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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063472
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/66 20060101AFI20240502BHJP
   B26D 5/00 20060101ALI20240502BHJP
   B26D 5/30 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
B41J11/66
B26D5/00 F
B26D5/30 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171452
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】千田 雄大
【テーマコード(参考)】
2C058
3C024
【Fターム(参考)】
2C058AC07
2C058AE02
2C058AE04
2C058AF31
2C058AF51
2C058LA04
2C058LA07
2C058LA29
2C058LB06
2C058LB42
2C058LC26
3C024AA07
3C024FF04
(57)【要約】
【課題】位置合わせマークの検出不良の発生を抑制する。
【解決手段】プリンタ10は、プラテン11と光学式センサ91と制御装置110とを備えている。光学式センサ91は、メディア5の色を検出する。メディア5が無色透明の場合、光学式センサ91は、メディア5を支持するプラテン11の色を検出する。制御装置110は、光学式センサ91が検出した色と異なる色を位置合わせマークC01~C04の色に決定し、メディア5に印刷する。このことにより、ユーザは、メディア5が無色透明か否かを入力する必要がない。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディアを支持する支持台と、
前記メディアを加工するための位置基準となる位置合わせマークを前記メディアに印刷する印刷ヘッドを備え、前記メディアに加工を行う加工ヘッドと、
前記加工ヘッドと前記メディアとを相対移動させる移動機構と、
前記支持台に対向するように設けられた光学式センサ装置と、
制御装置と、を備え、
前記光学式センサ装置は、物の色を検出する光学式センサを有し、
前記制御装置は、
前記メディア上にて前記光学式センサ装置による色の検出を行う色検出部と、
前記位置合わせマークの色を、前記色検出部が検出した色と異なる色に決定するマーク色決定部と、
前記マーク色決定部により決定した色により、前記位置合わせマークを印刷するマーク印刷部と、
前記光学式センサ装置により、前記位置合わせマークの位置を検出するマーク検出部と、を備えたインクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記加工ヘッドは、前記メディアを切断するカッターを有するカッティングヘッドを備えている、請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記マーク色決定部は、前記マーク検出部が行う測定により得られる前記光学式センサの出力値と、前記色検出部が行う測定により得られる前記光学式センサの出力値との差が所定の値以上となるように、前記位置合わせマークの色を決定する、請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記制御装置は、前記光学式センサの出力値の上限値と前記光学式センサの出力値の下限値との中間の値である閾値を記憶する記憶部を備え、
前記マーク色決定部は、前記色検出部が行う測定により得られる前記光学式センサの出力値が前記閾値を下回る場合は、前記マーク検出部が行う測定により得られる前記光学式センサの出力値が前記閾値を上回るように、前記位置合わせマークの色を決定し、前記色検出部が行う測定により得られる前記光学式センサの出力値が前記閾値を上回る場合は、前記マーク検出部が行う測定により得られる前記光学式センサの出力値が前記閾値を下回るように、前記位置合わせマークの色を決定する、請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
前記制御装置は、前記光学式センサの出力値の上限値と前記光学式センサの出力値の下限値との中間の値である閾値を記憶する記憶部を備え、
前記マーク色決定部は、前記色検出部が行う測定により得られる前記光学式センサの出力値が前記閾値を下回る場合は、前記マーク検出部が行う測定により得られる前記光学式センサの出力値が前記上限値となるように、前記位置合わせマークの色を決定し、前記色検出部が行う測定により得られる前記光学式センサの出力値が前記閾値を上回る場合は、前記マーク検出部が行う測定により得られる前記光学式センサの出力値が前記下限値となるように、前記位置合わせマークの色を決定する、請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項6】
前記光学式センサは、光を投光する投光部と、反射光を受光する受光部とからなる、請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項7】
前記受光部は、受光した光をR成分、G成分およびB成分に分解して検出する、請求項6に記載のインクジェットプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、媒体(メディア)に加工を施すときの基準となる位置を示す位置合わせマークを画像とともに媒体に印刷するインクジェットプリンタが知られている。かかるインクジェットプリンタでは、例えば、媒体をいったんインクジェットプリンタから取り外し、再度取り付ける際などに、位置合わせマークの位置がマーク検出装置により検出される。検出された位置合わせマークの位置を基準として、媒体を加工する位置が指定されることにより、所望の通り媒体の加工が実行される。
【0003】
