(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063542
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】ヒートシール装置
(51)【国際特許分類】
B65B 51/16 20060101AFI20240502BHJP
B65B 51/10 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
B65B51/16
B65B51/10 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171589
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000103932
【氏名又は名称】オリオン機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】恩田 浩光
(72)【発明者】
【氏名】本庄 隆秋
【テーマコード(参考)】
3E094
【Fターム(参考)】
3E094AA12
3E094CA08
3E094CA12
3E094DA08
3E094EA03
3E094FA14
3E094HA03
(57)【要約】
【課題】構造を簡素化でき、合成樹脂製フィルムをヒートシールする際、その生産性を向上させつつ品質が向上されるヒートシール装置を提供する。
【解決手段】ヒートシール装置1は、円柱状の回転体25の外周面に設けられるヒーターバー26を有し、回転体25、25の外周面が互いに対向するように水平方向に沿って並べて配置された一対の回転シーラ5、5を備え、重ね合された合成樹脂製フィルムは、上方から一対の回転シーラ5、5間に供給され、当該一対のヒーターバー26、26により、加圧、加熱されてヒートシールされる。これにより、構造を簡素化でき、合成樹脂製フィルムFをヒートシールする際、その生産性を向上させつつ品質を向上することができる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートシール性を有し、重ね合された合成樹脂製フィルムをヒートシールするヒートシール装置であって、
円柱状の回転体の外周面に設けられるヒーターバーを有し、前記回転体の外周面が互いに対向するように水平方向に沿って並べて配置された一対の回転シーラを備え、
前記重ね合された合成樹脂製フィルムは、上方から前記一対の回転シーラ間に供給され、前記一対のヒーターバーにより、加圧、加熱されてヒートシールされる構成であることを特徴とするヒートシール装置。
【請求項2】
前記重ね合された合成樹脂製フィルムが前記一対のヒーターバーによりヒートシールされる際に、前記一対の回転シーラよりも下方からの引張力により、ヒートシールされた部位がカットされる構成であることを特徴とする請求項1に記載のヒートシール装置。
【請求項3】
前記一対の回転シーラのヒーターバーの先端面は、その曲率が相違して構成されることを特徴とする請求項1に記載のヒートシール装置。
【請求項4】
前記ヒーターバーは、前記回転体の外周面に周方向に沿って間隔を置いて複数形成されることを特徴とする請求項1に記載のヒートシール装置。
【請求項5】
前記一対のヒーターバーによる加熱温度は、140℃~230℃の範囲内で設定されることを特徴とする請求項1に記載のヒートシール装置。
【請求項6】
前記一対の回転シーラは、互いに近接・遠退する方向に移動できる構成であることを特徴とする請求項1に記載のヒートシール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製袋機等に備えられ、ヒートシール性を有し、重ね合された合成樹脂製フィルムをヒートシールするヒートシール装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のヒートシール装置として、一般的な横型ピロー包装機に採用されるものは、シーラ部材を上下一対備え、該上下一対のシーラ部材間に重ね合された合成樹脂製フィルムを案内して、ヒートシールする構造が採用されているが、シーラ部材を回転式として、その外径を大きくすると、フィルムが上下一対のシーラ部材に案内される前に下方に垂れてしまい、安定して供給することが困難となる。このようにシーラ部材の外径を大きくできない場合にはフィルムに高圧を付与することができず、加熱温度を上げるしかなく、その結果、カット面の見た目が非常に悪く、品質が悪化する虞がある。しかも、この横型ピロー包装機では、シール時やカット時にフィルムの供給を停止する間欠式が採用されており、高速運転に限界が生じ、生産性を向上させることが困難となる。なお、シーラ部材の外径を大きくできると、シーラ部材の軸方向の長さも関係するが、高い圧力を付与しても、シーラ部材全体が変形しずらく、合成樹脂製フィルムの所定位置に対して、略均一に加圧、加熱することができる。
