(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063535
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】増幅器
(51)【国際特許分類】
H03F 1/02 20060101AFI20240502BHJP
H03F 3/60 20060101ALI20240502BHJP
H03F 3/68 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
H03F1/02 194
H03F1/02 188
H03F3/60
H03F3/68 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171580
(22)【出願日】2022-10-26
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/ポスト5G情報通信システムの開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】住吉 高志
【テーマコード(参考)】
5J067
5J500
【Fターム(参考)】
5J067AA21
5J067AA22
5J067AA41
5J067AA63
5J067AA64
5J067AA65
5J067CA36
5J067FA12
5J067FA15
5J067FA19
5J067HA12
5J067HA29
5J067HA33
5J067KA12
5J067KA16
5J067KA29
5J067KA68
5J067KS01
5J067KS11
5J067LS12
5J067LS13
5J067SA13
5J067TA02
5J067TA05
5J067TA07
5J500AA04
5J500AA21
5J500AA22
5J500AA41
5J500AA63
5J500AA64
5J500AA65
5J500AC36
5J500AF12
5J500AF15
5J500AF19
5J500AH12
5J500AH29
5J500AH33
5J500AK12
5J500AK16
5J500AK29
5J500AK68
5J500AS13
5J500AT02
5J500AT05
5J500AT07
(57)【要約】
【課題】所望の特性を有する増幅器を提供する。
【解決手段】増幅器100は、第1信号を増幅する第1アンプ10と、第1端が第1アンプの出力ノードに電気的に接続され、第2端が第1中間ノードに電気的に接続された第1整合回路32と、第1端が第1中間ノードに電気的に接続され、第2端が第1出力ノードに電気的に接続された第1伝送線路と、を備え、動作帯域の中心周波数において、第1出力ノードNo1から第1伝送線路を見たインピーダンスZo1の第1リアクタンス成分は、第1中間ノードNm1から第1整合回路をみたインピーダンスZm1の第2リアクタンス成分より小さく、中心周波数において、第1伝送線路の第1特性インピーダンスは、第1整合回路の第1端および第2端を基準インピーダンスに終端したとき、第2端から第1整合回路を見た第1インピーダンスの絶対値の0.5倍以上かつ2倍以下である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1信号を増幅する第1アンプと、
第1端が前記第1アンプの出力ノードに電気的に接続され、第2端が第1中間ノードに電気的に接続された第1整合回路と、
第1端が前記第1中間ノードに電気的に接続され、第2端が第1出力ノードに電気的に接続された第1伝送線路と、
を備え、
動作帯域の中心周波数において、前記第1出力ノードから前記第1伝送線路を見たインピーダンスの第1リアクタンス成分は、前記第1中間ノードから前記第1整合回路をみたインピーダンスの第2リアクタンス成分より小さく、
前記中心周波数において、前記第1伝送線路の第1特性インピーダンスは、前記第1整合回路の前記第1端および前記第2端を基準インピーダンスに終端したとき、前記第2端から前記第1整合回路を見た第1インピーダンスの絶対値の0.5倍以上かつ2倍以下である増幅器。
【請求項2】
前記第1リアクタンス成分は、前記第2リアクタンス成分の0.5倍以下である請求項1に記載の増幅器。
【請求項3】
前記第1特性インピーダンスは、前記第1インピーダンスの絶対値の0.8倍以上かつ1.25倍以下である請求項1または請求項2に記載の増幅器。
【請求項4】
第2信号を増幅する第2アンプと、
第1端が前記第2アンプの出力ノードに電気的に接続され、第2端が第2中間ノードに電気的に接続された第2整合回路と、
第1端が前記第2中間ノードに電気的に接続され、第2端が第2出力ノードに電気的に接続された第2伝送線路と、
前記第1出力ノードに出力される増幅された第1信号と、前記第2出力ノードに出力される増幅された第2信号と、を合成し、合成された信号を出力信号として出力する合成器と、
を備え、
前記中心周波数において、前記第2出力ノードから前記第2伝送線路を見たインピーダンスの第3リアクタンス成分は、前記第2中間ノードから前記第2整合回路をみたインピーダンスの第4リアクタンス成分より小さく、
前記中心周波数において、前記第2伝送線路の第2特性インピーダンスは、前記第2整合回路の前記第1端および前記第2端を基準インピーダンスに終端したとき、前記第2端から前記第2整合回路を見た第2インピーダンスの絶対値の0.5倍以上かつ2倍以下である請求項1に記載の増幅器。
【請求項5】
入力する入力信号に基づき、前記第1信号および第2信号のアウトフェージング角を変化させ、前記第1アンプに前記アウトフェージング角を変化させた第1信号を出力し、前記第2アンプに前記アウトフェージング角を変化させた第2信号を出力する信号処理器を備え、
前記増幅器はアウトフェージング増幅器である請求項4に記載の増幅器。
【請求項6】
前記アウトフェージング角が最大値と最小値との間の少なくとも1つの値のとき、前記第1リアクタンス成分は前記第2リアクタンス成分より小さく、前記第3リアクタンス成分は前記第4リアクタンス成分より小さい請求項5に記載の増幅器。
【請求項7】
前記アウトフェージング角が最小値のとき、前記第1リアクタンス成分は前記第2リアクタンス成分より小さく、前記第3リアクタンス成分は前記第4リアクタンス成分より小さく、
前記アウトフェージング角が最大値のとき、前記第1リアクタンス成分は前記第2リアクタンス成分より小さく、前記第3リアクタンス成分は前記第4リアクタンス成分より小さい請求項5に記載の増幅器。
【請求項8】
入力信号を前記第1信号と前記第2信号に分配する分配器を備え、
前記第1アンプはキャリアアンプであり、前記第2アンプは、ピークアンプであり、前記増幅器はドハティ増幅器である請求項4に記載の増幅器。
【請求項9】
前記第1リアクタンス成分は、前記第2リアクタンス成分の1/2以下であり、
前記第3リアクタンス成分は、前記第4リアクタンス成分の1/2以下である請求項4から請求項8のいずれか一項に記載の増幅器。
【請求項10】
前記第1特性インピーダンスは、前記第1インピーダンスの絶対値の0.8倍以上かつ1.25倍以下であり、
