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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006343
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/427 20060101AFI20240110BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240110BHJP
   G06F 1/20 20060101ALI20240110BHJP
   F28D 15/02 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
H01L23/46 A
H05K7/20 H
H05K7/20 Q
G06F1/20 A
G06F1/20 C
F28D15/02 101K
F28D15/02 M
F28D15/02 102A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107146
(22)【出願日】2022-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】原 伸英
(72)【発明者】
【氏名】大谷 雄一
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA05
5E322BA03
5E322BB01
5E322BB03
5E322DA04
5E322DB02
5E322DB06
5E322DB12
5E322FA01
5F136CA01
5F136CC34
5F136CC38
(57)【要約】
【課題】GWPの小さい冷媒を使用しつつ冷却性能を十分に確保することができる冷却装置を提供する。
【解決手段】冷却装置は、液相の冷媒が貯留される貯留空間を内部に有するとともに発熱体と熱的に接続され、発熱体の熱を冷媒に伝達する伝熱面を有する加熱部と、加熱部と接続され、貯留空間から冷媒を排出する冷媒排出管と、冷媒排出管と接続され、加熱部から排出された冷媒を冷却する冷却部と、冷却部と加熱部とを接続し、冷却部で冷却された冷媒を加熱部に供給する冷媒供給管と、貯留空間を負圧にし、貯留空間の内圧を調整可能な負圧調整部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液相の冷媒が貯留される貯留空間を内部に有するとともに発熱体と熱的に接続され、前記発熱体の熱を前記冷媒に伝達する伝熱面を有する加熱部と、
前記加熱部と接続され、前記貯留空間から前記冷媒を排出する冷媒排出管と、
前記冷媒排出管と接続され、前記加熱部から排出された前記冷媒を冷却する冷却部と、
前記冷却部と前記加熱部とを接続し、前記冷却部で冷却された前記冷媒を前記加熱部に供給する冷媒供給管と、
前記貯留空間を負圧にし、前記貯留空間の内圧を調整可能な負圧調整部と、
を備える冷却装置。
【請求項2】
前記冷媒排出管は、前記加熱部の上部に接続され、
前記冷媒供給管は、前記加熱部の下部に接続され、
前記伝熱面は、鉛直面に沿って延在している、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記負圧調整部は、エジェクタである、請求項1又は2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記エジェクタから排出された空気を前記冷却部に供給する送風ラインを備え、
前記冷却部は、前記エジェクタから排出された空気と前記冷媒とで熱交換を行って前記冷媒を冷却する、請求項3に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記冷却部を囲うとともに、上下方向に開口する外筒を備える、請求項1又は2に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記加熱部は、前記伝熱面から立ち上がる複数のフィンを有する、請求項1又は2に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記フィンは、前記伝熱面のうち前記冷媒供給管側の領域にのみ形成されている、請求項6に記載の冷却装置。
【請求項8】
前記加熱部は、電子部品が設置される基板であり、
