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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063440
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】空調装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/65 20180101AFI20240502BHJP
   F24F 13/22 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
F24F11/65
F24F1/0007 361C
F24F13/22 225
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171394
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】莅戸 智史
【テーマコード(参考)】
3L050
3L260
【Fターム(参考)】
3L050BD02
3L050BD04
3L050BD05
3L260AB02
3L260BA34
3L260CB63
3L260DA05
3L260DA15
3L260FA02
(57)【要約】
【課題】ファン又は送風路のゴミや塵を自動で除去できる空調装置を提供する。
【解決手段】空気取入口41及び空気吹出口42が開けられているケース40と、送風を行なうファン33と、ファン33の送風する空気を空気吹出口42にガイドするガイド面部45と、ファン33又はガイド面部45を清掃する清掃機構50を有する空調装置において、空調運転終了後にケース内結露用冷房運転を行い、ケース内結露用冷房運転終了後にケース内結露用送風運転を行い、ケース内結露用送風運転終了後に清掃機構50による清掃運転を行うので、ファン33又はガイド面部45に十分な結露を発生させ、ファン33又はガイド面部45に付着したゴミやホコリが十分に水分を含ませて柔らかくし、ケース内結露用送風運転終了後のファン33又はガイド面部45の清掃運転により、ファン33又はガイド面部45に付着したゴミやホコリを容易に取ることができる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの空気を取り入れ可能な空気取入口及び取り入れられた空気を外部へ吹出し可能な空気吹出口が開けられているケースと、このケースに回転可能に支持され回転することにより送風を行なうファンと、前記ケースに形成され前記ファンの送風する空気を前記空気吹出口に向かってガイドするガイド面部と、前記ファンを清掃するファン清掃機構又は前記ガイド面部を清掃するガイド面部清掃機構を有する清掃機構とを備えた空調装置において、空調運転終了後にケース内結露用冷房運転を行い、該ケース内結露用冷房運転終了後にケース内結露用送風運転を行い、該ケース内結露用送風運転終了後に前記清掃機構による清掃運転を行うことを特徴とする空調装置。
【請求項2】
前記ケース内結露用送風運転に於いて、暖房サイクルで圧縮機を駆動することを特徴とする請求項1記載の空調装置。
【請求項3】
前記ファン又は前記ガイド面部が結露発生可能温度であるかを推定する推定手段を設け、該推定手段が前記ファン又は前記ガイド面部が前記結露発生可能温度以下であると推定した場合は、前記ケース内結露用冷房運転を行わずに前記ケース内結露用送風運転を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の空調装置。
【請求項4】
前記清掃運転を行った後に、内部乾燥運転を行うことを特徴とする請求項3記載の空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は室内の温度を調節するための空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものでは、壁に固定されているケースと、このケースに収納され回転することにより室内に送風するファンと、このファンに当接可能に設けられファンを清掃するためのブラシ部と、を有する空調装置があり、ブラシ部をファンに当接させた状態でファンを回転させることにより、ファンに付着した塵埃を除去していた。