(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063508
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】デマンドバス予約システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/40 20240101AFI20240502BHJP
G06Q 10/02 20120101ALI20240502BHJP
【FI】
G06Q50/30
G06Q10/02
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171526
(22)【出願日】2022-10-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】522420328
【氏名又は名称】KGビジネスサポート株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩路 久人
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L010AA03
5L049AA03
5L049CC42
5L050CC42
(57)【要約】
【課題】スマートフォン等の通信端末を所持していない、又は、上手く使用できない者、特に高齢者が快適にデマンドバスの予約を行うことができるシステムを提供すること。
【解決手段】実施形態に係るデマンドバス予約システムは、バス停に近接して設けられ、表示部を備える利用者装置と、利用者装置の遠隔に配置され、利用者装置と通信可能に接続される援助者装置とを備える。援助者装置は、表示制御部を備える。表示制御部は、援助者装置と利用者装置との音声通信の間、デマンドバスの予約情報を含む予約画面を利用者装置の表示部に表示させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バス停に近接して設けられ、表示部を備える利用者装置と、
前記利用者装置の遠隔に配置され、前記利用者装置と通信可能に接続される援助者装置と、
を備えるデマンドバス予約システムであって、
前記援助者装置は、
前記援助者装置と前記利用者装置との音声通信の間、デマンドバスの予約情報を含む予約画面を前記利用者装置の前記表示部に表示させる表示制御部、
を有するデマンドバス予約システム。
【請求項2】
前記予約情報は、目的地と、乗車予定時刻と、降車予定時刻と、前記音声通信の間に前記利用者装置を利用している利用者の識別情報と、配車予定の前記デマンドバスの識別情報とを含む、
請求項1に記載のデマンドバス予約システム。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記音声通信の終了後、現在時刻が前記乗車予定時刻に近くなると、前記乗車予定時刻が近い旨を示す移動要求情報を前記表示部に表示させる、
請求項2に記載のデマンドバス予約システム。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記音声通信の終了後、現在時刻が前記乗車予定時刻に近くなると、前記移動要求情報を表示させるとともに、前記バス停の位置と前記利用者装置の位置とを含む範囲の地図情報に、前記利用者装置から、前記利用者装置に近接する前記バス停までのルートを重畳するように表示させる、
請求項3に記載のデマンドバス予約システム。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記音声通信の終了後、現在時刻が前記乗車予定時刻に達すると、前記乗車予定時刻である旨を前記表示部に表示させる、
請求項2に記載のデマンドバス予約システム。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記利用者装置の前記表示部の表示領域が分割された3つの表示領域のうちの1つの表示領域に前記予約画面を表示させる、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のデマンドバス予約システム。
【請求項7】
前記利用者装置の遠隔に配置され、前記バス停の位置と前記利用者装置の位置とを含む範囲の地図情報と広告情報とを提供する情報提供装置をさらに備え、
前記情報提供装置は、前記3つの表示領域の残りの2つの表示領域にそれぞれ、前記地図情報と前記広告情報とを表示させる、
請求項6に記載のデマンドバス予約システム。
【請求項8】
前記情報提供装置は、1又は複数の前記デマンドバスの位置を受信すると、前記地図情報に、前記1又は複数のデマンドバスの位置をその識別情報とともに重畳するように表示させる、
