(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063482
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 15/04 20060101AFI20240502BHJP
B65H 16/04 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
B41J15/04
B65H16/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171480
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 進
【テーマコード(参考)】
2C060
3F052
【Fターム(参考)】
2C060BA04
2C060BA11
3F052AA01
3F052AB05
3F052BA25
(57)【要約】
【課題】本発明が解決しようとする課題は、ホルダの構成を簡略化しつつ、良好な操作性と確実なロール紙のガイドとを両立することが可能なプリンタを提供することである。
【解決手段】実施形態のプリンタは、ロール状印刷媒体を回動可能に支持するホルダと、前記ホルダから繰り出された前記ロール状印刷媒体に印刷を行う印刷部と、を有するプリンタであって、前記ホルダは、前記ロール状印刷媒体の軸方向に形成された支持孔に挿通される軸部材と、前記軸部材に対して前記軸方向にスライド可能に設けられ、前記軸部材に対して起倒可能なガイド部材を有する移動部材と、前記軸部材と前記移動部材とを圧接させて前記軸部材に対する前記移動部材のスライド移動を規制する付勢部材と、前記付勢部材による前記軸部材と前記移動部材との圧接力を、前記ガイド部材の倒伏状態より起立状態で大きくする調整部材と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状印刷媒体を回動可能に支持するホルダと、
前記ホルダから繰り出された前記ロール状印刷媒体に印刷を行う印刷部と、
を有するプリンタであって、
前記ホルダは、
前記ロール状印刷媒体の軸方向に形成された支持孔に挿通される軸部材と、
前記軸部材に対して前記軸方向にスライド可能に設けられ、前記軸部材に対して起倒可能なガイド部材を有する移動部材と、
前記軸部材と前記移動部材とを圧接させて前記軸部材に対する前記移動部材のスライド移動を規制する付勢部材と、
前記付勢部材による前記軸部材と前記移動部材との圧接力を、前記ガイド部材の倒伏状態より起立状態で大きくする調整部材と、
を備えるプリンタ。
【請求項2】
前記調整部材は、前記付勢部材を支持する付勢部材支持部と、前記付勢部材により付勢されて前記軸部材に圧接する圧接部と、前記ガイド部材を起倒可能に支持するガイド部材支持部と、備える、
請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記ガイド部材は、前記軸部材に対する起立動作に応じて、前記付勢部材を圧縮させる方向に前記調整部材を押圧する押圧部を備える、
請求項2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記ガイド部材支持部は、前記ガイド部材を起倒可能に連結する連結軸部を押さえる押さえ部を備え、
前記押圧部は、前記軸部材に対する起立動作に応じて、前記連結軸部と前記押さえ部との間に入り込んで前記調整部材を押圧する、
請求項3に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記押圧部は、前記連結軸部と前記押さえ部との間に挿入可能な先細形状の先端部が形成されている、
請求項4に記載のプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロール状に巻回された印刷媒体(以下、「ロール紙」ともいう)に印刷を行うプリンタが知られている。例えば、複数のラベルが所定間隔で貼付された台紙に印刷を行なうラベルプリンタにおいては、巻回された台紙を印刷部に繰り出すことで、ラベルの表面に印刷を行う。ロール紙は、ラベルが貼付された台紙と、当該台紙を巻回する紙管とも呼ばれるロール支持体とを有する。
【0003】
この種のプリンタにおいて、ロール紙を回動可能に支持するとともにロール紙が幅方向に移動しないようガイドするホルダを備えたものが提案されている(例えば、特許文献1)。ホルダは、ロール紙の紙管を挿通する支持軸と当該支持軸に起倒可能に設けられたガイドとを有する。ガイドは、支持軸が紙管を挿通する際に倒伏状態とされて支持軸の紙管への挿通を許容し、支持軸が紙管を挿通した後に起立状態となってロール紙の幅方向をガイドする。また、ガイドは、使用されるロール紙の幅に合わせてガイドできるように支持軸に対して軸方向(ロール紙の幅方向)に移動可能に設けられている。