マーク検出装置は、測定対象の色により異なる値を出力するものである。マーク検出装置は、媒体を測定したときの出力値と位置合わせマークを測定したときの出力値とが互いに異なる値となることを利用して、位置合わせマークの位置を検出する。したがって、媒体の色と位置合わせマークの色とが互いに異なる色であることが望ましい。ここで、媒体が透明である場合、マーク検出装置が媒体の色を測定しようとすると、媒体を支持する支持台の色が検出される。媒体が透明であり、かつ支持台の色と位置合わせマークの色とが同じまたは比較的近しい場合、マーク検出装置が位置合わせマークを正しく検出できない虞がある。
【0004】
そこで、かかるインクジェットプリンタでは、媒体が透明な場合、通常と異なる方法を用いて位置合わせマークが印刷される。例えば、特許文献1には、媒体を支持する支持台と、媒体を切断するカッターを備えているカッティングヘッドと、位置合わせマークを媒体に印刷する印刷ヘッドと、媒体が透明か否かを入力する入力部と、位置合わせマークの位置を検出するマーク検出装置と、を備えたカッティングヘッド付きインクジェットプリンタが開示されている。特許文献1において、位置合わせマークは、媒体を切断(カッティング)するときの基準となる位置を示す。印刷を実行する前に、ユーザは、媒体が透明か否かの設定を入力部に入力する。媒体が透明であることが入力されると、特殊位置合わせマークが印刷ヘッドにより媒体に印刷される。特殊位置合わせマークは、予め定められた色のマークであり、支持台と異なる色の位置合わせマークである。支持台と異なる色の位置合わせマークが媒体に印刷されるため、媒体が透明であっても、特殊位置合わせマークが正しく検出される。したがって、ユーザは、媒体を正確な位置にて切断することができ、媒体を所望の形状に切断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-189422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようなインクジェットプリンタでは、媒体が透明か否かの設定はユーザによって入力される。したがって、実際の媒体と異なる設定をユーザが誤って入力してしまった場合、所望の色の位置合わせマークが媒体に印刷されず、位置合わせマークの検出不良が発生する虞があった。
【0007】
本発明は、係る点に鑑みてなされたものであり、その目的は、位置合わせマークの検出不良の発生が抑制されたインクジェットプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のインクジェットプリンタは、メディアを支持する支持台と、前記メディアを加工するための位置基準となる位置合わせマークを前記メディアに印刷する印刷ヘッドを備え、前記メディアに加工を行う加工ヘッドと、前記加工ヘッドを前記メディアに対して相対移動させる移動機構と、前記支持台に対向するように設けられた光学式センサ装置と、制御装置と、を備えている。前記光学式センサ装置は、物の色を検出する光学式センサを備えている。前記制御装置は、前記メディア上にて前記光学式センサ装置による色の検出を行う色検出部と、前記位置合わせマークの色を、前記色検出部が検出した色と異なる色に決定するマーク色決定部と、前記マーク色決定部により決定した色により、前記位置合わせマークを印刷するマーク印刷部と、前記光学式センサ装置により、前記位置合わせマークの位置を検出するマーク検出部と、を備えている。
【0009】
本発明のインクジェットプリンタによると、前記光学式センサ装置の有する前記光学式センサは、前記支持台に対向するように設けられ、物の色を検出する。メディアが無色透明でない場合は、メディアの色が検出されるので、前記位置合わせマークの色は前記メディアの色と異なる色に決定される。一方、前記メディアが無色透明である場合は、前記メディアを支持する前記支持台の色が検出されるので、前記位置合わせマークの色は前記支持台の色と異なる色に決定される。メディアが無色透明でない場合および無色透明の場合のいずれにおいても、光学式センサがメディアの位置合わせマークに対向するときに検出する色が変化するので、光学式センサにより位置合わせマークを検出することができる。したがって、前記メディアが透明か否かに依らず、前記マーク検出部は、前記位置合わせマークの位置を検出することができる。前記位置合わせマークの色は、前記マーク色決定部が決定するため、ユーザは、前記メディアが透明か否かを事前に入力する必要がない。したがって、ユーザによる前記メディアの設定の入力ミスが無くなる。このことにより、前記位置合わせマークの検出不良が抑制される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、位置合わせマークの検出不良の発生が抑制されたインクジェットプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係るカッティングヘッド付きプリンタの斜視図である。
図2】連結された状態の印刷ヘッドおよびカッティングヘッドの正面図である。
図3】分離された状態の印刷ヘッドおよびカッティングヘッドの正面図である。
図4】プラテンを上方から見た平面図である。
図5】一実施形態に係るプリンタの制御装置のブロック図である。
図6】位置合わせマークを印刷するプロセスを示すフローチャートである。
図7】光学式センサによりメディアを測定するときのプラテンの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本実施形態に係るインクジェットプリンタ(以下、「プリンタ」という。)について説明する。図1は、本実施形態に係るプリンタ10の斜視図である。本実施形態に係るプリンタ10は、メディア5に対して印刷を行う他、カッティングも行うように構成されている。本実施形態に係るメディア5は、印刷およびカッティングが可能な媒体であれば足り、特に限定されない。ただし、メディア5は、ここでは、透明な媒体を含んでいる。ここで、「透明」とは、無色透明のことを指す。メディア5は、記録紙、樹脂製のシート、シール材等であってもよい。本実施形態に係るプリンタ10は、ロールとして供給されたメディア5を順次引き出しながら、メディア5に対して印刷およびカッティングを行う。カッティングは、任意のカット線に沿って行われる。本明細書において「カッティング」、「切断」とは、メディア5の厚み方向の全体を切断する場合(例えば、シール材の台紙および剥離紙の両方を切断する場合)と、メディア5の厚み方向の一部を切断する場合(例えば、シール材の台紙は切断せず、剥離紙のみを切断する場合)とを含む。