前記第2特性インピーダンスは、前記第2インピーダンスの絶対値の0.8倍以上かつ1.25倍以下である請求項4から請求項8のいずれか一項に記載の増幅器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波等の高周波信号を増幅する増幅器では、アンプと出力端子との間に整合回路を設ける。整合回路は、出力端子に接続される負荷を所望のインピーダンスに整合させる。すなわち、出力端子に負荷が接続されているとき、アンプから整合回路をみると、アンプの性能が発揮できるインピーダンスとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、整合回路の設計は難しく、出力端子から整合回路を見たリアクタンス成分が大きい場合、増幅器の帯域が狭くなるなど所望の特性が得られなくなってしまう。
【0005】
本開示は、上記課題に鑑みなされたものであり、所望の特性を有する増幅器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態は、第1信号を増幅する第1アンプと、第1端が前記第1アンプの出力ノードに電気的に接続され、第2端が第1中間ノードに電気的に接続された第1整合回路と、第1端が前記第1中間ノードに電気的に接続され、第2端が第1出力ノードに電気的に接続された第1伝送線路と、を備え、動作帯域の中心周波数において、前記第1出力ノードから前記第1伝送線路を見たインピーダンスの第1リアクタンス成分は、前記第1中間ノードから前記第1整合回路をみたインピーダンスの第2リアクタンス成分より小さく、前記中心周波数において、前記第1伝送線路の第1特性インピーダンスは、前記第1整合回路の前記第1端および前記第2端を基準インピーダンスに終端したとき、前記第2端から前記第1整合回路を見た第1インピーダンスの絶対値の0.5倍以上かつ2倍以下である増幅器である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、所望の特性を有する増幅器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施例1に係る増幅器のブロック図である。
【
図2】
図2は、実施例1に係る増幅器のブロック図である。
【
図3】
図3は、実施例1における出力電力のベクトルの模式図である。
【
図4】
図4は、実施例1における出力電力のベクトルの模式図である。
【
図5】
図5は、比較例1に係る増幅器のブロック図である。
【
図6】
図6は、実施例1における整合回路およびオフセット線路の設計方法を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、ロードプル測定システムを示すブロック図である。
【
図8】
図8は、ロードプルチューナが変化させるインピーダンスZa1を示すスミスチャートである。
【
図9】
図9は、インピーダンスZsatおよびZboの例を示すスミスチャートである。
【
図10】
図10は、整合回路をシミュレーションするときの回路図である。
【
図11】
図11は、整合回路のインピーダンスの絶対値をシミュレーションするときの回路図である。
【
図12】
図12は、オフセット線路をシミュレーションするときの回路図である。
【
図13】
図13は、整合回路およびオフセット線路の設計後のインピーダンスZo1を示すスミスチャートである。
【
図14】
図14は、実施例1における出力電力に対するドレイン効率を示す図である。
【
図15】
図15は、実施例2に係る増幅器のブロック図である。
【
図16】
図16は、実施例3に係る増幅器のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本開示の一実施形態は、第1信号を増幅する第1アンプと、第1端が前記第1アンプの出力ノードに電気的に接続され、第2端が第1中間ノードに電気的に接続された第1整合回路と、第1端が前記第1中間ノードに電気的に接続され、第2端が第1出力ノードに電気的に接続された第1伝送線路と、を備え、動作帯域の中心周波数において、前記第1出力ノードから前記第1伝送線路を見たインピーダンスの第1リアクタンス成分は、前記第1中間ノードから前記第1整合回路をみたインピーダンスの第2リアクタンス成分より小さく、前記中心周波数において、前記第1伝送線路の第1特性インピーダンスは、前記第1整合回路の前記第1端および前記第2端を基準インピーダンスに終端したとき、前記第2端から前記第1整合回路を見た第1インピーダンスの絶対値の0.5倍以上かつ2倍以下である増幅器である。これにより、所望の特性を有する増幅器を提供することができる。
(2)上記(1)において、前記第1リアクタンス成分は、前記第2リアクタンス成分の0.5倍以下である。
(3)上記(1)または(2)において、前記第1特性インピーダンスは、前記第1インピーダンスの絶対値の0.8倍以上かつ1.25倍以下である。
(4)上記(1)において、第2信号を増幅する第2アンプと、第1端が前記第2アンプの出力ノードに電気的に接続され、第2端が第2中間ノードに電気的に接続された第2整合回路と、第1端が前記第2中間ノードに電気的に接続され、第2端が第2出力ノードに電気的に接続された第2伝送線路と、前記第1出力ノードに出力される増幅された第1信号と、前記第2出力ノードに出力される増幅された第2信号と、を合成し、合成された信号を出力信号として出力する合成器と、を備え、前記中心周波数において、前記第2出力ノードから前記第2伝送線路を見たインピーダンスの第3リアクタンス成分は、前記第2中間ノードから前記第2整合回路をみたインピーダンスの第4リアクタンス成分より小さく、前記中心周波数において、前記第2伝送線路の第2特性インピーダンスは、前記第2整合回路の前記第1端および前記第2端を基準インピーダンスに終端したとき、前記第2端から前記第2整合回路を見た第2インピーダンスの絶対値の0.5倍以上かつ2倍以下である。
(5)上記(4)において、入力する入力信号に基づき、前記第1信号および第2信号のアウトフェージング角を変化させ、前記第1アンプに前記アウトフェージング角を変化させた第1信号を出力し、前記第2アンプに前記アウトフェージング角を変化させた第2信号を出力する信号処理器を備え、前記増幅器はアウトフェージング増幅器である。
(6)上記(5)において、前記アウトフェージング角が最大値と最小値との間の少なくとも1つの値のとき、前記第1リアクタンス成分は前記第2リアクタンス成分より小さく、前記第3リアクタンス成分は前記第4リアクタンス成分より小さい。
(7)上記(5)において、前記アウトフェージング角が最小値のとき、前記第1リアクタンス成分は前記第2リアクタンス成分より小さく、前記第3リアクタンス成分は前記第4リアクタンス成分より小さく、前記アウトフェージング角が最大値のとき、前記第1リアクタンス成分は前記第2リアクタンス成分より小さく、前記第3リアクタンス成分は前記第4リアクタンス成分より小さい。
(8)上記(4)において、入力信号を前記第1信号と前記第2信号に分配する分配器を備え、前記第1アンプはキャリアアンプであり、前記第2アンプは、ピークアンプであり、前記増幅器はドハティ増幅器である。
(9)上記(4)から(8)のいずれかにおいて、前記第1リアクタンス成分は、前記第2リアクタンス成分の1/2以下であり、前記第3リアクタンス成分は、前記第4リアクタンス成分の1/2以下である。
(10)上記(4)から(8)のいずれかにおいて、前記第1特性インピーダンスは、前記第1インピーダンスの絶対値の0.8倍以上かつ1.25倍以下であり、前記第2特性インピーダンスは、前記第2インピーダンスの絶対値の0.8倍以上かつ1.25倍以下である。
【0010】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態にかかる増幅器の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0011】