【0004】
ガイドは、倒伏状態において、ユーザが容易に位置合わせできるように軸部材に対する制動力が小さいことが望ましい。また、ガイドは、起立状態において、ロール紙を確実にガイドできるように軸部材に対する制動力が大きいことが望ましい。
【0005】
従来のプリンタのホルダとして、支持軸とガイドとをバネで圧接するという簡単な構造でガイドに制動力を加えて当該ガイドの移動を規制するものも見受けられる。しかしながら、この場合、倒伏状態でも起立状態でもガイドに加わる制動力は同じであり、倒伏状態でのユーザの操作性向上と、起立状態での確実なロール紙のガイドとがトレードオフの関係となっていた。このため、ロール紙を支持するホルダの構成を簡略化しつつ、良好な操作性と確実なロール紙のガイドとを両立することが望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、ホルダの構成を簡略化しつつ、良好な操作性と確実なロール紙のガイドとを両立することが可能なプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態のプリンタは、ロール状印刷媒体を回動可能に支持するホルダと、前記ホルダから繰り出された前記ロール状印刷媒体に印刷を行う印刷部と、を有するプリンタであって、前記ホルダは、前記ロール状印刷媒体の軸方向に形成された支持孔に挿通される軸部材と、前記軸部材に対して前記軸方向にスライド可能に設けられ、前記軸部材に対して起倒可能なガイド部材を有する移動部材と、前記軸部材と前記移動部材とを圧接させて前記軸部材に対する前記移動部材のスライド移動を規制する付勢部材と、前記付勢部材による前記軸部材と前記移動部材との圧接力を、前記ガイド部材の倒伏状態より起立状態で大きくする調整部材と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るラベルプリンタの概略構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るラベルプリンタにおいて、ロール紙をセットする際の第1の状態を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るラベルプリンタにおいて、ロール紙をセットする際の第2の状態を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るラベルプリンタにおいて、ロール紙をセットする際の第3の状態を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るラベルプリンタのホルダの要部を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るラベルプリンタにおいて、ガイド部材が倒伏状態である場合のホルダの外観を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るラベルプリンタにおいて、ガイド部材が起立状態である場合のホルダの外観を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るラベルプリンタのホルダの動作を説明するための図で、ガイド部材が倒伏状態を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係るラベルプリンタのホルダの動作を説明するための図で、ガイド部材が倒伏状態から起立状態に移行途中の状態を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係るラベルプリンタのホルダの動作を説明するための図で、ガイド部材が起立状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、実施形態のプリンタについて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態によりこの発明が限定されるものではない。例えば、本実施形態においては、ラベルに印刷を行うラベルプリンタをプリンタとした例について説明するが、これに限らない。プリンタは、ロール状印刷媒体に印刷を行うものであればよい。
【0010】
まず、ラベルプリンタの概略構成について説明する。
図1は、実施形態に係るラベルプリンタの概略構成を示す模式図である。
【0011】
ラベルプリンタ1は、筐体2の内部に、ラベル用紙LPをロール状に巻回したロール紙RPを収容する。ロール紙RPは、後述するホルダ30(
