IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日産自動車株式会社の特許一覧

特開2024-63442車両状態予測方法及び車両状態予測装置
<>
  • 特開-車両状態予測方法及び車両状態予測装置 図1
  • 特開-車両状態予測方法及び車両状態予測装置 図2
  • 特開-車両状態予測方法及び車両状態予測装置 図3
  • 特開-車両状態予測方法及び車両状態予測装置 図4
  • 特開-車両状態予測方法及び車両状態予測装置 図5
  • 特開-車両状態予測方法及び車両状態予測装置 図6
  • 特開-車両状態予測方法及び車両状態予測装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063442
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】車両状態予測方法及び車両状態予測装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/10 20060101AFI20240502BHJP
【FI】
B60W30/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171399
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】飯田 智晴
(72)【発明者】
【氏名】塩澤 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 雄哉
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA11
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CD10
3D241CD15
3D241CE04
3D241CE05
3D241DA13Z
3D241DA39Z
3D241DA52Z
3D241DB02Z
3D241DB05Z
3D241DB09Z
3D241DB12Z
3D241DB32Z
(57)【要約】
【課題】目標走行軌道に追従して走行した場合の複数の将来走行地点の各々における自車両の車両状態を現在走行地点に近い地点から順に予測する際に、車両状態が大きく変化する状況で増加する予測誤差を抑制する。
【解決手段】車両状態予測方法では、自車両が目標走行軌道に追従して走行した場合の複数の将来走行地点の各々における自車両の車両状態である予測車両状態を、現在走行地点に近い地点から順に予測する際に、現在走行地点に最も近い将来走行地点における予測車両状態を現在の自車両の車両状態に基づいて算出し、現在走行地点により近い将来走行地点における予測車両状態に基づいて現在走行地点からより遠い将来走行地点における予測車両状態を算出し(S4)、自車両がカーブ路を旋回する際に、自車両の車両状態の変化量が小さい場合よりも変化量が大きい場合に、予測車両状態を予測する地点の時間間隔又は距離間隔である予測間隔を短くする(S3)。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の目標走行軌道を生成し、
前記自車両の現在の車両状態を検出し、
前記自車両が前記目標走行軌道に追従して走行した場合の複数の将来走行地点の各々における前記自車両の車両状態である予測車両状態を、現在走行地点に近い前記将来走行地点から順に予測する際に、現在走行地点に最も近い前記将来走行地点における前記予測車両状態を現在の前記自車両の車両状態に基づいて算出するとともに、現在走行地点により近い前記将来走行地点における前記予測車両状態に基づいて現在走行地点からより遠い前記将来走行地点における前記予測車両状態を算出し、
前記自車両がカーブ路を旋回する際に、前記自車両の車両状態の変化量が小さい場合よりも前記変化量が大きい場合に、前記予測車両状態を予測する地点の時間間隔又は距離間隔である予測間隔を短くする、
ことを特徴とする車両状態予測方法。
【請求項2】
前記予測間隔は、一定周期の前記複数の将来走行地点の各々において予測される前記自車両の位置の間隔であり、且つ前記複数の将来走行地点の各々における前記自車両の車速に比例して設定することを特徴とする請求項1に記載の車両状態予測方法。
【請求項3】
前記自車両の車両状態の変化量が大きくなる場所で前記予測間隔が短くなることによって前記予測車両状態を予測する区間の全長が減少するのを、前記自車両の車両状態の変化量が小さくなる場所で前記予測間隔を長くすることによって補うことを特徴とする請求項1に記載の車両状態予測方法。
【請求項4】
前記予測間隔に上現又は下限の少なくとも一方を設定することを特徴とする請求項1に記載の車両状態予測方法。
【請求項5】
前記目標走行軌道上における前記自車両の目標車速を設定し、