請求項7に記載のデマンドバス予約システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、デマンドバス予約システムに関する。
【背景技術】
【0002】
利用者の事前予約に応じる形で、運行経路や運行スケジュールをそれに合わせて運行する地域公共交通としてデマンドバスが普及してきている。バスによるデマンド型交通をデマンドバスという。オンデマンドバスと呼ばれることもある。
【0003】
デマンドバスの予約において、スマートフォン等の通信端末を用いて行われる。しかしながら、通信端末を所持していない、又は、上手く使用できない者、特に高齢者にとってはデマンドバスの予約ができなかったり困難であったりする場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題は、スマートフォン等の通信端末を所持していない、又は、上手く使用できない者、特に高齢者が快適にデマンドバスの予約を行うことができるシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係るデマンドバス予約システムは、バス停に近接して設けられ、表示部を備える利用者装置と、利用者装置の遠隔に配置され、利用者装置と通信可能に接続される援助者装置とを備える。援助者装置は、表示制御部を備える。表示制御部は、援助者装置と利用者装置との音声通信の間、デマンドバスの予約情報を含む予約画面を利用者装置の表示部に表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係るデマンドバス予約システムを示す構成図。
【
図2】実施形態に係るデマンドバス予約システムの構成を示す図。
【
図3】実施形態に係るデマンドバス予約システムの利用者装置に備えられる表示部の構成例を示す図。
【
図4】実施形態に係るデマンドバス予約システムの予約時の動作、つまり、デマンドバス予約方法をフローチャートとして示す図。
【
図5】実施形態に係るデマンドバス予約システムにおける表示部の表示例を示す図。
【
図6】実施形態に係るデマンドバス予約システムにおける予約画面の表示例を示す図。
【
図7】実施形態に係るデマンドバス予約システムの乗車予定時刻の直前の動作をフローチャートとして示す図。
【
図8】実施形態に係るデマンドバス予約システムにおける移動要求情報の表示例を示す図。
【
図9】実施形態に係るデマンドバス予約システムの乗車予定時刻の動作をフローチャートとして示す図。
【
図10】実施形態に係るデマンドバス予約システムにおける乗車中情報の表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、デマンドバス予約システムの実施形態について詳細に説明する。
【0009】
図1は、実施形態に係るデマンドバス予約システムを示す概要図である。
【0010】
図1は、実施形態に係るデマンドバス予約システム1を示す。デマンドバス予約システム1は、援助者(オペレータ)が使用する援助者装置10と、高齢者等の利用者が使用する利用者装置20と、情報提供装置(データサーバ)30等を備える。なお、デマンドバス予約システム1において、情報提供装置30の設置は必須なものではない。
【0011】
援助者装置10は、デマンドバスのバス停L1や施設L2(つまり、利用者装置20)の遠隔に設けられる。
【0012】
利用者装置20は、デマンドバスのバス停L1に近接した施設(市役所、病院等)R2に設けられ、表示部23を備える。近接とは、例えば、徒歩圏内を意味する。デマンドバス予約システム1は利用者装置20を複数設ける。以下、デマンドバス予約システム1が利用者装置20を1つ設ける場合を便宜上説明するが、その他の利用者装置20についても同様である。また、利用者装置20は、表示部23の表示を制御する利用者装置20と通信可能に接続される。
【0013】
図2は、デマンドバス予約システム1の構成を示す図である。
【0014】
援助者装置10は、制御部11と、記憶部12と、表示部13と、操作部14と、集音部(例えば、マイク)15と、拡声器又は高声器(例えば、スピーカ)16と、ネットワーク接続部17とを設ける。
【0015】
制御部11は、専用又は汎用のCPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processor Unit)の他、特定用途向け集積回路(ASIC)、及び、プログラマブル論理医用デバイス等の制御部を意味する。プログラマブル論理医用デバイスとしては、例えば、単純プログラマブル論理医用デバイス(SPLD:Simple Programmable Logic Device)、複合プログラマブル論理医用デバイス(CPLD:Complex Programmable Logic Device)、及び、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等の回路が挙げられる。制御部11は、記憶部12に記憶された、又は、制御部11内に直接組み込まれたプログラムを読み出し実行することで後述する機能を実現する。
