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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063505
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】空中浮遊映像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 30/56 20200101AFI20240502BHJP
【FI】
G02B30/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171520
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 敏光
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 祥
【テーマコード(参考)】
2H199
【Fターム(参考)】
2H199BA32
2H199BA68
2H199BB06
2H199BB20
2H199BB30
2H199BB52
2H199BB57
(57)【要約】
【課題】より好適な空中浮遊映像表示装置を提供する。これにより、持続可能な開発目標の「3すべての人に健康と福祉を」、「9産業と技術革新の基盤をつくろう」、「11住み続けられるまちづくりを」に貢献する。
【解決手段】映像表示部と、映像表示部から出射した映像光を透過して空中浮遊映像を形成せしめる再帰性透過板と、を備え、映像表示部の表示面から出射した映像光について、映像表示部の表示面から出射して再帰性透過板を透過して前記空中浮遊映像の位置に到達するまでの光路長が、映像光が出射する前記映像表示部の表示面における位置に応じて異なるものであり、映像表示部は、光路長に応じて、単位面積当たりの出射光量が異なるものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像表示部と、
前記映像表示部から出射した映像光を透過して空中浮遊映像を形成せしめる再帰性透過板と、を備え、
前記映像表示部の表示面から出射した映像光について、前記映像表示部の表示面から出射して前記再帰性透過板を透過して前記空中浮遊映像の位置に到達するまでの光路長が、前記映像光が出射する前記映像表示部の表示面における位置に応じて異なるものであり、
前記映像表示部は、前記光路長に応じて、単位面積当たりの出射光量が異なるものである、
空中浮遊映像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の空中浮遊映像表示装置において、
前記映像表示部の表示面の映像表示領域は矩形であって、
前記映像光の前記光路長が、前記映像表示部の表示面における位置において前記矩形の1つの辺に沿う方向である第1の方向に傾斜するように、前記映像表示部と前記再帰性透過板とが配置されるものであり、
前記映像表示部は、前記映像表示部の表示面における前記第1の方向に対応する方向に前記単位面積当たりの出射光量が傾斜するように、異ならせる、
空中浮遊映像表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の空中浮遊映像表示装置において、前記映像表示部は、液晶表示パネルと拡散板と光源ユニットで構成され、
前記映像表示部の表示面の映像表示領域は矩形であって、
前記映像光の前記光路長が、前記映像表示部の表示面における位置において前記矩形の1つの辺に沿う方向である第1の方向に傾斜するように、前記映像表示部と前記再帰性透過板とが配置されるものであり、
前記拡散板の厚さは、前記映像表示部の表示面における前記第1の方向に対応する方向に、異ならせる、
空中浮遊映像表示装置。
【請求項4】
請求項1に記載の空中浮遊映像表示装置において、
前記映像表示部は、液晶表示パネルと拡散板と光源ユニットで構成され、
前記映像表示部の表示面の映像表示領域は矩形であって、
前記映像光の前記光路長が、前記映像表示部の表示面における位置において前記矩形の1つの辺に沿う方向である第1の方向に傾斜するように、前記映像表示部と前記再帰性透過板とが配置されるものであり、
前記光源ユニットは、前記映像表示部の表示面における前記第1の方向に対応する方向に前記単位面積当たりの出射光量が傾斜するように、異ならせる、