現在走行地点に最も近い前記将来走行地点における前記予測車両状態を現在の前記自車両の車両状態と現在の車速とに基づいて算出するとともに、現在走行地点により近い前記将来走行地点における前記予測車両状態と前記目標車速とに基づいて現在走行地点からより遠い前記将来走行地点における前記予測車両状態を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両状態予測方法。
【請求項6】
前記自車両の目標横加速度を設定し、前記目標横加速度と、質点モデル又は車両モデルと、に基づいて前記目標車速を設定することを特徴とする請求項5に記載の車両状態予測方法。
【請求項7】
前記自車両の現在の車速と前記目標車速との間の変化量が小さい場合、又は前記目標車速における変化量が小さい場合は、現在走行地点に最も近い前記将来走行地点における前記予測車両状態を現在の前記自車両の車両状態と固定速度とに基づいて算出するとともに、現在走行地点により近い前記将来走行地点における前記予測車両状態と前記固定速度とに基づいて現在走行地点からより遠い前記将来走行地点における前記予測車両状態を算出することを特徴とする請求項5に記載の車両状態予測方法。
【請求項8】
前記固定速度は前記現在の車速であることを特徴とする請求項7に記載の車両状態予測方法。
【請求項9】
前記固定速度は前記目標車速の平均値であることを特徴とする請求項7に記載の車両状態予測方法。
【請求項10】
自車両の現在の車両状態を検出するセンサと、
前記自車両の目標走行軌道を生成する処理と、前記自車両が前記目標走行軌道に追従して走行した場合の複数の将来走行地点の各々における前記自車両の車両状態である予測車両状態を、現在走行地点に近い前記将来走行地点から順に予測する際に、現在走行地点に最も近い前記将来走行地点における前記予測車両状態を現在の前記自車両の車両状態に基づいて算出するとともに、現在走行地点により近い前記将来走行地点における前記予測車両状態に基づいて現在走行地点からより遠い前記将来走行地点における前記予測車両状態を算出する処理と、前記自車両がカーブ路を旋回する際に、前記自車両の車両状態の変化量が小さい場合よりも前記変化量が大きい場合に、前記予測車両状態を予測する地点の時間間隔又は距離間隔である予測間隔を短くする処理と、を実行するコントローラと、
を備えることを特徴とする車両状態予測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両状態予測方法及び車両状態予測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自車両の将来の座標及びヨー角の予測値を、複数の将来時刻の各々において計算開始時刻から近い順に算出し、目標走行軌道と予測値との偏差を減らす運動指令をアクチュエータに出力することにより、目標走行軌道に追従して自車両を走行させる車両制御方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/152977号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在走行地点から近い順に複数の将来走行地点の各々における自車両の車両状態を予測する場合には、車両状態が大きく変化する状況で真値との誤差が増加する虞がある。
本発明は、目標走行軌道に追従して走行した場合の複数の将来走行地点の各々における自車両の車両状態を現在走行地点に近い将来走行地点から順に予測する際に、車両状態が大きく変化する状況で増加する予測誤差を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様による車両状態予測方法では、自車両の目標走行軌道を生成し、自車両の現在の車両状態を検出し、自車両が目標走行軌道に追従して走行した場合の複数の将来走行地点の各々における自車両の車両状態である予測車両状態を、現在走行地点に近い将来走行地点から順に予測する際に、現在走行地点に最も近い将来走行地点における予測車両状態を現在の自車両の車両状態に基づいて算出するとともに、現在走行地点により近い将来走行地点における予測車両状態に基づいて現在走行地点からより遠い将来走行地点における予測車両状態を算出し、自車両がカーブ路を旋回する際に、自車両の車両状態の変化量が小さい場合よりも変化量が大きい場合に、予測車両状態を予測する地点の時間間隔又は距離間隔である予測間隔を短くする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、目標走行軌道に追従して走行した場合の複数の将来走行地点の各々における自車両の車両状態を現在走行地点に近い将来走行地点から順に予測する際に、車両状態が大きく変化する状況で増加する予測誤差を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の車両制御装置の一例の概略構成図である。
図2】実施形態のコントローラの機能構成の一例のブロック図である。
図3】実施形態の軌道追従制御部の機能構成の一例のブロック図である。
図4】予測間隔の設定例の模式図である。
図5】第1実施形態の走行軌道予測部の機能構成の一例のブロック図である。
図6】第1実施形態の車両状態予測方法の一例のフローチャートである。
