(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063460
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】コイル装置
(51)【国際特許分類】
H01F 27/29 20060101AFI20240502BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
H01F27/29 125
H01F27/29 G
H01F17/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171432
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】宋 ミヌ
(72)【発明者】
【氏名】都梅 智也
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 勝
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070AB10
5E070BA03
5E070EA02
5E070EB04
(57)【要約】
【課題】実装信頼性の高いコイル装置を提供すること。
【解決手段】コイル装置1は、巻回部11と、巻回部11から引き出される引出部12aとを有するコイル10と、巻回部11が設けられる巻芯部21と、巻芯部21の軸芯に平行な第1方向の端部に形成された鍔部22aとを有するコア20と、鍔部22aに取り付けられる端子具30aと、を有する。端子具30aは、基板に接続可能な実装部31と、引出部12aが接続される継線部32と、実装部31と継線部32とに連続する連結部33とを有する。連結部33の第1横断面積は、継線部32の第2横断面積よりも小さい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻回部と、前記巻回部から引き出される引出部とを有するコイルと、
前記巻回部が設けられる巻芯部と、前記巻芯部の軸芯に平行な第1方向の端部に形成された鍔部とを有するコアと、
前記鍔部に取り付けられる端子具と、を有し、
前記端子具は、基板に接続可能な実装部と、前記引出部が接続される継線部と、前記実装部と前記継線部とに連続する連結部とを有し、
前記連結部の第1横断面積は、前記継線部の第2横断面積よりも小さいコイル装置。
【請求項2】
前記鍔部は、段差形成面と、前記第1方向に垂直な第2方向において前記段差形成面よりも一方側に位置する第1領域面と、前記第2方向において前記段差形成面よりも他方側に位置する第2領域面とを有し、
前記実装部は、前記第1領域面に配置され、
前記継線部は、前記第2領域面に配置され、
前記連結部は、前記段差形成面に配置されている請求項1に記載のコイル装置。
【請求項3】
前記第1横断面積は、前記第2横断面積の3/4以下である請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項4】
前記連結部の前記第1横断面積は、前記継線部の前記第2横断面積よりも小さく、かつ、前記実装部の第3横断面積よりも小さい請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項5】
前記第1横断面積は、前記第3横断面積の3/4以下である請求項4に記載のコイル装置。
【請求項6】
前記連結部の板厚は、前記継線部の板厚と等しく、
前記連結部の前記第1方向の長さは、前記継線部の前記第1方向の長さよりも短い請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項7】
前記連結部には、前記連結部の板厚方向の一方の面から他方の面にかけて貫通する貫通孔が形成されている請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項8】
前記連結部は、前記実装部と前記継線部とを接続する第1分岐部と第2分岐部とを有し、
前記第1分岐部と前記第2分岐部とは、前記第1方向に離間しており、前記貫通孔を介して並列に配置されている請求項7に記載のコイル装置。
【請求項9】
前記連結部には、前記連結部の第1方向の一端から他端に向けて切り欠かれた切り欠きが形成されている請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項10】
前記連結部は、前記実装部と前記継線部とを接続する幅狭部と、前記幅狭部に連続する幅広部とを有し、
前記幅狭部の前記第1方向の長さは、前記幅広部の前記第1方向の長さよりも短く、
前記第1横断面積は、前記幅狭部の横断面積である請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項11】
前記第1領域面は、前記第2方向において、前記段差形成面と前記第1面の一端との間に形成されており、
前記第2領域面は、前記第2方向において、前記段差形成面と前記第1面の他端との間に形成されており、
前記第1領域面には、単一の前記端子具の前記実装部が固定される請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項12】
前記実装部は、接着層を介して、前記第1領域面に接合されている請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項13】
前記実装部の前記第2方向の長さは、前記継線部の前記第2方向の長さよりも長い請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項14】
前記実装部の前記第2方向の長さは、前記鍔部の前記第2方向の長さの1/2以上である請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項15】
前記鍔部は、前記巻芯部が接続された内端面とは前記第1方向の反対側の外端面を有し、
前記端子具は、前記実装部に連続しており、かつ、前記外端面に配置される補助実装部を有する請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項16】
前記段差形成面は、前記第1領域面および前記第2領域面に対して傾斜しており、
前記連結部は、前記段差形成面に沿って、前記実装部および前記継線部に対して斜めに延在している請求項1または2に記載のコイル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端子具を有するコイル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コアの鍔部に端子具が設けられたコイル装置が知られている(特許文献1)。特許文献1のコイル装置において、端子具は、基板に接続可能な実装部と、コイルの引出部が接続される継線部とを有する。実装部は、例えばハンダなどの接続材を介して、基板に接続される。引出部は、例えばハンダやレーザ溶接などにより、継線部に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のコイル装置のように、実装部と継線部とが近接している場合、継線部に引出部を接続するときに、継線部に加えられた熱(例えばハンダやレーザ溶接による熱)が実装部に及ぶことがある。特に、小型のコイル装置では、実装部に過剰な熱が伝搬された場合、実装部と基板との間の接続信頼性が低下するおそれがある。
【0005】