空中浮遊映像表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の空中浮遊映像表示装置において、
前記光源ユニットは複数の光源素子を等間隔に配置され、
前記光源素子は、前記映像表示部の表示面における前記第1の方向に対応する方向に、前記光源素子の駆動電流を異ならせる、
空中浮遊映像表示装置。
【請求項6】
請求項4に記載の空中浮遊映像表示装置において、

前記光源ユニットは複数の光源素子を有し、
前記光源素子は、前記映像表示部の表示面における前記第1の方向に対応する方向に、前記光源素子の配置間隔を異ならせる、
空中浮遊映像表示装置。
【請求項7】
請求項1に記載の空中浮遊映像表示装置において、
前記映像表示部の表示面の映像表示領域は矩形であって、
前記映像光の前記光路長が、前記映像表示部の表示面における位置において前記矩形の1つの辺に沿う方向である第1の方向に傾斜するように、前記映像表示部と前記再帰性透過板とが配置されるものであり、
前記再帰性透過板は、前記映像表示部の表示面における前記第1の方向に対応する方向とは直角方向となる寸法を、異ならせる、
空中浮遊映像表示装置。
【請求項8】
光源と拡散板とを備えるバックライトユニットと、
表示パネルと、
前記表示パネルから出射した映像光を透過して空中浮遊映像を形成せしめる再帰性透過板と、を備え、
前記表示パネルの表示面から出射した映像光について、前記表示パネルの表示面から出射して前記再帰性透過板を透過して前記空中浮遊映像の位置に到達するまでの光路長が、前記映像光が出射する前記表示パネルの表示面における位置に応じて異なるものであり、
前記表示パネルの表示面の位置における前記光路長に応じて、前記表示パネルの表示面の前記位置に対応する前記バックライトユニットの出射面における単位面積当たりの出射光量を異ならせる、
空中浮遊映像表示装置。
【請求項9】
請求項8に記載の空中浮遊映像表示装置において、
前記表示パネルの表示面の映像表示領域は矩形であって、
前記映像光の前記光路長が、前記表示パネルの表示面における位置において前記矩形の1つの辺に沿う方向である第1の方向に傾斜するように、前記表示パネルと前記再帰性透過板とが配置されるものであり、
前記バックライトユニットは、前記表示パネルの表示面における前記第1の方向に対応する方向に前記単位面積当たりの出射光量が傾斜するように、異ならせる、
空中浮遊映像表示装置。
【請求項10】
請求項8に記載の空中浮遊映像表示装置において、
前記表示パネルの表示面の映像表示領域は矩形であって、
前記映像光の前記光路長が、前記表示パネルの表示面における位置において前記矩形の1つの辺に沿う方向である第1の方向に傾斜するように、前記表示パネルと前記再帰性透過板とが配置されるものであり、
前記拡散板の厚さは、前記表示パネルの表示面における前記第1の方向に対応する方向に、異ならせる、
空中浮遊映像表示装置。
【請求項11】
請求項8に記載の空中浮遊映像表示装置において、
前記表示パネルの表示面の映像表示領域は矩形であって、
前記映像光の前記光路長が、前記表示パネルの表示面における位置において前記矩形の1つの辺に沿う方向である第1の方向に傾斜するように、前記表示パネルと前記再帰性透過板とが配置されるものであり、
前記光源は、複数の発光部を有し、
前記光源は、前記複数の発光部の駆動電流を異ならせることによって、前記表示パネルの表示面における前記第1の方向に対応する方向に前記単位面積当たりの出射光量を傾斜させる、
空中浮遊映像表示装置。
【請求項12】
請求項8に記載の空中浮遊映像表示装置において、
前記表示パネルの表示面の映像表示領域は矩形であって、
前記映像光の前記光路長が、前記表示パネルの表示面における位置において前記矩形の1つの辺に沿う方向である第1の方向に傾斜するように、前記表示パネルと前記再帰性透過板とが配置されるものであり、
前記光源は、複数の発光部を有し、
前記光源は、前記複数の発光部の配置間隔を異ならせることによって、前記表示パネルの表示面における前記第1の方向に対応する方向に前記単位面積当たりの出射光量を傾斜させる、
空中浮遊映像表示装置。
【請求項13】
光源と拡散板とを備えるバックライトユニットと、
表示パネルと、
前記表示パネルから出射した映像光を透過して空中浮遊映像を形成せしめる再帰性透過板と、を備え、