前記基板の内部には、前記貯留空間が形成されている、請求項1又は2に記載の冷却装置。
【請求項9】
前記加熱部には、複数の前記発熱体が熱的に接続されている、請求項1又は2に記載の冷却装置。
【請求項10】
前記冷媒は、フロン系の冷媒よりもGWPの小さい低GWP冷媒である、請求項1又は2に記載の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、発熱体を有する電子機器を液体の冷媒中に浸漬して直接冷却する冷却システムが開示されている。この冷却システムに用いられる冷媒は、フルオロカーボンを主成分としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2016/075838号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フルオロカーボンを主成分とする冷媒は、サーバにおけるGPUやCPU等のチップを局所的に冷却する場合によく採用されている。しかしながら、これらの冷媒は、地球温暖化係数(GWP;Global Warming Potential)が大きいことが問題とされている。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、GWPの小さい冷媒を使用しつつ冷却性能を十分に確保することができる冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る冷却装置は、液相の冷媒が貯留される貯留空間を内部に有するとともに発熱体と熱的に接続され、前記発熱体の熱を前記冷媒に伝達する伝熱面を有する加熱部と、前記加熱部と接続され、前記貯留空間から前記冷媒を排出する冷媒排出管と、前記冷媒排出管と接続され、前記加熱部から排出された前記冷媒を冷却する冷却部と、前記冷却部と前記加熱部とを接続し、前記冷却部で冷却された前記冷媒を前記加熱部に供給する冷媒供給管と、前記貯留空間を負圧にし、前記貯留空間の内圧を調整可能な負圧調整部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の冷却装置によれば、GWPの小さい冷媒を使用しつつ冷却性能を十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の第一実施形態に係る冷却装置の構成を示す概略図である。
図2】本開示の第一実施形態に係る加熱部の断面図である。
図3】本開示の第二実施形態に係る冷却装置の構成を示す概略図である。
図4】本開示の第二実施形態の第一変形例に係る冷却装置の構成を示す概略図である。
図5】本開示の第二実施形態の第二変形例に係る冷却装置の構成を示す概略図である。
図6】本開示の第三実施形態に係る加熱部の内部を示す斜視図である。
図7】本開示の第三実施形態の第一変形例に係るフィンの拡大図である。
図8】本開示の第三実施形態の第二変形例に係る加熱部の内部を示す斜視図である。
図9】本開示の第四実施形態に係る冷却装置の構成を示す概略図である。
図10】本開示の第四実施形態の変形例に係る冷却装置の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第一実施形態>
以下、本開示の第一実施形態に係る冷却装置10について、図1図2を参照して説明する。
図1に示すように、冷却装置10は、高速計算を行う電子機器の冷却に用いられる。本実施形態では、冷却装置10は、データセンター内のサーバ1に使用されている。サーバ1は複数設けられている。
【0010】
サーバ1は、CPUやGPUのチップ等の電子部品が設置されたプリント基板を有する。CPUやGPUは、高速計算処理を担う部品であるため高負荷がかかる。このため、CPUやGPUは、サーバ1の他の箇所と比べて高温に発熱する。
【0011】
以下、サーバ1のプリント基板を単に「基板2」と称し、CPUやGPU等のチップを「発熱体3」と称する場合がある。
【0012】
基板2は、矩形板状に形成されている。基板2は、上下方向に延在するように縦置きで配置されている。本実施形態では、基板2は、複数枚設けられている。
【0013】
発熱体3は、各基板2に1つずつ設置されている。発熱体3は、基板2の表面に張り付けるように設置されている。このため、本実施形態では、発熱体3は、基板2と同様に上下方向に延在するように縦置きで配置されている。
【0014】
(冷却装置の構成)
続いて、冷却装置10の構成について説明する。
