(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063479
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20240502BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
G03G15/20 505
G03G21/00 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171464
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(72)【発明者】
【氏名】高塚 亮
【テーマコード(参考)】
2H033
2H270
【Fターム(参考)】
2H033AA09
2H033BA11
2H033BA12
2H033BA25
2H033BA30
2H033BB03
2H033BB05
2H033BB06
2H033BB13
2H033BB14
2H033BB15
2H033BB18
2H033BB21
2H033BB22
2H033BB28
2H033BB37
2H033BE00
2H033CA02
2H033CA03
2H033CA13
2H033CA20
2H033CA27
2H033CA40
2H270KA35
2H270LA25
2H270LA31
2H270LA67
2H270LA70
2H270LA72
2H270MC44
2H270MD22
2H270MD29
2H270RA03
2H270RA12
2H270RC03
2H270RC10
2H270RC11
2H270RC13
2H270RC18
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC08
(57)【要約】
【課題】プリンタが長期間使用されない場合に、コールドオフセットが発生したり、画像品位が低下したりするのを防止することができるようにする。
【解決手段】加熱部材及び加圧部材を備え、媒体上の現像剤像を定着させる定着装置と、画像形成装置の電源が投入されたときの前記定着装置の使用状況が、通常より長期間にわたって使用されていない使用状況である場合に、画像形成装置にエイジングモードを設定するモード設定処理部Pr3と、エイジングモードが設定された場合に、エイジング動作を行うことによって定着装置を十分に空回しするエイジング処理部Pr4とを有する。摺動グリスが摺動面から分離して摺動面が露出したり、摺動グリスが摺動面上で固化したりすることがなくなる。加熱部材から媒体及び加圧部材への熱伝達が阻害されることがない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)加熱部材及び加圧部材を備え、媒体上の現像剤像を定着させる定着装置と、
(b)画像形成装置の電源が投入されたときの前記定着装置の使用状況が、通常より長期間にわたって使用されていない使用状況である場合に、画像形成装置にエイジングモードを設定するモード設定処理部と、
(c)エイジングモードが設定された場合に、エイジング動作を行うことによって定着装置をウォームアップ動作より十分に空回しするエイジング処理部とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記モード設定処理部は、定着装置が使用されていない期間が所定の期間以上である場合にエイジングモードを設定する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記モード設定処理部は、定着装置が最初に使用された場合にエイジングモードを設定する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記エイジング処理部は、エイジング動作を行う際の定着装置の動作速度を、ウォームアップ動作を行う際の動作速度より高くする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記エイジング処理部は、エイジング動作を行う際の定着装置の目標温度を、ウォームアップ動作を行う際の目標温度より高くする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記エイジング処理部は、エイジング動作を行う際の動作時間を、ウォームアップ動作を行う際の動作時間より長くする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記エイジング処理部は、エイジング動作を行っているときに上位装置から印刷ジョブを受信した場合に、エイジング動作を優先して行う請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記エイジング処理部は、画像データの印字率が所定の割合以上である場合にエイジング動作を優先して行う請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記エイジング処理部は、印刷に使用される媒体の厚さが所定の値以上である場合にエイジング動作を優先して行う請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記エイジング処理部は、印刷ページ数が所定の枚数以上である場合にエイジング動作を優先して行う請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記エイジング処理部は、画像形成装置の周囲の温度が所定の温度以下である場合にエイジング動作を優先して行う請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項12】
(a)定着装置が備える温度検出部による検出温度の温度差を監視する温度差監視処理部を有するとともに、
(b)前記エイジング処理部は、前記温度差監視処理部によって監視された温度差に基づいてエイジング動作を行う請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記温度差監視処理部は、加熱源の中央部に配設された温度検出部による検出温度と、前記加熱源の端部に配設された温度検出部による検出温度との温度差を監視する請求項12に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真式のプリンタ、複写機、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置、例えば、プリンタは、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色の画像形成ユニット、LEDヘッド、転写ユニット、定着装置としての定着器等を備え、プリンタにホストコンピュータから印刷データが送られると、前記各画像形成ユニットにおいて、帯電ローラによって一様に帯電させられた感光体ドラムの表面がLEDヘッドによって露光されて静電潜像が形成され、該静電潜像が現像ローラによって現像されてトナー像が形成されるようになっている。そして、各色のトナー像が転写ユニットによって用紙に重ねて転写されてカラーのトナー像が形成され、該カラーのトナー像が定着器において用紙に定着させられて、用紙にカラーの画像が形成される。
【0003】
前記定着器は、例えば、ヒータ、該ヒータに当接させて配設され、ヒータの長手方向における温度分布を均すための熱拡散部材、前記ヒータ及び熱拡散部材を包囲して走行自在に配設された定着ベルトを備えた加熱部材としての加熱ユニット、並びに前記定着ベルトを介してヒータに当接させて回転自在に配設された加圧部材としてのバックアップローラを備える。
【0004】
