(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063462
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】二酸化炭素回収システム及び二酸化炭素回収方法
(51)【国際特許分類】
B01D 53/62 20060101AFI20240502BHJP
B01D 53/96 20060101ALI20240502BHJP
B01D 53/78 20060101ALI20240502BHJP
B01D 53/82 20060101ALI20240502BHJP
F25J 1/00 20060101ALI20240502BHJP
C01B 32/50 20170101ALI20240502BHJP
【FI】
B01D53/62
B01D53/96
B01D53/78
B01D53/82
F25J1/00 A
F25J1/00 D
C01B32/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171434
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊光
(72)【発明者】
【氏名】中道 憲治
【テーマコード(参考)】
4D002
4D047
4G146
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002AC10
4D002BA02
4D002BA04
4D002CA01
4D002CA07
4D002DA31
4D002DA45
4D002EA01
4D002EA07
4D002EA08
4D002FA01
4D002GA01
4D002GB11
4D002HA08
4D047AA05
4D047BA07
4D047CA08
4D047CA11
4D047CA19
4G146JA04
4G146JB09
4G146JC08
4G146JC10
4G146JC28
(57)【要約】
【課題】排ガスに含まれる二酸化炭素を回収するための設備の大型化や複雑化を抑制できる二酸化炭素回収システム及び二酸化炭素回収方法を提供する。
【解決手段】二酸化炭素回収システムは、燃焼装置から排出された排ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液又は吸着材に付着させる二酸化炭素抽出装置と、吸収液又は吸着材を熱媒体との間の熱交換により加熱する加熱器を含み、吸収液又は吸着材から二酸化炭素ガスを分離する分離装置と、二酸化炭素ガスを液化させる液化装置と、を備え、液化装置は、二酸化炭素ガスを圧縮する圧縮機と、加熱器に導入される熱媒体と圧縮された二酸化炭素ガスとの間で熱交換を行う熱交換器と、圧縮された二酸化炭素ガスと第1冷熱媒体との間で熱交換を行い、二酸化炭素ガスを冷却する冷却器と、熱交換器及び冷却器を通過した二酸化炭素ガスと第2冷熱媒体との間で熱交換を行い、二酸化炭素ガスを液化させる液化器と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼装置から排出された排ガスに含まれる二酸化炭素を回収するように構成された二酸化炭素回収システムであって、
前記排ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる、又は、前記二酸化炭素を吸着材に吸着させるように構成された二酸化炭素抽出装置と、
前記二酸化炭素抽出装置において前記二酸化炭素が付着した前記吸収液又は前記吸着材を加熱して、前記吸収液又は前記吸着材から二酸化炭素ガスを分離するように構成された分離装置であって、前記吸収液又は前記吸着材と熱媒体との間で熱交換を行い、前記吸収液又は前記吸着材を加熱するように構成された加熱器を含む分離装置と、
前記分離装置において前記吸収液又は前記吸着材から分離した前記二酸化炭素ガスを冷却して、前記二酸化炭素ガスを液化させるように構成された液化装置と、を備え、
前記液化装置は、
前記分離装置において前記吸収液又は前記吸着材から分離した前記二酸化炭素ガスを圧縮するように構成された少なくとも1つの圧縮機と、
前記加熱器に導入される前記熱媒体と、前記少なくとも1つの圧縮機において圧縮された前記二酸化炭素ガスとの間で熱交換を行うように構成された少なくとも1つの熱交換器と、
前記少なくとも1つの圧縮機において圧縮された前記二酸化炭素ガスと第1冷熱媒体との間で熱交換を行い、前記二酸化炭素ガスを冷却するように構成された少なくとも1つの冷却器と、
前記少なくとも1つの熱交換器及び前記少なくとも1つの冷却器を通過した前記二酸化炭素ガスと第2冷熱媒体との間で熱交換を行い、前記二酸化炭素ガスを液化させるように構成された液化器と、を含む、
二酸化炭素回収システム。
【請求項2】
前記液化装置は、
前記分離装置において前記吸収液又は前記吸着材から分離した前記二酸化炭素ガスを前記液化器に送るための二酸化炭素ガスラインであって、前記少なくとも1つの圧縮機、前記少なくとも1つの熱交換器、及び前記少なくとも1つの冷却器の各々が設けられた二酸化炭素ガスラインをさらに含み、
前記少なくとも1つの圧縮機は、
第1圧縮機と、
前記第1圧縮機よりも前記二酸化炭素ガスラインの下流側に配置された第2圧縮機と、を含む、
請求項1に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの熱交換器は、