図2等参照)に回転可能に支持される。ロール紙RPは、ロール状印刷媒体の一例である。ラベル用紙LPには、長尺の台紙に複数のラベルが所定間隔で貼付されている。ラベルプリンタ1は、ロール紙RPからラベル用紙LPを引き出しながらラベルに印刷を行う。
【0012】
ラベルプリンタ1は、筐体2の内部に、搬送ローラ11と、プラテンローラ12と、印字ヘッド13と、ラベル間検知センサ14と、剥離ガイド15と、巻取ローラ16と、剥離検知センサ17とを備える。また、ラベルプリンタ1は、筐体2の内部に、リボン保持軸21と、リボン巻取軸22と、ガイド軸23とを備える。
【0013】
搬送ローラ11は、キャプスタンローラ111と、二つの補助ローラ112とを有する。ロール紙RPから引き出されたラベル用紙LPは、キャプスタンローラ111と、補助ローラ112との間に挿通される。プラテンローラ12は、印字ヘッド13に対向する位置に配置される。ラベル用紙LPは、プラテンローラ12と、印字ヘッド13との間に挿通される。
【0014】
キャプスタンローラ111およびプラテンローラ12は、第1駆動モータ(図示せず)によって回転駆動される。例えば、第1駆動モータは、ラベル用紙LPに印刷を行う際に、キャプスタンローラ111およびプラテンローラ12を図中反時計回りに回転させ、ラベル用紙LPを排出口3に向けて搬送する。また、第1駆動モータは、ラベルへの印刷完了後、次のラベルを印刷開始位置まで戻すため、キャプスタンローラ111およびプラテンローラ12を図中時計回りに回転させ、ラベル用紙LPを逆方向に搬送する。
【0015】
印字ヘッド13は、ホルダ30から繰り出されたロール状印刷媒体に印刷を行う印刷部の一例である。本実施形態の印字ヘッド13は、複数個の発熱体を整列させた構造を有するサーマルヘッドである。印字ヘッド13は、印刷パターンに対応する発熱体を発熱させることによって、プラテンローラ12と印字ヘッド13との間に挟持されたラベル用紙LPのラベルに印刷を行う。
【0016】
具体的には、プラテンローラ12と印字ヘッド13との間には、インクリボンIRが挿通される。インクリボンIRに塗布されたインクは、熱した印字ヘッド13によってラベル用紙LPのラベルに転写される。
【0017】
インクリボンIRは、リボン保持軸21とリボン巻取軸22との間に懸架される。リボン保持軸21は、未使用のインクリボンIRをロール状に巻装している。リボン巻取軸22は、インクリボンIRを巻き取る軸である。また、ガイド軸23は、リボン保持軸21とリボン巻取軸22との間に懸架されるインクリボンIRを所定の位置へと導くためのガイド部材である。リボン巻取軸22は、ラベル用紙LPを印刷する際に図示しない第2駆動モータによって図中時計回りに回転駆動され、インクリボンIRを巻き取る。
【0018】
なお、印字ヘッド13は、ソレノイド等の図示しない移動機構により上下に移動する。これによって、ラベルプリンタ1では、印字ヘッド13がインクリボンIRおよびラベル用紙LPを介してプラテンローラ12に圧接した状態と、印字ヘッド13がプラテンローラ12から離れた非圧接の状態とを切り替えることが可能となっている。印字ヘッド13は、ラベル用紙LPの印刷を行う際にインクリボンIRを介してプラテンローラ12に圧接される。また、リボン巻取軸22は、印刷が行われる間、ラベル用紙LPの搬送速度に応じた速度でインクリボンIRを巻き取り、印字ヘッド13が上記非圧接の状態になると、巻き取りを停止する。
【0019】
ラベル間検知センサ14は、搬送ローラ11とプラテンローラ12との間のラベル用紙LPの搬送経路に設けられる。ラベル間検知センサ14は、ラベル用紙LPからラベル間の間隙(以下、「ラベルギャップ」ともいう)を検出する。例えば、ラベル間検知センサ14は、発光素子と受光素子とで構成される透過型のセンサによって実現することができる。ラベル間検知センサ14は、ラベル用紙LPの搬送時に受光素子の受光レベルに基づいてラベルギャップを検出する。
【0020】
ラベルプリンタ1は、ラベル間検知センサ14が検出したラベルギャップの位置から、ラベルの位置を割り出し、印字ヘッド13の印刷開始位置にラベルを位置付ける位置調整や印刷タイミングの調整等を行う。
【0021】
印刷が完了したラベル用紙LPは、剥離ガイド15において、台紙とラベルとに分離される。剥離ガイド15は、互いに鋭角で交差する2面を有するV字形状に形成される。剥離ガイド15は、排出口3に向けて搬送されたラベル用紙LPを屈曲させて、台紙とラベルとを剥離する。ラベルが剥離された台紙は、巻取ローラ16に巻き取られる一方、台紙から剥離されたラベルは、筐体2に設けられた排出口3から排出(発行)される。
【0022】
