(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063501
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】着脱装置
(51)【国際特許分類】
B25J 13/08 20060101AFI20240502BHJP
B23Q 7/04 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
B25J13/08 Z
B23Q7/04 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171512
(22)【出願日】2022-10-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2022年6月30日(木)~2022年7月2日(土)にROBOT TECHNOLOGY JAPAN 2022にて公開。
(71)【出願人】
【識別番号】391003668
【氏名又は名称】トーヨーエイテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 省二
(72)【発明者】
【氏名】坊田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】高田 昌明
(72)【発明者】
【氏名】井口 雄貴
【テーマコード(参考)】
3C033
3C707
【Fターム(参考)】
3C033HH05
3C033HH30
3C707AS05
3C707KS03
3C707KS17
3C707KS31
3C707KV20
3C707KX19
3C707LT12
(57)【要約】
【課題】加工機に対する被着脱具の着脱位置のずれを抑制する。
【解決手段】ワーク着脱装置1は、ワークWを加工機2に着脱するロボットアーム10と、ロボットアームに対するワークの保持位置Prを測定する位置センサ20と、ロボットアームを制御するコントローラ30と、を備える。コントローラは、ワークを加工機に着脱するときの加工機に対するロボットアームの到達位置Qrを、基準到達位置Qr1として記憶する。コントローラは、ロボットアームに対するワークの保持位置を、基準到達位置に対応する基準保持位置Pr1として記憶する。コントローラは、位置センサにより測定されるロボットアームに対するワークの実保持位置Pr2が基準保持位置からずれる場合、ワークを加工機に着脱するときの加工機に対するロボットアームの実到達位置Qr2を、実保持位置と基準保持位置との差分Hに基づいて、基準到達位置から補正する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク及び工具の少なくとも一方である被着脱具を加工機に着脱するロボットアームと、
前記ロボットアームに対する前記被着脱具の保持位置を測定する位置センサと、
前記ロボットアームを制御するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、前記被着脱具を前記加工機に着脱するときの前記加工機に対する前記ロボットアームの到達位置を、基準到達位置として、記憶しており、
前記コントローラは、前記ロボットアームに対する前記被着脱具の前記保持位置を、前記基準到達位置に対応する基準保持位置として、記憶しており、
前記コントローラは、前記位置センサにより測定される前記ロボットアームに対する前記被着脱具の実際の前記保持位置である実保持位置が前記基準保持位置からずれる場合、前記被着脱具を前記加工機に着脱するときの前記加工機に対する前記ロボットアームの実際の前記到達位置である実到達位置を、前記実保持位置と前記基準保持位置との差分に基づいて、前記基準到達位置から補正する、着脱装置。
【請求項2】
請求項1に記載の着脱装置であって、
前記被着脱具は、円柱状又は円筒状であり、
前記位置センサは、接触式センサであって、前記被着脱具の外径及び内径の少なくとも一方である被検知径との接触を検知しており、
前記保持位置は、前記位置センサが前記被検知径の径方向一方側に接触したときの前記ロボットアームの絶対位置と、前記位置センサが前記被検知径の径方向他方側に接触したときの前記ロボットアームの絶対位置と、の中間位置から得られる、着脱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、着脱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークを加工機に着脱するためのロボットアームを備えるワーク着脱装置が、知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