【0003】
なお、ヒートシール装置を備えた製袋機の従来技術として、特許文献1には、袋前面部用連続フィルムの内面が横ヒートシールロールと縦ヒートシールロールにより加熱溶融され、また袋後面部用連続フィルムの内面が横ヒートシールロールと縦ヒートシールロールにより加熱溶融され、溶融状態を保っている極めて短時間のうちに挟圧ロールにより2枚重ねに合わせて挟圧され溶融部分同士を一体化し、冷却固化により溶着して、その後カットロールにより必要なカットを行われて三方シール包装タイプの袋を連続的に製袋する製袋機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、特許文献1に記載のヒートシール装置においても、フィルムが水平方向に沿って供給されるために、上述した、シーラ部材に供給される前のフィルムの姿勢やシーラ部材の外径等の種々の問題を解決することは困難である。しかも、特許文献1に記載のヒートシーラ装置では、袋前面部用連続フィルム用のヒートシールロール、袋前面部用連続フィルム用のヒートシールロール、一対の狭圧ロール及び一対のカットロールを備える必要があり、その構造がかなり複雑で採用することは困難となる。
【0006】
そして、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、構造を簡素化でき、合成樹脂製フィルムをヒートシールする際、その生産性を向上させつつ品質が向上されるヒートシール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段として、請求項1の発明は、ヒートシール性を有し、重ね合された合成樹脂製フィルムをヒートシールするヒートシール装置であって、円柱状の回転体の外周面に設けられるヒーターバーを有し、前記回転体の外周面が互いに対向するように水平方向に沿って並べて配置された一対の回転シーラを備え、前記重ね合された合成樹脂製フィルムは、上方から前記一対の回転シーラ間に供給され、前記一対のヒーターバーにより、加圧、加熱されてヒートシールされる構成であることを特徴とするものである。
請求項1の発明では、重ね合された合成樹脂製フィルムは、上方から一対の回転シーラ間に供給されるために、合成樹脂製フィルムの供給方向と重力方向とを一致させることができ、合成樹脂製フィルムの姿勢を安定させて、一対の回転シーラ間に供給することができる。そのために、回転シーラの回転体の外径を適宜大きくすることができ、その結果、合成樹脂製フィルムに高圧を付与して潰すことで、加熱温度が比較的低くてもヒートシールされつつ容易にカットすることが可能となる。
【0008】
請求項2に記載した発明は、請求項1の発明において、前記重ね合された合成樹脂製フィルムが前記一対のヒーターバーによりヒートシールされる際に、前記一対の回転シーラよりも下方からの引張力により、ヒートシールされた部位がカットされる構成であることを特徴とするものである。
請求項2の発明では、一対の回転シーラのよりも下方からの引張力により、ヒートシールされた部位が容易にカットされるので、新規にカットローラ等を備える必要はなく、その構造を簡素化することができ、また装置全体をコンパクトにすることができる。
【0009】
請求項3に記載した発明は、請求項1の発明において、前記一対の回転シーラのヒーターバーの先端面は、その曲率が相違して構成されることを特徴とするものである。
請求項3の発明では、一対のヒーターバーの先端同士の接触面積を小さくすることでき、その結果、これら一対のヒーターバーの先端間に供給される合成樹脂製フィルムへの圧力を増加させることができる。
【0010】
請求項4に記載した発明は、請求項1の発明において、前記ヒーターバーは、前記回転体の外周面に周方向に沿って間隔を置いて複数形成されることを特徴とするものである。
請求項4の発明では、回転シーラの回転体の外径を大きくしても、一対の回転シーラ間に供給される合成樹脂製フィルムに対して、その長手方向に沿う所定間隔にてヒートシール部をそれぞれ形成でき、その部分をそれぞれカットすることが可能になる。
【0011】
請求項5に記載した発明は、請求項1の発明において、前記一対のヒーターバーによる加熱温度は、140℃~230℃の範囲内で設定されることを特徴とするものである。