巻取ローラ16は、ラベルが剥離された台紙を巻き取る。巻取ローラ16は、図示しない第3駆動モータによって回転駆動される。例えば、第3駆動モータは、ラベル用紙LPの印刷を行う際に、巻取ローラ16を図中反時計回りに回転させ、ラベルが剥離された台紙(ラベル用紙LP)を巻取ローラ16に巻き取らせる。
【0023】
剥離検知センサ17は、排出口3の近傍に設置され、台紙から剥離されたラベルの有無を検出する。剥離検知センサ17は、例えば、発光素子と受光素子とで構成される透過型のセンサで実現することができる。
【0024】
剥離検知センサ17がラベルを検出すると、ラベルプリンタ1は、ラベル用紙LPの搬送と印刷とを一時停止する。そして、ユーザが、排出口3からラベルを取り除くと、剥離検知センサ17は、ラベルが存在しないことを検出する。ラベルプリンタ1は、剥離検知センサ17でラベルが存在しないことが検出された場合、ラベル用紙LPの搬送と印刷を再開する。
【0025】
具体的には、ラベルプリンタ1は、印刷を再開する場合、剥離が行われたラベルの次のラベルを印字ヘッド13の印刷開始位置まで戻すため、ラベル用紙LPを印刷時の搬送方向とは逆の方向に所定量搬送させる。そして、ラベルプリンタ1は、逆方向への搬送が完了すると、次のラベルの印刷を行い、印刷が完了したラベルを排出口3から発行する。
【0026】
次に、ラベルプリンタ1に対するロール紙RPのセット方法について説明する。
図2は、ロール紙RPをセットする際の第1の状態を示す図である。第1の状態は、ロール紙RPがホルダ30に支持される前の状態である。ラベルプリンタ1の筐体2には、ホルダ30とダンパーローラ40とが設けられている。
【0027】
ホルダ30は、軸部材31と、軸部材31に対してスライド可能に設けられた移動部材32と、を備える。軸部材31は、軸方向の一端が筐体2に取り付けられた片持ち支持構造によって筐体2に取り付けられる。移動部材32は、軸部材31に対してその軸方向にスライド可能に設けられる。また、移動部材32は、軸部材31に対して起倒可能なガイド部材33を備える。なお、ホルダ30の構造の詳細については後述する。
【0028】
ダンパーローラ40は、軸部材31と同様に軸方向の一端が筐体2に取り付けられた片持ち支持構造によって筐体2に取り付けられる。ダンパーローラ40は、ロール紙RPから引き出されたラベル用紙LPを掛けることによって、印刷動作中においてラベル用紙LPに弛みがなくなった瞬間にロール紙RPに加わる衝撃を和らげる。具体的には、ダンパーローラ40は、ラベル用紙LPに弛みがある状態で第1駆動モータが駆動されてラベル用紙LPが搬送される際、当該ラベル用紙LPの弛みがなくなった瞬間にロール紙RPに加わる衝撃を和らげる。
【0029】
ロール紙RPをホルダ30に支持するには、
図2に示すように、ユーザはガイド部材33を軸部材31に対して倒した状態(以下、「倒伏状態」ともいう)とする。すなわち、ユーザはガイド部材33を軸部材31の上面に沿って軸方向に延びた状態とする。
【0030】
次いで、ユーザは、
図2において、ロール紙RPを矢印方向に移動させ、ロール紙RPの軸方向に形成された支持孔H(紙管の孔)に軸部材31およびガイド部材33を挿通させる。これにより、ロール紙RPはホルダ30に支持される。より詳細には、ロール紙RPの紙管の内面が軸部材31上に載置される。このとき、ユーザは、ロール紙RPからラベル用紙LPを引き出して、ダンパーローラ40に掛け渡す。
【0031】
図3は、ロール紙RPをセットする際の第2の状態を示す図である。第2の状態は、上記のようにしてロール紙RPがホルダ30に支持された状態である。第2の状態では、ロール紙RPは、軸部材31の軸方向(ロール紙RPの幅方向)に位置決めされていない。ユーザは、
図3において、ガイド部材33の一端がロール紙RPに当接するまで、ガイド部材33を矢印方向にスライド移動させる。これにより、ガイド部材33は、軸部材31の軸方向において、ロール紙RPの幅に対応した位置に位置決めされる。
【0032】
図4は、ロール紙RPをセットする際の第3の状態を示す図である。第3の状態は、ロール紙RPがホルダ30にセットされた状態である。ガイド部材33が位置決めされた後、ユーザは、ガイド部材33を軸部材31に対して起立した状態(以下、「起立状態」ともいう)にすることによって、ロール紙RPをホルダ30にセットすることができる。ユーザは、ガイド部材33の他端(先端)側を
図4の矢印に示す方向に回動させることにより、ガイド部材33を軸部材31に対して起立させることができる。
【0033】