[実施例1]
実施例1では、増幅器としてアウトフェージング増幅器の例を説明する。
図1は、実施例1に係る増幅器のブロック図である。
図1に示すように、増幅器100では、入力端子Tinと出力端子Toutとの間にアンプ10(第1アンプ)とアンプ11(第2アンプ)とが並列に接続されている。入力端子Tinに入力信号Siとして高周波信号が入力する。増幅器100が移動体通信の基地局に用いられる場合、高周波信号の周波数は例えば0.5GHz以上かつ10GHz以下である。信号処理器20は入力信号Siを信号処理し、2つの信号Si1(第1信号)および信号Si2(第2信号)として出力する。
【0012】
信号Si1は整合回路30を通過しアンプ10に入力される。整合回路30は信号処理器20の出力インピーダンスとアンプ10の入力インピーダンスを整合させる。アンプ10は、整合回路30を通過して入力された信号Si1を増幅し、整合回路32(第1整合回路)およびオフセット線路40(第1伝送線路)を通過して、増幅された信号So1を出力する。整合回路32およびオフセット線路40を通過した信号So1は合成器16に入力される。整合回路32およびオフセット線路40は、アンプ10の出力インピーダンスと合成器16の入力インピーダンスを整合させる。信号Si2は整合回路31を通過しアンプ11に入力される。整合回路31は信号処理器20の出力インピーダンスとアンプ11の入力インピーダンスを整合させる。アンプ11は、整合回路31を通過して入力された信号Si2を増幅し、整合回路33(第2整合回路)およびオフセット線路42(第2伝送線路)を通過して、増幅された信号So2を出力する。整合回路33およびオフセット線路42を通過した信号So2は合成器16に入力する。整合回路33およびオフセット線路42は、アンプ11の出力インピーダンスと合成器16の入力インピーダンスを整合させる。合成器16は、信号So1とSo2とを合成する。合成された信号は出力信号Soとして出力端子Toutから出力される。
【0013】
バイアス回路34は、バイアス電圧Vg1をアンプ10のゲートGに供給するとともに、信号Si1がバイアス端子に漏れることを抑制する。バイアス回路36は、バイアス電圧Vd1をアンプ10のドレインDに供給するとともに、アンプ10により増幅された信号So1がバイアス端子に漏れることを抑制する。バイアス回路35は、バイアス電圧Vg2をアンプ11のゲートGに供給するとともに、信号Si2がバイアス端子に漏れることを抑制する。バイアス回路37は、バイアス電圧Vd2をアンプ11のドレインDに供給するとともに、アンプ11により増幅された信号So2がバイアス端子に漏れることを抑制する。
【0014】
アンプ10および11は、例えばFET(Field Effect Transistor)18および19をそれぞれ備える。FET18および19のソースSは接地され、ゲートGに信号Si1および信号Si2が、それぞれ整合回路30および整合回路31を通過してそれぞれ入力され、ドレインDは増幅した信号が出力する。FET18および19は、例えばGaN HEMT(Gallium Nitride High Electron Mobility TranSistor)またはLDMOS(Laterally Diffused Metal Oxide Semiconductor)である。アンプ10および11にはそれぞれ多段のFETが設けられていてもよい。整合回路32およびオフセット線路40、整合回路33およびオフセット線路42の機能については後述する。
【0015】
信号処理器20は、例えばSingnal Processing Unitであり、入力信号Siをデジタル処理し信号Si1およびSi2を出力する。アウトフェージング増幅器である増幅器100では、入力信号Siの入力電力の振幅に対応した出力電力の振幅を有する出力信号Soを出力する。信号処理器20は、入力信号Siの振幅に依存した出力信号Soを出力するため、入力信号Siの振幅に依存して信号Si1およびSi2のアウトフェージング角を設定する。
【0016】
図2は、実施例1に係る増幅器のブロック図である。
図2では、
図1に比べ、整合回路30、31およびバイアス回路34、35、36および37の図示を省略し、合成器16内の構成を図示している。
図2に示すように、実施例1のアウトフェージング増幅器では、合成器16は、例えばシレイ合成器である。合成器16は、インダクタL1、キャパシタC1、インピーダンス変換器14および15を備えている。キャパシタC1は信号So1が通過するノードN1にシャント接続されている。インダクタL1は信号So2が通過するノードN2にシャント接続されている。
【0017】
アンプ10の出力ノードはノードNa1である。整合回路32の第1端はノードNa1に電気的に接続され、整合回路32の第2端はノードNm1(第1中間ノード)に電気的に接続されている。オフセット線路40の第1端はノードNm1に電気的に接続され、オフセット線路40の第2端はノードNo1(第1出力ノード)に接続されている。アンプ11の出力ノードはノードNa2である。整合回路33の第1端はノードNa2に電気的に接続され、整合回路33の第2端はノードNm2(第2中間ノード)に電気的に接続されている。オフセット線路42の第1端はノードNm2に電気的に接続され、オフセット線路42の第2端はノードNo2(第2出力ノード)に接続されている。
【0018】
出力端子Toutには負荷抵抗RLが接続されている。負荷抵抗RLの第1端および第2端は、それぞれ出力端子Toutおよびグランドに接続されている。ノードNa1およびNa2から整合回路32および33をみたインピーダンスは、それぞれアンプ10および11の負荷インピーダンスZa1およびZa2である。ノードNo1からオフセット線路40をみたインピーダンスは第1インピーダンスZo1である。ノードNo2からオフセット線路42をみたインピーダンスは第3インピーダンスZo2である。ノードNm1から整合回路32をみたインピーダンスは第2インピーダンスZm1である。ノードNm2から整合回路33をみたインピーダンスは第4インピーダンスZm2である。インピーダンスZo1、Zo2、Zm1およびZm2は、それぞれRo1+jXo1、Ro2+jXo2、Rm1+jXm1およびRm2+jXm2である。Ro1、Ro2、Rm1およびRm2は、実部であり抵抗成分である。Xo1、Xo2、Xm1およびXm2は、虚部でありリアクタンス成分である。jは虚数単位である。
【0019】
インピーダンス変換器14および15の第1端はそれぞれノードN1およびN2に接続され、第2端は共通にノードN3に接続されている。ノードN3において信号So1と信号So2とが合成される。インピーダンス変換器14および15は、それぞれオフセット線路40および42の出力インピーダンスを負荷抵抗RLの2倍の抵抗値に変換する。これにより、出力端子ToutからノードN3をみたインピーダンスは負荷抵抗RLの抵抗値となる。インピーダンス変換器14および15は、例えば電気長がほぼλ/4である伝送線路である。λは、増幅器100の動作周波数帯域の中心周波数における波長である。インピーダンス変換器14および15の電気長は、例えば3λ/16以上かつ5λ/16以下または7λ/32以上かつ9λ/32以下である。
【0020】
[アウトフェージング動作の説明]
図3および
図4は、実施例1における出力電力のベクトルの模式図である。