請求項5の発明では、回転シーラの回転体の外径を充分に大きくして、一対のヒーターバー間の合成樹脂製フィルムに対して高圧を付与することができるので、加熱温度を比較的低くしてヒートシール部を形成することができ、さらに当該ヒートシール部を容易にカットでき、そのカット面がきれいで見た目が非常に良好となる。
【0012】
請求項6に記載した発明は、請求項1の発明において、前記一対の回転シーラは、互いに近接・遠退する方向に移動できる構成であることを特徴とするものである。
なお、一対の回転シーラにおいて、一方の回転シーラが停止した状態で、他方の回転シーラだけが一方の回転シーラに対して近接・遠退する形態を採用すると、特に、一方の回転シーラと合成樹脂製フィルムとの位置関係によっては、一方の回転シーラの外周面に合成樹脂製フィルムが常時接触する虞があり、その結果、合成樹脂製フィルムに対して、余計な部位も加熱されてダメージを受ける虞があり、製品として成り立たない。これに鑑みて、請求項6に記載した発明では、一対の回転シーラが、互いに近接・遠退する方向に移動する構成であり、供給される合成樹脂製フィルムに対する一対の回転シーラの位置をそれぞれ調整することができるので、一対の回転シーラの外周面に合成樹脂製フィルムが常時接触することを抑制でき、上述した問題を解決することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るヒートシール装置では、構造を簡素化でき、合成樹脂製フィルムをヒートシールする際、その生産性を向上させつつ品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るヒールシート装置の概略斜視図である。
【
図2】
図2(a)は、本発明の実施形態に係るヒートシール装置に供給される合成樹脂製フィルムの平面図であり、(b)は、本発明の実施形態に係るヒートシール装置によりカットされたものを示す平面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係るヒールシート装置から供給側案内手段を除いた概略斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3からカバー部材を除いた概略斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係るヒールシート装置内を示す正面図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係るヒールシート装置の一対の回転シーラを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を
図1~
図7に基づいて詳細に説明する。本発明の実施形態に係るヒートシール装置1は、上方から連続して供給される、ヒートシール性を有し、重ね合された合成樹脂製フィルムFの所定位置をヒートシールするものである。重ね合された合成樹脂製フィルムFは、例えば、
図2に示すように、細長い合成樹脂製シート状フィルムを幅方向端部から折り返した状態(折り返した部分が灰色で示されている)のもの(以下、単に合成樹脂製フィルムFという)であって、これがその長手方向(白抜き矢印)に沿って連続して本実施形態に係るヒートシール装置1に供給される。
【0016】
そして、本実施形態に係るヒートシール装置1は、供給される合成樹脂製フィルムFの長手方向に沿う所定間隔の位置を幅方向全域に亘って順次ヒートシールしつつ、そのヒートシールされた部位2(以下、単にヒートシール部2ともいう)をカットして、カットされたもの3を所定方向に順次案内するものである。なお、
図2(a)に示す各ヒートシール部3において、合成樹脂製シート状フィルムが折り返されていない部分(折り返されていない灰色以外の部位)は、加熱、加圧されることでカットされる部分(折り返されていないのでシールはされない)となる。
【0017】
具体的に説明すると、
図1、
図3~
図5を参照して、本実施形態に係るヒートシール装置1は、合成樹脂製フィルムF(
図2(a)参照)を鉛直方向に沿って上方から下方に向かって案内する供給側案内手段4と、該供給側案内手段4からの合成樹脂製フィルムFを受け入れて、当該合成樹脂フィルムFの所定位置を順次ヒートシールする一対の回転シーラ5、5と、該一対の回転シーラ5、5を互い近接させて、一対の回転シーラ5、5間の合成樹脂製フィルムFを加圧する加圧手段6と、一対の回転シーラ5、5によりヒートシールされた部位2(
図2(a)参照)を下方から引っ張るようにカットして、カットしたもの3(
図2(b)参照)を所定方向に順次案内する搬出側案内手段7と、を概略備えている。
【0018】