図4に示す第3の状態では、ホルダ30は、軸部材31がロール紙RPの紙管を支持することによって、当該ロール紙RPを回転可能に支持することができる。また、ホルダ30は、ガイド部材33がロール紙RPの幅方向の端面に当接することによって、当該ロール紙RPが軸方向へ移動しないようガイドすることができる。言い換えれば、ホルダ30は、ロール紙RPを回転可能に支持するとともに、ロール紙RPの軸方向の移動を規制することができる。
【0034】
次に、ホルダ30の構造の詳細について説明する。
図5は、ホルダ30の要部を示す図である。なお、
図5は、ホルダ30の構造を理解しやすくするためにホルダ30の一部を省略した状態を示している。ホルダ30は、軸部材31と、ガイド部材33および調整部材34を備える移動部材32と、コイルバネ35と、を有する。コイルバネ35は、付勢部材の一例である。
【0035】
軸部材31は、上記のとおり、軸方向の一端が筐体2に片持ち支持されている。軸部材31は、軸方向に沿って形成される所定長さの案内孔311を有する。案内孔311は、
図5における上下方向に軸部材31を貫通する。案内孔311には、移動部材32が挿通される。移動部材32は、案内孔311にガイドされて軸部材31の軸方向にスライド可能となっている。
【0036】
移動部材32は、ガイド部材33と調整部材34とを備える。また、移動部材32は、調整部材34に対してガイド部材33を回動可能に軸支する連結軸部321を備える。
【0037】
ガイド部材33は、平板状に形成されている。ガイド部材33は、ロール紙RPがセットされた状態で、軸部材31に対して起立状態となる。ガイド部材33は、起立状態においてロール紙RPと対向する内面側に複数の凹部331を有する。また、ガイド部材33は、起立状態においてロール紙RPと対向しない外面側に平面部を有する。複数の凹部331は、複数のリブ332間に形成される。これにより、ガイド部材33は、強度が確保されるとともに、回転するロール紙RPとの接触面積を低減することでロール紙RPを円滑に回転させることができる。
【0038】
ガイド部材33は、軸部材31に対して起倒可能に設けられる。具体的には、ガイド部材33は、連結軸部321に回動可能に支持されることによって、軸部材31に対して起倒可能となっている。
【0039】
ガイド部材33は、連結軸部321の外周面の約半分に摺接する軸支部333を備える。軸支部333が連結軸部321の外周面を摺動することによって、ガイド部材33は連結軸部321に回動可能に支持される。軸支部333は、ガイド部材33が起立状態にあるときに、連結軸部321と調整部材34に形成された押さえ部3441との間に入り込んで当該押さえ部3441を上方に押圧する押圧部3331を有する。押さえ部3441の詳細については後述する。
【0040】
押圧部3331は、ガイド部材33が倒伏状態にあるときには連結軸部321と押さえ部3441との間に入り込まず、ガイド部材33の起立動作に応じて連結軸部321と押さえ部3441との間に入り込んでいく。押圧部3331の先端部3332は、ガイド部材33の起立動作に応じて連結軸部321と押さえ部3441との間に入り込みやすいように先細形状となっている。
【0041】
調整部材34は、バネ受部341と、柱状部342と、ワッシャ343と、連結部344と、を備える。
【0042】
バネ受部341は、調整部材34の下端部に平板状に形成される。バネ受部341は、コイルバネ35の下端に当接する。柱状部342は、バネ受部341から上方に突出して設けられる。柱状部342は、コイルバネ35の中心部を挿通する。バネ受部341および柱状部342によって付勢部材支持部が構成される。
【0043】
ワッシャ343は、円板状に形成され、中心部に柱状部342が挿通される中心孔が形成される。中心孔の径はコイルバネ35の外径よりも小さく、ワッシャ343の下面はコイルバネ35に当接するようになっている。言い換えれば、コイルバネ35は、バネ受部341とワッシャ343とによって圧縮された状態に保持される。
【0044】
ワッシャ343の上面は軸部材31に当接している。すなわち、ワッシャ343は、コイルバネ35により付勢されて軸部材31に圧接するものである。ワッシャ343は、付勢部材により付勢されて軸部材31に圧接する圧接部の一例である。
【0045】
連結部344は、柱状部342から上方に突出して設けられ、案内孔311を貫通する。連結部344は、上端部に平板状の押さえ部3441を備える。押さえ部3441は、ガイド部材33が倒伏状態のときに、連結軸部321の上部を押さえる。また、押さえ部3441は、ガイド部材33が起立状態のときに、押圧部3331によって押圧されて上方に移動する。
【0046】