ところで、定着器において、熱拡散部材と定着ベルトとの摺動部に、摺動性を高くし、摩耗するのを抑制するためのグリス、すなわち、摺動グリスが塗布されたプリンタが提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来のプリンタにおいては、長期間プリンタが使用されないと、定着器内において、摺動グリスが摺動面から分離して摺動面が露出したり、摺動グリスが摺動面上で固化したりすることがあり、その場合、加熱ユニットから用紙及びバックアップローラへの熱伝達が阻害され、コールドオフセットが発生したり、シミ印字が生じて画像品位が低下したりする。
【0007】
本発明は、前記従来のプリンタの問題点を解決して、長期間使用されない場合に、コールドオフセットが発生したり、画像品位が低下したりするのを防止することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのために、本発明の画像形成装置においては、加熱部材及び加圧部材を備え、媒体上の現像剤像を定着させる定着装置と、画像形成装置の電源が投入されたときの前記定着装置の使用状況が、通常より長期間にわたって使用されていない使用状況である場合に、画像形成装置にエイジングモードを設定するモード設定処理部と、エイジングモードが設定された場合に、エイジング動作を行うことによって定着装置をウォームアップ動作より十分に空回しするエイジング処理部とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像形成装置においては、加熱部材及び加圧部材を備え、媒体上の現像剤像を定着させる定着装置と、画像形成装置の電源が投入されたときの前記定着装置の使用状況が、通常より長期間にわたって使用されていない使用状況である場合に、画像形成装置にエイジングモードを設定するモード設定処理部と、エイジングモードが設定された場合に、エイジング動作を行うことによって定着装置をウォームアップ動作より十分に空回しするエイジング処理部とを有する。
【0010】
この場合、画像形成装置の電源が投入されたときの定着装置の使用状況が、通常より長期間にわたって使用されていない使用状況である場合に、画像形成装置にエイジングモードが設定され、定着装置がウォームアップ動作より十分に空回しされるので、摺動グリスが摺動面から分離して摺動面が露出したり、摺動グリスが摺動面上で固化したりすることがなくなる。
【0011】
したがって、加熱部材から媒体及び加圧部材への熱伝達が阻害されることがないので、コールドオフセットが発生したり、シミ印字が生じて画像品位が低下したりするのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの制御ブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概念図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態における画像形成ユニットの概念図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態における定着器を用紙の搬送方向における上流側から見た正面図である。
【
図5】本発明の第1の実施の形態における定着器の断面図である。
【
図6】本発明の第1の実施の形態における定着器のヒータ制御回路を示す図である。
【
図7】本発明の第1の実施の形態におけるヒータオンパターンテーブルの例を示す図である。
【
図8】本発明の第1の実施の形態における用紙幅及び用紙サイズと補正値との関係を示す図である。
【
図9】本発明の第1の実施の形態における用紙幅と補正値との関係を示す図である。
【
図10】本発明の第1の実施の形態における定着器のエイジング動作及びウォームアップ動作について説明するための図である。
【
図11】本発明の第1の実施の形態における印刷制御部の動作を示す第1のフローチャートである。
【
図12】本発明の第1の実施の形態における印刷制御部の動作を示す第2のフローチャートである。
【
図13】本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの制御ブロック図である。
【
図14】本発明の第2の実施の形態における印刷制御部の動作を示す第1のフローチャートである。
【
図15】本発明の第2の実施の形態における印刷制御部の動作を示す第2のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としてのプリンタについて説明する。
【0014】
図2は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概念図、
図3は本発明の第1の実施の形態における画像形成ユニットの概念図である。
【0015】
図において、10はプリンタ、Csは該プリンタ10の筐体、Bdは、プリンタ10の本体、すなわち、装置本体であり、該装置本体Bdの下部に媒体収容部としての用紙カセット11が配設され、該用紙カセット11に配設されたスタッカSt1に媒体としての用紙Pが積載される。そして、前記用紙カセット11の前端に隣接させて、用紙Pを1枚ずつ分離させて給紙するための給紙機構が配設される。
【0016】
該給紙機構は、回転させられて用紙Pを繰り出す繰出部材としてのホッピングローラ12、用紙Pの重送を防止するための分離部材としてのリタードローラ13等から成る。
【0017】
搬送用の駆動部としての後述される給紙モータ(搬送モータ)M1(
図1)が駆動されると、用紙Pは、給紙機構によって1枚ずつ分離させられて媒体搬送路としての用紙搬送路Rt1に給紙され、第1の搬送部材としてのレジストローラ対14に送られ、該レジストローラ対14によって斜行が矯正された後、所定のタイミングで第2の搬送部材としての搬送ローラ対15に送られ、該搬送ローラ対15によって、カラーの画像を形成するための画像形成部Q1に供給される。
【0018】
該画像形成部Q1は、装置本体Bdに対してそれぞれ着脱自在に配設されたブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色の画像形成ユニット16i(i=Bk、Y、M、C)、該各画像形成ユニット16iの像担持体としての感光体ドラム31の上方に感光体ドラム31と対向させて配設された露光装置としてのLEDヘッド22、及び前記画像形成ユニット16iの下方に配設された転写ユニットu1から成る。
【0019】
前記画像形成ユニット16iは、用紙Pの幅方向に延在させて配設された画像形成ユニット16iの本体、すなわち、ユニット本体部37、及び該各ユニット本体部37に対して着脱自在に配設された現像剤収容部としてのトナーカートリッジ41を備え、該トナーカートリッジ41内に、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの現像剤としてのトナーが収容される。
【0020】
前記ユニット本体部37は、前記感光体ドラム31、該感光体ドラム31に当接させて回転自在に配設され、感光体ドラム31が図における時計回り方向に回転させられるのに伴って、感光体ドラム31の回転方向と逆の方向、すなわち、反時計回り方向に回転させられて感光体ドラム31の表面を一様に帯電させる帯電装置としての帯電ローラ32、感光体ドラム31に当接させて回転自在に配設され、トナーを保持し、反時計回り方向に回転させられてトナーを感光体ドラム31上の潜像としての静電潜像に付着させ、該静電潜像を現像する現像剤担持体としての現像ローラ33、該現像ローラ33に当接させて回転自在に配設され、反時計回り方向に回転させられて現像ローラ33にトナーを供給する現像剤供給部材としての供給ローラ34、先端を現像ローラ33に圧接させて配設され、現像ローラ33上に供給されたトナーを均一に薄層化する現像剤層規制部材としての現像ブレード35、前記感光体ドラム31に当接させて配設され、転写ユニットu1による転写が行われた後に感光体ドラム31上に残留したトナーを除去するための図示されないクリーニング装置等を備える。なお、前記現像ローラ33、供給ローラ34及び現像ブレード35によって、現像装置としての現像器が構成される。