【0016】
記憶部12は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等によって構成される。記憶部12は、USB(Universal Serial bus)メモリ及びDVD(Digital Video Disk)等の可搬型メディアを備えてもよい。記憶部12は、制御部11において用いられる各種処理プログラム(アプリケーションプログラムの他、OS(Operating System)等も含まれる)や、プログラムの実行に必要なデータを記憶する。また、OSに、援助者等の操作者に対する表示部23への情報の表示にグラフィックを多用し、基礎的な操作を操作部14によって行うことができるGUI(Graphic User Interface)を含めることもできる。
【0017】
表示部13は、例えば液晶表示部やOLED(Organic Light Emitting Diode)表示部等の一般的な表示出力装置により構成される。表示部13は、制御部11の制御に従って各種情報を表示する。
【0018】
操作部14は、援助者等の操作者によって操作が可能な入力デバイスと、入力デバイスからの信号を入力する入力回路とを含む。入力デバイスは、トラックボール、スイッチ、マウス、キーボード、操作面に触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力デバイス、及び音声入力デバイス等によって実現される。操作者により入力デバイスが操作されると、入力回路はその操作に応じた信号を生成して制御部11に出力する。
【0019】
マイク15は、周囲の空間を伝わる音を電気信号に変換するデバイスである。マイク15は、空気の振動である音波を振動板などで受け、連続的な電圧の変化等として制御部11に出力する。
【0020】
スピーカ16は、音響を表現した電気信号を、物理的な音、つまり空気の振動に変換するデバイスである。スピーカ16は、制御部11からの連続的な電圧の変化等を空気の振動として周囲に出力する。マイク15及びスピーカ16は、マイク付きのイヤホン(例えば、
図1に示すヘッドセットH)により構成されていてもよい。
【0021】
ネットワーク接続部17は、ネットワークの形態に応じた種々の情報通信用プロトコルを実装する。ネットワーク接続部17は、この各種プロトコルに従って、援助者装置10と、外部の利用者装置20等の他の機器とを接続する。この接続には、電子ネットワークを介した電気的な接続等を適用することができる。ここで、電子ネットワークとは、電気通信技術を利用した情報通信網全般を意味し、無線/有線の病院基幹のLAN(Local Area Network)やインターネット網のほか、電話通信回線網、光ファイバ通信ネットワーク、ケーブル通信ネットワーク及び衛星通信ネットワーク等を含む。
【0022】
また、援助者装置10は、カメラを内蔵し、音声通信中に捉えた援助者の映像を利用者装置20に送信して表示部23に表示するようにしてもよい。
【0023】
利用者装置20は、制御部21と、記憶部22と、表示部23と、操作部24と、集音部(例えば、マイク)25と、スピーカ26と、ネットワーク接続部27とを設ける。制御部21、記憶部22、表示部23、マイク25、スピーカ26、及び、ネットワーク接続部27の構成は、援助者装置10の制御部11、記憶部12、表示部13、マイク15、スピーカ16、及び、ネットワーク接続部17の構成とそれぞれ同様なので説明を省略する。なお、マイク25及びスピーカ26は、
図1に示す通話器Iにより構成されていてもよい。通話器Iは、インターフォン型又は受話器型によって構成される。また、通話器Iは、カメラを内蔵し、音声通信中に捉えた利用者の映像を援助者装置10に送信して表示部13に表示するようにしてもよい。
【0024】
表示部23は、援助者装置10の表示部13と同様に、表示出力装置により構成される。一方で、表示部23は、援助者装置10の表示部13とは異なり、後述する予約入力情報を表示する第1表示領域の他、他の表示領域を備えることが好適である。例えば、表示部23は、
図3に示すように、表示領域が、第1表示領域R1と、地図情報を表示する第2表示領域R2と、広告情報を表示する第3表示領域R3とに分割される。なお、利用者装置20の1つの制御部21を介して3つの表示領域R1~R3の表示を制御する場合について説明するがその場合に限定されるものではない。例えば、利用者装置20の1つの制御部21を介して1つの表示領域R1の表示を制御し、他の1つの制御部21を介して残りの2つの表示領域R2,R3の表示を制御するようにしてもよい。