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-143961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この従来のものでは、空調運転終了後、ブラシ部によりファンの清掃運転を行っているが、内部乾燥運転終了後にブラシ部によりファンの清掃運転を行う場合、内部乾燥運転によってファンや送風路に付いたゴミやホコリが乾燥して固くこびりついた状態となり、清掃運転により取り除きにくくなるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、外部からの空気を取り入れ可能な空気取入口及び取り入れられた空気を外部へ吹出し可能な空気吹出口が開けられているケースと、このケースに回転可能に支持され回転することにより送風を行なうファンと、前記ケースに形成され前記ファンの送風する空気を前記空気吹出口に向かってガイドするガイド面部と、前記ファンを清掃するファン清掃機構又は前記ガイド面部を清掃するガイド面部清掃機構を有する清掃機構とを備えた空調装置において、空調運転終了後にケース内結露用冷房運転を行い、該ケース内結露用冷房運転終了後にケース内結露用送風運転を行い、該ケース内結露用送風運転終了後に前記清掃機構による清掃運転を行うものである。
【0006】
又、請求項2では、前記ケース内結露用送風運転に於いて、暖房サイクルで圧縮機を駆動するものである。
【0007】
又、請求項3では、前記ファン又は前記ガイド面部が結露発生可能温度であるかを推定する推定手段を設け、該推定手段が前記ファン又は前記ガイド面部が前記結露発生可能温度以下であると推定した場合は、前記ケース内結露用冷房運転を行わずに前記ケース内結露用送風運転を行うものである。
【0008】
又、請求項4では、前記清掃運転を行った後に、内部乾燥運転を行うものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明の請求項1によれば、空調運転終了後にケース内結露用冷房運転を行ってケース内を結露が発生可能な低温にする。このとき、ケース内の熱交換器には結露が発生しているが、ケース内のファン又はガイド面部にはほとんど結露は発生していない。そこで、そのケース内結露用冷房運転終了後にケース内結露用送風運転を行うことで、水分の多い空気をケース内に取り入れ、さらにケース内に取り入れた空気がケース内の熱交換器を通過する際に、熱交換器に結露した結露水を取り入れて水分がとても多い空気となって結露可能な低温のファン又はガイド面部に吹き当たる。それによりファン又はガイド面部に十分な結露を発生させ、ファン又はガイド面部に付着したゴミやホコリが十分に水分を含んで柔らかくなり、ケース内結露用送風運転終了後のファン又はガイド面部の清掃運転により、ファン又はガイド面部に付着したゴミやホコリを容易に取ることができる。
【0010】
又、請求項2によれば、ケース内結露用送風運転に於いて、暖房サイクルで圧縮機を駆動するにより、ケース内に取り入れた空気がケース内の熱交換器を通過する際に温度が上昇して飽和水蒸気量が増加して空気中の水分をより多く含むことができ、熱交換器に結露した結露水を取り入れてより多くの水分を含んだ空気が結露可能な低温のファン又はガイド面部に吹き当たることで、ファン又はガイド面部に多くの結露を発生させことができる。
【0011】
又、請求項3によれば、ファン又はガイド面部が結露発生可能温度であるかを推定する推定手段を設け、推定手段がファン又はガイド面部が結露発生可能温度以下であると推定した場合は、ケース内結露用冷房運転を行わずにケース内結露用送風運転を行うので、ケース内結露用冷房運転を行わないことで、清掃運転終了までの時間を短縮できるとともに、空調運転終了後のケース内結露用冷房運転による電力の消費を抑えることができる。
【0012】
又、請求項4によれば、清掃運転を行った後に、内部乾燥運転を行うことで、清掃運転後のきれいなファン又はガイド面部にカビ等発生するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明の一実施形態の空調装置の模式図。
図2】同室内機の斜視図。
図3】同室内機に用いられているケースからファンが外された状態の斜視図。
図4】同室内機を右側面側から見た状態の断面図。
図5】同清掃機構の拡大図。
図6】同清掃機構の断面図。
図7】同制御ブロック図。
図8】同フローチャート図。
【0014】
次に、この発明を適用した一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明による空調装置10が示されている。空調装置10は、屋内Inを冷却する冷房機能と、屋内Inを暖房する暖房機能と、を備えている。