【0021】
該現像器において、トナーは、供給ローラ34によって現像ローラ33に供給され、現像ブレード35によって層厚が規制されて現像ローラ33上で薄層化される。
【0022】
前記画像形成ユニット16iにおいて、感光体ドラム31は、画像形成用の駆動部としての後述されるIDモータ(ドラムモータ)M2によって回転させられ、回転に伴って表面が、帯電ローラ32によって一様に帯電させられ、LEDヘッド22によって露光されて、表面に前記静電潜像が形成される。該静電潜像に前記現像ローラ33上のトナーが静電的に付着させられて、感光体ドラム31上に現像剤像としてのトナー像が形成される。
【0023】
前記転写ユニットu1は、第1の転写用のローラとしての駆動ローラR1、第2の転写用のローラとしての従動ローラR2、駆動ローラR1と従動ローラR2との間に走行自在に張設されたベルト部材としての転写ベルト17、及び該転写ベルト17を介して前記感光体ドラム31と対向させて回転自在に配設され、感光体ドラム31との間に転写部を形成する転写部材としての転写ローラ21を備える。
【0024】
転写ユニットu1において、転写用の駆動部としての後述されるベルトモータ(転写モータ)M3が駆動されると、駆動ローラR1が回転させられ、転写ベルト17が走行させられ、転写ベルト17の走行に伴って従動ローラR2が回転させられる。
【0025】
画像形成部Q1に供給された用紙Pは、前記転写ベルト17が走行させられるのに伴って搬送され、各感光体ドラム31と各転写ローラ21との間の前記転写部を通紙させられ、このとき、各転写ローラ21によって、各画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cにおいて感光体ドラム31上に形成された各色のトナー像が用紙Pに順次重ねて転写され、用紙P上にカラーのトナー像が形成される。
【0026】
カラーのトナー像が転写された用紙Pは、定着装置としての定着器18に送られる。
【0027】
該定着器18は、ハウジングHz内に、環状ベルトとしての定着ベルト45を備えた第1の定着部材としての、かつ、加熱部材としての定着ベルトユニット46、及び該定着ベルトユニット46と対向させて配設された第2の定着部材としての、かつ、加圧部材としてのバックアップローラ(加圧ローラ)47を備える。用紙Pが定着ベルト45とバックアップローラ47との間の定着部(ニップ部)を通過する間に、弱い静電気力で用紙Pに付着しているカラーのトナー像が、定着ベルトユニット46によって加熱され、溶融させられ、バックアップローラ47によって加圧されて、用紙Pに定着させられる。なお、定着器18には、ハウジングHzに対して着脱自在に識別タグ54が配設される。
【0028】
そして、定着器18より下流側に第3の搬送部材としての搬送ローラ対19が配設され、該搬送ローラ対19より下流側に第4の搬送部材としての排出ローラ対20が配設される。
【0029】
カラーのトナー像が定着させられた用紙Pは、搬送ローラ対19によって搬送され、排出ローラ対20によって装置本体Bd外に排出され、筐体Csの頂壁に形成されたスタッカSt2に積載される。
【0030】
前記用紙搬送路Rt1における定着器18より上流側の所定の箇所、本実施の形態においては前記搬送ローラ対15と画像形成部Q1との間に、第1の媒体検出部としての書出センサs1が配設され、該書出センサs1によって用紙Pの有無が検出される。書出センサs1のセンサ信号は、LEDヘッド22が感光体ドラム31を露光するタイミング、及び後述される高電圧回路59が転写ローラ21に高電圧を印加するタイミングの基準となる。
【0031】
また、用紙搬送路Rt1における定着器18より下流側の所定の箇所、本実施の形態においては定着器18と搬送ローラ対19との間に、第2の媒体検出部としての出口センサs2が配設され、該出口センサs2によって用紙Pの有無が検出される。出口センサs2のセンサ信号に基づいて、用紙Pに対するすべての画像形成プロセスが終了したかどうか、すなわち、印刷が終了したかどうかが判断される。
【0032】
そして、装置本体Bdの所定の箇所、本実施の形態においては装置本体Bdの前端側の頂壁の近傍に、環境検出部としての環境センサs3が配設される。該環境センサs3は、プリンタ10の周囲の温度及び湿度(相対湿度)を検出する。
【0033】
次に、前記定着器18について説明する。
【0034】
図4は本発明の第1の実施の形態における定着器を用紙の搬送方向における上流側から見た正面図、
図5は本発明の第1の実施の形態における定着器の断面図である。
【0035】
図において、18は定着器、46は定着ベルトユニット、47はバックアップローラである。
【0036】
前記定着ベルトユニット46は、用紙P(
図2)の幅方向に延在させて配設され、平板状の形状を有する加熱源としてのヒータHt、該ヒータHtに当接させて配設された、ヒータHtの長手方向における温度分布を均すための、熱伝導率の高い金属製の熱拡散部材48、前記ヒータHtを熱拡散部材48に押し付けるヒータ押圧部材Hd、前記ヒータHt、熱拡散部材48及びヒータ押圧部材Hdを支持する支持部材としてのステイ板金49、並びにステイ板金49を包囲して走行自在に配設された前記定着ベルト45を備える。
【0037】
ヒータHtと熱拡散部材48との当接面には、酸化亜鉛及びシリコーンオイルを主成分とする熱伝導グリスgr1が塗布され、熱拡散部材48と定着ベルト45との摺動面には、PFPE(パーフルオロポリエーテル)を主成分とする摺動グリスgr2が塗布される。
【0038】
前記定着ベルト45は、多重構造を有する筒状のフィルムであり、PI(ポリイミド)等の樹脂又はSUS(ステンレス鋼)等の金属から成る基材、シリコームゴムから成る弾性層、及びPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)等のフッ素樹脂によるコーティング層を順に積層することによって形成される。該コーティング層に代えて、PTFE、PFA等の樹脂を加工したチューブから成る表層を使用することもできる。
【0039】
ヒータHtは、長手方向に延在させて配設された面状発熱体である面状ヒータから成り、SUS又はセラミックから成る基板上に、電気絶縁層、抵抗発熱層、電極及び保護層を順に積層することによって形成され、電極を介して電力を供給することによって発熱する。
【0040】
また、ヒータHtは、長手方向において5分割され、定着ベルト45の中央部に配設され、定着ベルト45の中央部を主として加熱する中央加熱部としてのメインヒータMH、ヒータHtを用紙Pの搬送方向における上流側から見たときのメインヒータMHの左側に隣接させて配設され、定着ベルト45の中央部と左側の端部との中間部を主として加熱する第1の中間加熱部としてのサイドヒータLH1、定着ベルト45の左側の端部に配設され、定着ベルト45の左側の端部を主として加熱する第1の端部加熱部としてのサイドエンドヒータLH2、及びヒータHtを用紙Pの搬送方向における上流側から見たときのメインヒータMHの右側に隣接させて配設され、定着ベルト45の中央部と右側の端部との中間部を主として加熱する第2の中間加熱部としてのサイドヒータRH1、定着ベルト45の右側の端部に配設され、定着ベルト45の右側の端部を主として加熱する第2の端部加熱部としてのサイドエンドヒータRH2から成る。
【0041】
前記メインヒータMHと、サイドヒータLH1、RH1と、サイドエンドヒータLH2、RH2とは、それぞれ独立して駆動されてオン・オフされ、サイドヒータLH1、RH1は互いに電気的に接続され、同時に駆動されてオン・オフされ、サイドエンドヒータLH2、RH2も、互いに電気的に接続され、同時に駆動されてオン・オフされる。
【0042】