図7】第2実施形態の走行軌道予測部の機能構成の一例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下に示す本発明の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
(第1実施形態)
(構成)
図1は、実施形態の車両制御装置の一例の概略構成図である。車両制御装置10は自車両1に搭載されて、自車両1の走行制御を実行する。
車両制御装置10は、物体センサ11と、車両センサ12と、測位装置13と、地図データベース14と、コントローラ17と、駆動力源コントローラ18aと、ブレーキコントローラ18bと、ステアリングコントローラ18cと、駆動力源19aと、ブレーキアクチュエータ19bと、転舵アクチュエータ19cを備える。なお、図面において地図データベースを「地図DB」と表記する。
【0010】
物体センサ11は、自車両1の周囲の周囲環境についての様々な情報(周囲環境情報)を検出する。物体センサ11は、例えば自車両1に搭載されたレーザレーダや、ミリ波レーダ、カメラ、LIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)など、自車両1の周囲の物体を検出する複数の異なる種類の物体検出センサを備える。
車両センサ12は、自車両1に搭載され、自車両1から得られる様々な情報(車両情報)を検出する。車両センサ12には、例えば、自車両1の車速を検出する車速センサ、自車両1のタイヤの回転速度を検出する車輪速センサ、自車両1の3軸方向の加速度及び減速度を検出する3軸加速度センサ、ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角センサ、操向輪(転舵輪)の転舵角を検出する転舵角センサ、自車両1の角速度を検出するジャイロセンサ、ヨーレイトを検出するヨーレイトセンサ、自車両のアクセル開度を検出するアクセルセンサと、ブレーキ操作量を検出するブレーキセンサが含まれる。
【0011】
測位装置13は、全地球型測位システム(GNSS)受信機を備え、複数の航法衛星から電波を受信して自車両1の現在の位置及び姿勢角を測定する。以下の説明において自車両1の現在の位置を「自己位置」と表記することがある。GNSS受信機は、例えば地球測位システム(GPS)受信機等であってよい。測位装置13は、例えば慣性航法装置であってもよい。
地図データベース14は、道路地図データを記憶している。例えば地図データベース14は、自動運転用の地図情報として好適な高精度地図データ(以下、単に「高精度地図」という)を記憶してよい。地図データベース14は、ナビゲーション用の地図データ(以下、単に「ナビ地図」という)を記憶してもよい。
【0012】
コントローラ17は、自車両1の車両制御を行う電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)である。コントローラ17は、特許請求の範囲に記載の「車両状態予測装置」の一例である。
例えばコントローラ17による車両制御は、物体センサ11からの周囲環境情報や、車両センサ12からの車両情報、測位装置13が測定した現在位置、道路地図データに基づいて、設定された目的地まで自車両1を自律走行させる自律運転制御であってよい。
また、例えば車両制御装置10による車両制御は、周囲環境情報や、車両情報、道路地図データ等に基づいて、自車両1の加速、減速及び操舵を制御することにより運転者による自車両1の運転を支援する運転支援制御であってもよい。
【0013】
例えば運転支援制御は、自車両1が走行車線から逸脱しないように自車両1の操舵を制御する車線維持制御や、自車両1が先行車両に追従して走行するように自車両1の加速及び減速を制御する先行車追従制御や、定速走行制御、車間距離制御を含んでいてよい。
コントローラ17は、プロセッサ17aと、記憶装置17b等の周辺部品とを含む。プロセッサ17aは、例えばCPUやMPUであってよい。記憶装置17bは、半導体記憶装置や、磁気記憶装置、光学記憶装置等を備えてよい。
【0014】
記憶装置17bは、レジスタ、キャッシュメモリ、主記憶装置として使用されるROM及びRAM等のメモリを含んでよい。以下に説明するコントローラ17の機能は、例えばプロセッサ17aが、記憶装置17bに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
なお、コントローラ17を、以下に説明する各情報処理を実行するための専用のハードウエアにより形成してもよい。例えば、コントローラ17は、汎用の半導体集積回路中に設定される機能的な論理回路を備えてもよい。例えばコントローラ17はFPGA等のPLD等を有していてもよい。
【0015】
駆動力源コントローラ18aは、コントローラ17から出力される駆動トルク指令値に従って動作するように、駆動力源19aを制御するECUである。駆動力源19aは、例えば駆動用モータ及び内燃機関(エンジン)の一方又は両方を備えてもよい。