【0013】
プリンタ10は、メディア5を支持するプラテン11と、メディア5を搬送する搬送装置30と、ヘッド移動装置40と、メディア5に対し印刷を行う印刷ヘッド60と、メディア5を切断するカッティングヘッド70と、を備えている。印刷ヘッド60と、カッティングヘッド70とは、メディア5に対して所望の加工を行う加工ヘッド50を構成している。搬送装置30とヘッド移動装置40とは、加工ヘッド50に対するメディア5の位置を変化させる移動機構20を構成している。また、カッティングヘッド70には、光学式センサ装置90(図2参照)が設けられている。移動機構20が加工ヘッドの位置を変化させることにより、光学式センサ装置90に対するメディア5の位置も変化する。光学式センサ装置90は、測定対象物を測定したときの出力値により、その測定対象物の色を検出する光学式センサ91(図2参照)を有している。ただし、光学式センサ装置90は、カッティングヘッド70に設けられていなくてもよい。プリンタ10は、光学式センサ装置90を移動させる他の部材を備えていてもよい。また、光学式センサ装置90は、プリンタ10に固定されており、移動しない構成であってもよい。
【0014】
詳細は後述するが、印刷ヘッド60およびカッティングヘッド70は、図示Y方向に移動可能に構成されている。また、メディア5は、プラテン11上を図示X方向に搬送されるように構成されている。以下では、Y方向を走査方向ともいい、X方向を搬送方向ともいう。走査方向Yは、ここでは、左右方向である。搬送方向Xは、ここでは、前後方向である。走査方向Yはメディア5の幅方向に対応し、搬送方向Xはメディア5の長手方向(ロールの巻き方向)に対応する。図1の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表している。
【0015】
搬送装置30は、プラテン11に支持されたメディア5を搬送方向Xに移動させるように構成されている。搬送装置30は、グリットローラ31と、ピンチローラ32と、フィードモータ33(図5参照)と、を備えている。グリットローラ31は、プラテン11に設けられており、グリットローラ31の一部はプラテン11よりも上方に突出している。グリットローラ31は、フィードモータ33に駆動されることによって回転する。ピンチローラ32は、グリットローラ31の上方に配置されている。ピンチローラ32は、グリットローラ31と対向するように設けられている。ピンチローラ32は、グリットローラ31に対し接近および離反が可能なように、上下に揺動自在に構成されている。メディア5がピンチローラ32とグリットローラ31との間に挟み込まれた状態でグリットローラ31が回転すると、メディア5は搬送方向Xに搬送される。フィードモータ33は、制御装置110に電気的に接続され、制御装置110によって制御されている。
【0016】
ヘッド移動装置40は、印刷ヘッド60およびカッティングヘッド70を走査方向Yに移動させるように構成されている。図2および図3は、印刷ヘッド60およびカッティングヘッド70の正面図である。そのうち、図2は、印刷ヘッド60とカッティングヘッド70とが連結された状態を示している。図3は、印刷ヘッド60とカッティングヘッド70とが分離された状態を示している。ヘッド移動装置40は、印刷ヘッド60とカッティングヘッド70とが連結された状態では、両者を一体で移動させる。また、ヘッド移動装置40は、印刷ヘッド60とカッティングヘッド70とが分離された状態では、カッティングヘッド70だけを単独で移動させる。
【0017】
図2および図3に示すように、ヘッド移動装置40は、ガイドレール41と、ベルト42と、スキャンモータ43(図5参照)と、を備えている。ガイドレール41は、プラテン11の上方に設けられている。ガイドレール41は走査方向Yに延びている。ガイドレール41には、印刷ヘッド60とカッティングヘッド70とが摺動自在に係合している。カッティングヘッド70は、印刷ヘッド60よりも左方でガイドレール41に係合されている。印刷ヘッド60およびカッティングヘッド70は、それぞれ、プラテン11の上方に、プラテン11に対向するように設けられている。
【0018】
カッティングヘッド70の背面上部には、走査方向Yに延びるベルト42が固定されている。ベルト42は、スキャンモータ43に接続されている。スキャンモータ43が回転すると、ベルト42が走査方向Yに走行する。これにより、カッティングヘッド70は走査方向Yに移動する。スキャンモータ43は、制御装置110に電気的に接続され、制御装置110によって制御されている。
【0019】
印刷ヘッド60とカッティングヘッド70とは、連結部材80によって連結され、または分離される。連結部材80は、印刷ヘッド60に設けられた第1連結部材81と、カッティングヘッド70に設けられた第2連結部材82とを有している。第1連結部材81は、印刷ヘッド60の左側部分に設けられている。第2連結部材82は、カッティングヘッド70の右側部分に設けられている。本実施形態では、連結部材80は、磁力を利用して印刷ヘッド60とカッティングヘッド70とを連結する。第1連結部材81と第2連結部材82のうちの一方は、磁石を備え、他方は磁石に吸着する磁性体を備えている。ただし、連結部材80は磁力を利用するものに限られず、係合部材等の他の構成を備えたものであってもよい。印刷ヘッド60とカッティングヘッド70とは、第1連結部材81と第2連結部材82とが接触することにより連結される。
【0020】
印刷ヘッド60の右側部分には、L字状に形成された受け金具62が設けられている。また、ガイドレール41の右端付近には、印刷ヘッド60を固定するためのロック装置85が設けられている。以下、印刷ヘッド60が固定されるガイドレール41の右端の位置を待機位置と称する。ロック装置85は、受け金具62に引っ掛けられるフック86と、フック86をロック位置(図3参照)と非ロック位置(図2参照)との間で移動させるロック用ソレノイド87(図5参照)とを備えている。ロック用ソレノイド87は、制御装置110に電気的に接続され、制御装置110によって制御されている。
【0021】