【0015】
又、図7で後述するように、空調装置10は、制御部300を備え、制御部300は、冷暖房運転を実施することができる。
【0016】
図1において、空調装置10は、屋外Ouに設けられた室外機20及び屋内Inに設けられた室内機30を備えてなる。室外機20と、室内機30とは、冷媒を循環させることができるよう互いに接続されている。以下、特に説明のない限り、冷媒の循環する方向は、冷房運転時を基準とする。
【0017】
室外機20は、冷房運転時及び暖房運転時における冷媒の循環する方向を切り替える四路切替弁21と、この四路切替弁21を通過した冷媒が流され冷媒を圧縮する圧縮機22と、この圧縮機22において圧縮され高温高圧となった冷媒が流れる室外熱交換器23と、この室外熱交換器23に向かって送風を行う室外ファン24と、室外熱交換器23を通過した冷媒を減圧する膨張弁25と、を有する。
【0018】
室内機30は、屋内Inにおいて壁Waに掛けて用いられる。室内機30のケース40は、支持板を介して壁Waに固定されている。左右方向に延びるケース40には、屋内Inの空気をケース40内に取り込み屋内Inへ送風を行うファン33と、このファン33が取り込んだ空気と熱交換を行う熱交換器34と、ケース40の内部に付着した塵埃を払拭可能な清掃機構50と、が収納されている。
【0019】
冷房運転時において、圧縮機22で高温高圧とされた冷媒は、室外熱交換器23において外気と熱交換を行い、熱を放出する。このとき、室外ファン24が作動することによって、外気を強制的に室外熱交換器23の外周に流し、熱交換を促す。室外熱交換器23を通過し熱を放出した冷媒は、膨張弁25において減圧され、温度が低下する。温度が低下した冷媒は、室内機30に送られる。
【0020】
室内機30のケース40には、ファン33が作動することにより空気が導入される。導入された空気は、熱交換器34の外周を通過し、屋内Inに送風される。熱交換器34には、室外機20において冷却された冷媒が供給されている。熱交換器34の外周を通過する空気は、冷媒と熱交換を行い、冷却される。屋内Inには、冷却された空気が送風される。
【0021】
暖房運転時には、四路切替弁21が冷媒の流路を切り替え、冷房運転時とは逆方向に冷媒を循環させる。
【0022】
図2を参照する。ケース40の上面には、外部(屋内In)からの空気を取り入れ可能な空気取入口41が開けられている。
ケース40の前下部には、外部(屋内In)へ空気を吹出し可能な空気吹出口42が開けられている。
空気吹出口42には、空気吹出口42を開閉可能であるとともに、空気の吹き出す方向を上下方向に調整可能な上下ルーバー36が設けられている。
【0023】
図3及び図4を参照する。
又、上下ルーバー36(図2参照)の後方には、空気の吹き出す方向を左右方向に調整可能な左右ルーバー37が設けられている。
ケース40は、ファン33を回転可能に支持しているケース本体部43と、このケース本体部43に固定されケース本体部43の一部を覆っているカバー部44と、を有する。
【0024】
ケース40には、ファン33の送風する空気を空気吹出口42(図2参照)に向かってガイドするガイド面部45が形成されている。
ガイド面部45は、ファン33の軸線Cが延びる方向に沿ってケース40の長手方向に亘って形成されている。以下、ファン33とガイド面部45との間の空間を、送風された空気が流れる送風路APという。
【0025】
ガイド面部45は、ケース本体部43の前面とカバー部44の前面とによって形成されている。
以下、ガイド面部45のうち、ケース本体部43によって構成されている部位を本体側ガイド面部43aといい、カバー部44によって構成されている部位をカバー側ガイド面部44aということがある。
ガイド面部45という場合には、本体側ガイド面部43aとカバー側ガイド面部44aとの両方を含む。
【0026】
ケース本体部43には、清掃機構50の一部が収納されている伝達部収納部43bが形成されている。
【0027】
図4及び図5を参照する。伝達部収納部43bは、ケース本体部43の下部において後方に略U字状に突出している部位であり、ケース本体部43の長手方向に亘って形成されている。
伝達部収納部43bの前方はカバー部44によって覆われている。
【0028】
カバー部44は、カバー側ガイド面部44aの裏面から伝達部収納部43bに向かって突出しカバー部44を補強するリブ44bが形成されている。
