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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063415
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】生海苔の異物分離装置
(51)【国際特許分類】
   A23L 17/60 20160101AFI20240502BHJP
【FI】
A23L17/60 103C
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171345
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000218384
【氏名又は名称】渡邊機開工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108947
【弁理士】
【氏名又は名称】涌井 謙一
(74)【代理人】
【識別番号】100117086
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典弘
(74)【代理人】
【識別番号】100124383
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一永
(74)【代理人】
【識別番号】100173392
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 貴宏
(74)【代理人】
【識別番号】100189290
【弁理士】
【氏名又は名称】三井 直人
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 功
【テーマコード(参考)】
4B019
【Fターム(参考)】
4B019LE05
4B019LP17
4B019LP19
4B019LT04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】生海苔混合液に混入している細長い糸状の異物を分離、除去することを可能にする生海苔の異物分離装置を提供する。
【解決手段】生海苔と水との混合液である生海苔混合液が投入され、異物分離槽底面2eに円形の開口を有する異物分離槽2と、開口の内周縁との間に環状のクリアランス4を形成して開口内に配備されている回転円板5と、を備え、回転円板が回転することで異物分離槽内で流動している生海苔混合液をクリアランスを介して異物分離槽より下側に向けて吸引し、クリアランスを通過できない異物を分離する生海苔の異物分離装置である。異物を、異物分離槽内で生海苔混合液が流動している間にからめとる異物除去具10、15が異物分離槽底面から上方向に向けて突設されている又は、回転円板から上方向に向けて突設されている又は、異物分離槽底面から上方向に向けて突設されていると共に、回転円板から上方向に向けて突設されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異物分離処理が施される生海苔と水との混合液である生海苔混合液が投入され、鉛直方向における下側である異物分離槽底面に円形の開口を有する異物分離槽と、
前記開口の内周縁との間に平面視で環状のクリアランスを形成して前記開口内に回転可能に配備されている回転円板と、
を備えていて、
前記回転円板が前記開口内で回転することで前記異物分離槽内で流動している前記生海苔混合液を前記クリアランスを介して前記異物分離槽より下側に向けて吸引し、前記クリアランスを通過できない異物を分離する生海苔の異物分離装置であって、
前記生海苔混合液に混入している細長い糸状の異物を、前記異物分離槽内で前記生海苔混合液が流動している間にからめとる異物除去具が
前記異物分離槽底面から上方向に向けて突設されている又は、
前記回転円板から上方向に向けて突設されている又は、
前記異物分離槽底面から上方向に向けて突設されていると共に、前記回転円板から上方向に向けて突設されている
生海苔の異物分離装置。
【請求項2】
前記異物除去具が突設されている前記異物分離槽底面は、上面が平坦で前記異物分離槽底面の一部を形成して前記開口を囲むリング状部材からなり、前記クリアランスは、前記開口の前記内周縁を形成する前記リング状部材の内周縁と、前記回転円板の外周縁との間に形成されている請求項1記載の生海苔の異物分離装置。
