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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063418
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】集合梱包用トレイ
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/495 20060101AFI20240502BHJP
【FI】
B65D5/495
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171350
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】505362942
【氏名又は名称】東海紙器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166796
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 雅至
(72)【発明者】
【氏名】竹下 尚貴
(72)【発明者】
【氏名】山下 謙二
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060BC02
3E060CC14
3E060CC17
3E060CC34
3E060CC43
3E060CC45
3E060CC46
3E060CC53
(57)【要約】
【課題】物品を仕切で区画して運搬・保管する集合梱包用トレイを、積上状態での安定性に優れ、荷重による変形が生じにくいものとする。
【解決手段】底部材1と、互いに交差して噛合する梁仕切3及び桁仕切4とを備え、底部材1は、底板11の両側から端仕切12が起立するものとされ、梁仕切3と端仕切12とが平行し、桁仕切4の端部が端仕切12に噛合する集合梱包用トレイにおいて、底部材1の底板11が端仕切12から両側方へ張り出し、底板11と端仕切12とが側支部13を介して連なり、側支部13が底板11から端仕切12へ向かって内側へ傾斜しているものとする。これにより、積み上げた状態での横揺れ時に、底部材1の端仕切12から張り出した底板11と、底板11から端仕切12へ向かって内側へ傾斜した側支部13とで、上段側から下段側へ荷重がバランスよく分散されて伝達される。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板(11)の両側から端仕切(12)が起立する底部材(1)と、互いに交差して噛合する梁仕切(3)及び桁仕切(4)とを備え、前記梁仕切(3)が前記端仕切(12)に平行し、前記桁仕切(4)の端部が前記端仕切(12)に噛合する集合梱包用トレイにおいて、
前記底部材(1)の底板(11)が端仕切(12)から両側方へ張り出し、前記底板(11)と前記端仕切(12)とが側支部(13)を介して連なり、前記側支部(13)が前記底板(11)から前記端仕切(12)へ向かって内側へ傾斜していることを特徴とする集合梱包用トレイ。
【請求項2】
前記底板(11)と前記端仕切(12)の境界は、複数配置された前記側支部(13)の間の部分が切離部(14)とされ、前記端仕切(12)の前記切離部(14)に臨む部分に、前記底板(11)に当接する脚部(15)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の集合梱包用トレイ。
【請求項3】
前記底板(11)には、折り曲げにより水平方向のリブ(21)を形成した受部材(2)が載置され、前記受部材(2)は、前記リブ(21)が前記端仕切(12)及び前記梁仕切(3)に平行する方向へ向けられ、前記リブ(21)と前記桁仕切(4)とが交差して噛合することを特徴とする請求項1又は2に記載の集合梱包用トレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、工業製品等の物品を区画して運搬・保管するための集合梱包用トレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、箱の内部に設置する組仕切り体が記載されている。この組仕切り体は、互いに交差して噛合する仕切と、その周囲を取り囲む外枠とから成り、仕切の端部が外枠に固定されたものとなっているが、仕切で区画された収納空間に物品を収納した梱包状態での積上強度は、箱に依存することから、特に考慮されていない。
【0003】
また、集合梱包用トレイとして、図9に示すように、底部材51と、互いに交差して噛合する梁仕切52及び桁仕切53とを備えた段ボール製のものが使用されている。
【0004】