【0029】
ケース本体部43とカバー部44との間には、所定の間隔の間隙である間隙部Spが形成されている。
間隙部Spは、略同一の幅でケースの長手方向に亘って形成されている。
【0030】
清掃機構50は、駆動部60と、この駆動部60によって駆動されガイド面部45に沿って移動可能であるとともにガイド面部45に付着した塵埃を払拭可能な払拭部70と、を有する。
【0031】
図6を参照する。
駆動部60は、ケース40の右端部に設けられ通電することにより作動するモータ61と、このモータ61に接続され払拭部70にモータ61の駆動力を伝達する駆動力伝達部62と、を有する。尚、モータ61は左端部に設けられていても良い。
【0032】
駆動力伝達部62は、伝達部収納部43bに収納されている。駆動力伝達部62は、モータ61の駆動力を伝達可能であり複数のギヤによって構成されるギヤ部62aと、このギヤ部62aに一体的に設けられギヤ部62aが回転することにより共に回転する駆動プーリ62bと、この駆動プーリ62bが回転することにより変位し払拭部70を支持している支持伝達部62cと、有する。
【0033】
又、駆動力伝達部62は、ケース本体部43の駆動プーリ62bが設けられるのとは逆側の端部に設けられている従動プーリを有する。
【0034】
支持伝達部62cには、歯付きロープ(シンクロメッシュロープ)を用いることができる。
支持伝達部62cは、ケース本体部43の左右両端にそれぞれ設けられた駆動プーリ62bと従動プーリとに、環状に掛け渡されている。
ロープ状の支持伝達部62cの両端は、それぞれ払拭部70に接続されて環状とされている、ということもできる。
【0035】
図4を参照する。払拭部70は、支持伝達部62cに接続され駆動部60が作動することにより左右方向に従動する従動部71と、この従動部71に回転可能に支持され上面が伝達部収納部43bに当接可能な第1ガイドローラ72と、従動部71に回転可能に支持され側面がリブ44bに当接している第2ガイドローラ73と、従動部71の先端に一体的に形成されガイド面部45に沿った形状を呈する払拭本体部74と、この払拭本体部74に設けられガイド面部45に当接しているガイド面部清掃機構であるシート75と、払拭本体部74からファン33に向かって延び先端がファン33に接触可能なファン清掃機構であるブラシ部76と、を有する。
【0036】
従動部71には、ワイヤ状の支持伝達部62cの両端が接続されている。
これにより、払拭部70と駆動部60とが連結されている。従動部71の先端は、間隙部Spを貫通して送風路APに臨んでいる。
【0037】
尚、払拭部70と駆動部60とは、ガイド面部45を挟んで磁石によって連結されていても良い。
【0038】
第1ガイドローラ72は、下面が伝達部収納部43bに当接していても良い。
又、第2ガイドローラ73は、右側の側面が伝達部収納部43bに当接していても良い。
尚、リブ44bが第2ガイドローラ73に当接可能な位置に形成されている場合には、カバー部44を補強するためのリブ44bによって、第2ガイドローラ73をガイドすることが可能となる。
【0039】
シート75は、不織布やスポンジ等によって構成することができる。
シート75は、払拭本体部74に対して着脱可能に設けられている。
【0040】
ブラシ部76は、払拭本体部74に対して前後方向にスイング可能に設けられている。
【0041】
次に清掃機構50によるガイド面部45及びファン33の清掃について説明する。
図6を参照する。
例えば、空調装置10は、運転停止信号を受けた後や操作者の操作による清掃指示信号を受けた際に清掃を開始する。
まず、モータ61が作動すると、ギヤ部62a及び駆動プーリ62bが回転する。
駆動プーリ62bが回転すると、支持伝達部62c上に設けられている払拭部70が左右方向に移動する。
【0042】
図4及び図5を参照する。
ガイド面部45にはシート75が当接し、ファン33にはブラシ部76が当接している。この状態で払拭部70が間隙部Spに沿って移動することにより、ガイド面部45に付着した塵埃はシート75により払拭され、ファン33に付着した塵埃もブラシ部76によって払拭される。
このとき、ファン33を回転させておくことにより全ての羽根を清掃することができる。
【0043】
払拭本体部74にシート75とブラシ部76の両方が設けられることにより、シート75とブラシ部76とは近接して配置されている。
このため、ブラシ部76によってファン33からガイド面部45に塵埃を落とし、シート75によって払拭することができる。