図3は、増幅器100の出力電力Poを最大とするときに相当し、
図4は、増幅器100の出力電力P0を最小とするときに相当する。最大の出力電力Poを飽和電力と称し電力Psatで表す。最小の出力電力Poをバックオフ電力と称し電力Pboで表す。電力Psatと電力Pboの差がダイナミックレンジである。
【0021】
図3および
図4において、電力P1は出力ノードNo1における信号So1の電力のベクトルであり、電力P2は出力ノードNo2における信号So2の電力のベクトルである。電力P1およびP2は、例えばそれぞれアンプ10および11の飽和電力である。電力P1とP2との合成ベクトルは出力端子Toutから出力される出力電力Poである。アウトフェージング角をθaとし、電力P1とP2の位相差をθdとすると、2×θa+θd=180°である。すなわち、位相差θdが180°の状態から、電力P1の位相を+θa回転し、電力P2の位相を-θa回転させたとき、角θaをアウトフェージング角という。
【0022】
図3に示すように、出力電力Poを大きくするときには、アウトフェージング角θaを大きくし、90°に近づける。
図4に示すように、出力電力Poを小さくするときには、アウトフェージング角θaを小さくし、0°に近づける。シレイ合成器である合成器16では、アウトフェージング角を90°付近および0°付近とすると、出力ノードNo1およびNo2から合成器16をみたインピーダンスのリアクタンス成分が大きくなり、アンプ10および11の負荷インピーダンスZa1およびZa2が最適値からずれてしまう。このため、アウトフェージング角θaは、90°より小さい角θsatと、0°より大きい角θboの範囲で用いる。すなわち、
図3において、出力電力Poが電力Psatのときのアウトフェージング角θaは角θsatである。
図4において、出力電力Poが電力Pboのときのアウトフェージング角θaはθboである。角θsatは例えば70°であり、角θboは例えば10°である。
【0023】
アウトフェージング角θaの制御は信号処理器20が行う。例えば、出力電力Poを大きくするとき、信号処理器20は、信号Si1とSi2のアウトフェージング角θaを大きくする。出力電力Poを小さくするとき、信号処理器20は、信号Si1とSi2のアウトフェージング角θaを小さくする。信号Si1およびSi2のアウトフェージング角θaと、信号Si1およびSi2を増幅した信号So1およびSo2のアウトフェージング角θaはほぼ同じである。よって、信号処理器20が信号Si1とSi2のアウトフェージング角θaを変化させることで、アウトフェージング角θaを変化させることができる。このように、信号処理器20は、入力する入力信号Siに基づき、信号Si1とSi2とのアウトフェージング角θaを変化させ、アンプ10および11にアウトフェージング角θaを変化させた信号Si1とSi2とを出力する
【0024】
図2の負荷抵抗RLは、アウトフェージング角θaに依存する。アウトフェージング角θaが角θsatのとき、負荷抵抗RLの抵抗値は抵抗値Rsatであり、アウトフェージング角θaが角θboのとき、負荷抵抗RLの抵抗値は抵抗値Rsatより大きい抵抗値Rboである。抵抗値RsatおよびRboは一例としてそれぞれ11Ωおよび88Ωである。このように、アウトフェージング増幅器では、負荷抵抗RLの抵抗値の差が大きくなり、例えば抵抗値Rboは抵抗値Rsatの例えば2倍以上である。
【0025】
[比較例1]
図5は、比較例1に係る増幅器のブロック図である。
図5に示すように、比較例1の増幅器110では、オフセット線路40および42が設けられていない。その他の回路構成は実施例1の
図2と同じである。
【0026】
比較例1の課題について説明する。アウトフェージング増幅器では、ダイナミックレンジが大きいため負荷抵抗RLの抵抗値RsatとRboの差が大きい。ノードNa1(およびNa2)から整合回路32(および33)をみた負荷インピーダンスZa1(およびZa2)は、負荷抵抗RLが変化してもアンプ10の性能が最適値に近づくように、整合回路32(および33)を設計する。例えば、負荷抵抗RLの抵抗値が抵抗値Rsatのとき、インピーダンスZa1(およびZa2)をアンプ10(および11)のドレイン効率等の性能が最大になり、かつ、負荷抵抗RLの抵抗値が抵抗値Rboのとき、インピーダンスZa1(およびZa2)をアンプ10(および11)のドレイン効率等の性能が最大になるように、整合回路32(および33)を設計する。
【0027】
しかし、矢印50aのように信号So1の一部はノードN3を越え、出力ノードNo2まで回り込む。同様に、矢印50bのように信号So2の一部はノードN3を越え、出力ノードNo1まで回り込む。このため、整合回路32および33の設計が複雑化する。その1つの要因として、出力ノードNo1およびNo2から整合回路32および33をそれぞれみたときのインピーダンスZn1およびZn2のリアクタンス成分Xn1およびXn2が大きいことがある。
【0028】
インピーダンスZn1およびZn2のリアクタンス成分Xn1およびXn2が小さければ、ノードNo1およびNo2より後段の回路設計はスミスチャートの実軸上でインピーダンスを変換すればよく、設計は比較的容易である。例えばλ/4線路を用いれば実軸上のインピーダンス変換が容易となる。しかし。インピーダンスZn1およびZn2のリアクタンス成分が大きい場合には、ノードNo1およびNo2より後段の回路設計は容易でない。特にアウトフェージング増幅器では、負荷抵抗RLが抵抗値RsatとRboにおいて、インピーダンスZa1およびZa2が最適になるように、整合回路32、33および合成器16等を設計することになり、かつ矢印50aおよび50bのような信号So1およびSo2の回り込みを考慮することになる。
【0029】
このように、比較例1では、インピーダンスZn1およびZn2のリアクタンス成分Xn1およびXn2が大きいため、増幅器110の設計が難しくなる。また、設計時における増幅器の予想特性と、実際の増幅器の特性とが異なってしまう。
【0030】
さらに、インピーダンスZn1およびZn2のリアクタンス成分Xn1およびXn2が大きい場合、整合回路32および33のQ値(Quarity fuctor)が高くなる。このため、周波数の帯域が狭くなってしまう。
【0031】
[実施例1における整合回路およびオフセット線路の設計方法]
実施例1における整合回路32、33、オフセット線路40および42の設計方法について説明する。なお、以下の説明では、主に整合回路32およびオフセット線路40の設計方法を説明するが、整合回路33およびオフセット線路42の設計方法も同様である。
【0032】
図6は、実施例1における整合回路およびオフセット線路の設計方法を示すフローチャートである。
図6に示すように、ます、アンプ10のロードプル測定を行う(ステップS10)。
【0033】
図7は、ロードプル測定システムを示すブロック図である。
図7に示すように、アンプ10の出力ノードNa1をロードプルチューナ44に接続する。増幅器100の動作帯域の中心周波数f0(一例といて3.5GHz)の高周波信号である信号Si1をアンプ10に入力する。アンプ10に印加するバイアス電圧(例えばゲートバイアス電圧およびドレインバイアス電圧)を動作時の電圧に設定する。この状態で、ロードプルチューナ44は、ノードNa1からロードプルチューナ44をみたインピーダンスZa1を変化させる。
【0034】
図8は、ロードプルチューナが変化させるインピーダンスZa1を示すスミスチャートである。