本開示は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、実装信頼性の高いコイル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示のコイル装置は、
巻回部と、前記巻回部から引き出される引出部とを有するコイルと、
前記巻回部が設けられる巻芯部と、前記巻芯部の軸芯に平行な第1方向の端部に形成された鍔部とを有するコアと、
前記鍔部に取り付けられる端子具と、を有し、
前記端子具は、基板に接続可能な実装部と、前記引出部が接続される継線部と、前記実装部と前記継線部とに連続する連結部とを有し、
前記連結部の第1横断面積は、前記継線部の第2横断面積よりも小さい。
【0007】
本開示のコイル装置では、端子具が、実装部と継線部とに連続する連結部を有し、連結部の第1横断面積が、継線部の第2横断面積よりも小さくなっている。そのため、継線部から実装部までの熱の伝搬経路が連結部の位置で狭められ、継線部に引出部を接続するときに、継線部に熱を加えたとしても、過剰な熱が実装部に及ぶことを、連結部によって阻止することができる。これにより、実装部の表面の熱による劣化を抑制することが可能となり、実装部と基板との接続信頼性が向上し、実装信頼性の高いコイル装置を実現することができる。また、コイル装置を基板に実装するときに、例えば、連結部にフィレットを形成しつつ、接続材(例えば、ハンダ)を介して、実装部さらには連結部を基板に接続することができる。したがって、この点においても、実装部と基板との間の接続信頼性を向上させることができる。
【0008】
前記鍔部は、段差形成面と、前記第1方向に垂直な第2方向において前記段差形成面よりも一方側に位置する第1領域面と、前記第2方向において前記段差形成面よりも他方側に位置する第2領域面とを有し、前記実装部は、前記第1領域面に配置され、前記継線部は、前記第2領域面に配置され、前記連結部は、前記段差形成面に配置されている。鍔部の実装面に、実装部、継線部および連結部を配置することにより、コイル装置のコンパクト化を図ることができる。
【0009】
前記第1横断面積は、前記第2横断面積の3/4以下でもよい。この場合、第1横断面積と第2横断面積との比に応じて、継線部から実装部に至る熱の伝搬経路を連結部の位置で狭めることができる。
【0010】
前記連結部の前記第1横断面積は、前記継線部の前記第2横断面積よりも小さく、かつ、前記実装部の第3横断面積よりも小さくてもよい。この場合、継線部から実装部へ伝搬される熱量が連結部で減衰しやすくなり、実装部の表面の熱による劣化を抑制することができる。
【0011】
前記第1横断面積は、前記第3横断面積の3/4以下でもよい。この場合、第1横断面積と第3横断面積との比に応じて、継線部から実装部に至る熱の伝搬経路を連結部の位置で狭めることができる。
【0012】
前記連結部の板厚は、前記継線部の板厚と等しく、前記連結部の前記第1方向の長さは、前記継線部の前記第1方向の長さよりも短くてもよい。連結部の板厚を継線部の板厚と同等に維持しつつ、連結部の第1方向の長さを実装部の第1方向の長さよりも短くすることにより、連結部の強度を確保しつつ、連結部の第1横断面積を継線部の第2横断面積よりも小さくすることができる。
【0013】
前記連結部には、前記連結部の板厚方向の一方の面から他方の面にかけて貫通する貫通孔が形成されていてもよい。この場合、貫通孔によって連結部の一部が除去されるため、連結部の第1横断面積を継線部の第2横断面積よりも小さくすることが可能となり、継線部から実装部への熱の伝搬を連結部で抑制することができる。
【0014】
前記連結部は、前記実装部と前記継線部とを接続する第1分岐部と第2分岐部とを有し、前記第1分岐部と前記第2分岐部とは、前記第1方向に離間しており、前記貫通孔を介して並列に配置されていてもよい。連結部に第1分岐部と第2分岐部とが具備されることにより、継線部から実装部までの熱の伝搬経路が分散され、一方の分岐部に過大な熱的負荷が加わることを防止することができる。また、第1分岐部と第2分岐部とを介して、実装部と継線部とを接続することにより、連結部の強度を確保することができる。
【0015】
前記連結部には、前記連結部の第1方向の一端から他端に向けて切り欠かれた切り欠きが形成されていてもよい。この場合、切り欠きによって連結部の一部が除去されるため、連結部の第1横断面積を継線部の第2横断面積よりも小さくすることが可能となり、継線部から実装部への熱の伝搬を連結部で抑制することができる。
【0016】
前記連結部は、前記実装部と前記継線部とを接続する幅狭部と、前記幅狭部に連続する幅広部とを有し、前記幅狭部の前記第1方向の長さは、前記幅広部の前記第1方向の長さよりも短く、前記第1横断面積は、前記幅狭部の横断面積でもよい。連結部に幅狭部を備えることにより、連結部の第1横断面積を継線部の第2横断面積よりも小さくすることが可能となり、継線部から実装部への熱の伝搬を幅狭部で抑制することができる。また、連結部に幅広部を備えることにより、連結部の電気抵抗を低減することができる。
【0017】
前記第1領域面は、前記第2方向において、前記段差形成面と前記第1面の一端との間に形成されており、前記第2領域面は、前記第2方向において、前記段差形成面と前記第1面の他端との間に形成されており、前記第1領域面には、単一の前記端子具の前記実装部が固定されてもよい。第1領域面に単一の端子具の実装部を固定する場合、実装部の面積、さらには実装部と第1領域面との接合面積を確保しやすくなり、実装部と第1領域面との間の接合強度を向上させることができる。
【0018】
前記実装部は、接着層を介して、前記第1領域面に接合されていてもよい。この場合、端子具がコアから離脱することを防止することができる。また、上述したように、本開示のコイル装置では、継線部から実装部への熱の伝搬を連結部で抑制することができるため、実装部の温度上昇に起因する接着層の劣化を防止することができる。
【0019】
前記実装部の前記第2方向の長さは、前記継線部の前記第2方向の長さよりも長くてもよい。この場合、実装部の面積、ひいては実装部と基板との接合面積を確保しやすくなり、実装部と基板との間の接続信頼性を向上させることができる。
【0020】
前記実装部の前記第2方向の長さは、前記鍔部の前記第2方向の長さの1/2以上でもよい。この場合も、実装部の面積、ひいては実装部と基板との接合面積を確保しやすくなり、実装部と基板との間の接続信頼性を向上させることができる。また、実装部を基板に接続したときに、基板に対するコイル装置の安定性を向上させる(ぐらつきを防止する)ことができる。
【0021】
前記鍔部は、前記巻芯部が接続された内端面とは前記第1方向の反対側の外端面を有し、前記端子具は、前記実装部に連続しており、かつ、前記外端面に配置される補助実装部を有してもよい。この場合、例えば、補助実装部にフィレットを形成しつつ、接続材を介して、実装部さらには補助実装部を基板に接続することができる。これにより、実装部と基板との間の接続強度を補強することができる。
【0022】
前記段差形成面は、前記第1領域面および前記第2領域面に対して傾斜しており、前記連結部は、前記段差形成面に沿って、前記実装部および前記継線部に対して斜めに延在していてもよい。この場合、連結部の傾斜角度に応じて、第2方向に沿って、実装部と継線部とが離間する。これにより、継線部に引出部を接続するときに、過剰な熱が実装部に及びにくくなる。また、連結部を傾斜させることにより、連結部の面積を確保しやすくなり、連結部に形成されるフィレットの量を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は第1実施形態のコイル装置の斜視図である。
【
図3B】
図3Bは第2実施形態のコイル装置の端子具の斜視図である。
