骨の中央部及び第5中足骨の中央部と厚み方向に重なる範囲に配置されている。
【0056】
足幅方向における内足側構造部102Aの外端部及び足幅方向における外足側構造部102Bの内端部は、着用者の足における第2足趾及び第3足趾間の部位と厚み方向に重なる位置に配置されている。
【0057】
構造体102が複数の構造部を有する場合、各構造部は、当該構造部が配置される箇所によって、それぞれ異なる包囲部材104、または異なる弾性率の弾性部103から構成されてもよい。例えば、蹴りだし時には外足側に比べて内足側の方が大きな荷重が生じやすく、また、走行動作においては通常外足側から地面に接地する。そのため、内足側構造部102Aは、過度な圧縮変形が抑制されるよう比較的高い弾性率を有する弾性部103が配置され、外足側構造部102Bは、接地時における緩衝性を高める観点から比較的低い弾性率を有する弾性部103が配置されてもよい。また、外足側構造部102Bの弾性率を内足側構造部102Aの弾性率よりも高くすることによって、接地後の過度なプロネーションが抑制される。
【0058】
(第2変形例)
図11に示されるように、構造体102の前端は、各基節骨の骨幹部と厚み方向に重なる位置に配置され、構造体102の後端は、各中足骨の骨幹部と厚み方向に重なる位置に配置されてもよい。走行動作の蹴りだし期には、各基節骨の骨幹部と各中足骨の骨幹部との間の部位の直下に圧縮荷重が生じるため、そこに構造体102が配置されることにより、ソール10の過度な変形が抑えられ、安定性が付与される。
【0059】
(第3変形例)
図12に示されるように、足幅方向における構造体102の両端部がソール本体101から露出しており、下ミッドソール101Aが、構造体102を挟んで足長方向に互いに分離された後方ミッドソール部101A1と前方ミッドソール部101A2とにより構成されてもよい。
【0060】
(第4変形例)
図13に示されるように、上ミッドソール101Bに収容部101aが形成され、構造体102は、上ミッドソール101Bの収容部101aに配置されてもよい。この場合、ソール本体101の硬度よりも高い硬度を有する中底が設けられることが好ましい。中底は、例えば、不織布に合成樹脂を含浸させることにより形成される。
【0061】
また、この例においては、
図14に示されるように、包囲部材104は、第2フレーム部120に接続されており弾性部103を支持する底壁150をさらに有することが好ましい。第2フレーム部120及び底壁150は、例えば互いに同じ材料で一体的に形成される。なお、
図14は、構造体102の底面図である。
【0062】
(第5変形例)
図15に示されるように、第1フレーム部110は、厚み方向(
図15における上下方向)と直交する直交方向における各連結部130の外縁部よりも前記直交方向における外側に張り出す形状を有していてもよい。これにより、第1フレーム部110と他部材との接着面積が確保される。
【0063】
(第6変形例)
図16及び
図17に示されるように、包囲部材104における各連結部130は、複数の折返し部132を有していてもよい。
図16及び
図17に示される例では、各連結部130は、3つの折返し部、すなわち、第1折返し部132Aと、第2折返し部132Bと、第3折返し部132Cと、を有している。
【0064】
第1折返し部132A、第2折返し部132B及び第3折返し部132Cは、この順に厚み方向における下方に向かうように配置されている。第1折返し部132Aにおける角部及び第3折返し部132Cにおける角部は、互いに周方向に同じ方向を向いており、第2折返し部132Bにおける角部は、第1折返し部132Aにおける角部の向きと周方向における反対方向を向いている。
【0065】
第1折返し部132Aにおける第1折返し片132aの下部は、下向きに凸となるように湾曲する形状を有し、第1折返し部132Aにおける第2折返し片132bの上部は、上向きに凸となるように湾曲する形状を有している。このことは、第2折返し部132B及び第3折返し部132Cにおいても同様である。
【0066】
(第7変形例)
図18及び
図19に示されるように、包囲部材104における複数の連結部130は、立体格子構造を有していてもよい。
図18及び
図19に示される立体格子構造は、繰り返し並ぶように配列された複数の単位構造13(
図20を参照)を有している。
【0067】
図20は、単位構造13の拡大図である。
図20に示されるように、単位構造13は、立体格子構造からなる。複数の単位構造13は、第1フレーム部110の周方向及び厚み方向の各々に沿って規則的にかつ連続的に繰り返し配列されている。
【0068】
単位構造13は、所定方向に沿って延在する複数の柱部13aが相互に接続されてなる立体的形状を有している。これら複数の柱部13aは、隣接する柱部13aとその延在方向が交差するように構成されており、これによって立体格子構造が形作られている。各柱部13aは、実質的に円柱状に形成されている。各単位構造13は、いわゆるダブルピラミッド格子構造を有している。単位構造13が占有する単位空間は、八面体形状を有している。
【0069】
単位構造13としては、
