(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063519
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】ゴルフショット撮影装置及びゴルフショット解析システム
(51)【国際特許分類】
G03B 35/08 20210101AFI20240502BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20240502BHJP
G03B 19/00 20210101ALI20240502BHJP
A63B 69/36 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
G03B35/08
G03B15/00 D
G03B19/00
A63B69/36 541W
A63B69/36 541S
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171545
(22)【出願日】2022-10-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 有限会社IKD(ゴルフ練習場Life Time Golf 愛知県春日井市中央台1丁目4-4)、令和4年8月31日(販売)
(71)【出願人】
【識別番号】501389246
【氏名又は名称】株式会社ディテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(72)【発明者】
【氏名】千葉 真治
(72)【発明者】
【氏名】岡 正輝
(72)【発明者】
【氏名】浮谷 卓匡
【テーマコード(参考)】
2H054
2H059
【Fターム(参考)】
2H054BB02
2H059AA03
2H059AA08
2H059AA09
(57)【要約】
【課題】ユーザのゴルフショットをステレオ撮影する計測装置を小型化する。
【解決手段】右第1ミラー81と左第1ミラー83を左右方向に離れた位置に配置し、右第1ミラー81と左第1ミラー83と前後方向について重なる位置にカメラ7を撮影方向が後方となるように配置し、左右方向に隣接した右第2ミラー82と左第2ミラー84とをカメラ7の後方にカメラ7によって撮影されるように配置する。前方の撮像エリア3から右第1ミラー81に入射した像を右第1ミラー81、右第2ミラー82の順に反射させてカメラ7に入射し、撮像エリア3から左第1ミラー83に入射した像を左第1ミラー83、左第2ミラー84の順に反射させてカメラ7に入射し、右第1ミラー81の位置から観察した撮影エリアの像と左第1ミラー83にの位置から観察した撮影エリアの像とが左半分の画像と右半分の画像として左右に並んだ画像を撮影する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフショットのようすを撮影するゴルフショット撮影装置であって、
撮像面に結像された画像を撮影するカメラと、
当該ゴルフショット撮影装置の前方のゴルフショットが行われるエリアである撮像エリアの像が入射する第1のミラーと、
前記撮像エリアの像が入射する第2のミラーと、
前記第1のミラーで反射した前記撮像エリアの像を前記カメラの撮像面の第1の領域に結像するように反射する第3のミラーと、
前記第2のミラーで反射した前記撮像エリアの像を前記カメラの撮像面の第2の領域に結像するように反射する第4のミラーとを備え、
前記第1のミラーと前記第2のミラーは左右方向に離れた位置に配置されており、
前記第1の領域と前記第2の領域は前記撮像面上で左右に並んだ、相互に異なる領域であることを特徴とするゴルフショット撮影装置。
【請求項2】
請求項1記載のゴルフショット撮影装置であって、
前記カメラは、画素値を読み出す前記撮像面上の領域が可変なカメラであって、
当該カメラは、前記撮像面より垂直方向のサイズが小さい領域を部分読み出し領域として設定して、当該部分読み出し領域の画素値のみの読み出しを行い、
前記第1の領域は前記部分読み出し領域の左半分の領域と右半分の領域とのうちの一方の領域であり、前記第2の領域は前記撮像面の左半分の領域と右半分の領域とのうちの前記第1の領域でない方の領域であることを特徴とするゴルフショット撮影装置。
【請求項3】
請求項1記載のゴルフショット撮影装置であって、
前記カメラの撮影方向は前後方向について後方であり、
前記第1のミラーは前記カメラの左側の、前後方向について前記カメラと重なる位置に配置されており、
前記第2のミラーは前記カメラの右側の、前後方向について前記カメラと重なる位置に配置されており、
前記第3のミラーは第4のミラーの左側に隣接しており、