この集合梱包用トレイの底部材51は、底板54の両側から端仕切55が直角に起立するものとされ、梁仕切52が端仕切55に平行する方向へ延びており、桁仕切53の端部が端仕切55に交差して噛合している。そして、両端に位置する梁仕切52に端仕切55が下端から上端にかけて全面的に重なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】登録実用新案第3171196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような集合梱包用トレイでは、重い機械部品等を収納して複数段積み上げた状態で、運搬時の横揺れ等に伴い上下段の位置ずれが生じると、上段側から下段側へ荷重が偏って作用し、端部に位置する端仕切55やこれに重なる梁仕切52及びその近接部分が潰れるように変形する恐れがある。
【0007】
そこで、この発明は、積上状態での安定性に優れ、荷重による変形が生じにくい集合梱包用トレイを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような課題を解決するため、この発明は、底板の両側から端仕切が起立する底部材と、互いに交差して噛合する梁仕切及び桁仕切とを備え、前記梁仕切が前記端仕切に平行し、前記桁仕切の端部が前記端仕切に噛合する集合梱包用トレイにおいて、
前記底部材の底板が端仕切から両側方へ張り出し、前記底板と前記端仕切とが側支部を介して連なり、前記側支部が前記底板から前記端仕切へ向かって内側へ傾斜しているものとしたのである。
【0009】
また、前記底板と前記端仕切の境界は、複数配置された前記側支部の間の部分が切離部とされ、前記端仕切の前記切離部に臨む部分に、前記底板に当接する脚部が形成されているものとしたのである。
【0010】
また、前記底板には、折り曲げにより水平方向のリブを形成した受部材が載置され、前記受部材は、前記リブが前記端仕切及び前記梁仕切に平行する方向へ向けられ、前記リブと前記桁仕切とが交差して噛合するものとしたのである。
【発明の効果】
【0011】
この発明に係る集合梱包用トレイでは、積上状態での横揺れ時に、底部材の端仕切から張り出した底板と、底板から端仕切へ向かって内側へ傾斜した側支部とで、上段側から下段側へ荷重がバランスよく分散されて伝達されるので、端部に位置する部分の変形が抑制され、積上状態の安定性が損なわれることがない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明の実施形態に係る集合梱包用トレイを示す斜視図
図2】同上の構成部材を示す分解斜視図
図3】同上の床部材のブランクを示す図
図4】同上の受部材のブランクを示す図
図5】同上の梁仕切のブランクを示す図
図6】同上の桁仕切のブランクを示す図
図7】同上の積上状態を示す斜視図
図8】同上の積上状態の端部を示す拡大斜視図
図9】従来の集合梱包用トレイを示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
<概要>
図1及び図2に示すように、この集合梱包用トレイは、底部材1、受部材2、梁仕切3及び桁仕切4を組み合わせて構成される段ボール製のものである。段ボールは、波状の段構造の中しんにライナーが積層されたものであり、中しんの段頂が延びる段目方向の強度が他の方向の強度よりも大きくなっている。
【0014】
<ブランク>
(底部材)
図3にブランクで示す底部材1は、Aフルートの段ボールから成り、段目方向に延びる長方形の底板11の両側の短辺に端仕切12が連設され、底板11と両側の端仕切12の間にそれぞれ複数の側支部13が介在するものとされている。底板11と側支部13の境界には、押罫と切目から成る折目線aが入れられ、両端の側支部13と端仕切12の境界には、押罫と切目から成る折目線bが入れられている。
【0015】
底板11と端仕切12の境界は、側支部13の間の部分が切離部14とされ、端仕切12の切離部14に臨む部分に脚部15が形成されている。
【0016】
底板11の両端の端仕切12には、それぞれ先端縁から噛合用の切溝16が5本入れられている。底板11には、切離部14に連通して、中間の3本の切溝16に対応する位置に積ずれ防止用の切溝17が入れられている。
【0017】
(受部材)
図4にブランクで示す受部材2は、5枚用意され、Aフルートの段ボールから成り、底部材1の底板11の短辺に対応した長さの一対のリブ21となる部分が連結部22を介して連なり、リブ21と連結部22の境界に押罫から成る折目線cが入れられている。段目方向は、リブ21と連結部22の連結方向へ延びるものとなっている。
【0018】
リブ21となる部分には、それぞれ両端間にわたって押罫と切目から成る2本の折目線dが平行に入れられ、2本の折目線dに交差して、底部材1の切溝16に対応する5本の噛合用の切溝23が入れられている。また、梱包対象の物品を嵌め込むための嵌合穴24と、嵌合穴24を拡大して物品に沿う押込片25とが設けられている。
【0019】
(梁仕切)
図5に示す梁仕切3は、2種類存在し、ABフルートの段ボールから成る梁仕切3aが4枚用意され、Aフルートの段ボールから成る梁仕切3bが2枚用意されている。
【0020】
梁仕切3a,3bは、同一の寸法であり、それぞれ底部材1における底板11の短辺に対応した横長の帯板とされ、底部材1の切溝16に対応して、上端となる横方向の辺から噛合用の切溝31が5本入れられたものとなっている。梁仕切3a,3bの段目方向は、縦方向に向けられている。
【0021】
(桁仕切)