【
図4】
図4は
図1に示すコイル装置のX軸方向から見た側面図である。
【
図6】
図6は
図1に示すコイル装置のY軸方向から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施形態を説明する。なお、図示する内容は、本開示の理解のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観や寸法比などは実物と異なり得る。また、本開示は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0025】
第1実施形態
図1に示すコイル装置1は、例えばインダクタとして機能し、各種の電気機器の電源等に搭載される。コイル装置1は、コイル10と、コア20と、端子具30aおよび30bとを有する。コイル装置1は、これらの部材に加えて、コア40を有していてもよい。
【0026】
コイル10は、ワイヤ14をコイル状に巻回してなる巻回部11と、巻回部11から引き出される引出部12aおよび12bとを有する。ワイヤ14は、例えば銅線などを絶縁性の被膜13で被覆した絶縁被覆ワイヤでもよい。ワイヤ14の線径は、特に限定されないが、例えば10~300μmである。引出部12aおよび12bにおいて、被膜13が除去されていてもよい。
【0027】
図2に示すように、コア20は、ドラムコアであり、巻芯部21と、鍔部22aおよび22bとを有する。コア20の材質は、金属やフェライト等の磁性材料であるが、特に限定されない。図面において、X軸は、巻芯部21の軸芯(軸方向)に平行な軸である。Y軸は、コア20を平面視したときに、巻芯部21の軸芯に直交する方向に対応する軸である。Z軸は、X軸およびY軸に垂直な軸である。以下では、X軸、Y軸およびZ軸の各々について、コア20の中心に向かう方向を「内側」とし、コア20の中心から離れる方向を「外側」とする。コア20のサイズは、特に限定されないが、例えば、コア20のX軸方向の長さは1~6mmであり、コア20のY軸方向の長さは0.5~3mmであり、コア20のZ軸方向の長さは0.5~3mmである。
【0028】
巻芯部21には、巻回部11(
図1)が設けられる。巻芯部21の軸方向に垂直な断面形状は、特に限定されないが、円形または多角形(例えば八角形)である。鍔部22aは、巻芯部21のX軸方向の一端に形成されており、鍔部22bは、巻芯部21のX軸方向の他端に形成されている。鍔部22aと鍔部22bとは、対称な形状を有する。以下では、重複記載を防止するため、鍔部22aおよび22bに共通する事項について、鍔部22aについてのみ説明する場合がある。
【0029】
鍔部22aは、少なくとも、実装面221と、非実装面222と、内端面223と、外端面224とを有する。同様に、鍔部22bは、少なくとも、実装面221と、非実装面222と、内端面223と、外端面224とを有する。実装面221と非実装面222とは、Z軸方向に関して、反対側に位置している。内端面223と外端面224とは、X軸方向に関して、反対側に位置している。内端面223には、巻芯部21が接続されている。
【0030】
実装面221は、段差形成面23と、段差形成面23よりもY軸方向の一方側の第1領域面24と、段差形成面23よりもY軸方向の他方側の第2領域面25とを有する。第1領域面24は、実装面221のY軸方向の一端と段差形成面23との間に位置する。第1領域面24の大部分は、平坦面(XY平面に平行な面)である。第2領域面25は、実装面221のY軸方向の他端と段差形成面23との間に位置する。第2領域面25は第1領域面24に対して凹んでおり、第2領域面25には凹部26が形成されている。したがって、第2領域面25は、第1領域面24に比べて、非実装面222に近接した位置に位置する。第2領域面25の大部分は、平坦面(XY平面に平行な面)である。
【0031】
段差形成面23は、第1領域面24と第2領域面25とに連続しており、Y軸方向に関して、第1領域面24と第2領域面25との間に位置する。段差形成面23は、第1領域面24および第2領域面25に対して傾斜している。第1領域面24(第2領域面25)に対する段差形成面23の傾斜角度θは、0°<θ≦90°である。ただし、傾斜角度θは、0°<θ<90°でもよく、45°<θ≦90°でもよく、あるいは45°<θ<90°でもよい。段差形成面23は、X軸に沿って、内端面223の位置から外端面224の位置まで形成されている。
【0032】
第1領域面24のY軸方向の長さL1は、第2領域面25のY軸方向の長さL2よりも長くてもよい。また、第1領域面24のY軸方向の長さL1は、第2領域面25のY軸方向の長さL2と、段差形成面23のY軸方向の長さL3(段差形成面23のY軸方向成分)との和よりも長くてもよい。例えば、第1領域面24のY軸方向の長さL1は、実装面221(鍔部22a)のY軸方向の長さL4の1/2以上であり、あるいは1/2よりも長い。
【0033】
実装面221の外縁部には、切欠部(面取部)27が、局所的に形成されていてもよい。切欠部27は段差状に形成されているが、切欠部27の形状は特に限定されない。
図2に示す例では、切欠部27は、第1領域面24および第2領域面25に形成されている一方で、段差形成面23には形成されていないが、段差形成面23に形成されていてもよい。また、切欠部27は、第1領域面24の外縁部のうち、内端面223側には形成されていないが、内端面223側に形成されていてもよい。また、切欠部27は、第2領域面25の外縁部のうち、内端面223側には形成されていないが、内端面223側に形成されていてもよい。切欠部27は、鍔部22aの外縁部に割れや欠け等が生じることを防止する機能を有する。なお、切欠部27は、非実装面222に形成されていてもよい。
【0034】
鍔部22aの段差形成面23と鍔部22bの段差形成面23とは、巻芯部21の軸芯に対して、Y軸方向の反対側に位置している。すなわち、鍔部22aの段差形成面23は、巻芯部21の軸芯よりもY軸正方向側に位置しているのに対して、鍔部22bの段差形成面23は、巻芯部21の軸芯よりもY軸負方向側に位置している。
【0035】
このような構成の下では、鍔部22aの段差形成面23と鍔部22bの段差形成面23とが、巻芯部21の軸芯に対してY軸方向の同一側に位置する場合に比べて、コイル装置1を基板(図示略。以下同様)に実装したときに、基板に対するコイル装置1の安定性を向上させる(Y軸方向の一方側へのコイル装置1のぐらつきを防止する)ことができる。なお、鍔部22aの段差形成面23と鍔部22bの段差形成面23とは、巻芯部21の軸芯に対して、Y軸方向の同一側に位置していてもよい。
【0036】
鍔部22aの第1領域面24は、巻芯部21の軸芯よりもY軸負方向側に偏在しているのに対して、鍔部22bの第1領域面24は、巻芯部21の軸芯よりもY軸正方向側に偏在している。また、鍔部22aの第2領域面25は、巻芯部21の軸芯よりもY軸正方向側に偏在しているのに対して、鍔部22bの第2領域面25は、巻芯部21の軸芯よりもY軸負方向側に偏在している。そのため、平面視において、コア20の形状は、点対称(180度回転対称)となっている。ただし、鍔部22aの第1領域面24と鍔部22bの第1領域面24とは、巻芯部21の軸芯に対して、Y軸方向の同一側に位置していてもよい。同様に、鍔部22aの第2領域面25と鍔部22bの第2領域面25とは、巻芯部21の軸芯に対して、Y軸方向の同一側に位置していてもよい。
【0037】