前記メインヒータMH、サイドヒータLH1、RH1及びサイドエンドヒータLH2、RH2の各寸法は、プリンタ10の仕様、ユーザの要求等によって任意に決定される。本実施の形態においては、メインヒータMHの両端間の距離L1が、B6判の用紙Pの縦サイズの幅(128〔mm〕)に対応させて138〔mm〕に設定され、サイドヒータLH1の左端とサイドヒータRH1の右端との間の距離L2が、A4判の用紙Pの縦サイズの幅(210〔mm〕)に対応させて230〔mm〕に設定され、サイドエンドヒータLH2の左端とサイドエンドヒータRH2の右端との間の距離L3が、A4判の用紙Pの横サイズの幅(297〔mm〕)に対応させて306〔mm〕に設定される。
【0043】
用紙Pの縦サイズ及び横サイズの幅に応じて、サイドヒータLH1、RH1及びサイドエンドヒータLH2、RH2の発熱量を調整することによって、定着ベルト45の非通紙領域の温度が過剰に高くならないようにすることができる。
【0044】
そのために、メインヒータMHの裏面の長手方向における中央部に、第1の温度監視用の温度検出部としてのメインサーミスタMsが配設され、各サイドヒータLH1、RH1の裏面の長手方向における中央部に、第2の温度監視用の温度検出部としてのサイドサーミスタLs1、Rs1が配設され、各サイドエンドヒータLH2、RH2の裏面の長手方向における中央部に、第3の温度監視用の検出部としてのサイドエンドサーミスタLs2、Rs2が配設され、メインサーミスタMs、サイドサーミスタLs1、Rs1及びサイドエンドサーミスタLs2、Rs2によって、メインヒータMH、サイドヒータLH1、RH1及びサイドエンドヒータLH2、RH2の各温度が検出される。
【0045】
また、用紙Pの搬送方向における定着器45の用紙Pの入口側において、定着ベルト45の外側に、定着ベルト45の幅方向における中央部と対向させて、温度制御用の温度検出部としての非接触式の温度センサIsが配設される。本実施の形態において、該温度センサIsは、サーモパイルから成り、定着ベルト45の表面から放出される赤外線を温度に変換することによって定着ベルト45の表面温度を検出する。なお、プリンタ10の印刷動作中は、主として温度センサIsによる、定着ベルト45の表面温度である後述される検出温度Trに基づいて定着器18が制御される。
【0046】
前記メインサーミスタMs、サイドサーミスタLs1、Rs1及びサイドエンドサーミスタLs2、Rs2は、ヒータHtの異常な温度上昇を監視したり、幅狭の用紙Pに対して印刷が行われる場合において定着ベルト45の非通紙領域の過剰な温度上昇を監視したりする等、主としてアラーム状態を検出するために使用される。
【0047】
そして、メインヒータMHの裏面におけるメインサーミスタMsより左側において、メインサーミスタMsに隣接させて、非常監視用の第1の温度検出部としてのサーモスタットMthが配設され、サイドヒータLH1の裏面におけるサイドサーミスタLs1より左側、及びサイドエンドヒータLH2の裏面におけるサイドサーミスタLs2より左側に、いずれもサイドサーミスタLs1、Ls2に隣接させて、非常監視用の第2の温度検出部としてのサーモスタットLth1、Lth2が配設される。該サーモスタットMth、Lth1、Lth2は、ヒータHtが所定の温度になると、バイメタルが離れてヒータHtへの電力の供給を遮断する。
【0048】
メインサーミスタMs、サイドサーミスタLs1、Rs1及びサイドエンドサーミスタLs2、Rs2は、前記ヒータ押圧部材Hdとの間に配設された第1の付勢部材としてのスプリングSp1によってヒータHtに押し付けられ、各サーモスタットMth、Lth1、Lth2は、ヒータ押圧部材Hdとの間に配設された第2の付勢部材としてのスプリングSp2によってヒータHtに押し付けられる。
【0049】
次に、プリンタ10の制御装置について説明する。
【0050】
図1は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの制御ブロック図である。
【0051】
図において、10はプリンタ、50は該プリンタ10の全体の制御を行う印刷制御部であり、該印刷制御部50に、第1の記憶部としてのフラッシュROM52、第2の記憶部としてのRAM53、第3の記憶部としての前記識別タグ54、ヒータHt(
図4)をオン・オフさせるためのヒータ制御回路65、温度センサIs、メインサーミスタMs、サイドサーミスタLs1、Rs1、サイドエンドサーミスタLs2、Rs2、給紙モータM1、IDモータM2、ベルトモータM3、定着用の駆動部としての定着モータM4、LEDヘッド22、高電圧回路59、環境センサs3、ユーザインタフェース部としての操作パネル70等が接続され、前記定着モータM4にバックアップローラ47が接続される。
【0052】
前記印刷制御部50は、図示されない演算装置としてのCPU、入出力ポート等を備え、フラッシュROM52に記録されたプログラムに基づいて各種の処理を行う。
【0053】
前記フラッシュROM52には、前記プログラムのほかに、各種の設定値、後述される定着制御処理で使用されるヒータオンパターンテーブルTb1(
図7)等が記録される。
【0054】
また、前記RAM53には、上位装置としての図示されないホストコンピュータから送信された印刷ジョブの印刷データに基づいて生成された、通常の印刷を行うための画像データのほかに、各種の制御用のデータが一時的に記録される。
【0055】
前記識別タグ54は記憶素子を内蔵し、該記憶素子に、例えば、定着器18(
図2)を特定するシリアル番号、定着器18の使用履歴である使用量、前回プリンタ10の電源が遮断(オフに)された日時を表す最終使用日時等が記録される。
【0056】
前記ヒータ制御回路65は、トライアック駆動回路66、トライアックTR1~TR3等を備える。
【0057】
前記給紙モータM1は、ステッピングモータ、DCモータ等から成り、前記ホッピングローラ12を回転させて用紙カセット11から用紙Pを繰り出したり、前記レジストローラ対14を回転させて用紙Pを搬送したりする。
【0058】
前記IDモータM2は、DCモータから成り、前記各画像形成ユニット16iにおいて、感光体ドラム31、帯電ローラ32、現像ローラ33等を回転させる。
【0059】
前記ベルトモータM3は、ステッピングモータ、DCモータ等から成り、前記駆動ローラR1を回転させて転写ベルト17を走行させるとともに、各転写ローラ21を回転させる。
【0060】
前記定着モータM4は、DCモータから成り、定着器18のバックアップローラ47を回転させ、定着ベルト45を走行させて定着部において用紙Pを搬送したり、搬送ローラ対19を回転させて用紙Pを搬送したり、排出ローラ対20を回転させて用紙Pを装置本体Bd外に排出したりする。なお、定着器18において、定着モータM4の回転は、図示されないギヤ列を介して減速させられた後、バックアップローラ47に伝達される。
【0061】
前記LEDヘッド22は、各画像形成ユニット16iにおいて、帯電させられた感光体ドラム31の表面を露光し、感光体ドラム31の表面に静電潜像を形成する。
【0062】
前記高電圧回路59は、各画像形成ユニット16iにおいて、帯電ローラ32、現像ローラ33、供給ローラ34、現像ブレード35等に高電圧を印加したり、転写ユニットu1において転写ローラ21に高電圧を印加したりする。
【0063】
前記操作パネル70は、プリンタ10の状態を表示するためのLED画面等から成る表示部71、及び操作者がプリンタ10に指示を入力し、用紙設定等を行うためのスイッチ、キー等から成る操作部72を備える。
【0064】
また、前記印刷制御部50は、印刷処理部Pr1、定着制御部Pr2、モード設定処理部Pr3、エイジング処理部Pr4、現在の日時を計時する計時部材としてのリアルタイムクロックCk等を備える。
【0065】
