IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本製紙クレシア株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-ペット用吸収性物品 図1
  • 特開-ペット用吸収性物品 図2
  • 特開-ペット用吸収性物品 図3
  • 特開-ペット用吸収性物品 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063436
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】ペット用吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A01K 23/00 20060101AFI20240502BHJP
【FI】
A01K23/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171379
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 伸匡
(72)【発明者】
【氏名】藤本 慎一
(57)【要約】
【課題】ペット用吸収性物品が折り畳まれた状態で複数枚積層されて包装される場合であっても、ペット用吸収性物品を取り出して広げる際に、フックテープによる破損を防止することが可能なペット用吸収性物品を提供する。
【解決手段】本開示に係るペット用吸収性物品10は、液透過性のトップシート21と、液不透過性のバックシート22と、トップシート21とバックシート22との間に配置された吸収体23とを有し、第1方向に長尺な本体部20と、本体部20の第1方向の一端部に設けられ、本体部20の第1方向の他端側に対して着脱可能なフックテープ30と、フックテープ30に対して取り外し可能に取り付けられてフックテープ30を覆う被覆シート40と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収体とを有し、第1方向に長尺な本体部と、
前記本体部の前記第1方向の一端部に設けられ、前記本体部の前記第1方向の他端側に対して着脱可能なフックテープと、
前記フックテープに対して取り外し可能に取り付けられて前記フックテープを覆う被覆シートと、を備える
ことを特徴とするペット用吸収性物品。
【請求項2】
前記被覆シートは、坪量が10gsm以上40gsm以下の不織布である
ことを特徴とする請求項1に記載のペット用吸収性物品。
【請求項3】
前記被覆シートは、前記フックテープの全域を覆う
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のペット用吸収性物品。
【請求項4】
前記フックテープは、前記第1方向と交叉する第2方向に沿って延び、
前記被覆シートの前記第2方向の長さは、前記フックテープの前記第2方向の長さよりも長い
ことを特徴とする請求項3に記載のペット用吸収性物品。
【請求項5】
前記被覆シートの前記第2方向の少なくとも一側は、前記フックテープの前記第2方向の前記一側の端から前記一側へ5mm以上15mm以下突出している
ことを特徴とする請求項4に記載のペット用吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ペット用吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、多くの家庭で犬や猫、その他のペットが飼育されている。それに伴い、排泄等に障害を有するペットが大幅に増加している。このようなペットには、排泄物で家庭内を汚さないように、例えば、ペット用吸収性物品が用いられている。ペット用吸収性物品は、人用のものと同様に、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これらの間に位置する吸収体と、を備える構造を有している。
【0003】
ペット用吸収性物品は、ペットの臀部寄りの胴部に巻き付けるように装着されるものの、ペットがペット用吸収性物品による拘束を嫌がり、動き回ることから、ペット用吸収性物品を正確に装着し難いという課題がある。ペット用吸収性物品を正確に装着しないと、ペットが窮屈がってペット用吸収性物品のペットにとっての装着感が低下し、場合によっては勝手に脱いでしまうこともある。このような課題を解決するため、従来から種々の提案がなされている。
【0004】