【0044】
清掃機構50の空気流れ下流側に左右ルーバー37(図3参照)が配置されているので、ファン33とガイド面部45との間の送風路APに手を入れて清掃することが困難であることから、ガイド面部45に沿って移動可能な清掃機構50を設けることで、簡易にガイド面部45に付着した塵埃を除去できる。
【0045】
次に、空調装置10(清掃機構50)の特徴を説明する。
図2を参照する。
空調装置10は、外部からの空気を取り入れ可能な空気取入口41及び取り入れられた空気を外部へ吹出し可能な空気吹出口42が開けられているケース40と、このケース40に回転可能に支持され回転することにより送風を行なうファン33と、を有する。
【0046】
図5を参照する。
又、ケース40には、ファン33の送風する空気を空気吹出口42(図2参照)に向かってガイドするガイド面部45がファン33の軸線Cが延びる方向に沿って形成されている。
又、ガイド面部45に付着した塵埃を払拭可能な清掃機構50を有する。
【0047】
清掃機構50は、ガイド面部45に沿って移動可能な払拭本体部74と、この払拭本体部74に着脱可能に設けられガイド面部45に付着した塵埃を払拭可能なシート75と、払拭本体部74からファン33まで延びファン33の清掃を行なうことが可能なブラシ部76と、を有する。
【0048】
ファン33とガイド面部45との間の送風路APには、手を入れることが難しく、清掃を行うことが困難であり、塵埃が溜まりやすい。
ガイド面部45に沿って移動可能な清掃機構50を設けることにより、ガイド面部45に付着した塵埃を払拭することができ、ガイド面部45を清掃することのできる空調装置の提供することができる。
【0049】
特に、ルーバー36、37(図2参照)を有する空調装置10は、送風路APの前下部にルーバー36、37があるため手を入れることが難しい。
清掃機構50は、ルーバー36、37を有する空調装置10に特に好ましい。
【0050】
さらに、払拭本体部74には、シート75の他にファン33の清掃を行うためのブラシ部76が設けられている。
払拭本体部74にシート75とブラシ部76の両方が設けられることにより、シート75とブラシ部76とは近接して配置されている。
このため、ブラシ部76によってファン33からガイド面部45に塵埃を落とし、シート75によって払拭することができる。
【0051】
図5及び図6を参照する。清掃機構50は、払拭本体部74を駆動するための駆動部60をさらに有する。
又、駆動部60は、通電することにより作動するモータ61と、このモータ61に接続され払拭本体部74にモータ61の駆動力を伝達する駆動力伝達部62と、を含む。
又、駆動力伝達部62(支持伝達部62c)は、ファン33の軸線Cに略平行に延びている。
【0052】
通常、空調装置10は、ファン33の軸線Cに沿う方向(左右方向)に長い。
駆動力伝達部62を軸線Cに略平行に伸ばすことにより、払拭部70を長手方向に移動させながら清掃を行うことができる。
幅方向(上下方向)に払拭部70を移動させる場合には、長手方向に亘って払拭部70を設ける必要がある。
このため、払拭部70を幅方向に移動させる場合に比べて払拭部70の小型化を図ることができる。
【0053】
又、払拭本体部74にシート75とブラシ部76とを設けているため、1つの払拭本体部74を移動させることにより、清掃を行うことができる。
払拭本体部74が1つであることにより、駆動部60も1つあれば良い。シート75とブラシ部76を駆動させるためにそれぞれ別の駆動部を設ける必要がない。
空調装置10の構成を簡易にし、部品コストを安価にすることができる。
【0054】
図7を参照する。
以下に、空調装置10の制御部300(107,207)の1構成例について、説明する。
制御部300は、例えば2つの制御部(第1制御部及び第2制御部)で構成され、図7において、制御部107(室内制御部)及び室外制御部207である。
【0055】
図7(又は図1)の室内機30は、入力部301を備えることができ、入力部301は、例えば赤外線受信モジュールであるリモコン入力部(リモートコントローラ入力部)であるが、これに限定されるものではない。
入力部301がリモコン入力部である場合に、操作者は、図示されないリモコン(リモートコントローラ)を介して、1例として、冷房運転又は暖房運転(運転モード)を選択可能である。
【0056】
これに応じて、制御部107は、入力部301又はリモコン入力部を介して、運転モードとして、冷房運転又は暖房運転を設定可能である。