前記印刷処理部Pr1は、印刷処理を行い、前記ホストコンピュータから印刷ジョブを受信すると、印刷データの編集等の処理を行い、画像データを生成し、生成した画像データをRAM53に記録し、続いて、前記書出センサs1によって用紙Pが検出されると、LEDヘッド22に画像データを送り、LEDヘッド22によって感光体ドラム31を露光して感光体ドラム31の表面に静電潜像を形成する。そして、印刷処理部Pr1は、各画像形成ユニット16iにおいて、静電潜像にトナーを付着させて感光体ドラム31上にトナー像を形成し、転写ユニットu1によって各色のトナー像を用紙Pに転写してカラーのトナー像を形成し、定着器18においてカラーのトナー像を用紙Pに定着させる。
【0066】
前記定着制御部Pr2は、定着制御処理を行い、温度センサIsによって検出された前記検出温度Trが、用紙Pの厚さ、幅等の印刷条件に応じた所定の目標温度になるようにヒータHtをオン・オフさせてフィードバック制御を行う。
【0067】
前記モード設定処理部Pr3は、モード設定処理を行い、プリンタ10の電源が投入されたときの定着器18の使用状況が、通常より長期間にわたって使用されていない使用状況である場合に、プリンタ10にエイジングモードを設定する。
【0068】
前記エイジング処理部Pr4は、エイジング処理を行い、モード設定処理部Pr3によってエイジングモードが設定されると、エイジング動作を行うことによって定着器18をウォームアップ動作より十分に空回しする。
【0069】
次に、定着制御部Pr2が定着器18のベルトユニット46のヒータHtを駆動し、オン・オフさせるための前記ヒータ制御回路65について説明する。
【0070】
図6は本発明の第1の実施の形態における定着器のヒータ制御回路を示す図である。
【0071】
図において、50は印刷制御部、Pr2は定着制御部、65はヒータ制御回路、66はトライアック駆動回路、68は交流電源となる商用電源、Htはヒータ、MHはメインヒータ、LH1、RH1はサイドヒータ、LH2、RH2はサイドエンドヒータ、Isは温度センサ、Msはメインサーミスタ、Ls1、Rs1はサイドサーミスタ、Ls2、Rs2はサイドエンドサーミスタ、Mth、Lth1、Lth2はサーモスタット、TR1は、メインヒータMHをオン・オフさせる第1のヒータスイッチとしての、かつ、主スイッチング素子としてのトライアック、TR2は、サイドヒータLH1、RH1をオン・オフさせる第2のヒータスイッチとしての、かつ、第1の副スイッチング素子としてのトライアック、TR3は、サイドエンドヒータLH2、RH2をオン・オフさせる第3のヒータスイッチとしての、かつ、第2の副スイッチング素子としてのトライアックである。
【0072】
前記温度センサIs、メインサーミスタMs、サイドサーミスタLs1、Rs1、サイドエンドサーミスタLs2、Rs2及びサーモスタットMth、L1th、Lth2のセンサ出力が印刷制御部50に送られる。
【0073】
前記商用電源68の一方の端子は、メインヒータMHの一方の電極にサーモスタットMthを介して、サイドヒータLH1の一方の電極にサーモスタットLth1を介して、サイドエンドヒータLH2の一方の電極にサーモスタットLth2を介して、サイドヒータRH1及びサイドエンドヒータRH2の一方の電極に接続され、商用電源68の他方の端子は、トライアックTR1~TR3を介してメインヒータMH、サイドヒータLH1、RH1及びサイドエンドヒータLH2、RH2の各他方の電極に接続される。
【0074】
前記トライアック駆動回路66は、図示されないフォトカプラから成り、一次側と二次側とが絶縁され、一次側において印刷制御部50に接続され、二次側においてトライアックTR1~TR3の各ゲート端子に接続される。
【0075】
前記印刷制御部50からトライアック駆動回路66にメインヒータMHの駆動信号SG1、サイドヒータLH1、RH1の駆動信号SG2、及びサイドエンドヒータLH2、RH2の駆動信号SG3が送られると、トライアック駆動回路66は、駆動信号SG1~SG3のオン・オフの割合を表すデューティ値Duty、Duty1、Duty2に応じてトライアックTR1~TR3を導通させ、メインヒータMH、サイドヒータLH1、RH1及びサイドエンドヒータLH2、RH2に供給される電力を変更する。
【0076】
次に、前記定着制御部Pr2の動作について説明する。
【0077】
図7は本発明の第1の実施の形態におけるヒータオンパターンテーブルの例を示す図である。
【0078】
プリンタ10の印刷動作中、定着制御部Pr2は、温度センサIsが検出した検出温度Trを読み込み、印刷条件で決まる定着器18の定着ベルト45の目標温度Tsと検出温度Trの偏差ε
ε=Ts-Tr
を算出し、該偏差εに基づいたフィードバック演算を、制御周期である100〔ms〕ごとに行い、駆動信号SG1のオン・オフを表すメインヒータMH用のデューティ値Dutyを算出する。本実施の形態において、フィードバック演算はPID計算で行われる。
【0079】
n番目の制御周期におけるデューティ値Dutyの計算式は以下の式(1)のとおり、偏差εに対する関数で表される。なお、
図7に示されるように、デューティ値Dutyは10〔%〕刻みで0〔%〕~100〔%〕の範囲にされる。また、余りDutyModは次の制御周期のPID計算に持ち越される。
【0080】
Duty(n)=Kp*ε+Ki*Σε+Kd*dε/dt+DutyMod(n-1) …(1)
ε:偏差
Kp:比例ゲイン
Ki:積分ゲイン
Kd:微分ゲイン
DutyMod(n-1):前の制御周期で消費されなかったデューティ値Duty値の余り
例えば、前の制御周期のデューティ値Dutyが98〔%〕である場合、90〔%〕は駆動信号SG1の出力に消費され、8〔%〕は余りとして次の制御周期のPID計算に使用される。デューティ値DutyのPID計算結果に応じて、
図7に示されるヒータオンパターンテーブルTb1におけるヒータオンパターンで駆動信号SG1が出力される。
【0081】
例えば、PID計算で算出されたデューティ値Dutyが100〔%〕である場合、No.1のテーブルラインが選択され、駆動信号SG1が100〔ms〕の間連続してHighレベルで出力され、デューティ値Dutyが25〔%〕である場合、No.3のテーブルラインが選択され、駆動信号SG1が、10〔ms〕の間Highレベルで出力された後、40〔ms〕の間Lowレベルで出力され、その後、10〔ms〕の間Highレベルで出力された後、40〔ms〕の間Lowレベルで出力される。
【0082】
プリンタ10の印刷動作中は、用紙Pの幅Wに応じて、サイドヒータLH1、RH1用のデューティ値Duty1、及びサイドエンドヒータLH2、RH2用のデューティ値Duty2が、前記メインヒータMH用のデューティ値Dutyを補正することによって以下の式(2)、(3)で表されるように算出され、駆動信号SG2、SG3が出力される。
【0083】
デューティ値Duty1を算出する際の補正値はα1に、デューティ値Duty2を算出する際の補正値はα2にされる。
【0084】
n番目の制御周期におけるサイドヒータLH1、RH1用のデューティ値Duty1は、
Duty1(n)=(Duty(n)-DutyMod(n-1))*α1+Duty1Mod(n-1) …(2)
となる。
【0085】
また、n番目の制御周期におけるサイドエンドヒータLH2、RH2用のデューティ値Duty2は、
Duty2(n)=(Duty(n)-DutyMod(n-1))*α2+Duty2Mod(n-1) …(3)
となる。
【0086】
なお、補正値α1、α2は用紙Pの幅Wに対する式(4)、(5)で示される三次関数で計算される。三次関数の係数は前記フラッシュROM52にあらかじめ記録される。
【0087】
α1=a1*W3+b1*W2+c1*W+d1 …(4)
α2=a2*W3+b2*W2+c2*W+d2 …(5)
W:用紙幅[mm]
a1、b1、c1、d1、a2、b2、c2、d2:係数
次に、用紙Pの幅を表す用紙幅Wと用紙サイズと補正値α1、α2との関係、及び用紙幅Wと補正値α1、α2との関係について説明する。
【0088】