冷却装置10は、基板2上に設置されたCPUやGPU等のチップ(発熱体3)を局所的に冷却する。図1に示すように、冷却装置10は、加熱部20と、冷媒排出管11と、冷却部30と、ファン12と、冷媒充填部13と、冷媒供給管14と、負圧調整部40と、を備える。
【0015】
(加熱部)
本実施形態の加熱部20は、発熱体3の基板2とは反対側の表面に設置された矩形板状のジャケット21である。加熱部20は、発熱体3ごとに1つずつ設置されている。図2に示すように、加熱部20は、液相の冷媒Rが貯留される貯留空間Sを内部に有する。加熱部20は、発熱体3と熱的に接続されている。加熱部20は、発熱体3の熱を冷媒Rに伝達する伝熱面22を内部に有する。伝熱面22は、加熱部20の内周面のうち発熱体3に比較的近い面である。本実施形態では、加熱部20は、基板2と同様に上下方向に延在するように縦置きで配置されている。このため、伝熱面22は、鉛直面に沿って延在している。
【0016】
加熱部20には、発熱体3の熱が伝達される。さらに、発熱体3の熱は、伝熱面22を介して貯留空間S内の液相の冷媒Rに伝達される。このため、貯留空間S内の液相の冷媒Rは、加熱される。これにより、貯留空間S内の液相の冷媒Rは、膨張し、密度が低下する。本実施形態では、貯留空間S内の液相の冷媒Rは、沸騰して気相に変化する。
【0017】
冷媒Rは、フロン系の冷媒よりもGWPの小さい低GWP冷媒である。本実施形態の冷媒(低GWP冷媒)Rは、水である。なお、低GWP冷媒として、水以外には、例えばHFO(ハイドロフルオロオレフィン)等が挙げられる。また、以下では、液相の冷媒Rを単に「液相冷媒RL」と称し、気相の冷媒Rを「気相冷媒RG」と称する場合がある。
加熱部20には、貯留空間Sから冷媒Rを排出する冷媒排出管11が設けられている。
【0018】
(冷媒排出管)
図1に示すように、冷媒排出管11の一端11aは、加熱部20の上部に接続されている。冷媒排出管11の他端11bは、冷却部30に接続されている。冷媒排出管11は、加熱部20で加熱された冷媒Rを冷却部30に導く。冷媒排出管11は、各加熱部20に1本ずつ設けられている。
【0019】
(冷却部)
冷却部30は、加熱部20から排出された冷媒Rを冷却する。本実施形態の冷却部30は、空冷式の熱交換器である。冷却部30は、上流ヘッダ31と、管束32と、下流ヘッダ33と、を有する。
【0020】
上流ヘッダ31には、加熱部20で加熱された冷媒Rが供給される。上流ヘッダ31は、マニホールドヘッダである。
【0021】
管束32は、複数のフィンチューブ34を有する。各フィンチューブ34は、上流ヘッダ31に接続されている。各フィンチューブ34には、上流ヘッダ31から冷媒Rが供給される。なお、図面上では、フィンチューブ34のフィン部分は省略されている。
【0022】
下流ヘッダ33は、管束32に接続されている。下流ヘッダ33は、上流ヘッダ31と同様に、マニホールドヘッダである。下流ヘッダ33では、各フィンチューブ34を通過した冷媒Rが合流する。
【0023】
(ファン)
管束32の付近には、ファン12が設置されている。ファン12は、管束32に向けて送風し、各フィンチューブ34に空気A1を供給する。これにより、フィンチューブ34内を通過する冷媒Rが冷却される。本実施形態では、気相冷媒RGが凝縮されて、液相冷媒RLに変化する。
【0024】
(冷媒充填部)
下流ヘッダ33には、冷媒充填部13が設けられている。冷媒充填部13は、冷却システム内に冷媒Rを充填する。冷媒充填部13は、所望の液量の液相冷媒RLを冷却装置10内に充填する。
【0025】
(冷媒供給管)
また、下流ヘッダ33には、冷媒供給管14が設けられている。冷媒供給管14は、冷却部30と加熱部20とを接続している。本実施形態では、冷媒供給管14の一端14aが冷却部30の下流ヘッダ33に接続され、冷媒供給管14の他端14bが加熱部20の下部に接続されている。冷媒供給管14は、冷却部30で冷却された冷媒Rを加熱部20に供給する。冷媒供給管14は、各加熱部20に1本ずつ設けられている。
【0026】
(負圧調整部)
また、上流ヘッダ31には、真空引きライン42を介して負圧調整部40が接続されている。本実施形態の負圧調整部40は、真空ポンプ41である。負圧調整部40は、冷却装置10内に真空引きを行うことにより、貯留空間Sを負圧にする。さらに、負圧調整部40は、貯留空間Sの内圧を調整可能である。
【0027】
(冷媒の循環)
続いて、冷却装置10内の冷媒Rの循環について説明する。