具体的には、操作者がリモコンの例えば冷房ボタン(図示せず)を押す場合に、冷房運転の選択を表す信号がリモコンから送信され、リモコン入力部がその信号を受信し、制御部107は、冷房運転の選択を認識又は判定し、制御部107に冷房運転が設定される。
【0057】
制御部107は、例えばCPU、ROM、RAM等で構成されるマイコン(マイクロコンピュータ)であるが、これに限定されるものではない。
制御部107がマイコンである場合に、ROMは、CPUに所定の動作を実行させるプログラムを記憶し、RAMは、CPUのワーク領域を形成することができる。
又、ROMは、制御部107に設定された運転及びその運転を実行するために必要なデータを記憶することができる。
【0058】
制御部107がマイコンである場合に、制御部107は、その内部に記憶部(図示せず)を備えているが、空調装置10(室内機30、室外機20)は、制御部107、室外制御部207等の制御部300の外部に記憶部(室内記憶部、室外記憶部)を有しても良い。
言い換えれば、制御部300(制御部107,室外制御部207)は、様々なデータ(設定データを含む)を制御部300(制御部107,室外制御部207)の内部ないし外部に記憶することができる。
【0059】
制御部107に冷房運転が設定されるとき、制御部107は、冷房運転の開始を室外機20(配線109又は信号線を介して室外制御部207)に指示することができる。
次に、操作者がリモコンの例えば暖房ボタン(図示せず)を押す場合に、制御部107に暖房運転が設定されて、制御部107は、暖房運転の開始を室外機20(室外制御部207)に指示することができる。
【0060】
代替的に、操作者がリモコンの例えば停止ボタン(図示せず)を押す場合に、制御部107に、現在実施されている運転モード(例えば、冷房運転又は暖房運転)の停止が設定されて、制御部107は、冷房運転又は暖房運転の停止を室外機20(室外制御部207)に指示することができる。
又、冷房運転又は暖房運転が停止されたとき、ファン33又はガイド面部45が結露発生可能温度であるかを推定手段80が推定する。
【0061】
尚、リモコンは、例えば温度設定ボタン(図示せず)を有してもよく、室内機30は、例えば室温を検出する検出部(温度センサ)を有してもよく、操作者からの設定温度が制御部107に設定されても良い。
この場合、制御部107は、例えば室温に応じて、ファン33の回転数(冷房回転数、暖房回転数等)を調整しても良い。
好ましくは、制御部107に設定温度が設定されて、制御部107は、例えば室温と設定温度との差に応じて、ファン33の回転数(冷房回転数、暖房回転数等)を調整することができる。
【0062】
好ましくは、リモコンは、例えば自動清掃設定ボタン(図示せず)を有し、操作者からの操作(自動清掃のON(入)又はOFF(切))が制御部107に設定される。
自動清掃がONである場合、例えば冷房運転又は暖房運転が停止されるとき、室内機30は、少なくともファン33に付着した塵埃の除去を準備又は開始することができる。
言い換えれば、室内機30は、ガイド面部45に付着した塵埃を払拭可能なシート75を有するガイド面部清掃機構の代わりに、ファン33の清掃を行なうことが可能なブラシ部76を有するファン清掃機構を備えるだけでも良い。
【0063】
好ましくは、ファン清掃機構は、清掃機構50であり、自動清掃(清掃機構50の起動モード)がON(自動)である場合、例えば冷房運転又は暖房運転が停止されるとき、室内機30は、ファン33に付着した塵埃の除去だけでなく、ガイド面部45(ファン33とガイド面部45との間の送風路AP)に付着した塵埃の除去も準備又は開始する。
【0064】
好ましくは、空調装置10は、室内機30の内部を乾燥させる内部乾燥運転を実施することができる。
制御部107に内部乾燥運転が設定されるとき、制御部107は、内部乾燥運転を室外機20に指示することができる。
内部乾燥運転は、好ましくは、微弱な暖房運転(内部乾燥運転用の暖房運転)と送風運転(内部乾燥運転用の送風運転)とを交互に実施し、例えば、送風運転が3分間実施され、その後に、微弱な暖房運転が3分間実施される。
送風運転及び微弱な暖房運転がそれぞれ合計10回実施され、内部乾燥運転が合計60分間実施される。
【0065】
図8を参照する。
室内機30が、清掃機構として、シート75及びブラシ部76を備え、且つ、制御部107に、操作者からの操作として、自動清掃のON(入)が設定される場合において、言い換えれば、冷房運転若しくは除湿運転又は暖房運転の停止後に送風路AP(ファン33及びガイド面部45)の清掃が自動で実施されるように設定される場合において、空調装置10の制御部300(107,207)の制御について、説明する。