図8は本発明の第1の実施の形態における用紙幅及び用紙サイズと補正値との関係を示す図、
図9は本発明の第1の実施の形態における用紙幅と補正値との関係を示す図である。なお、
図9において、横軸に用紙幅Wを、縦軸に補正値α1、α2を採ってある。
【0089】
図9において、L11は用紙幅Wと補正値α1との関係を示す線、L12は用紙幅Wと補正値α2との関係を示す線である。
【0090】
例えば、A4判の用紙Pは、横幅Wが297〔mm〕であるので、補正値α1は100〔%〕であり、補正値α2は95〔%〕になる。
【0091】
なお、用紙Pの幅Wとしては、ユーザによって設定された値を使用することができるだけでなく、プリンタ10の用紙搬送路Rt1上に用紙幅Wを検出するセンサ(例えば、ラインセンサ)を配設したり、用紙カセット11に用紙ガイドの幅を検出する用紙幅センサを配設したりすることにより、各センサによって検出された値を使用することができる。
【0092】
ところで、長期間プリンタ10が使用されないと、定着器18内において摺動グリスgr2が熱拡散部材48と定着ベルト45との摺動面から分離し、摺動面が露出したり、摺動グリスgr2が摺動面に固着したりすることがあり、その場合、熱拡散部材48を介したヒータHtから定着ベルト45への熱伝達、すなわち、定着ベルトユニット46から用紙P及びバックアップローラ47への熱伝達が阻害され、コールドオフセットが発生したり、シミ印字が生じて画像品位が低下したりする。
【0093】
さらに、ヒータHtから用紙P及び定着ベルト45への熱伝達の阻害がヒータHtの中央部に集中した場合、印字条件によってはメインヒータMHのデューティ値Dutyが著しく大きくなり、ヒータHtの温度が過剰に高くなることがあり、その場合、熱伝導グリスgr1のオイル成分が揮発し、熱伝導グリスgr1が劣化したり、メインサーミスタMsの検出温度が異常高温閾値以上になり、定着制御部Pr2がヒータHtをオン・オフさせることができなくなってエラー判定をしたりすることがある。
【0094】
摺動グリスgr2の摺動面からの分離及び摺動面への固着は、定着器18を使用していれば解消するが、用紙サイズ、印刷条件等によって解消するまでに100〔枚〕~200〔枚〕程度の印刷を行う必要があり、その間、コールドオフセットが発生したり、画像品位が低下したりする。
【0095】
そこで、本実施の形態においては、プリンタ10の電源が投入(オンに)されたときに、モード設定処理部Pr3が、摺動グリスgr2のならしを行うためのエイジング動作を行う必要があるかどうかを判断し、エイジング動作を行う必要がある場合に、プリンタ10にエイジングモードを設定し、エイジング処理部Pr4が、定着ベルト45の所定の目標温度Ts及び所定の走行速度Vbで、所定の動作時間τ、定着器18の空回しを行うことによってエイジング動作を行う。
【0096】
また、本実施の形態においては、プリンタ10の電源が投入されたときに定着器18のウォームアップ動作が行われるようになっている。定着器18のエイジング動作とウォームアップ動作とは目標温度Ts、走行速度Vb及び動作時間τがそれぞれ異なる。
【0097】
図10は本発明の第1の実施の形態における定着器のエイジング動作及びウォームアップ動作について説明するための図である。
【0098】
図に示されるように、ウォームアップ動作においては、定着器18の動作速度を表す定着ベルト45の走行速度Vbが46〔mm/s〕、目標温度Tsが160〔℃〕、動作時間τが10~20〔s〕であるのに対して、エイジング動作においては、定着ベルト45の走行速度Vbが160〔mm/s〕、目標温度Tsが180〔℃〕、動作時間τが120〔s〕であり、エイジング動作は、摺動グリスgr2のならしを行うためのものであるので、ウォームアップ動作より高速で、高温で、長時間行われるようになっている。
【0099】
なお、印刷動作以外で定着器18を使用すると、定着器18の寿命が短くなるので、エイジングモードが設定されているときに行われるエイジング動作の回数及び動作時間τは必要最小限にするのが好ましい。
【0100】
次に、前記印刷制御部50の動作について説明する。
【0101】
図11は本発明の第1の実施の形態における印刷制御部の動作を示す第1のフローチャート、
図12は本発明の第1の実施の形態における印刷制御部の動作を示す第2のフローチャートである。
【0102】
まず、モード設定処理部Pr3は、プリンタ10の電源が投入されるのを待機し(ステップS1)、プリンタ10の電源が投入されると、エイジング動作を行う必要があるかどうかによって、エイジングモードの設定条件が成立したかどうかを判断する(ステップS2)。
【0103】
そのために、モード設定処理部Pr3は、識別タグ54を参照し、定着器18の使用履歴である最終使用日時を読み出すとともに、リアルタイムクロックCkが計時した現在の日時を読み込むことによって、定着器18が使用されていない期間を算出し、定着器18が使用されていない期間が、所定の期間、本実施の形態においては、1箇月以上であるかどうかを判断し、定着器18が使用されていない期間が1箇月以上である場合に、定着器18の使用状況が通常の使用状況と異なり、エイジング動作を行う必要があり、エイジングモードの設定条件が成立したと判断する。
【0104】
なお、モード設定処理部Pr3は、識別タグ54の使用履歴に基づいて、定着器18がユーザ先で最初に使用されたかどうかを判断し、定着器18がユーザ先で最初に使用された場合に、エイジングモードの設定条件が成立したと判断することもできる。その場合、モード設定処理部Pr3は、プリンタ10が工場から出荷された後、プリンタ10の電源が最初に投入された場合、定着器18が、工場から出荷された後に装置本体Bdに最初に取り付けられた場合等に、定着器18がユーザ先で最初に使用されたと判断する。
【0105】
また、本実施の形態においては、定着器18の使用履歴が識別タグ54に記録されるようになっているが、定着器18の使用履歴がフラッシュROM52に記録されるようにすることもできる。
【0106】
エイジングモードの設定条件が成立した場合、モード設定処理部Pr3はプリンタ10にエイジングモードを設定する(ステップS3)。
【0107】
続いて、エイジング処理部Pr4は、定着ベルト45の走行速度Vbを160〔mm/s〕に、目標温度Tsを180〔℃〕に、動作時間τを120〔s〕にしてエイジング動作を開始する(ステップS4)とともに、エイジング動作の開始時間を識別タグ54に記録する。
【0108】
一方、エイジングモードの設定条件が成立しなかった場合、モード設定処理部Pr3は、プリンタ10に通常モードを設定し、処理を終了する。
【0109】
エイジング動作が開始されると、モード設定処理部Pr3は、エイジング動作が開始されてから動作時間τが経過したかどうかによって、エイジング動作の終了条件が成立したかどうかを判断する(ステップS5)。そのために、エイジング処理部Pr4は、識別タグ54からエイジング動作の開始時間を読み出すとともに、リアルタイムクロックCkが計時した現在の日時を読み込み、エイジング動作を開始してから動作時間τが経過したかどうかを判断する。なお、エイジング処理部Pr4は、操作者が操作パネル70の操作部72を操作してエイジング動作を終了させた場合にも、エイジング動作の終了条件が成立したと判断する。
【0110】
エイジング動作の終了条件が成立した場合、エイジング処理部Pr4はエイジング動作を終了し(ステップS6)、処理を終了する。
【0111】
一方、エイジング動作の終了条件が成立しなかった場合、印刷処理部Pr1は、ホストコンピュータから印刷ジョブを受信したかどうかを判断し(ステップS7)、ホストコンピュータから印刷ジョブを受信した場合に、エイジング処理部Pr4はエイジング動作を優先して行うかどうかを判断する(ステップS8)。
【0112】