図2に示すように、印刷ヘッド60による印刷を行う際には、フック86が非ロック位置に設定される。カッティングヘッド70が右方に移動し、第1連結部材81と第2連結部材82とが接触すると、印刷ヘッド60とカッティングヘッド70とが連結される。その結果、印刷ヘッド60は、カッティングヘッド70とともに走査方向Yに移動可能となる。
【0022】
一方、カッティングヘッド70によるカッティングの際には、図3に示すように、印刷ヘッド60が待機位置に位置付けられ、ロック装置85のフック86がロック位置に設定される。これにより、印刷ヘッド60の移動が阻止される。カッティングヘッド70が左方へ移動すると、第1連結部材81と第2連結部材82とが離反し、印刷ヘッド60とカッティングヘッド70との連結が解除される。その結果、印刷ヘッド60が待機位置に待機した状態で、カッティングヘッド70が走査方向Yに移動可能となる。
【0023】
印刷ヘッド60は、複数のインクヘッド61を備えている。ここでは、印刷ヘッド60は、5つのインクヘッド61を備えている。複数のインクヘッド61は、走査方向Yに並んで配置されている。複数のインクヘッド61の下面には、それぞれ、インクを吐出する複数のノズル(図示せず)が形成されている。複数のノズルは、搬送方向Xに並んで配置されている。5つのインクヘッド61は、互いに異なる5つの色、例えば、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインク、ホワイトインクを吐出するように構成されている。ただし、インクヘッド61の個数は5個に限定されず、インクヘッド61が吐出するインクの色も何ら限定されない。また、無色のインクが吐出されるように構成されていてもよい。
【0024】
インクヘッド61は、例えば、インクジェットヘッドによって構成されている。しかし、印刷ヘッド60の印刷方式はインクジェット方式に限らず、印刷ヘッド60はインクジェットヘッドを備えたものに限定されない。印刷ヘッド60は、例えばドットインパクト方式の印刷を行うインクヘッドを備えていてもよい。
【0025】
カッティングヘッド70は、メディア5を切断するカッター71と、ソレノイド72とを備えている。カッター71は、ソレノイド72によって上下方向に移動されるように構成されている。ソレノイド72がON/OFFされると、カッター71は上下方向に移動してメディア5に接触し、あるいはメディア5から離反する。ソレノイド72は、制御装置110に電気的に接続され、制御装置110によって制御されている。
【0026】
本実施形態では、移動機構20の一部としてのヘッド移動装置40は、カッティングヘッド70を単独で、または、印刷ヘッド60とカッティングヘッド70の両者を一体で、走査方向Yに移動させる。また、移動機構20の一部としての搬送装置30は、メディア5を搬送方向Xに移動させる。しかし、移動装置の構成は、そのような構成に限定されない。移動装置は、カッティングヘッド70およびメディア5のうちの少なくとも一方を移動させることによってカッティングヘッド70に対するメディア5の位置を変化させる構成を有していればよく、他の構成は限定されない。例えば、印刷ヘッドはいわゆるラインヘッドで構成され、移動しなくてもよい。また、印刷ヘッド60とカッティングヘッド70とがともに移動する場合でも、移動装置は、印刷ヘッド60を移動させる第1移動装置と、カッティングヘッド70を移動させる第2移動装置とに分離されていてもよい。さらに、移動装置は、例えば、印刷ヘッド60およびカッティングヘッド70の一方または両方を左右方向および前後方向に移動させ、メディア5を移動させなくてもよい。
【0027】
光学式センサ91は、カッティングヘッド70に設けられている。光学式センサ91は、カッティングヘッド70の下面に設けられ、プラテン11に対向している。光学式センサ91は、カッティングヘッド70の側面に設けられ、プラテン11に対向していてもよい。また、光学式センサ91はカッティングヘッド70に設けられていなくてもよく、プラテン11と対向するようにプリンタ10に設けられていてもよい。光学式センサ91は、測定対象物の色の検出を行うセンサである。本実施形態では、光学式センサ91は、色の属性の一つである明度を測定する。光学式センサ91は、投光部91aおよび受光部91bからなるセンサである。投光部91aは、測定対象物に向かって投光する。受光部91bは、投光部91aが投光した光が測定対象物により反射した反射光を受ける。ただし、光学式センサ91は、明度を測定するセンサに限定されない。例えば、光学式センサ91は、測定対象物の彩度を測定することにより、測定対象物の色を測定するものであってもよい。また、光学式センサ91は、測定対象物による光の反射率の差を利用して、測定対象物の色を検出するカメラであってもよい。
【0028】
プラテン11は、メディア5を支持する支持台の一例である。図1に示すように、プラテン11は、走査方向Yに延びている。図4は、プラテン11を上方から見た平面図である。ただし、図4では、ヘッド移動装置40等の一部の部材の図示を省略している。本実施形態では、プラテン11は、黒色の素材により形成されている。図4に示すように、プラテン11のうち光学式センサ91の下方の領域は、光学式センサ91によって検出される領域(以下、「被検出領域11a」という)を含んでいる。被検出領域11aは、走査方向Yに延びている。なお、被検出領域11aは、光学式センサ91の検出可能領域全てではなく、実際に反射光の測定データが取得される領域、例えば、走査方向Yに延びる検出ライン上のことでもよい。プラテン11は、被検出領域11a上において走査方向Yに延びるカッターパッド12を備えている。カッターパッド12は、カッター71の下方に位置している。メディア5の厚み方向の全部を切断するカッティング設定の場合、ソレノイド72がONしてカッター71が下ろされると、カッター71の先端は、カッターパッド12に到達する。カッターパッド12は、カッター71を受ける部材である。カッターパッド12は、カッター71よりも柔らかい素材、例えば、ゴムにより形成されている。そこで、カッター71は、カッターパッド12に当接すると、カッターパッド12に食い込む。これにより、カッター71の損傷が防止される。カッターパッド12は、帯状に形成されている。カッターパッド12は、プラテン11に形成された走査方向Yに延びる溝に嵌め込まれている。