ブレーキコントローラ18bは、コントローラ17から出力される制動液圧指令値に従って動作するように、前輪及び後輪の制動装置(ブレーキ装置)を作動させるブレーキアクチュエータ(液圧アクチュエータ)19bを制御するECUである。
ステアリングコントローラ18cは、コントローラ17から出力される操舵トルク指令値に従って動作するように、操向輪を転舵させる転舵アクチュエータ19cを制御するECUである。
【0016】
図2は、第1実施形態のコントローラ17の機能構成の一例のブロック図である。コントローラ17は、走路境界生成部30と、走行計画部31と、速度制御部32と、軌道追従制御部33と、制駆動力演算部34と、操舵トルク演算部35を備える。
走路境界生成部30は、物体センサ11が検出した自車両1が走行する車線の車線区分線(白線)の情報や地図データベース14の高精度地図に基づいて、車線に沿って自車両1が走行可能な前方領域である走路を生成する。
【0017】
走行計画部31は、測位装置13が測定した自己位置と、走路境界生成部30が生成した走路の境界とに基づいて、目標とする将来の走行軌道である目標走行軌道を算出する。例えば、左右の走路境界の中間を通る軌道を目標走行軌道として算出してよい。
また、走行計画部31は、目標走行軌道に沿った位置に応じた目標車速である速度プロファイルを設定する。
【0018】
例えば走行計画部31は、目標走行軌道上の各点Pti(i=1、2…)における曲率である目標曲率ρを演算し、各点Ptiにおいて自車両1に許容される横加速度ayを設定する。走行計画部31は、例えば横加速度ayとして旋回加速度の許容最大値を設定してよい。以下の説明において横加速度ayを「設定横加速度ay」と表記する。走行計画部31は、各点Ptiにおいて設定横加速度ayに従って目標曲率ρの軌道を走行するための目標車速を、速度プロファイルとして算出する。
【0019】
例えば走行計画部31は、設定横加速度ayと質点モデルとに基づいて、各点Ptiにおいて設定横加速度ayに従って目標曲率ρの軌道を走行するための目標車速Vを算出してもよい。質点モデルに基づく目標車速Vの計算式の一例を次式(1)に示す。
=ay/ρ …(1)
また例えば走行計画部31は、設定横加速度ayと、2輪モデルや4輪モデルといった車両モデルとに基づいて、各点Ptiにおいて設定横加速度ayに従って目標曲率ρの軌道を走行するための目標車速Vを算出してもよい。
【0020】
また例えば走行計画部31は、物体センサ11が検出した自車両1の周囲の周囲環境に基づいて目標車速Vを算出してもよい。例えば、周囲環境として物体センサ11が検出した自車両1の周囲の車両、歩行者、停止線や障害物との距離又は相対速度の少なくとも一方に応じて目標車速Vを算出してもよい。
【0021】
速度制御部32は、走行計画部31が設定した速度プロファイルと自己位置とに基づいて、自車両1の走行速度が速度プロファイルに応じた速度となるように制御するための制駆動力指令を演算し、制駆動力演算部34に出力する。
制駆動力演算部34は、速度制御部32が出力した制駆動力指令に従って自車両1に駆動力を発生させる駆動トルク指令値を生成し、駆動力源コントローラ18aに出力する。また、制駆動力指令に従って自車両1の制動装置に制動力を発生させる制動液圧指令値を生成し、ブレーキコントローラ18bに出力する。
【0022】
軌道追従制御部33は、走行計画部31が算出した目標走行軌道に沿って走行するための旋回指令を演算し、操舵トルク演算部38に出力する。軌道追従制御部33の詳細については後述する。
操舵トルク演算部38は、軌道追従制御部33が出力した旋回指令に従って操向輪を転舵させる操舵トルク指令値を生成し、ステアリングコントローラ18cに出力する。
【0023】
図3は、実施形態の軌道追従制御部33の機能構成の一例のブロック図である。軌道追従制御部33は、自車両1の現在の車両状態として測位装置13が検出した現在位置及び姿勢角と、車両センサ12が検出した車速と、に基づいて、自車両1が目標走行軌道に追従して走行した場合の複数の将来時刻tの各々における自車両1の車両状態を予測する(i=1、2、…N)。なお、定数Nは、自車両1の車両状態を予測する将来時刻tの総数であり、2以上の自然数である。
【0024】
例えば軌道追従制御部33は、将来時刻tの各々における自車両1の車両状態として自車両1の位置P及び姿勢角θを予測する。以下の説明において、将来時刻tを「予測時刻」と表記し、予測時刻tの各々における車両状態を「予測車両状態」と表記することがある。
軌道追従制御部33は、予測車両状態と目標走行軌道との間の誤差を最小とする最適化演算によって、現在時刻における目標横力指令Fyと、予測時刻tの各々における目標横力指令Fyを演算する(i=1、2、…N)。
【0025】
軌道追従制御部33は、現在時刻における目標横力指令Fyを旋回指令として操舵トルク演算部38へ出力する。
また、現在時刻における目標横力指令Fyと、予測時刻tの各々における目標横力指令Fy(i=1、2、…N-1)は、次回の予測車両状態の予測に使用される。
軌道追従制御部33は、予測間隔設定部40と、走行軌道予測部41と、最適化演算部42を備える。
【0026】