そのために、エイジング処理部Pr4は、印刷処理部Pr1から画像データの印字率(1ページ当たりの用紙Pに占めるトナーの載り量の割合)を読み込み、印字率が所定の割合以上、例えば、11〔%〕以上)であるかどうかを判断し、印字率が11〔%〕以上である場合に、コールドオフセットが発生したり、シミ印字が生じたりする可能性が高いので、エイジング動作を優先して行う。
【0113】
また、エイジング処理部Pr4は、印刷に使用される用紙Pの厚さが所定の値以上、例えば、160〔gsm〕以上である場合に、コールドオフセットが発生したり、シミ印字が生じたりする可能性が高いので、エイジング動作を優先して行う。
【0114】
さらに、エイジング処理部Pr4は、印刷ページ数が所定の枚数以上、例えば、6ページ以上である場合に、ヒータHtの温度が高くなるので、エイジング動作を優先して行う。
【0115】
また、エイジング処理部Pr4は、環境センサs3によって検出されたプリンタ10の周囲の温度が所定の温度以下、例えば15〔℃〕以下である場合に、用紙Pの加熱及びトナーの溶融に必要になる熱エネルギーが多くなり、デューティ値Dutyが大きくなり、メインヒータHMの検出温度TM、並びにサイドヒータLH1、RH1及びサイドエンドヒータLH2、RH2の各検出温度TL1、TR1、TL2、TR2が高くなるので、エイジング動作を優先して行う。
【0116】
エイジング処理部Pr4がエイジング動作を優先して行う場合、印刷処理部Pr1は、エイジング処理部Pr4のエイジング動作が終了するまで印刷動作を保留し(ステップS9)、エイジング動作が終了した後、印刷動作を行う(ステップS10)。
【0117】
一方、エイジング動作を優先して行わない場合、エイジング処理部Pr4は、エイジング動作を中断し(ステップS11)、印刷処理部Pr1は印刷動作を行う(ステップS12)。そして、エイジング処理部Pr4は、印刷処理部Pr1の印刷動作が終了した後、エイジング動作を行う(ステッS13)。
【0118】
次に、
図11及び12のフローチャートについて説明する。
ステップS1 モード設定処理部Pr3はプリンタ10の電源が投入されるのを待機する。プリンタ10の電源が投入された場合はステップS2に進む。
ステップS2 モード設定処理部Pr3はエイジングモードの設定条件が成立したかどうかを判断する。エイジングモードの設定条件が成立した場合はステップS3に進み、エイジングモードの設定条件が成立しなかった場合は処理を終了する。
ステップS3 モード設定処理部Pr3はプリンタ10にエイジングモードを設定する。
ステップS4 エイジング処理部Pr4はエイジング動作を開始する。
ステップS5 モード設定処理部Pr3はエイジング動作の終了条件が成立したかどうかを判断する。エイジング動作の終了条件が成立した場合はステップS6に進み、エイジング動作の終了条件が成立しなかった場合はステップS7に進む。
ステップS6 エイジング処理部Pr4はエイジング動作を終了し、処理を終了する。
ステップS7 印刷処理部Pr1はホストコンピュータから印刷ジョブを受信したかどうかを判断する。ホストコンピュータから印刷ジョブを受信した場合はステップS8に進み、ホストコンピュータから印刷ジョブを受信しなかった場合はステップS5に戻る。
ステップS8 エイジング処理部Pr4はエイジング動作を優先して行うかどうかを判断する。エイジング動作を優先して行う場合はステップS9に進み、エイジング動作を優先して行わない場合はステップS11に進む。
ステップS9 印刷処理部Pr1はエイジング動作が終了するまで印刷動作を保留する。
ステップS10 印刷処理部Pr1はエイジング動作が終了した後、印刷動作を行い、処理を終了する。
ステップS11 エイジング処理部Pr4はエイジング動作を中断する。
ステップS12 印刷処理部Pr1は印刷動作を行う。
ステップS13 エイジング処理部Pr4は印刷動作が終了した後、エイジング動作を行い、処理を終了する。
【0119】
このように、本実施の形態においては、プリンタ10の電源が投入されたときの定着器18の使用状況が通常より長期間にわたって使用されていない使用状況である場合に、プリンタ10にエイジングモードが設定され、定着器18がウォームアップ動作より十分に空回されるので、摺動グリスが摺動面から分離して摺動面が露出したり、摺動グリスが摺動面上で固化したりすることがなくなる。
【0120】
したがって、定着ベルトユニット45から用紙P及びバックアップローラ47への熱伝達が阻害されることがないので、コールドオフセットが発生したり、シミ印字が生じて画像品位が低下したりするのを防止することができる。
【0121】
ところで、本実施の形態においては、前述されたように、サイドヒータLH1、RH1及びサイドエンドヒータLH2、RH2には、メインヒータMHのデューティ値Dutyを補正値α1、α2で補正することによって算出されるデューティ値Duty1、Duty2に応じて決まる電力が供給される。
【0122】
ところが、摺動グリスgr2の摺動面からの分離、摺動面への固着等に伴い、ヒータHtから定着ベルト45への熱伝達が端部において集中的に阻害されると、サイドヒータLH1、RH1及びサイドエンドヒータLH2、RH2の温度が過剰に高くなり、熱伝導グリスgr1が劣化したり、定着制御部Pr2がヒータHtをオン・オフさせることができなくなり、エラー判定をしたりすることがある。
【0123】
そこで、プリンタ10の印刷動作中にメインサーミスタMsによって検出されたメインヒータHMの検出温度TMと、サイドサーミスタLs1、Rs1及びサイドエンドサーミスタLs2、Rs2によって検出されたサイドヒータLH1、RH1及びサイドエンドヒータLH2、RH2の各検出温度TL1、TR1、TL2、TR2との温度差ΔT1~ΔT4に基づいてエイジング動作がわれるようにした本発明の第2の実施の形態について次に説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0124】
図13は本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの制御ブロック図、
図14は本発明の第2の実施の形態における印刷制御部の動作を示す第1のフローチャート、
図15は本発明の第2の実施の形態における印刷制御部の動作を示す第2のフローチャートである。
【0125】
図において、Pr5はウォームアップ処理部、Pr6は温度差監視処理部である。
【0126】
該温度差監視処理部Pr6は、温度差監視処理を行い、中央加熱部としてのメインヒータMHの検出温度TMと、第1の中間加熱部としてのサイドヒータLH1の検出温度TL1との温度差ΔT1
ΔT1=TM-TL1、
検出温度TMとサイドヒータRH1の検出温度TR1との温度差ΔT2
ΔT2=TM-TR1、
検出温度TMと第1の端部加熱部としてのサイドエンドヒータLH2の検出温度TL2との温度差ΔT3
ΔT3=TM-TL2、
及び検出温度TMとサイドエンドヒータRH2の検出温度TR2との温度差ΔT4
ΔT4=TM-TR2
を監視する。
【0127】
まず、ウォームアップ処理部Pr5は、プリンタ10の電源が投入されるのを待機し(ステップS21)、プリンタ10の電源が投入されると、環状ベルトとしての定着ベルト45の走行速度Vbを46〔mm/s〕に、目標温度Tsを160〔℃〕に、動作時間τを10~20〔s〕にしてウォームアップ動作を開始する(ステップS22)とともに、ウォームアップ動作の開始時間を第3の記憶部としての識別タグ54に記録する。
【0128】
そして、前記温度差監視処理部Pr6は、前記温度差ΔT1~ΔT4の監視を開始し(ステップS23)、温度差ΔT1~ΔT4のうちの最大温度差ΔTmaxを第2の記憶部としてのRAM53に記録する。
【0129】
続いて、ウォームアップ処理部部Pr5は、識別タグ54からウォームアップ動作の開始時間を読み出すとともに、計時部材としてのリアルタイムクロックCkが計時した現在の日時を読み込み、ウォームアップ動作が開始されてから動作時間τが経過したかどうかによって、ウォームアップ動作が終了するのを待機する(ステップS24)。