図3Aに示すように、端子具30aは、実装部31と、継線部32と、連結部33とを有する。端子具30aは、これらに加えて、補助実装部34と第1突出部35とを有していてもよい。同様に、端子具30bは、実装部31と、継線部32と、連結部33とを有する。端子具30bは、これらに加えて、補助実装部34と第1突出部35とを有していてもよい。端子具30aの少なくとも一部は、金属などの導体で構成されていてもよい。端子具30bについても同様である。端子具30aおよび30bの厚みは、特に限定されないが、50~300μmである。実装部31、継線部32および連結部33の各々の板厚は、等しくなっているが、異なっていてもよい。端子具30aと端子具30bとは、同一形状を有する。以下では、重複記載を防止するため、端子具30aおよび30bに共通する事項については、端子具30aについてのみ説明する場合がある。なお、本実施形態において、「同一」あるいは「等しい」とは、厳密に等しい場合に限定されず、例えば±5%以内の誤差、あるいは±10%以内の誤差を許容するものとする。
【0038】
図2および
図3Aに示すように、実装部31は、基板に接続される部分であり、実装面221の第1領域面24に配置される。実装部31は、例えばハンダや導電性接着剤などの接続材を介して、基板に接続される。実装部31は第1領域面24にのみ配置されていてもよく、あるいは実装部31の一部が第1領域面24の外側(例えば、段差形成面23)に露出していてもよい。実装部31は、第1領域面24に平行な面を有し、第1領域面24に対向した状態で固定される。なお、本実施形態において、「平行」とは、厳密に平行である場合に限定されず、例えば±5度以内の誤差、あるいは±10度以内の誤差を許容するものとする。また、「垂直」あるいは「直交」とは、厳密に垂直である場合に限定されず、例えば±5度以内の誤差、あるいは±10度以内の誤差を許容するものとする。
【0039】
実装部31は、接着剤(例えば、エポキシ系の接着剤)を介して、第1領域面24に接着される。これにより、実装部31と第1領域面24との間に接着層が形成され、端子具30aが鍔部22aから離脱することを防止することができる。切欠部27の位置において、実装部31と第1領域面24との間には、隙間が形成されていてもよい。
【0040】
図4に示すように、実装部31のY軸方向の長さL5は、継線部32のY軸方向の長さL6よりも長くてもよい。また、実装部31のY軸方向の長さL5は、継線部32のY軸方向の長さL6と連結部33のY軸方向の長さL7との和よりも長くてもよい。この場合、実装部31の面積、ひいては実装部31と基板との接合面積を確保しやすくなり、実装部31と基板との間の接続信頼性を向上させることができる。
【0041】
実装部31のY軸方向の長さL5は、第1領域面24のY軸方向の長さL1(
図2)と等しくてもよく、あるいはこれ以下でもよい。あるいは、実装部31のY軸方向の長さL5は、実装面221(鍔部22a)のY軸方向の長さL4の1/2以上でもよく、あるいは1/2よりも長くてもよい。あるいは、実装部31のY軸方向の長さL5は、端子具30aのY軸方向の全長の1/2以上でもよく、あるいは1/2よりも長くてもよい。この場合、実装部31を基板に接続したときに、基板に対するコイル装置1の安定性を向上させる(ぐらつきを防止する)ことができる。
【0042】
実装部31は、段差形成面23(あるいは、段差形成面23の近傍)から、鍔部22aのY軸負方向側の一端にかけて延在していてもよい。この場合、実装部31の面積、ひいては実装部31と基板との接合面積を確保しやすくなり、実装部31と基板との間の接続信頼性を向上させることができる。ただし、実装部31のY軸負方向側の一端と、鍔部22aのY軸負方向側の一端との間には、隙間が形成されていてもよい。
【0043】
図3Aに示すように、実装部31は、連結部33よりも、X軸方向の内側に突出する第1突出部35を含んでいてもよい。第1突出部35のX軸方向への突出長は、実装部31(第1突出部35を含む)のX軸方向の全長の5%以上25%以下でもよい。第1突出部35のY軸方向の長さは、
図4に示す実装面221(鍔部22a)のY軸方向の長さL4の1/2以上でもよく、あるいは1/2よりも長くてもよい。あるいは、第1突出部35のY軸方向の長さは、端子具30aのY軸方向の全長の1/2以上でもよく、あるいは1/2よりも長くてもよい。この場合、第1突出部35の面積に応じて、実装部31の面積を拡張することができる。これにより、実装部31と基板との接合面積を拡張させ、実装部31と基板との間の接続信頼性を向上させることができる。また、実装部31と実装面221との間の接着面積を拡張することができるため、端子具30aと実装面221との間の接着信頼性を向上させることができる。
【0044】
図5に示すように、第1突出部35は、鍔部22aの外縁、より詳細には実装面221と内端面223との交差部よりも、X軸方向の外側に位置していてもよい。すなわち、第1突出部35は、鍔部22aの外縁よりも外側に露出しておらず、鍔部22aの外縁よりも内側に配置されていてもよい。この場合、巻回部11または引出部12aが第1突出部35に接触しにくくなり、ワイヤ14の破損を防止することができる。なお、第1突出部35の一部は、切欠部27上に配置されていてもよい。
【0045】
実装部31(第1突出部35を含む)のX軸方向の全長L8は、連結部33のX軸方向の長さL12よりも長い。また、実装部31のX軸方向の全長L8は、実装面221(鍔部22a)のX軸方向の長さL9よりも短いが、これと等しくてもよく、あるいはこれよりも長くてもよい。実装部31のX軸方向の外側の端部は、鍔部22aの外縁、より詳細には実装面221と外端面224との交差部よりも、X軸方向の外側に露出している。そのため、実装部31の面積を確保することができる。ただし、実装部31のX軸方向の外側の端部は、鍔部22aの外縁よりも内側に位置していてもよい。
【0046】
図3Aおよび
図4に示すように、補助実装部34は、実装部31に連続しており、外端面224に配置される。補助実装部34は、実装部31のX軸方向の外側の端部に接続され、実装部31に対して直交している。補助実装部34のY軸方向の長さは、実装部31のY軸方向の長さL5と等しくなっているが、これよりも短くてもよい。
図6に示すように、補助実装部34と外端面224との間には隙間70が形成されている。ただし、補助実装部34の少なくとも一部が、外端面224に当接していてもよい。あるいは、端子具30aと鍔部22aとの接着強度を確保するために、隙間70に接着剤が充填されていてもよい。補助実装部34には、ハンダや導電性接着剤などの接続材のフィレットが形成される。このように、接続材を介して、補助実装部34を基板に接続することにより、実装部31と基板との接続強度を補強することができる。
【0047】
図4および
図5に示すように、継線部32は、引出部12aまたは12bが接続される部分であり、実装面221の第2領域面25に配置される。継線部32は、第2領域面25にのみ配置されていてもよく、あるいは継線部32の一部が第2領域面25の外側(例えば、段差形成面23)に露出していてもよい。継線部32は、第2領域面25に平行な面を有し、第2領域面25に対向した状態で固定される。
【0048】
継線部32は、実装部31とは異なり、接着剤を介して、実装面221(第2領域面25)に接着されていない。そのため、継線部32と第2領域面25との間には、隙間50(
図4)が形成されている。このように、継線部32と第2領域面25との間に隙間50を形成することにより、端子具30aの寸法に製造誤差が生じたとしても、その製造誤差を隙間50で吸収することができる。これにより、鍔部22aに対する端子具30aの取付安定性を向上させることができる。
【0049】