図8におけるドットは、ロードプルチューナ44が設定するインピーダンスZa1を示す。
図8に示すように、ロードプルチューナ44は、スミスチャート上のインピーダンスZa1を変化させる。ロードプルチューナ44は、変化させたインピーダンスZa1の各点において、アンプ10の利得およびドレイン効率等の高周波特性を測定する。
【0035】
図6に戻り、増幅器100の出力電力Poが電力PsatおよびPbo(すなわち負荷抵抗RLが抵抗値RsatおよびRbo)のときのインピーダンスZa1としてインピーダンスZsatおよびZboをそれぞれ決定する(ステップS12)。インピーダンスZsatとZboは異なる負荷インピーダンスとなるように設定する。例えば、インピーダンスZsatは、アンプ10の出力電力が所望の値以上となることを優先し、ドレイン効率も低くはならないように決定される。インピーダンスZboは、アンプ10の出力電力が所望の値となりかつドレイン効率が高くなることを優先し決定される。
【0036】
図9は、インピーダンスZsatおよびZboの例を示すスミスチャートである。
図9では、一例として、FET18および19としてGaN HEMTを用い、中心周波数f0が3.5GHzであるアウトフェージング増幅器におけるインピーダンスZsatおよびZboの例を示している。アウトフェージング角θaが70°のときの出力電力PoをPsatとした。このとき、抵抗値Rsatは11Ωである。アウトフェージング角θaが10°のときの出力電力Poを電力Pboとした。このとき、抵抗値Rboは88Ωである。
【0037】
図9におけるインピーダンスZsatおよびZboは、それぞれの出力電力Poが電力PsatおよびPboのときに、ドレイン効率が最適となる負荷インピーダンスである。アンプ10のドレイン効率等が最大において動作するときに、ノードNa1からアンプ10を見たときのインピーダンスは、出力電力Poが電力PsatおよびPboのときそれぞれインピーダンスZsat
*およびZbo
*である。インピーダンスZsatとZsat
*は複素共役であり、インピーダンスZboとZbo
*は複素共役である。
【0038】
図6に戻り、シミュレーションすることで、整合回路32の設計を行う(ステップS14)。
図10は、整合回路をシミュレーションするときの回路図である。
図10に示すように、端子T1を基準インピーダンスR0(一例として50Ω)で終端する。すなわち、基準インピーダンスR0の第1端を端子T1に接続し、第2端をグランドに接続する。整合回路32から負荷抵抗RLまでの回路は、
図5の比較例1におけるノードNa1から負荷抵抗RLまでを抜き出した回路である。整合回路32の第1端および第2端はそれぞれ端子T1およびノードNm1に接続されている。ノードNm1とNo1との間にオフセット線路は接続されていない。合成器16では、ノードNo1はノードN1に接続されている。ノードN1にキャパシタC1がシャント接続されている。インピーダンス変換器14の第1端および第2端はそれぞれノードN1およびN3に接続されている。なお、シミュレーションのときには、負荷抵抗RLを抵抗値RsatおよびRboとしたときにノードNo1から合成器16をみたそれぞれインピーダンス(リアクタンス成分が小さいため、実質的には抵抗値RsおよびRb)を用いて行う。このとき、
図10の回路は、破線のように、ノードNo1を抵抗値RsおよびRbにより終端させている回路と等価である。
【0039】
負荷抵抗RLを抵抗値Rsatとしたとき、すなわちノードNo1が抵抗値Rsにより終端されているとき、端子T1から整合回路32を見たインピーダンスZb1がZsatとなる。負荷抵抗RLを抵抗値Rboとしたとき、すなわちノードNo1が抵抗値Rbにより終端させているとき、端子T1から整合回路32を見たインピーダンスZb1がZboとなる。上記条件を満足する整合回路32をシミュレーションにより算出する。整合回路32は、分布定数線路、スタブ、キャパシタおよびインダクタの少なくとも1つを組み合わせることで実現できる。一例として、整合回路32として、端子T1とノードNm1との間に2つの分布定数素子を直列に接続する。前段の分布定数素子は、3.5GHzにおいて、68Ωの特性インピーダンスを有し、位相を10°回転させる。後段の分布定数素子は、3.5GHzにおいて、22.3Ωの特性インピーダンスを有し、位相を158°回転させる。これにより、上記条件を満足する整合回路32を設計できる。
【0040】
図6に戻り、整合回路32のインピーダンスZd1の絶対値|Zd1|を算出する(ステップS16)。
図11は、整合回路32のインピーダンスの絶対値をシミュレーションするときの回路図である。
図11に示すように、ステップS14において設計された整合回路32の第1端および第2端をそれぞれ端子T1およびT2に接続する。端子T1およびT2は基準インピーダンスR0(一例として50Ω)により終端されている。このとき、端子T2から整合回路32を見たインピーダンスZd1を、シミュレーションにより算出する。インピーダンスZd1は複素数であり、インピーダンスZd1の絶対値|Zd1|を算出する。なお、Zd1=Rd1+jXd1(Rd1は抵抗成分、Xd1はリアクタンス成分、jは虚数単位)のとき、|Zd1|=√(Rd1
2+Xd1
2)である。
【0041】
図6に戻り、ステップS16において算出された絶対値|Zd1|をオフセット線路40の第1特性インピーダンスZc1に決定する(ステップS18)。オフセット線路40は伝送線路であり、例えばマイクロストリップ線路またはコプレーナ線路である。
【0042】
オフセット線路40の長さD1を算出(決定)する(ステップS20)。
図12は、オフセット線路をシミュレーションするときの回路図である。
図12に示すように、整合回路32の第1端はアンプ10の出力ノードNa1に接続されている。オフセット線路40の第1端および第2端はそれぞれノードNm1およびNo1に接続されている。その他の接続関係は
図10と同じであり説明を省略する。
図10と同様に、負荷抵抗RLが抵抗値RsatおよびRboのとき、破線のように、ノードNo1に抵抗値RsおよびRbの抵抗がシャント接続されているとしてシミュレーションした。
【0043】
まず、出力電力PoがPsatのときについて考える。シミュレーションでは、ノードNo1において抵抗値Rsの抵抗がシャント接続されているとする。ノードNa1からアンプ10をみたインピーダンスZa1*を仮想的にZsat*に設定する。すなわち、アンプ10は、出力電力Poが飽和電力Psとなるような状態で、動作している状態であると仮定する。オフセット線路40の長さD1を0としたとき、ノードNm1から整合回路32を見た第2インピーダンスZm1とノードNo1から整合回路32を見た第1インピーダンスZo1は同じであり、第2インピーダンスZm1のリアクタンス成分Xm1は大きい。
【0044】
これは、ステップS14において、
図10のように、端子T1を基準インピーダンスR0により終端させて整合回路32を設計したためである。すなわち、
図10の状態では、ノードNo1から整合回路32を見たインピーダンスはほぼ抵抗値Rsとなっており、リアクタンス成分はほとんどない。しかし、整合回路32の前段のインピーダンスが基準インピーダンスR0からZsat
*に変わったため、インピーダンスZm1のリアクタンス成分Xm1は大きくなる。
図10のように端子T1が基準インピーダンスで終端された回路を用い整合回路32を設計した理由は、
図12のように、整合回路32から前段を見たインピーダンスZa1