この種のワーク着脱装置は、これまで作業者により手動で行われてきた加工機に対するワークの着脱作業を、ロボットアームによって自動で行うことができるので、省人化や生産効率の観点で有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ロボットアームを用いたワーク着脱装置では、ユーザは、加工機の停止中に、ワークを加工機に着脱するときの加工機に対するロボットアームの到達位置を、基準到達位置としてコントローラに教示する。
【0006】
ロボットアームは、加工機の稼働中、加工機の停止中に教示された基準到達位置に基づいて、自動的に加工機に到達して、ワークを加工機に着脱する。具体的には、ロボットアームは、保持したワークを加工機に取り付けたり、反対にワークを加工機から取り外したりする。
【0007】
しかしながら、気温の変化、ロボットアームのハンドの取付誤差、又は当該ハンドの摩耗などに起因して、ロボットアームに対するワークの保持位置が、当初の位置から変化してしまうことがある。この場合、加工機の停止中に教示された基準到達位置に基づいてロボットアームを加工機に到達させたとしても、ロボットアームに対するワークの保持位置の変化に起因して、加工機に対するワークの着脱位置がずれてしまう。
【0008】
上記課題は、工具を加工機に着脱するためのロボットアームを備える工具着脱装置にも、当てはまる。
【0009】
本開示は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ロボットアームを用いた着脱装置において、加工機に対する被着脱具の着脱位置のずれを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示に係る着脱装置は、ワーク及び工具の少なくとも一方である被着脱具を加工機に着脱するロボットアームと、前記ロボットアームに対する前記被着脱具の保持位置を測定する位置センサと、前記ロボットアームを制御するコントローラと、を備え、前記コントローラは、前記被着脱具を前記加工機に着脱するときの前記加工機に対する前記ロボットアームの到達位置を、基準到達位置として、記憶しており、前記コントローラは、前記ロボットアームに対する前記被着脱具の前記保持位置を、前記基準到達位置に対応する基準保持位置として、記憶しており、前記コントローラは、前記位置センサにより測定される前記ロボットアームに対する前記被着脱具の実際の前記保持位置である実保持位置が前記基準保持位置からずれる場合、前記被着脱具を前記加工機に着脱するときの前記加工機に対する前記ロボットアームの実際の前記到達位置である実到達位置を、前記実保持位置と前記基準保持位置との差分に基づいて、前記基準到達位置から補正する。
【0011】
位置センサにより測定されるロボットアームに対する被着脱具の実保持位置が、基準保持位置からずれる場合、何も策を講じなければ、すなわち加工機に対するロボットアームの実到達位置が、基準到達位置と同じままであれば、加工機に対する被着脱具の着脱位置がずれてしまう。
【0012】
かかる構成によれば、位置センサにより測定されるロボットアームに対する被着脱具の実保持位置が、基準保持位置からずれる場合、加工機に対するロボットアームの実到達位置を、実保持位置と基準保持位置との差分に基づいて、基準到達位置から補正する。
【0013】
換言すると、ロボットアームによる被着脱具の実保持位置の基準保持位置に対するずれ量、すなわち加工機に対する被着脱具の着脱位置のずれ量を、加工機へのロボットアームの実到達位置を基準到達位置に対してずらすことによって、緩和する。
【0014】
このように、ロボットアームを用いた着脱装置において、加工機に対する被着脱具の着脱位置のずれを抑制することができる。
【0015】
一実施形態では、前記被着脱具は、円柱状又は円筒状であり、前記位置センサは、接触式センサであって、前記被着脱具の外径及び内径の少なくとも一方である被検知径との接触を検知しており、前記保持位置は、前記位置センサが前記被検知径の径方向一方側に接触したときの前記ロボットアームの絶対位置と、前記位置センサが前記被検知径の径方向他方側に接触したときの前記ロボットアームの絶対位置と、の中間位置から得られる。
【0016】