前記表示パネルの表示面から出射した映像光について、前記表示パネルの表示面から出射して前記再帰性透過板を透過して前記空中浮遊映像の位置に到達するまでの光路長が、前記映像光が出射する前記表示パネルの表示面における位置に応じて異なるものであり、
前記表示パネルの表示面の映像表示領域は矩形であって、
前記映像光の前記光路長が、前記表示パネルの表示面における位置において前記矩形の1つの辺に沿う方向である第1の方向に傾斜するように、前記表示パネルと前記再帰性透過板とが配置されるものであり、
前記拡散板は、前記表示パネルの表示面における前記第1の方向に対応する方向において、前記拡散板の厚さが異なるように構成されている、
空中浮遊映像表示装置。
【請求項14】
光源とフレネルレンズと拡散板とを備えるバックライトユニットと、
表示パネルと、
前記表示パネルから出射した映像光を透過して空中浮遊映像を形成せしめる再帰性透過板と、を備え、
前記表示パネルの表示面から出射した映像光について、前記表示パネルの表示面から出射して前記再帰性透過板を透過して前記空中浮遊映像の位置に到達するまでの光路長が、前記映像光が出射する前記表示パネルの表示面における位置に応じて異なるものであり、
前記光源から前記フレネルレンズの面への法線を含む面に対して、前記フレネルレンズの光軸をシフトして配置する、
空中浮遊映像表示装置。
【請求項15】
請求項14に記載の空中浮遊映像表示装置において、
前記表示パネルの表示面の映像表示領域は矩形であって、
前記映像光の前記光路長が、前記表示パネルの表示面における位置において前記矩形の1つの辺に沿う方向である第1の方向に傾斜するように、前記表示パネルと前記再帰性透過板とが配置されるものであり、
前記バックライトユニットは、前記光源から前記フレネルレンズの面への法線を含む面に対して、前記フレネルレンズの光軸をシフトして配置したことにより、前記表示パネルの表示面における前記第1の方向に対応する方向に単位面積当たりの出射光量が傾斜するように、異ならせる、
空中浮遊映像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空中浮遊映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空中浮遊情報表示技術については、例えば、特許文献1に開示されているように、第1および第2光反射面を有する微小ミラーユニットがマトリクス状に配列された構造体で構成された光反射光学素子が備えられ、空間映像を実像表示することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-177922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の開示では、空間映像の表示位置が異なると光透過面に取り込まれる総光量が変化するため、監視者から見た明るさが表示位置により異なり、ユーザが強い違和感を覚えることになる。本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、より好適な空中浮遊映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の一実施の態様は、例えば、映像表示部と、映像表示部から出射した映像光を透過して空中浮遊映像を形成せしめる再帰性透過板と、を備え、映像表示部の表示面から出射した映像光について、映像表示部の表示面から出射して再帰性透過板を透過して前記空中浮遊映像の位置に到達するまでの光路長が、映像光が出射する前記映像表示部の表示面における位置に応じて異なるものであり、映像表示部は、光路長に応じて、単位面積当たりの出射光量が異なるものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、より好適な空中浮遊映像表示装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施例に係る、空中浮遊映像表示装置の構成図である。
図2】本発明の一実施例に係る、空中浮遊映像表示装置の、一構成例における、結像光路を示す図である。
図3】本発明の一実施例に係る、空中浮遊映像表示装置の、第一の実施例における光学部材を示す図である。
図4】本発明の一実施例に係る、空中浮遊映像表示装置の、第二の実施例における光源の構成を示す図である。
図5】本発明の一実施例に係る、空中浮遊映像表示装置の、第二の実施例におけるLEDユニットの構成例を示す図である。