ガイド部材33は、連結部344と連結軸部321とによって、調整部材34に対して回動可能に支持される。その結果、ガイド部材33は、連結部344と連結軸部321とによって、軸部材31に対して起倒可能に支持される。連結部344と連結軸部321は、ガイド部材33を起倒可能に支持するガイド部材支持部を構成する。
【0047】
図6は、ガイド部材33が倒伏状態である場合のホルダ30の外観を示す図である。ガイド部材33は、平面状の外面の一部が軸部材31の上面に載置される。ガイド部材33は、軸部材31とともに水平状態に維持されている。ガイド部材33の底面334は、軸部材31の上面と直交する状態となっている。
【0048】
ガイド部材33の幅(軸部材31の軸方向と水平方向に直交する方向の長さ)は、軸部材31の幅と略同じである。ガイド部材33の幅および軸部材31の幅は、ロール紙RPの軸方向に形成された支持孔Hの径よりも小さい。また、ガイド部材33の厚み(軸部材31の軸方向と上下方向に直交する方向の長さ)とガイド部材33の厚みとの合計もロール紙RPの軸方向に形成された支持孔Hの径よりも小さい。したがって、ガイド部材33の倒伏状態において、ガイド部材33および軸部材31は、ロール紙RPの支持孔Hに挿通可能である。
【0049】
図7は、ガイド部材33が起立状態である場合のホルダ30の外観を示す図である。ガイド部材33の底面334は、軸部材31の上面と面接触してガイド部材33の起立状態を維持させている。
【0050】
次に、ガイド部材33の軸部材31に対する起立動作について説明する。
図8は、ホルダ30の動作を説明するための図で、ガイド部材33が倒伏状態を示す図である。この状態では、連結軸部321の下部は、ガイド部材33の軸支部333の円弧状面に当接している。また、連結軸部321の上部は、調整部材34の押さえ部3441に当接している。
【0051】
このとき、ガイド部材33の押圧部3331は、連結軸部321と調整部材34の押さえ部3441との間に入り込んでいない。このため、押圧部3331は、押さえ部3441を上方に押し上げず、バネ受部341も上方に移動しない。この状態でのコイルバネ35のバネ長はLaである。
【0052】
図9は、ホルダ30の動作を説明するための図で、ガイド部材33が倒伏状態から起立状態に移行途中の状態を示す図である。ユーザは、ガイド部材33を起立させる際、ガイド部材33を図中矢印の方向に回動させる。すると、ガイド部材33の軸支部333の外周に形成された円弧状面が軸部材31の上面に摺動する。これにより、ユーザは、円滑にガイド部材33を起立させることができる。
【0053】
ガイド部材33が倒伏状態から起立していくと、押圧部3331の回動方向の先端部3332が連結軸部321と調整部材34の押さえ部3441との間に入り込んでいく。このとき、押さえ部3441の下面は平面状であり、円柱状の連結軸部321の外周面との間に隙間が形成されている。また、押圧部3331の回動方向の先端部3332は先細形状となっている。このため、押圧部3331は、ガイド部材33の起立動作に応じて連結軸部321と押さえ部3441との間に円滑に入り込んでいくことができる。
【0054】
押圧部3331は、連結軸部321と押さえ部3441との間に入り込むことによって、コイルバネ35の付勢力に抗して押さえ部3441を上方に移動させる。ユーザは、ガイド部材33の平面状の底面334が軸部材31の上面と面接触するまでガイド部材33を矢印方向に回動させる。
【0055】
図10は、ホルダ30の動作を説明するための図で、ガイド部材33が起立状態を示す図である。この状態では、互いに平面状であるガイド部材33の底面334と軸部材31の上面とが面接触している。これにより、ガイド部材33は、安定した起立状態を維持することができる。
【0056】
この状態では、ガイド部材33の押圧部3331は、連結軸部321と調整部材34の押さえ部3441との間に入り込んでいる。このため、押圧部3331は、コイルバネ35の付勢力に抗して押さえ部3441を上方に押し上げている。押さえ部3441が押し上げられることによって、押さえ部3441と一体的に構成されているバネ受部341も上方に押し上げられる。これによって、コイルバネ35は、圧縮されてバネ長はLbとなる。
【0057】
図10に示すガイド部材33が起立状態のときのコイルバネ35のバネ長Lbは、
図8に示すガイド部材33が倒伏状態のときのバネ長Laよりも短い。すなわち、コイルバネ35の圧縮量は、ガイド部材33が倒伏状態のときよりもガイド部材33が起立状態のときの方が大きい。
【0058】
このため、ホルダ30は、コイルバネ35の付勢力によるワッシャ343と軸部材31との圧接力を、ガイド部材33が倒伏状態のときより起立状態のときを大きくすることができる。言い換えれば、ホルダ30は、ガイド部材33と調整部材34とから構成される移動部材32の軸部材31に対するスライド移動の制動力を、ガイド部材33が倒伏状態のときより起立状態のときを大きくすることができる。