まず、真空ポンプ41が稼動して、冷却装置10内に真空引きを行う。これにより、貯留空間Sを含む冷却装置10内が負圧となる。このため、冷却装置10内の冷媒Rの沸点が低下する。これにより、冷媒Rが液相から気相に変化し易くなる。
【0028】
また、加熱部20には発熱体3の熱が伝達される。加熱部20内の伝熱面22は、発熱体3の熱を貯留空間S内の液相冷媒RLに伝達する。これにより、発熱体3は冷却される。一方で、貯留空間S内の液相冷媒RLは加熱されて、膨張する。本実施形態では、液相冷媒RLが発熱体3の熱によって沸騰し、気相冷媒RGに変化する。気相冷媒RGは、液相冷媒RLよりも密度が小さいため、上方へ向けて流れる。気相冷媒RGは、加熱部20から冷媒排出管11を通って冷却部30に流入する。
【0029】
気相冷媒RGは、上流ヘッダ31からフィンチューブ34、フィンチューブ34から下流ヘッダ33へと移動する。気相冷媒RGは、フィンチューブ34で、ファン12から供給される空気A1と熱交換を行い、冷却される。これにより、気相冷媒RGは、凝縮されて、下流ヘッダ33に到達する頃には、液相冷媒RLに変化する。
【0030】
液相冷媒RLは、下流ヘッダ33から冷媒供給管14を通って加熱部20に戻る。加熱部20に戻った液相冷媒RLは、加熱部20で再び発熱体3と熱交換を行う。このようにして、冷媒Rは、冷却装置10内を循環する。
【0031】
(作用効果)
本実施形態の冷却装置10によれば、以下の作用効果を発揮することができる。
本実施形態では、加熱部20は、液相の冷媒Rが貯留される貯留空間Sを内部に有するとともに発熱体3と熱的に接続されている。さらに、加熱部20は、発熱体3の熱を冷媒Rに伝達する伝熱面22を有する。また、負圧調整部40は、貯留空間Sを負圧にし、貯留空間Sの内圧を調整可能である。
【0032】
本実施形態によれば、発熱体3は、加熱部20を介した貯留空間S内の冷媒Rとの熱交換によって冷却される。一方で、貯留空間S内の冷媒Rは、発熱体3の熱によって加熱される。貯留空間Sが負圧にされることにより、冷媒Rの沸点が低下して冷媒Rが膨張し易くなる。冷媒Rが膨張すると、冷媒Rの密度が低下する。これにより、冷却装置10内を冷媒Rが循環し易くなる。このため、GWPが小さいが、沸点が高いためにサイクル内を循環させるには不向きであった冷媒を、冷却装置10に用いることができる。よって、GWPが小さい冷媒Rを冷却装置10に用いることができる。したがって、フロン系の冷媒よりもGWPの小さい冷媒(低GWP冷媒)Rを使用しつつ冷却性能を十分に確保することができる。これにより、地球温暖化への影響を低減することができる。
また、例えば冷却装置10のメンテナンス時に、負圧調整部40を操作することより、冷却装置10の環境に合わせて貯留空間Sの負圧の度合いを調整することができる。例えば、冷却装置10が設置される場所の気温や発熱体3の負荷に応じて、貯留空間Sの負圧の度合いを調整することができる。
【0033】
また、本実施形態では、冷媒排出管11は、加熱部20の上部に接続されている。冷媒供給管14は、加熱部20の下部に接続されている。伝熱面22は、鉛直面に沿って延在している。
【0034】
本実施形態によれば、加熱部20内では、液相冷媒RLは上向きに流れる。これにより、加熱部20内に気泡Bが発生しても(図2参照)、気泡Bが上方の冷媒排出管11に流入し易くなる。このため、気泡Bが冷媒排出管11を通じて冷却部30に抜け易くなる。これにより、加熱部20内に気泡Bが滞留して伝熱面22に蒸気膜が形成されることが抑制される。よって、冷媒Rの流通や発熱体3と冷媒Rとの熱交換がスムーズに行われることとなる。
【0035】
<第二実施形態>
以下、本開示の第二実施形態に係る冷却装置210について、図3を参照して説明する。前述した第一実施形態と同様の構成については、同一の名称及び同一の符号を付す等して説明を適宜省略する。
【0036】
図3に示すように、本実施形態では、負圧調整部240は、エジェクタ243である。エジェクタ243は、冷却装置210の外部から供給される空気の流れを駆動流A2として駆動する。エジェクタ243は、真空引きライン42によって、冷却部30の上流ヘッダ31と接続されている。エジェクタ243は、駆動流A2によって冷却装置210内の気体A3を引き込み、貯留空間Sを含む冷却装置210内を負圧にする。
【0037】
(作用効果)
本実施形態の冷却装置210によれば、以下の作用効果が発揮される。
