(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063502
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】基板処理装置および搬送方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20240502BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240502BHJP
H01L 21/306 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/304 642A
H01L21/304 648C
H01L21/304 648H
H01L21/306 K
H01L21/306 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171514
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】二木 哲也
【テーマコード(参考)】
5F043
5F131
5F157
【Fターム(参考)】
5F043EE02
5F043EE35
5F043EE36
5F131AA02
5F131AA03
5F131BA18
5F131BA37
5F131CA35
5F131DA02
5F131DA22
5F131DB00
5F131DD01
5F131DD13
5F131DD27
5F131DD33
5F131DD74
5F131DD82
5F157AB03
5F157AB13
5F157AB34
5F157AB48
5F157AB51
5F157AB62
5F157AC04
5F157AC56
5F157BB02
5F157DB45
(57)【要約】
【課題】後続ワークが先行ワークを追い越すことができる技術を提供する。
【解決手段】基板処理装置100は、複数の処理ユニット10と、複数の搬送ユニット20とを備える。複数の処理ユニット10は1列に配列される。複数の処理ユニット10はワークに対して所定処理を行う第1処理ユニットを含む。複数の搬送ユニット20は複数の処理ユニット10の配列方向に平行な共通ライン上を移動し、ワークを複数の処理ユニットの各々に搬送する。複数の搬送ユニット20は、待機搬送ユニットと、待機搬送ユニットに対して搬送方向の上流側に位置する上流搬送ユニットとを含み、上流搬送ユニットは、待機搬送ユニットが、未だ所定処理を受けていない先行ワークを保持した状態で、先行ワークの次の後続ワークを第1処理ユニットに搬送する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに対して所定処理を行う第1処理ユニットを含み、1列に配列された複数の処理ユニットと、
前記複数の処理ユニットの配列方向に平行な共通ライン上を移動し、ワークを前記複数の処理ユニットの各々に搬送する複数の搬送ユニットと
を備え、
前記複数の搬送ユニットは、待機搬送ユニットと、前記待機搬送ユニットに対して搬送方向の上流側に位置する上流搬送ユニットとを含み、
前記上流搬送ユニットは、前記待機搬送ユニットが、未だ前記所定処理を受けていない先行ワークを保持した状態で、前記先行ワークの次の後続ワークを前記第1処理ユニットに搬送する、基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置であって、
前記複数の処理ユニットは、ワークに対して前記所定処理を行う第2処理ユニットを含み、
前記待機搬送ユニットは、前記上流搬送ユニットが前記後続ワークを前記第1処理ユニットに搬送した後に、前記先行ワークを前記第2処理ユニットに搬送し、
前記複数の搬送ユニットのうち一つが、前記先行ワークの前記第2処理ユニットからの搬出よりも前に、前記後続ワークを前記第1処理ユニットから受け取る、基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の基板処理装置であって、
前記複数の搬送ユニットは、前記待機搬送ユニットに対して搬送方向の下流側に位置する下流搬送ユニットを含み、
前記下流搬送ユニットが前記第1処理ユニットから前記後続ワークを受け取った後に、前記待機搬送ユニットが前記先行ワークを前記第1処理ユニットに搬送する、基板処理装置。
【請求項4】
ワークに対して所定処理を行う第1処理ユニットを含み、1列に配列された複数の処理ユニットの配列方向に平行な共通ライン上を移動し、ワークを前記複数の処理ユニットの各々に搬送する複数の搬送ユニットのうち、上流搬送ユニットに対して搬送方向の下流側に位置する待機搬送ユニットが先行ワークを受け取る工程と、
前記上流搬送ユニットが前記先行ワークの次の後続ワークを受け取る工程と、
前記待機搬送ユニットが、未だ前記所定処理を受けていない前記先行ワークを保持した状態で、前記上流搬送ユニットが前記後続ワークを前記第1処理ユニットに搬送する工程と
を備える、搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置および搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板を処理する基板処理装置が提案されている(例えば特許文献1)。特許文献1では、基板処理装置は、カセットから取り出された基板群を搬送するための複数の基板搬送装置と、基板群を一括的に処理する複数の処理槽とを含んでいる。基板処理装置は、各カセットから取り出した基板群を順次に搬送している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の基板処理装置では、複数の基板群を順次に搬送するので、いずれかの基板群(後続ワーク)を他の基板群(先行ワーク)よりも先に処理する必要がある場合に、対応できない。