ただし、継線部32は、実装部31と同様に、接着剤を介して、実装面221(第2領域面25)に接着されていてもよい。あるいは、継線部32の少なくとも一部が、実装面221(第2領域面25)に、接着剤で接着されることなく当接していてもよい。
【0050】
継線部32は、段差形成面23の近傍(あるいは、段差形成面23)から、鍔部22aのY軸正方向側の他端にかけて延在していてもよい。この場合、継線部32の面積を確保しやすくなり、継線部32に対する引出部12aの接続強度を向上させるとともに、継線部32に対する引出部12aの接続位置の自由度を高めることができる。ただし、継線部32のY軸正方向側の他端と、鍔部22aのY軸正方向側の他端との間には、隙間が形成されていてもよい。
【0051】
継線部32のY軸方向の長さL6は、連結部33のY軸方向の長さL7よりも長いが、これと等しくてもよく、あるいはこれよりも短くてもよい。継線部32のX軸方向の長さL11は、実装面221のX軸方向の長さL9と等しいが、これよりも短くてもよく、あるいはこれよりも長くてもよい。
【0052】
継線部32のX軸方向の内側の端部は、鍔部22aの外縁、より詳細には実装面221と内端面223との交差部よりも、X軸方向の内側に位置していてもよい。すなわち、継線部32のX軸方向の内側の端部は、鍔部22aの外縁よりも外側に露出することなく、鍔部22aの外縁よりも内側に位置していてもよい。この場合、巻回部11または引出部12aが継線部32のX軸方向の内側の端部に接触しにくくなり、ワイヤ14の破損を防止することができる。
【0053】
継線部32は、第2突出部36を有していてもよい。第2突出部36は、継線部32のX軸方向の外側の端部を構成している。第2突出部36は、連結部33に対して直交するように、連結部33よりもX軸方向の外側に突出している。第2突出部36の連結部33からの突出長は、継線部32のX軸方向の全長の10%以上30%以下でもよい。第2突出部36は、外端面224よりもX軸方向の内側に配置されていてもよく、あるいは外端面224よりもX軸方向の外側に突出していてもよい。後者の場合、継線部32の面積を確保しやすくなる。なお、継線部32から第2突出部36を省略してもよい。
【0054】
引出部12aは、継線部32に対して、例えばハンダ、レーザ溶接、熱圧着、超音波接合、抵抗ろう付けまたは紫外線硬化樹脂接合により接続される。引出部12bについても同様である。本実施形態では、引出部12aは、レーザ溶接により継線部32に接続されるため、引出部12aの接続位置には、溶接玉60が形成されている。引出部12aは、外端面224よりもX軸方向の外側で、溶接玉60を介して、継線部32(第2突出部36)に接続されていてもよい。この場合、引出部12aを継線部32に接続するときに、外端面224よりもX軸方向の外側で、継線部32に向けてレーザを照射することができる。これにより、鍔部22aにレーザが当たることを防止し、コア20の破損を回避することができる。
【0055】
連結部33は、段差形成面23に沿って配置される部分であり、実装部31と継線部32とに連続している。連結部33は、段差形成面23にのみ配置されていてもよく、あるいは連結部33の一部が段差形成面23の外側(例えば、第2領域面25)に露出していてもよい。本実施形態では、実装面221に、連結部33、実装部31および継線部32がまとめて配置されているため、コイル装置1のコンパクト化を図ることができる。コイル装置1を基板に実装するときに、連結部33には、例えばハンダや導電性接着剤などの接続材のフィレットが形成される。連結部33は、段差形成面23に平行な面を有し、段差形成面23に対向した状態で配置される。連結部33は、継線部32と同様に、接着剤を介して、実装面221(段差形成面23)に接着されていない。そのため、連結部33と実装面221(段差形成面23)との間には、隙間50(
図4)が形成されている。連結部33と段差形成面23との間の隙間50は、継線部32と第2領域面25との間の隙間50と連続している。
【0056】
なお、連結部33は、実装部31と同様に、接着剤を介して、実装面221(段差形成面23)に接着されていてもよい。あるいは、連結部33の少なくとも一部が、実装面221(段差形成面23)に対して、接着剤で接着されることなく当接していてもよい。
【0057】
連結部33は、段差形成面23に沿って、実装部31および継線部32に対して斜めに延在している。この場合、連結部33の傾斜角度に応じて、Y軸に沿って、実装部31と継線部32とが離間する。これにより、継線部32に引出部12aを接続するときに、過剰な熱が実装部31に及びにくくなり、接続材に対する実装部31の接続容易性(例えば、ハンダ濡れ性)を確保することができる。また、連結部33を傾斜させることにより、連結部33の面積を確保しやすくなり、連結部33に形成されるフィレットの量を増大させることができる。なお、連結部33は、段差形成面23に対して、非平行に延在していてもよい。
【0058】
実装部31および/または継線部32に対する連結部33の傾斜角度は、第1領域面24および/または第2領域面25に対する段差形成面23の傾斜角度と等しいが、これよりも小さくてもよく、あるいは大きくてもよい。実装部31(継線部32)に対する連結部33の傾斜角度θは、0°<θ≦90°である。ただし、傾斜角度θは、0°<θ<90°でもよく、45°<θ≦90°でもよく、あるいは45°<θ<90°でもよい。
【0059】
連結部33のX軸方向の長さL12は、実装面221のX軸方向の長さL9よりも短い。連結部33のX軸方向の長さは、特に限定されないが、例えば実装面221のX軸方向の長さL9の1/3倍以上1倍未満である。連結部33は、鍔部22aの外縁よりも内側に位置している。より詳細には、連結部33は、実装面221と内端面223との交差部よりもX軸方向の外側に位置するとともに、実装面221と外端面224との交差部よりもX軸方向の内側に位置している。ただし、連結部33の一部が、鍔部22aの外縁よりも外側に露出していてもよい。なお、連結部33は、実装面221の外縁部に形成された切欠部27よりも内側に位置していてもよい。
【0060】
図3Aに示すように、連結部33は、貫通孔37と、第1分岐部331と、第2分岐部332とを有していてもよい。貫通孔37は、連結部33の板厚方向の一方の面から他方の面にかけて貫通している。貫通孔37をZ軸に沿って見た形状は、長方形であるが、円形、楕円形、正方形、あるいはその他の多角形でもよい。貫通孔37の内壁面は、XZ平面またはYZ平面に対して平行な面である。すなわち、貫通孔37の内壁面は、実装部31および/または継線部32に対して垂直である。ただし、貫通孔37の内壁面は、実装部31および/または継線部32に対して傾斜していてもよい。貫通孔37は、Z軸方向に沿って延在しているが、連結部33の板厚方向に沿って延在していてもよい。
【0061】
貫通孔37のX軸方向の長さは、例えば連結部33のX軸方向の長さの1/4以上1未満でもよく、あるいは1/2以上1未満でもよく、あるいは3/4以上1未満でもよい。貫通孔37のX軸方向の長さは、Y軸方向に沿って一定であるが、例えば継線部32(あるいは、実装部31)側に向かうにしたがって、幅広となっていてもよい。貫通孔37のY軸方向の長さは、連結部33のY軸方向の長さL7(
図4)の1/4以上1以下でもよく、あるいは1/2以上1以下でもよい。
【0062】
連結部33の一部は、貫通孔37によって除去されているため、連結部33の横断面積は、継線部32または実装部31の横断面積よりも小さくなっている。そのため、例えばレーザ溶接によって、引出部12aを継線部32に接続するときに、継線部32から実装部31への熱の伝搬を連結部33で抑制することができる。これにより、実装部31の表面の熱による劣化(例えば、実装部31の表面のメッキ膜等の劣化)を抑制することができる。