図6に示す桁仕切4もまた、2種類存在し、ABフルートの段ボールから成る桁仕切4aが3枚用意され、Aフルートの段ボールから成る桁仕切4bが2枚用意されている。
【0022】
桁仕切4a,4bは、それぞれ底部材1の底板11の長辺に対応した長さであり、桁仕切4aは、単一の横長の帯板とされ、桁仕切4bは、一対の横長の帯板が厚さ方向の途中まで切り込まれた折目線eを介して連なるものとされている。桁仕切4a,4bの段目方向は、縦方向に向けられている。
【0023】
桁仕切4aには、下端となる横方向の辺から梁仕切3に対応して噛合用の切溝41が6本入れられると共に、受部材2の切溝23に対応して、切溝41の間にそれぞれ噛合用の短い切溝42が2本ずつ入れられている。また、上端となる横方向の辺の両端部に、積ずれ防止用の突起43が設けられている。
【0024】
桁仕切4bには、折目線eに沿った折重状態で下端となる横方向の辺から、桁仕切4aと同様に切溝41,42が入れられている。
【0025】
桁仕切4a,4bの切溝41は、梁仕切3の切溝31に加えて、受部材2の切溝23にも噛合するものであり、受部材2の切溝23に噛合する部分の幅が、梁仕切3の切溝31にのみ噛合する部分の幅よりも広くなっている。
【0026】
<ブランクからの組立>
集合梱包用トレイを組み立てるには、図2に示すように、底部材1のブランクを、折目線aに沿って表面が凸となる方向へ山折りし、折目線bに沿って表面が凹となる方向へ谷折りすることにより、底板11が端仕切12から両側方へ張り出し、底板11に対し端仕切12が起立すると共に、側支部13が底板11から端仕切12へ向かって内側へ傾斜した状態とする。このとき、端仕切12の脚部15が底板11に当接する。
【0027】
また、受部材2の5枚のブランクを、それぞれ折目線cに沿って谷折りすると共に、折目線dに沿って山折りし、下面が開放された2本のリブ21が連結部22を介して繋がった形状に組み立てる。
【0028】
また、梁仕切3と桁仕切4とを切溝31,41の相互の差し込みにより格子状に噛み合わせる。このとき、梁仕切3は、梁仕切3bを最も外側として、梁仕切3a,3bを平行に配列し、桁仕切4は、折目線eに沿って二つ折りにした桁仕切4bを最も外側として、桁仕切4a,4bを平行に配列する。
【0029】
さらに、受部材2をリブ21が平行するように配列し、隣り合う受部材2のリブ21の間に梁仕切3aが挟まり、リブ21と桁仕切4とが交差するようにして、切溝23,42の相互の差し込みにより、受部材2と桁仕切4とを噛み合わせる。
【0030】
そして、底部材1の端仕切12と梁仕切3とが平行となるように、底板11の上面に受部材2を載置し、端仕切12の内面に梁仕切3bを沿わせ、端仕切12の切溝16と桁仕切4の最も端部寄りの切溝41とを相互に差し込んで、桁仕切4の端部を端仕切12に噛合させる。これにより、図1に示すように、底部材1、受部材2、梁仕切3及び桁仕切4が一体化し、集合梱包用トレイが完成する。
【0031】
<積上状態での効果>
上記のような集合梱包用トレイは、梁仕切3と桁仕切4とで区画された収納空間に機械部品等の物品を収納し、図7及び図8に示すように、複数段向きを揃えて積み上げると、格子状に交差した梁仕切3と桁仕切4とが積上荷重を受け、端仕切12の脚部15が底板11に当接して、大きな積上荷重に耐えることができる。
【0032】
また、下段側の桁仕切4の突起43が上段側の底部材1の切溝17に係合して、上下段の積みずれが防止される。
【0033】
また、梁仕切3と桁仕切4は、中間に並ぶ梁仕切3a及び桁仕切4aにABフルートの複両面段ボールを使用し、外側となる梁仕切3bを端仕切12に重ね、桁仕切4bを折目線eに沿って二つ折りにしているので、格子状の構造の耐圧強度が均等化される。
【0034】
そして、このような積上状態での横揺れ時に、底部材1の端仕切12から張り出した底板11と、底板11から端仕切12へ向かって内側へ傾斜した側支部13とで、上段側から下段側へ荷重がバランスよく分散されて伝達されるので、端部に位置する部分の変形が抑制され、積上状態の安定性が損なわれることがない。
【0035】
<その他>
上記実施形態では、機械部品等の重量物の運搬・保管に使用する集合梱包用トレイについて例示したが、収納する物品が比較的軽いものであれば、受部材2を省略してもよい。また、材料である段ボールの種類を変更してもよい。
【0036】
また、紙製の段ボールを材料とした集合梱包用トレイについて例示したが、収納する対象物品や運搬・保管の環境等に応じて、この発明に係る集合梱包用トレイは、プラスチック製の中空構造を有する段ボールから成るものとしてもよく、中空構造ではない板紙やプラスチックのシート材から成るものとしてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 底部材
2 受部材
3,3a,3b 梁仕切
4,4a,4b 桁仕切
11 底板
12 端仕切
13 側支部
14 切離部
15 脚部
16,17 切溝
21 リブ
22 連結部
23 切溝
24 嵌合穴
25 押込片
31 切溝
41,42 切溝
43 突起
a,b,c,d,e 折目線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9