【0005】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、後続ワークが先行ワークを追い越すことができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、基板処理装置であって、ワークに対して所定処理を行う第1処理ユニットを含み、1列に配列された複数の処理ユニットと、前記複数の処理ユニットの配列方向に平行な共通ライン上を移動し、ワークを前記複数の処理ユニットの各々に搬送する複数の搬送ユニットとを備え、前記複数の搬送ユニットは、待機搬送ユニットと、前記待機搬送ユニットに対して搬送方向の上流側に位置する上流搬送ユニットとを含み、前記上流搬送ユニットは、前記待機搬送ユニットが、未だ前記所定処理を受けていない先行ワークを保持した状態で、前記先行ワークの次の後続ワークを前記第1処理ユニットに搬送する。
【0007】
第2の態様は、第1の態様にかかる基板処理装置であって、前記複数の処理ユニットは、ワークに対して前記所定処理を行う第2処理ユニットを含み、前記待機搬送ユニットは、前記上流搬送ユニットが前記後続ワークを前記第1処理ユニットに搬送した後に、前記先行ワークを前記第2処理ユニットに搬送し、前記複数の搬送ユニットのうち一つが、前記先行ワークの前記第2処理ユニットからの搬出よりも前に、前記後続ワークを前記第1処理ユニットから受け取る。
【0008】
第3の態様は、第1または第2の態様にかかる基板処理装置であって、前記複数の搬送ユニットは、前記待機搬送ユニットに対して搬送方向の下流側に位置する下流搬送ユニットを含み、前記下流搬送ユニットが前記第1処理ユニットから前記後続ワークを受け取った後に、前記待機搬送ユニットが前記先行ワークを前記第1処理ユニットに搬送する。
【0009】
第4の態様は、搬送方法であって、ワークに対して所定処理を行う第1処理ユニットを含み、1列に配列された複数の処理ユニットの配列方向に平行な共通ライン上を移動し、ワークを前記複数の処理ユニットの各々に搬送する複数の搬送ユニットのうち、上流搬送ユニットに対して搬送方向の下流側に位置する待機搬送ユニットが先行ワークを受け取る工程と、前記上流搬送ユニットが前記先行ワークの次の後続ワークを受け取る工程と、前記待機搬送ユニットが、未だ前記所定処理を受けていない前記先行ワークを保持した状態で、前記上流搬送ユニットが前記後続ワークを前記第1処理ユニットに搬送する工程とを備える。
【発明の効果】
【0010】
第1および第4の態様によれば、先行ワークよりも先に後続ワークを第1処理ユニットに搬送するので、後続ワークは先行ワークよりも先に所定処理を受ける。つまり、後続ワークが先行ワークを追い越すことができる。しかも、追い越しの際に先行ワークは待機搬送ユニットで待機するので、先行ワークを待機させる待機ユニットを基板処理装置に設ける必要がない。このため、基板処理装置のフットプリントを低減させることができる。
【0011】
第2の態様によれば、第1処理ユニットから後続ワークを受け取る搬送ユニットの選択性を向上させることができる。
【0012】
第3の態様によれば、下流搬送ユニットが後続ワークを第1処理ユニットから受け取るので、後続ワークを次の処理ユニットに搬送しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】基板処理装置の構成の一例を概略的に示す平面図である。
【
図2】制御部の内部構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【
図3】各基板群が受ける一連の処理に相当するフローレシピの一例を示す図である。
【
図4】基板処理装置が動作しているときの処理ブロック内の一部の様子の一例を概略的に示す図である。
【
図5】追い越し搬送方法の第1例を説明するためのフローチャートである。
【
図6】処理ブロック内の一部の様子の一例を概略的に示す図である。
【
図7】処理ブロック内の一部の様子の一例を概略的に示す図である。
【
図8】追い越し搬送方法の第2例を説明するためのフローチャートである。
【
図9】処理ブロック内の一部の様子の一例を概略的に示す図である。
【
図10】処理ブロック内の一部の様子の一例を概略的に示す図である。
【
図11】処理ブロック内の一部の様子の一例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。なお、図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略、または、構成の簡略化がなされるものである。また、図面に示される構成の大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。また、
図1において、XYZ直交座標系が適宜に示されている。ここでは、Z軸は、鉛直方向に沿った軸である。また、以下では、X軸に平行な一方向を+X方向と呼び、その反対方向を-X方向とも呼ぶ。また、X軸の一方側を+X側とも呼び、他方側を-X側と呼ぶことがある。Y軸およびZ軸についても同様である。
【0015】
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
【0016】
また、以下に記載される説明において、「第1」または「第2」などの序数が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、これらの序数によって生じ得る順序などに限定されるものではない。
【0017】