【0063】
第1分岐部331および第2分岐部332は、実装部31と継線部32とを直接的または間接的に接続している。第1分岐部331および第2分岐部332は、X軸方向に離間しており、貫通孔37を介して並列に配置されている。第1分岐部331および第2分岐部332は、平行に延在しているが、非平行に延在していてもよい。第1分岐部331および第2分岐部332は、実装部31および継線部32に対して、斜めに延在している。第1分岐部331および第2分岐部332は、直線状に延在していてもよく、あるいは湾曲(屈曲)していてもよい。
【0064】
連結部33に第1分岐部331と第2分岐部332とが具備されることにより、継線部32から実装部31までの熱の伝搬経路が分散され、一方の分岐部に過大な熱的負荷が加わることを防止することができる。また、第1分岐部331と第2分岐部332とを介して、実装部31と継線部32とを直接的または間接的に接続することにより、連結部33の強度を確保することができる。
【0065】
第1分岐部331および第2分岐部332には、ハンダなどの接続材のフィレットが形成されていてもよい。幅広部333についても同様である。また、貫通孔37の内壁面に、接続材が入り込み、当該内壁面に接続材が付着してもよい。さらには、貫通孔37の少なくとも一部が、接続材で閉塞されてもよい。
【0066】
第1分岐部331のX軸方向の長さは、継線部32のX軸方向の長さよりも短い。また、第1分岐部331のX軸方向の長さは、実装部31のX軸方向の長さよりも短い。第1分岐部331または第2分岐部332のX軸方向の長さは、特に限定されないが、例えば30~70μmである。第2分岐部332のX軸方向の長さについても同様である。第1分岐部331のX軸方向の長さと、第2分岐部332のX軸方向の長さとは等しくなっているが、異なっていてもよい。第1分岐部331および第2分岐部332の各々の長さは、その延在方向に沿って、一定である。ただし、第1分岐部331のX軸方向の長さは、実装部31および継線部32のいずれか一方に近づくにしたがって、幅広(あるいは幅狭)となっていてもよい。第2分岐部332のX軸方向の長さについても同様である。
【0067】
第1分岐部331のX軸方向の長さは、第1分岐部331の板厚と同等以上でもよい。第2分岐部332についても同様である。この場合、第1分岐部331および第2分岐部332の強度を確保することができる。
【0068】
連結部33は、幅広部333をさらに有していてもよい。本実施形態では、連結部33には2つの幅広部333が具備されている。一方の幅広部333は、実装部31と、第1分岐部331および第2分岐部332との間に介在している。他方の幅広部333は、継線部32と、第1分岐部331および第2分岐部332との間に介在している。幅広部333には、ハンダなどの接続材のフィレットが形成されていてもよい。貫通孔37は、第1分岐部331と、第2分岐部332と、2つの幅広部333の各々とによって囲まれている。なお、2つの幅広部333の少なくとも一方を省略して、第1分岐部331および第2分岐部332を直接的に実装部31および/または継線部32に接続してもよい。
【0069】
第1分岐部331のX軸方向の長さは、幅広部333のX軸方向の長さよりも短い。同様に、第2分岐部332のX軸方向の長さは、幅広部333のX軸方向の長さよりも短い。第1分岐部331のX軸方向の長さと第2分岐部332のX軸方向の長さとの和が、幅広部333のX軸方向の長さよりも短くてもよい。第1分岐部331および第2分岐部332は、幅広部333に対して、幅狭部を構成している。第1分岐部331、第2分岐部332および幅広部333の各々の板厚は等しくてもよく、あるいは異なっていてもよい。
【0070】
第1分岐部331の横断面積(第1横断面積)は、継線部32の横断面積(第2横断面積)よりも小さい。また、第1分岐部331の横断面積は、実装部31の横断面積(第3横断面積)よりも小さい。ここで、第1分岐部331の横断面積は、
図3AのA-A線に沿って、第1分岐部331をXZ平面に平行な面で切ったときの断面積(Y軸に垂直な断面積)である。ただし、第1分岐部331の横断面積は、第1分岐部331をその延在方向に垂直な面で切ったときの断面積(実装部31から継線部32に向かって斜めに延在する連結部33の延在方向に垂直な断面積)でもよい。また、継線部32の横断面積は、
図3AのB-B線に沿って、継線部32をXZ平面に平行な面で切ったときの断面積である。また、実装部31の横断面積は、
図3AのC-C線に沿って、実装部31をXZ平面に平行な面で切ったときの断面積である。
【0071】
第2分岐部332の横断面積(第1横断面積)は、継線部32の横断面積よりも小さい。また、第2分岐部332の横断面積は、実装部31の横断面積よりも小さい。ここで、第2分岐部332の横断面積は、
図3AのA-A線に沿って、第2分岐部332をXZ平面に平行な面で切ったときの断面積である。ただし、第2分岐部332の横断面積は、第2分岐部332をその延在方向に垂直な面で切ったときの断面積でもよい。第2分岐部332の横断面積は、第1分岐部331の横断面積と等しくなっているが、これよりも大きくてもよく、あるいはこれよりも小さくてもよい。
【0072】
第1分岐部331の横断面積と第2分岐部332の横断面積との和は、継線部32の横断面積よりも小さくてもよい。また、第1分岐部331の横断面積と第2分岐部332の横断面積との和は、実装部31の横断面積よりも小さくてもよい。
【0073】
第1分岐部331の横断面積は、継線部32および実装部31の各々の横断面積よりも小さくなっている(あるいは、継線部32および実装部31の各々の横断面積と同等以下である)。ただし、例えば、第1分岐部331の横断面積は、実装部31の横断面積よりも小さい(あるいは、実装部31の横断面と同等以下である)一方で、継線部32の横断面積と同等以上でもよい。第2分岐部332の横断面積についても同様である。また、第1分岐部331の横断面積は、継線部32の横断面積よりも小さい(あるいは、継線部32の横断面積と同等以下である)一方で、実装部31の横断面積と同等以上でもよい。第2分岐部332の横断面積についても同様である。
【0074】
幅広部333の横断面積は、継線部32の横断面積よりも小さくてもよい。また、幅広部333の横断面積は、実装部31の横断面積よりも小さくてもよい。また、幅広部333の横断面積は、第1分岐部331または第2分岐部332の横断面積よりも大きくてもよい。また、幅広部333の横断面積は、第1分岐部331の横断面積と第2分岐部332の横断面積との和よりも大きくてもよい。ここで、幅広部333の横断面積は、
図3AのD-D線に沿って、幅広部333をXZ平面に平行な面で切ったときの断面積である。ただし、幅広部333の横断面積は、幅広部333をその延在方向(実装部31と継線部32とを接続する連結部33の傾斜方向)に垂直な面で切ったときの断面積でもよい。
【0075】
このように、本実施形態では、第1分岐部331および/または第2分岐部332の横断面積(第1横断面積)は、継線部32の横断面積よりも小さくなっている。第1分岐部331および/または第2分岐部332の横断面積は、継線部32の横断面積の3/4以下でもよく、あるいは1/2以下でもよく、あるいは1/4以下でもよい。この場合、連結部33(第1分岐部331および/または第2分岐部332)の横断面積と継線部32の横断面積との比に応じて、継線部32から実装部31に至る熱の伝搬経路を連結部33の位置で狭めることができる。
【0076】