前記二酸化炭素ガスラインの前記第1圧縮機と前記第2圧縮機の間に配置された第1熱交換器と、
前記二酸化炭素ガスラインの前記第2圧縮機よりも下流側に配置された第2熱交換器と、を含む、
請求項2に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの圧縮機に導入される二酸化炭素ガスと第1加熱媒体との間で熱交換を行い、前記二酸化炭素ガスを加熱するように構成された予加熱器をさらに備える、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項5】
前記二酸化炭素抽出装置は、
前記排ガスに含まれる前記二酸化炭素を前記吸収液に吸収させるように構成された、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項6】
前記二酸化炭素抽出装置は、
前記排ガスに含まれる前記二酸化炭素を前記吸着材に吸着させるように構成された、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項7】
燃焼装置から排出された排ガスに含まれる二酸化炭素を回収するための二酸化炭素回収方法であって、
前記排ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる、又は、前記二酸化炭素を吸着材に吸着させる二酸化炭素抽出ステップと、
前記吸収液又は前記吸着材と熱媒体との間で熱交換を行うことにより、前記吸収液又は前記吸着材を加熱して、前記吸収液又は前記吸着材から二酸化炭素ガスを分離する分離ステップと、
前記分離ステップにおいて前記吸収液又は前記吸着材から分離した前記二酸化炭素ガスを冷却して、前記二酸化炭素ガスを液化させる液化ステップと、を備え、
前記液化ステップは、
前記分離ステップにおいて前記吸収液又は前記吸着材から分離した前記二酸化炭素ガスを圧縮する圧縮ステップと、
前記分離ステップにおいて熱交換が行われる前の前記熱媒体と、前記圧縮ステップにおいて圧縮された前記二酸化炭素ガスとの間で熱交換を行う熱交換ステップと、
前記圧縮ステップにおいて圧縮された前記二酸化炭素ガスと第1冷熱媒体との間で熱交換を行い、前記二酸化炭素ガスを冷却する冷却ステップと、
前記熱交換ステップにおいて前記熱媒体との間で熱交換が行われ、且つ前記冷却ステップにおいて冷却された前記二酸化炭素ガスと第2冷熱媒体との間で熱交換を行い、前記二酸化炭素ガスを液化させる液化ステップと、を含む、
二酸化炭素回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃焼装置から排出された排ガスに含まれる二酸化炭素を回収するための二酸化炭素回収システム及び二酸化炭素回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼装置から排出された排ガスに含まれる二酸化炭素を、アミン等の液状の吸収液に吸収させる、又は、吸着材に吸着させることで、排ガスから二酸化炭素ガスを分離することが行われている(例えば、特許文献1参照。)排ガスから回収した二酸化炭素は、ガス状態であるため、遠隔の集積地に二酸化炭素を効率良く輸送するためには、二酸化炭素の液化、高密度化が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
排ガスから二酸化炭素を回収して液化するためには、排ガスから二酸化炭素ガスを分離させるための過熱源を供給する設備と、二酸化炭素を液化させるための冷熱源を供給する設備の両方が必要となる。この両方の設備を導入するためには、中小事業者にとって負担が大きすぎる可能性が高い。上記負担を軽減するために、排ガスに含まれる二酸化炭素を回収するための設備の大型化や複雑化を抑制することが望まれている。
【0005】
上述した事情に鑑みて、本開示の少なくとも一実施形態は、排ガスに含まれる二酸化炭素を回収するための設備の大型化や複雑化を抑制できる二酸化炭素回収システム及び二酸化炭素回収方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の少なくとも一実施形態に係る二酸化炭素回収システムは、
燃焼装置から排出された排ガスに含まれる二酸化炭素を回収するように構成された二酸化炭素回収システムであって、
前記排ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる、又は、前記二酸化炭素を吸着材に吸着させるように構成された二酸化炭素抽出装置と、
前記二酸化炭素抽出装置において前記二酸化炭素が付着した前記吸収液又は前記吸着材を加熱して、前記吸収液又は前記吸着材から二酸化炭素ガスを分離するように構成された分離装置であって、前記吸収液又は前記吸着材と熱媒体との間で熱交換を行い、前記吸収液又は前記吸着材を加熱するように構成された加熱器を含む分離装置と、
前記分離装置において前記吸収液又は前記吸着材から分離した前記二酸化炭素ガスを冷却して、前記二酸化炭素ガスを液化させるように構成された液化装置と、を備え、
前記液化装置は、
前記分離装置において前記吸収液又は前記吸着材から分離した前記二酸化炭素ガスを圧縮するように構成された少なくとも1つの圧縮機と、
前記加熱器に導入される前記熱媒体と、前記少なくとも1つの圧縮機において圧縮された前記二酸化炭素ガスとの間で熱交換を行うように構成された少なくとも1つの熱交換器と、