相対的または絶対的な位置関係を示す表現(例えば「一方向に」「一方向に沿って」「平行」「直交」「中心」「同心」「同軸」など)が用いられる場合、該表現は、特に断らない限り、その位置関係を厳密に表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる範囲で相対的に角度または距離に関して変位された状態も表すものとする。等しい状態であることを示す表現(例えば「同一」「等しい」「均質」など)が用いられる場合、該表現は、特に断らない限り、定量的に厳密に等しい状態を表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる差が存在する状態も表すものとする。形状を示す表現(例えば、「四角形状」または「円筒形状」など)が用いられる場合、該表現は、特に断らない限り、幾何学的に厳密にその形状を表すのみならず、同程度の効果が得られる範囲で、例えば凹凸や面取りなどを有する形状も表すものとする。一の構成要素を「備える」「具える」「具備する」「含む」または「有する」という表現が用いられる場合、該表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的表現ではない。「A,BおよびCの少なくともいずれか一つ」という表現が用いられる場合、該表現は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A,BおよびCのうち任意の2つ、ならびに、A,BおよびCの全てを含む。
【0018】
<1.基板処理装置の構成>
図1は、基板処理装置100の構成の一例を概略的に示す平面図である。基板処理装置100は、複数の基板Wを一括して処理するバッチ式の処理装置である。基板Wは例えば平板状の形状を有している。基板Wの材質は特に制限されず、例えば、半導体基板、ガラス基板および樹脂基板などの種々の基板が基板Wに適用され得る。基板Wは、例えば平面視において矩形状の形状を有するパネルであってもよい。基板Wの縦方向の長さおよび横方向の長さは、例えば数百mm程度であってもよく、より具体的な一例として500mm程度であってもよい。なお、基板Wの形状は矩形状に限らず、例えば円形状であってもよい。
【0019】
基板処理装置100は、少なくとも、複数の処理ユニット10と、複数の搬送ユニット20とを含む。
図1の例では、基板処理装置100は、搬入出ブロック110、中継ブロック120および処理ブロック130を含んでおり、複数の処理ユニット10および複数の搬送ユニット20は処理ブロック130に設けられている。
【0020】
搬入出ブロック110、中継ブロック120および処理ブロック130はX方向に沿ってこの順で配列されている。つまり、搬入出ブロック110が-X方向の端に設けられ、処理ブロック130が+X方向の端に設けられ、中継ブロック120が搬入出ブロック110と処理ブロック130との間に設けられている。
【0021】
図1の例では、搬入出ブロック110に対して中継ブロック120と反対側には、ロードポートLPが設けられている。ロードポートLPには、未処理の複数の基板Wを収納した収納器(以下、フープFと呼ぶ)が、基板処理装置100の外部の搬送部(不図示)から搬入される。フープFには、複数の基板Wが、例えば、水平姿勢で鉛直方向において並んだ状態で収納される。ここでいう水平姿勢とは、基板Wの厚み方向が鉛直方向に沿う姿勢である。ロードポートLPは、フープFを載置する載置台を含んでいる。ロードポートLPに搬入されたフープFは、後述のように搬入出ブロック110内に搬送される。フープF内の未処理の基板Wは搬入出ブロック110内において取り出され、中継ブロック120および処理ブロック130を往復し、再び搬入出ブロック110に搬送される。後述のように、複数の基板Wは処理ブロック130において処理されるので、処理済みの複数の基板Wが搬入出ブロック110に搬送されることになる。処理済みの基板Wは搬入出ブロック110において再びフープFに収納される。該フープFはロードポートLPに搬送され、ロードポートLPから外部の搬送部によって搬出される。なお、
図1の例では、2つのロードポートLPがY方向において配列されているものの、ロードポートLPの個数はこれに限らず、適宜に変更され得る。
【0022】
<1-1.搬入出ブロック>
図1の例では、搬入出ブロック110は、複数の棚111、フープ搬送ユニット112,113,116、オープナ114,117および基板受渡ユニット115,118を含んでいる。
【0023】
複数の棚111は、例えば、YZ平面においてマトリックス状に配列される。各棚111にはフープFが搬送され、フープFが載置される。フープ搬送ユニット112はX方向においてロードポートLPと棚111との間に設けられている。
図1の例では、2つのフープ搬送ユニット112がY方向において配列されている。各フープ搬送ユニット112は各ロードポートLPと各棚111との間でフープFを搬送する。
【0024】
フープ搬送ユニット113はX方向において棚111とオープナ114との間に設けられている。フープ搬送ユニット113は各棚111からオープナ114にフープFを搬送する。オープナ114はフープFを載置可能であり、かつ、載置されたフープFの蓋を開閉可能である。基板受渡ユニット115はオープナ114と中継ブロック120との間に設けられており、オープナ114がフープFの蓋を開いた状態で、基板WをフープFから取り出し、該基板Wを中継ブロック120に渡す。フープ搬送ユニット113、オープナ114および基板受渡ユニット115はX方向において配列されている。
【0025】
フープ搬送ユニット116はフープ搬送ユニット113とY方向において並んでおり、フープ搬送ユニット113に対して-Y側に設けられている。オープナ117はオープナ114とY方向において並んでおり、オープナ114に対して-Y側に設けられている。オープナ117はフープFを載置可能であり、かつ、載置されたフープFの蓋を開閉可能である。基板受渡ユニット118は基板受渡ユニット115とY方向において並んでおり、基板受渡ユニット115に対して-Y側に設けられている。基板受渡ユニット118は中継ブロック120から処理済みの基板Wを受け取り、オープナ117によって蓋が開いた状態のフープFに該基板Wを収納する。フープ搬送ユニット116はオープナ117からフープFを搬出し、該フープFを棚111に搬送する。フープ搬送ユニット116、オープナ117および基板受渡ユニット118はX方向において配列されている。
【0026】
<1-2.中継ブロック>