前記第3のミラーと第4のミラーは、前記カメラの撮影方向側に配置されていることを特徴とするゴルフショット撮影装置。
【請求項4】
請求項3記載のゴルフショット撮影装置であって、
前記第1のミラーと前記第4のミラーは、左側ほど前方よりとなる姿勢で配置され、
前記第2のミラーと前記第3のミラーは、右側ほど前方よりとなる姿勢で配置されていることを特徴とするゴルフショット撮影装置。
【請求項5】
請求項1、2、3または4記載のゴルフショット撮影装置を備えたゴルフショット解析システムであって、
前記カメラによって撮影された前記第1の領域の画像中のゴルフボールの像と前記第2の領域の画像中のゴルフボールの像から、ゴルフボールの3次元座標を算定する位置算定手段と、
前記位置算定手段が算定したゴルフボールの3次元座標の時間的な変化から、前記ゴルフボールの移動速度と移動方向を計測する移動計測部を有することを特徴とするゴルフショット解析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、ゴルフショットのようすを撮影した画像より、ゴルフショットの特性を解析する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴルフショットのようすを撮影した画像より、ゴルフショットの特性を解析する技術としては、2台のカメラを用いて、ゴルフショットのようすを異なる2つの位置(視点)から観察した2つの画像を撮影し、撮影した2つの画像を用いて、ゴルフボールやクラブヘッドの三次元の挙動を解析するシステムが知られている(たとえば、特許文献1)
また、このようなゴルフショットのようすを異なる2つの位置から観察した2つの画像を、1つのカメラを用いて撮影するゴルフショット撮影装置も知られている(特許文献2)。
【0003】
図6aに示すように、このゴルフショット撮影装置600は、カメラ601の前方斜め上に、第1ミラー602と第2ミラー603を設け、カメラ601の撮像面の下半分には、ゴルフショットが行われるエリアである撮像エリアからの光を直接入射させ、カメラ601の撮像面の上半分には、第1ミラー602、第2ミラー603の順に反射した撮像エリアからの光を入射させることにより、
図6bに示すように、カメラ601が撮影した画像610として、カメラ601の位置から直接観察した撮像エリアの画像611を下半分に、第1ミラー602の位置から観察した撮像エリアの画像612を上半分に含む画像610を生成することにより、単一のカメラ601を用いて、撮像エリアを異なる2つの位置から観察した2つの画像を得ている。
【0004】
また、本発明に関連する技術としては、標準モードにおいてイメージセンサの有効画素領域の画素の画素値を読み出すカメラにおいて、前記有効画素領域のうちの一部の領域を部分読み出し領域に設定し、部分読み出し領域の画素からのみ画素値を読み出すことにより、標準モードよりも高速なフレームレートで撮影を行う部分読み出し機能を備えたカメラが知られている(たとえば、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-086952号公報
【特許文献2】特開2019-054951号公報
【特許文献3】特開2014-225868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図6aに示したゴルフショット撮影装置によれば、
図6bに示したようにカメラ601で撮像エリアを異なる2つの位置から観察した2つの画像を垂直方向に並べた画像を生成するために、イメージセンサから読み出すことが必要となる画像の垂直方向のサイズが比較的大きくなる。一方で、部分読み出し機能に対応するカメラは、部分読み出し領域の垂直方向のサイズを小さくしないと、撮影のフレームレートを高速化できないものが多く、このようなカメラを、
図6bに示した2つの画像を垂直方向に並べた画像の生成に用いた場合には、部分読み出し機能を用いても撮影のフレームレートを充分に高速化することができない。
【0007】
また、
図6aに示したゴルフショット撮影装置によれば、カメラ601の前方に、第1ミラー602と第2ミラー603を配置する必要があるため、ゴルフショット撮影装置の前後方向のサイズを小型化することが困難であった。
そこで、本発明は、単一のカメラを用いて撮像エリアを異なる2つの位置から観察した2つの画像を撮影するゴルフショット撮影装置において、カメラとして、部分読み出し機能を備えた、部分読み出し領域の垂直方向のサイズを小さくしないと撮影のフレームレートを高速化できないカメラを用いつつ、カメラの撮影のフレームレートを高速化することを課題とする。