*をZsat
*として、整合回路32を設計する(シミュレーションする)ことは難しいためである。
【0045】
オフセット線路40の特性インピーダンスZc1を絶対値|Zd1|とすると、ノードNa1から整合回路32を見たインピーダンスZa1は、オフセット線路40の長さD1を変えてもほとんど変わらない。これにより、負荷抵抗RLが抵抗値Rsatのとき、長さD1を変えても、インピーダンスZa1はほぼZsatである。一方、ノードNo1から整合回路32を見たインピーダンスZo1は、オフセット線路40の長さD1を変えると、スミスチャート上を回転する。
【0046】
次に出力電力Poが電力Pboのときについて考える。シミュレーションでは、ノードNo1において抵抗値Rbの抵抗がシャント接続されているとする。ノードNa1からアンプ10をみたインピーダンスZa1*を仮想的にZbo*に設定する。オフセット線路40の第1特性インピーダンスは|Zc1|である。このため、長さD1を変えても、インピーダンスZa1はほぼZboである。一方、オフセット線路40の長さD1を変えると、インピーダンスZo1はスミスチャート上を回転する。
【0047】
出力電力PoがPsatのとき、ノードNo1からオフセット線路40を見たインピーダンスZo1をZo1sとし、出力電力Poが電力Pboのとき、ノードNo1からオフセット線路40を見たインピーダンスZo1をZo1bとする。オフセット線路40の長さD1を変え、インピーダンスZo1sとZo1bの両方が最も実軸上に近づく長さD1を探索する。インピーダンスZo1sとZo1bとの両方が最も実軸上に近いときの長さD1を算出する。
【0048】
図6に戻り、ステップS20において算出したオフセット線路40の長さD1のとき、インピーダンスZo1sのリアクタンス成分Xo1sとインピーダンスZo1bのXo1bとが所望範囲か判定する(ステップS22)。所望範囲は、例えば、リアクタンス成分Xo1sの絶対値が所望値以下かつリアクタンス成分Xo1bの絶対値が所望値以下とすることができる。また、所望範囲は、リアクタンス成分Xo1sの絶対値とリアクタンス成分Xo1bの絶対値との平均(例えば単純平均または相乗平均)が所望値以下とすることができる。ステップS22において、Noのとき、すなわち、リアクタンス成分Xo1sとXo1bが所望範囲でないとき、ステップS14に戻り、再度、整合回路32を設計する。その後、ステップS16、S18およびS20を行う。ステップS22において、Yesのとき、整合回路32およびオフセット線路40の設計が完了する(ステップS24)。その後終了する。
【0049】
図13は、整合回路32およびオフセット線路40の設計後のインピーダンスZo1を示すスミスチャートである。
図13に示すように、インピーダンスZo1sおよびZo1bともにほぼ実軸上に位置し、リアクタンス成分Xo1sおよびXo1bはほぼ0である。
【0050】
設計が完了した整合回路32およびオフセット線路40を用いると、
図13におけるインピーダンスZo1sおよびZo1bは、いずれもリアクタンス成分Xo1sおよびXo1bが小さく、スミスチャートのほぼ実軸上となる。ノードNo1においてインピーダンスが整合するためには、インピーダンスZo1sおよびZo1bはほぼ抵抗値RsおよびRbである。インピーダンスZo1sおよびZo1bが実軸上にあれば、λ/4線路を用いたインピーダンス変換器を用い、容易にインピダースを変換することができる。
【0051】
整合回路33およびオフセット線路42についても、整合回路32およびオフセット線路40と同様に、設計を行う。すなわち、オフセット線路42の第2特性インピーダンスZc2を整合回路33のインピーダンスZd2の絶対値|Zd2|に設定し、インピーダンスZo2のリアクタンス成分Xo2が小さくなるように、オフセット線路42の長さを算出する。
【0052】
上記の設計方法を用い、整合回路32、33、オフセット線路40および42を設計すると、出力電力Poが電力Psatおよび電力Pboのときに、ノードNo1およびNo2からオフセット線路40および42をそれぞれみたインピーダンスZo1およびZo2のリアクタンス成分Xo1およびXo2が小さいため、
図5の比較例1の矢印50aのように信号So1の一部がノードNo2まで回り込み、矢印50bのように信号So2の一部がノードNo1まで回り込んだ場合でも、整合回路32、33および合成器16等の増幅器100の設計が容易となる。このため、設計時における増幅器100の予想特性と、実際の増幅器100の特性とがほぼ一致できる。また、インピーダンスZo1sおよびZo1bのリアクタンス成分が小さいため、整合回路32およびオフセット線路40のQ値、並びに整合回路33およびオフセット線路42のQ値を小さくできる。よって、増幅器100の帯域を広くできる。
【0053】
図14は、実施例1における出力電力に対するドレイン効率を示す図である。
図14において、菱形ドットはシミュレーション結果であり、実線は実際の増幅器の測定結果である。FET18および19としてGaN HEMTを用いた。動作帯域の中心周波数f0は3.5GHzである。インピーダンスZa1およびZa2は、
図9において示したZsatおよびZboである。インピーダンスZo1およびZo2は、
図13において示したZo1sおよびZo1bである。整合回路32および33としては、ステップS14において説明した2個の分布定数素子を用いた。オフセット線路40および42の特性インピーダンスZc1およびZc2は18Ωである。オフセット線路40および42の長さD1は3.5GHzにおける位相として106°に相当する。
図14に示すように、シミュレーション結果と測定結果はよく一致している。このように、上記設計方法を用いることにより、設計時における増幅器の予想特性と、実際の増幅器の特性とがほぼ一致できる。
【0054】
実施例1によれば、増幅器100の動作帯域の中心周波数f0において、オフセット線路40(および42)の第1特性インピーダンスZc1(および第2特性インピーダンスZc2)を、整合回路32(および33)の第1端および第2端を基準インピーダンスにより終端したとき、整合回路32(および33)の第2端から整合回路32(および33)を見た第1インピーダンスZd1(および第3インピーダンスZd2)の絶対値|Zd1|(および|Zd2|)にする。これにより、オフセット線路40(および42)の長さD1はインピーダンスZa1(およびZa2)にほとんど影響せず、インピーダンスZo1(およびZo2)の第1リアクタンス成分Xo1(および第3リアクタンス成分Xo2)をほぼ0にすることができる。これにより、整合回路32、33および合成器16等の設計が容易となる。また、増幅器100の動作帯域を広くできる。
【0055】
中心周波数f0において、オフセット線路40(および42)の第1特性インピーダンスZc1(および第2特性インピーダンスZc2)は、整合回路32(および33)の第1端および第2端を基準インピーダンスにより終端したとき、整合回路32(および33)の第2端から整合回路32(および33)を見た第1インピーダンスZd1(および第2インピーダンスZd2)の絶対値|Zd1|(および|Zd2|)の0.5倍以上かつ2倍以下であればよい。これにより、オフセット線路40(および42)の長さD1を変えてもインピーダンスZa1(およびZa2)はほとんど変わらずに、インピーダンスZo1(およびZo2)の位相を回し、インピーダンスZo1(およびZo2)の第1リアクタンス成分Xo1(および第3リアクタンス成分Xo2)を小さくできる。
