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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006349
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】バスバーモジュール
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/50 20060101AFI20240110BHJP
   H05K 7/06 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
H02K3/50 A
H05K7/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107155
(22)【出願日】2022-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青山 拡立
(72)【発明者】
【氏名】松崎 博和
【テーマコード(参考)】
5H604
【Fターム(参考)】
5H604AA02
5H604AA08
5H604BB01
5H604BB08
5H604BB14
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC11
5H604QB04
5H604QB12
(57)【要約】
【課題】サイズを大きくすることなく、溶接時の熱による絶縁性の低下を防止できるバスバーモジュールを提供する。
【解決手段】
回転電機1と電気部品20との間を電気的に接続するバスバー15を有し、複数のバスバー15が一体に樹脂モールドされるバスバーモジュール10であって、バスバー15は、電気部品20との接続部152を有する基部151と、基部151から回転電機1へと延設すると共に、回転電機1に接続される先端部154を有する延設部153と、から構成され、延設部153の途中部位の周囲をモールドする第1の樹脂部材41と、複数のバスバー15の基部151を一体にモールドすると共に、延設部153及び第1の樹脂部材41の周囲を覆うようにモールドする第2の樹脂部材42と、を備え、第1の樹脂部材41の融点は、第2の樹脂部材42の融点よりも低い。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機と電気部品との間を電気的に接続するバスバーを有し、複数の前記バスバーが一体に樹脂モールドされるバスバーモジュールであって、
前記バスバーは、前記電気部品との接続部を有する基部と、前記基部から前記回転電機へと延設すると共に、前記回転電機に接続される先端部を有する延設部と、から構成され、
前記延設部の途中部位の周囲をモールドする第1の樹脂部材と、
複数の前記バスバーの前記基部を一体にモールドすると共に、前記延設部及び前記第1の樹脂部材の周囲を覆うようにモールドする第2の樹脂部材と、
を備え、
前記第1の樹脂部材の融点は、前記第2の樹脂部材の融点よりも低い、
バスバーモジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のバスバーモジュールであって、
前記第2の樹脂部材は、前記延設部を覆う部位において、上側ケースと下側ケースとにより構成され、
前記上側ケースと前記下側ケースとにより構成される内部空間に、前記延設部及び前記第1の樹脂部材が収容され、
前記上側ケースと前記下側ケースとは、それぞれ側壁を有し、前記側壁同士が幅方向で重なり合うことで、前記内部空間の外側と内側との間にラビリンス構造が構成され、
前記下側ケースの底面には、前記第1の樹脂部材の側方で起立する一対の起立壁を有する、
バスバーモジュール。
【請求項3】
請求項2に記載のバスバーモジュールであって、
前記起立壁は、その上端面が、前記延設部の上面よりも高い位置に位置するように形成される、
バスバーモジュール。
【請求項4】
請求項1に記載のバスバーモジュールであって、
前記延設部は、前記基部に接続される第1の延設部と、前記第1の延設部から上側に屈曲した後、内径方向へと屈曲するクランク部とを有し、前記クランク部の先端に前記先端部が備えられる、
バスバーモジュール。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一つに記載のバスバーモジュールであって、
前記第1の樹脂部材と、前記第1の樹脂部材を覆う前記第2の樹脂部材との間には、間隙が設けられる、
バスバーモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に用いられるバスバーモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機は、パワーモジュールと巻線のコイルエンドとの間の結線を行うためにバスバーが用いられる。バスバーは、複数の相を樹脂製の部材により一体に保持されたバスバーモジュールとして構成されることが一般的である。バスバーモジュールは、パワーモジュール及びコイルエンドのいずれか又は双方に、溶接により接続される。