また、併せて、本発明は、単一のカメラを用いて撮像エリアを異なる2つの位置から観察した2つの画像を撮影するゴルフショット撮影装置を小型化することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題達成のために、本発明は、ゴルフショットのようすを撮影するゴルフショット撮影装置に、撮像面に結像された画像を撮影するカメラと、
当該ゴルフショット撮影装置の前方のゴルフショットが行われるエリアである撮像エリアの像が入射する第1のミラーと、前記撮像エリアの像が入射する第2のミラーと、前記第1のミラーで反射した前記撮像エリアの像を前記カメラの撮像面の第1の領域に結像するように反射する第3のミラーと、前記第2のミラーで反射した前記撮像エリアの像を前記カメラの撮像面の第2の領域に結像するように反射する第4のミラーとを備えたものである。ここで、前記第1のミラーと前記第2のミラーは左右方向に離れた位置に配置されており、前記第1の領域と前記第2の領域は前記撮像面上で左右に並んだ、相互に異なる領域である。
【0009】
このようなゴルフショット撮影装置によれば、単一のカメラで.撮像エリアを左右に離れた異なる2つの位置から観察した2つの画像を左右方向に並べた画像を撮影することができる。そして、この2つの画像をイメージセンサから読み出すために必要となる読み出し範囲の垂直方向のサイズは、2つの画像を垂直方向に並べた画像を撮影する場合よりも小さくなるので、カメラとして、部分読み出し機能を備えた、部分読み出し領域の垂直方向のサイズを小さくしないと撮影のフレームレートを高速化できないカメラを用いても、部分読み出し機能によって撮影のフレームレートを高速化することができる。
【0010】
より、具体的には、たとえば、このようなゴルフショット撮影装置は、前記カメラを、画素値を読み出す前記撮像面上の領域が可変なカメラとし、当該カメラで、前記撮像面より垂直方向のサイズが小さい領域を部分読み出し領域として設定して、当該部分読み出し領域の画素値のみの読み出しを行うと共に、前記第1の領域を前記部分読み出し領域の左半分の領域と右半分の領域とのうちの一方の領域とし、前記第2の領域は前記撮像面の左半分の領域と右半分の領域とのうちの前記第1の領域でない方の領域とすることができる。
【0011】
ここで、このようなゴルフショット撮影装置は、前記カメラの撮影方向を前後方向について後方とし、前記第1のミラーを前記カメラの左側の、前後方向について前記カメラと重なる位置に配置し、前記第2のミラーを前記カメラの右側の、前後方向について前記カメラと重なる位置に配置し、前記第3のミラーを第4のミラーの左側に隣接し、前記第3のミラーと第4のミラーを、前記カメラの撮影方向側に配置して構成することができる。
【0012】
また、この場合、より具体的には、前記第1のミラーと前記第4のミラーを、左側ほど前方よりとなる姿勢で配置し、前記第2のミラーと前記第3のミラーを、右側ほど前方よりとなる姿勢で配置してよい。
これらの構成によれば、カメラを、第1のミラーと第2ミラーと前後方向について重ねて配置するので、カメラと各ミラーの配置のために必要となるスペースの前後方向のサイズは、カメラの前方に各ミラーを配置する場合に比べ小さくなる。そして、これに伴い、ミラーゴルフショット撮影装置の小型化を図ることができるようになる。
【0013】
また、併せて、本発明は、以上のゴルフショット撮影装置と、前記カメラによって撮影された前記第1の領域の画像中のゴルフボールの像と前記第2の領域の画像中のゴルフボールの像から、ゴルフボールの3次元座標を算定する位置算定手段と、前記位置算定手段が算定したゴルフボールの3次元座標の時間的な変化から、前記ゴルフボールの移動速度と移動方向を計測する移動計測部を備えたゴルフショット解析システムも提供する。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、単一のカメラを用いて撮像エリアを異なる2つの位置から観察した2つの画像を撮影するゴルフショット撮影装置において、カメラとして、部分読み出し機能を備えた、部分読み出し領域の垂直方向のサイズを小さくしないと撮影のフレームレートを高速化できないカメラを用いつつ、カメラの撮影のフレームレートを高速化することができる。