特許文献1には、液透過性の表面層と、液不透過性の裏面層と、これらの間に配置される吸収体と、を備え、互いに対向する第1端部及び第2端部と、第1端部及び第2端部に直交し互いに対向する一対の側部と、を有して矩形形状に構成され、ペットの胴回りに巻きつけられた状態で、第1端部がペットの身体側に配置されると共に、第2端部が第1端部の外面に着脱可能に取り付けられるペット用吸収性物品であって、ペット用吸収性物品の長手方向に沿って伸長状態で配置される弾性部材を更に備え、第1端部には、第2端部よりも剛性の大きい高剛性部が形成され、第1端部の外面には、複数のフック部が設けられた帯状のテープ部材が取り付けられ、第2端部の内面は、テープ部材に係合する係合部材を別途取り付けることなく、少なくとも表面層を構成する不織布により構成され、第2端部側は、第1端部側と対称に構成されるペット用吸収性物品が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5924753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、一般的に、ペット用吸収性物品は、折り畳まれた状態で複数枚積層されて、包装材によって包装されて製品化されている。
【0007】
特許文献1に記載のペット用吸収性物品では、第1端部の外面には、複数のフック部が設けられた帯状のテープ部材が取り付けられ、第2端部の内面は、少なくとも表面層を構成する不織布により構成されている。このように、ペット用吸収性物品をペットの胴部に巻き付けて装着する際に使用するフックテープを設けた場合、折り畳まれて包装されたペット用吸収性物品を包装材から取り出して広げる際に、フックテープに当接していた部分の表面材が毛羽立ち、破損する可能性がある。
【0008】
そこで、本開示は、ペット用吸収性物品が折り畳まれた状態で複数枚積層されて包装される場合であっても、ペット用吸収性物品を取り出して広げる際に、フックテープによる破損を防止することが可能なペット用吸収性物品の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様のペット用吸収性物品は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収体とを有し、第1方向に長尺な本体部と、前記本体部の前記第1方向の一端部に設けられ、前記本体部の前記第1方向の他端側に対して着脱可能なフックテープと、前記フックテープに対して取り外し可能に取り付けられて前記フックテープを覆う被覆シートと、を備える。
【0010】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様のペット用吸収性物品であって、前記被覆シートは、坪量が10gsm以上40gsm以下の不織布である。
【0011】
本発明の第3の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様のペット用吸収性物品であって、前記被覆シートは、前記フックテープの全域を覆う。
【0012】
本発明の第4の態様は、上記第3の態様のペット用吸収性物品であって、前記フックテープは、前記第1方向と交叉する第2方向に沿って延び、前記被覆シートの前記第2方向の長さは、前記フックテープの前記第2方向の長さよりも長い。
【0013】
本発明の第5の態様は、上記第4の態様のペット用吸収性物品であって、前記被覆シートの前記第2方向の少なくとも一側は、前記フックテープの前記第2方向の前記一側の端から前記一側へ5mm以上15mm以下突出している。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、ペット用吸収性物品が折り畳まれた状態で複数枚積層されて包装される場合であっても、ペット用吸収性物品を取り出して広げる際に、フックテープによる破損を防止することが可能なペット用吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るペット用吸収性物品の肌側からの平面図である。
図2】ペット用吸収性物品の非肌側からの平面図である。
図3図1のIII-III矢視断面図である。
図4】折り畳んだ状態のペット用吸収性物品を示す概略図であって、(a)は3つ折りにした状態を、(b)は4つ折りにした状態を、(c)は2つ折りにした状態を、それぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るペット用吸収性物品10について説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係るペット用吸収性物品の肌側からの平面図である。図2は、ペット用吸収性物品の非肌側からの平面図である。図3は、図1のIII-III矢視断面図である。なお、図3では、ペット用吸収性物品の断面を概略的に示している。また、各図は、ペット用吸収性物品10の構成部材の寸法の大小関係を規定するものではなく、各構成部材の寸法は、ペット用吸収性物品10の用途、使用対象とするペットの種類等に応じてそれぞれ広い範囲から適宜選択できる。
【0018】