【請求項3】
前記クリアランスの前記回転円板の半径方向における大きさが0.7mm~1.0mmである請求項1又は2記載の生海苔の異物分離装置。
【請求項4】
前記異物除去具は、前記異物分離槽底面及び/又は前記回転円板から上方向に向けて突出する小径の柱状部からなる請求項1又は2記載の生海苔の異物分離装置。
【請求項5】
前記柱状部の径より径が大きい上端部が前記柱状部の上に形成されている請求項4記載の生海苔の異物分離装置。
【請求項6】
前記上端部と前記異物分離槽底面との間の間隔及び/又は前記上端部と前記回転円板との間の間隔が0.3mm~5.0mmである請求項5記載の生海苔の異物分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、異物分離処理が施される生海苔(海苔の原藻)と水(海水)との混合液である生海苔混合液が投入され、鉛直方向における下側である異物分離槽底面に円形の開口を有する異物分離槽と、前記開口の内周縁との間に平面視で環状のクリアランスを形成して前記開口内に回転可能に配備されている回転円板とを備えていて、前記回転円板が前記開口内で回転することで前記異物分離槽内で流動している前記生海苔混合液を前記クリアランスを介して前記異物分離槽より下側に向けて吸引し、前記クリアランスを通過できない異物を分離する生海苔の異物分離装置に関する。
【0002】
特に、前記生海苔混合液に混入している細長い糸状の異物を、前記異物分離槽内で前記生海苔混合液が流動している間に、前記生海苔混合液から分離、除去することを可能にする生海苔の異物分離装置に関する。
【背景技術】
【0003】
異物分離処理が施される生海苔(海苔の原藻)と水(海水)との混合液である生海苔混合液が投入され、鉛直方向における下側である異物分離槽底面に円形の開口を有する異物分離槽と、前記開口の内周縁との間に平面視で環状のクリアランスを形成して前記開口内に回転可能に配備されている回転円板とを備えていて、前記回転円板が前記開口内で回転することで前記異物分離槽内で流動している前記生海苔混合液を前記クリアランスを介して前記異物分離槽より下側に向けて吸引し、前記クリアランスを通過できない異物を分離する生海苔の異物分離装置に関しては従来から種々の提案が行われている。本願出願人もいくつかの提案を行っている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-306832号公報
【特許文献2】特開2016-168037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した生海苔混合液に混入している異物の中には、海苔養殖場の海苔養殖網などに使用されていたロープ、綱、網などが切断されたり、ほぐれたりすることで発生している細長い糸状の異物が含まれていることがある。
【0006】
そこで、この発明は、生海苔混合液に混入している細長い糸状の異物を、異物分離槽内で生海苔混合液が流動している間に、生海苔混合液から分離、除去することを可能にする生海苔の異物分離装置を提供することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下のように例示することができる。
〔1〕
異物分離処理が施される生海苔と水との混合液である生海苔混合液が投入され、鉛直方向における下側である異物分離槽底面に円形の開口を有する異物分離槽と、
前記開口の内周縁との間に平面視で環状のクリアランスを形成して前記開口内に回転可能に配備されている回転円板と、
を備えていて、
前記回転円板が前記開口内で回転することで前記異物分離槽内で流動している前記生海苔混合液を前記クリアランスを介して前記異物分離槽より下側に向けて吸引し、前記クリアランスを通過できない異物を分離する生海苔の異物分離装置であって、
前記生海苔混合液に混入している細長い糸状の異物を、前記異物分離槽内で前記生海苔混合液が流動している間にからめとる異物除去具が
前記異物分離槽底面から上方向に向けて突設されている又は、
前記回転円板から上方向に向けて突設されている又は、
前記異物分離槽底面から上方向に向けて突設されていると共に、前記回転円板から上方向に向けて突設されている
生海苔の異物分離装置。
【0008】
〔2〕