予測間隔設定部40は、離散的な予測時刻tの隣り合う時刻同士の間隔Δt=(t-ti-1)である予測間隔を設定する。すなわち予測間隔は、予測車両状態を予測する時刻である予測時刻t間の間隔であってよい。なお、時刻tは現在時刻を示す。
予測間隔設定部40は、走行計画部31が算出した目標走行軌道に基づいて、自車両1がカーブ路を旋回するか否かを予測する。
【0027】
また、走行計画部31が算出した目標走行軌道又は速度プロファイルの少なくとも一方に基づいて、将来の自車両1の車両状態の変化量を予測する。例えば予測間隔設定部40は、自車両1の車速の変化量又は姿勢角の変化量の少なくとも一方を、車両状態の変化量として予測してよい。
予測間隔設定部40は、自車両1がカーブ路を旋回すると予測した際に、自車両1の車両状態の変化量が小さい場合よりも変化量が大きい場合に予測間隔Δtを短くする、例えば車両状態の変化量が大きいほど、予測間隔Δtをより短くしてよい。
【0028】
図4は、予測間隔Δtの設定例の模式図である。図4は将来時刻tの総数Nが6である場合を示しているが、総数Nは6に限られず、2以上5以下であってもよく7以上であってもよい。実線BR及びBLは、自車両1の走路のそれぞれ右側及び左側の走路境界を示している。また、地点Pは現在時刻tの自車両1の位置を示し、地点P~Pは、現在時刻tにおいて予測した予測時刻tにおける自車両1の位置(以下「予測位置」と表記することがある)を示している。
なお、X軸の正方向を自車両1の進行方向と定め、X軸と直角かつ自車両1の左側方向をY軸の正方向と定めている。
【0029】
自車両1が現在位置Pに位置する現在時刻tと、自車両1が予測位置Pにそれぞれ位置すると予測される予測時刻tとの間の間隔が予測間隔Δtとして表されている。また、自車両1が予測位置Pi-1と予測位置Piにそれぞれ位置すると予測される予測時刻ti-1と予測時刻tとの間の間隔が予測間隔Δtiとして表されている(i=2、3、…6)。予測間隔Δt~Δtの合計(Δt+Δt+…Δt)が、予測車両状態を予測する予測区間Tfである。
【0030】
自車両1がカーブ路を旋回する区間Sbでは自車両1が減速するので、自車両1の車両状態である車速の変化量が大きくなる。また、自車両1の車両状態である姿勢角θの変化量(すなわちヨーレイト)が大きくなる。
このため、予測間隔設定部40は、自車両1がカーブ路を旋回する際に、自車両1の車両状態の変化量が大きい区間Sbにおける予測間隔Δt及びΔtを、車両状態の変化量が小さい直線区間SaやScに比べて短くする。
これにより、軌道追従制御部33が予測する予測車両状態の予測誤差が、車両状態が大きく変化する状況で増加するのを抑制できる。
【0031】
一方で、予測間隔Δtが短縮されることによって予測車両状態を予測する予測区間Tfの全長が減少すると、軌道追従制御部33から出力される目標横力指令Fyが過敏に設定される可能性がある。予測区間Tfの全長が減少しないように将来時刻tの総数Nを増やすと、計算の複雑化や処理負担の増加を招く。
したがって予測間隔設定部40は、自車両1の車両状態の変化量が大きくなる場所で予測間隔Δtが短くなることによって予測区間Tfの全長が減少するのを、自車両1の車両状態の変化量が小さくなる場所で予測間隔Δtを長くすることによって補うことが好ましい。
【0032】
例えば予測間隔設定部40は、自車両1の車両状態の変化量が大きくなる場所で予測間隔Δtが短くし、変化量が小さくなる場所で予測間隔Δtを長くすることによって予測区間Tfの全長を略一定に維持してもよい。
例えば、予測位置Piにおける車両状態の変化量を「変化量S」と表記する。例えば変化量Sは、予測位置Piにおける車速の変化量や、姿勢角の変化量であってもよく、車速の変化量と姿勢角の変化量との重み付け和などで定義してもよい。
【0033】
また、予測区間Tfの全長を固定の時間間隔Δtと定数Nとの積(N×Δt)として設定する(Tf=N×Δt)。予測間隔設定部40は、予測時刻tにおける重み付け係数wを、変化量Sが大きいほど重み付け係数wが小さくなり、且つN個の重み付け係数wの合計(w+w+…w)が定数Nに等しくなるように設定する。そして、重み付け係数wで固定の時間間隔Δtを重み付けすることにより予測間隔Δt=w×Δtを設定する。
【0034】
このように予測間隔Δtを設定することにより、自車両1の車両状態の変化量が小さい場合よりも変化量が大きい場合に予測間隔Δtを短くするとともに、予測区間Tfの全長を一定値(N×Δt)に維持できる。
なお、予測間隔設定部40は、予測間隔Δtに上現又は下限の少なくとも一方を設定してもよい。
【0035】
他の実施形態においては、予測間隔Δtを、離散的な予測位置Piの隣り合う地点P及びPi-1同士の距離間隔として定義してもよい。
予測間隔設定部40は、自車両1の車両状態の変化量が小さい場合よりも変化量が大きい場合に、隣り合う予測位置P及びPi-1同士の距離間隔が短くなるように予測時刻tを設定してもよい。
【0036】