図5を参照して、供給側案内手段4は、合成樹脂製フィルムFを鉛直方向に沿って上方から下方に向かって案内して、一対の回転シーラ5、5間に供給するものである。当該供給側案内手段4は、水平方向に並ぶように配置される一対の案内ベルト10、10と、各案内ベルト10、10を移動させるサーボモータ12と、を備えている。案内ベルト10は無端状に形成される。案内ベルト10は、複数の従動ローラ14、14と、駆動ローラ15とに巻回されている。駆動ローラ15に、サーボモータ12からの回転が伝達されて、案内ベルト10、10が所定方向に移動する。一対の案内ベルト10、10において、対向する対向部位18、18は鉛直方向に沿って直線状に延びている。
【0019】
一対の案内ベルト10、10の、鉛直方向に沿って直線状に延びる対向部位18、18は、水平方向にて、一対の回転シーラ5、5(回転体25、25)間の略中央に位置する。一対の案内ベルト10、10の、鉛直方向に沿って直線状に延びる対向部位18、18の下端は、一対の回転シーラ5、5間に鉛直方向にて充分に近接される。一対の案内ベルト10、10において、直線状に延びる対向部位18、18はいずれも鉛直方向に沿って上方から下方に向かって移動する。そして、供給側案内手段4の一対の案内ベルト10、10における、直線状に延びる対向部位18、18間に合成樹脂製フィルムFが供給されると、該合成樹脂製フィルムFは、連続して鉛直方向に沿って上方から下方に向かって移動する。
【0020】
図3~
図5を参照して、供給側案内手段4の下方に一対の回転シーラ5、5が配置される。回転シーラ5、5は、回転体25、25(後述)の外周面が互いに対向するように、言い換えれば回転軸が互いに平行になるように水平方向に沿って並ぶように一対配置される。一対の回転シーラ5、5は、上面及び下面が開放される枠体20内に配置される。枠体20内には、回転シーラ5の軸方向一端部側に上下一対の支持フレーム22A、22Aが架け渡され、回転シーラ5の軸方向他端部側にも上下一対の支持フレーム22B、22Bが架け渡される。そして、一対の回転シーラ5、5は、互いに近接・遠退する方向に移動自在に支持部材31、31を介して枠体20内の4本の支持フレーム22A、22Bに支持される。
【0021】
また、枠体20には、一対の回転シーラ5、5の軸方向他端部を覆うようにカバー部材23が連結される。
図3~
図6を参照して、回転シーラ5は、円柱状の回転体25と、当該回転体25の外周面から周方向に間隔を置いて複数突設されるヒーターバー26、26と、を備えている。一対の回転体25、25は、サーボモータ29の回転駆動によりそれぞれ回転される。なお、回転体25の外径は、合成樹脂製フィルムFの長手方向に沿うヒートシール部2、2間のピッチ、及びシール幅(ヒートシール部2の長さ)により設定されるが、本実施形態では、回転体25の外径は、比較的大きい、130mmに設定される。
【0022】
図3から解るように、サーボモータ29は、一方の回転体25の軸方向一端部から軸方向に沿う延長線上に配置される。サーボモータ29からの回転駆動は、一方の回転体25に直接伝達されると共に、他方の回転体25に回転伝達手段30を介して伝達される。その結果、一対の回転体25、25は、それぞれ同期して回転される。
図6において、右側の回転体25は、サーボモータ29の回転駆動により反時計周り方向(白抜き矢印)に回転する。一方、左側の回転体25は、サーボモータ29の回転駆動により時計周り方向(白抜き矢印)に回転する。これにより、一対の回転体25、25からのヒーターバー26、26(後で詳述)間に供給された合成樹脂製フィルムFは、鉛直方向に沿って上方から下方に送られる(付勢される)。なお、回転伝達手段30は、サーボモータ29からの回転駆動を伝達するための互い噛み合う平歯車や互いに当接する摩擦車等で構成される。
【0023】
図6を参照して、ヒーターバー26、26は、回転体25の外周面から周方向に沿って間隔を置いて複数突設される。本実施形態では、ヒーターバー26、26は、120°ピッチで3箇所形成されている。なお、ヒーターバー26、26を回転体25から複数突設させる形態が好ましいが、ヒーターバー26を回転体25から1箇所突設させる形態を採用してもよい。
図3及び
図4を参照して、ヒーターバー26は、回転体25の軸方向略全域から突設される。なお、ヒーターバー26の長手方向に沿う長さは、合成樹脂製フィルムFのヒートシール部2の長さに応じて調整することができる。各ヒーターバー26、26には熱源(図示略)が接続されており、各ヒーターバー26、26は、熱源により所定温度で加熱される。一対のヒーターバー26、26による合成樹脂製フィルムFへの加熱温度は、採用される合成樹脂製フィルムFの溶融特性に応じて設定されるが、加熱温度は出来る限り低く設定したほうが好ましく、例えば、140℃~230℃の範囲内で設定される。