【0025】
操作部24は、後述する音声通信の開始と終了とを指示するボタンによって構成される。操作部24のボタンは表示部23の表示画面とは独立したハードキー(つまり、タッチ操作機能なし)によって実現される。例えば、操作部24のボタンは、通話器Iに設置される。なお、表示部23と操作部24のボタンとは、タッチ操作可能なソフトキーを含むタッチスクリーンによって一体的に実現されてもよい。
【0026】
情報提供装置30は、利用者装置20の遠隔に配置され、バス停L1の位置と施設L2の利用者装置20の位置とを含む範囲の地図情報と広告情報とを利用者装置20に提供する。
【0027】
ここで、援助者装置10の制御部11は、記憶部12、又は、制御部11内のメモリに記憶されたコンピュータプログラムを読み出して実行することで、通信制御部F1と、表示制御部F2とを実現する。以下、部F1,F2がコンピュータプログラムによって実現される場合を例に挙げて説明するが、部F1,F2の全部又は一部は、援助者装置10にASIC等の回路等の機能として設けられるものであってもよい。
【0028】
通信制御部F1は、利用者装置20との通信を開始する機能を含む。通信制御部F1は、利用者装置20を利用する利用者による開始操作に応じた援助者装置10の開始操作に基づいて、利用者装置20との通信を開始させる。例えば、利用者が押下する利用者装置20の通話器I(音声通信ボタン)に応じた呼び出しに対して援助者が操作部14(音声通信ボタン)を押下すると、通信制御部F1は利用者装置20との音声通信を開始させる。一方で、通信制御部F1は、援助者装置10の終了操作に基づいて、利用者装置20との通信を終了させる。例えば、音声通信中に援助者が操作部14(音声通信ボタン)を押下すると、通信制御部F1は利用者装置20との音声通信を終了させる。
【0029】
表示制御部F2は、援助者側のマイク15及びスピーカ16と利用者側のマイク25及びスピーカ26とを介した音声通信の間、デマンドバスの予約情報を含む予約画面を利用者装置20の表示部23に表示させる機能を含む。表示制御部F2は、予約情報の入力の際に当該予約画面を、利用者装置20の表示部23にも表示する。ここで、予約情報は、目的地と、乗車予定時刻と、降車予定時刻と、音声通信の間に利用者装置を利用している利用者の識別情報(利用者情報)と、配車予定のデマンドバスの識別情報(配車バス情報)「××号車」とを含む。目的地は、近接して利用者装置20が設けられるバス停と、利用者装置20が設けられていないバス停とを含むことができる。利用者情報は、利用者の名前と、乗車人数とを含むこともできる。
【0030】
また、利用者装置20の制御部21は、記憶部22、又は、制御部21内のメモリに記憶されたコンピュータプログラムを読み出して実行することで、通信制御部F3を実現する。以下、部F3がコンピュータプログラムによって実現される場合を例に挙げて説明するが、部F3の全部又は一部は、利用者装置20にASIC等の回路等の機能として設けられるものであってもよい。
【0031】
通信制御部F3は、援助者装置10と、情報提供装置30との通信を開始する機能を含む。通信制御部F3は、利用者装置20を利用する利用者による開始操作に基づいて、援助者装置10との通信を開始させる。例えば、利用者が押下する利用者装置20の通話器I(音声通信ボタン)に基づいて、通信制御部F3は援助者装置10との音声通信を開始させ、援助者装置10に呼び出し(音声通信要求)を行う。一方で、通信制御部F3は、利用者装置20の終了操作に基づいて、援助者装置10との通信を終了させる。例えば、援助者装置10との通信中に利用者が通話器I(音声通信ボタン)を押下すると、通信制御部F3は援助者装置10との音声通信を終了させる。
【0032】
続いて、デマンドバス予約システム1の動作について、
図4~
図10を用いて説明する。
【0033】
(予約時の動作)
図4は、デマンドバス予約システム1の予約時の動作、つまり、デマンドバス予約方法をフローチャートとして示す図である。
図4において、「ST」に数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。
【0034】
まず、病院等の施設L2に居るデマンドバスの利用者は、バス停L1に近接する施設L2内の利用者装置20の目前まで進む。
【0035】
図5に示すように、援助者装置10の表示制御部F2は、利用者装置20の表示部23の表示領域が分割された3つの表示領域R1~R3のうちの表示領域R1に、予約画面「こちらの電話器からデマンドバスを呼べます。」を表示させる。また、情報提供装置30は、3つの表示領域R1~R3の残りの2つの表示領域R2,R3にそれぞれ、バス停L1の位置と施設L2の利用者装置20「現」の位置とを含む範囲の地図情報と、広告情報とを表示させる。