中継ブロック120は、キャリア支持部121,123と、待機部122,124とを含む。基板受渡ユニット115、キャリア支持部121および待機部122はX方向においてこの順で配列されている。つまり、キャリア支持部121は基板受渡ユニット115と待機部122との間に設けられている。キャリア支持部121は、例えばフープFよりも収納枚数が多い装置内収容器(以下、キャリアCと呼ぶ)を支持することが可能である。キャリア支持部121によって支持されたキャリアCには、基板受渡ユニット115によって基板Wが搬入される。以下では、キャリアCに収納された複数の基板Wを基板群Gとも呼ぶ。ここでは、キャリアCに収納された基板Wの枚数は、フープFに収納された基板Wの枚数よりも多い。
【0027】
キャリア支持部121はキャリアCの姿勢を変更可能に構成されている。例えば、キャリア支持部121は、キャリアC内の各基板Wの姿勢が水平姿勢から起立姿勢に変化するように、キャリアCの姿勢を変更する。ここでいう起立姿勢とは、基板Wの厚み方向が水平方向(例えばX方向)に沿う姿勢である。待機部122は、キャリア支持部121から受け取ったキャリアCを支持する。待機部122によって支持されたキャリアCは適宜に処理ブロック130に渡される。
【0028】
基板受渡ユニット118、キャリア支持部123および待機部124はX方向においてこの順に配列されている。つまり、キャリア支持部123は基板受渡ユニット118と待機部124との間に設けられている。待機部124は、処理ブロック130から受け取った、処理済みの基板群Gを収納したキャリアCを支持する。待機部124によって支持されたキャリアCは適宜にキャリア支持部123に渡される。キャリア支持部123はキャリアCを支持する。また、キャリア支持部123はキャリアCの姿勢を変更可能に構成されている。例えば、キャリア支持部123は基板Wの姿勢が起立姿勢から水平姿勢に変化するように、キャリアCの姿勢を変更する。キャリア支持部123によって支持されたキャリアCの内部の基板Wは基板受渡ユニット118によって取り出される。
【0029】
<1-3.処理ブロック>
図1の例では、処理ブロック130は、複数の処理ユニット10と、複数の搬送ユニット20と、キャリア搬送ユニット30,31とを含んでいる。キャリア搬送ユニット30は待機部122とX方向において並んでいる。キャリア搬送ユニット30は、待機部122から受け取ったキャリアCを+X方向に沿って搬送し、該キャリアCをキャリア搬送ユニット31に渡す。キャリア搬送ユニット31は、キャリア搬送ユニット30から受け取ったキャリアCを-Y方向に沿って搬送し、該キャリアCを複数の搬送ユニット20のいずれかに渡す。
【0030】
複数の搬送ユニット20の各々はキャリア搬送ユニット31からキャリアCを受け取ることができる。各搬送ユニット20は後述のようにキャリアCを複数の処理ユニット10に搬送する。
【0031】
複数の処理ユニット10はキャリア搬送ユニット30に対して-Y側に設けられ、X方向に沿って1列に配列されている。
図1の例では、複数の処理ユニット10は待機部124とX方向において並んでいる。
図1の例では、複数の処理ユニット10として、10個の処理ユニット10aから処理ユニット10jが示されている。処理ユニット10aから処理ユニット10jはこの順で設けられている。ここでは、処理ユニット10jが中継ブロック120に最も近い位置に設けられ、処理ユニット10aが中継ブロック120から最も離れた位置に設けられている。
【0032】
各処理ユニット10は処理槽11を含んでいる。処理槽11には、例えば、処理液が貯留されている。処理液は、例えば、エッチング液等の薬液および該薬液を洗い流す純水等のリンス液を含む。各処理槽11には、処理ユニット10が行う処理に応じた種類の処理液が貯留され得る。ここでは、処理ユニット10aから処理ユニット10cはそれぞれ処理P1から処理P3を基板群Gに対して行うことが可能であり、処理ユニット10dおよび処理ユニット10eは処理P4を基板群Gに対して行うことが可能であり、処理ユニット10fから処理ユニット10gはそれぞれ処理P5および処理P6を基板群Gに対して行うことが可能であり、処理ユニット10hから処理ユニット10jは処理P7を基板群Gに対して行うことが可能である。処理P1から処理P7の具体的な内容は特に限定されないものの、例えば、各基板Wのエッチング対象を除去するエッチング処理、各基板Wに付着した薬液を洗い流すリンス処理、各基板Wを乾燥させる乾燥処理等の種々の処理を含む。
【0033】
上述の例では、処理ユニット10dおよび処理ユニット10eは互いに同じ処理P4を基板群Gに対して行う。このため、2つの基板群Gはそれぞれ処理ユニット10dおよび処理ユニット10eにおいて並行して処理P4を受けることが可能である。以下では、同じ処理を行う複数の処理ユニット10を並行槽とも呼び、同じ処理を行う他の処理ユニット10が設けられていない処理ユニット10を非並行槽とも呼ぶ。上述の例では、処理ユニット10aから処理ユニット10c、処理ユニット10fおよび処理ユニット10gが非並行槽に該当し、処理ユニット10d、処理ユニット10e、処理ユニット10hから処理ユニット10jが並行槽に該当する。
【0034】
並行槽による処理の処理時間は非並行槽による処理の処理時間よりも長い。つまり、処理P4および処理P7の処理時間は処理P1から処理P3、処理P5および処理P6の処理時間に比べて長い。そこで、スループット向上のために、処理P4を実行する2つの並行槽(処理ユニット10dおよび処理ユニット10e)が設けられ、処理P7を実行する3つ並行槽(処理ユニット10hから処理ユニット10j)が設けられている。
【0035】
図1の例では、各処理ユニット10はホルダ12を含んでいる。ホルダ12は、キャリアCを処理槽11に浸漬させた処理位置と、処理槽11よりも上方の受渡位置との間で、キャリアCを昇降させる。キャリアCが処理位置に位置する状態では、キャリアC内の基板群Gに処理液が作用し、処理液に応じた処理が基板群Gに対して行われる。例えば処理ユニット10aはキャリアC内の基板群Gに対して処理P1を行う。一方で、キャリアCが受渡位置に位置する状態では、ホルダ12と搬送ユニット20との間でキャリアCの受け渡しが行われる。
【0036】
各搬送ユニット20はキャリアCを複数の処理ユニット10の間で搬送する。各搬送ユニット20は、複数の処理ユニット10の直上の搬送空間内で、X方向に沿ってキャリアCを搬送する。