図6】本発明の一実施例に係る、空中浮遊映像表示装置の、第三の実施例における光源の構成を示す図である。
図7】本発明の一実施例に係る、空中浮遊映像表示装置の、第四の実施例における光源の構成を示す図である。
図8】本発明の一実施例に係る、空中浮遊映像表示装置の、第四の実施例における光源を構成する光学部材を示す図である。
図9】本発明の一実施例に係る、空中浮遊映像表示装置の、第五の実施例の構成を示す図である。
図10】本発明の一実施例に係る、空中浮遊映像表示装置の光反射光学素子の結像光路を示す図である。
図11】本発明の一実施例に係る、空中浮遊映像表示装置の光反射光学素子の結像光路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は実施例の説明に限定されるものではなく、本明細書に開示される技術的思想の範囲内において当業者による様々な変更および修正が可能である。また、本発明を説明するための全図において、同一の機能を有するものには、同一の符号を付与し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0009】
また、以下の実施例の説明において、空中に浮遊する映像を「空中浮遊映像」という用語で表現している。この用語の代わりに、「空中像」、「空間像」、「空間浮遊映像」、「表示映像の空間浮遊光学像」、「表示映像の空中浮遊光学像」などと表現してもかまわない。実施例の説明で主として用いる「空中浮遊映像」との用語は、これらの用語の代表例として用いている。
【0010】
図1は、本発明の一実施例に係る空中浮遊映像表示装置の全体構成を示す図である。空中浮遊映像表示装置の具体的な構成については、図2図3図10図11を用いて詳述する。
【0011】
空中浮遊映像映像表示装置は、2層式再帰透過光学プレート101と映像表示装置102で構成され、空中浮遊像103を表示するものである。2層式再帰透過光学プレート101は再帰性透過板と、映像表示装置102は映像表示部と称してもよい。
【0012】
映像表示装置102は2層式再帰透過光学プレート101の裏面に配置され、点104a、104b、104c、104dは映像表示装置102の4コーナーの各位置が、形成される空中浮遊像103の4コーナーの各位置に対する結像位置との間の中点であり、2層式再帰透過光学シート101の面上に位置する点である。
【0013】
映像表示装置102の4コーナーの各位置から2層式再帰透過光学プレート101に向かう4つの点線矢印は主光線を示すものであり、白丸201、203は映像表示装置102の出射光位置を示しており、点104a、104b、104c、104dから空中浮遊像103に向かう点線矢印も主光線を示すものである。白丸202、204は対応する空中浮遊像103の結像位置を示している。
【0014】
2層式再帰透過光学プレート101の動作原理を図10図11を用いて説明する。図10は2層式再帰透過光学プレート101の構成の一部分を示している。ミラー1011、ミラー1012、ミラー1013、ミラー1014ミラー1015は、短冊状の微小な反射面を並べて配置されており第一のスリット・ミラー・アレイ(SMA)を構成している。
【0015】
ミラー1020、ミラー1021、ミラー1022、ミラー1023は、短冊状の微小な反射面を並べて配置されており第二のSMAを構成している。2層式再帰透過光学プレート101は、第一のSMAと第二のSMAを2層、直交するように重ねたプレートである。図11には第一のSMAに、さらに説明のための黒丸で示す光源1016、白丸で示す実像1017、光線1031、1032、1033、1034を記載している。光源1016から出射された複数の光線の中で、光線1031はミラー1012で反射し、光線1032となり、光線1033はミラー1014で反射し、光線1034となる。
【0016】
光線1032と光線1034は実像1017の位置で結像することで実像となる。図10に示す様に2層式再帰透過光学プレート101は、2層、直交するように重ねたプレートであるため、裏面からの入射光に対して「法線方向の折り返しをせず、面内の折り返しのみを行う」という再帰透過性を有することになる。この様子を光線1030で示している。再帰透過された光線は、プレートに関して光源と面対称位置に実像を結像することになるため、実像を形成することになる。