【0036】
また、情報提供装置30は、1又は複数のデマンドバスの位置を受信すると、地図情報に、1又は複数のデマンドバスの位置をその識別情報とともに重畳するように表示させる。
図5では、2つのデマンドバス「1」、「2」の位置が重畳されている。表示領域R2の地図情報と重畳情報を参照することで、デマンドバスの予約を行う利用者や、予約を完了して施設L2で乗車待機している利用者は、デマンドバスの配置をリアルタイムで確認することができる。
【0037】
図4の説明に戻って、利用者装置20の目前に居る利用者は、利用者装置20の表示部23の表示領域R1を確認しながら、利用者装置20を利用して音声通信の開始操作を行う(ステップST1)。利用者が押下する利用者装置20の通話器I(音声通信ボタン)に基づいて、通信制御部F3は援助者装置10との音声通信を開始させ、援助者装置10に呼び出し(音声通信要求)を行う。つまり、施設L2に居る利用者は、利用者装置20を介して援助者装置10を操作する援助者に電話をかける。
【0038】
援助者は、ステップST1による利用者の操作に応じて、援助者装置10を利用して、音声通信の開始操作を行う(ステップST2)。例えば、利用者が押下する利用者装置20の通話器I(音声通信ボタン)に応じた呼び出しに対して援助者が操作部14(音声通信ボタン)を押下すると、通信制御部F1は利用者装置20との音声通信を開始させる。つまり、援助者は、援助者装置10を介して、利用者装置20を利用する利用者からの電話をとる。これにより、利用者と援助者との間の音声通信が開始される。
【0039】
表示制御部F2は、援助者装置10の表示部13への予約画面の表示を開始させるとともに(ステップST3)、利用者装置20の表示部23への当該予約画面の表示を開始させる(ステップST4)。利用者装置20の表示部23の表示画面は、援助者装置10と利用者装置20との音声通信の間、援助者装置10の表示部13の表示画面と同期がとられる。これにより、利用者は、援助者が参照している表示部13の予約画面を目前の表示部23で参照することができる。
【0040】
援助者は、音声通信を介して、利用者からデマンドバスの予約に必要な予約情報を聴取し、予約画面上に入力する。そして、表示制御部F2は、入力に従って表示部13の予約画面を更新するとともに(ステップST5)、表示部23の予約画面を更新する(ステップST6)。これにより、利用者は、援助者が参照している表示部13で更新された画面を表示部23で参照することができる。
【0041】
図6に、表示領域R1に表示される予約画面の遷移を示す図である。
図6(A)は、予約画面の初期表示である。
図6(B)は、予約画面のうち、目的地入力画面を示す。目的地は、利用者から聴取した施設名(バス停名)によって決定されてもよいし、
図6(B)に示すように地図上のポインタで指定される場所によって決定されてもよい。後者の場合、利用者は予約画面を見ながら指定場所を音声で指示する。ボタン「進む」が押下されると
図6(C)の画面に進む。
【0042】
図6(C)は、予約画面のうち、乗車予定時刻と、降車予定時刻と、利用者情報と、配車バス情報との入力画面を示す。当該入力画面には、前の画面で決定された目的地が入力されている。援助者は、利用者から音声通信により乗車予定時刻と、降車予定時刻と、利用者情報とを聴取して入力する。他方、デマンドバスの現在の配置を管理する配車システム(図示省略)からの情報に基づいて、利用者に配車することができるデマンドバスが決定されるので、援助者は、当該デマンドバスの識別情報を配車バス情報として入力する。これにより、利用者は、表示部23により、聴覚だけでなく視覚により、目的地と、乗車予定時刻と、降車予定時刻と、利用者情報と、配車バス情報とを確認することができる。ボタン「完了」が押下されると
図6(D)の画面に進む。
【0043】
図6(D)は、予約画面のうち、確認画面を示す。利用者は、この画面上で、予約情報を最終確認することができる。また、当該利用者がスマートフォンを所持していれば、2次元コードQを読み取ることで、この確認画面をスマートフォン上に表示できるようにしてもよい。
【0044】
図4の説明に戻って、援助者は、利用者からの予約情報の聴取が完了し、予約情報の入力が完了した場合に、援助者装置10と利用者装置20との間の音声通信を切断(終了操作)する。通信制御部F1は、援助者装置10と利用者装置20との間の音声通信が切断されたか否かを判断する(ステップST7)。ステップST7の判断にてYES、つまり、援助者装置10と利用者装置20との間の音声通信が切断されたと判断された場合、表示制御部F2は、表示部13の予約画面の表示を終了させるとともに(ステップST8)、表示部23の予約画面の表示を終了させる(ステップST9)。また、表示制御部F2は、予約画面を使用して決定された予約情報を登録する(ステップST10)。この登録情報は、後述する移動要求情報と乗車中情報の表示に利用される。