本明細書において、ペット用吸収性物品10の装着とは、体液吸収の前後を問わず、ペット用吸収性物品10をペットである動物の身体(胴)に巻き付けて取り付けた状態をいう。また、ペット用吸収性物品10の第1方向とは、ペット用吸収性物品10を装着したときにペットの胴の周方向に沿う方向をいい、図中の矢印Xに沿った方向である。また、ペット用吸収性物品10の第2方向とは、第1方向と交叉(直交)する方向をいい、図中の矢印Yに沿った方向である。また、ペット用吸収性物品10の厚み方向とは、各構成部材を積層する方向をいい、図中の矢印Zに沿った方向である。また、ペット用吸収性物品10の肌側とは、厚み方向のうちペット用吸収性物品10を装着した際にペットの身体側に向かう方向をいい、非肌側とは、厚み方向のうち肌側とは反対の方向をいう。また、体液とは、尿や血液、軟便中の水分等のペットの体内から体外に排出された液体をいう。
【0019】
<ペット用吸収性物品>
本実施形態に係るペット用吸収性物品10は、ペット(例えば、犬、猫等)に装着するものであり、特にペットのオスに好適に用いられる。ペット用吸収性物品10は、折り畳まれた状態で複数枚積層されて、包装材によって包装されて製品化される。本実施形態に係るペット用吸収性物品10は、第1方向(長手方向)の寸法が例えば350mm以上550mm以下の範囲であり、第2方向(短手方向)の寸法が例えば150mm以上250mm以下の範囲である。
【0020】
図1図3に示すように、ペット用吸収性物品10は、本体部20と、フックテープ30と、被覆シート40とを備える。
【0021】
<本体部>
本体部20は、装着時に肌側に位置する液透過性のトップシート21と、装着時に非肌側に位置する液不透過性のバックシート22と、トップシート21とバックシート22との間に配置される吸収体23とを、基本構成単位として有し、第1方向に長尺に形成される。本体部20は、必要に応じて、公知の様々な改変を施してもよい。例えば、本実施形態のように、本体部20は、上記基本構成に加えて、吸収体23を全体的に包む吸収紙24と、トップシート21の肌側に設けられた一対の立体ギャザー25と、バックシート22の非肌側に貼り付けられた外装シート26とを有してもよい。
【0022】
(トップシート)
トップシート21は、体液が吸収体23へと移動するような液透過性を備えた基材から形成されていればよい。本実施形態のトップシート21の一部は、後述するフックテープ30に係止可能となっており、ペット用吸収性物品10を止着する機能を有している。トップシート21の基材の一例としては、例えば、親水性シート、同種又は異種の親水性シートの積層体である複合不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム等が挙げられる。親水性シートとしては、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂からなる合成繊維、レーヨン等の再生繊維、綿等の天然繊維等を用いて作製された、エアスルー不織布、サーマルボンド不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布等が挙げられる。これらの中でも不織布が好ましく、風合い、フックテープ30との係合性等の観点からエアスルー不織布がより好ましい。
【0023】
トップシート21には、フックテープ30の繰り返しの着脱に対する耐久力及び液透過性を向上させるために、表面にエンボス加工や穿孔加工を施してもよい。これらのエンボス加工や穿孔加工を施すための方法としては、公知の方法を制限なく実施することができる。また、肌への刺激を低減させるため、トップシート21には、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を含有させてもよい。トップシート21の坪量は、強度、加工性及び液戻り量の観点から、例えば、15g/m以上120g/m以下であることが好ましい。トップシート21の形状は、特に制限されるものではないが、体液を漏れがないように吸収体23へと誘導するため、吸収体23を覆う形状であればよい。
【0024】
(バックシート)
バックシート22は、吸収体23が保持している体液の非肌側への漏れがないように液不透過性を備えた基材を用いて形成されていればよく、樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布とを積層した複合シートといった材料から形成される。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布等の複数の同種及び/又は異種の不織布を積層した複合不織布及びこれらの複合材料が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等が挙げられる。
【0025】