例えば、予測間隔Δtを、予測時刻tにおける自車両1の車速と一定の時間定数との積として設定してもよい。上述したカーブ路においては、自車両1が減速するため車両状態の変化量としての車速の変化量が大きくなる。また、車両状態の変化量としての姿勢角の変化量も大きくなる。
一方で、カーブ路では自車両1が減速するので、車速自体が低くなって車速と所定の時間定数との積が小さくなる。このため、車両状態の変化量が小さい場合よりも変化量が大きい場合に、隣り合う予測位置P及びPi-1同士の間隔を短くすることができる。
【0037】
図3を参照する。走行軌道予測部41は、測位装置13が検出した現在位置及び姿勢角を車両状態の初期値(P、θ)として、予測間隔設定部40が設定した予測間隔Δt、Δt、…Δtと、現在車速Vと、最適化演算部42が前回演算した目標横力指令Fy、Fy、Fy、…FyN-1に基づいて、予測時刻tの各々における自車両1の予測車両状態として自車両1の位置P及び姿勢角θを予測する。
【0038】
図5は、第1実施形態の走行軌道予測部41の機能構成の一例のブロック図である。走行軌道予測部41は、N個の状態予測部である第1状態予測部50-1、第2状態予測部50-2、…第N状態予測部50-Nと、分配器51及び52と、出力部53と、を備える。
分配器51は、予測間隔設定部40から受信した予測間隔Δt、Δt、…Δtをそれぞれ第1状態予測部50-1、第2状態予測部50-2、…第N状態予測部50-Nに分配する。
【0039】
分配器52は、最適化演算部42から受信した目標横力指令Fyの前回値を、第1状態予測部50-1に分配する。また、目標横力指令Fyi-1の前回値を、第i状態予測部50-iに分配する(i=2、…N)。
第1状態予測部50-1は、予測時刻tのうち現在時刻に最も近い予測時刻tにおける自車両1の予測車両状態(すなわち位置P及び姿勢角θ)を、初期値(P、θ)と、現在車速Vと、目標横力指令Fyの前回値とに基づいて演算する。
【0040】
例えば第1状態予測部50-1は、現在時刻におけるヨーレイトdθ/dtを、dθ/dt=Fy/mVによって算出してよい。式中のmは自車両1の質量である。また、現在の姿勢角θに基づいて、自車両1のY座標の変化量dY/dt=V×Sin(θ)を算出する。
そして、現在の姿勢角θに、ヨーレイトdθ/dtと予測間隔Δtとの積(dθ/dt×Δt)を加算することにより、次式(2)に示すように予測時刻tにおける姿勢角θを算出する。
θ=θ+dθ/dt×Δt…(2)
【0041】
また、現在の位置PのY座標Yに、Y座標の変化量dY/dtと予測間隔Δtとの積(dY/dt×Δt)を加算することにより、次式(3)に示すように予測時刻tにおけるY座標Yを算出する。
=Y+dY/dt×Δt…(3)
同様の方法により将来の各時刻における予測時刻tにおけるX座標Xも算出する。
第1状態予測部50-1は、予測した予測時刻tにおける予測車両状態(すなわち位置P(X,Y)及び姿勢角θ)を後段の第2状態予測部50-2と出力部53へ出力する。
【0042】
添字i=2、3、…Nの各々に対して、第i状態予測部50-iは、予測時刻tにおける自車両1の予測車両状態(すなわち位置P及び姿勢角θ)を、予測時刻tよりも現在時刻に近く且つ予測時刻tに隣接する予測時刻ti-1における予測車両状態(Pi-1、θi-1)と、現在車速Vと、目標横力指令Fyi-1の前回値とに基づいて演算する。
例えば第i状態予測部50-iは、予測時刻ti-1におけるヨーレイトdθi-1/dtを、dθi-1/dt=Fyi-1/mVによって算出してよい。また、前段の第(i-1)状態予測部50-(i-1)が予測した姿勢角θi-1(すなわち予測時刻ti-1における姿勢角θi-1)に基づいて、自車両1のY座標の変化量dYi-1/dt=V×Sin(θi-1)を算出する。
【0043】
そして、予測時刻ti-1における姿勢角θi-1に、ヨーレイトdθi-1/dtと予測間隔Δtとの積(dθi-1/dt×Δt)を加算することにより、次式(4)に示すように予測時刻tにおける姿勢角θを算出する。
θ=θi-1+dθi-1/dt×Δt…(4)
また、第(i-1)状態予測部50-(i-1)が予測した位置Pi-1(すなわち予測時刻ti-1における位置Pi-1)のY座標Yi-1に、Y座標の変化量dYi-1/dtと予測間隔Δtとの積(dYi-1/dt×Δt)を加算することにより、次式(5)に示すように予測時刻tにおけるY座標Yを算出する。
=Yi-1+dYi-1/dt×Δt…(5)
同様の方法により将来の各時刻における予測時刻tにおけるX座標Xも算出する。
【0044】
添字i=2、3、…N-1の各々に対して、第i状態予測部50-iは、予測時刻tにおける予測車両状態(すなわち位置P(X,Y)及び姿勢角θ)を後段の第(i+1)状態予測部50-(i+1)と出力部53へ出力する。
第N状態予測部50-Nは、予測時刻tにおける予測車両状態(すなわち位置P(X,Y)及び姿勢角θ)を出力部53へ出力する。
出力部53は、予測時刻t、t、…tのそれぞれにおける予測車両状態(位置P、P、…P及び姿勢角θ、θ、…θ)を最適化演算部42へ出力する。
【0045】