【0024】
図7を参照して、一対の回転体25、25からのヒーターバー26、26の先端面は、その曲率が相違して構成される。具体的に、本実施形態では、一方(
図7では右側)の回転体25からの各ヒーターバー26、26の先端面は、所定曲率の曲面27に形成される。曲面27は、半径0.5mm~2mm(曲率1/2~2)程度の円弧面で構成される。他方(
図7では左側)の回転体25からの各ヒーターバー26、26の先端面は平面28に形成される。すなわち、他方の回転体25からの各ヒーターバー26、26の先端面は、曲率0の平面28に形成される。その結果、一方の回転シーラ5のヒーターバー26の先端面(曲面27)と、他方の回転シーラ5のヒーターバー26の先端面(平面28)との接触面積を小さくすることができる。これにより、一方の回転シーラ5のヒーターバー26の先端面(曲面27)と、他方の回転シーラ5のヒーターバー26の先端面(平面28)との間に供給される合成樹脂製フィルムFへの圧力を増加させることができる。
【0025】
図3~
図5を参照して、加圧手段6は、加圧シリンダで構成される。加圧手段6は、一対の回転体25、25(一対の回転シーラ5、5)を互いに近接させて、一対の回転体25、25からのヒーターバー26、26の先端面により、供給される合成樹脂製フィルムFを加圧するものである。加圧手段6は、1つの回転体25に対してその軸方向両端部位にそれぞれ配置される。詳しくは、回転シーラ5の回転体25の軸方向両端に支持部材31、31がそれぞれ固定されており、当該各支持部材31、31に各加圧手段6、6のピストンロッド6A、6Aの先端がそれぞれ固定される。なお、各加圧手段6の本体部は、枠体20に固定される。
【0026】
そして、各加圧手段6の駆動、すなわちピストンロッド6Aの伸び行程により、一対の回転体25、25が各支持部材31、31を介して互いに近接する方向に移動して、一対の回転体25、25が所定方向にそれぞれ回転することで、一対のヒーターバー26、26の先端面により、供給側案内手段4の一対の案内ベルト10、10の対向部位18、18から供給される合成樹脂製フィルムFが加圧される。なお、各加圧手段6のピストンロッド6Aの伸縮行程により、供給される合成樹脂製フィルムFに対する、一対の回転体25、25の位置(移動距離)をそれぞれ調整することができる。さらには、各加圧手段6のピストンロッド6Aの伸縮行程により、一対の回転体25、25からのヒーターバー26、26の先端間の接触圧を調整することができる。また、本実施形態では、加圧手段6は、加圧シリンダで構成されているが、加圧サーボモータにて構成してもよい。
【0027】
図1及び
図5を参照して、一対の回転シーラ5、5の下方に近接して搬出側案内手段7が配置される。搬出側案内手段7は、一対の回転シーラ5、5間の合成樹脂製フィルムFのヒートシール部2を引っ張ることにより、ヒートシール部2をカットして、カットされたもの3(
図2(b)参照)を所定方向(
図1の白抜き矢印)に順次案内するものである。搬出側案内手段7は、水平方向に並ぶように配置される一対の案内ベルト33、33と、各案内ベルト33、33を移動させるサーボモータ(図示略)と、を備えている。案内ベルト33は無端状に形成される。案内ベルト33は、複数の従動ローラ35、35と、駆動ローラ36(
図1参照)とに巻回されている。駆動ローラ36に、サーボモータからの回転が伝達されて、案内ベルト33が所定方向に移動する。一対の案内ベルト33、33において、対向する部位29、39は鉛直方向に沿って直線状に延びている。
【0028】
一対の案内ベルト33、33において、鉛直方向に沿って直線状に延びる対向部位39、39は、水平方向において、一対の回転シーラ5、5(回転体25、25)間の略中央に位置する。一対の案内ベルト33、33において、鉛直方向に沿って直線状に延びる対向部位39、39の上端は、一対の回転シーラ5、5間に鉛直方向にて充分に近接される。一対の案内ベルト33、33において、直線状に延びる対向部位39、39は鉛直方向に沿って上方から下方に向かって移動する。なお、搬出側案内手段7の一対の案内ベルト33、33による合成樹脂製フィルムFの搬出速度は、供給側案内手段4の一対の案内ベルト10、10による合成樹脂製フィルムFの供給速度、及び一対の回転シーラ5、5による合成樹脂製フィルムFの送り速度よりも大きく設定される。
【0029】
そして、搬出側案内手段7の一対の案内ベルト33、33の移動により、一対の回転シーラ5、5によりヒートシールされた部位2(