【0045】
一方で、ステップST7の判断にてNO、つまり、援助者装置10と利用者装置20との間の音声通信が切断されていないと判断された場合、表示制御部F2は、入力に従って表示部13の予約画面を更新するとともに(ステップST5)、表示部23の予約画面を更新する(ステップST6)。
【0046】
以上のように、デマンドバス予約システム1の予約時の動作によれば、スマートフォン等の通信端末を所持していない、又は、上手く使用できない者、特に高齢者が快適にデマンドバスの予約を行うことができる。具体的には、施設L2に居る利用者が遠隔に居る利用者と通話しながら、また、利用者が予約画面を確認しながら、援助者にデマンドバスの予約を行ってもらうことができる。
【0047】
(乗車予定時刻の直前の動作)
図7は、デマンドバス予約システム1の乗車予定時刻の直前の動作をフローチャートとして示す図である。
図7において、「ST」に数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。
【0048】
表示制御部F2は、音声通信の終了後、1又は複数人の利用者の予約情報を参照し、現在時刻がいずれかのデマンドバスの乗車予定時刻に近い(例えば、10分前)か否かを判断する(ステップST11)。ステップST11の判断にてYES、つまり、現在時刻がいずれかのデマンドバスの乗車予定時刻に近いと判断された場合、表示制御部F2は、表示部23の表示領域R3の広告情報表示に代え、いずれかのデマンドバスの乗車予定時刻が近い旨のバス停への移動要求情報を表示させる(ステップST12)。移動要求情報M1の表示例を
図8に示す。なお、ステップST12による表示は、現在時刻が乗車予定時刻により近くなるまで(例えば、3分前)、又は、乗車予定時刻に達するまで行えばよい。
【0049】
一方で、ステップST11の判断にてNO、つまり、現在時刻がいずれのデマンドバスの乗車予定時刻にも近くないと判断された場合、表示制御部F2は、現在時刻がいずれかのデマンドバスの乗車予定時刻に近いと判断されるまでステップST11の判断を繰り返す。
【0050】
なお、表示制御部F2は、音声通信の終了後、現在時刻が乗車予定時刻に近くなると、移動要求情報M1を表示させるとともに、バス停L1の位置と施設L2に近接する利用者装置20の位置とを含む範囲の地図情報に、利用者装置20からバス停L1までのルートを重畳した情報M2を表示させてもよい。これにより、バス停L1まで移動しようとする利用者は、現在位置(施設L2)からバス停L1までのルートをイメージできるので、円滑にバス停L1まで移動することができる。また、情報M1,M2は表示領域R1とは異なる表示領域R3に表示されるため、
図7に示す乗車予定時刻の直前の動作は、
図4に示す予約動作と並行して行うことができる。
【0051】
以上のように、デマンドバス予約システム1の乗車予定時刻の直前の動作によれば、スマートフォン等の通信端末を所持していない、又は、上手く使用できない者、特に高齢者にデマンドバスの接近を通知することができる。具体的には、施設L2に居る利用者がバス停L1ではなく、移動要求情報が表示されるまで空調の効いた施設L2に居ながら効率的にバス停に向かうことができる。
【0052】
(乗車予定時刻の動作)
図9は、デマンドバス予約システム1の乗車予定時刻の動作をフローチャートとして示す図である。
図9において、「ST」に数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。
【0053】
表示制御部F2は、音声通信の終了後、1又は複数人の利用者の予約情報を参照し、現在時刻がいずれかのデマンドバスの乗車予定時刻に達したか否かを判断する(ステップST21)。ステップST21の判断にてYES、つまり、現在時刻がいずれかのデマンドバスの乗車予定時刻に達したと判断された場合、表示制御部F2は、表示部23の表示領域R3の広告情報表示に代え、いずれかのデマンドバスの乗車予定時刻に達した旨のバスへの乗車中情報を表示させる(ステップST22)。移動中情報M3の表示例を
図10に示す。なお、ステップST22による表示は、一定時間(例えば、1分間)行えばよい。
【0054】
一方で、ステップST21の判断にてNO、つまり、現在時刻がいずれのデマンドバスの乗車予定時刻にも達していないと判断された場合、表示制御部F2は、現在時刻がいずれかのデマンドバスの乗車予定時刻に達したと判断されるまでステップST21の判断を繰り返す。なお、情報M3は表示領域R1とは異なる表示領域R3に表示されるため、
図9に示す乗車予定時刻の動作は、
図4に示す予約動作と並行して行うことができる。また、情報M3は