バックシート22の坪量は、強度及び加工性の観点から、15g/m以上60g/m以下であることが好ましく、15g/m以上40g/m以下であることがより好ましい。また、着用時の蒸れを防止するため、バックシート22には、通気性を持たせることが好ましい。バックシート22に通気性を備えさせるためには、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合したり、バックシート22にエンボス加工を施したりすればよい。なお、フィラーとしては炭酸カルシウムを挙げることができ、その配合方法は、公知の方法を制限なく行うことができる。例えば、樹脂とフィラーとを混練し、得られた混練物をフィルム状に成形し、得られたフィルムからフィラーを除去することにより、多孔性(通気性)樹脂フィルムを得ることができる。
【0026】
(外装シート)
外装シート26は、通気性および不透液性を備えた基材から形成され、バックシート22の非肌側の面(以下、「非肌側面」と称する。)に貼り付けられる。外装シート26としては、サーマルボンド不織布、エアースルー不織布、スパンボンド不織布等の不織布、好ましくはエアースルー不織布又はスパンボンド不織布であって、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂からなる不織布を用いることができる。
【0027】
(吸収体)
吸収体23は、トップシート21とバックシート22との間に配置され、トップシート21を透過してきた体液を吸収及び保持する。吸収体23は、第1方向(長手方向)の寸法(最大長さ)が、例えば、150mm以上350mm以下の範囲であり、第2方向(幅方向)の寸法(最大幅)が、例えば、80mm以上200mm以下の範囲である。吸収体23の全面又は一部にエンボス加工を施してもよい。吸収体23の平面視形状としては、例えば、Iの字状、長方形、4角が丸まった角丸四角形、長円等が挙げられる。
【0028】
吸収体23には、例えば、吸収基材として、吸収性繊維と、高吸収性ポリマーとを含有するものがある。
【0029】
(吸収性繊維)
吸収性繊維は、一般に生理用ナプキンや紙おむつ、尿取りパッド等の吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ、コットン、レーヨン、アセテート、ティシュー、吸収紙、親水性不織布等が挙げられる。これらの中でも、吸収性の観点から、フラッフパルプが好ましい。フラッフパルプとしては、木材パルプ(例えば、サウザンパインやダグラスファー等の針葉樹晒クラフトパルプ(N-BKP))、合成繊維、樹脂繊維、非木材パルプ等の綿状解繊物等が挙げられる。吸収体23に吸収性繊維としてフラッフパルプを用いた場合、吸収性繊維の坪量は、例えば100g/m以上300g/m以下の範囲であることが好ましく、140g/m以上200g/m以下の範囲であることがより好ましい。これにより、肌触りを損なわずに、より多くの体液を吸収できる。
【0030】
(高吸収性ポリマー)
高吸収性ポリマー(以下「SAP」ともいう)としては、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、ポリアクリル酸塩、ポリアスパラギン酸塩、(デンプン-アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸-ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン-無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物等が挙げられる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸塩が好ましく、ポリアクリル酸アルカリ金属塩がより好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムが更に好ましい。高吸収性ポリマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0031】
高吸収性ポリマーは、例えば、粒子状、繊維状等の形態で用いられるが、取扱い易さ等の観点から好ましくは粒子状で用いられる。このとき、粉体としての流動性が悪い微粉末の高吸収性ポリマーの使用を避け、中位粒子径を有する高吸収性ポリマーを用いることにより、吸収に関する基本性能を高め、かつ、吸収体23が硬くなることにより発生するごつごつとした触感を低減することができる。高吸収性ポリマーの中位粒子径は、例えば、50μm以上600μm以下の範囲であることが好ましく、100μm以上500μm以下の範囲であることがより好ましい。
【0032】
吸収体23中のSAPの坪量は、例えば、80g/m以上350g/m以下の範囲であることが好ましく、100g/m以上250g/m以下の範囲であることがより好ましい。SAPの坪量を前述の数値範囲内とすることで、吸収体23でのゲルブロッキングを防止し、かつ、吸収体23に多量の体液を吸収させることができる。また、吸収体23において、吸収体23全体の重量に対する、高吸収性ポリマーの重量の比率である、(高吸収性ポリマーの重量/吸収体23全体の重量)×100(%)は、例えば、15重量%以上の範囲であることが好ましく、15重量%以上70重量%以下の範囲であることがより好ましい。
【0033】