【0003】
特許文献1には、複数のバスバーが樹脂製の部材により一体に保持され、バスバーの溶接部と樹脂製の封止部材とが遠い距離となるように配置し、溶接時の熱を放熱しやすくすることで、熱による樹脂製の封止部材に影響を与えて絶縁性が低下することを防止する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-034566号公報
【発明の概要】
【0005】
従来技術のように、バスバーモジュールの溶接部と樹脂製の部材との間の距離を大きくする構成では、バスバーモジュールのサイズや重量が大きくなるという問題がある。これに対して、バスバーモジュールを小型化しようとすると、熱による影響により絶縁性が低下するという問題が発生する。
【0006】
そこで、本発明は、サイズを大きくすることなく、溶接時の熱による絶縁性の低下を防止できるバスバーモジュールを提供することを目的とする。
【0007】
本発明のある態様は、回転電機と電気部品との間を電気的に接続するバスバーを有し、複数のバスバーが一体に樹脂モールドされるバスバーモジュールに適用される。バスバーは、電気部品との接続部を有する基部と、基部から回転電機へと延設すると共に、回転電機に接続される先端部を有する延設部と、から構成され、延設部の途中部位の周囲をモールドする第1の樹脂部材と、複数のバスバーの基部を一体にモールドすると共に、延設部及び第1の樹脂部材の周囲を覆うようにモールドする第2の樹脂部材と、を備え、第1の樹脂部材の融点は、第2の樹脂部材の融点よりも低い。
【0008】
本発明によれば、バスバーの延設部の周囲を第1の樹脂でモールドし、その周囲を覆うように第2の樹脂でモールドする構成である。このような構成により、バスバーモジュールのサイズを大きくすることなく、バスバーに溶接が行われた場合に、溶接の熱により融点の低い第1の樹脂が融解することによる融解熱により、溶接の熱が吸収されるので、その周囲を覆う第2の樹脂では、熱による絶縁性の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態のバスバーモジュールを中心とした回転電機のコイルエンド斜視図である。
図2図2は、バスバーモジュールの上面図である。
図3図3は、バスバーモジュールの断面図である。
図4図4は、本実施形態の変形例のバスバーモジュールの断面図である。
図5図5は、本実施形態の変形例のバスバーモジュールの断面図である。
図6図6は、本実施形態の別の変形例のバスバーモジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係るバスバーモジュール10が取り付けられた回転電機1の説明図であり、回転電機1の軸方向の一端側の斜視図である。図2は、バスバーモジュール10を回転電機1の軸方向から見た説明図である。
【0012】
回転電機1は、図示しないステータ及びロータを備え、図1に示すように、ステータの軸方向の端部がコイルエンド11として構成される。コイルエンド11は、回転電機1との間で電力を授受する電気部品であるパワーモジュール20に電気的に接続される。コイルエンド11とパワーモジュール20との間には、これらの間を電気的に接続する複数のバスバー15を有するバスバーモジュール10が備えられる。
【0013】
バスバーモジュール10は、U、V、Wの三相に対応する三つのバスバー15が樹脂モールドにより一体に構成される。それぞれのバスバー15は、一端が回転電機1のコイルエンド11に接続され、他端がパワーモジュール20に接続される。バスバー15は、銅などの導電性の高い金属の平板により構成される。
【0014】
バスバーモジュール10は、円弧状に形成された本体部10aと、本体部10aの内径側に枝状に延設される複数の枝部10bとを有する。本体部10aにおいては、三つのバスバー15が上下方向に積層された状態で、互いに絶縁性を保ったまま樹脂モールドされている。枝部10bの先端からは、バスバー15の先端部154が軸方向に向かって突出するように構成される。図1では省略されているが、本体部10aの外径側には、図2に示すように、バスバー15の接続部152が突出する。
【0015】
コイルエンド11は、銅などの導電性の高い金属の平角線が巻回されて構成される。コイルエンド11には、図2に示すように、軸方向に突設する複数の接続端子111が備えられる。
【0016】
接続端子111は、バスバーモジュール10が回転電機1及びパワーモジュール20に固定された状態で、各バスバー15の先端部154に接するような位置に配置される。先端部154は二股に分岐して軸方向に延設しており、分岐した先端部154のそれぞれ接続端子111が接する。すなわち、一つの先端部154に二つの接続端子111が接する。