図2(a)参照)を引っ張ってカットすることができる。また、一対の回転シーラ5、5によりヒートシールされつつカットされたもの3(
図2(b)参照)が、搬出側案内手段7の一対の案内ベルト33、33における直線状に延びる対向部位39、39間に沿って、連続して上方から下方に向かって順次移動した後、所定方向(
図1の白抜き矢印)に案内される。
【0030】
次に、本実施形態に係るヒートシール装置1の作用を説明する。
まず、合成樹脂製フィルムFは、供給側案内手段4の一対の案内ベルト10、10間を連続して移動すると共に、一対の案内ベルト10、10の直線状に延びる対向部位18、18間を鉛直方向に沿って上方から下方に向かって移動して、対向部位18、18間から下方に向かって搬出される。続いて、一対の回転体25、25(一対の回転シーラ5、5)が、各加圧手段6により互いに近接する方向に移動されて、一対の案内ベルト10、10の対向部位18、18間から搬出された合成樹脂製フィルムFを挟み込むように近接する。
【0031】
次に、合成樹脂製フィルムFが一対の回転シーラ5、5間に供給されて、一対の回転シーラ5、5(回転体25、25)が同期して所定方向にそれぞれ回転されると、合成樹脂製フィルムFの長手方向に沿う所定位置が一対の回転体25、25からのヒーターバー26、26間に位置して、一対のヒーターバー26、26の先端面(曲面27と平面28)により加圧、加熱されることでヒートシール部2が形成される。なお、一対の回転シーラ5、5は、間欠的ではなく、連続して回転している。
【0032】
このとき、上述したように、一対の回転体25、25からのヒーターバー26、26による合成樹脂製フィルムFへの加熱温度は、140℃~230℃の範囲内で設定される。また、本実施形態では、回転シーラ5の回転体25の外径が、比較的大きい、130mmに設定されるので、合成樹脂製フィルムFへの圧力を増加させることができる。なお、前述しているように、回転体25、25の外径を大きくすると、回転体25の軸方向の長さも関係するが、高い圧力を付与しても、回転体25全体が変形しずらく、合成樹脂製フィルムFの所定位置(ヒートシール部2)に対して、略均一に加圧、加熱することができる。
【0033】
しかも、一対の回転体25、25からのヒーターバー26、26の先端同士、すなわち曲面27と平面28との接触面積が小さいので、一対のヒーターバー26、26の先端間に供給される合成樹脂製フィルムFへの圧力をさらに増加させることができる。その結果、合成樹脂製フィルムFに対して、その幅が非常に狭い線状に潰されたヒートシール部2が形成されることになる。またこのとき、合成樹脂製フィルムFのヒートシール部2には、搬出側案内手段7(一対の案内ベルト33、33)から下方に向かう引張力が付与されるために、合成樹脂製フィルムFのヒートシール部2がこの引張力により容易にカットされる。
【0034】
このように、一対の回転体25、25が同期して所定方向に連続して回転された状態で、合成樹脂製フィルムFが一対の回転シーラ5、5間に連続して供給されることで、供給された合成樹脂製フィルムFは、一対のヒーターバー26、26により、長手方向に沿って所定の間隔をあけてヒートシール部2が順次形成されて、且つヒートシール部2が順次カットされる。
次に、合成樹脂製フィルムFのヒートシール部2がカットされ、当該カットされたもの3は、排出側案内手段7の一対の案内ベルト33、33の直線状に延びる対向部位39、39間を鉛直方向に沿って上方から下方に向かって順次移動した後、一対の案内ベルト33、33間に沿って順次所定方向(
図1の白抜き矢印)に案内される。
【0035】
次に、一対の回転シーラ5、5による合成樹脂製フィルムFへの一連のヒートシール(カットを含む)作業が終了すると、各加圧手段6のピストンロッド6Aの縮み行程により、一対の回転体25、25は、各支持部材31、31を介して互いに遠退する方向に移動して、初期位置に戻る。
【0036】
なお、一対の回転シーラ5、5の回転速度を適宜変更することで、合成樹脂製フィルムFの長手方向に沿うヒートシール部2、2間のピッチを±25%の範囲内で変更することができる。このように、ヒートシール部2、2間のピッチを簡単な操作で変更することができるので、ピッチ変更の際の段取り替え時間を短縮することができ、ヒューマンエラーを抑制することができる。
【0037】