前記異物除去具が突設されている前記異物分離槽底面は、上面が平坦で前記異物分離槽底面の一部を形成して前記開口を囲むリング状部材からなり、前記クリアランスは、前記開口の前記内周縁を形成する前記リング状部材の内周縁と、前記回転円板の外周縁との間に形成されている〔1〕の生海苔の異物分離装置。
【0009】
〔3〕
前記クリアランスの前記回転円板の半径方向における大きさが0.7mm~1.0mmである[1]又は[2]の生海苔の異物分離装置。
【0010】
〔4〕
前記異物除去具は、前記異物分離槽底面及び/又は前記回転円板から上方向に向けて突出する小径の柱状部からなる〔1〕又は[2]の生海苔の異物分離装置。
【0011】
〔5〕
前記柱状部の径より径が大きい上端部が前記柱状部の上に形成されている〔4〕の生海苔の異物分離装置。
【0012】
〔6〕
前記上端部と前記異物分離槽底面との間の間隔及び/又は前記上端部と前記回転円板との間の間隔が0.3mm~5.0mmである[5]の生海苔の異物分離装置。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、前記生海苔混合液に混入している細長い糸状の異物を、前記異物分離槽内で前記生海苔混合液が流動している間に、前記生海苔混合液から分離、除去することを可能にする生海苔の異物分離装置を提供することができる。
【0014】
また、異物分離処理が施される生海苔(海苔の原藻)と水(海水)との混合液である生海苔混合液が投入され、鉛直方向における下側である異物分離槽底面に円形の開口を有する異物分離槽と、前記開口の内周縁との間に平面視で環状のクリアランスを形成して前記開口内に回転可能に配備されている回転円板とを備えていて、前記回転円板が前記開口内で回転することで前記異物分離槽内で流動している前記生海苔混合液を前記クリアランスを介して前記異物分離槽より下側に向けて吸引し、前記クリアランスを通過できない異物を分離する生海苔の異物分離装置であって、前記クリアランスの前記回転円板半径方向における大きさが0.70mm~1.00mm程度である生海苔の異物分離装置を用いて、比較的サイズの大きい異物を前記生海苔混合液から分離する場合であっても、前記クリアランスを介しての吸引を行った異物分離処理後の生海苔混合液に、海苔養殖場の海苔養殖網などに使用されていたロープ、綱、網などが切断されたり、ほぐれたりすることで発生している細長い糸状の異物が混入してしまうことを未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る生海苔の異物分離装置の全体構成を説明する一部を省略した断面図。
図2】(a)、(b)は、本発明の一実施形態に係る生海苔の異物分離装置における異物分離槽を平面視したときの一例を表す図。
図3】(a)、(b)は、本発明の一実施形態に係る生海苔の異物分離装置における異物分離槽を平面視したときの他の例を表す図。
図4】本発明の一実施形態に係る生海苔の異物分離装置において、回転円板から異物除去具が上方向に向けて突設されている実施形態の一例を説明する一部を省略した断面図。
図5】(a)、(b)は、本発明の一実施形態に係る生海苔の異物分離装置における異物除去具の一例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付図面を参照して本発明の実施形態を以下に説明するが、本発明は後述する実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々に変更可能である。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る生海苔の異物分離装置の全体構成を説明する一部を省略した断面図である。
【0018】
生海苔の異物分離装置1は、異物分離槽2と、回転円板5とを備えている。以下、「生海苔の異物分離装置1」を単に「異物分離装置1」と表すことがある。
【0019】
異物分離槽2は、図示の実施形態では、側壁2a、2b、2c、2dと、鉛直方向における下側に配備される異物分離槽底面2eとを備えている(図1図2図3)。異物分離槽底面2e、側壁2a、2b、2c、2dからなる異物分離槽2内に、生海苔混合液移送管20を介して移送されてきた生海苔(海苔の原藻)と水(例えば、海水)との混合液である生海苔混合液が矢印30で示すように投入され、異物分離槽2において生海苔混合液に対して異物分離処理が施される。
【0020】