【0017】
接続端子111とバスバー15の先端部154とは、溶接によって接続されることで、バスバー15とコイルエンド11とが電気的に接続される。
【0018】
パワーモジュール20は三相の端子を有する端子台21を備える。端子台21にはボルト穴211が形成される。図2に示すように、バスバー15の外径側には、三つの接続部152が突設する。接続部152にはボルト穴152aが形成されている。
【0019】
バスバーモジュール10を回転電機1に固定する際に、接続部152をそれぞれ端子台21にボルト留めにより固定することで、バスバー15とパワーモジュール20の端子第21とが電気的に接続される。
【0020】
図2に示すように、バスバーモジュール10は、円弧状に形成された本体部10aと、本体部10aの内径側に枝状に延設される複数の枝部10bとを有する。
【0021】
バスバー15は、円弧状に形成された基部151と、基部151の外径側からパワーモジュール20側に延設される接続部152と、基部151の内径側から回転電機1のコイルエンド11側に延設される延設部153と、延設部153の先端に形成される先端部154と、を有する。バスバーモジュール10は、その全体が樹脂モールドされ、接続部152と先端部154とが、バスバーモジュール10の樹脂モールドから露出する。本実施形態では、U、V、Wの三相に対応する三つのバスバー(15U、15V、15W)が、本体部10aにおいて上下方向にその一部が積層された状態で、互いに絶縁性を保ったまま、樹脂モールドされる。
【0022】
各バスバー15の基部151は、一つの接続部152と二つの延設部153とを有する。このような構成により、バスバーモジュール10は、パワーモジュール20の三つの相を、コイルエンド11に配置された六つの相に電気的に接続する。
【0023】
バスバーモジュール10が回転電機1に対して固定された状態で、バスバー15の先端部154が、その内径側で回転電機1のコイルエンド11から軸方向に突設する接続端子111に接する。先端部154と接続端子111とは、電気溶接やレーザ溶接等による溶接により接続される。
【0024】
次に、このように構成されたバスバーモジュール10の先端部154とコイルエンド11の接続端子111との溶接について説明する。
【0025】
先端部154と接続端子111とを溶接する際に、溶接による発生する熱がバスバー15に加わる。バスバー15は熱伝導性が高い金属により構成されるので、溶接の熱がバスバー15の先端部154から、延設部153を経由して基部151へと伝達する。
【0026】
延設部153及び基部151は、その周囲が樹脂モールドされている。そのため、バスバー15に伝達した熱が、樹脂モールドの融点を上回る場合は、樹脂モールドが融解する。このような場合には、バスバー15同士やバスバー15と樹脂モールドの外部との間に空隙が発生するなどして、バスバーモジュール10の絶縁性に問題が発生する可能性がある。
【0027】
このことを抑制するため、熱が加わるバスバーの先端部を樹脂モールド部分から離間させるように延長させて構成することもできる。しかし、このように構成した場合には、バスバーが大きくなり、コイルエンドとパワーモジュールとの距離を大きく構成する必要があり、回転電機が大型化するという問題が新たに発生する。
【0028】
そこで本実施形態では、次に説明するような構成により、バスバーモジュール10の絶縁性を確保できるよう構成した。
【0029】
図3は、バスバーモジュール10の枝部10bの縦断面図であり、図2のIII-III断面図を示す。
【0030】
バスバーモジュール10の枝部10bにおいては、外径から内径に向かって、バスバー15の基部151から突設する延設部153と、延設部153から軸方向に突設する先端部154とが設けられている。
【0031】
延設部153の途中部位A(基部151から位置aまでの間)の周囲は、第1の樹脂部材41により樹脂モールドされる。そして、延設部153の途中部位Aでは、第1の樹脂部材41のさらに周囲を覆うように、第1の樹脂部材41とは若干の隙間をもって、第2の樹脂部材42により樹脂モールドされる。第2の樹脂部材42は、基部151の周囲において、複数のバスバー15が上下方向に積層された状態で、一体に樹脂モールドするように構成されている。
【0032】
延設部153の位置aにおいては、第2の樹脂部材42は延設部153が突出する挿通口42aを有する。この挿通口42aにおいては、延設部153の表面と挿通口42aとの間に、若干の隙間が形成される。
【0033】
第1の樹脂部材41及び第2の樹脂部材42は、絶縁性の熱硬化性樹脂等により構成される。第1の樹脂部材41及び第2の樹脂部材42は、耐熱温度を超えた場合に融解するが、第1の樹脂部材41の融点は、第2の樹脂部材42の融点よりも低い材料で構成される。