また、第1分岐部331および/または第2分岐部332の横断面積は、実装部31の横断面積よりも小さくなっている。第1分岐部331および/または第2分岐部332の横断面積は、実装部31の横断面積の3/4以下でもよく、あるいは1/2以下でもよく、あるいは1/4以下でもよい。この場合、連結部33(第1分岐部331および/または第2分岐部332)の横断面積と実装部31の横断面積との比に応じて、継線部32から実装部31に至る熱の伝搬経路を連結部33の位置で狭めることができる。
【0077】
特に、第1分岐部331および/または第2分岐部332の横断面積は、継線部32の横断面積よりも小さく、かつ、実装部31の横断面積よりも小さくなっている。そのため、継線部32から実装部31へ伝搬される熱量が連結部33で減衰しやすくなり、実装部31の表面の熱による劣化を抑制することができる。
【0078】
図5に示すように、引出部12aは、巻芯部21よりもY軸方向の外側の位置(巻芯部21のY軸正方向側の外周面)から、X軸に平行な向きで、継線部32に向けて引き出されてもよい。同様に、引出部12bは、巻芯部21よりもY軸方向の外側の位置(巻芯部21のY軸負方向側の外周面)から、X軸に平行な向きで、継線部32に向けて引き出されてもよい。この場合、実装部31から離間した位置で、引出部12aを継線部32に向けて引き出すことができる。そのため、コイル装置1を基板に実装するときに、接続材が引出部12aに付着することを防止することが可能である。これにより、引出部12aの被膜13の溶解を回避し、ショート不良の発生を防止することができる。
【0079】
溶接玉60の近傍において、継線部32に配置(載置)された引出部12aの被膜13は、剥離されている。溶接玉60から離間した位置において、継線部32に配置(載置)された引出部12aの被膜13は、剥離されずに残っていてもよい。同様に、溶接玉60の近傍において、継線部32に配置(載置)された引出部12bの被膜13は、剥離されている。溶接玉60から離間した位置において、継線部32に配置(載置)された引出部12bの被膜13は、剥離されずに残っていてもよい。
【0080】
巻回部11のX軸方向の端部と鍔部22b(鍔部22aについても同様)とのX軸方向の長さL10は、特に限定されないが、例えばワイヤ14の線径の1倍以上、あるいは2倍以上である。この場合、巻回部11と鍔部22bとがX軸方向に離間するため、コイル装置1を基板に実装するときに、例えばハンダなどの接続材が巻回部11に付着することを防止することが可能であり、これによりショート不良の発生を防止することができる。
【0081】
図6に示すように、引出部12aと実装面221(第2領域面25)との間には隙間80が形成されている。ただし、引出部12aは、実装面221との間に隙間80が形成されないように、内端面223、実装面221および継線部32に沿って引き出されてもよい。引出部12bについても同様である。
【0082】
図1に示すように、コア40は、直方体形状(板形状)を有する。コア40は、コア20と同様の材料で構成されていてもよく、あるいはコア20とは異なる材料で構成されていてもよい。コア40は、コア20に例えば接着剤によって取り付けられる。より詳細には、コア40は、鍔部22aの非実装面222および鍔部22bの非実装面222に固定される。なお、非実装面222が固定されるコア40の主面およびその反対側の主面の外縁部には、切欠部が形成されていてもよい。コア40の外縁部に割れや欠け等が生じることを防止するためである。
【0083】
次に、コイル装置1の製造方法について説明する。まず、
図1に示すワイヤ14と、コア20と、端子具30aおよび30bとを準備する。次に、鍔部22aの実装面221(
図2)に端子具30aの実装部31を接着剤で接着し、実装面221に端子具30aを取り付ける。また、鍔部22bの実装面221に端子具30bの実装部31を接着剤で接着し、実装面221に端子具30bを取り付ける。次に、巻芯部21にワイヤ14を巻回し、巻回部11を形成する。次に、例えばレーザ溶接により、引出部12aを端子具30aの継線部32に接続するとともに、引出部12bを端子具30bの継線部32に接続する。より詳細には、継線部32のX軸方向の外側の端部(第2突出部36)に、引出部12aまたは12bを接続する。次に、必要に応じて、鍔部22aの非実装面222および鍔部22bの非実装面222にコア40を接着剤で接着する。以上のようにして、コイル装置1を製造することができる。
【0084】
図1、
図3Aおよび
図5に示すように、本実施形態のコイル装置1では、第1分岐部331および/または第2分岐部332の横断面積が、継線部32の横断面積よりも小さくなっている。そのため、継線部32から実装部31までの熱の伝搬経路が、第1分岐部331および/または第2分岐部332の位置で狭められる。それゆえ、例えば、継線部32に引出部12aを接続するときに、継線部32に熱を加えたとしても、過剰な熱が実装部31に及ぶことを、第1分岐部331および/または第2分岐部332によって阻止することができる。これにより、実装部31の表面の熱による劣化(例えば、実装部31の表面のメッキ膜等の劣化)を抑制することが可能となり、実装部31と基板との接続信頼性が向上し、実装信頼性の高いコイル装置1を実現することができる。また、コイル装置1を基板に実装するときに、例えば、第1分岐部331および/または第2分岐部332にフィレットを形成しつつ、接続材(例えば、ハンダ)を介して、実装部31さらには第1分岐部331および/または第2分岐部332を基板に接続することができる。したがって、この点においても、実装部31と基板との間の接続信頼性を向上させることができる。
【0085】
また、継線部32から実装部31への熱の伝搬を連結部33で抑制することができるため、実装部31の温度上昇に起因する接着層(実装部31と第1領域面24との間の接着層)の劣化を防止することができる。これにより、端子具30a(端子具30b)と鍔部22a(鍔部22b)との間の接着強度(接着信頼性)を向上させることができる。
【0086】
なお、本発明者等の実験によると、連結部33に貫通孔37(さらには、第1分岐部331および第2分岐部332)を形成した場合と、連結部33に貫通孔37を形成しなかった場合とで、継線部32に熱を加えたときの実装部31の温度をシミュレーションにより測定したところ、次のような結果が得られた。連結部33に貫通孔37を形成した場合、実装部31の温度は最大で400℃であった一方で、連結部33に貫通孔37を形成しなかった場合、実装部31の温度は最大で503℃であった。このように、連結部33に貫通孔37を形成することにより、実装部31の温度を低減することができる。これより、継線部32から実装部31への熱の伝搬を連結部33で抑制することができることが明らかになった。
【0087】
また、第1分岐部331および/または第2分岐部332の板厚は、継線部32(あるいは、実装部31)の板厚と同等である一方で、第1分岐部331および/または第2分岐部332のX軸方向の長さは、継線部32(あるいは、実装部31)のX軸方向の長さよりも短い。そのため、第1分岐部331および/または第2分岐部332の強度を確保しつつ、第1分岐部331および/または第2分岐部332の横断面積を継線部32(あるいは、実装部31)の横断面積よりも小さくすることができる。
【0088】
また、本実施形態では、鍔部22aの第1領域面24には、単一の端子具30aの実装部31が固定され、鍔部22bの第1領域面24には、単一の端子具30bの実装部31が固定されている。そのため、鍔部22a(鍔部22b)に複数の端子具30a(端子具30b)を固定する場合に比べて、実装部31の面積、ひいては実装部31と基板との接合面積を確保しやすくなり、実装部31と基板との間の接続信頼性を向上させることができる。