また、単一のカメラを用いて撮像エリアを異なる2つの位置から観察した2つの画像を撮影するゴルフショット撮影装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係るゴルフショット解析システムを示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る計測装置の構成を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る計測装置の撮影画像を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る計測装置の他の構成例を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るゴルフショット解析システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図6】公知のゴルフショット撮影装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1aに、本実施形態に係るゴルフショット解析システムの構成を示す。
図示するように、ゴルフショット解析システムは、ユーザがゴルフショット動作を行うエリアである撮像エリア3の横に配置された計測装置1、計測装置1に接続されたデータ処理装置2を備えている。
次に、
図1b1に上側からみた計測装置1の外観を、
図1b2に右側からみた計測装置1の外観を、
図1b3に前側からみた計測装置1の外観を示す。
ここで、このような計測装置1は、前面を撮像エリア3に向けて配置されており、ユーザの撮像エリア3におけるゴルフショット動作を撮影する機能と、撮像エリア3を照明する機能と、ユーザの撮像エリア3におけるゴルフショット動作時のクラブヘッドの速度を計測する機能とを備えている。
【0017】
図示するように、計測装置1は、大別して本体部11と、本体部11の上面を覆う蓋部12とよりなり、本体部11は、円筒形状のベース部分111と、ベース部分111の上に連なるボディ部分112とを有し、ボディ部分112は、ベース部分111と同径の円筒の前部を、ボディ部分112の前面が、法線が前後方向の平面となるように切り欠いて、上面を後部がより低くなるように斜めに傾けた形状を備えている。
【0018】
次に、
図2b1に上側からみた計測装置1の内部構成を、
図2a2に右側からみた計測装置1の内部構成を示す。
図示するように、計測装置1のベース部分111には、左右2つのドップラ速度計4が収容されており、ドップラ速度計4は撮像エリア3におけるクラブヘッドの速度を計測する。
左右のそれぞれにドップラ速度計4を設けているのは、クラブの右打ちと左打ちの双方に対応するためであり、左のドップラ速度計4は右打ち用であり、前方より左に所定の角度傾いた方向の速度成分を計測する。また、右のドップラ速度計4は左打ち用であり、前方より右に所定の角度傾いた方向の速度成分を計測する。
【0019】
ここで、本実施形態では、ベース部分111を円筒形としているので、ベース部分111に突出部等を設けることなく、2つのドップラ速度計4をベース部分111の内部に、無理なく、上述した方向の速度成分を計測するように配置することができる。
次に、ボディ部分112の前面は、赤外光を透過するシールド5として形成されている。
また、ボディ部分112の内部の前部には、上下に間隔を空けて配置した上下2つの照明パネル6が配置されている。各照明パネル6は赤外LEDとレンズのセットを複数、上下左右に格子状に並べて配置したパネルであり、各照明パネル6は、シールド5を介して撮影エリアを赤外光で照明する。
【0020】
次に、ボディ部分112の内部には、カメラ7とミラーセット8が、撮影エリアの撮影のために設けられている。
カメラ7は、基板上にイメージセンサとレンズを実装したユニットであり、基板上にはイメージセンサの駆動処理や、撮影画像の転送処理や、その他の処理を行う回路が形成されている。
カメラ7は、ミラーセット8の前方斜め下の位置に、ミラーセット8を撮影するように、光軸(撮影中心軸)が後ろ斜め上方向となる姿勢で配置されている。
ミラーセット8は、シールド5を透過し、上下2つの照明パネル6の間を通ってカメラ7の左右からそれぞれ入射した撮影エリアの2つ像をカメラ7に向けて、前方斜め下方向に反射する。
そして、カメラ7は、ミラーセット8で反射された撮影エリアの2つの像を撮影する。
ここで、
図3aに、光軸に垂直で左右に傾いていない方向であるカメラ7の上下方向、すなわち、イメージセンサの垂直方向に対応する方向と平行な方向から見たミラーセット8とカメラ7を示す。
図示するように、ミラーセット8は、右第1ミラー81と右第2ミラー82と左第1ミラー83と左第2ミラー84との4つのミラーよりなり、各ミラーの前方側の面が鏡面となっている。
右第1ミラー81と左第1ミラー83は、左右方向に離れて配置されている。また、カメラ7は、右第1ミラー81と左第1ミラー83の左右方向について間の位置であって、前後方向について右第1ミラー81と左第1ミラー83と重なる位置に配置されている。