【0029】
カッターパッド12は、黒色の素材により形成されており、プラテン11と同色である。したがって、光学式センサ91は、メディア5が被検出領域11a上に位置しているときであっても、メディア5が透明な場合には、メディア5の位置合わせマークが印刷されていない透明な部分を通して、被検出領域11aの色(ここでは、黒色)を検出する。
【0030】
メディア5には、位置合わせマークC01~C04が印刷されている。本実施形態では、位置合わせマークC01~C04は、カッティングヘッド70によるカッティングの基準の位置として印刷される。位置合わせマークC01~C04は、第1マークC01、第2マークC02、第3マークC03および第4マークC04を有している。位置合わせマークC01~C04は、メディア5において、カッティングが行われるカッティング領域Acの外側に印刷されている。本実施形態では、位置合わせマークC01~C04は矩形形状における頂点位置にそれぞれ配置されている。位置合わせマークC01~C04の形状は、本実施形態では平面視において円形である。しかし、位置合わせマークC01~C04の形状はこれに限定されない。位置合わせマークC01~C04の形状は、例えば、平面視で矩形であってもよい。本実施形態では、位置合わせマークC01~C04の色は、黒色または白色により印刷される。図4において、位置合わせマークC01~C04は白色である。位置合わせマークC01~C04の色の決定の方法については後述する。
【0031】
メディア5には、位置合わせマークC01の左方に矩形マークC05が印刷されている。矩形マークC05は、位置合わせマークC01の位置を検出した後に位置合わせマークC02のある位置を検出するための基準となるマークである。例えば、メディア5がプラテン11に対して傾斜していると、位置合わせマークC01が被検出領域11aに含まれ、かつ位置合わせマークC02が被検出領域11aに含まれない場合があり得る。矩形マークC05を位置合わせマークC01~C04とともに印刷することにより、位置合わせマークC01および矩形マークC05の位置から、メディア5の傾斜の度合いを検出することができ、位置合わせマークC02の位置の検出が容易となる。矩形マークC05の色は位置合わせマークC01~C04と同じである。なお、矩形マークC05は位置合わせマークC01~C04とともに印刷されなくてもよい。
【0032】
図1に示すように、プリンタ10の右側のサイドカバーの前面には、ボタンおよびディスプレイを有する操作パネル150が配置されている。操作パネル150は、制御装置110に接続されている。図5に示すように、制御装置110は、フィードモータ33と、スキャンモータ43と、インクヘッド61と、ソレノイド72と、ロック用ソレノイド87と、光学式センサ91と、操作パネル150とに接続され、それらの動作を制御している。
【0033】
制御装置110の構成は特に限定されない。制御装置110は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェア構成は特に限定されないが、例えば、ホストコンピュータ等の外部機器から印刷データやカッティングデータ等を受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、上記プログラムや各種データを格納するメモリ等の記憶装置と、を備えている。なお、制御装置110は必ずしもプリンタ10の内部に設けられている必要はなく、例えば、プリンタ10の外部に設置され、有線または無線を介してプリンタ10と通信可能に接続されたコンピュータ等であってもよい。
【0034】
制御装置110は、記憶部111、色検出部112と、マーク色決定部113と、マーク印刷部114と、マーク検出部115と、を備えている。制御装置110は、これらの他に画像の印刷を制御する制御部やカッティング動作を制御する制御部を備えていてもよいが、ここでは、説明および図示を省略する。
【0035】
記憶部111は、光学式センサ91の出力値の上限値と光学式センサ91の出力値の下限値との中間の値である閾値を記憶する。本実施形態では、光学式センサ91は、測定対象物の明度を測定する。明度とは、色の明るさを示す度合いである。光学式センサ91は、明度について0~100の間の値を出力するものとする。本実施形態では、光学式センサ91の出力値が小さいほど、明度が低いことを示し、光学式センサ91の出力値が大きいほど、明度が高いことを示すものとする。なお、光学式センサ91の出力値と明度の関係は逆であってもよい。したがって、明度の上限値は、100(以下、「明度上限値」という)であり、明度の下限値は、0(以下、「明度下限値」という)である。そこで、記憶部111は、明度上限値と明度下限値との中間の値である、50の値を閾値として記憶する。測定対象物の色が白の場合、光学式センサ91は明度上限値を出力する。測定対象物の色が黒の場合、光学式センサ91は明度下限値を出力する。
【0036】
色検出部112は、光学式センサ91が設けられたカッティングヘッド70をメディア5の真上に移動させ、光学式センサ91による測定を行う。このとき、色検出部112は、光学式センサ91により、メディア5の明度を測定する。メディア5が無色透明の場合は、メディア5を支持するプラテン11の明度が測定される。
【0037】
マーク色決定部113は、色検出部112が行う測定により得られる光学式センサ91の出力値の明度と異なる明度となる色を、位置合わせマークC01~C04の色として決定する。本実施形態では、位置合わせマークC01~C04の色は、光学式センサ91の出力値が明度上限値となる白色および光学式センサ91の出力値が明度下限値となる黒色のいずれか一つに決定される。位置合わせマークC01~C04の色は、記憶部111が記憶している閾値と、色検出部112が行う測定により得られる光学式センサ91の出力値と、を用いて決定される。記憶部111の記憶されている閾値は、50の値である。色検出部112が行う測定により得られる光学式センサ91の出力値が50未満の場合、マーク色決定部113は、位置合わせマークC01~C04の色を白にする。色検出部112が行う測定により得られる光学式センサ91の出力値が50より大きい場合、マーク色決定部113は、位置合わせマークC01~C04の色を黒にする。すなわち、光学式センサ91の出力値が示す明度と、位置合わせマークC01~C04の色の明度との差がより大きくなるように、マーク色決定部113は、位置合わせマークC01~C04の色を決定する。なお、色検出部112が行う測定により得られる光学式センサ91の出力値が50であった場合、位置合わせマークC01~C04の色を決定できず印刷中止となるように構成されていてもよい。あるいは、色検出部112が行う測定により得られる光学式センサ91の出力値が50のとき、位置合わせマークC01~C04の色を黒または白とするように、予めユーザにより設定されていてもよい。