吸収体23において、吸収性繊維及びSAPの形態は、吸収性繊維中にSAP粒子を混合して形成したものでもよく、吸収性繊維間にSAP粒子を固着したSAPシートでもよい。また、別形態の吸収体23として、複数枚の親水性不織布と、親水性不織布間に固着された高吸収性ポリマーと、を含む吸収性シートを用いることもできる。
【0034】
(吸収紙)
本実施形態では、吸収体23全体を吸収紙24で包んでもよい。吸収紙24としては、この分野で常用される親水性シートをいずれも使用でき、例えば、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布、エアレイド不織布、エアスルー不織布、パルプ含有不織布等の親水性不織布、ティシュペーパー、吸収紙等が挙げられる。親水性不織布の中でも、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、パルプ含有不織布等の親水性不織布がより好ましく、ティシュペーパー(クレープ紙)、必要に応じて親水処理を施したスパンボンド不織布等がさらに好ましい。ティシュペーパーは、坪量が10g/m以上30g/m以下の範囲であることが好ましく、厚みが0.03mm以上0.15mm以下の範囲であることが好ましい。また、スパンボンド不織布は、坪量が10g/m以上30g/m以下の範囲であることが好ましく、厚みが0.1mm以上0.8mm以下の範囲であることが好ましい。なお、厚みはシックネスゲージ(株式会社尾崎製作所製のダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK」)を用いて測定する。測定条件は、測定荷重3.7kPa、測定子直径30mmで、測定子と測定台の間に試料を置き、測定子を1秒間に1mm以下の速度で下ろしたときのゲージを読み取る。また、測定を10回繰り返して測定結果を平均する。なお、測定は10枚を重ねて測定し、値を1/10にして、厚みの値とする。
【0035】
(立体ギャザー)
立体ギャザー25は、例えば、ペット用吸収性物品10を着用したペットが排泄した体液の横漏れを防止するために、吸収体23の第2方向の両端付近で吸収体23の長さ方向に沿ってトップシート21の肌側の表面に固定される。立体ギャザー25は、撥水性及び/又は防水性のシート部材25aと、弾性伸縮部材25bとを含む。
【0036】
シート部材25aは撥水性及び/又は防水性を有するシートであり、例えば不織布から構成される。ここで不織布としては、疎水性繊維にて形成された撥水性及び/又は防水性(液不透過性)の不織布を特に限定なく使用でき、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布積層体である複合不織布(SMS不織布)等が挙げられる。シート部材25aの目付は、例えば、10g/m以上20g/m以下の範囲である。シート部材25aは、第2方向の一端側がバックシート22の肌側の面(以下、「肌側面」と称する。)の第2方向の両端付近に第1方向に沿って固定され、第2方向の中間部分がトップシート21の肌側面の第2方向の両端付近に第1方向に沿って固定され、第2方向の他端側が自由端となっている。なお、シート部材25aの固定端(第2方向の一端)の固定位置は、本実施形態に限定されず、例えば、バックシート22の非肌側面、内部に吸収体23を収納したトップシート21とバックシート22との各縁辺の全部又は一部接合体の肌側面又は非肌側面の第2方向の両端付近、トップシート21の肌側面の第2方向の両端付近等が挙げられる。
【0037】
弾性伸縮部材25bは、シート部材25aの自由端付近に第1方向に沿って配設され、該自由端に起立性を付与し、シート部材25aの自由端及びその近傍領域をペットの体型に合わせて変形可能にする。弾性伸縮部材25bとしては、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリウレタン等からなる、糸状、紐状、帯状のものを適宜使用することができる。
【0038】
シート部材25aの第2方向の一端(固定端)側と、バックシート22の肌側面との間には、弾性伸縮部材27が設けられる。弾性伸縮部材27は、シート部材25a及びバックシート22に対して、第1方向に沿った状態で固定される。弾性伸縮部材27は、本体部20の第2方向の両端部を、ペットの体型に合わせて変形可能にする。すなわち、弾性伸縮部材27は、サイドギャザーとして機能する。弾性伸縮部材27としては、弾性伸縮部材25bと同様に、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリウレタン等からなる、糸状、紐状、帯状のものを適宜使用することができる。
【0039】
<フックテープ>