【0056】
オフセット線路40(および42)の第1特性インピーダンスZc1(および第2特性インピーダンスZc2)は、整合回路32(および33)の第1インピーダンスZd1(および第2インピーダンスZd2)の絶対値|Zd1|(および|Zd2|)の0.8倍以上かつ1.25倍以下とすることができ、0.9倍以上かつ1.1倍以下とすることができ、0.95倍以上かつ1.05倍以下とすることができる。
【0057】
インピーダンスZo1(およびZo2)の第1リアクタンス成分Xo1(および第3リアクタンス成分Xo2)はインピーダンスZm1(およびZm2)の第2リアクタンス成分Xm1(および第4リアクタンス成分Xm2)より小さければよい。第1リアクタンス成分Xo1(および第3リアクタンス成分Xo2)は、第2リアクタンス成分Xm1(第4リアクタンス成分Xm2)の0.5倍以下とすることができ、0.2倍以下とすることができ、0.1倍以下とすることができる。
【0058】
アウトフェージング増幅器では、負荷抵抗RLの抵抗値が大きく変化するため、整合回路32、33および合成器16の設計が難しい。加えて、信号So1がノードNo2に回り込み、信号So2がノードNo1に回り込むため、整合回路32および33の設計がさらに難しくなる。そこで、実施例1のように、オフセット線路40および42を設け、インピーダンスZo1およびZo2のリアクタンス成分Xo1およびXo2を小さくすることで、増幅器100の設計が容易となる。
【0059】
リアクタンス成分Xo1、Xo2、Xm1およびXm2は、アウトフェージング角θaが最大値(角θsat)と最小値(角θbo)の間の少なくとも1つの値のとき上記条件を満足すればよい。
【0060】
さらに、アウトフェージング角θaが最大値(角θsat)と最小値(角θbo)の両方のとき(すなわち、出力電力Poが電力Psatと電力Pboの両方のとき)に、リアクタンス成分Xo1、Xo2、Xm1およびXm2は、上記条件を満足する。これにより、出力電力Poが電力Psatと電力Pboの両方のときにアンプ10および11の性能を最適化することが容易になる。
【0061】
[実施例2]
実施例2は、増幅器としてドハティ増幅器の例である。
図15は、実施例2に係る増幅器のブロック図である。整合回路30、31、バイアス回路34から37の図示を省略する。
図15に示すように、実施例2の増幅器102では、入力端子Tinと出力端子Toutとの間にキャリアアンプであるアンプ10とピークアンプであるアンプ11とが並列に接続されている。入力端子Tinに入力信号Siとして高周波信号が入力する。分配器21は入力端子Tinに入力した入力信号Siを2つの信号Si1およびSi2に分配する。分配器21は例えばウイルキソン型分配器である。
【0062】
アンプ10は、信号Si1を増幅し、増幅された信号So1を整合回路32およびオフセット線路40を通過させてノードNo1に出力する。アンプ11は、信号Si2を増幅し、増幅された信号So2を整合回路33およびオフセット線路42を通過させてノードNo2に出力する。合成器16aはインピーダンス変換器14aとノードN3とを備えている。インピーダンス変換器14aは例えばλ/4線路であり、インピーダンスを変換する。信号So1とSo2とはノードN3において合成され、出力端子Toutから出力信号Soとして出力される。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0063】
アンプ10は、AB級またはB級動作し、アンプ11はC級動作する。入力電力が小さいときにはアンプ10が主に入力信号を増幅する。入力電力が大きくなると、アンプ10に加え、アンプ11が入力信号のピークを増幅する。これにより、アンプ10と11とが入力信号を増幅する。入力電力が小さくアンプ11がオフのとき、ノードNo1からノードN3をみたインピーダンスは出力端子Toutの負荷抵抗RLの抵抗値の2倍(例えば100Ω)である。入力電力が大きくなりアンプ11が動作するとき、ノードNo1およびNo2から各々ノードN3をみたインピーダンスは、出力端子Toutの負荷抵抗RLの抵抗値(例えば50Ω)である。
【0064】
整合回路32は、アンプ11がオフのとき、アンプ10の出力ノードNa1から整合回路32を見たインピーダンスZa1がアンプ10の性能が最適値(例えば飽和電力においてドレイン効率が最大)になるように、設計されている。また、整合回路32は、アンプ11がオンのとき、インピーダンスZa1がアンプ10の性能が最適値になるように、設計されている。すなわち、整合回路32は、ノードNo1からノードN3を見たインピーダンスがRoのときと2×Roのときに、インピーダンスZa1をアンプ10が最適動作するように設計される。
【0065】
整合回路33は、アンプ11がオンのとき、インピーダンスZa2がアンプ11の性能が最適値(例えば飽和電力においてドレイン効率が最大)になるように、設計されている。さらに、アンプ11がオフのとき、ノードN3から整合回路33を見たインピーダンスが無限大となるように、整合回路33が設計されている。
【0066】
実施例2のように、ドハティ増幅器でも、ノードNo1から負荷抵抗RLを見たインピーダンス(抵抗値)が異なる条件で、アンプ10および11が最適に動作するように整合回路32および33を設計する。また、信号So1がノードNo2に回り込み、信号So2がノードNo1に回り込む。このため、整合回路32、33および合成器16a等の増幅器102の設計が複雑化する。そこで、実施例1と同様に、オフセット線路40および42を設け、インピーダンスZo1およびZo2のリアクタンス成分を小さくする。これにより、増幅器102の設計が容易となる。
【0067】
アウトフェージング増幅器およびドハティ増幅器に限らず、並列接続されたアンプ10および11が複数設けられ、複数のアンプ10および11から出力される信号を合成する合成器16または16aが設けられている場合、信号So1がノードNo2に回り込み、信号So2がノードNo1に回り込む。よって、増幅器の設計が難しくなる。そこで、オフセット線路40および42を設けることで、増幅器の設計が容易となる。
【0068】
実施例1および2では、アンプ10(および11)、整合回路32(および33)、並びにオフセット線路40(および42)が2個のセットの場合を説明したが、アンプ、整合回路およびオフセット線路のセットは3個以上でもよい。
【0069】
[実施例3]
図16は、実施例3に係る増幅器のブロック図である。バイアス回路の図示を省略する。
図16に示すように、実施例3の増幅器104では、入力端子Tinから入力された入力信号Siは整合回路30を介しアンプ10に入力する。アンプ10は、入力信号Siを増幅し、整合回路32およびオフセット線路40を介し、増幅された出力信号Soを出力端子Toutに出力する。
【0070】
実施例3のように、アンプ10、整合回路32およびオフセット線路40は、1セットでもよい。この場合でも、オフセット線路40の特性インピーダンスZc1を、整合回路32のインピーダンスZd1の絶対値|Zd1|の0.5倍以上かつ2倍以下とする。インピーダンスZo1のリアクタンス成分Xo1をインピーダンスZm1のリアクタンス成分Xm1より小さくする。これにより、Q値が小さくなり、動作帯域を広くすることができる。
【0071】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0072】
10、11 アンプ