図3を参照する。最適化演算部42は、走行軌道予測部41が出力した予測車両状態と目標走行軌道との間の誤差を最小とする最適化演算によって、現在時刻における目標横力指令Fyと、予測時刻tの各々における目標横力指令Fyを演算する(i=1、2、…N)。
最適化演算部42は、現在時刻における目標横力指令Fyを旋回指令として操舵トルク演算部38へ出力する。また、目標横力指令Fyと、予測時刻tの各々における目標横力指令Fy(i=1、2、…N-1)とを、次回の予測車両状態の予測に使用するために、走行軌道予測部41に出力する。
【0046】
(動作)
図6は、第1実施形態の車両状態予測方法の一例のフローチャートである。
ステップS1において走行計画部31は、自車両1の走行軌道の将来の目標である目標走行軌道を算出する。また、走行計画部31は、目標走行軌道に沿った位置に応じた目標車速である速度プロファイルを設定する。
ステップS2において測位装置13は、自車両1の現在の車両状態として現在位置と姿勢角を検出する。
【0047】
ステップS3において軌道追従制御部33の予測間隔設定部40は、自車両1の将来の複数時刻における予測車両状態を予測する時刻又は地点間の間隔である予測間隔Δtを設定する。予測間隔設定部40は、自車両の車両状態の変化量が小さい場合よりも変化量が大きい場合に予測間隔Δtを短くする。
ステップS4において走行軌道予測部41は、予測間隔設定部40が設定した予測間隔Δtで、将来の複数時刻における予測車両状態を予測する。その後に処理は終了する。
【0048】
(第2実施形態)
第2実施形態の車両制御装置10は、走行軌道予測部41が予測車両状態として自車両1の位置P及び姿勢角θを予測する際に、現在車速Vに代えて、走行計画部31により速度プロファイルとして設定された将来の目標速度を用いる。
すなわち、現在時刻により近い予測時刻ti-1における予測車両状態(位置Pi-1及び姿勢角θi-1)と目標車速Vi-1とに基づいて現在時刻からより遠い将来時刻tにおける予測車両状態(位置P及び姿勢角θ)を算出する。
また、現在時刻に最も近い予測時刻tにおける予測車両状態(位置P及び姿勢角θ)は、現在の自車両の車両状態(現在位置P及び現在の姿勢角θ)と現在の車速Vとに基づいて算出する。
【0049】
図7は、第2実施形態の走行軌道予測部41の機能構成の一例のブロック図である。第2実施形態における走行軌道予測部41の機能構成は、図5に示す第1実施形態の走行軌道予測部41の機能構成の構成要素を有しており、同一又は類似の構成要素には同一の参照符号で示す。第2実施形態の走行軌道予測部41は、車速設定部54を更に備える。
車速設定部54は、車両センサ12から現在車速Vの信号を受信する。また走行計画部31から速度プロファイルを受信する。
【0050】
車速設定部54は、速度プロファイルに基づいて予測時刻tのそれぞれにおける目標車速Vを取得する。例えば車速設定部54は、速度プロファイルに基づいて現在時刻から予測時刻tまでの経過時間に走行する走行距離を算出し、現在位置から走行距離分だけ進んだ地点に設定された目標車速を速度プロファイルから読み出して、目標車速Vとして取得してよい。車速設定部54は、添字i=2、3、…Nの各々に対して、予測時刻ti-1における目標車速Vi-1を第i状態予測部50-iに出力する。また、現在車速Vを第1状態予測部50-1に出力する。
【0051】
第1状態予測部50-1が、予測時刻tにおける自車両1の予測車両状態(すなわち位置P及び姿勢角θ)を予測する処理は、第1実施形態における処理と同様である。
第i状態予測部50-iは、予測時刻ti-1におけるヨーレイトdθi-1/dtを、目標車速Vi-1を用いてdθi-1/dt=Fyi-1/mVi-1によって算出する。第i状態予測部50-iのその他の処理は第1実施形態における処理と同様である。
【0052】
なお、自車両1の現在車速Vと速度プロファイルで設定された目標車速との間の変化量が小さいか否かを判定してもよい。現在車速Vと目標車速との間の変化量が小さいと判定した場合には、第1状態予測部50-1、第2状態予測部50-2、…第N状態予測部50-Nは、固定速度Vfに基づいて自車両1の予測車両状態を予測してよい。
例えば、第1状態予測部50-1は、現在時刻におけるヨーレイトdθ/dtを、固定速度Vfを用いてdθ/dt=Fy/mVfによって算出してよい。また例えば、第i状態予測部50-iは、予測時刻ti-1におけるヨーレイトdθi-1/dtを、固定速度Vfを用いてdθi-1/dt=Fyi-1/mVfによって算出してよい。
【0053】
例えば、車速設定部54は、自車両1の現在車速Vと速度プロファイルで設定された目標車速との間の変化量が所定閾値よりも小さいか否かを判定してよい。現在車速Vと目標車速との間の変化量が所定閾値よりも小さい場合、車速設定部54は、現在車速Vに代えて固定速度Vfを第1状態予測部50-1に出力する。また、目標車速Vi-1に代えて固定速度Vfを第i状態予測部50-iに出力する(i=2、3、…N)。
車速設定部54は、現在車速Vを固定速度Vfとして出力してもよく。速度プロファイルで設定された目標車速の平均値を固定速度Vfとして出力してもよい。