【0059】
したがって、ユーザがロール紙RPをホルダ30にセットするにあたり、ガイド部材33をロール紙RPの幅に合わせる際の操作力を小さくすることができるので、ホルダ30は、ユーザの操作性を向上させることができる。また、ロール紙RPがセットされた状態では、起立したガイド部材33のスライド移動に対する制動力を大きくできるので、ホルダ30が、ロール紙RPを確実にガイドすることができる。
【0060】
つまり、本実施形態のホルダ30は、1つのコイルバネ35によってガイド部材33のスライド移動に対する制動力を付与するという簡単な構造でありながら、ガイド部材33の倒伏状態では制動力を小さく、起立状態では制動力を大きくすることができる。これにより、ホルダ30は、ユーザの操作性の向上とロール紙RPの確実なガイドとを両立することが可能となる。
【0061】
以上説明したとおり、本実施形態のラベルプリンタ1は、ロール紙RPを回動可能に支持するホルダ30と、ホルダ30から繰り出されたき前記ロール紙RPに印刷を行う印字ヘッド13と、を有するプリンタであって、ホルダ30は、前記ロール紙RPの軸方向に形成された支持孔Hに挿通される軸部材31と、軸部材31に対して前記軸方向にスライド可能に設けられ、前記軸部材に対して起倒可能なガイド部材33を有する移動部材32と、軸部材31と移動部材32とを圧接させて軸部材31に対する移動部材32のスライド移動を規制するコイルバネ35と、コイルバネ35による軸部材31と移動部材32との圧接力を、ガイド部材33の倒伏状態より起立状態で大きくする調整部材34と、を備える。
【0062】
これにより、コイルバネ35によってガイド部材33のスライド移動に対する制動力を付与する構造を採用することで、ラベルプリンタ1は、ホルダ30の構造を簡略化できる。また、ラベルプリンタ1は、ガイド部材33の倒伏状態ではコイルバネ35による制動力を小さく、起立状態では大きくすることができ、ユーザの操作性の向上とロール紙RPの確実なガイドとを両立することが可能となる。
【0063】
また、本実施形態のラベルプリンタ1において、調整部材34は、コイルバネ35を支持する付勢部材支持部(バネ受部341および柱状部342)と、コイルバネ35により付勢されて軸部材31と圧接するワッシャ343と、ガイド部材33を起倒可能に支持するガイド部材支持部(連結部344および連結軸部321)と、を備える。
【0064】
これにより、ラベルプリンタ1は、ガイド部材33を起倒可能に支持する構造およびコイルバネ35を支持する構造を複雑にすることなく、コイルバネ35による制動力をガイド部材33の倒伏状態では小さく、起立状態では大きくすることができる。
【0065】
さらに、本実施形態のラベルプリンタ1において、ガイド部材33は、軸部材31に対する起立動作に応じて、コイルバネ35を圧縮させる方向に調整部材34を押圧する押圧部3331を備える。
【0066】
加えて、本実施形態のラベルプリンタ1において、ガイド部材支持部(連結部344および連結軸部321)は、ガイド部材33を起倒可能に連結する連結軸部321を押さえる押さえ部3441を備え、押圧部3331は、軸部材31に対する起立動作に応じて、連結軸部321と押さえ部3441との間に入り込んで調整部材34を押圧する。
【0067】
これにより、ラベルプリンタ1は、ガイド部材33の起立動作に連動してコイルバネ35による制動力を変化させることができる。
【0068】
また、本実施形態のラベルプリンタ1において、押圧部3331は、連結軸部321と押さえ部3441との間に挿入可能な先細形状の先端部3332が形成されている。
【0069】
これにより、ラベルプリンタ1は、コイルバネ35による制動力を変化させるためのガイド部材33の起立動作を円滑にすることができる。
【0070】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態やその変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
1 ラベルプリンタ(プリンタ)
13 印字ヘッド(印刷部)
30 ホルダ
31 軸部材
32 移動部材
33 ガイド部材
34 調整部材
35 コイルバネ(付勢部材)
321 連結軸部(ガイド部材支持部)
341 バネ受部(付勢部材支持部)
342 柱状部(付勢部材支持部)
344 連結部(ガイド部材支持部)
3331 押圧部
3332 先端部
3441 押さえ部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】