【0038】
マーク印刷部114は、印刷ヘッド60を制御し、位置合わせマークC01~C04をメディア5に印刷する。マーク印刷部114は、位置合わせマークC01~C04の色がマーク色決定部113により決定した色となるように、インクヘッド61を制御する。
【0039】
マーク検出部115は、光学式センサ91を制御して、位置合わせマークC01~C04の位置を検出する。メディア5が透明でない場合、光学式センサ91により測定されるメディア5の明度と、光学式センサ91により測定される位置合わせマークC01~C04の明度と、に差が生じることにより位置合わせマークC01~C04の位置が検出される。メディア5が透明である場合、光学式センサ91により測定されるプラテン11の明度と、光学式センサ91により測定される位置合わせマークC01~C04の明度と、に差が生じることより位置合わせマークC01~C04の位置が検出される。本実施形態では、マーク色決定部113が決定する位置合わせマークC01~C04の色は、白または黒の2種類である。位置合わせマークC01~C04の色が白の場合、マーク検出部115が位置合わせマークC01~C04を測定したときに得られる光学式センサ91の出力値は、明度上限値である100となる。位置合わせマークC01~C04の色が黒の場合、マーク検出部115が位置合わせマークC01~C04を測定したときに得られる光学式センサ91の出力値は、明度下限値である0となる。
【0040】
図6は、本実施形態に係るプリンタ10において、位置合わせマークC01~C04を印刷する手順のプロセスを示すフローチャートである。
【0041】
ステップS01において、ユーザは、例えば、プリンタ10に接続された操作端末を操作して所望の画像の印刷を決定する。これにより、制御装置110に印刷指示および印刷データが送信され、プリンタ10が印刷を開始する。なお、記憶部111には、予め閾値が記憶されている。本実施形態では、上述の通り、明度上限値と明度下限値の中間の値である50の値が記憶部111に記憶されている。
【0042】
ステップS02において、色検出部112は、まず、移動機構20を制御し、加工ヘッド50を移動させる。色検出部112は、カッティングヘッド70に備えられた光学式センサ91がメディア5の真上の位置に配置されるように、加工ヘッド50を移動する。本実施形態では、図7に示すように、メディア5の右端付近にて、光学式センサ91による測定が実行される。ただし、光学式センサ91の測定の位置は、この位置に限定されない。光学式センサ91がメディア5の真上に配置されると、色検出部112は、光学式センサ91による測定を実行する。本実施形態では、光学式センサ91の投光部91aは、ほぼ鉛直な方向に投光する。すなわち投光部91aは、メディア5に向かって投光する。メディア5が透明でない場合、投光部91aが投光した光は、メディア5により反射する。メディア5が透明である場合、投光部91aが投光した光は、メディア5を支持するプラテン11により反射する。メディア5またはプラテン11で反射した光である反射光は、光学式センサ91の備える受光部91bに向かって進行する。受光部91bが反射光を受けると、光学式センサ91は、反射光の受光量を出力する。色検出部112は、光学式センサ91の出力値を受信する。
【0043】
ステップS03において、マーク色決定部113は、ステップS02における光学式センサ91の出力値が記憶部111に記憶されている閾値を下回っているか否かを判定する。ステップS02における光学式センサ91の出力値が閾値を下回っている場合は、ステップS04に進む。ステップS02における光学式センサ91の出力値が閾値を上回っている場合は、ステップS05に進む。
【0044】
ステップS04において、マーク色決定部113は、位置合わせマークC01~C04の色を白色に決定する。白色は、光学式センサ91により測定したときの出力値が明度上限値となる色である。
【0045】
ステップS05において、マーク色決定部113は、位置合わせマークC01~C04の色を黒色に決定する。黒色は、光学式センサ91により測定したときの出力値が明度下限値となる色である。
【0046】
ステップS06において、マーク印刷部114は、加工ヘッド50が備える印刷ヘッド60および移動機構20を制御することにより、位置合わせマークC01~C04をメディアの所定の位置に印刷する。マーク印刷部114は、位置合わせマークC01~C04の色がステップS04またはステップS05において、決定された色となるようにインクヘッド61を制御する。なお、位置合わせマークC01~C04の印刷と同時に、所望の画像の印刷をメディア5に同時に行ってもよい。また、矩形マークC05を位置合わせマークC01~C04とともに印刷してもよい。
【0047】