図1の例では、複数の搬送ユニット20として、搬送ユニット20aから搬送ユニット20dが示されている。
図1の例では、搬送ユニット20aから搬送ユニット20dはX方向においてこの順で配列されている。ここでは、搬送ユニット20aが中継ブロック120に最も近い位置に設けられ、搬送ユニット20dが中継ブロック120から最も遠い位置に設けられている。
【0037】
図1の例では、複数の搬送ユニット20は、複数の処理ユニット10の配列方向に平行な共通ライン上を移動する。複数の搬送ユニット20は、複数の処理ユニット10に対して+X側の待機空間H1にも移動できる。言い換えれば、該共通ラインには、待機空間H1と、複数の処理ユニット10に対応する搬送空間H2とが含まれる。各搬送ユニット20は待機空間H1内の所定の受渡位置で、キャリア搬送ユニット31からキャリアCを受け取る。
【0038】
図1の例では、複数の搬送ユニット20は、キャリアCを保持する一対の保持部材21を含んでいる。一対の保持部材21はY方向に延びた棒状の形状を有している。ここでは、各搬送ユニット20はキャリアCを1つのみ保持することができる。
【0039】
複数の搬送ユニット20は共通ライン上を移動するので、各搬送ユニット20は他の搬送ユニット20を追い越すことができない。そのため、搬送ユニット20aから搬送ユニット20dの配列順序は常に一定である。
【0040】
各搬送ユニット20の移動機構は特に限定されないものの、その具体的な一例について概説する。各搬送ユニット20は、X方向に沿って延びる固定子25に移動可能に結合されていてもよい。固定子25は例えば装置のフレームに固定されている。固定子25はラックであってもよい。ラックの例えば上面には、X方向に沿って配列された複数の凹凸(歯)が形成される。各搬送ユニット20は、固定子25に対して移動可能に結合する移動子22と、移動子22を固定子25に対して移動させる駆動部23とを有している。移動子22は、例えばラックに噛合する歯車を含んでもよい。駆動部23は、例えば、該歯車を回転させるモータと、該モータに電力を供給する駆動回路とを含む。駆動回路はモータに電力を供給し、モータの動作を制御する。駆動回路は例えばインバータ回路などのモータ駆動回路である。モータが歯車を回転させることにより、移動子22がX方向に沿って移動する。これにより、移動子22を内蔵する搬送ユニット20がX方向に沿って移動する。
【0041】
各搬送ユニット20は各処理ユニット10の直上でキャリアCをホルダ12に渡す。ホルダ12は受け取ったキャリアCを受渡位置から処理位置に下降させることにより、キャリアCを処理槽11内の処理液に浸漬させる。これにより、処理液に応じた処理がキャリアC内の基板群Gに対して行われる。
【0042】
<1-4.制御部>
基板処理装置100は制御部90も含んでいる。
図1の例では、制御部90は搬入出ブロック110に設けられている。制御部90は基板処理装置100の各種構成を制御することができる。
図2は、制御部90の内部構成の一例を概略的に示すブロック図である。制御部90は電子回路であって、例えばデータ処理部91および記憶部92を有している。
図2の具体例では、データ処理部91と記憶部92とはバス93を介して相互に接続されている。データ処理部91は例えばCPU(Central Processor Unit)などの演算処理装置であってもよい。記憶部92は非一時的な記憶部(例えばROM(Read Only Memory)またはハードディスク)921および一時的な記憶部(例えばRAM(Random Access Memory))922を有していてもよい。非一時的な記憶部921には、例えば制御部90が実行する処理を規定するプログラムが記憶されていてもよい。データ処理部91がこのプログラムを実行することにより、制御部90が、プログラムに規定された処理を実行することができる。もちろん、制御部90が実行する処理の一部または全部が専用の論理回路などのハードウェアによって実行されてもよい。
【0043】
<2.基板処理>
図3は、各基板群Gが受ける一連の処理に相当するフローレシピFRの一例を示す図である。フローレシピFRは、基板処理装置100が基板群Gに対して行う処理の順序を示している。
図3に例示されたフローレシピFRにおいては、各基板群Gは処理P1から処理P7をこの順で受ける。つまり、フローレシピFRに従った基板処理装置100の動作において、搬送ユニット20はキャリアCを処理ユニット10aから処理ユニット10cに順次に搬送した後、キャリアCを処理ユニット10dおよび処理ユニット10eのいずれか一方に搬送し、その後、キャリアCを処理ユニット10fおよび処理ユニット10gに順次に搬送し、その後、キャリアCを処理ユニット10hから処理ユニット10iのいずれか一つに搬送する。これにより、基板群Gには処理P1から処理P7がこの順で行われる。
【0044】
上述のように、各キャリアCは処理ユニット10aから処理ユニット10jに向かって搬送される。よって、以下では、処理ユニット10aから処理ユニット10jに向かう方向(ここでは、-X方向)を搬送方向とも呼ぶ。
【0045】
また、処理ブロック130には、中継ブロック120から順次にキャリアCが搬入される。処理ブロック130のキャリア搬送ユニット30、キャリア搬送ユニット31および複数の搬送ユニット20は互いに協働して、順次に搬入されるキャリアCを各処理ユニット10に順に搬送する。これにより、処理ブロック130は複数のキャリアCのそれぞれに対して処理P1から処理P7を順に行うことができる。
【0046】
この処理ブロック130においては、各キャリアCは、例えば、処理ブロック130に搬入された順に搬送され得る。この場合、各キャリアCは処理ブロック130に搬入された順に処理され、処理後のキャリアCが処理ブロック130から搬出される。
【0047】
ここで、あるキャリアC(後続キャリアCとも呼ぶ)に対する処理を、後続キャリアCよりも一つ先行するキャリアC(以下、先行キャリアCとも呼ぶ)よりも先に完了させる要求が、基板処理装置100に入力される場合がある。例えば、基板処理装置100よりも上流側の装置によって該要求が送信されたり、作業員によって該要求が基板処理装置100に入力されたりする。