【0054】
また、速度プロファイルで設定された目標車速における変化量が小さいか否かを判定してもよい。目標車速における変化量が小さいと判定した場合には、第1状態予測部50-1、第2状態予測部50-2、…第N状態予測部50-Nは、固定速度Vfに基づいて自車両1の予測車両状態を予測してよい。例えば、車速設定部54は、速度プロファイルで設定された目標車速における変化量が所定閾値よりも小さいか否かを判定してもよい。目標車速における変化量が所定閾値よりも小さいと判定した場合、車速設定部54は、現在車速Vに代えて固定速度Vfを第1状態予測部50-1に出力してよい。また、目標車速Vi-1に代えて固定速度Vfを第i状態予測部50-iに出力してよい(i=2、3、…N)。
【0055】
(実施形態の効果)
(1)実施形態の車両状態予測方法では、自車両1の目標走行軌道を生成し、自車両1の現在の車両状態を検出し、自車両1が目標走行軌道に追従して走行した場合の複数の将来走行地点の各々における自車両1の車両状態である予測車両状態を、現在走行地点に近い将来走行地点から順に予測する際に、現在走行地点に最も近い将来走行地点における予測車両状態を現在の自車両1の車両状態に基づいて算出するとともに、現在走行地点により近い将来走行地点における予測車両状態に基づいて現在走行地点からより遠い将来走行地点における予測車両状態を算出し、自車両1がカーブ路を旋回する際に、自車両1の車両状態の変化量が小さい場合よりも変化量が大きい場合に、予測車両状態を予測する地点の時間間隔又は距離間隔である予測間隔を短くする。
【0056】
これにより、目標走行軌道に追従して走行した場合の複数の将来走行地点の各々における自車両の車両状態を現在走行地点に近い将来走行地点から順に予測する際に、車両状態が大きく変化する状況で増加する予測誤差を抑制できる。この結果、目標走行軌道と実際の走行軌道との誤差を低減できる。
【0057】
(2)予測間隔は、一定周期の複数の将来走行地点の各々において予測される自車両1の位置の間隔であってよく、且つ複数の将来走行地点の各々における自車両1の車速と時間定数との積と等しくてよい。
これにより、車速に合わせて予測誤差を小さくすることができる。
【0058】
(3)自車両1の車両状態の変化量が大きくなる場所で予測間隔が短くなることによって予測車両状態を予測する区間の全長が減少するのを、自車両1の車両状態の変化量が小さくなる場所で予測間隔を長くすることによって補ってもよい。
これにより、予測車両状態を予測する区間の全長が減少するのを抑制できるので、目標走行軌道に追従する操作が過敏になるのを防止して、追従性を向上できる。
(4)予測間隔に上現又は下限の少なくとも一方を設定してもよい。
これにより、予測間隔が過度に大きくなったり、小さくなったりすることを防ぐことができる。
【0059】
(5)実施形態の車両状態予測方法において、目標走行軌道上における自車両1の目標車速を設定し、現在走行地点に最も近い将来走行地点における予測車両状態を現在の自車両1の車両状態と現在の車速とに基づいて算出するとともに、現在走行地点により近い将来走行地点における予測車両状態と目標車速とに基づいて現在走行地点からより遠い将来走行地点における予測車両状態を算出してもよい。
これにより、複数の将来走行地点の各々における走行速度に応じた予測車両状態を算出できる。
【0060】
(6)自車両1の目標横加速度を設定し、目標横加速度と、質点モデル又は車両モデルと、に基づいて目標車速を設定してもよい。
これにより、目標速度を正確に設定できる。
【0061】
(7)自車両1の現在の車速と目標車速との間の変化量が小さい場合、又は目標車速における変化量が小さい場合は、現在走行地点に最も近い将来走行地点における予測車両状態を現在の自車両1の車両状態と固定速度とに基づいて算出するとともに、現在走行地点により近い将来走行地点における予測車両状態と固定速度とに基づいて現在走行地点からより遠い将来走行地点における予測車両状態を算出してもよい。例えば固定速度は現在の車速であってもよく、目標車速の平均値であってもよい。
これにより、計算量及び演算負荷を低減できる。
【符号の説明】
【0062】
1…自車両、10…車両制御装置、11…物体センサ、12…車両センサ、13…測位装置、14…地図データベース、17…コントローラ、17a…プロセッサ、17b…記憶装置、18a…駆動力源コントローラ、18b…ブレーキコントローラ、18c…ステアリングコントローラ、19a…駆動力源、19b…ブレーキアクチュエータ、19b…ブレーキアクチュエータ、19c…転舵アクチュエータ、30…走路境界生成部、31…走行計画部、32…速度制御部、33…軌道追従制御部、34…制駆動力演算部、35…操舵トルク演算部、38…操舵トルク演算部、40…予測間隔設定部、41…走行軌道予測部、42…最適化演算部、50-1…第1状態予測部、50-2…第2状態予測部、50-N…第N状態予測部、51、52…分配器、53…出力部、54…車速設定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7