前記少なくとも1つの圧縮機において圧縮された前記二酸化炭素ガスと第1冷熱媒体との間で熱交換を行い、前記二酸化炭素ガスを冷却するように構成された少なくとも1つの冷却器と、
前記少なくとも1つの熱交換器及び前記少なくとも1つの冷却器を通過した前記二酸化炭素ガスと第2冷熱媒体との間で熱交換を行い、前記二酸化炭素ガスを液化させるように構成された液化器と、を含む。
【0007】
本開示の少なくとも一実施形態に係る二酸化炭素回収方法は、
燃焼装置から排出された排ガスに含まれる二酸化炭素を回収するための二酸化炭素回収方法であって、
前記排ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる、又は、前記二酸化炭素を吸着材に吸着させる二酸化炭素抽出ステップと、
前記吸収液又は前記吸着材と熱媒体との間で熱交換を行うことにより、前記吸収液又は前記吸着材を加熱して、前記吸収液又は前記吸着材から二酸化炭素ガスを分離する分離ステップと、
前記分離ステップにおいて前記吸収液又は前記吸着材から分離した前記二酸化炭素ガスを冷却して、前記二酸化炭素ガスを液化させる液化ステップと、を備え、
前記液化ステップは、
前記分離ステップにおいて前記吸収液又は前記吸着材から分離した前記二酸化炭素ガスを圧縮する圧縮ステップと、
前記分離ステップにおいて熱交換が行われる前の前記熱媒体と、前記圧縮ステップにおいて圧縮された前記二酸化炭素ガスとの間で熱交換を行う熱交換ステップと、
前記圧縮ステップにおいて圧縮された前記二酸化炭素ガスと第1冷熱媒体との間で熱交換を行い、前記二酸化炭素ガスを冷却する冷却ステップと、
前記熱交換ステップにおいて前記熱媒体との間で熱交換が行われ、且つ前記冷却ステップにおいて冷却された前記二酸化炭素ガスと第2冷熱媒体との間で熱交換を行い、前記二酸化炭素ガスを液化させる液化ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、排ガスに含まれる二酸化炭素を回収するための設備の大型化や複雑化を抑制できる二酸化炭素回収システム及び二酸化炭素回収方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態に係る二酸化炭素回収システムを模式的に示す図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る二酸化炭素回収システムを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0011】
(二酸化炭素回収システム)
図1及び
図2の各々は、本開示の一実施形態に係る二酸化炭素回収システム1を模式的に示す図である。本開示の幾つかの実施形態に係る二酸化炭素回収システム1は、エンジン等の燃焼装置11から排出された排ガスに含まれる二酸化炭素を回収するように構成されている。二酸化炭素回収システム1では、排ガスから回収した二酸化炭素ガスを効率良く貯蔵や輸送を行うために液化させるように構成されている。二酸化炭素回収システム1は、
図1及び
図2に示されるように、二酸化炭素抽出装置2と、加熱器4を含む分離装置3と、液化装置5と、を備える。
【0012】
(二酸化炭素抽出装置)
二酸化炭素抽出装置2は、燃焼装置11から排出された排ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる、又は、上記排ガスに含まれる二酸化炭素を吸着材に吸着させるように構成されている。
図1及び
図2に示される実施形態では、二酸化炭素抽出装置2は、上記排ガスに含まれる二酸化炭素を液状の吸収液に吸収させるように構成されている。吸収液として、例えば、液体アミンが挙げられる。なお、吸収液は、二酸化炭素を吸収できる液体であればよく、液体アミンに限定されない。
【0013】
図1及び
図2に示される実施形態では、二酸化炭素抽出装置2は、燃焼装置11から排出された排ガスと吸収液とを気液接触させるように構成された吸収塔21を含む。吸収塔21では、吸収塔21の内部に吸収液を散布し、吸収塔21の内部に導かれた排ガスと吸収液とを気液接触させることで、排ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させるようになっている。
【0014】
図1及び
図2に示される実施形態では、二酸化炭素回収システム1は、冷却塔22と、再生塔25と、をさらに備える。冷却塔22は、冷却塔22の内部に貯留された冷却水を冷却塔22から抜き出して、冷却塔22の内部に散布するための冷却水循環ライン23と、冷却水循環ライン23を流れる冷却水を冷熱媒体により冷却するための冷却水冷却器24と、が設けられている。
【0015】
燃焼装置11から排出された排ガスは、冷却塔22に導入される。冷却塔22では、冷却塔22の内部に導かれた排ガスと冷却水循環ライン23を介して冷却塔22の内部に散布される冷却水とを気液接触させることで、排ガスを常温程度まで冷却するようになっている。冷却塔22において冷却された排ガスが吸収塔21に導入される。再生塔25には、吸収塔21において二酸化炭素を吸収した吸収液が導入され、再生塔25の内部に貯留される。
【0016】
(分離装置)
分離装置3は、二酸化炭素抽出装置2において二酸化炭素が付着した吸収液又は吸着材を加熱して、吸収液又は吸着材から二酸化炭素ガスを分離させるように構成されている。分離装置3は、吸収液又は吸着材と熱媒体との間で熱交換を行い、吸収液又は吸着材を加熱するように構成された加熱器4を含む。
【0017】
図1及び