本実施形態では、負圧調整部240は、エジェクタ243である。
【0038】
これにより、冷却装置210は、例えば工場等から排出される空気を駆動流A2としてエジェクタ243を駆動させることができる。これにより、冷却装置210は、負圧調整部240が真空ポンプの場合と比較して、少ない消費電力で貯留空間Sを含む装置内部に真空引きを行うことができる。
【0039】
(第二実施形態の第一変形例)
続いて、第二実施形態の第一変形例について、図4を参照して説明する。
図4に示すように、本変形例では、冷却装置210は、送風ライン244さらに備える。送風ライン244の一端244aは、エジェクタ243の排出口に接続されている。送風ライン244の他端244bは、冷却部30の管束32と対向する位置に配置されている。送風ライン244は、エジェクタ243から排出された空気A1を冷却部30に供給する。冷却部30は、エジェクタ243から排出された空気A1と冷媒Rとで熱交換を行って冷媒Rを冷却する。
【0040】
これにより、冷却装置210は、エジェクタ243から排出される空気A1によって冷却部30内の冷媒Rを冷却することができる。したがって、冷却部30への空気A1の供給にファン12等の送風機が用いられる場合と比較して、冷却装置210の消費電力を削減することができる。
【0041】
(第二実施形態の第二変形例)
続いて、第二実施形態の第二変形例について、図5を参照して説明する。
図5に示すように、本変形例では、冷却装置210は、冷却部30を囲うとともに、上下方向に開口する外筒215を備える。外筒215は、四角形筒状に形成されている。なお、外筒215の形状は、適宜変更可能である。例えば、外筒215は、円筒形状に形成されていてもよい。
【0042】
本変形例によれば、冷却部30の内部の冷媒Rと熱交換を行って加熱された冷却部30の周りの空気A1が上昇し、外筒215内に上方に向けて吹き抜ける流れが生じる。これにより、冷却部30には、冷媒Rを冷却するための新鮮な空気A1が供給され続ける。よって、冷却部30に空気A1を供給するためにファン12等の送風機を設ける必要がなくなる。これにより、冷却装置210の大型化が抑制される。また、冷却装置210の消費電力を削減することができる。
【0043】
<第三実施形態>
以下、本開示の第三実施形態に係る冷却装置310について、図6を参照して説明する。前述した第一実施形態と同様の構成については、同一の名称及び同一の符号を付す等して説明を適宜省略する。
【0044】
図6に示すように、本実施形態では、加熱部320(ジャケット321)は、貯留空間S内に、伝熱面22から立ち上がる複数のフィン323を有する。フィン323は、伝熱面22から垂直に延びている。フィン323は、伝熱面22から離間するにしたがって先細る円錐形状に形成されている。複数のフィン323は、伝熱面22の垂線方向から見て、四角形格子状に配列されている。
【0045】
(作用効果)
本実施形態の冷却装置310によれば、以下の作用効果が発揮される。
本実施形態では、加熱部320は、伝熱面22から立ち上がる複数のフィン323を有する。
【0046】
これにより、伝熱面22の面積が拡大される。よって、加熱部320内のみかけの熱流束を低下させることができる。また、伝熱面22に発生した気泡Bの離脱が促進される。このため、複数の気泡Bが伝熱面22上で一体化することが抑制される。さらに、加熱部320内では、冷媒Rが蛇行して流れ、冷媒Rの混合が促進される。これにより、伝熱面22に蒸気膜が形成されることが抑制される。したがって、加熱部320における限界熱流束が上昇し、熱輸送の限界値が上昇する。
【0047】
(第三実施形態の第一変形例)
続いて、第三実施形態の第一変形例について、図7を参照して説明する。
図7に示すように、本変形例では、フィン323は、円柱形のピン状に形成されている。
これにより、伝熱面22の面積がより一層拡大される。よって、加熱部320内のみかけの熱流束をより一層低下させることができる。
【0048】
(第三実施形態の第二変形例)
続いて、第三実施形態の第二変形例について、図8を参照して説明する。
図8に示すように、本変形例では、フィン323は、伝熱面22のうち冷媒供給管14側の領域にのみ形成されている。例えば、フィン323は、伝熱面22の冷媒供給管14側の半分に形成されている。
【0049】