【0066】
ファン33とガイド面部45との間の送風路APの清掃が自動に設定される場合において、例えば、操作者がリモコンの例えば停止ボタンを押すことによってリモコンで生成された運転停止信号は、入力部301に入力又は受信される。
制御部107に設定された冷房運転若しくは除湿運転又は暖房運転の停止後に、推定手段80がファン33又はガイド面部45が結露発生可能温度以下であるかを推定する。
【0067】
尚、推定手段80は、運転中の設定温度や室温、運転時間、室内機30の熱交換器温度や室内機30の機内温度などにより、ファン33又はガイド面部45が結露発生可能温度以下であるかを推定する。
【0068】
推定手段80によりファン33又はガイド面部45が結露発生可能温度以下ではないと推定されると、ケース内結露用冷房運転が制御部107に設定され、制御部107は、冷房運転の開始を室外機20(配線109又は信号線を介して室外制御部207)に指示する。
他方、推定手段80によりファン33又はガイド面部45が結露発生可能温度以下であると推定されると、後述するケース内結露用送風運転が制御部107に設定され、制御部107は、ケース内結露用送風運転を開始する。
【0069】
そして制御部107は、ケース内結露用冷房運転が開始されると、ケース内結露用冷房運転の設定回転数(所定回転数)を通常の冷房運転時における回転数よりも低い回転数にしてファン33を回転させて低風量としながら、冷房運転として、圧縮機22の起動(ON:好ましくは、圧縮機22の最高回転数又は最高周波数でのON)を室外機20(室外制御部207)に指示し、例えば10分後に、圧縮機22は、停止(OFF)されるとともに、ファン33の回転数は、ゼロに向けて制御され、制御部107は、ケース内結露用冷房運転を終了させる。
【0070】
このケース内結露用冷房運転により、低風量で圧縮機22を例えば最大能力で起動させることで、ケース40内に冷気がたまってケース40内の温度が低下し、ケース40内の熱交換器34及びファン33及びガイド面部45の温度が低くなる。
この状態でケース40内に流入してくる空気はまず熱交換器34に当たって冷やされ、空気中の水分が熱交換器34に結露する。
その後、乾いた冷い空気がファン33及びガイド面部45に当たるが、すでに空気中の水分が熱交換器34で結露しているため、ファン33及びガイド面部45はほとんど結露していない状態となる。
【0071】
そして、ケース内結露用冷房運転を終了させた後、次にケース内結露用送風運転が制御部107に設定され、制御部107は、ケース内結露用冷房運転の設定回転数以上の回転数をケース内結露用送風運転での設定回転数(所定回転数)としてファン33を回転させながら、送風運転として、圧縮機22の停止(OFF)を室外機20(室外制御部207)に指示し、例えば5分後に、ファン33の回転数は、ゼロに向けて制御され、制御部107は、ケース内結露用送風運転を終了させる。
【0072】
このケース内結露用送風運転により、ケース内結露用冷房運転よりも多くの空気がケース40内に流入し、流入してくる空気はまず熱交換器34に当たって冷やされ、空気中の水分が熱交換器34に結露するが、圧縮機22が停止しているので熱交換器34の温度が段々と上昇し、熱交換器34に当たった空気の温度も段々と下がらなくなり、水分を含んだままファン33及びガイド面部45に当たる。
【0073】
このとき、熱交換器34に当たった空気の温度が段々と下がらなくなるので、熱交換器34の結露水の一部が熱交換器34に当たった空気に含まれるようになり、水分の多い状態でファン33及びガイド面部45に当たる。
【0074】
これによりケース内結露用冷房運転で低温となったファン33及びガイド面部45に結露が発生し、ファン33及びガイド面部45に付着したゴミや塵が結露水を吸った状態となる。
【0075】
そして、ケース内結露用送風運転の停止後、ファン33及び送風路APに付着した塵埃を除去するために、自動清掃運転が制御部107に設定され、制御部107は、払拭部70を駆動部60(モータ61)で左方向に移動を開始させるとともに、ファン33を超低回転数(例えば、50rpm)で駆動する(送風路クリーニングを開始する)。
【0076】