異物分離槽底面2eは、図1図2図3図示の実施形態では、その中央に円形の開口を備えている。図1図示の実施形態では、上面が平坦で異物分離槽底面2eの一部を形成しているリング状部材3によって前記開口が画定され、図2図3図示のように、異物分離槽底面2eの中央に配備されている円形の開口は、リング状部材3の内側に形成されている。
【0021】
この開口の中には、図1図4図示のように、回転円板5が回転可能に配備されている。異物分離槽底面2eに形成されている円形の開口の内周縁と、回転円板5の外周縁との間には、図1図2図3図示のように、平面視で環状のクリアランス4が形成されている。
【0022】
図示の実施形態では、図2図3図示のように、異物分離槽底面2eの中央に配備されている円形の開口は、上面が平坦で異物分離槽底面2eの一部を形成しているリング状部材3の内側に形成されていることから、平面視で環状のクリアランス4は、リング状部材3の内周縁と、回転円板5の外周縁との間に形成されることになる。
【0023】
回転円板5の上面と、異物分離槽底面2eの上面とは、図1図示のように、略同一の高さに位置していて、回転円板5の上面と異物分離槽底面2eの上面との全体で異物分離槽2の水平方向に広がる平坦な底面が形成されるようになる。
【0024】
異物分離槽2の下側には図1図示のように、吸入室7が配備されており、吸入室7には、給送管8aを介して吸引ポンプ9が接続されている。
【0025】
回転円板5が、駆動手段6からの駆動力を受けて、異物分離槽底面2eに形成されている円形の開口の中で、図1に符号31で示すように回転すると、異物分離槽2に収容されている生海苔混合液も、回転円板5の回転に連れて、異物分離槽2内で矢印31で示す方向に流動する。回転円板5はその直径サイズの大きさにもよるが毎分50回~毎分600回転程度の回転速度で回転する。
【0026】
ここで、吸引ポンプ9による吸引が行われると、回転円板5が異物分離槽底面2eに形成されている円形の開口の中で図1に符号31で示すように回転することで異物分離槽2内で矢印31方向に流動している生海苔混合液は、クリアランス4を介して異物分離槽2より下側に向けて吸引される。これによって、図1図示のように、生海苔混合液は、クリアランス4を介して矢印32で示すように吸引室7内に吸引され、更に、矢印33、34で示すように、給送管8a、8bを介して異物分離装置1の外部へ給送されていく。
【0027】
生海苔混合液移送管20を介して移送されてきて矢印30で示すように異物分離槽2に投入されて、上述した異物分離処理を受ける生海苔混合液の中には、海苔養殖場の海苔養殖網などに使用されていたロープ、綱、網などが切断されたり、ほぐれたりすることで発生している細長い糸状の異物が含まれていることがある。
【0028】
この実施形態の異物分離装置1は、生海苔混合液に混入しているこのような細長い糸状の異物を、異物分離槽2内で生海苔混合液が上述したように流動している間にからめとる異物除去具を備えている。
【0029】
図1図示の異物分離装置1は、異物分離槽底面2eの一部を形成しているリング状部材3から上方向に向けて突設されている異物除去具15と、回転円板5から上方向に向けて突設されている異物除去具10とを備えている。
【0030】
上述したように、回転円板5が矢印31で示す方向へ回転し、これに応じて生海苔混合液も矢印31で示す方向へ流動していることから、生海苔混合液に混入している細長い糸状の異物は、リング状部材3から上方向に向けて突設されている異物除去具15や、回転円板5から上方向に向けて突設されている異物除去具10に引っ掛かり、絡めとられて、生海苔混合液から分離除去される。
【0031】
生海苔混合液に含まれている生海苔(海苔の原藻)も異物除去具10、15に引っ掛かり、絡めとられる可能性があるが、生海苔(海苔の原藻)の柔らかさや、その性状の故に、異物除去具10、15によって切断、等され、生海苔混合液に含まれている生海苔(海苔の原藻)が異物除去具10、15に引っ掛かり、絡めとられるよりは、上述した細長い糸状の異物の方が、異物除去具10、15に引っ掛かり、絡めとられるようになる。
【0032】
上述した細長い糸状の異物は、海苔養殖場の海苔養殖網などに使用されていたロープ、綱、網などが切断されたり、ほぐれたりすることで発生しているものなので、異物除去具10、15に引っ掛かった後に切断されて異物除去具10、15から外れることは無く、異物除去具10、15にからめとられるようになるからである。
【0033】