かかる構成によれば、ロボットアームに対する被着脱具の保持位置の基準を、被着脱具の中心軸に一致させることができるので、ロボットアームの制御を簡易にすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、ロボットアームを用いた着脱装置において、加工機に対する被着脱具の着脱位置のずれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、ワーク着脱装置を示す(基準到達位置の教示)。
【
図2】
図2は、ワーク着脱装置を示す(基準保持位置の教示)。
【
図3】
図3は、ワーク着脱装置を示す(実保持位置の測定)。
【
図4】
図4は、ワーク着脱装置を示す(実到達位置の補正)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物あるいはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0020】
(ワーク着脱装置の構成)
図1,2は、着脱装置としてのワーク着脱装置1を示す。詳細は後述するが、
図1は、被着脱具としてのワークWが内面研削盤2側に位置する状態を示し、
図2は、ワークWが位置センサ20側に位置する状態を示す。
【0021】
図1に示すように、ワーク着脱装置1は、加工機(工作機械)としての内面研削盤2に適用されている。ワークWは、円筒状である。内面研削盤2は、チャック機構2aと、砥石2bと、スピンドル2cと、を備える。チャック機構2aは、ワークWをチャックする。砥石2bは、スピンドル2cに回転一体に取り付けられている。内面研削盤2は、砥石2bが取り付けられたスピンドル2cを回転させることによって、チャック機構2aにチャックされたワークWの内周面(内径)を、研削する。内面研削盤2は、ベース3に固定されている。
【0022】
ワーク着脱装置1は、ロボットアーム10と、位置センサ20と、コントローラ30と、を備える。ロボットアーム10は、ワークWを、内面研削盤2のチャック機構2aに着脱する。具体的には、ロボットアーム10は、保持したワークWを内面研削盤2のチャック機構2aに取り付けたり、反対にワークWを内面研削盤2のチャック機構2aから取り外したりする。ロボットアーム10は、ワークWを、内面研削盤2と位置センサ20との間で移動させる。
【0023】
ロボットアーム10は、ボディ部11と、アーム部12と、ハンド部13と、を含む。ボディ部11は、ベース3に固定されている。アーム部12は、多関節構造であり、互いに関節式且つ直列に連結された複数の部材で構成されている。アーム部12の基端部は、ボディ部11に関節式で固定されている。ハンド部13は、アーム部12の先端部に固定されている。ハンド部13は、ロボットアーム10の先端部を構成する。ロボットアーム10のハンド部13は、ワークWを保持する。
【0024】
位置センサ20は、接触式センサである。具体的には、位置センサ20は、タッチプローブセンサである。位置センサ20は、保持部材4を介してベース3に固定されている。位置センサ20は、ロボットアーム10(特にボディ部11)よりも内面研削盤2から離れた位置にある。
【0025】
図2に示すように、位置センサ20は、ロボットアーム10のハンド部13に対するワークWの径方向Rにおける保持位置Prを、測定する。位置センサ20は、円筒状のワークWの内径dを、被検知径とする。位置センサ20は、円筒状のワークWの内径dとの接触を検知する。
【0026】
ロボットアーム10に対するワークWの径方向Rにおける保持位置Prは、位置センサ20がワークWの内径dの径方向Rの一方側d1に接触したときのロボットアーム10のハンド部13の第1絶対位置R1と、位置センサ20がワークWの内径dの径方向Rの他方側d2に接触したときのロボットアーム10のハンド部13の第2絶対位置R2と、の中間位置R0から得られる。中間位置R0は、ワークWの中心軸に一致する。径方向Rにおける保持位置Prは、ロボットアーム10のハンド部13に対するワークWの中心軸の相対位置である。
【0027】
ロボットアーム10のハンド部13の絶対位置R1,R2は、例えば、ロボットアーム10に内蔵された位置センサ(図示せず)によって、測定される。ロボットアーム10のハンド部13の絶対位置R1,R2は、例えば、アーム部12の送り量などから得られる。
【0028】
なお、径方向Rは、
図1における左右方向で例示されているが、
図1における紙面垂直方向でもよいし、
図1における左右方向と紙面垂直方向との間の方向でもよいし、
図1における左右方向及び紙面垂直方向の両方でもよい。なお、実際のところ、
図1における左右方向を第1径方向、
図1における紙面垂直方向を第2径方向として、第1径方向及び第2径方向の両方について、測定及び制御がなされることが好ましい。
【0029】
