(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063420
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 41/675 20180101AFI20240502BHJP
F21S 41/33 20180101ALI20240502BHJP
F21S 41/36 20180101ALI20240502BHJP
F21V 7/09 20060101ALI20240502BHJP
F21W 102/10 20180101ALN20240502BHJP
【FI】
F21S41/675
F21S41/33
F21S41/36
F21V7/09 300
F21V7/09 500
F21W102:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171354
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】長澤 健一
(57)【要約】
【課題】本開示は車両用灯具の形によらずリフレクタのエイミング機構による取付姿勢を安定して維持しつつ、多様な外観意匠を実現可能な車両用灯具を提供する。
【解決手段】本開示に係る車両用灯具1は、リフレクタ20と、リフレクタ20を支持するエイミング機構10とを有し、リフレクタ20は、第一配光パターンを形成する第一領域21と、第二配光パターンを形成する第二領域22とを有し、エイミング機構10は、リフレクタ20を支持しており、第一領域21と、車両用灯具1の正面視においてエイミング支点、第一エイミング点、第二エイミング点で構成されるエイミング領域Aと重なる面積が、第二領域22とエイミング領域Aと重なる面積よりも広く、第二領域22の最も薄い部位の厚みは、第一領域21の最も薄い部位の厚みよりも薄い。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リフレクタと、
前記リフレクタを支持するエイミング機構と、を有する車両用灯具であって、
前記リフレクタは、第一配光パターンを形成する第一領域と、第二配光パターンを形成する第二領域とを有し、
前記エイミング機構は、前記リフレクタを、エイミング支点、前記エイミング支点回りに第一方向に回転可能に支持する第一エイミング点、前記エイミング支点回りに第二方向に回転可能に支持する第二エイミング点で支持しており、
前記第一領域は、前記車両用灯具の正面視において前記エイミング支点、前記第一エイミング点、前記第二エイミング点で構成されるエイミング領域と重なる面積が前記第二領域よりも広く、
前記第二領域の最も薄い部位の厚みは、前記第一領域の最も薄い部位の厚みよりも薄い、車両用灯具。
【請求項2】
前記リフレクタは長手方向に延びる長尺部材であり、前記第一領域と前記第二領域は前記長手方向に沿って配列されている、請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記第一領域と前記第二領域は正面視において、前記車両用灯具を車両に取り付けた際の左右方向に設けられる、請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記第一領域と前記第二領域は別体で構成される、請求項3に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の車両用灯具においては、リフレクタがエイミング機構で支持されている。これにより、リフレクタの姿勢を変更して光の照射方向を変更可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2018/151192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の車両用灯具においては、リフレクタの形状とエイミング機構の配置によっては、リフレクタの重心がエイミング機構の支持中心から大きくずれてしまうことがある。このような重心位置を考慮すると、リフレクタの形状やエイミング機構の配置に制約が生じ、自由に車両用灯具の外観意匠を設計しにくい。
【0005】
そこで本開示は車両用灯具の形によらずリフレクタのエイミング機構による取付姿勢を安定して維持しつつ、多様な外観意匠を実現可能な車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る車両用灯具は、
リフレクタと、
リフレクタを支持するエイミング機構と、を有する車両用灯具であって、
前記リフレクタは、第一配光パターンを形成する第一領域と、第二配光パターンを形成する第二領域とを有し、
前記エイミング機構は、前記リフレクタを、エイミング支点、前記エイミング支点回りに第一方向に回転可能に支持する第一エイミング点、前記エイミング支点回りに第二方向に回転可能に支持する第二エイミング点で支持しており、
前記第一領域は、前記車両用灯具の正面視において前記エイミング支点、前記第一エイミング点、前記第二エイミング点で構成されるエイミング領域と重なる面積が前記第二領域よりも広く、
前記第二領域の最も薄い部位の厚みは、前記第一領域の最も薄い部位の厚みよりも薄い。
【発明の効果】
【0007】