異物除去具10、15はこのような機能を発揮できるものであればよいので、例えば、リング状部材3、回転円板5から上方向に向けて突出している、小径の柱状部を異物除去具10、15として採用することができる。小径の柱状部としては、例えば、小径の針金状の部材や、小径の棒状の部材を例示できる。
【0034】
上述したように細長い糸状の異物を引っ掛け、絡めとるものであることから、小径の柱状部の径は1.0mm~10mm程度にすることができる。また、小径の柱状部が、リング状部材3や、回転円板5から上方向に向けて突出している長さ、高さは、上述したように、細長い糸状の異物が小径の柱状部に引っ掛かり、なおかつ、柱状部に引っ掛かった細長い糸状の異物が、柱状部の上端から抜け落ちてしまうことを防止するという観点から、例えば、0.3mm~10mm程度、好ましくは、0.5mm~7mm程度にすることができる。
【0035】
図1図示の実施形態は、異物分離槽底面2eの一部を形成しているリング状部材3から上方向に向けて突設されている異物除去具15と、回転円板5から上方向に向けて突設されている異物除去具10とを備えている異物分離装置1を表すものである。
【0036】
上述したように、回転円板5が矢印31で示す方向へ回転し、これに応じて異物分離槽2内に収容されている生海苔混合液が矢印31で示す方向へ流動し、この流動する生海苔混合液がクリアランス4を介して異物分離槽2より下側に向けて矢印32(図1)で示すように吸引されるという流動状況の下で、生海苔混合液に混入している細長い糸状の異物が、異物除去具15、異物除去具10に引っ掛かり、絡めとられるものである。そこで、異物分離槽2に異物除去具が配備される位置は図1図示の形態に限られない。
【0037】
図2は回転円板5のみに異物除去具が配備されている実施形態を表すものである。図2(a)では、回転円板5の上面5aから上方向に向けて突設されている異物除去具10a、10bが直径対称的に2個配備されている。図2(b)では、回転円板5の上面5aから上方向に向けて突設されている異物除去具10a、10b、10c、10dが直径対称的に4個配備されている。
【0038】
上述したような生海苔混合液の流動状況の下で、生海苔混合液に混入している細長い糸状の異物が、異物除去具に引っ掛かり、絡めとられるものであることから、回転円板5のみに異物除去具が配備されている実施形態であって、図2には図示していないが、回転円板5から上方向に向けて突設されている異物除去具は一個のみであるという実施形態にすることができる。
【0039】
図3(a)は、回転円板5に異物除去具が配備されておらず、異物分離槽底面2eの一部を形成しているリング状部材3にだけ異物除去具が配備されている実施形態を表すものである。リング状部材3の上面3aから上方向に向けて突設されている異物除去具15a、15cが直径対称的に2個配備されている。
【0040】
上述したような生海苔混合液の流動状況の下で、生海苔混合液に混入している細長い糸状の異物が、異物除去具に引っ掛かり、絡めとられるものであることから、異物分離槽底面2eの一部を形成しているリング状部材3にだけ異物除去具が配備されている実施形態であって、図3には図示していないが、リング状部材3から上方向に向けて突設されている異物除去具は一個のみであるという実施形態にすることができる。
【0041】
また、図示していないが、リング状部材3の半径方向で外側になる異物分離槽底面2eに、異物分離槽底面2eから上方向に向けて突設されている異物除去具が一個または複数個配備されているという実施形態にすることもできる。
【0042】
図3(b)は、回転円板5、異物分離槽底面2eの一部を形成しているリング状部材3の双方に異物除去具が配備されている実施形態の一例を表すものである。図3(b)では、回転円板5に回転円板5から上方向に向けて突設されている異物除去具10c、10dが直径対称的に2個配備され、異物分離槽底面2eの一部を形成しているリング状部材3から上方向に向けて突設されている異物除去具15b、15dが直径対称的に2個配備されている。
【0043】
回転円板5、リング状部材3に配備されている異物除去具を一個ずつとしたり、リング状部材3に異物除去具が配備されているのではなく、リング状部材3の半径方向で外側になる異物分離槽底面2eに、異物分離槽底面2eから上方向に向けて突設されている異物除去具が一個または複数個配備されているという実施形態にすることもできる。