14、14a、15 インピーダンス変換器
16、16a 合成器
18、19 FET
20 信号処理器
21 分配器
30、31、32、33 整合回路
34、35、36、37 バイアス回路
40、42 オフセット線路
44 ロードプルチューナ
50a、50b矢印
100、102、104 増幅器
【手続補正書】
【提出日】2023-11-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
信号処理器20は、例えばSignal Processing Unitであり、入力信号Siをデジタル処理し信号Si1およびSi2を出力する。アウトフェージング増幅器である増幅器100では、入力信号Siの入力電力の振幅に対応した出力電力の振幅を有する出力信号Soを出力する。信号処理器20は、入力信号Siの振幅に依存した出力信号Soを出力するため、入力信号Siの振幅に依存して信号Si1およびSi2のアウトフェージング角を設定する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
[アウトフェージング動作の説明]
図3および
図4は、実施例1における出力電力のベクトルの模式図である。
図3は、増幅器100の出力電力Poを最大とするときに相当し、
図4は、増幅器100の出力電力
Poを最小とするときに相当する。最大の出力電力Poを飽和電力と称し電力Psatで表す。最小の出力電力Poをバックオフ電力と称し電力Pboで表す。電力Psatと電力Pboの差がダイナミックレンジである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
アウトフェージング角θaの制御は信号処理器20が行う。例えば、出力電力Poを大きくするとき、信号処理器20は、信号Si1とSi2のアウトフェージング角θaを大きくする。出力電力Poを小さくするとき、信号処理器20は、信号Si1とSi2のアウトフェージング角θaを小さくする。信号Si1およびSi2のアウトフェージング角θaと、信号Si1およびSi2を増幅した信号So1およびSo2のアウトフェージング角θaはほぼ同じである。よって、信号処理器20が信号Si1とSi2のアウトフェージング角θaを変化させることで、アウトフェージング角θaを変化させることができる。このように、信号処理器20は、入力する入力信号Siに基づき、信号Si1とSi2とのアウトフェージング角θaを変化させ、アンプ10および11にアウトフェージング角θaを変化させた信号Si1とSi2とを出力する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
インピーダンスZn1およびZn2のリアクタンス成分Xn1およびXn2が小さければ、ノードNo1およびNo2より後段の回路設計はスミスチャートの実軸上でインピーダンスを変換すればよく、設計は比較的容易である。例えばλ/4線路を用いれば実軸上のインピーダンス変換が容易となる。しかし、インピーダンスZn1およびZn2のリアクタンス成分が大きい場合には、ノードNo1およびNo2より後段の回路設計は容易でない。特にアウトフェージング増幅器では、負荷抵抗RLが抵抗値RsatとRboにおいて、インピーダンスZa1およびZa2が最適になるように、整合回路32、33および合成器16等を設計することになり、かつ矢印50aおよび50bのような信号So1およびSo2の回り込みを考慮することになる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
さらに、インピーダンスZn1およびZn2のリアクタンス成分Xn1およびXn2が大きい場合、整合回路32および33のQ値(Quarity factor)が高くなる。このため、周波数の帯域が狭くなってしまう。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
図6は、実施例1における整合回路およびオフセット線路の設計方法を示すフローチャートである。
図6に示すように、
まず、アンプ10のロードプル測定を行う(ステップS10)。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
まず、出力電力PoがPsatのときについて考える。シミュレーションでは、ノードNo1において抵抗値Rsの抵抗がシャント接続されているとする。ノードNa1からアンプ10をみたインピーダンスZa1*を仮想的にZsat*に設定する。すなわち、アンプ10は、出力電力Poが飽和電力Psatとなるような状態で、動作している状態であると仮定する。オフセット線路40の長さD1を0としたとき、ノードNm1から整合回路32を見た第2インピーダンスZm1とノードNo1から整合回路32を見た第1インピーダンスZo1は同じであり、第2インピーダンスZm1のリアクタンス成分Xm1は大きい。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0046】
次に出力電力Poが電力Pboのときについて考える。シミュレーションでは、ノードNo1において抵抗値Rbの抵抗がシャント接続されているとする。ノードNa1からアンプ10をみたインピーダンスZa1*を仮想的にZbo*に設定する。オフセット線路40の第1特性インピーダンスは|Zd1|である。このため、長さD1を変えても、インピーダンスZa1はほぼZboである。一方、オフセット線路40の長さD1を変えると、インピーダンスZo1はスミスチャート上を回転する。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
設計が完了した整合回路32およびオフセット線路40を用いると、
図13におけるインピーダンスZo1sおよびZo1bは、いずれもリアクタンス成分Xo1sおよびXo1bが小さく、スミスチャートのほぼ実軸上となる。ノードNo1においてインピーダンスが整合するためには、インピーダンスZo1sおよびZo1bはほぼ抵抗値RsおよびRbである。インピーダンスZo1sおよびZo1bが実軸上にあれば、λ/4線路を用いたインピーダンス変換器を用い、容易に
インピーダンスを変換することができる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0057】
インピーダンスZo1(およびZo2)の第1リアクタンス成分Xo1(および第3リアクタンス成分Xo2)はインピーダンスZm1(およびZm2)の第2リアクタンス成分Xm1(および第4リアクタンス成分Xm2)より小さければよい。第1リアクタンス成分Xo1(および第3リアクタンス成分Xo2)は、第2リアクタンス成分Xm1(および第4リアクタンス成分Xm2)の0.5倍以下とすることができ、0.2倍以下とすることができ、0.1倍以下とすることができる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
整合回路32は、アンプ11がオフのとき、アンプ10の出力ノードNa1から整合回路32を見たインピーダンスZa1がアンプ10の性能が最適値(例えば飽和電力においてドレイン効率が最大)になるように、設計されている。また、整合回路32は、アンプ11がオンのとき、インピーダンスZa1がアンプ10の性能が最適値になるように、設計されている。すなわち、整合回路32は、ノードNo1からノードN3を見たインピーダンスがRLのときと2×RLのときに、インピーダンスZa1をアンプ10が最適動作するように設計される。