【0034】
延設部153は、位置aよりも先端側では樹脂モールドされていない。そして、延設部153から上側に延設する先端部154には、その内径側でコイルエンド11から延設する接続端子111が接する。
【0035】
バスバー15の先端部154と接続端子111とを溶接する際に、先端部154に溶接による熱が加わる。この熱は、先端部154から延設部153を介して基部151へと伝達する。
【0036】
延設部153の周囲には第1の樹脂部材41が配置されているので、延設部153に伝達した熱が第1の樹脂部材41へと伝達し、第1の樹脂部材41の耐熱温度を超えたとき第1の樹脂部材41が融解する。このときの融解熱により、延設部153に伝達した熱が奪われ、延設部153の温度が低下する。
【0037】
さらに、第1の樹脂部材41を覆う第2の樹脂部材42は第1の樹脂部材41よりも融点が高いので、第1の樹脂部材41が融解する温度では、その周囲を覆う第2の樹脂部材42が融解することが防止される。
【0038】
また、第1の樹脂部材41の融解により延設部153の温度が低下することで、延設部153から基部151へと伝達する熱も低下し、基部151の周囲を覆う第2の樹脂部材42についても、融解することが防止される。
【0039】
なお、熱により第1の樹脂部材41が融解した場合に、その体積が膨張するが、第1の樹脂部材41と第2の樹脂部材42との間には間隙を有するので、体積変化を吸収することができる。これにより、融解した第1の樹脂部材41が第2の樹脂部材42の外部に漏出することが防止できる。
【0040】
このような構成により、先端部154と接続端子111との溶接により発生する熱が、延設部153に伝達した際に、第1の樹脂部材41を融解させることで低下する。これにより、延設部153における第1の樹脂部材41の周囲と、基部151の周囲とを覆う第2の樹脂部材42が融解することが防止されるので、バスバーモジュール10の絶縁性に影響を及ぼすことが防止される。
【0041】
なお、融解した第1の樹脂部材41は、溶接の終了後、温度が低下することで再び凝固し、延設部153の周囲を覆う樹脂モールドとなり得る。
【0042】
以上説明したように、本実施形態のバスバーモジュール10は、回転電機1と電気部品であるパワーモジュール20との間を電気的に接続するバスバー15を有し、複数のバスバー15が一体に樹脂モールドされて構成される。バスバー15は、パワーモジュール20との接続部152を有する基部151と、基部151から回転電機1のコイルエンド11へと延設すると共に、コイルエンド11に接続される先端部154を有する延設部153と、から構成される。このバスバーモジュール10は、延設部153の途中部位Aの周囲をモールドする第1の樹脂部材41と、複数のバスバー15の基部151を一体にモールドすると共に、延設部153及び第1の樹脂部材41の周囲を覆うようにモールドする第2の樹脂部材42と、を備える。第1の樹脂部材41の融点は、第2の樹脂部材42の融点よりも低い。
【0043】
この構成では、バスバーモジュール10のサイズを大きくすることなく、バスバー15の先端部154に溶接が行われた場合に、溶接の熱により、延設部153の周囲で融点が低い第1の樹脂部材41が融解することによる融解熱により、延設部153での溶接の熱が吸収されるので、その周囲を覆う第2の樹脂部材42及び基部151には、熱による影響が抑制される。
【0044】
また、本実施形態では、第1の樹脂部材41と、第1の樹脂部材41を覆う第2の樹脂部材42との間には、間隙が設けられる。この構成では、熱により第1の樹脂部材41が融解してその体積が膨張した場合にも、この間隙により体積変化を吸収することができ、融解した第1の樹脂部材41が第2の樹脂部材42の外部に漏出することが防止できる。
【0045】
次に、本実施形態の変形例について説明する。
【0046】
図4は、本実施形態の変形例のバスバーモジュール10の枝部10bの横断面図であり、図2のIV-IV断面図を示す。図4に示す構成は、図3に示す構成の変形例である。
【0047】
図4に示すように、延設部153の周囲には、第1の樹脂部材41が樹脂モールドされている。その周囲は、第2の樹脂部材42により覆われている。
【0048】
第2の樹脂部材42は、延設部153を覆う部位において、上側ケース421と下側ケース422とにより構成される。上側ケース421は、天板部421aと、一組の側壁421bとを有する。下側ケース422は、底部422aと、一組の側壁422bと、底部422aの底面から起立する一組の起立壁422cと、を有する。
【0049】