【0017】
図1における矢印105から見た場合の光線図を図2に示す。図2を用いて、空中浮遊像103の面内輝度分布の低下要因について説明する。白丸位置201からの出射光は所定の発散角度θをもって光が放射されているものとする。θは例えば、輝度半値全角相当とする。θに対応して2層式再帰透過光学プレート101に入射する光線を光線205、206で示す。
【0018】
下記で説明する図8より、面対称位置に結像するため、2層式再帰透過光学プレート101を透過後の光線は光線207、208となり白丸202に結像する。この結果、光線207と208で示される角度はほぼθとなり、出射光束の損失は殆ど発生しない。ところが、白丸位置203からの出射光を示す同一角θの光線209、210は、2層式再帰透過光学プレート101の大きさにより、図2における光線211、212までの角度φに制限されて入射することになり、2層式再帰透過光学プレート101を透過後の光線は光線213、214となり白丸204に結像するため、出射光束の損失が発生する。
【0019】
この結果、白丸位置204において空中浮遊映像103の輝度が低下することになる。この輝度低下を補償する手段として、映像表示装置102の発散角を制御する機能を持たせることで空中浮遊映像103の輝度を均一化することができる。
【0020】
つまり、映像表示部の表示面から出射した映像光について、映像表示部の表示面から出射して再帰性透過板を透過して空中浮遊映像の位置に到達するまでの光路長が、前記映像光が出射する映像表示部の表示面における位置に応じて異なるものであり、映像表示部102の表示面の映像表示領域は矩形であり、前記映像光の前記光路長が、映像表示部の表示面における位置において前記矩形の1つの辺に沿う方向である第1の方向に傾斜するように、映像表示部と再帰性透過板とが配置されるものであり、映像表示部は、映像表示部の表示面における第1の方向に対応する方向に単位面積当たりの出射光量が傾斜するように、異ならせる。言い換えると、光源ユニット303と拡散板302とを備えるバックライトユニットは、表示パネルの表示面における前記第1の方向に対応する方向に単位面積当たりの出射光量が傾斜するように、異ならせる。これの実施例を以下に示す。
【0021】
図3図1の矢印106の向きから見た場合の構成を示す図である。映像表示装置102は、液晶表示パネル301、拡散板302、光源ユニット303により構成されている。本実施例では、液晶表示パネル301の表示面の映像表示領域は矩形であるが、矩形でなくてもよい。液晶表示パネル301は表示パネルと、拡散板302は光学部材と称してもよい。
【0022】
また、光源ユニット303と拡散板302とを備えるバックライトユニットと称してもよい。拡散板302の断面形状は白丸201から白丸203の方向に向かって薄くなるクサビ形となっている。拡散板302は樹脂内部に光拡散材料が練りこまれている構成であり、厚さにより光源ユニット303からの出射光を所定の発散角となる様に制御することができるため、クサビ型の断面形状とすることにより、白丸203における光源発散角が狭くなり、出射光量の損失を受けることなく空中浮遊像103の白丸204における輝度低下を抑えることができ、輝度を均一化することが可能となる。
【0023】
つまり、映像表示部の表示面から出射した映像光について、映像表示部の表示面から出射して再帰性透過板を透過して空中浮遊映像の位置に到達するまでの光路長が、前記映像光が出射する映像表示部の表示面における位置に応じて異なるものであり、液晶表示パネル301の表示面の映像表示領域は矩形であり、前記映像光の前記光路長が、映像表示部の表示面における位置において、前記矩形の1つの辺に沿う方向である第1の方向に傾斜するように、映像表示部と再帰性透過板とが配置されるものであり、拡散板の厚さは、映像表示部の表示面における第1の方向に対応する方向に、異ならせる。言い換えると、拡散板302は表示パネルの表示面における前記第1の方向に対応する方向において、拡散板302の厚さが異なるように構成されている。
【0024】