【0130】
ウォームアップ動作が終了すると、印刷処理部Pr1は、上位装置としてのホストコンピュータから印刷ジョブを受信するのを待機し(ステップS25)、ホストコンピュータから印刷ジョブを受信すると、印刷動作を行う(ステップS26)。
【0131】
次に、温度差監視処理部Pr6は、印刷動作が終了したかどうかを判断し(ステップS27)、印刷動作が終了すると、温度差ΔT1~ΔT4の監視を終了し(ステップS28)、RAM53から最大温度差ΔTmaxを読み出し、該最大温度差ΔTmaxが閾値ωT(40〔℃〕)以上であるかどうかを判断する(ステップS29)。
【0132】
最大温度差ΔTmaxが閾値ωT(40〔℃〕)以上である場合、エイジング処理部Pr4は、定着ベルト45の走行速度Vbを160〔mm/s〕に、目標温度Tsを180〔℃〕に、動作時間τを120〔s〕にしてエイジング動作を開始する(ステップS30)とともに、エイジング動作の開始時間を識別タグ54に記録する。
【0133】
また、最大温度差ΔTmaxが閾値ωT以上でない場合、エイジング処理部Pr4は処理を終了する。
【0134】
エイジング動作が開始されると、エイジング処理部Pr4は、エイジング動作が開始されてから動作時間τが経過したかどうかによって、エイジング動作の終了条件が成立したかどうかを判断する(ステップS31)。そのために、モード設定処理部Pr3は、識別タグ54からエイジング動作の開始時間を読み出すとともに、リアルタイムクロックCkが計時した現在の日時を読み込み、エイジング動作が開始されてから動作時間τが経過したかどうかを判断する。
【0135】
エイジング動作の終了条件が成立した場合、エイジング処理部Pr4はエイジング動作を終了し(ステップS32)、処理を終了する。
【0136】
一方、エイジング動作の終了条件が成立しなかった場合、印刷処理部Pr1は、ホストコンピュータから印刷ジョブを受信したかどうかを判断し(ステップS33)、ホストコンピュータから印刷ジョブを受信した場合、エイジング処理部Pr4はエイジング動作を優先して行うかどうかを判断する(ステップS34)。
【0137】
エイジング処理部Pr4がエイジング動作を優先して行う場合、印刷処理部Pr1は、エイジング処理部Pr4のエイジング動作が終了するまで印刷動作を保留し(ステップS35)、エイジング動作が終了した後、印刷動作を行う(ステップS36)。
【0138】
また、エイジング動作を優先して行わない場合、エイジング処理部Pr4は、エイジング動作を中断し(ステップS37)、印刷処理部Pr1は印刷動作を行う(ステップS38)。そして、エイジング処理部Pr4は、印刷処理部Pr1の印刷動作が終了した後、エイジング動作を行う(ステッS39)。
【0139】
次に、
図14及び15のフローチャートについて説明する。
ステップS21 ウォームアップ処理部Pr5はプリンタ10の電源が投入されるのを待機する。プリンタ10の電源が投入された場合はステップS22に進む。
ステップS22 ウォームアップ処理部Pr5はウォームアップ動作を開始する。
ステップS23 前記温度差監視処理部Pr6は温度差ΔT1~ΔT4の監視を開始する。
ステップS24 ウォームアップ処理部部Pr5はウォームアップ動作が終了するのを待機する。ウォームアップ動作が終了した場合はステップS25に進む。
ステップS25 印刷処理部Pr1はホストコンピュータから印刷ジョブを受信するのを待機する。ホストコンピュータから印刷ジョブを受信した場合はステップS26に進む。
ステップS26 印刷処理部Pr1は印刷動作を行う。
ステップS27 温度差監視処理部Pr6は印刷動作が終了したかどうかを判断する。印刷動作が終了した場合はステップS28に進み、印刷動作が終了しなかった場合はステップS25に戻る。
ステップS28 温度差監視処理部Pr6は温度差ΔT1~ΔT4の監視を終了する。
ステップS29 温度差監視処理部Pr6は最大温度差ΔTmaxが閾値ωT(40〔℃〕)以上であるかどうかを判断する。最大温度差ΔTmaxが閾値ωT(40〔℃〕)以上である場合はステップS30に進み、最大温度差ΔTmaxが閾値ωT(40〔℃〕)以上でない場合は処理を終了する。
ステップS30 エイジング処理部Pr4はエイジング動作を開始する。
ステップS31 エイジング処理部Pr4はエイジング動作の終了条件が成立したかどうかを判断する。エイジング動作の終了条件が成立した場合はステップS32に進み、エイジング動作の終了条件が成立しなかった場合はステップS33に進む。
ステップS32 エイジング処理部Pr4はエイジング動作を終了し、処理を終了する。
ステップS33 印刷処理部Pr1はホストコンピュータから印刷ジョブを受信したかどうかを判断する。ホストコンピュータから印刷ジョブを受信した場合はステップS34に進み、ホストコンピュータから印刷ジョブを受信しなかった場合はステップS31に戻る。
ステップS34 エイジング処理部Pr4はエイジング動作を優先して行うかどうかを判断する。エイジング動作を優先して行う場合はステップS35に進み、エイジング動作を優先して行わない場合はステップS37に進む。
ステップS35 エイジング処理部Pr4はエイジング動作が終了するまで印刷動作を保留する。
ステップS36 印刷処理部Pr1はエイジング動作が終了した後、印刷動作を行い、処理を終了する。
ステップS37 エイジング処理部Pr4はエイジング動作を中断する。
ステップS38 印刷処理部Pr1は印刷動作を行う。
ステップS39 エイジング処理部Pr4は印刷動作が終了した後、エイジング動作を行い、処理を終了する。
【0140】
このように、本実施の形態においては、摺動グリスgr2の摺動面からの分離、摺動面への固着等に伴う、ヒータHtから定着ベルト45への熱伝達が端部において集中的に阻害されても、サイドヒータLH1、RH1及びサイドエンドヒータLH2、RH2の温度が過剰に高くなるのを防止することができるので、熱伝導グリスgr1が劣化したり、定着制御部Pr2がエラー判定をしたりすることがなくなる。
【0141】
また、本実施の形態においては、印刷処理部Pr1の印刷動作が終了した後、温度差監視処理部Pr6による温度差ΔT1~ΔT4の監視が行われ、最大温度差ΔTmaxが閾値ωT以上である場合にエイジング動作が行われるようになっているが、印刷動作が行われている間に温度差ΔT1~ΔT4の監視を行い、最大温度差ΔTmaxが閾値ωT以上である場合に印刷動作が中断され、エイジング動作が行われるようにすることもできる。
【0142】
さらに、本実施の形態においては、温度差監視処理部Pr6が、メインヒータMHの検出温度TMと、サイドヒータLH1、RH1及びサイドエンドヒータLH2、RH2の各検出温度TL1、TR1、TL2、TR2との温度差ΔT1~ΔT4を監視するようになっているが、メインヒータHMの検出温度TMと、温度制御用の温度検出部としての温度センサIsによる定着ベルト45の表面温度の検出温度εとの温度差を監視することもできる。
【0143】
そして、エイジング処理部Pr4が、温度差監視処理部Pr6による温度差ΔT1~ΔT4によらず、サイドヒータLH1、RH1及びサイドエンドヒータLH2、RH2の各検出温度TL1、TR1、TL2、TR2に基づいてエンジング動作を行うようにすることもできる。
【0144】
前記各実施の形態においてはプリンタ10について説明しているが、本発明を複写機、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置に適用することができる。
【0145】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0146】
10 プリンタ
18 定着器
46 定着ベルトユニット
47 バックアップローラ
P 用紙
Pr3 モード設定処理部
Pr4 エイジング処理部