上側ケース421と下側ケース422とにより内部空間Bが構成される。より具体的には、第2の樹脂部材42と一体に形成された下側ケース422に、第1の樹脂部材41が樹脂モールドされた延設部153を配置し、その上部から上側ケース421を覆い被さるように取り付ける。これにより、延設部153が、上側ケース421と下側ケース422とにより構成される内部空間Bに収容される。
【0050】
上側ケース421の側壁421bは、下側ケース422の側壁422bよりも外側に、若干の隙間を有して、幅方向で重なり合うように配置される。側壁421bと側壁422bとの間には形成される隙間により、内部空間Bの外側と内側との間にラビリンス構造が構成される。
【0051】
下側ケース422の底面に起立する一対の起立壁422cは、第1の樹脂部材41の側方に配置される。
【0052】
図4に示す変形例では、このような構成により、溶接時に、延設部153に伝達した熱により第1の樹脂部材41が融解した際に、第1の樹脂部材41の側方に配置された起立壁422cにより、融解した第1の樹脂部材41を受け止めて、延設部153の周囲を覆ったままにすることができる。
【0053】
さらに、内部空間Bは、外部との間でラビリンス構造を有するので、融解して体積が膨張した第1の樹脂部材41が、起立壁422cを乗り越えた場合に、ラビリンス構造の微細な間隙に入り込むことで、内部空間Bのから外側に漏出することが防止される。
【0054】
なお、融解した第1の樹脂部材41を延設部153の周囲に留めておくために、図5に示すように、起立壁422cの上端面が、延設部153の上面よりも高い位置に位置するように形成されることがより望ましい。
【0055】
図6は、本実施形態の別の変形例のバスバーモジュール10の枝部10bの縦断面図であり、図2のIII-III断面図を示す。図6に示す構成は、図3に示す構成の変形例である。
【0056】
図6に示す変形例では、バスバー15の延設部153が、基部151に接続される第1の延設部153aと、第1の延設部153aから上側に屈曲した後、回転電機1の内径方向に屈曲するクランク部153bとを有する。クランク部153bの先端に先端部154が備えられる。
【0057】
第1の延設部153a及びクランク部153bの周囲には、第1の樹脂部材41が樹脂モールディングされる。なお、第1の延設部153aは、前述の図3で示す構成と比較して、枝部10bの低い位置(回転電機1の軸方向で、よりコイルエンド11側)に配置される。
【0058】
図6に示す変形例では、第2の樹脂部材42で囲まれる空間のより低い位置に第1の延設部153aが配置されることで、溶接時に、第1の延設部153aが、液状となり空間の底部へと流れ落ちる第1の樹脂部材41に常に覆われる状態とすることができる。これにより、より長く融解熱を第1の樹脂部材41へと伝えるので、第1の延設部153aの温度をより低下させることができる。さらに、このように構成することにより、図4に示すような仕切壁を形成することなく融解した第1の樹脂部材41を延設部153の周囲に留まらせることができる。
【0059】
なお、延設部153の途中部位Aでは、第1の樹脂部材41の周囲を覆うように、第1の樹脂部材41とは若干の隙間をもって、第2の樹脂部材42により樹脂モールドされる。このような構成により、図3で前述したように、熱により第1の樹脂部材41が融解した場合に、その体積が膨張するが、これらの間に間隙を有することで、体積変化を吸収することができる。これにより、融解した第1の樹脂部材41が第2の樹脂部材42の外部に漏出することが防止できる。
【0060】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態及び各変形例で説明した構成は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を限定する趣旨ではない。
【0061】
上述した実施形態では、先端部154と接続端子111とを溶接により接続する構成を説明したが、これに限られず、先端部154と接続端子111とが、ろう付けや半田付けにより接続されるものであってもよい。
【0062】
また、本実施形態では、バスバーモジュール10を三相に対応する三つのバスバー15を備えて構成したが、回転電機1のコイルエンド11の構成に対応して、さらに多くの相のバスバー15を備えるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0063】
1:回転電機、10:バスバーモジュール、11:コイルエンド、15:バスバー、20:パワーモジュール、41:第1の樹脂部材、42:第2の樹脂部材、111:接続端子、151:基部、152:接続部、153:延設部、153a:第1の延設部、153b:クランク部、154:先端部、421:上側ケース、421b:側壁、422:下側ケース、422b:側壁、422c:起立壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6