【0089】
第2実施形態
図3Bに示す第2実施形態のコイル装置の端子具30aAおよび30bAは、以下に示す点を除いて、第1実施形態のコイル装置1の端子具30aおよび30bと同様の構成を有する。第1実施形態の端子具30aおよび30bと重複する部分には、同一符号を付し、その詳細な説明については省略する。
【0090】
端子具30aAおよび30bAは、連結部33Aを有する。連結部33Aは、切り欠き38と、幅狭部334と、幅広部333とを有する。切り欠き38は、連結部33のX軸方向の一端から他端に向けて切り欠かれた切り欠きである。
図3Bに示す例では、切り欠き38は、連結部33のX軸方向の外側(補助実装部34が位置する側)から内側(第1突出部35が位置する側)に向かって切り欠かれた切り欠きであるが、連結部33のX軸方向の内側から外側に向かって切り欠かれた切り欠きであってもよい。あるいは、切り欠き38は、連結部33のX軸方向の両側から中央部に向かって切り欠かれた切り欠きであってもよい。切り欠き38をZ軸に沿って見た形状は、長方形であるが、円形、楕円形、正方形、あるいはその他の多角形でもよい。
【0091】
切り欠き38のX軸方向の長さは、例えば連結部33のX軸方向の長さの1/4以上1未満でもよく、あるいは1/2以上1未満でもよく、あるいは3/4以上1未満でもよい。切り欠き38のY軸方向の長さは、連結部33のY軸方向の長さL7(
図4)の1/4以上1以下でもよく、あるいは1/2以上1以下でもよい。
【0092】
幅狭部334は、実装部31と継線部32とを直接的または間接的に接続している。幅狭部334は、第1実施形態の第2分岐部332(
図3A)に対応しており、切り欠き38に隣接して配置されている。幅狭部334のX軸方向の長さは、切り欠き38のX軸方向の長さよりも短くなっているが、これと同等、あるいはこれよりも長くてもよい。幅狭部334は、実装部31および継線部32に対して、斜めに延在している。幅狭部334は、直線状に延在していてもよく、あるいは湾曲(屈曲)していてもよい。
【0093】
2つの幅広部333の各々は、幅狭部334に連続している。2つの幅広部333の一方は、切り欠き38よりもY軸方向の一方側に配置されており、実装部31に接続されている。2つの幅広部333の他方は、切り欠き38よりもY軸方向の他方側に配置されており、継線部32に接続されている。幅狭部334のX軸方向の長さは、幅広部333のX軸方向の長さ(
図5に示す連結部33のX軸方向の長さL12に対応)よりも短くなっている。なお、2つの幅広部333の少なくとも一方を省略し、幅狭部334を直接的に実装部31および/または継線部32に接続してもよい。
【0094】
幅狭部334の横断面積(第1横断面積)は、継線部32の横断面積(第2横断面積)よりも小さい。また、幅狭部334の横断面積は、実装部31の横断面積(第3横断面積)よりも小さい。ここで、幅狭部334の横断面積は、
図3BのE-E線に沿って、幅狭部334をXZ平面に平行な面で切ったときの断面積(Y軸に垂直な断面積)である。ただし、幅狭部334の横断面積は、幅狭部334をその延在方向に垂直な面で切ったときの断面積(実装部31から継線部32に向かって斜めに延在する連結部33Aの延在方向に垂直な断面積)でもよい。
【0095】
幅狭部334の横断面積は、継線部32および実装部31の各々の横断面積よりも小さくなっている(あるいは、継線部32および実装部31の各々の横断面積と同等以下である)。ただし、例えば、幅狭部334の横断面積は、実装部31の横断面積よりも小さい(あるいは、実装部31の横断面と同等以下である)一方で、継線部32の横断面積と同等以上でもよい。また、幅狭部334の横断面積は、継線部32の横断面積よりも小さい(あるいは、継線部32の横断面積と同等以下である)一方で、実装部31の横断面積と同等以上でもよい。
【0096】
幅狭部334には、ハンダなどの接続材のフィレットが形成されていてもよい。幅広部333についても同様である。また、切り欠き38の内壁面に、接続材が入り込み、当該内壁面に接続材が付着してもよい。さらには、切り欠き38の少なくとも一部が、接続材で閉塞されてもよい。
【0097】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。加えて、本実施形態では、連結部33Aには、そのX軸方向の一端から他端に向けて切り欠かれた切り欠き38が形成されている。連結部33Aの一部は切り欠き38によって除去されているため、連結部33A(幅狭部334)の横断面積を継線部32または実装部31の横断面積よりも小さくすることが可能となり、継線部32から実装部31への熱の伝搬を連結部33Aで抑制することができる。
【0098】
また、幅狭部334のX軸方向の長さは、幅広部333のX軸方向の長さよりも短くなっている。連結部33Aに幅狭部334を備えることにより、連結部33Aの横断面積を継線部32または実装部31の横断面積よりも小さくすることが可能となり、継線部32から実装部31への熱の伝搬を幅狭部334で抑制することができる。また、連結部33Aに幅広部333を備えることにより、連結部33Aの電気抵抗を低減することができる。
【0099】
なお、本発明者等の実験によると、連結部33Aに切り欠き38(さらには、幅狭部334)を形成した場合と、連結部33に切り欠き38を形成しなかった場合とで、継線部32に熱を加えたときの実装部31の温度をシミュレーションにより測定したところ、次のような結果が得られた。連結部33Aに切り欠き38を形成した場合、実装部31の温度は最大で277℃であった一方で、連結部33Aに切り欠き38を形成しなかった場合、実装部31の温度は最大で503℃であった。このように、連結部33Aに切り欠き38を形成することにより、実装部31の温度を(第1実施形態よりも)低減することができる。これより、継線部32から実装部31への熱の伝搬を連結部33Aで抑制することができることが明らかになった。
【0100】
なお、本開示は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本開示の範囲内で種々に改変することができる。例えば、上記第1実施形態において、
図3Aに示す連結部33に貫通孔37を形成することなく、連結部33の横断面積を継線部32または実装部31の横断面積よりも小さくしてもよい。また、上記第2実施形態において、
図3Bに示す連結部33Aに切り欠き38を形成することなく、連結部33Aの横断面積を継線部32または実装部31の横断面積よりも小さくしてもよい。
【0101】
上記各実施形態では、コイル装置1のインダクタへの適用例について説明したが、コイル装置1をインダクタ以外のコイル装置(たとえばトランス)に適用してもよい。
【0102】
上記各実施形態において、コイル装置1からコア40を省略してもよい。
【符号の説明】
【0103】
1…コイル装置
10…コイル
11…巻回部
12a,12b…引出部
13…被膜
14…ワイヤ
20,40…コア
21…巻芯部
22a,22b…鍔部
221…実装面
222…非実装面
223…内端面
224…外端面
23…段差形成面
24…第1領域面
25…第2領域面
26…凹部
27…切欠部
30a,30b,30aA,30bA…端子具
31…実装部
32…継線部
33,33A…連結部
331…第1分岐部
332…第2分岐部
333…幅広部
334…幅狭部
34…補助実装部
35…第1突出部
36…第2突出部
37…貫通孔
38…切り欠き
50,70,80…隙間
60…溶接玉