図2に示される実施形態では、分離装置3は、吸収液と該吸収液よりも高温の熱媒体との間で熱交換を行い、吸収液を加熱させる加熱器4により、二酸化炭素が付着した吸収液を加熱することで、吸収液から二酸化炭素ガスを分離させるようになっている。
図1及び
図2に示される実施形態では、再生塔25の内部に貯留された吸収液が、加熱器4に導入される熱媒体の熱エネルギにより加熱されることで、吸収液から二酸化炭素ガスが分離されるようになっている。吸収液は、所定温度(例えば、140℃)以上に加熱することにより、吸収液に吸収された二酸化炭素ガスが分離するようになっている。分離装置3において二酸化炭素ガスが分離することで、吸収液による二酸化炭素の吸収性能が回復する。
【0018】
(液化装置)
液化装置5は、分離装置3において吸収液又は吸着材から分離した二酸化炭素ガスを冷却し、二酸化炭素ガスを液化させるように構成されている。液化装置5は、
図1及び
図2に示されるように、少なくとも1つの圧縮機6と、少なくとも1つの熱交換器7と、少なくとも1つの冷却器8と、液化器9と、を含む。
【0019】
図1及び
図2に示される実施形態では、二酸化炭素回収システム1は、液化器9において液化した液状の二酸化炭素(液体二酸化炭素)を貯留するように構成された貯留タンク13をさらに備える。液化装置5は、再生塔25(分離装置3)において吸収液又は吸着材から分離した二酸化炭素ガスを、液化器9に送るための二酸化炭素ガスライン12と、液化器9において液化した液状の二酸化炭素を貯留タンク13に送るための液体二酸化炭素ライン14と、をさらに含む。上述した少なくとも1つの圧縮機6、少なくとも1つの熱交換器7及び少なくとも1つの冷却器8の各々は、二酸化炭素ガスライン12に設けられる。二酸化炭素ガスライン12に設けられた圧縮機6を駆動させることで、再生塔25(分離装置3)から二酸化炭素ガスライン12に二酸化炭素ガスが吸引され、圧縮機6に導かれる。そして、圧縮機6において圧縮された二酸化炭素ガスは、圧縮機6の駆動により、二酸化炭素ガスライン12を液化器9に向かって送られ、液化器9において液化した後に、液体二酸化炭素ライン14を介して貯留タンク13に導かれ、貯留タンク13に貯留される。
【0020】
(圧縮機)
上述した少なくとも1つの圧縮機6は、二酸化炭素ガスを圧縮するように構成されている。圧縮機6を駆動させることで、二酸化炭素ガスライン12の圧縮機6よりも上流側から圧縮機6に吸引された二酸化炭素ガスが圧縮される。圧縮機6において圧縮された二酸化炭素ガスは、圧縮機6に導入される前よりも昇温昇圧され、高温高圧の気体になる。
【0021】
(熱交換器、加熱器)
上述した少なくとも1つの熱交換器7は、上述した加熱器4に導入される熱媒体と、上述した圧縮機6において圧縮された二酸化炭素ガスとの間で熱交換を行うように構成されている。圧縮機6において圧縮された二酸化炭素ガスは、加熱器4に導入前の熱媒体よりも高温になっている。熱交換器7における熱交換により、二酸化炭素ガスライン12を流れる二酸化炭素ガスが冷却されるとともに、加熱器4に導入される熱媒体が加熱される。換言すると、熱交換器7では、圧縮機6において圧縮された二酸化炭素ガスの排熱(熱エネルギ)を、加熱器4に導入前の熱媒体に伝達し、該熱媒体を加熱させるようになっている。
【0022】
加熱器4には、熱交換器7において加熱された熱媒体が導入されるようになっている。
図1及び
図2に示される実施形態では、再生塔25は、吸収液を貯留するように構成された再生塔本体26と、再生塔本体26の内部に貯留された吸収液を、再生塔本体26から抜き出した後に再生塔本体26に戻す吸収液循環ライン27が設けられている。二酸化炭素回収システム1は、熱交換器7において加熱された熱媒体を加熱器4に送るための熱媒体導入ライン42をさらに備える。加熱器4は、吸収液循環ライン27を流れる吸収液と、熱媒体導入ライン42を介して加熱器4(熱交換器41)に導入された熱媒体と、の間で熱交換を行うように構成された熱交換器41を含む。
【0023】
熱交換器41における熱交換により、吸収液循環ライン27を流れる吸収液が加熱され、熱交換器41に導入された熱媒体が冷却される。熱交換器41において加熱された吸収液が吸収液循環ライン27を介して再生塔本体26に導かれることで、再生塔本体26の内部の吸収液が加熱されるようになっている。再生塔本体26又は吸収液循環ライン27において、吸収液が所定温度以上に加熱されると、吸収液に吸収された二酸化炭素が分離される。
【0024】
(冷却器)
上述した少なくとも1つの冷却器8は、上述した少なくとも1つの圧縮機6において圧縮された二酸化炭素ガスと第1冷熱媒体との間で熱交換を行い、二酸化炭素ガスを冷却するように構成されている。冷却器8に導入される第1冷熱媒体は、冷却器8に導入される二酸化炭素ガスよりも低温(例えば、0℃以上20℃以下)になっている。第1冷熱媒体としては、例えば、水等の冷却液が挙げられる。なお、第1冷熱媒体は、水以外の熱媒体であってもよい。冷却器8には、不図示のポンプにより第1冷熱媒体が導入される。
【0025】
冷却器8における熱交換により、二酸化炭素ガスライン12を液化器9に向かって流れる二酸化炭素ガスが、第1冷熱媒体により冷却される。液化器9には、圧縮機6において昇圧後に、熱交換器7及び冷却器8により冷却された二酸化炭素ガスが二酸化炭素ガスライン12を通じて導入される。
【0026】
(液化器)