フックテープ30は、ペット用吸収性物品10をペットに装着する際に、本体部20の第1方向の両端側を互いに止めるためのテープであって、本体部20の第1方向の一端部に設けられる。本実施形態では、フックテープ30は、本体部20の第1方向の一端部の外装シート26の非肌側面に固定される。すなわち、本実施形態のフックテープ30は、本体部20の第1方向の一端部の非肌側面20aに固定される。フックテープ30は、第2方向に沿って帯状に延びる。本実施形態では、ペット用吸収性物品10をペットの胴に巻き付けた状態で、フックテープ30を、本体部20の第1方向の他端側の肌側面20b(例えばトップシート21の肌側面)に係止することによって、ペット用吸収性物品10をペットに装着する。フックテープ30には、本体部20の肌側面20b(例えば、トップシート21の肌側面)に係合可能な材料を使用でき、例えば、面ファスナーのフック材等が挙げられる。
【0040】
なお、本実施形態では、第2方向に沿って帯状に延びるフックテープ30としたが、これに限定されるものではなく、例えば、複数のフックテープを第2方向に互いに離間させた状態で並べて配置してもよい。また、本実施形態では、フックテープ30を、本体部20の第1方向の一端部の非肌側面20aに設けたが、これに限定されるものではなく、本体部20の第1方向の一端部の肌側面20b(トップシート21側)にフックテープ30を設けてもよい。この場合、フックテープ30は、本体部20の第1方向の他端側の非肌側面20aに係止可能となる。また、本体部20の第1方向の他端側に、フックテープ30に係止可能な面ファスナーのループ材等を固定してもよい。
【0041】
<被覆シート>
被覆シート40は、未使用時のペット用吸収性物品10が折り畳まれている状態(以下、「折り畳み状態」という。)で、フックテープ30に対向する他のシートをフックテープ30のフックから保護するためのシートであって、フックテープ30に取り外し可能に取り付けられてフックテープ30を覆う。被覆シート40は、可撓性を有し、接着剤等を介することなく、フックテープ30に取り付け可能である。ペット用吸収性物品10をペットに装着する際には、被覆シート40をフックテープ30から取り外して使用する。
【0042】
被覆シート40としては、例えば、フックテープ30に着脱可能な不織布が好ましい。不織布としては、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブローン不織布/スパンボンド不織布積層体である複合不織布(SMS不織布)等の複数の同種及び/又は異種の不織布を積層した複合不織布、及びこれらの複合材料が挙げられる。これらの不織布の材質は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、レーヨン、ナイロン等の一般に不織布で使用されている材質から選択することができる。特に、強度とコストの観点から、ポリプロピレン製のスパンボンド不織布、又はメルトブローン不織布、又はこれらの複合不織布が好ましい。
【0043】
被覆シート40に使用される不織布の坪量は、10gsm以上40gsm以下であることが好ましく、15gsm以上30gsm以下であることがより好ましい。不織布の坪量が10gsmよりも低いと、フックテープ30に取り付けた際にフックが突き抜け易く、折り畳み状態でフックテープ30に対向する他のシートを保護する効果(以下、単に「他のシートの保護効果」という。)が低下する可能性がある。また、被覆シート40をフックテープ30から取り外す際に、被覆シート40が破れてしまい、剥がし難くなる可能性がある。一方、不織布の坪量が40gsmよりも高いと、他のシートの保護効果を必要以上に高めることとなり、無駄にコストが上昇する。
【0044】
被覆シート40の大きさは、フックテープ30の全域を覆う大きさであることが好ましい。また、被覆シート40の第2方向の長さは、フックテープ30の第2方向の長さよりも長いことが好ましい。この場合、被覆シート40の第2方向の少なくとも一側は、フックテープ30の第2方向の上記一側の端から一側へ5mm以上15mm以下突出していることが好ましい。本実施形態では、被覆シート40は、フックテープ30の全域を覆い、被覆シート40の第2方向の両側が、フックテープ30の第2方向の両端30aよりも第2方向の外側へ突出している。
【0045】
次に、折り畳み状態のペット用吸収性物品10について説明する。
【0046】
図4は、折り畳んだ状態のペット用吸収性物品を示す概略図であって、(a)は3つ折りにした状態を、(b)は4つ折りにした状態を、(c)は2つ折りにした状態を、それぞれ示す。
【0047】
図4に示すように、ペット用吸収性物品10は、折り畳まれた状態で複数枚積層されて、包装材によって包装されて製品化される。ペット用吸収性物品10を折り畳む場合には、衛生面の観点から、本体部20の肌側面20bが表面に露出しないように、トップシート21側を内側にして折り畳む。
【0048】