上記によれば、車両用灯具の形によらずリフレクタのエイミング機構による取付姿勢を安定して維持しつつ、多様な外観意匠を実現可能な車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る車両用灯具の断面図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態に係る車両用灯具の正面視概略図である。
【
図3】
図3は、
図1におけるリフレクタのA-A断面矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る車両用灯具の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0010】
なお、
図1等に示すU、D、F、B、R、Lは車両用灯具1における方向を示すものであり、Uは上方、Dは下方、Fは前方、Bは後方、Rは右方、Lは左方である。
【0011】
図1は、本開示の実施形態に係る車両用灯具の断面図である。以下の説明においては、本開示の車両用灯具1において、リフレクタ20が車両用灯具1において搭載される態様を説明する。また、以下の示す実施形態においては車両用灯具1の一例として車両左前照灯について説明する。
【0012】
図1に示すように、本開示に係る車両用灯具1はハウジング2と、アウタレンズ3と、光源4と、基板5と、エイミング機構10と、リフレクタ20と、ブラケット50とを有している。ハウジング2とアウタレンズ3は灯室を構成し、灯室内に光源4と、基板5と、エイミング機構10と、リフレクタ20と、ブラケット50が配置されている。
【0013】
車両用灯具1は基板5に設けられた光源4から出射された光がリフレクタ20によって反射され、アウタレンズ3方向に向かうように構成されている。
図1に示すように、本実施形態においてリフレクタ20はブラケット50に固定されており、ブラケット50はエイミング機構10に支持されている。なお、リフレクタ20は直接的にエイミング機構10によって支持されていてもよい。
【0014】
エイミング機構10は、エイミング支持部11、上下調節部12、左右調節部13(
図2参照)を有している。エイミング支持部11、上下調節部12、左右調節部13は各々ハウジング2に連結されており、ブラケット50を支持している。
本実施形態において、エイミング支持部11はブラケット50の下部を支持し、上下調節部12はブラケット50の上部を支持し、左右調節部13はブラケット50の左部を支持している(
図2参照)。
【0015】
エイミング支持部11はエイミング支点100とエイミング支持軸101を有する。エイミング支持軸101はハウジング2に固定され、前方に延びる軸である。エイミング支点100は、エイミング支持軸101の前端に設けられている。ブラケット50は、エイミング支点100回りに揺動可能に、エイミング支持軸101に支持されている。エイミング支点100は、例えばボールジョイント等で構成される。
【0016】
上下調節部12は、第一エイミングスクリュー51を有する。第一エイミングスクリュー51は、ハウジング2を貫通し、ブラケット50に螺合している。第一エイミングスクリュー51は、ブラケット50を片持ち状態で支持する。
ブラケット50に設けられ、第一エイミングスクリュー51がねじ込まれるねじ孔を第一ねじ孔と呼ぶ。また、この第一エイミングスクリュー51のうち、第一ねじ孔に螺合している部位を第一エイミング点112と呼ぶ。上下調節部12は、第一エイミングスクリュー51を回転させることによって、第一エイミングスクリュー51と第一ねじ孔との螺合している部位(第一エイミング点112)を前後方向に移動させることができる。第一エイミング点112が前後方向に移動すると、ブラケット50がエイミング支点100回りに上下方向に回転する。これにより、ブラケット50に固定されたリフレクタ20の光軸を上下方向に移動させることができる。
【0017】
左右調節部13は、上下調節部12と略同様の構成を有する。左右調節部13は、第二エイミングスクリューを有する。第二エイミングスクリューは、ハウジング2を貫通し、ブラケット50に螺合している。第二エイミングスクリューは、ブラケット50を片持ち状態で支持する。
ブラケット50に設けられ、第二エイミングスクリューがねじ込まれるねじ孔を第二ねじ孔と呼ぶ。また、この第二エイミングスクリューのうち、第二ねじ孔に螺合している部位を第二エイミング点113と呼ぶ(
図2参照)。左右調節部13は、第二エイミングスクリューを回転させることによって、第二エイミングスクリューと第二ねじ孔との螺号している部位(第二エイミング点113)を前後方向に移動させることができる。第二エイミング点113が前後方向に移動すると、ブラケット50がエイミング支点100回りに左右方向に回転する。これにより、ブラケット50に固定されたリフレクタ20の光軸を左右方向に移動させることができる。
【0018】
図2は本開示の実施形態に係る車両用灯具の正面視概略図である。
図2に示したように、リフレクタ20は、光源4から出射された光を反射することで第一配光パターンを形成する第一領域21と、光源4から出射された光を反射することで第一配光パターンとは異なる第二配光パターンを形成する第二領域22を有している。
【0019】
このようなリフレクタ20は、
図2に示す車両用灯具1の正面視において、エイミング機構10によるブラケット50の支持位置からずれた位置に設けられている。