図8に示す情報M1,M2と同一の表示領域R3に表示されるが、それらは表示領域R3内で上下段に分割表示されたり、一定時間経過毎に交互表示されたりする。
【0055】
以上のように、デマンドバス予約システム1の乗車予定時刻の直前の動作によれば、スマートフォン等の通信端末を所持していない、又は、上手く使用できない者、特に高齢者にデマンドバスの接近を通知することができる。具体的には、施設L2に居る利用者がバス停L1ではなく、移動要求情報が表示されるまで空調の効いた施設L2に居ながら乗車予定のバスを逃したことを確認することができる。
【0056】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、スマートフォン等の通信端末を所持していない、又は、上手く使用できない者、特に高齢者が快適にデマンドバスの予約を行うことができるシステムを提供することができる。
【0057】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせ、実施形態と1又は複数の変形例との組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
1…デマンドバス予約システム
10…援助者装置
11…制御部
20…利用者装置
21…制御部
23…表示部
24…操作部
25…マイク
26…スピーカ
30…情報提供装置
F1,F3…通信制御部
F2…表示制御部
【手続補正書】
【提出日】2023-07-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バス停に近接して設けられ、表示部を備える利用者装置と、
前記利用者装置の遠隔に配置され、前記利用者装置と通信可能に接続される援助者装置であって、入力部を備える援助者装置と、
を備えるデマンドバス予約システムであって、
前記援助者装置は、
前記援助者装置と前記利用者装置との音声通信の間、前記入力部を介したデマンドバスの予約情報を含む予約画面への入力に従って前記利用者装置の前記表示部に表示された予約画面を更新させるとともに、前記音声通信の終了後、現在時刻が乗車予定時刻に近くなると、前記乗車予定時刻が近い旨を示す移動要求情報を前記表示部に表示させる表示制御部、
を有するデマンドバス予約システム。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記音声通信の終了後、現在時刻が前記乗車予定時刻に近くなると、前記移動要求情報を表示させるとともに、前記バス停の位置と前記利用者装置の位置とを含む範囲の地図情報に、前記利用者装置から、前記利用者装置に近接する前記バス停までのルートを重畳するように表示させる、
請求項1に記載のデマンドバス予約システム。
【請求項3】
バス停に近接して設けられ、表示部を備える利用者装置と、
前記利用者装置の遠隔に配置され、前記利用者装置と通信可能に接続される援助者装置であって、入力部を備える援助者装置と、
を備えるデマンドバス予約システムであって、
前記援助者装置は、
前記援助者装置と前記利用者装置との音声通信の間、前記入力部を介したデマンドバスの予約情報を含む予約画面への入力に従って前記利用者装置の前記表示部に表示された予約画面を更新させるとともに、前記音声通信の終了後、現在時刻が乗車予定時刻に達すると、前記乗車予定時刻である旨を前記表示部に表示させる表示制御部、
を有するデマンドバス予約システム。
【請求項4】
前記予約情報は、目的地と、乗車予定時刻と、降車予定時刻と、前記音声通信の間に前記利用者装置を利用している利用者の識別情報と、配車予定の前記デマンドバスの識別情報とを含む、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のデマンドバス予約システム。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記利用者装置の前記表示部の表示領域が分割された3つの表示領域のうちの1つの表示領域に前記予約画面を表示させる、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のデマンドバス予約システム。
【請求項6】
前記利用者装置の遠隔に配置され、前記バス停の位置と前記利用者装置の位置とを含む範囲の地図情報と広告情報とを提供する情報提供装置をさらに備え、
前記情報提供装置は、前記3つの表示領域の残りの2つの表示領域にそれぞれ、前記地図情報と前記広告情報とを表示させる、
請求項5に記載のデマンドバス予約システム。
【請求項7】
前記情報提供装置は、1又は複数の前記デマンドバスの位置を受信すると、前記地図情報に、前記1又は複数のデマンドバスの位置をデマンドバスの識別情報とともに重畳するように表示させる、
請求項6に記載のデマンドバス予約システム。