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特開2024-63419CO2削減を可能にするバイオプラスチック製医療系廃棄物処分容器
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  • 特開-CO2削減を可能にするバイオプラスチック製医療系廃棄物処分容器 図1
  • 特開-CO2削減を可能にするバイオプラスチック製医療系廃棄物処分容器 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063419
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】CO2削減を可能にするバイオプラスチック製医療系廃棄物処分容器
(51)【国際特許分類】
   A61G 12/00 20060101AFI20240502BHJP
【FI】
A61G12/00 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171352
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】522419997
【氏名又は名称】日輝通商株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 新一
【テーマコード(参考)】
4C341
【Fターム(参考)】
4C341LL19
(57)【要約】
【課題】二酸化炭素排出量が少なくでき且つ資源の有効活用ができる医療系廃棄物処分容器を提供すること。
【解決手段】上記課題を解決する本発明の医療系廃棄物処分容器は、一部が開口し、医療系廃棄物を収納する収納部本体と、前記開口を塞ぐ蓋体とを有し、前記収納部及び前記蓋体の少なくとも一方がバイオマス材料を含むバイオマス材料含有樹脂組成物から形成される。収納部本体と蓋体のうちの少なくとも一方をバイオマス材料を含むバイオマス材料含有樹脂組成物から形成することでカーボンニュートラルに近づけることが可能になると共に、資源の有効活用が実現できる。また医療系廃棄物から漏液が発生しうる場合に漏液を外部の漏らし難くでき適正に保持することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一部が開口し、医療系廃棄物を収納する収納部本体と、
前記開口を塞ぐ蓋体と、
を有し、
前記収納部本体及び前記蓋体の少なくとも一方がバイオマス材料を含むバイオマス材料含有樹脂組成物から形成される医療系廃棄物処分容器。
【請求項2】
前記バイオマス材料含有樹脂組成物は、廃プラスチックを含む請求項1に記載の医療系廃棄物処分容器。
【請求項3】
前記バイオマス材料は、前記バイオマス材料含有樹脂組成物全体の質量を基準として10質量%以上含有する請求項1又は2に記載の医療系廃棄物処分容器。
【請求項4】
前記バイオマス材料含有樹脂組成物はポリプロピレンを含有する請求項1又は2に記載の医療系廃棄物処分容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CO削減を可能にするバイオプラスチックを材料中に含有する医療系廃棄物処分容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の医療系廃棄物処分容器は、プラスチックなどから形成され、内部の収納空間に医療系廃棄物を収納した後にそのまま焼却などにより処分が行われている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実登3201699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで近年の環境意識の高まりから焼却処分されると二酸化炭素を排出する石油由来のプラスチックの削減が進められている。特に医療系廃棄物処分容器はすぐさま焼却されるものであるため二酸化炭素排出量が少なくでき且つ資源の有効活用が求められている。
【0005】
本発明は上記実情に鑑み完成したものであり、二酸化炭素排出量が少なくでき且つ資源の有効活用ができる医療系廃棄物処分容器を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明の医療系廃棄物処分容器は、一部が開口し、医療系廃棄物を収納する収納部本体と、前記開口を塞ぐ蓋体とを有し、前記収納部本体及び前記蓋体の少なくとも一方がバイオマス材料を含むバイオマス材料含有樹脂組成物から形成される。
【0007】
収納部本体と蓋体のうちの少なくとも一方をバイオマス材料を含むバイオマス材料含有樹脂組成物から形成することでカーボンニュートラルに近づけることが可能になると共に、資源の有効活用が実現できる。また医療系廃棄物から漏液が発生しうる場合に漏液を外部の漏らし難くでき適正に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の医療系廃棄物処分容器の蓋体の表面図(a)、裏面図(b)及び医療系廃棄物処分容器を分離した状態の側面図(c)である。