図4は、本発明の一実施例に係る空中浮遊映像表示装置の第二の実施例を示す図である。図4図1の矢印106の向きから見た場合の構成を示す図である。映像表示装置102は、液晶表示パネル301、拡散板304、光源ユニット414により構成されている。光源ユニット414は、光源光学ユニット401と光源駆動回路408、409、410、411、412、413で構成されている。光源ユニット414は、光源と称してもよい。光源光学ユニット401は、LED(Light Emitting Diode)ユニット402、403、404、405、406、407で構成されており、各LEDユニットは各光源駆動回路に接続されている。LEDユニットは光源素子、発光部と称してもよい。LEDユニット402~407は基本的に同じ構成であり、図5に構成の一例を示す。
【0025】
図5は、図1の矢印105の方向からLEDユニット402を見た場合を示しており、LED415、416、417、418、419、420、421を並べて配置している。各LEDユニットの配置間隔は均一であり、各LEDは直列に接続され、図4の光源駆動回路によって定電流駆動される。図4の光源駆動回路408の駆動電流に対して、光源駆動回路413の駆動電流を増加することで白丸203における発光量が増加し、空中浮遊像103の白丸204における輝度低下を抑えることができ、輝度を均一化することが可能となる。
【0026】
つまり、映像表示部の表示面から出射した映像光について、映像表示部の表示面から出射して再帰性透過板を透過して空中浮遊映像の位置に到達するまでの光路長が、前記映像光が出射する映像表示部の表示面における位置に応じて異なるものであり、映像表示部の表示面の映像表示領域は矩形であって、前記映像光の前記光路長が、映像表示部の表示面における位置において前記矩形の1つの辺に沿う方向である第1の方向に傾斜するように、映像表示部と再帰性透過板とが配置されるものであり、光源ユニットは、映像表示部の表示面における前記第1の方向に対応する方向に単位面積当たりの出射光量が傾斜するように、異ならせる。
【0027】
さらに、光源ユニット414は複数の光源素子402~407を等間隔に配置され、光源素子402~407は、映像表示部の表示面における前記第1の方向に対応する方向に、光源素子の駆動電流を異ならせる。言い換えると、光源414は、複数の発光部402~407を有し、光源414は、複数の発光部402~407の駆動電流を異ならせることによって、表示パネル301の表示面における前記第1の方向に対応する方向に単位面積当たりの出射光量を傾斜させる。
【0028】
図6は、本発明の一実施例に係る空中浮遊映像表示装置の第三の実施例を示す図である。図6図1の矢印106の向きから見た場合の構成を示す図である。映像表示装置102は、液晶表示パネル301、拡散板304、光源ユニット431により構成されている。光源ユニット414は、光源と称してもよい。光源ユニット431は、光源光学ユニット432と光源駆動回路435で構成されている。
【0029】
光源ユニット431における光源光学ユニット432は、LEDユニット402、403、404、405、406、407で構成されており、各LEDユニットは光源駆動回路435によって定電流駆動され、同一の発光量となっている。各LEDユニットの配置間隔は図4の実施例とは異なるものである。一例として、LEDユニット402と403の配置間隔を距離433とし、LEDユニット406と407の配置間隔を距離434とした場合、距離433に比べて距離434を短縮することにより、単位面積当たりの発光量を増加することができる。
【0030】
白丸203における発光量が増加し、空中浮遊像103の白丸204における輝度低下を抑えることができ、輝度を均一化することが可能となる。つまり、映像表示部の表示面から出射した映像光について、映像表示部の表示面から出射して再帰性透過板を透過して空中浮遊映像の位置に到達するまでの光路長が、前記映像光が出射する映像表示部の表示面における位置に応じて異なるものであり、映像表示部の表示面の映像表示領域は矩形であって、前記映像光の前記光路長が、映像表示部の表示面における位置において前記矩形の1つの辺に沿う方向である第1の方向に傾斜するように、映像表示部と再帰性透過板とが配置されるものであり、光源ユニット431は、映像表示部の表示面における前記第1の方向に対応する方向に単位面積当たりの出射光量が傾斜するように、異ならせる。
【0031】
さらに、光源ユニット431は複数の光源素子402~407を有し、光源素子402~407は、映像表示部の表示面における前記第1の方向に対応する方向に、光源素子402~407の配置間隔を異ならせる。言い換えると、光源431は、複数の発光部402~407を有し、光源431は、複数の発光部の配置間隔を異ならせることによって、表示パネル301の表示面における前記第1の方向に対応する方向に単位面積当たりの出射光量を傾斜させる。