上述した液化器9は、上述した少なくとも1つの熱交換器7及び上述した少なくとも1つの冷却器8を通過した二酸化炭素ガスと第2冷熱媒体との間で熱交換を行い、二酸化炭素ガスを液化させるように構成されている。液化器9に導入される第2冷熱媒体は、冷却器8に導入される第1冷熱媒体よりも低温(例えば、-40℃以上-20℃以下)になっている。第2冷熱媒体としては、例えば、水等の冷却液が挙げられる。なお、第2冷熱媒体は、水以外の熱媒体であってもよい。液化器9には、不図示のポンプにより第2冷熱媒体が導入される。液化器9における熱交換により、二酸化炭素ガスライン12を介して液化器9に導入された二酸化炭素ガスが、第2冷熱媒体により冷却される。
【0027】
幾つかの実施形態に係る二酸化炭素回収システム1は、
図1及び
図2に示されるように、上述した二酸化炭素抽出装置2と、加熱器4を含む上述した分離装置3と、上述した液化装置5と、を備え、液化装置5は、上述した少なくとも1つの圧縮機6と、上述した少なくとも1つの熱交換器7と、上述した少なくとも1つの冷却器8と、液化器9と、を含む。
【0028】
上記の構成によれば、少なくとも1つの圧縮機6により、二酸化炭素ガスを昇圧することで、二酸化炭素ガスの液化温度を上げることができる。そして、少なくとも1つの熱交換器7及び少なくとも1つの冷却器8により、液化器9に導入される二酸化炭素ガスの温度を予め低下させることで、液化器9における熱交換に用いられる第2冷熱媒体の温度を比較的高いものとすることができる。この場合には、第2冷熱媒体を冷却するための設備の小型化が図れる。
【0029】
また、上記の構成によれば、分離装置3において、上述した少なくとも1つの圧縮機6において圧縮された二酸化炭素ガスの熱エネルギを加熱源として利用することにより、吸収液又は吸着材から二酸化炭素ガスを分離できる。この場合には、圧縮機6の排熱を利用するので、分離装置3に加熱源を供給するボイラ設備の負荷を低減、もしくはボイラ設備を不要とすることができる。よって、上記の構成によれば、排ガスに含まれる二酸化炭素を回収するための設備である二酸化炭素回収システム1の大型化や複雑化を抑制できる。
【0030】
幾つかの実施形態では、
図1及び
図2に示されるように、上述した二酸化炭素抽出装置2は、排ガスに含まれる二酸化炭素を液状の吸収液に吸収させるように構成されている。この場合には、二酸化炭素抽出装置2において液状の吸収液に吸収させた二酸化炭素を、分離装置3により吸収液から分離でき、吸収液から分離した二酸化炭素ガスを、液化装置5により液化できる。
【0031】
幾つかの実施形態では、
図1及び
図2に示されるように、上述した少なくとも1つの圧縮機6は、第1圧縮機6Aと、第1圧縮機6Aよりも二酸化炭素ガスライン12の下流側(液化器9側)に配置された第2圧縮機6Bと、を含む。
【0032】
上記の構成によれば、二酸化炭素ガスライン12に多段式の圧縮機(第1圧縮機6A、第2圧縮機6B)を設けることで、各段を構成する圧縮機6A、6Bの出力を小さなものとすることができるため、各段を構成する圧縮機6A、6Bの大型化を抑制できる。
【0033】
幾つかの実施形態では、
図1及び
図2に示されるように、上述した少なくとも1つの熱交換器7は、二酸化炭素ガスライン12の第1圧縮機6Aと第2圧縮機6Bの間に配置された第1熱交換器7Aと、二酸化炭素ガスライン12の第2圧縮機6Bよりも下流側に配置された第2熱交換器7Bと、を含む。
【0034】
図1及び
図2に示される実施形態では、液化装置5は、加熱器4の熱交換器41から第2熱交換器7Bに熱媒体(加熱媒体)を送るための熱媒体戻しライン43と、第2熱交換器7Bから第1熱交換器7Aに上記熱媒体(加熱媒体)を送るための熱媒体供給ライン44と、をさらに含む。熱媒体導入ライン42、熱媒体戻しライン43又は熱媒体供給ライン44の何れかに熱媒体を送るためのポンプが設けられる。熱媒体は、熱媒体導入ライン42、熱交換器41、熱媒体戻しライン43、第2熱交換器7B、熱媒体供給ライン44及び第1熱交換器7Aをこの順に循環するようになっている。熱交換器41に導入される熱媒体(加熱媒体)として、例えば、水(水が気化した蒸気)が挙げられる。なお、熱交換器41に導入される熱媒体(加熱媒体)は、水以外の熱媒体であってもよい。
【0035】
図1に示される実施形態では、上述した少なくとも1つの冷却器8は、二酸化炭素ガスライン12の第1熱交換器7Aと第2圧縮機6Bの間に配置された第1冷却器8Aと、二酸化炭素ガスライン12の第2熱交換器7Bよりも下流側に配置された第2冷却器8Bと、を含む。二酸化炭素ガスライン12は、再生塔25と第1圧縮機6Aとを繋ぐ配管12Aと、第1圧縮機6Aと第1熱交換器7Aとを繋ぐ配管12Bと、第1熱交換器7Aと第1冷却器8Aとを繋ぐ配管12Cと、第1冷却器8Aと第2圧縮機6Bとを繋ぐ配管12Dと、第2圧縮機6Bと第2熱交換器7Bとを繋ぐ配管12Eと、第2熱交換器7Bと第2冷却器8Bとを繋ぐ配管12Fと、第2冷却器8Bと液化器9とを繋ぐ配管12Gと、を含む。
【0036】
上記の構成によれば、第1熱交換器7Aにより、第1圧縮機6Aにおいて圧縮された二酸化炭素ガスの熱エネルギを加熱源として、分離装置3に供給することができる。また、第2熱交換器7Bにより、第2圧縮機6Bにおいて圧縮された二酸化炭素ガスの熱エネルギを加熱源として、分離装置3に供給することができる。この場合には、多段式の圧縮機の各段を構成する圧縮機6A、6Bの排熱を、分離装置3の加熱源として効果的に利用可能である。
【0037】
幾つかの実施形態では、