例えば、伝熱面22のうち冷媒供給管14側の領域では冷媒Rが液相として存在し、冷媒排出管11側では冷媒Rが気相として存在する場合がある。本変形例によれば、冷却装置310は、加熱部20内の冷媒Rのうち、冷媒供給管14側の領域に貯留された液相の冷媒Rを、フィン323によって混合することができる。これにより、冷却装置310は、冷媒Rの流れの安定化させることができる。したがって、冷却装置310の冷却効率を向上させることができる。
【0050】
<第四実施形態>
以下、本開示の第四実施形態に係る冷却装置410について、図9を参照して説明する。前述した第一実施形態と同様の構成については、同一の名称及び同一の符号を付す等して説明を適宜省略する。
【0051】
図9に示すように、本実施形態では、冷却装置410の加熱部420は、電子部品が設置される基板424である。基板424の内部には、貯留空間Sが形成されている。貯留空間Sは、例えば基板424の全域にわたって形成されている。また、基板424は、内部に伝熱面425を有する。伝熱面425は、発熱体3の熱を貯留空間S内の冷媒Rに伝達する。
【0052】
これにより、冷媒Rが加熱部420内の流通する距離を長くできる。このため、冷媒Rの蒸発が促進される。したがって、冷媒Rは、冷却装置410内のより一層循環し易くなる。また、冷却装置410は、発熱体3の熱を基板424に逃がすことができる。よって、冷却装置410の冷却効率を向上させることができる。
【0053】
(第四実施形態の変形例)
続いて、第四実施形態の変形例について、図10を参照して説明する。
図10に示すように、本変形例では、加熱部420には、複数の発熱体3が熱的に接続されている。
【0054】
これにより、冷却装置410は、1つの加熱部420内で、複数の発熱体3を均温化できる。このため、各発熱体3の制御が容易となる。
【0055】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
なお、上記実施形態では、基板2、424は、複数枚設けられているとしたが、これに限るものではない。例えば基板2、424は、1枚のみ設けられてもよい。基板2、424の枚数は、必要負荷に応じて、適宜変更可能である。
【0056】
なお、上記実施形態では、加熱部20、320、420は、冷媒Rを蒸発させて冷媒Rを液相から気相に変化させるとしたが、これに限るものではない。加熱部20、320、420では、冷媒Rは膨張すれば、蒸発せずに液相のままでもよい。
【0057】
なお、上記実施形態では、冷却部30は、空冷式の熱交換器であるとしたが、これに限るものではない。
【0058】
<付記>
各実施形態に記載の冷却装置10、210、310、410は、例えば以下のように把握される。
【0059】
(1)第1の態様に係る冷却装置10、210、310、410は、液相の冷媒Rが貯留される貯留空間Sを内部に有するとともに発熱体3と熱的に接続され、前記発熱体3の熱を前記冷媒Rに伝達する伝熱面22、425を有する加熱部20、320、420と、前記加熱部20、320、420と接続され、前記貯留空間Sから前記冷媒Rを排出する冷媒排出管11と、前記冷媒排出管11と接続され、前記加熱部20、320、420から排出された前記冷媒Rを冷却する冷却部30と、前記冷却部30と前記加熱部20、320、420とを接続し、前記冷却部30で冷却された前記冷媒Rを前記加熱部20、320、420に供給する冷媒供給管14と、前記貯留空間Sを負圧にし、前記貯留空間Sの内圧を調整可能な負圧調整部40、240と、を備える。
【0060】
本態様によれば、発熱体3は、加熱部20、320、420を介した貯留空間S内の冷媒Rとの熱交換によって冷却される。一方で、貯留空間S内の冷媒Rは、発熱体3の熱によって加熱される。貯留空間Sが負圧にされることにより、冷媒Rの沸点が低下して冷媒Rが膨張し易くなる。冷媒Rが膨張すると、冷媒Rの密度が低下する。これにより、冷却装置10、210、310、410内を冷媒Rが循環し易くなる。このため、GWPが小さいが、沸点が高いためにサイクル内を循環させるには不向きであった冷媒を、冷却装置10、210、310、410に用いることができる。よって、GWPの小さい冷媒Rを冷却装置10、210、310、410に用いることができる。
【0061】
(2)第2の態様の冷却装置10、210、310、410は、(1)の冷却装置10、210、310、410であって、前記冷媒排出管11は、前記加熱部20、320、420の上部に接続され、前記冷媒供給管14は、前記加熱部20、320、420の下部に接続され、前記伝熱面22、425は、鉛直面に沿って延在していてもよい。