ステップS07において、マーク検出部115は、位置合わせマークC01~C04の位置を検出する。マーク検出部115は、位置合わせマークC01~C04が被検出領域11aに含まれるときに、光学式センサ91の出力値が変化することを検出することにより、位置合わせマークC01~C04の位置を検出する。例えば、メディア5が透明であり、かつ位置合わせマークC01~C04が白色であるとする。また、第1マークC01が被検出領域11aに含まれている、すなわち第1マークC01の搬送方向Xの位置の位置と被検出領域11aの搬送方向Xの位置とが同じとする。このとき、マーク検出部115は、カッティングヘッド70を走査方向Yについて移動させながら光学式センサ91の出力値を記録する。光学式センサ91が第1マークC01の真上以外の位置を移動しているとき、光学式センサ91は、メディア5の下に配置されているプラテン11の明度を測定する。プラテン11の色が黒色であるため、このときの光学式センサ91の出力値は、明度下限値である0となる。光学式センサ91が位置合わせマークC01~C04の真上に到達すると、光学式センサ91は、位置合わせマークC01~C04の明度を測定する。位置合わせマークC01~C04の色が白色であるため、このときの光学式センサ91の出力値は、明度上限値である100となる。したがって、光学式センサ91が第1マークC01の真上に到達する前後において、光学式センサ91の出力値は、0から100に変化する。マーク検出部115は、光学式センサ91の出力値が変化した点を、第1マークC01とメディア5との境界として検出する。なお、第1マークC01とメディア5との境界を検出するための光学式センサ91の出力値の変化幅は、予めユーザによって決定されるものでよい。カッティングヘッド70が走査方向Yの移動を終えると、マーク検出部115は、メディア5を搬送方向Xに所定の距離だけ移動させる。そして再度、マーク検出部115は、カッティングヘッド70を走査方向Yに移動させる。カッティングヘッド70の走査方向Yの移動およびメディア5の搬送方向Xの搬送を繰り返しながら、マーク検出部115は、第1マークC01と同様、第2マークC02、第3マークC03および第4マークC04を検出する。なお、上記は概要であり、実際には、それぞれ円形に形成された位置合わせマークC01~C04のそれぞれの中心点が、位置合わせマークC01~C04の位置と認識される。フローチャートには記載を省略したが、ステップS07の後、検出された位置合わせマークC01~C04の位置を基準として、カッティングが実行される。すなわち、カッティングヘッド70を走査方向Yに移動させ、メディア5を搬送方向Xに移動させながら、所望のカット線に沿ってカッティングが実行される。
【0048】
以上のように、本実施形態のプリンタ10によると、光学式センサ91は、プラテン11と対向するようにカッティングヘッド70に設けられ、物の明度を測定する。メディア5が透明でない場合は、メディア5の明度が測定されるので、位置合わせマークC01~C04の色はメディア5の色と異なる色に決定される。一方、メディア5が透明である場合は、メディア5の下に配置されたプラテン11の明度が測定されるので、位置合わせマークC01~C04の色は、プラテン11の色と異なる色に決定される。メディア5が透明でない場合および透明の場合のいずれにおいても、光学式センサ91がメディア5の位置合わせマークC01~C04の上方を通過するときに、検出する色が変化するので、光学式センサ91により位置合わせマークC01~C04を検出することができる。したがって、メディア5が透明か否かに依らず、マーク検出部115は、位置合わせマークC01~C04の位置を検出することができる。位置合わせマークC01~C04の色は、マーク色決定部113が決定するため、ユーザは、メディア5が透明か否かを事前にプリンタ10に入力する必要がない。したがって、ユーザによるメディア5の設定の入力ミスが無くなる。このことにより、位置合わせマークC01~C04の検出不良が抑制される。
【0049】
本実施形態のプリンタ10によると、加工ヘッド50は、メディア5を切断するカッター71を有するカッティングヘッド70を備えている。位置合わせマークC01~C04は、メディア5をカッティングする際の基準の位置となる。このことにより、ユーザは、メディア5を正確な位置にて切断することができ、メディア5を所望の形状に切断することができる。
【0050】
本実施形態のプリンタ10によると、マーク色決定部113は、色検出部112が行う測定により得られる光学式センサ91の出力値が閾値未満の場合、位置合わせマークC01~C04の色を白に決定した。マーク色決定部113は、色検出部112が行う測定により得られる光学式センサ91の出力値が閾値を上回っている場合、位置合わせマークC01~C04の色を黒に決定した。このことにより、マーク検出部115により、光学式センサ91がメディア5の位置合わせマークC01~C04の上方に到達する前後において、光学式センサ91の出力値が比較的大きく変化する。したがって、マーク検出部115が位置合わせマークC01~C04を検出しやすくなる。また、位置合わせマークC01~C04の色は、黒および白のいずれか一つに決定される。このことにより、位置合わせマークC01~C04の色を決定するマーク色決定部113の論理回路の構成を比較的簡易な構成にすることができる。
【0051】
本実施形態のプリンタ10によると、光学式センサ91は、投光部91aと受光部91bとからなる。投光部91aと受光部91bとからなる光学式センサ91は、例えば、反射率の差を使用して測定対象物の色を検出するカメラなどを用いてプリンタ10を構成する場合に比べ、簡易に構成することが可能である。
【0052】
以上、本発明の好適な一実施形態について説明した。しかし、上述の実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
【0053】
本実施形態のプリンタ10では、記憶部111が記憶している閾値に基づいて位置合わせマークC01~C04の色が決定されていたが、これに限定されない。位置合わせマークC01~C04の色は、マーク検出部115が行う測定により得られる光学式センサ91の出力値と、色検出部112が行う測定により得られる光学式センサ91の出力値との差が所定の値以上となるように決定してもよい。例えば、色検出部112が行う測定により得られる光学式センサ91の出力値に対して、マーク検出部115が行う測定により得られる光学式センサ91の出力値が30以上異なるように、位置合わせマークC01~C04の色を決定するものとする。この場合において、色検出部112が行う測定により得られる光学式センサ91の出力値が40であったとすると、マーク検出部115が行う測定により得られる光学式センサ91の出力値が10以下または70以上となるように、マーク色決定部113が位置合わせマークC01~C04の色を決定すればよい。
【0054】