図1に示されるように、上述した液化装置5は、第1熱交換器7Aに導入される二酸化炭素ガスと冷熱媒体との間で熱交換を行い、二酸化炭素ガスを冷却するように構成された予冷却器10Aをさらに含んでいてもよい。予冷却器10Aに導入される冷熱媒体は、予冷却器10Aに導入される二酸化炭素ガスよりも低温(例えば、0℃以上20℃以下)になっている。予冷却器10Aに導入される冷熱媒体としては、例えば、水等の冷却液が挙げられる。なお、予冷却器10Aに導入される冷熱媒体は、水以外の熱媒体であってもよい。予冷却器10Aには、不図示のポンプにより冷熱媒体が導入される。この場合には、予冷却器10Aにより、第1熱交換器7Aに導入される二酸化炭素ガスを冷却することで、少なくとも1つの熱交換器7を介して分離装置3に供給される熱量を調整できる。
【0038】
幾つかの実施形態では、
図2に示されるように、上述した液化装置5は、少なくとも1つの圧縮機6に導入される二酸化炭素ガスと第1加熱媒体との間で熱交換を行い、二酸化炭素ガスを加熱するように構成された少なくとも1つの予加熱器10B、10Cをさらに含んでいてもよい。
【0039】
図2に示される実施形態では、少なくとも1つの予加熱器10B、10Cは、再生塔25と第1圧縮機6Aとを繋ぐ配管12Aに配置される第1予加熱器10Bと、上述した第1冷却器8Aの代わりに、配管12Cと配管12Dの間に配置される第2予加熱器10Cと、を含む。第1予加熱器10B及び第2予加熱器10Cの各々には、例えば、二酸化炭素回収システム1における未利用排熱の供給源15、16から、常温よりも高温(例えば、60℃以上80℃以下)の第1加熱媒体が導入される。第1加熱媒体は、高温空気や排ガスなどであってもよい。
【0040】
上記の構成によれば、少なくとも1つの予加熱器10B、10Cにより、少なくとも1つの圧縮機6に導入される二酸化炭素ガスを加熱することで、少なくとも1つの熱交換器7を介して分離装置3に供給される熱量を増大できる。
【0041】
上述した幾つかの実施形態では、排ガスに含まれる二酸化炭素を液状の吸収液に吸収させることにより、二酸化炭素を抽出していたが、上記二酸化炭素を固形状の吸着材に吸着させることにより、二酸化炭素を抽出してもよい。
【0042】
(二酸化炭素抽出装置)
二酸化炭素抽出装置2は、燃焼装置11から排出された排ガスに含まれる二酸化炭素を固体状の吸着材に吸着させるように構成されていてもよい。分離装置3は、吸着材を加熱するように構成された加熱器4を含み、該加熱器4により二酸化炭素抽出装置2において二酸化炭素が付着した吸着材を加熱して、吸着材から二酸化炭素ガスを分離させるように構成されていてもよい。液化装置5は、分離装置3において吸着材から分離した二酸化炭素ガスを冷却して、二酸化炭素ガスを液化させるように構成されていてもよい。この場合には、二酸化炭素抽出装置2において固体状の吸着材に吸着させた二酸化炭素を、加熱器4を含む分離装置3により吸着材から分離でき、吸着材から分離した二酸化炭素ガスを、液化装置5により液化できる。
【0043】
二酸化炭素抽出装置2は、吸着材を収容するケーシングを有し、燃焼装置11から排出された排ガスを該吸着材に吸着させるように構成されていてもよい。吸着材は、温度スイング、又は、圧力スイングの何れかにより、該吸着材に二酸化炭素を吸着、又は分離させるように構成されている。吸着材として、例えば、ゼオライト等の固体吸着材が挙げられる。なお、吸着材は、二酸化炭素を吸着できる固体であればよく、ゼオライトに限定されない。
【0044】
幾つかの実施形態に係る二酸化炭素回収方法は、上述した燃焼装置11から排出された排ガスに含まれる二酸化炭素を回収するための二酸化炭素回収方法である。上記二酸化炭素回収方法は、二酸化炭素抽出ステップと、分離ステップと、液化ステップと、を備える。二酸化炭素回収方法における幾つかのステップは、上述した二酸化炭素回収システム1を構成する各機器が行ってもよいし、二酸化炭素回収システム1を構成しない機器や手動により行われてもよい。
【0045】
上記二酸化炭素抽出ステップでは、燃焼装置11から排出された排ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる、又は、前記二酸化炭素を吸着材に吸着させることが行われる。上記分離ステップでは、吸収液又は吸着材と熱媒体との間で熱交換を行うことにより、吸収液又は吸着材を加熱して、吸収液又は吸着材から二酸化炭素ガスを分離させることが行われる。上記液化ステップでは、分離ステップにおいて吸収液又は吸着材から分離した二酸化炭素ガスを冷却して、二酸化炭素ガスを液化させることが行われる。
【0046】
上記液化ステップは、分離ステップにおいて吸収液又は吸着材から分離した二酸化炭素ガスを圧縮する圧縮ステップと、分離ステップにおいて熱交換が行われる前の熱媒体と、圧縮ステップにおいて圧縮された二酸化炭素ガスとの間で熱交換を行う熱交換ステップと、圧縮ステップにおいて圧縮された二酸化炭素ガスと第1冷熱媒体との間で熱交換を行い、二酸化炭素ガスを冷却する冷却ステップと、熱交換ステップにおいて熱媒体との間で熱交換が行われ、且つ冷却ステップにおいて冷却された二酸化炭素ガスと第2冷熱媒体との間で熱交換を行い、二酸化炭素ガスを液化させる液化ステップと、を含む。
【0047】