以上説明した、本実施形態に係るヒートシール装置1では、合成樹脂製フィルムFを鉛直方向に沿って上方から下方に向かって案内する供給側案内手段4と、該供給側案内手段4からの合成樹脂製フィルムFを受け入れて、当該合成樹脂フィルムFの所定位置を順次ヒートシールする、回転体25、25の外周面が互いに対向するように水平方向に沿って並べて配置された一対の回転シーラ5、5と、を備えている。そして、合成樹脂製フィルムFが、供給側案内手段4により上方から一対の回転シーラ5、5間に供給されるために、合成樹脂製フィルムFの供給方向と重力方向とを一致させることができる。
【0038】
その結果、供給側案内手段4の一対の案内ベルト10、10と、一対の回転シーラ5、5との間(鉛直方向)に位置する合成樹脂製フィルムFの姿勢を安定させて、一対の回転シーラ5、5(ヒーターバー26、26)間に供給することができる。結果として、回転シーラ5の回転体25の外径を適宜大きくすることができ、合成樹脂製フィルムFに高圧を付与して潰すことができ、加熱温度が比較的低くてもヒートシールされつつそのヒートシール部2を容易にカットすることが可能となり、ひいては、そのカット面がきれいで見た目が非常に良好となり、その品質を向上させることができる。
【0039】
また、本実施形態に係るヒートシール装置1では、一対の回転シーラ5、5の下方に近接して搬出側案内手段7が備えられ、一対の回転シーラ5、5よりも下方の搬出側案内手段7からの引張力により、ヒートシールされた部位2を容易にカットすることができる。これにより、新規にカット用構成部材、例えばカットローラ等を備える必要はなく、その構造を簡素化することができ、また装置全体をコンパクトにすることができる。しかも、本実施形態に係るヒートシール装置1では、合成樹脂フィルムFを連続して一対の回転シーラ5、5間に供給してヒートシールすると共にカットできるので、生産性を向上することができる。
【0040】
さらに、本実施形態に係るヒートシール装置1では、一対の回転シーラ5、5のヒーターバー26、26の先端面は、その曲率が相違して構成される。すなわち、一方の回転シーラ5のヒーターバー26の先端面は、外方に突出する曲面27に形成され、他方の回転シーラ5のヒーターバー26の先端面は、平面28に形成される。これにより、一方の回転シーラ5のヒーターバー26の先端面(曲面27)と、他方の回転シーラ5のヒーターバー26の先端面(平面28)との接触面積を小さくすることで、一対のヒーターバー26、26の先端間に供給される合成樹脂製フィルムFへの圧力をさらに増加させることができる。
【0041】
そして、一方の回転シーラ5のヒーターバー26の先端面(曲面27)と、他方の回転シーラ5のヒーターバー26の先端面(平面28)との間で、加圧、加熱された合成樹脂製フィルムFには、その幅が非常に狭い線状に潰されたヒートシール部2(
図2(a)参照)が形成され、当該ヒートシール部2を小さい引張力で容易にカットすることができる。
【0042】
さらにまた、本実施形態に係るヒートシール装置1では、回転シーラ5の回転体25の外径を大きくしても、回転体25に備えた複数のヒーターバー26、26により、一対の回転シーラ5、5間に供給される合成樹脂製フィルムFに対して、その長手方向に沿う所定間隔にてヒートシール部2をそれぞれ形成でき、その部分をそれぞれカットすることが可能になる。
【0043】
さらにまた、本実施形態に係るヒートシール装置1では、回転体25の外径は、130mmで設定され、一対の回転シーラ5、5のヒーターバー26、26による加熱温度は、140℃~230℃の範囲内で設定される。これにより、一対の回転シーラ5、5のヒーターバー26、26間の合成樹脂製フィルムFに対して高圧を付与することができる共に、加熱温度を比較的低くしてヒートシール部2を形成でき、当該ヒートシール部2を容易にカットすることができる。その結果、そのカット面がきれいで見た目が非常に良好となり、その品質を向上させることができる。
【0044】
さらにまた、本実施形態に係るヒートシール装置1では、各加圧手段6により、一対の回転シーラ5、5が、各支持部材31、31を介して互いに近接・遠退する方向に移動でき、供給される合成樹脂製フィルムFに対する位置をそれぞれ調整することができる。これにより、一対の回転シーラ5、5の外周面に合成樹脂製フィルムFが常時接触する虞はなく、その結果、合成樹脂製フィルムFに対して、余計な部位が加熱されてダメージを受けることはなく、好適である。しかも、一対の回転シーラ5、5が共に移動できるので、メンテナンス時など、作業者の手が入るスペースを複数箇所備えることができ、作業性も向上させることができる。
【符号の説明】
【0045】
1 ヒートシール装置,2 ヒートシール部(ヒートシールされた部位),4 供給側案内手段,5 回転シーラ,6 加圧手段,7 搬出側案内手段,25 回転体,26 ヒーターバー,27 曲面,28 平面,F 合成樹脂製フィルム