【0032】
図7は、本発明の一実施例に係る空中浮遊映像表示装置の第四の実施例を示す図である。図7図1の矢印106の向きから見た場合の構成を示す図である。映像表示装置102は、液晶表示パネル301、拡散板304、光源ユニット501により構成されている。
【0033】
光源ユニット501は、フレネルレンズ502とLEDユニット503で構成され、フレネルレンズ502の焦点位置にLEDユニット503が配置されている。光源501とフレネルレンズ502と拡散板304とを備えるものをバックライトユニットと称してもよい。また、LEDユニット503を光源と、フレネルレンズ502は光学部材と称してもよい。また、白丸201と白丸203の中点を通る法線面を点線505で示しており、フレネルレンズ502の中心となる法線面を点線506で示している。法線506は法線505に対して、白丸201の方向に距離504ずらして配置される構造となっている。この状態を矢印507から見た方向の図を図8に示す。
【0034】
図8はフレネルレンズの中心位置を示す図であり、フレネルレンズ502の光学的中心位置は法線面505と法線面506との距離差は距離504となっている。また、法線面506はフレネルレンズ502の光軸が含まれる面であり、法線面505はLEDユニット503からフレネルレンズ502面に対する法線面である。LEDユニット503で発光した光はランバーティアンの光度分布となる拡散光であるが、フレネルレンズ502の集光作用で、出射方向である拡散板304に向かって略平行光となる。この時、距離504だけずらすことにより、白丸203における発光量が白丸201の発光量より増加し、空中浮遊像103の白丸204における輝度低下を抑えることができ、輝度を均一化することが可能となる。
【0035】
つまり、光源503とフレネルレンズ502と拡散板304とを備えるバックライトユニットと表示パネル301と、表示パネル301から出射した映像光を透過して空中浮遊映像を形成せしめる再帰性透過板101と、を備え、表示パネル301の表示面から出射した映像光について、表示パネル301の表示面から出射して再帰性透過板101を透過して空中浮遊映像103の位置に到達するまでの光路長が、前記映像光が出射する表示パネル301の表示面における位置に応じて異なるものであり、光源503からフレネルレンズ502の面への法線を含む面に対して、フレネルレンズ502の光軸をシフトして配置する。
【0036】
さらに、表示パネル301の表示面の映像表示領域は矩形であって前記映像光の前記光路長が、表示パネル301の表示面における位置において前記矩形の1つの辺に沿う方向である第1の方向に傾斜するように、表示パネル301と再帰性透過板101とが配置されるものであり、バックライトユニットは、光源503から前記フレネルレンズ502の面への法線を含む面に対して、フレネルレンズ502の光軸をシフトして配置したことにより、表示パネル301の表示面における前記第1の方向に対応する方向に単位面積当たりの出射光量が傾斜するように、異ならせる。
【0037】
図9は、本発明の一実施例に係る空中浮遊映像表示装置の第五の実施例を示す図である。空中浮遊映像映像表示装置は、台形2層式再帰透過光学プレート601と映像表示装置102で構成され、空中浮遊像103を表示するものである。台形2層式再帰透過光学プレート601は再帰性透過板と、映像表示装置102は映像表示部と称してもよい。映像表示装置102は台形2層式再帰透過光学プレート601の裏面に配置され、空中浮遊像103を表示するものである。
【0038】
映像表示装置102は台形2層式再帰透過光学プレート601の裏面に配置され、点104a、104b、104c、104dは映像表示装置102の4コーナーの各位置が、形成される空中浮遊像103の4コーナーの各位置に対する結像位置との間の中点であり、台形2層式再帰透過光学シート601の面上に位置する点である。白丸201、203は映像表示装置102の出射光位置を示しており、白丸202、204は対応する空中浮遊像103の結像位置を示している。
【0039】