本実施形態のプリンタ10は、光学式センサ91の出力値が明度上限値または明度下限値となる色を位置合わせマークC01~C04の色として決定していたが、これに限定されない。マーク色決定部113は、色検出部112が行う測定により得られる光学式センサ91の出力値が50未満の場合、明度が50より大きいいずれか一つの色を位置合わせマークC01~C04の色としてもよい。マーク色決定部113は、色検出部112が行う測定により得られる光学式センサ91の出力値が50より大きい場合、出力値が50未満となるいずれか一つの色を位置合わせマークC01~C04の色としてもよい。この場合も、色検出部112が行う測定により得られる光学式センサ91の出力値と、マーク検出部115が行う測定により得られる光学式センサ91の出力値との差が比較的大きくなる。したがって、マーク検出部115が位置合わせマークC01~C04を検出しやすくなる。
【0055】
本実施形態のプリンタ10は、光学式センサ91により測定対象物の明度を測定していたがこれに限定されない。光学式センサ91の受光部91bは、受光した光をR成分、G成分およびB成分に分解し検出するものであってもよい。この場合、例えば、色検出部112が行う測定により得られる光学式センサ91の出力値により検出される色と、マーク検出部115が行う測定により得られる光学式センサ91の出力値により検出される色と、が互いに補色の関係となるように位置合わせマークC01~C04の色が決定されてもよい。また、マーク検出部115が行う測定により得られる光学式センサ91の各成分の出力値と、色検出部112が行う測定により得られる光学式センサ91の各成分の出力値との差が成分ごとに所定の値以上となるように位置合わせマークC01~C04の色が決定されてもよい。あるいは、各成分に対してそれぞれ閾値を設定し、位置合わせマークC01~C04の色が決定されてもよい。このとき、色検出部112が行う測定により得られる光学式センサ91の各成分の出力値と、成分ごとにそれぞれ設定された閾値とを比較して位置合わせマークC01~C04の色が決定される。例えば、光学式センサ91がR成分、G成分およびB成分の各成分について0~255の値を出力するとする。ここで、各成分の出力値の上限値と下限値の中間の値である128を閾値とした場合、色検出部112が行う測定により得られる光学式センサ91の各成分の出力値のうち、128未満の成分については成分の値が128より大きく、128より大きい成分については成分の値が128未満となるいずれか一つの色を位置合わせマークC01~C04の色としてもよい。
【0056】
本実施形態のプリンタ10は、色検出部112が行う測定とマーク検出部115が行う測定とにおいて、ともに光学式センサ91を使用していたがこれに限定されない。例えば、光学式センサ装置90が、色検出部112が行う測定に使用される第1光学式センサと、マーク検出部115が行う測定に使用される第2光学式センサとを有していてもよい。第1光学式センサと第2光学式センサは、異なる部材に設けられていてもよい。例えば、第1光学式センサは、プリンタ10の筐体に固定されており、第2光学式センサはカッティングヘッド70に設けられていてもよい。
【0057】
本実施形態のプリンタ10は、位置合わせマークC01~C04の色を白または黒としていたがこれに限定されない。光学式センサ91の受光部91bが受けた光をR成分、G成分、B成分に分解し検出する場合、R成分、G成分およびB成分がそれぞれ最大または最小となる色を位置合わせマークC01~C04の色としてもよい。例えば、白色の代わりに、R成分が最大である(R,G,B)=(255、0、0)の色やR成分およびG成分が最大である(R,G,B)=(255、255、0)の色を位置合わせマークC01~C04の色にしてもよい。
【0058】
本実施形態のプリンタ10は、カッティングヘッド70によるカッティングの基準の位置として位置合わせマークC01~C04が印刷されていたがこれに限定されない。例えば、メディア5をプラテン11から取り外した後に、再度メディア5をプラテン11に配置して印刷するような場合にも本発明を利用することができる。インクジェットプリンタによる印刷では、例えば、スプレー剤をメディアに噴霧し、下地層を形成した後、下地層の上にインクを吐出し、所望の印刷物を得る印刷方法がある。係る印刷方法において、下地層が乾燥するには一定の時間を要する。したがって、スプレー剤が噴霧された後、一度プラテンからメディアを取り外し、メディアを乾燥させることがある。メディアを乾燥し、下地層が形成された後、再度メディアがプラテンに配置される。この場合、スプレー剤の噴霧と同時に位置合わせマークをメディアに印刷しておくことにより、メディアが再度プラテンに配置されたときに、インクを吐出する位置の基準として位置合わせマークを用いることができる。このことにより、印刷の途中においてメディアをプラテンから外すことがあっても、メディアの所望の位置に印刷を行うことができる。
【0059】
ここで開示される技術は、様々なタイプのプリンタに適用することができる。上述した実施形態で示したRoll-to-Rollタイプのプリンタ10の他、例えば、メディアをプラテンの上に載置し、プラテンを搬送方向Xに搬送し印刷する、所謂、フラットベッドタイプのプリンタ10にも同様に適用することができる。また、メディアを台の上に載置し、載置台に対してインクヘッドを走査方向Y及び搬送方向Xに移動させて印刷する、所謂、ガントリータイプのプリンタ10にも同様に適用することができる。
【0060】
本明細書において、メディアに対する「加工」とは、メディアに対して物理的な作用を施すことをいう。「加工」には、メディアに対する印刷、および、メディアの切断、メディアに対する箔押、メディアに対するスプレーによる塗布等が含まれる。加工ヘッドは、メディアに対して複数の加工を行うものであってもよく、1つの加工のみを行うものであってもよい。例えば、加工ヘッドは、印刷ヘッドおよびカッティングヘッドの両方を備えていてもよく、印刷ヘッドのみを備えていてもよい。
【符号の説明】
【0061】
5 メディア
11 支持台(プラテン)
20 移動機構
50 加工ヘッド
60 印刷ヘッド
91 光学式センサ
110 制御装置
111 記憶部
112 色検出部
113 マーク色決定部
114 マーク印刷部
115 マーク検出部
C01~C04 位置合わせマーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7