ところで、リフレクタ20を安定的に支持する合理的な設計は、正面視において、リフレクタ20の重心を、エイミング機構10によるブラケット50の3つの支持位置で定義される三角形の内部に配置することである。エイミング機構10によるブラケット50の3つの支持位置とは、上述したエイミング支点100、第一エイミング点112、第二エイミング点113である。また、正面視において、これら3つの支持位置で定義される三角形の領域を、エイミング領域Aと呼ぶことにする。つまり、正面視においてリフレクタ20の重心がエイミング領域A内に位置するように、エイミング機構10の支持点に対してリフレクタ20を位置決めすれば、リフレクタ20を安定的に支持できる。
【0020】
ところが、車両用灯具1には外観意匠性や他の部材との干渉を避けるためなど、様々な要因により、リフレクタ20の重心がエイミング領域A内に位置するようにリフレクタ20のレイアウトを設計できない場合がある。
そこで本開示者は、リフレクタ20の厚みに着目した。本来、リフレクタ20の厚みは一定である。しかしながら、部位によって厚みを変化させることで、リフレクタ20の重心を移動させることができることに本開示者は着目した。
【0021】
図3は、
図1におけるリフレクタ20のA-A断面矢視図である。
図3に示すように、本実施形態においてリフレクタ20の第二領域22の最も薄い部分の厚みは、第一領域21の最も薄い部位の厚みよりも薄く構成されている。これにより、第一領域21の部分の重さは第二領域22の部分の重さと比べ重くなるように構成されている。図示した例において、第一領域21および第二領域22はそれぞれ一定の厚みで形成されている。
【0022】
上述の設計の制約という問題に対し発明者は、リフレクタ20の厚みを変化させることで、リフレクタ20のレイアウトを制限することなく、リフレクタ20の重心位置を調整できることを見出した。
本開示の車両用灯具1によれば、エイミング領域Aから遠い第二領域22の最も薄い部位の厚みは、エイミング領域Aに近い第一領域21の最も薄い部位の厚みよりも薄い。つまり、エイミング領域Aから遠い第二領域22の厚みを薄くすることにより、リフレクタ20の重心をエイミング領域Aに近づけやすい。これにより、リフレクタ20の取り付け姿勢を安定して維持しやすい。また、リフレクタ20の厚みを異ならせることでリフレクタ20の重心位置を変更しているため、リフレクタ20の形状やエイミング機構10の配置を車両用灯具1の外観意匠性などを優先して設計することができ、設計の自由度を担保しやすい。
【0023】
このように、エイミング領域Aから遠い第二領域22の重さがエイミング領域Aに近い第一領域21の重さよりも軽くなるようにリフレクタ20の第一領域21および第二領域22の厚みを調整し、リフレクタ20の重心がエイミング領域Aに近づくように構成した。これにより、リフレクタ20がエイミング機構10に対してずれた位置に配置せざるを得ない場合でも、リフレクタ20を安定的に支持しやすい。
なお、リフレクタ20の第一領域21,第二領域22のエイミング領域Aから近い/遠いという判別は、正面視において第一領域21,第二領域22の各々がエイミング領域Aとどれだけ重なっているかで判別することができる。つまり、本開示において、エイミング領域Aに近い第一領域21が正面視でエイミング領域Aと重なる領域は、エイミング領域Aから遠い第二領域22がエイミング領域Aと重なる領域よりも広い。なお、第二領域22は、正面視でエイミング領域と重なる領域がなくてもよい。
【0024】
上述した実施形態において、リフレクタ20は長手方向に延びる長尺部材であり、第一領域21と第二領域22は長手方向に沿って配列されていてもよい。上記構成によれば、リフレクタ20が長尺部材である場合、エイミング機構10による支持がリフレクタ20に対して偏りやすく、リフレクタ20の姿勢を安定的に維持しにくい場合がある。そのような場合であっても、本開示の車両用灯具1によれば、長手方向に並んだ第一領域21と第二領域22で厚みを変えることにより、リフレクタ20の姿勢を安定的に維持しやすい。
【0025】
上述した実施形態において、第一領域21と第二領域22は正面視において車両用灯具1を車両に取り付けた際の左右方向に設けられていてもよい。上記構成によれば、リフレクタ20が左右方向に設けられている場合、エイミング機構10による支持がリフレクタ20に対して偏りやすく、リフレクタ20の姿勢を安定的に維持しにくい場合がある。そのような場合であっても、本開示の車両用灯具1によれば、左右方向に並んだ第一領域21と第二領域22で厚みを変えることにより、リフレクタ20の姿勢を安定的に維持しやすい。
【0026】
なお上述した実施形態においては、第一領域21と第二領域22とを一体的に含むリフレクタ20を説明したが、第一領域21と第二領域22は別体で構成されていてもよい。
【0027】
以上、本開示の実施形態について説明をしたが、本開示の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本開示の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【符号の説明】
【0028】
1 車両用灯具
2 ハウジング
3 アウタレンズ
4 光源
5 基板
10 エイミング機構
11 エイミング支持部
12 上下調節部
13 左右調節部
20 リフレクタ
21 第一領域
22 第二領域
50 ブラケット
51 第一エイミングスクリュー
100 エイミング支点
101 エイミング支持軸
112 第一エイミング点
113 第二エイミング点