【0044】
図4図5は、小径の柱状部からなる異物除去具10、15の実施形態の一例を表すものである。図4図示の実施形態では、図5に例示しているように、リング状部材3、回転円板5から上方向に向けて突出している小径の柱状部12と、この柱状部12の上に、柱状部12の径より径が大きい上端部11が形成されているものを異物除去具10としている。
【0045】
図4図5図示の実施形態では、小径の柱状部12の上に、柱状部12の径より径が大きい上端部11が形成されていることから、柱状部12に引っ掛かった細長い糸状の異物が、柱状部12の上端から抜け落ちてしまうことを防止できるので有利である。
【0046】
図4図5図示のような形態の異物除去具10は、例えば、小径の柱状部12から下方向に向かって連続して伸びる部分を螺子部13とし、螺子部13の外周に形成されている螺条14を介して、リング状部材3、回転円板5に形成されている穿孔に取り付ける形態にすることができる。
【0047】
図4図5図示のような形態の異物除去具10の場合、異物除去具10の上端部11と回転円板5の上面(あるいは、リング状部材3の上面)との間の間隔L(図5)、すなわち、柱状部12の径より径が大きい上端部11と異物分離槽底面2eとの間の間隔、上端部11と回転円板5との間の間隔は、上述したように、細長い糸状の異物が柱状部12に引っ掛かり、なおかつ、柱状部12に引っ掛かった細長い糸状の異物が、柱状部12の上端から抜け落ちてしまうことを防止するという観点から、例えば、0.3mm~5.0mm程度の大きさに設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
上述した実施形態で説明した本発明による生海苔の異物分離装置1は、海苔養殖場の海苔養殖網から刈り取り、採取したものに対して粗切り処理などを施して所定の長さに調整する等した海苔の原藻(生海苔)と水(海水)とが混合している生海苔混合液に対して異物分離処理を施し、生海苔混合液に含まれている異物(例えば、藁屑などのゴミ、アミ、エビ虫、合成樹脂片、甲殻類の破片など)を上述したクリアランス4によって生海苔混合液から分離、除去することを主目的として使用されるのが一般的である。
【0049】
このため、回転円板5の半径方向における上述したクリアランス4の大きさを0.10mm~0.20mm程度の微小な隙間とし、これによって生海苔混合液に混入している上述の微小な異物を分離、除去している。
【0050】
ところで、上述した実施形態で説明した本発明による生海苔の異物分離装置1を用いた生海苔の異物分離処理においては、より大きなサイズの異物を生海苔混合液から分離、除去することを主目的とすることがある。より大きなサイズの異物を生海苔混合液から分離、除去することから大粗ゴミ取り処理、大粗異物分離処理、等と呼ばれることがある異物分離処理である。
【0051】
このような大粗異物分離処理の場合、回転円板5の半径方向における上述したクリアランス4の大きさは0.70mm~1.00mm程度の広さになる。
【0052】
海苔養殖場の海苔養殖網などに使用されていたロープ、綱、網などが切断されたり、ほぐれたりすることで発生している上述した細長い糸状の異物は、上述した0.70mm~1.00mm程度の広さのクリアランス4であると通過してしまう。
【0053】
このため、回転円板5の半径方向におけるクリアランス4の大きさを0.70mm~1.00mm程度にして大粗ゴミ取り処理、大粗異物分離処理、等の異物分離処理を行った後の生海苔混合液には、上述した細長い糸状の異物が残存してしまうことがある。
【0054】
クリアランス4を介しての吸引を行った異物分離処理後の生海苔混合液は、上述した大粗ゴミ取り処理、大粗異物分離処理を行った後のものであっても、引き続いて、所定の処理工程を経て、市場に提供される商品(製品)に調製されることがある。この時に、上述したように細長い糸状の異物が残存していると、商品(製品)の中に細長い糸状の異物が混入することになり、著しく商品価値を低下させる原因になってしまう。
【0055】
本発明に係る上述した実施形態の異物分離装置1は、回転円板5の半径方向におけるクリアランス4の大きさを0.70mm~1.00mm程度にして大粗ゴミ取り処理、大粗異物分離処理、等の異物分離処理を行うときに、異物分離処理を行った後の生海苔混合液に上述した細長い糸状の異物が残存しないようにする上で効果的である。
図1
図2
図3
図4
図5