【0062】
これにより、加熱部20、320、420内に気泡Bが発生しても、気泡Bが冷媒排出管11を通じて冷却部30に抜け易くなる。
【0063】
(3)第3の態様の冷却装置210は、(1)又は(2)の冷却装置210であって、前記負圧調整部240は、エジェクタ243であってもよい。
【0064】
これにより、冷却装置210は、例えば工場等から排出される空気を駆動流A2としてエジェクタ243を駆動させることができる。
【0065】
(4)第4の態様の冷却装置210は、(3)の冷却装置210であって、前記エジェクタ243から排出された空気A1を前記冷却部30に供給する送風ライン244を備え、前記冷却部30は、前記エジェクタ243から排出された空気A1と前記冷媒Rとで熱交換を行って前記冷媒Rを冷却してもよい。
【0066】
これにより、冷却装置210は、エジェクタ243から排出される空気A1によって冷却部30内の冷媒Rを冷却することができる。
【0067】
(5)第5の態様の冷却装置210は、(1)から(4)のいずれかの冷却装置210であって、前記冷却部30を囲うとともに、上下方向に開口する外筒215を備えてもよい。
【0068】
これにより、冷却部30の内部の冷媒Rと熱交換を行って加熱された冷却部30の周りの空気A1が上昇し、外筒215内に上方に向けて吹き抜ける流れが生じる。これにより、冷却部30には、冷媒Rを冷却するための新鮮な空気A1が供給され続ける。
【0069】
(6)第6の態様の冷却装置310は、(1)から(5)のいずれかの冷却装置310であって、前記加熱部320は、前記伝熱面22から立ち上がる複数のフィン323を有してもよい。
【0070】
これにより、伝熱面22の面積が拡大される。また、伝熱面22、425に発生した気泡Bの離脱が促進される。さらに、加熱部320内では、冷媒Rが蛇行して流れ、冷媒Rの混合が促進される。
【0071】
(7)第7の態様の冷却装置310は、(6)の冷却装置310であって、前記フィン323は、前記伝熱面22のうち前記冷媒供給管14側の領域にのみ形成されていてもよい。
【0072】
例えば、伝熱面22のうち冷媒供給管14側の領域では冷媒Rが液相として存在し、冷媒排出管11側では冷媒Rが気相として存在する場合がある。本態様によれば、冷却装置310は、加熱部20内の冷媒Rのうち、冷媒供給管14側の領域に貯留された液相の冷媒Rを、フィン323によって混合することができる。
【0073】
(8)第8の態様の冷却装置410は、(1)から(7)のいずれかの冷却装置410であって、前記加熱部420は、電子部品が設置される基板424であり、前記基板424の内部には、前記貯留空間Sが形成されていてもよい。
【0074】
これにより、冷媒Rが加熱部420内の流通する距離を長くできる。このため、冷媒Rの蒸発が促進される。
【0075】
(9)第9の態様の冷却装置410は、(1)から(8)のいずれかの冷却装置410であって、前記加熱部420には、複数の前記発熱体3が熱的に接続されていてもよい。
【0076】
これにより、冷却装置410は、複数の発熱体3を均温化できる。
【0077】
(10)第10の態様の冷却装置10、210、310、410は、(1)から(9)の冷却装置10、210、310、410であって、前記冷媒Rは、フロン系の冷媒よりもGWPの小さい低GWP冷媒であってもよい。
低GWP冷媒として、例えば水や、HFO(ハイドロフルオロオレフィン)等が挙げられる。
【符号の説明】
【0078】
1…サーバ 2…基板 3…発熱体 10…冷却装置 11…冷媒排出管 11a…一端 11b…他端 12…ファン 13…冷媒充填部 14…冷媒供給管 14a…一端 14b…他端 20…加熱部 21…ジャケット 22…伝熱面 30…冷却部 31…上流ヘッダ 32…管束 33…下流ヘッダ 34…フィンチューブ 40…負圧調整部 41…真空ポンプ 42…真空引きライン 210…冷却装置 215…外筒 240…負圧調整部 243…エジェクタ 244…送風ライン 244a…一端 244b…他端 310…冷却装置 320…加熱部 321…ジャケット 323…フィン 410…冷却装置 420…加熱部 424…基板 425…伝熱面 A1…空気 A2…駆動流 A3…気体 R…冷媒 RG…気相冷媒 RL…液相冷媒 S…貯留空間
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