送風路クリーニングの開始によって、払拭部70は、ファン33の右端から左端側に向い、その後にブラシ部76がファン33の左端に到達する場合、より具体的には、例えばステッピングモータで構成させるモータ61を例えば5000パルスだけ例えば反時計回りに回転させる場合、制御部107は、モータ61を例えば5000パルスだけ例えば時計回りに逆回転させて、払拭部70を駆動部60(モータ61)で右方向に移動させる。
払拭部70が元の位置に戻るとき、制御部107は、払拭部70の駆動を終了(OFF)させるとともに、ファン33の駆動も終了(OFF)させる(送風路クリーニングを終了する)。
【0077】
この自動清掃運転によって、ファン33に付いた水分を含んだゴミや塵は、ブラシ部76によって除去され、又十分結露しているガイド面部45等の送風路は、シート75により水拭きされた状態となって水分を含んだゴミや塵が除去される。
【0078】
そして、自動清掃運転の停止後、制御部107に内部乾燥運転が設定され、制御部107は、内部乾燥運転を室外機20に指示する。
内部乾燥運転は、好ましくは、微弱な暖房運転(内部乾燥運転用の暖房運転)と送風運転(内部乾燥運転用の送風運転)とを交互に実施し、例えば、送風運転が3分間実施され、その後に、微弱な暖房運転が3分間実施される。
送風運転及び微弱な暖房運転がそれぞれ合計10回実施され、内部乾燥運転が合計60分間実施される。
【0079】
そして、内部乾燥運転が制御部107に設定される場合、制御部107は、内部乾燥運転用の送風運転の設定回転数(所定回転数)でファン33を回転させながら、送風運転として、圧縮機22の停止(OFF)を室外機20(室外制御部207)に指示し、例えば3分後に、微弱な暖房運転(通常の暖房運転よりも暖房能力が低く、好ましくは、最低の暖房能力を有する)として、圧縮機22の起動(ON:好ましくは、コンプレッサの最低回転数又は最低周波数でのON)を室外機20(室外制御部207)に指示する。例えば合計60分間の内部乾燥運転(例えば最後の10回目の微弱な暖房運転)が実施された後、圧縮機22は、停止(OFF)されるとともに、ファン33の回転数は、ゼロに向けて制御され、制御部107は、内部乾燥運転を終了させる。
【0080】
尚、ケース内結露用冷房運転の後にケース内結露用送風運転を行うが、ケース内結露用冷房運転の後にケース内結露用暖房運転を行ってもよい。
このケース内結露用暖房運転は、微弱な暖房運転(通常の暖房運転よりも暖房能力が低く、好ましくは、最低の暖房能力を有する)で、これにより熱交換器34の温度はケース内結露用冷房運転終了時よりも若干上昇するが、ファン33及びガイド面部45はほぼ低温のままの状態となる。
【0081】
この状態で水分を含んだケース40外の空気がケース40内に流入する。
流入してきた空気はまず熱交換器34に当たるが、ケース内結露用送風運転のときよりも熱交換器34の温度が上がっているため、熱交換器34に当たった後の空気の温度はケース内結露用送風運転のときよりも高い状態となる。
その温度が高い分だけ多くの水分を含むことができる状態の空気に、熱交換器34に結露していた水分の一部が湿気として含まれ、熱交換器34に当たった後の空気の湿度はケース内結露用送風運転のときよりも高い状態となる。
【0082】
この水分がケース内結露用送風運転のときよりも多い空気が、低温のファン33及びガイド面部45に当たることで、ファン33及びガイド面部45に発生する結露をケース内結露用送風運転のときよりも多くすることができ、ファン33及びガイド面部45に付着したゴミや塵がより多くの結露水を吸った状態となる。
これにより、多くの水分を含んだファン33に付いたゴミや塵は、ブラシ部76によって除去され、又多くの水分が結露しているガイド面部45等の送風路は、シート75により水拭きされた状態となって水分を含んだゴミや塵が除去される。
【0083】
尚、清掃機構として、ガイド面部清掃機構とファン清掃機構とが一体に駆動される形態で説明したが、別個に設けてそれぞれ独立して駆動されるようにしても良い。
又、清掃機構として、ガイド面部清掃機構とファン清掃機構の両方を備えた形態で説明したが、どちらか一方のみを備えた形態であっても良い。
【符号の説明】
【0084】
10 空調装置
33 ファン(室内ファン)
40 ケース
41 空気取入口
42 空気吹出口
45 ガイド面部
50 清掃機構
60 駆動部
61 モータ
62 駆動力伝達部
74 払拭本体部
75 シート
76 ブラシ部
80 推定手段
107、207、300 制御部
AP 送風路
C 軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8