また、軸方向Zについても、測定及び制御がなされることが好ましい。詳細に図示しないが、ワークWの軸方向Zにおける保持位置は、位置センサ20がワークWの軸方向Zの端面Waに接触したときのロボットアーム10のハンド部13の絶対位置から、得られてもよい。
【0030】
コントローラ30は、マイコン及びプログラム等で構成されており、ロボットアーム操作ボックスなどと呼ばれる。コントローラ30は、ロボットアーム10に接続されている。コントローラ30は、ロボットアーム10を制御する。
【0031】
(ワーク着脱装置の制御)
以下、ワーク着脱装置1の制御について、
図1~4を参照しながら説明する。また、制御方向として、半径方向Rを例示する。
【0032】
先ず、
図1に示すように、コントローラ30は、ワークWを内面研削盤2(具体的にはチャック機構2a、以下同じ)に着脱するときの内面研削盤2に対するロボットアーム10(具体的にはハンド部13、以下同じ)の到達位置Qrを、基準到達位置Qr1として、記憶する。到達位置Qrは、内面研削盤2のチャック機構2aに対するロボットアーム10のハンド部13の相対位置である。到達位置Qrは、保持位置Prの場合と同様に、ロボットアーム10の絶対位置から得られる。
【0033】
基準到達位置Qr1は、ユーザによって、コントローラ30に対して教示される。基準到達位置Qr1の教示は、内面研削盤2の停止中に行われる。コントローラ30は、ユーザにより教示された基準到達位置Qr1を、記憶する。
【0034】
次に、
図2に示すように、コントローラ30は、ロボットアーム10に対するワークWの保持位置Prを、基準保持位置Pr1として、記憶する。基準保持位置Pr1は、基準到達位置Qr1に対応する。保持位置Prは、上述したように、中間位置R0から得られる(
図2参照)。
【0035】
基準保持位置Pr1は、ユーザによって、コントローラ30に対して教示される。基準保持位置Pr1の教示は、内面研削盤2の停止中に行われる。コントローラ30は、ユーザにより教示された基準保持位置Pr1を、記憶する。以上で、内面研削盤2の稼働準備が完了する。
【0036】
次に、内面研削盤2を稼働する。
図3に示すように、内面研削盤2の稼働中、位置センサ20は、ロボットアーム10に対するワークWの実際の保持位置Prである実保持位置Pr2を、測定する。
【0037】
位置センサ20による実保持位置Pr2の測定は、内面研削盤2によるワークWの加工前、又は内面研削盤2によるワークWの加工後、に行われる。換言すると、位置センサ20による実保持位置Pr2の測定は、複数のワークWの加工サイクルの中で、内面研削盤2に対してワークWを入れ替える途中で行われる。
【0038】
図4に示すように、コントローラ30は、位置センサ20により測定されるロボットアーム10に対するワークWの実保持位置Pr2が基準保持位置Pr1からずれる場合(
図3参照)、ワークWを内面研削盤2に着脱するときの内面研削盤2に対するロボットアーム10の実際の到達位置Qrである実到達位置Qr2を、実保持位置Pr2と基準保持位置Pr1との差分Hに基づいて、基準到達位置Qr1から補正する。
【0039】
例えば、コントローラ30は、実保持位置Pr2が基準保持位置Pr1に対してH[μm]ずれた場合、実到達位置Qr2を基準到達位置Qr1に対してH[μm]ずらす(補正する)。なお、実到達位置Qr2を基準到達位置Qr1に対してH[μm]ぴったりにずらす必要はなく、多少差異があってもよい。
【0040】
(作用効果)
位置センサ20により測定されるロボットアーム10に対するワークWの実保持位置Pr2が、基準保持位置Pr1からずれる場合、何も策を講じなければ、すなわち内面研削盤2に対するロボットアーム10の実到達位置Qr2が、基準到達位置Qr1と同じままであれば、内面研削盤2に対するワークWの着脱位置がずれてしまう。
【0041】
内面研削盤2に対するワークWの着脱位置がずれると、ワークWを内面研削盤2に上手く着脱できなくなるので、再び内面研削盤2を停止して、ユーザによるコントローラ30に対する基準保持位置Pr1及び基準到達位置Qr1の再教示を行う必要がある。
【0042】
基準保持位置Pr1及び基準到達位置Qr1の再教示は、その時間に内面研削盤2によるワークWの加工ができないので、生産効率の観点で非効率である。また、基準保持位置Pr1及び基準到達位置Qr1の再教示は、ユーザにより行われる必要があるので、ユーザの負担が大きい。
【0043】