上記の方法によれば、圧縮ステップにより、二酸化炭素ガスを昇圧することで、二酸化炭素ガスの液化温度を上げることができる。そして、熱交換ステップ及び冷却ステップにより、液化ステップにより熱交換が行われる二酸化炭素ガスの温度を予め低下させることで、液化ステップにおける熱交換に用いられる第2冷熱媒体の温度を比較的高いものとすることができる。この場合には、第2冷熱媒体を冷却するための設備の小型化が図れる。
【0048】
また、上記の方法によれば、圧縮ステップにおいて圧縮された二酸化炭素ガスの熱エネルギを、分離ステップにおける加熱源として利用することにより、吸収液又は吸着材から二酸化炭素ガスを分離できる。この場合には、圧縮ステップにおいて生じた排熱を利用するので、分離ステップにおいて加熱源を供給するボイラ設備の負荷を低減、もしくはボイラ設備を不要とすることができる。よって、上記の方法によれば、排ガスに含まれる二酸化炭素を回収するための設備の大型化や複雑化を抑制できる。
【0049】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0050】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0051】
上述した幾つかの実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握されるものである。
【0052】
1)本開示の少なくとも一実施形態に係る二酸化炭素回収システム(1)は、
燃焼装置(11)から排出された排ガスに含まれる二酸化炭素を回収するように構成された二酸化炭素回収システム(1)であって、
前記排ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる、又は、前記二酸化炭素を吸着材に吸着させるように構成された二酸化炭素抽出装置(2)と、
前記二酸化炭素抽出装置(2)において前記二酸化炭素が付着した前記吸収液又は前記吸着材を加熱して、前記吸収液又は前記吸着材から二酸化炭素ガスを分離させるように構成された分離装置(3)であって、前記吸収液又は前記吸着材と熱媒体との間で熱交換を行い、前記吸収液又は前記吸着材を加熱するように構成された加熱器(4)を含む分離装置(3)と、
前記分離装置(3)において前記吸収液又は前記吸着材から分離した前記二酸化炭素ガスを冷却して、前記二酸化炭素ガスを液化させるように構成された液化装置(5)と、を備え、
前記液化装置(5)は、
前記分離装置(3)において前記吸収液又は前記吸着材から分離した前記二酸化炭素ガスを圧縮するように構成された少なくとも1つの圧縮機(6)と、
前記加熱器(4)に導入される前記熱媒体と、前記少なくとも1つの圧縮機(6)において圧縮された前記二酸化炭素ガスとの間で熱交換を行うように構成された少なくとも1つの熱交換器(7)と、
前記少なくとも1つの圧縮機(6)において圧縮された前記二酸化炭素ガスと第1冷熱媒体との間で熱交換を行い、前記二酸化炭素ガスを冷却するように構成された少なくとも1つの冷却器(8)と、
前記少なくとも1つの熱交換器(7)及び前記少なくとも1つの冷却器(8)を通過した前記二酸化炭素ガスと第2冷熱媒体との間で熱交換を行い、前記二酸化炭素ガスを液化させるように構成された液化器(9)と、を含む。
【0053】
上記1)の構成によれば、少なくとも1つの圧縮機(6)により、二酸化炭素ガスを昇圧することで、二酸化炭素ガスの液化温度を上げることができる。そして、少なくとも1つの熱交換器(7)及び少なくとも1つの冷却器(8)により、液化器(9)に導入される二酸化炭素ガスの温度を予め低下させることで、液化器(9)における熱交換に用いられる第2冷熱媒体の温度を比較的高いものとすることができる。この場合には、第2冷熱媒体を冷却するための設備の小型化が図れる。
【0054】
また、上記1)の構成によれば、分離装置(3)において、上述した少なくとも1つの圧縮機(6)において圧縮された二酸化炭素ガスの熱エネルギを加熱源として利用することにより、吸収液又は吸着材から二酸化炭素ガスを分離できる。この場合には、圧縮機(6)の排熱を利用するので、分離装置(3)に加熱源を供給するボイラ設備の負荷を低減、もしくはボイラ設備を不要とすることができる。よって、上記1)の構成によれば、排ガスに含まれる二酸化炭素を回収するための設備である二酸化炭素回収システム(1)の大型化や複雑化を抑制できる。
【0055】
2)幾つかの実施形態では、上記1)に記載の二酸化炭素回収システム(1)であって、
前記液化装置(5)は、
前記分離装置(3)において前記吸収液又は前記吸着材から分離した前記二酸化炭素ガスを前記液化器(9)に送るための二酸化炭素ガスライン(12)であって、前記少なくとも1つの圧縮機(6)、前記少なくとも1つの熱交換器(7)、及び前記少なくとも1つの冷却器(8)の各々が設けられた二酸化炭素ガスライン(12)をさらに含み、
前記少なくとも1つの圧縮機(6)は、
第1圧縮機(6A)と、
前記第1圧縮機(6A)よりも前記二酸化炭素ガスラインの下流側に配置された第2圧縮機(6B)と、を含む。
【0056】
上記2)の構成によれば、二酸化炭素ガスライン(12)に多段式の圧縮機(6A、6B)を設けることで、各段を構成する圧縮機(6A、6B)の出力を小さなものとすることができるため、各段を構成する圧縮機(6A、6B)の大型化を抑制できる。
【0057】
3)幾つかの実施形態では、上記2)に記載の二酸化炭素回収システム(1)であって、
前記少なくとも1つの熱交換器(7)は、
前記二酸化炭素ガスライン(12)の前記第1圧縮機(6A)と前記第2圧縮機(6B)の間に配置された第1熱交換器(7A)と、