右第2ミラー82と左第2ミラー84は、右第1ミラー81と左第1ミラー83の間に、右第2ミラー82の左側部に左第2ミラー84の右側部が接する形態で配置されている。また、右第2ミラー82と左第2ミラー84は、右第2ミラー82の左側部と左第2ミラー84の右側部が、左右方向について、おおよそ、カメラ7の光軸上に位置するようにカメラ7の後方に配置されている。
【0021】
右第1ミラー81は、カメラ7の上下方向を軸方向とする軸回りに、右側ほど前方となるように傾けられており、カメラ7によって隠されずに右第1ミラー81に入射した撮影エリアの像を右第2ミラー82に向けて反射する。
左第1ミラー83は、カメラ7の上下方向を軸方向とする軸回りに、左側ほど前方となるように傾けられており、カメラ7によって隠されずに左第1ミラー83に入射した撮影エリアの像を左第2ミラー84に向けて反射する。
右第2ミラー82は、カメラ7の上下方向を軸方向とする軸回りに、右側ほど後方となるように傾けられており、右第1ミラー81から入射した撮影エリアの像をカメラ7に向けて反射する。
左第2ミラー84は、カメラ7の上下方向を軸方向とする軸回りに、左側ほど後方となるように傾けられており、左第1ミラー83から入射した撮影エリアの像をカメラ7に向けて反射する。
そして、カメラ7は、前後方向について右第1ミラー81と左第1ミラー83と重なる位置に配置され、右第2ミラー82と左第2ミラー84とを撮影することにより、
図3bに示すように、右第1ミラー81に入射した撮影エリアの像と左第1ミラー83に入射した撮影エリアの像とが、左半分の画像301と右半分の画像302として左右に並んだ画像300を撮影する。
【0022】
したがって、画像300の左半分の画像301と右半分の画像302とは、異なる位置から撮像エリア3を撮影した画像となる。
よって、本実施形態によれば、単一のカメラ7を用いて、撮像エリア3を異なる2つの位置から観察した2つの画像を撮影することができる。
また、
図2、
図3aに示したカメラ7とミラーセット8の構成によれば、ミラーセット8とカメラ7とを前後方向について重なる位置に配置できるので、計測装置1の前後方向のサイズを小型化することができる。
また、右第1ミラー81と右第2ミラー82の反射光の経路分と、左第1ミラー83と左第2ミラー84の反射光の経路分、カメラ7から撮影エリアまでの光路長が長くなるので、適正範囲の撮影エリアの撮影に、比較的に焦点距離の長いカメラ7を用いることができるようになる。
【0023】
さて、
図3bに示したように、画像300は、一般的なイメージセンサの有効画素領域のアスペクト比(1:1や3:2や4:3や16:9)よりも横長の画像となる。
そこで、本実施形態では、部分読み出し機能に対応するイメージセンサを用い、カメラ7に備えた部分読み出し機能によって、
図3cに示すように、有効画素領域310中の画像300の部分を部分読み出し領域として、当該部分読み出し領域の画素からのみ画素値を読み出す。
【0024】
ここで、画像300の領域のライン数(垂直方向のサイズ)は、有効画素領域310のライン数に比べ少ないので、このような部分読み出しを行うことにより、カメラ7として、部分読み出し機能を備えた、部分読み出し領域の垂直方向のサイズを小さくしないと撮影のフレームレートを高速化できないカメラを用いた場合にも、高速なフレームレートでの撮影を行える。
次に、このような画像300の撮影は、ミラーセット8とカメラ7を
図4に示すように構成しても行うことができる。
この構成では、右第2ミラー82を、カメラ7の上下方向を軸方向とする軸回りに、右側ほど前方となるように傾け、左第2ミラー84を、カメラ7の上下方向を軸方向とする軸回りに、左側ほど前方となるように傾けている。また、右第2ミラー82と左第2ミラー84の後方側の面を鏡面としている。
【0025】
また、カメラ7を右第2ミラー82と左第2ミラー84の後方に配置すると共に、カメラ7の光軸方向を
図2、
図3aに示した構成における光軸方向と反対方向、すなわち、後方から、右第2ミラー82と左第2ミラー84を撮影する方向に設定している。
このような構成において、右第1ミラー81に入射した撮影エリアの像は右第1ミラー81、右第2ミラー82の順に反射されてカメラ7に入射し、左第1ミラー83に入射した撮影エリアの像は左第1ミラー83、左第2ミラー84の順に反射されてカメラ7に入射し、結果、右第2ミラー82と左第2ミラー84を撮影するカメラ7によって右第1ミラー81に入射した撮影エリアの像と左第1ミラー83に入射した撮影エリアの像とが左半分の画像301と右半分の画像302として左右に並んだ画像300が撮影される。
【0026】
図4に示した構成は、ミラーセット8とカメラ7を前後方向について重ならない位置に配置する構成となるため、