【0048】
基板処理装置100は該要求に応答して、後続キャリアCが先行キャリアCを追い越すように、先行キャリアCおよび後続キャリアCを搬送する。以下、このような追い越し搬送方法について説明する。
【0049】
<3.追い越し搬送方法>
<3-1.並行槽>
図4は、基板処理装置100が動作しているときの処理ブロック130内の一部の様子の一例を概略的に示す図である。
図4(a)の例では、処理ブロック130に搬入された複数のキャリアCとして、キャリアC1からキャリアC6が示されている。キャリアCnは、n番目に処理ブロック130に搬入されたキャリアCを示している。つまり、キャリアC1は、1番目に処理ブロック130に搬入されたキャリアCである。
図4(a)の例では、キャリアC1は処理ユニット10hにおいて処理P7を受けており、キャリアC2は処理ユニット10iにおいて処理P7を受けており、キャリアC3は処理ユニット10dにおいて処理P4を受けており、キャリアC4は処理ユニット10eにおいて処理P4を受けており、キャリアC5は処理ユニット10cにおいて処理P3を受けている。なお、図では、処理ユニット10において処理を受けているキャリアCを、模式的に砂地のハッチングで示している。
【0050】
図4(a)の例では、キャリアC6が待機空間H1において搬送ユニット20に保持されている。つまり、キャリアC6は未だ処理P1を受けていない。
【0051】
ここで、特にキャリアC5およびキャリアC6を参照して、キャリアCの追い越し搬送方法について説明する。キャリアC5はキャリアC6よりも先に処理ブロック130に搬入されるので、以下では、キャリアC5を先行キャリアC5とも呼び、キャリアC6を後続キャリアC6とも呼ぶ。後続キャリアC6は、先行キャリアC5の次に処理ブロック130に搬入されたキャリアCである。図では、先行キャリアC5および後続キャリアC6を太線で示している。ここでは、複数の搬送ユニット20は後続キャリアC6が先行キャリアC5を追い越すように、互いに協働して複数のキャリアCを搬送する。
【0052】
図5は、追い越し搬送方法の第1例を説明するためのフローチャートであり、
図6および
図7は、処理ブロック130内の一部の様子の一例を概略的に示す図である。まず、搬送ユニット20が先行キャリアC5を受け取る(ステップS1)。
図4(a)の例に即して説明すれば、搬送ユニット20cは、処理P3が完了した先行キャリアC5を処理ユニット10cから受け取る。複数の搬送ユニット20は共通ライン上を移動するので、ステップS1において、搬送ユニット20cよりも-X側に位置する搬送ユニット20aおよび搬送ユニット20bは、処理ユニット10cよりも-X側に位置し、搬送ユニット20cよりも+X側に位置する搬送ユニット20dは処理ユニット10cよりも+X側に位置している(
図4(a)参照)。これにより、搬送ユニット20cは他の搬送ユニット20と衝突せずに、処理ユニット10cから先行キャリアC5を受け取ることができる。以下でも、搬送ユニット20は互いに衝突しないように移動する。
【0053】
搬送ユニット20cは、受け取った先行キャリアC5を未だ次の処理ユニット10には搬送せずに、先行キャリアC5を保持し続ける。つまり、先行キャリアC5は搬送ユニット20cにおいて待機する。したがって、搬送ユニット20cは、先行キャリアCを待機させる待機搬送ユニットに相当する。
【0054】
搬送ユニット20dは後続キャリアC6を処理ユニット10aから処理ユニット10cに順次に搬送する。これにより、後続キャリアC6は処理P1から処理P3をこの順で受ける。
【0055】
また、キャリアC3に対する処理P4が完了すると、例えば、搬送ユニット20cよりも搬送方向の下流側の搬送ユニット20aがキャリアC3を処理ユニット10dから受け取る。搬送ユニット20aはキャリアC3を処理ユニット10f、処理ユニット10gおよび処理ユニット10jに順に搬送する。これにより、キャリアC3は処理P5から処理P7をこの順で受ける。
【0056】
次に、後続キャリアC6に対する処理P3が完了すると、搬送ユニット20cよりも搬送方向の上流側の搬送ユニット20d(上流搬送ユニットに相当)が後続キャリアC6を処理ユニット10cから受け取る(ステップS2:
図4(b)参照)。なお、ステップS2において、搬送ユニット20cは先行キャリアC5を保持した状態で、処理ユニット10cよりも-X側に移動している(
図4(b)参照)。このため、搬送ユニット20dは搬送ユニット20cと衝突することなく、後続キャリアC6を処理ユニット10cから受け取ることができる。
【0057】
次に、搬送ユニット20d(上流搬送ユニット)は、搬送ユニット20c(待機搬送ユニット)が先行キャリアC5を保持した状態で、後続キャリアC6を、処理P4(所定処理)を行う処理ユニット10d(第1処理ユニットに相当)に搬送する(ステップS3:
図6(a)参照)。なお、ステップS3においては、搬送ユニット20cは処理ユニット10dに対して-X側に位置しいている。このため、搬送ユニット20dは搬送ユニット20cと衝突することなく、後続キャリアC6を処理ユニット10dに搬送することができる。そして、処理ユニット10dは、搬入された後続キャリアC6に対して処理P4を行う。つまり、後続キャリアC6は先行キャリアC5よりも先に処理P4を受ける。言い換えれば、後続キャリアC6は先行キャリアC5を追い越す。
【0058】
続けて、処理ユニット10eがキャリアC4に対する処理P4を完了すると、例えば、搬送ユニット20cよりも搬送方向の下流側の搬送ユニット20aがキャリアC4を処理ユニット10eから受け取り、キャリアC4を処理ユニット10fに搬送する。処理ユニット10fは、搬入されたキャリアC4に対して処理P5を行う。
【0059】
処理ユニット10eからキャリアC4が搬出されると、搬送ユニット20c(待機搬送ユニット)は先行キャリアC5を処理ユニット10e(第2処理ユニットに相当)に搬送する(ステップS4:
図6(b)参照)。処理ユニット10eは、搬入された先行キャリアC5に対して処理P4を行う。つまり、先行キャリアC5は後続キャリアC6よりも後に処理P4を受ける。
【0060】
続けて、例えばキャリアC1からキャリアC3に対する処理P7が順に完了すると、キャリアC1からキャリアC3は例えば搬送ユニット20aによって順に中継ブロック120に搬送される。また、例えばキャリアC4に対する処理P5が完了すると、キャリアC4は例えば搬送ユニット20aによって処理ユニット10fから処理ユニット10gを経由して処理ユニット10hに搬送される。これにより、キャリアC4は処理P6および処理P7を順に受ける。また、例えば新たなキャリアC7およびキャリアC8が搬入される。例えば搬送ユニット20cがキャリアC7を処理ユニット10aから処理ユニット10cに順に搬送し、例えば搬送ユニット20dがキャリアC8を処理ユニット10aおよび処理ユニット10bに順に搬送する。
【0061】
次に、後続キャリアC6に対する処理P4が完了すると、例えば搬送ユニット20bは処理ユニット10dから後続キャリアC6を受け取る。なお、この時点では先行キャリアC5に対する処理P4は完了していないので、処理ユニット10eからの先行キャリアC5の搬出前に、後続キャリアC6が処理ユニット10dから搬出される。つまり、後続キャリアC6が先行キャリアC5よりも先に、処理P4用の処理ユニット10から搬出される。そして、搬送ユニット20bは後続キャリアC6を次の処理ユニット10f(第3処理ユニットに相当)に搬送する(ステップS5:
図7(a)参照)。処理ユニット10fは、搬入された後続キャリアC6に対して処理P5を行う。つまり、後続キャリアC6は先行キャリアC5よりも先に処理P5を受ける。
【0062】
次に、例えばキャリアC7に対する処理P3が完了すると、例えば搬送ユニット20cがキャリアC7を処理ユニット10cから処理ユニット10dに搬送する。また、例えばキャリアC8に対する処理P2が完了すると、例えば搬送ユニット20dがキャリアC8を処理ユニット10bから処理ユニット10cに搬送する。また、後続キャリアC6に対する処理P5が完了すると、例えば搬送ユニット20aが後続キャリアC6を処理ユニット10fから処理ユニット10gに搬送する。
【0063】
次に、先行キャリアC5に対する処理P4が完了すると、例えば搬送ユニット20bが先行キャリアC5を処理ユニット10eから受け取る。搬送ユニット20bは先行キャリアC5を次の処理ユニット10f(第3処理ユニットに相当)に搬送する(ステップS6:
図7(b)参照)。処理ユニット10fは、搬入された先行キャリアC5に対して処理P5を行う。つまり、先行キャリアC5は後続キャリアC6よりも後に処理P5を受ける。
【0064】
その後は、各処理が完了するたびに、搬送ユニット20が適宜にキャリアCを次の処理ユニット10に搬送する。
【0065】
以上のように、基板処理装置100は複数のキャリアCの各々に対して処理P1から処理P7を順に行うことができる。
【0066】
しかも、上述の追い越し搬送方法の第1例によれば、搬送ユニット20c(待機搬送ユニット)が、未だ処理P4を受けていない先行キャリアC5を保持した状態で、搬送ユニット20cよりも搬送方向の上流側の搬送ユニット20d(上流搬送ユニット)が後続キャリアC6を処理ユニット10dに搬送する(ステップS3)。これにより、処理ユニット10dは先行キャリアC5よりも先に後続キャリアC6に対して処理P4を行うことができる。つまり、後続キャリアC6が先行キャリアC5を追い越すことができる。
【0067】
また、上述の追い越し搬送方法の第1例によれば、後続キャリアC6が先行キャリアC5を追い越す際に、搬送ユニット20cが先行キャリアC5を保持している。つまり、この追い越しの際に、先行キャリアC5は搬送ユニット20cにおいて待機している。このため、先行キャリアC5を待機させる待機ユニットを別途に基板処理装置100に設ける必要がない。したがって、基板処理装置100の製造コストおよびフットプリントを低減させることができる。
【0068】
ところで、上述の例では、処理ユニット10dが後続キャリアC6に対して処理P4を行っている最中に、搬送ユニット20cが、同じ処理P4を行う処理ユニット10eに先行キャリアC5を搬送する(ステップS4)。このため、後続キャリアC6に対する処理P4の完了時点では、搬送ユニット20cはもはや先行キャリアC5を保持していない(
図7(a)参照)。そのため、処理ユニット10dからの後続キャリアC6の搬出のために、搬送ユニット20cを用いることも可能である。つまり、後続キャリアC6の搬出に用いる搬送ユニット20の選択性を向上させることができる。なお、
図7(a)の例では、複数の搬送ユニット20のうち一つである搬送ユニット20bが後続キャリアC6を処理ユニット10dから受け取っている。もちろん、他の搬送ユニット20a、搬送ユニット20cおよび搬送ユニット20dのいずれかが後続キャリアC6を受け取ってもよい。
【0069】
<3-2.非並行槽>
上述の具体例では、複数の搬送ユニット20は、複数の処理ユニット10(並行槽)が実行可能な処理P4で、後続キャリアC6が先行キャリアC5を追い越すように、キャリアCを搬送していた。しかしながら、必ずしもこれに限らない。例えば、複数の搬送ユニット20は、単一の処理ユニット10(非並行槽)が実行可能な処理(例えば処理P1)で、後続キャリアC6が先行キャリアC5を追い越すように、キャリアCを搬送してもよい。
【0070】
図8は、追い越し搬送方法の第2例を説明するためのフローチャートであり、
図9から
図11は、処理ブロック130内の一部の様子の一例を概略的に示している。ここでは、キャリアC1を先行キャリアC1とし、キャリアC2を後続キャリアC2とする。後続キャリアC2は、先行キャリアC1の次に処理ブロック130に搬入されるキャリアCである。複数の搬送ユニット20は、後続キャリアC2が先行キャリアC1を追い越すように、先行キャリアC1および後続キャリアC2を搬送する。
【0071】