図4(a)に示すように、ペット用吸収性物品10の第1方向(長手方向)の両側を第1方向の内側へ折り返して、ペット用吸収性物品10を3つ折りにする場合、フックテープ30を設けた第1方向の一端部側を他端部側よりも先に折り返すと、フックテープ30は、本体部20の肌側面20bに対向する。この場合、フックテープ30は、被覆シート40に覆われているので、フックテープ30と、これに対向する位置にある肌側面20bを構成する他のシート(例えばトップシート21)との間に、被覆シート40が介在する。一方、ペット用吸収性物品10の第1方向の他端部側を、フックテープ30を設けた第1方向の一端部よりも先に折り返すと、フックテープ30は、折り畳み状態のペット用吸収性物品10の表面側(図4(a)に二点鎖線で示す位置)に位置することになり、その上に重ねられる他のペット用吸収性物品(図示省略)の非肌側面に対向する。この場合、フックテープ30は、被覆シート40に覆われているので、フックテープ30と、これに対向する位置にある他のペット用吸収性物品の非肌側面を構成する他のシート(例えば外装シート26)との間に、被覆シート40が介在する。
【0049】
図4(b)に示すように、ペット用吸収性物品10を第1方向の真ん中で半分に折り返し、その後、更に半分に折り返して、ペット用吸収性物品10を4つ折りにする場合、2回目の折り返しの際にフックテープ30が内側になるように折り返すと、フックテープ30は、本体部20の非肌側面20aに対向する。この場合、フックテープ30は、被覆シート40に覆われているので、フックテープ30と、これに対向する位置にある非肌側面20aを構成する他のシート(例えば外装シート26)との間に、被覆シート40が介在する。一方、2回目の折り返しの際にフックテープ30が外側になるように折り返すと、フックテープ30は、折り畳み状態のペット用吸収性物品10の表面側(図4(b)に二点鎖線で示す位置)に位置することになり、その上に重ねられる他のペット用吸収性物品(図示省略)の非肌側面に対向する。この場合、フックテープ30は、被覆シート40に覆われているので、フックテープ30と、これに対向する位置にある他のペット用吸収性物品の非肌側面を構成する他のシート(例えば外装シート26)との間に、被覆シート40が介在する。
【0050】
図4(c)に示すように、ペット用吸収性物品10を第1方向の真ん中で半分に折り返して、ペット用吸収性物品10を2つ折りにする場合、フックテープ30は、その上に重ねられる他のペット用吸収性物品10a(図4(c)中の上側のペット用吸収性物品)の非肌側面に対向する。この場合、フックテープ30は、被覆シート40に覆われているので、フックテープ30と、これに対向する位置にある他のペット用吸収性物品10aの非肌側面を構成する他のシート(例えば外装シート26)との間に、被覆シート40が介在する。
【0051】
上記のように構成されたペット用吸収性物品10では、フックテープ30に対して取り外し可能に取り付けられてフックテープ30を覆う被覆シート40を備える。このため、上述したように、折り畳み状態のペット用吸収性物品10のフックテープ30と、このフックテープ30に対向する上記他のシート(ペット用吸収性物品10自身の肌側面20b又は非肌側面20aを構成するシートや、他のペット用吸収性物品のシート)との間に被覆シート40が介在する。これにより、包装された製品から新しいペット用吸収性物品10を取り出す際や、取り出してから折り畳み状態のペット用吸収性物品10を広げる際に、フックテープ30による上記他のシートの破損を防止することができる。
【0052】
このように、本実施形態によれば、ペット用吸収性物品10が折り畳まれた状態で複数枚積層されて包装される場合であっても、ペット用吸収性物品10を取り出して広げる際に、フックテープ30による破損を防止することが可能なペット用吸収性物品10を提供することができる。
【0053】
また、フックテープ30の全域を被覆シート40で覆うことによって、フックテープ30による上記他のシートの破損を確実に防止することができる。
【0054】
また、被覆シート40の第2方向の長さを、フックテープ30の第2方向の長さよりも長くすることによって、被覆シート40をフックテープ30から取り外す際に、被覆シート40の第2方向の端部を把持して、被覆シート40を容易に取り外すことができる。また、被覆シート40の第2方向の少なくとも一側を、フックテープ30の第2方向の上記一側の端から一側へ5mm以上15mm以下突出させることによって、被覆シート40をフックテープ30から取り外す際に、被覆シート40の第2方向の上記一側の端部を、確実に把持することができ、被覆シート40を容易に取り外すことができる。
【0055】
なお、本実施形態では、図4に示す3つの折り畳み状態を説明したが、ペット用吸収性物品10の折り畳み方はこれらに限定されるものではなく、様々な折り畳み方を適用することができる。
【0056】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0057】
10:ペット用吸収性物品
20:本体部
21:トップシート
22:バックシート
23:吸収体
30:フックテープ
40:被覆シート
図1
図2
図3
図4