図20に示される構造の他にも様々な構造が採用可能であり、例えば、直方体格子、ダイヤモンド格子、八面体格子、あるいは、これら格子に各種のサポートが付加されたもの等、各種の構造の適用が可能である。
【0070】
包囲部材104全体及びこれに隣接しているソール本体101は、三次元造形からなるものでもよい。そうすることによって、構造体102とソール本体101との間は段差が生じずに、硬さを徐々に変更でき、急激な剛性変化による、突き上げや、足当たりの悪化を防ぐことが可能となる。また、包囲部材104とソール本体101との間に明確な境界を形成しないことによって、様々な異なる足形状に対しても期待する効果が発現されやすくなる。
【0071】
(第8変形例)
図21及び
図22に示されるように、包囲部材104における各連結部130は、第1折返し片132a及び第2折返し片132bにより構成されていてもよい。各折返し片132a,132bは、屈曲部134を有しておらず、平板状に形成されている。
【0072】
また、この例における包囲部材104は、中間フレーム部140をさらに有している。中間フレーム部140は、第1フレーム部110と第2フレーム部120との間で、かつ、第1折返し片132aと第2折返し片132bとの間に配置されている。
【0073】
この例における包囲部材104が無荷重状態から圧縮されると、第1折返し片132aと第2折返し片132bとのなす角が小さくなりつつ、第1フレーム部110及び第2フレーム部120に対して中間フレーム部140が周方向に相対回転する。
【0074】
なお、
図21及び
図22に示される例では、包囲部材104は、中間フレーム部140を挟んで各折返し片132a,132bが厚み方向に積層された2層構造を有しているが、包囲部材104は、複数の中間フレーム部140を含むとともに、3つ以上の折返し片が厚み方向に積層された複数積層構造を有していてもよい。
【0075】
包囲部材104の複数のフレーム部を連結する各連結部130の太さや、互いに隣接する連結部103間の空隙や、圧縮されたときの各連結部130の倒れ方向等の調整により、包囲部材104の圧縮剛性または引張剛性を調整することが可能となる。
【0076】
(第9変形例)
包囲部材104は、上記実施形態における包囲部材104と、第6変形例から第8変形例における各包囲部材104と、の中から選択された少なくとも2つの包囲部材が厚み方向に積層された構造を有していてもよい。例えば、
図23に示される包囲部材104は、第6変形例における包囲部材104上に上記実施形態における包囲部材104が積層された構造を有している。
図24に示される包囲部材104は、第6変形例における包囲部材104上に第7変形例における包囲部材104が積層された構造を有している。
【0077】
以上のように、互いに積層される包囲部材の構造を選択することにより、圧縮剛性の調整(例えば、接地の初期における圧縮剛性を低くすること)が可能となる。加えて、せん断剛性の調整も可能となる。
【0078】
上述した例示的な実施形態は、以下に記載される態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0079】
[態様1]
ソール本体と、
弾性体からなり、前記ソール本体に隣接するように配置された弾性部と、
前記弾性部を形成する材料よりも高い弾性率を有する材料からなり、前記弾性部の周囲を包囲する包囲部材と、
前記弾性部をその厚み方向に押さえ付けた状態で前記包囲部材に固定された押さえ部材と、を備え、
前記ソール本体の厚み方向における前記包囲部材の引張剛性は、前記厚み方向における前記弾性部の圧縮剛性よりも大きく、かつ、前記厚み方向における前記包囲部材の圧縮剛性よりも大きく、
前記押さえ部材による押付け力を含む圧縮荷重が前記弾性部に作用していない非圧縮状態における前記弾性部の厚みである非圧縮厚みは、前記厚み方向における荷重が前記包囲部材に作用していない初期状態における前記包囲部材の厚みである初期厚みよりも大きく、
前記弾性部の上面と前記包囲部材の上面とが面一となるように前記弾性部が前記押さえ部材による前記押付け力を受けかつ前記包囲部材が前記押さえ部材から引張り荷重を受けた状態であって着用者からの荷重が前記弾性部及び前記包囲部材に作用していない無荷重状態における前記弾性部及び前記包囲部材の厚みである基準厚みは、前記弾性部の前記非圧縮厚みよりも小さく、前記包囲部材の前記初期厚みよりも大きい、ソール。
【0080】
このソールでは、接地時における衝撃がソール本体により有効に吸収されるとともに、非圧縮状態から無荷重状態まで圧縮された状態の弾性部が配置されているため、蹴り出し時におけるソールの過度な圧縮(沈み込み)が抑制される。
【0081】
さらに、弾性部の圧縮剛性よりも大きな引張り剛性を有する包囲部材が弾性部を包囲しているため、ソール本体のうち弾性部に隣接する部位が弾性部の復帰力(弾性部が無荷重状態から非圧縮状体に戻ろうとする力)によって引っ張られることが抑制される。
【0082】
加えて、包囲部材の圧縮剛性は当該包囲部材の引張り剛性よりも小さいため、接地時ないし蹴り出し時において着用者が包囲部材から受ける反力が有効に低減される。
【0083】