図3に示したミラーセット8とカメラ7の組み合わせよりも、計測装置1の小型化の観点からは不利であるが、上述のようにイメージセンサの部分読み出しを行うことにより、高速なフレームレートでの撮影を行える。
【0027】
図2に戻り、この他に計測装置1のボディ部分112の内部には、ドップラ速度計4や照明パネル6やカメラ7の制御や、その他の各種処理を行う回路基板9や、図示を省略した電源装置なども収容されている。
以下、以上のようなゴルフショット解析システムの機能構成について説明する。
図5に、ゴルフショット解析システムの機能構成を示す。
図示するように計測装置1は、上述した構成に加え、計測制御部91と、コントローラ92を備えている。また、コントローラ92は、通信インタフェース921を備えている。
ここで、計測制御部91とコントローラ92は、上述した回路基板9に搭載された機能部である。
計測制御部91は、照明パネル6の点灯動作やドップラ速度計4の計測動作を制御する。
コントローラ92は、計測装置1の全体の動作を制御する他、カメラ7が撮影した画像の画像データや、計測制御部91を介して取得したドップラ速度計4で計測した速度を表す速度データのデータ処理装置2への通信インタフェース921を介した転送等を行う。
【0028】
また、データ処理装置2は、計測装置1から転送された画像データや速度データの受信等を行う通信インタフェース21、通信インタフェース21が受信した速度データを格納する速度データメモリ22、通信インタフェース21が受信した画像データを格納する画像メモリ23、ボール計測部24、ヘッド計測部25、スピン計測部26、表示装置27、入力装置28、以上各部を制御する制御部29を備えている。ただし、データ処理装置2はコンピュータを用いて構成してもよく、この場合、ヘッド計測部25、ボール計測部24、スピン計測部26、制御部29等は、所定のコンピュータプログラムをコンピュータが実行することにより実現されるものとしてよい。
【0029】
ボール計測部24は、画像メモリ23に格納されたカメラ7が撮影した所定時間間隔のフレームの画像を対象画像とし、対象画像を用いて、ゴルフボールの移動速度や移動方向を求めるボール計測を行う。
すなわち、ボール計測部24は、各対象画像の左半分の画像301と右半分の画像302とのそれぞれについて、画像中のゴルフボールの領域を抽出し、抽出したゴルフボールの重心の位置を算定する。そして、左半分の画像301中の重心の位置と、右半分の画像302中の重心の位置とから、ゴルフボールの重心の位置の三次元座標を算定する。
【0030】
なお、上述のようにカメラ7が撮影した画像300の左半分の画像301と右半分の画像302とは、異なる位置から撮像エリア3を撮影した画像であるので、左半分の画像301と右半分の画像302から撮影エリア内にあるゴルフボールの三次元座標をステレオ法によって算定することができる。
【0031】
そして、各対象画像について算定した三次元座標の推移から、ゴルフボールの速度(初速)や仰角(打ち出し角)や左右方向の角度(フック方向の角度、スライス方向の角度)などの移動方向とを算定する。
次に、ヘッド計測部25は、速度データメモリ22に格納された速度データから、クラブヘッドの速度を算定する。また、ヘッド計測部25において、画像メモリ23に格納された、クラブヘッドインパクト時の画像を用いて、クラブヘッドのフェース面の姿勢(ロフト角方向の角度、ライ角方向方向の角度、フェース角など)を算定する処理等も行うようにしてよい。
【0032】
そして、スピン計測部26は、画像メモリ23に格納された、クラブヘッドインパクト直後の異なる時点の左半分の画像301(もしくは、右半分の画像302)間のゴルフボールの姿勢の変化からゴルフボールのスピンを計測するスピン計測を行う。
さて、次に制御部29は、以上のようにしてカメラ7で撮影された画像や、ボール計測部24で計測されたゴルフボールの速度や移動方向や、ヘッド計測部25で計測されたクラブヘッドのフェース面の姿勢や、スピン計測部26で計測されたスピン(回転軸の傾き、バックスピン、サイドスピン)を表示装置27に表示する処理などを行う。
【0033】
以上、本発明の実施形態について説明した。
【符号の説明】
【0034】
1…計測装置、2…データ処理装置、3…撮像エリア、4…ドップラ速度計、5…シールド、6…照明パネル、7…カメラ、8…ミラーセット、9…回路基板、11…本体部、12…蓋部、21…通信インタフェース、22…速度データメモリ、23…画像メモリ、24…ボール計測部、25…ヘッド計測部、26…スピン計測部、27…表示装置、28…入力装置、29…制御部、81…右第1ミラー、82…右第2ミラー、83…左第1ミラー、84…左第2ミラー、91…計測制御部、92…コントローラ、111…ベース部分、112…ボディ部分、921…通信インタフェース。