前記二酸化炭素ガスライン(12)の前記第2圧縮機(6B)よりも下流側に配置された第2熱交換器(7B)と、を含む。
【0058】
上記3)の構成によれば、第1熱交換器(7A)により、第1圧縮機(6A)において圧縮された二酸化炭素ガスの熱エネルギを加熱源として、分離装置(3)に供給することができる。また、第2熱交換器(7B)により、第2圧縮機(6B)において圧縮された二酸化炭素ガスの熱エネルギを加熱源として、分離装置(3)に供給することができる。この場合には、多段式の圧縮機の各段を構成する圧縮機(6A、6B)の排熱を、分離装置(3)の加熱源として効果的に利用可能である。
【0059】
4)幾つかの実施形態では、上記1)から上記3)の何れかに記載の二酸化炭素回収システム(1)であって、
前記少なくとも1つの圧縮機(6)に導入される二酸化炭素ガスと第1加熱媒体との間で熱交換を行い、前記二酸化炭素ガスを加熱するように構成された少なくとも1つの予加熱器(10B、10C)をさらに備える。
【0060】
上記4)の構成によれば、少なくとも1つの予加熱器(10B、10C)により、少なくとも1つの圧縮機(6)に導入される二酸化炭素ガスを加熱することで、少なくとも1つの熱交換器(7)を介して分離装置(3)に供給される熱量を増大できる。
【0061】
5)幾つかの実施形態では、上記1)から上記4)の何れかに記載の二酸化炭素回収システム(1)であって、
前記二酸化炭素抽出装置(2)は、
前記排ガスに含まれる前記二酸化炭素を前記吸収液に吸収させるように構成された。
【0062】
上記5)の構成によれば、二酸化炭素抽出装置(2)において吸収液に吸収させた二酸化炭素を、分離装置(3)により吸収液から分離でき、吸収液から分離した二酸化炭素ガスを、液化装置(5)により液化できる。
【0063】
6)幾つかの実施形態では、上記1)から上記4)の何れかに記載の二酸化炭素回収システム(1)であって、
前記二酸化炭素抽出装置(2)は、
前記排ガスに含まれる前記二酸化炭素を前記吸着材に吸着させるように構成された。
【0064】
上記6)の構成によれば、二酸化炭素抽出装置(2)において吸着材に吸着させた二酸化炭素を、分離装置(3)により吸着材から分離でき、吸着材から分離した二酸化炭素ガスを、液化装置(5)により液化できる。
【0065】
7)本開示の少なくとも一実施形態に係る二酸化炭素回収方法は、
燃焼装置(11)から排出された排ガスに含まれる二酸化炭素を回収するための二酸化炭素回収方法であって、
前記排ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる、又は、前記二酸化炭素を吸着材に吸着させる二酸化炭素抽出ステップと、
前記吸収液又は前記吸着材と熱媒体との間で熱交換を行うことにより、前記吸収液又は前記吸着材を加熱して、前記吸収液又は前記吸着材から二酸化炭素ガスを分離させる分離ステップと、
前記分離ステップにおいて前記吸収液又は前記吸着材から分離した前記二酸化炭素ガスを冷却して、前記二酸化炭素ガスを液化させる液化ステップと、を備え、
前記液化ステップは、
前記分離ステップにおいて前記吸収液又は前記吸着材から分離した前記二酸化炭素ガスを圧縮する圧縮ステップと、
前記分離ステップにおいて熱交換が行われる前の前記熱媒体と、前記圧縮ステップにおいて圧縮された前記二酸化炭素ガスとの間で熱交換を行う熱交換ステップと、
前記圧縮ステップにおいて圧縮された前記二酸化炭素ガスと第1冷熱媒体との間で熱交換を行い、前記二酸化炭素ガスを冷却する冷却ステップと、
前記熱交換ステップにおいて前記熱媒体との間で熱交換が行われ、且つ前記冷却ステップにおいて冷却された前記二酸化炭素ガスと第2冷熱媒体との間で熱交換を行い、前記二酸化炭素ガスを液化させる液化ステップと、を含む。
【0066】
上記7)の方法によれば、圧縮ステップにより、二酸化炭素ガスを昇圧することで、二酸化炭素ガスの液化温度を上げることができる。そして、熱交換ステップ及び冷却ステップにより、液化ステップにより熱交換が行われる二酸化炭素ガスの温度を予め低下させることで、液化ステップにおける熱交換に用いられる第2冷熱媒体の温度を比較的高いものとすることができる。この場合には、第2冷熱媒体を冷却するための設備の小型化が図れる。
【0067】
また、上記7)の方法によれば、圧縮ステップにおいて圧縮された二酸化炭素ガスの熱エネルギを、分離ステップにおける加熱源として利用することにより、吸収液又は吸着材から二酸化炭素ガスを分離できる。この場合には、圧縮ステップにおいて生じた排熱を利用するので、分離ステップにおいて加熱源を供給するボイラ設備の負荷を低減、もしくはボイラ設備を不要とすることができる。よって、上記7)の方法によれば、排ガスに含まれる二酸化炭素を回収するための設備の大型化や複雑化を抑制できる。
【符号の説明】
【0068】
1 二酸化炭素回収システム
2 二酸化炭素抽出装置
3 分離装置
4 加熱器
5 液化装置
6,6A,6B 圧縮機
7,7A,7B 熱交換器
8,8A,8B 冷却器
9 液化器
10A 予冷却器
10B,10C 予加熱器
11 燃焼装置
12 二酸化炭素ガスライン
12A~12G 配管
13 貯留タンク
14 液体二酸化炭素ライン
15 供給源
21 吸収塔
22 冷却塔
23 冷却水循環ライン
24 冷却水冷却器
25 再生塔
26 再生塔本体
27 吸収液循環ライン
41 熱交換器
42 熱媒体導入ライン
43 熱媒体戻しライン
44 熱媒体供給ライン