本実施形態によれば、位置センサ20により測定されるロボットアーム10に対するワークWの実保持位置Pr2が、基準保持位置Pr1からずれる場合、内面研削盤2に対するロボットアーム10の実到達位置Qr2を、実保持位置Pr2と基準保持位置Pr1との差分Hに基づいて、基準到達位置Qr1から補正する。
【0044】
換言すると、ロボットアーム10によるワークWの実保持位置Pr2の基準保持位置Pr1に対するずれ量、すなわち内面研削盤2に対するワークWの着脱位置のずれ量を、内面研削盤2へのロボットアーム10の実到達位置Qr2を基準到達位置Qr1に対してずらすことによって、緩和する。
【0045】
このように、ロボットアーム10を用いたワーク着脱装置1において、内面研削盤2に対するワークWの着脱位置のずれを抑制することができる。
【0046】
これにより、基準保持位置Pr1及び基準到達位置Qr1の再教示を極力行わなくて済むようになるので、内面研削盤2によるワークWの加工時間を長くして生産効率を向上させることができるとともに、ユーザによる再教示の負担を低減することができる。
【0047】
気温の変化、ロボットアーム10のハンド部13の取付誤差、又はハンド部13の摩耗などに起因して、ロボットアーム10に対するワークWの保持位置Prが当初の位置から変化した場合に、特に有効である。
【0048】
また、複数の種類のワークWを加工する場合において、ロボットアーム10のハンド部13に対して、互いに径の異なるワークWを前後で入れ替える場合(段替えの場合)にも、有効である。
【0049】
本実施形態では、ロボットアーム10に対するワークWの保持位置Prを、ワークWの内径dの一方側d1と他方側d2との中間に、設定している。これにより、ロボットアーム10に対するワークWの保持位置Prの基準を、ワークWの中心軸に一致させることができるので、ロボットアーム10の制御を簡易にすることができる。
【0050】
位置センサ20が、ロボットアーム10よりも内面研削盤2から離れた位置にあるので、内面研削盤2がワークWを加工した際に生じる切粉等は、位置センサ20に当たりにくくなる。このため、位置センサ20の測定精度を高める上で有利に働く可能性がある。
【0051】
(その他の実施形態)
以上、本開示を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
【0052】
位置センサ20は、ワークWの外径Dを、被検知径としてもよい。すなわち、位置センサ20は、ワークWの外径Dとの接触を検知してもよい。また、位置センサ20は、ワークWの内径d及び外径Dの両方を、被検知径としてもよい。
【0053】
基準到達位置Qr1の教示及び基準保持位置Pr1の教示は、内面研削盤2の稼働中に行われてもよい。
【0054】
ワークWは、円筒状に限定されず、円柱状でもよい。ワークWは、多角形状でもよい。ワークWは、その他の種々の形状が適用され得る。
【0055】
位置センサ20は、ロボットアーム10よりも内面研削盤2の近くに位置してもよい。この場合、位置センサ20は、内面研削盤2によりワークWを加工する際の熱影響をも考慮することによって、高い測定精度を得ることができる可能性がある。
【0056】
位置センサ20は、タッチプローブセンサに限定されず、その他の接触式センサでもよい。また、位置センサ20は、非接触式センサでもよい。
【0057】
軸方向ZにおけるワークWの測定位置は、1箇所でもよい。ワークWの位置を3箇所以上測定することによって、ワークWの傾きを、測定、計算、補正してもよい。
【0058】
加工機2は、内面研削盤に限定されず、外面研削盤でもよい。加工機2は、旋盤でもよい。加工機2は、フライス盤でもよい。加工機2は、その他の種々の工作機械が適用され得る。
【0059】
本開示は、工具(図示せず)を加工機2に着脱するためのロボットアーム10を備える工具着脱装置にも、適用され得る。この場合、被着脱具は、工具である。すなわち、被着脱具は、ワーク及び工具の少なくとも一方であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本開示は、着脱装置に適用できるので、極めて有用であり、産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0061】
W ワーク(被着脱具)
R 径方向
Pr 保持位置
Pr1 基準保持位置
Pr2 実保持位置
Qr 到達位置
Qr1 基準到達位置
Qr2 実到達位置
R0 中間位置
R1 第1絶対位置
R2 第2絶対位置
d 内径(被検知径)
d1 一方側
d2 他方側
D 外径(被検知径)
H 差分
1 ワーク着脱装置(着脱装置)
2 内面研削盤(加工機)
10 ロボットアーム
20 位置センサ
30 コントローラ