台形2層式再帰透過光学プレート601は異形形状、すなわち点104bから点104cに向かって、水平方向(図9に示すx方向)の幅が広くなるような形状となっている。図2で説明したように、2層式再帰透過光学プレート101の幅が広がることにより、発散角θと取り込み角φとの差が小さくなり、白丸203からの出射光束の損失を小さくできるため、空中浮遊像103の白丸204における輝度低下を抑えることができ、輝度を略均一化することが可能となる。
【0040】
つまり、映像表示部の表示面から出射した映像光について、映像表示部の表示面から出射して再帰性透過板を透過して空中浮遊映像の位置に到達するまでの光路長が、前記映像光が出射する映像表示部の表示面における位置に応じて異なるものであり、映像表示部の表示面の映像表示領域は矩形であって、前記映像光の前記光路長が、映像表示部の表示面における位置において前記矩形の1つの辺に沿う方向である第1の方向に傾斜するように、映像表示部と再帰性透過板とが配置されるものであり、再帰性透過板は映像表示部の表示面における前記第1の方向に対応する方向とは直角方向となる寸法を、異ならせる。
【0041】
よって、上述するように、空中浮遊映像表示装置は、映像表示部と、映像表示部から出射した映像光を透過して空中浮遊映像を形成せしめる再帰性透過板と、を備え、映像表示部の表示面から出射した映像光について、映像表示部の表示面から出射して再帰性透過板を透過して空中浮遊映像の位置に到達するまでの光路長が、映像光が出射する映像表示部の表示面における位置に応じて異なるものであり、映像表示部は、光路長に応じて、単位面積当たりの出射光量が異なるものである。言い換えると、表示パネルの表示面の位置における前記光路長に応じて、表示パネルの表示面の前記位置に対応する、光源ユニット303と拡散板302とを備えるバックライトユニットの出射面における単位面積当たりの出射光量を異ならせる。
【0042】
つまり、空中浮遊映像を表示する空中浮遊映像表示装置は、映像表示部から出射する光の発散角を、光透過光学素子で取り込み可能な光量および映像表示の位置に応じて調整することが可能な光学部材を備え、監視者から見た明るさが略均一となるように構成すればよい。
【0043】
本実施例においては、空中浮遊像を生成する手段として、2層式再帰透過光学プレートを例として説明したが、例えば2面のコーナーリフレクタアレイと透明樹脂材料を組み合わせた光学プレートでもよい。同様の機能を有する光学プレートであれば、限定することなく適用可能である。
【0044】
本実施例に係る技術では、映像情報を空中に浮遊した状態で表示することにより、例えば、非接触の指位置検出装置などと組み合わせることにより、ユーザは感染症の接触感染に対する不安を感じることなく操作することを可能にする。不特定多数のユーザが使用するシステムに本実施例に係る技術を用いれば、感染症の接触感染のリスクを低減し、不安を感じることなく使用できる非接触ユーザインタフェースを提供することを可能にする。これにより、国連の提唱する持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)の「3すべての人に健康と福祉を」に貢献する。
【0045】
また、本実施例に係る技術では、均一で明るい空中浮遊映像を得ることを可能にする。本実施例に係る技術によれば、エネルギー効率に優れた、非接触ユーザインタフェースを提供することができる。これにより、国連の提唱する持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)の「9産業と技術革新の基盤をつくろう」および「11住み続けられるまちづくりを」に貢献する。
【0046】
以上、種々の実施例について詳述したが、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は、本発明を分かりやすく説明するためにシステム全体を詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0047】
101…2層式再帰透過光学プレート、102…映像表示装置、103…空中浮遊映像、301…液晶表示パネル、302…拡散板、303…光源ユニット、401…光源光学ユニット、502…フレネルレンズ、601…台形2層式再帰透過光学プレート。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
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図11