[態様2]
前記包囲部材は、
枠状に形成された第1フレーム部と、
枠状に形成されており、前記第1フレーム部の下方に配置された第2フレーム部と、
前記第1フレーム部と前記第2フレーム部とを連結する複数の連結部と、を有し、
前記複数の連結部のうちの少なくとも2つの連結部と前記第1フレーム部との第1接続部は、前記第1フレーム部の周方向に間隔を置いて配置されており、
前記複数の連結部のうちの少なくとも2つの連結部と前記第2フレーム部との第2接続部は、前記第2フレーム部の周方向に間隔を置いて配置されている、態様1に記載のソール。
【0084】
[態様3]
前記複数の連結部の各々は、前記第1フレーム部と前記第2フレーム部との間に形成された少なくとも1つの折返し部を有し、
前記少なくとも1つの折返し部は、
前記周方向における一方側に向かうにしたがって次第に下方に向かうように延びる形状を有する第1折返し片と、
前記第1折返し片の下端部から前記周方向における他方側に向かうにしたがって次第に下方に向かうように延びる形状を有する第2折返し片と、を有し、
前記第1折返し片と前記第2折返し片とのなす角は、前記包囲部材が圧縮されるにしたがって次第に小さくなる、態様3に記載のソール。
【0085】
この態様では、包囲部材の圧縮剛性を低くすることが可能となる。
[態様4]
前記周方向に互いに隣接する折返し部同士は、互いに接合されている、態様3に記載のソール。
【0086】
この態様では、厚み方向における包囲部材の変形が安定する。
【0087】
[態様5]
前記複数の連結部の各々は、屈曲部を含む、態様2から4のいずれかに記載のソール。
【0088】
この態様では、包囲部材の圧縮剛性をより低くすることが可能となる。
【0089】
[態様6]
前記複数の連結部は、前記第1フレーム部の投影面内で圧縮されるように構成されている、態様2から5のいずれかに記載のソール。
【0090】
この態様では、弾性部及び包囲部材の圧縮変形時に弾性部及び包囲部材が互いに接触することが抑制される。
【0091】
[態様7]
前記無荷重状態における前記弾性部と、前記無荷重状態における前記第1フレーム部及び前記複数の連結部と、の間には、隙間が形成されている、態様2から6のいずれかに記載のソール。
【0092】
この態様では、弾性部及び包囲部材の圧縮変形時に弾性部が第1フレーム部及び各連結部に接触することが抑制される。
【0093】
[態様8]
前記非圧縮状態における前記弾性部の上面は、前記ソール本体の上面よりも上方に突出しており、
前記押さえ部材は、前記弾性部を前記無荷重状態に押し付けた状態で前記ソール本体の上面及び前記第1フレーム部に固定されている、態様2から7のいずれかに記載のソール。
【0094】
この態様では、弾性部が有効に無荷重状態に維持されるとともに、ソール本体に対する弾性部及び包囲部材の位置ズレが有効に抑制される。
【0095】
[態様9]
前記第1フレーム部は、前記厚み方向と直交する直交方向における各前記連結部の外縁部よりも前記直交方向における外側に張り出す形状を有する、態様8に記載のソール。
【0096】
この態様では、第1フレーム部と押さえ部材との接触面積が大きく確保されるため、上記効果がより確実に得られる。
【0097】
[態様10]
前記包囲部材は、前記第2フレーム部に接続されており前記弾性部を支持する底壁をさらに有する、態様2から9のいずれかに記載のソール。
【0098】
この態様では、弾性部がより確実に無荷重状態に維持される。
【0099】
[態様11]
前記ソール本体は、前記弾性部及び前記包囲部材を収容する収容部をさらに備える、態様1から10に記載のソール。
【0100】
[態様12]
前記ソール本体は、
下ミッドソールと、
前記下ミッドソール上に配置された上ミッドソールと、を含み、
前記押さえ部材は、前記上ミッドソールと前記下ミッドソールとの間に配置されており、
前記弾性部及び前記包囲部材は、前記押さえ部材の下方に配置されている、態様1から11に記載のソール。
【0101】
この態様では、接地時に上ミッドソールにより衝撃が低減され、蹴り出し時に弾性部により過度な沈み込みが抑制される。
【0102】
[態様13]
態様1から12のいずれかに記載のソールと、
前記ソールに接続されており、前記ソールとともに前記着用者の足の収容空間を形成するアッパーと、を備えるシューズ。
【0103】
なお、今回開示された実施形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0104】
1 シューズ、10 ソール、20 アッパー、100 ミッドソール、101 ソール本体、101a 収容部、101A 下ミッドソール、101B 上ミッドソール、102 構造体、103 弾性部、103S 表面、104 包囲部材、104S 表面、110 第1フレーム部、115 第1接続部、120 第2フレーム部、125 第2接続部、130 連結部、132 折返し部、132a 第1折返し片、132b 第2折返し片、134 屈曲部、140 中間フレーム部、150 底壁、200 アウトソール、300 押さえ部材、C 隙間、T10 非圧縮厚み、T11 初期厚み、T20 基準厚み。