図2】本実施形態の医療系廃棄物処分容器を製造する工程の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の医療系廃棄物処分容器について実施形態に基づき以下詳細に説明を行う。本実施形態の医療系廃棄物処分容器は、注射器、注射針、輸液点滴セット、カテーテル、ガーゼや脱脂綿などの血液等の体液が付着したもの、切除された組織片などが挙げられる。本実施形態の医療系廃棄物処分容器は、これらの医療系廃棄物を収納し、密閉した状態で輸送などを行う容器である。最終的には焼却処分などが行われる。そのためできるだけ可燃性の材料で構成されることが好ましい。
【0010】
本実施形態の医療系廃棄物処分容器10は、図1に示すように、収納部本体12と蓋体11を有する。収納部本体12及び蓋体11のうちの少なくとも一方はバイオマス材料を含むバイオマス材料含有樹脂組成物から形成される。特に蓋体11の一部乃至全部をバイオマス材料含有樹脂組成物により構成することが好ましく、蓋体11の全部をバイオマス材料含有樹脂組成物により構成することがより好ましい。
【0011】
バイオマス材料含有樹脂組成物は、樹脂材料中にバイオマス材料を分散したものである。バイオマス材料含有樹脂組成物中のバイオマス材料の含有量は特に限定しないが、バイオマス材料含有樹脂組成物の全体の質量を基準として10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上などにすることができる。
【0012】
バイオマス材料としては、木屑を粉末化した木粉、トウモロコシやサトウキビなどに由来する澱粉が例示できる。このバイオマス材料をそのまま又は表面処理を行った後に樹脂材料中に分散することでバイオマス材料含有樹脂組成物が得られる。バイオマス材料は粉砕操作などにより粒径を小さくしてバイオマス材料含有樹脂組成物中に充填される。
【0013】
収納部本体12は、医療系廃棄物を収納する収納空間を内部に区画する。収納空間は外部から医療系廃棄物を投入できる開口12aを上方にもつ。開口12aは蓋体11により塞がれる。収納部本体12の開口は蓋体11により塞がれるとその蓋体11は外れないようになっている。
【0014】
収納部本体12は、収納部を区画する収納部本体壁部121と開口12aの先端部に周囲に向けて突出するフランジ部122と蓋体11にて開口12aを塞いだときに蓋体11に接する収納部側壁123をもつ。蓋体11の中央付近には膨らみ部112が形成されている。蓋体11の収納部本体12の開口12aに接する側には、図1(b)に示すように、蓋周縁部113とその蓋周縁部113との間にフランジ部122を挟持できる隙間を介して形成される内周部114とをもち、蓋周縁部113及び内周部114との間にフランジ部122を挟持するように嵌合する嵌合溝115を区画する。
【0015】
嵌合溝115の内形は、収納部本体12のフランジ部122の外形と相補的な形状であり、蓋体11により収納部本体12の開口12aを塞ぐときに嵌合溝115がフランジ部122に密着するように嵌め込まれる。
【0016】
そのときに蓋体11の嵌合溝115よりもフランジ部122の外形が僅かに大きくすることで嵌合溝115とフランジ部122とは固く固定される。その結果、蓋体11は収納部本体12から外れなくなり、そのまま焼却処分などを行うことができる。
【0017】
蓋体11の表面には収納部本体12の底部が全体として嵌合できる窪みが形成されている。本実施形態の医療系廃棄物処分容器を縦方向に積み重ねたときに、その窪み内に収納部本体12の底部が収まることができる。収納部本体12の窪みの周囲には、収納部本体12の底部の外周から接して支えるリブ116が蓋体11の周縁部から内方に向けて突出するように形成されている。
【0018】
蓋体11の表面の窪みの中央には、膨らみ部112が形成されており、収納部本体12の底部の底面にその膨らみ部112と相補的に形成された窪み部(図略)に嵌合するようになっている。
【0019】
本実施形態の医療系廃棄物処分容器の製造方法は特に限定しないが以下に例示する図2に示す方法により製造できる。まずバイオマス材料含有樹脂組成物を調製するためにバイオマス材料としての木粉と再生樹脂とを用意する。再生樹脂は、破砕乃至粉砕して粉末状乃至ペレット状にする。
【0020】
再生樹脂としては、物流パレット、自動車バンパー、不織布、その他が利用可能である。再生樹脂としてはポリプロピレンを採用することが好ましい。
【0021】
用意した木粉と再生樹脂を必要な混合比になるように調合する(ステップS1)。その後、二軸押出機にて均一に混練して溶融混合させ(ステップ2)、その後造粒することでバイオマス材料含有樹脂組成物からなる原料ペレットが得られる(ステップS3)。
【0022】
得られた原料ペレットを射出成型機を用いて本実施形態の医療系廃棄物処分容器に成型する(ステップS4)。得られた製品について検査を行い(ステップS5)、良品を本実施形態の医療系廃棄物処分容器とする。
【符号の説明】
【0023】
10…医療系廃棄物処分容器
11…蓋体 112…膨らみ部 113…蓋周縁部 114…内周部 115…嵌合部 116…リブ
12…収納部本体 12a…開口 121…収納部本体壁部 122…フランジ部 123…収納部側壁
図1
図2