まず、例えば搬送ユニット20bがキャリア搬送ユニット31から先行キャリアC1を受け取る(ステップS11:
図9(a)参照)。このとき、搬送ユニット20aは、待機空間H1に対して-X側に位置している。このため、搬送ユニット20bは搬送ユニット20aと衝突することなく、先行キャリアC1を受け取ることができる。次に、搬送ユニット20bは先行キャリアC1を保持した状態で-X方向に沿って移動する。搬送ユニット20bは未だ先行キャリアC1を処理ユニット10aに搬送しない。先行キャリアC1は搬送ユニット20bにおいて待機するので、搬送ユニット20bは待機搬送ユニットに相当する。
【0072】
次に、搬送ユニット20bよりも搬送方向の上流側に位置する搬送ユニット20c(上流搬送ユニットに相当)がキャリア搬送ユニット31から後続キャリアC2を受け取る(ステップS12:
図9(b)参照))。このとき、搬送ユニット20bは、待機空間H1に対して-X側に位置している。このため、搬送ユニット20cは搬送ユニット20bと衝突することなく、後続キャリアC2を受け取ることができる。
【0073】
次に、搬送ユニット20bが先行キャリアC1を保持した状態で、搬送ユニット20cが後続キャリアC2を処理ユニット10a(第1処理ユニットに相当)に搬送する(ステップS13:
図10(a)参照)。処理ユニット10aは、搬入された後続キャリアC2に対して処理P1を行う。このため、後続キャリアC2は先行キャリアC1よりも先に処理P1を受ける。つまり、後続キャリアC2は先行キャリアC1を追い越す。
【0074】
後続キャリアC2に対する処理P1が完了すると、搬送ユニット20bよりも搬送方向の下流側に位置する搬送ユニット20a(下流搬送ユニットに相当)が後続キャリアC2を処理ユニット10aから処理ユニット10b(第2処理ユニットに相当)に搬送し、搬送ユニット20bが先行キャリアC1を処理ユニット10aに搬送する(ステップS14)。具体的には、まず、搬送ユニット20aが処理ユニット10aに到達するように、搬送ユニット20aから搬送ユニット20cが-X方向に沿って移動する。そして、搬送ユニット20aが処理ユニット10aから後続キャリアC2を受け取る(
図10(b)参照)。そして、搬送ユニット20aが後続キャリアC2を次の処理ユニット10bに搬送する。処理ユニット10bは、搬入された後続キャリアC2に対して処理P2を行う。このため、後続キャリアC2は先行キャリアC1よりも先に処理P2を受ける。
【0075】
また、搬送ユニット20aが後続キャリアC2を保持した状態で処理ユニット10bに向かって移動すると、搬送ユニット20bが先行キャリアC1を処理ユニット10aに搬送する(
図11参照)。そして、処理ユニット10aは、搬入された先行キャリアC1に対して処理P1を行う。このため、先行キャリアC1は後続キャリアC2よりも後に処理P1を受ける。
【0076】
以後、処理が完了するたびに、搬送ユニット20が適宜にキャリアCを次の処理ユニット10に搬送する。
【0077】
以上のように、追い越し搬送方法の第2例によれば、搬送ユニット20b(待機搬送ユニット)が、未だ処理P1を受けていない先行キャリアC1を保持した状態で、搬送ユニット20bよりも搬送方向の上流側の搬送ユニット20c(上流搬送ユニット)が後続キャリアC2を処理ユニット10aに搬送する(ステップS13)。これにより、処理ユニット10aは先行キャリアC1よりも先に後続キャリアC2に対して処理P1を行うことができる。つまり、後続キャリアC2が先行キャリアC1を追い越すことができる。
【0078】
また、上述の追い越し搬送方法の第2例によれば、先行キャリアC1を保持した搬送ユニット20bよりも搬送方向の下流側の搬送ユニット20a(下流搬送ユニット)が処理ユニット10aから後続キャリアC2を受け取る(
図10(b)参照)。このため、搬送ユニット20a(下流搬送ユニット)が後続キャリアC2を次の処理ユニット10bに搬送するに際して、搬送ユニット20b(待機搬送ユニット)が邪魔にならない。したがって、搬送ユニット20b(待機搬送ユニット)の位置によらず、搬送ユニット20a(下流搬送ユニット)は後続キャリアC2を処理ユニット10bに速やかに搬送することができる。
【0079】
また、搬送ユニット20b(待機搬送ユニット)は搬送ユニット20a(下流搬送ユニット)が次の処理ユニット10bへ移動しているときに、先行キャリアC1を処理ユニット10aに搬送することもできる。つまり、より短時間で搬送ユニット20b(待機搬送ユニット)は先行キャリアC1を処理ユニット10aに搬送することができる。したがって、基板処理装置100のスループットを向上させることができる。
【0080】
以上のように、基板処理装置100および搬送方法は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この開示がそれに限定されるものではない。また、上述した各種変形例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない多数の変形例が、この開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【0081】
上述の例では、搬送ユニット20は、キャリアCに基板群Gを収納した状態で、キャリアCを搬送している。しかしながら、必ずしも基板群GをキャリアCに収納する必要はない。搬送ユニット20が基板群Gを搬送し、各処理ユニット10が基板群Gを搬送ユニット20から受け取り、基板群Gを処理槽11内の処理液に浸漬させてもよい。要するに、搬送ユニット20は、基板群G、あるいは、基板群Gを収納したキャリアCであるワークを搬送し、処理ユニット10が該ワークに対して処理を行えばよい。この場合、上述の先行キャリアCは先行ワークと呼ぶことができ、上述の後続キャリアCは後続ワークと呼ぶことができる。
【符号の説明】
【0082】
10,10a~10j 処理ユニット
100 基板処理装置
20,20a~20d 搬送ユニット
90 制御部
S1~S4 第1工程(ステップ)
S5 第2工程(ステップ)