(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063548
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1368 20060101AFI20240502BHJP
G02F 1/1343 20060101ALI20240502BHJP
G02F 1/1339 20060101ALI20240502BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
G02F1/1368
G02F1/1343
G02F1/1339 500
G09F9/30 338
G09F9/30 348A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171597
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】尾関 芳孝
【テーマコード(参考)】
2H092
2H189
2H192
5C094
【Fターム(参考)】
2H092GA21
2H092GA29
2H092HA04
2H092JA25
2H092JA26
2H092JA46
2H092JB31
2H092JB54
2H092JB56
2H092JB63
2H092KA08
2H189DA08
2H189DA31
2H189JA14
2H189LA10
2H192AA24
2H192BB13
2H192BB53
2H192BC33
2H192BC34
2H192CB02
2H192CB05
2H192CB37
2H192CB42
2H192CC73
2H192CC75
2H192DA72
2H192EA04
2H192EA62
2H192JA32
5C094AA09
5C094BA03
5C094BA43
5C094DA13
5C094DA15
5C094DB01
5C094EA05
5C094EA10
5C094JA01
5C094JA08
(57)【要約】
【課題】表示装置において、高精細化された画素におけるクロストークを低減する。
【解決手段】表示装置は、第1基板の上に、第1方向及び第1方向と交差する第2方向に沿って配置された複数の画素を有し、複数の画素の各々は、トランジスタと、トランジスタよりも上層に設けられ、トランジスタと接続される第1配線と、第1配線よりも上層に設けられ、トランジスタと接続される第1透明導電層と、第1透明導電層の上に設けられ、コンタクトホールが設けられた第1絶縁層と、第1絶縁層の上に設けられ、コンタクトホールを介して第1透明導電層と接続される第2透明導電層と、を有し、第1絶縁層は、第1透明導電層と重なる領域に凹部を有し、凹部の底部にコンタクトホールが設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板の上に、第1方向及び前記第1方向と交差する第2方向に沿って配置された複数の画素を有し、
前記複数の画素の各々は、
トランジスタと、
前記トランジスタよりも上層に設けられ、前記トランジスタと接続される第1配線と、
前記第1配線よりも上層に設けられ、前記トランジスタと接続される第1透明導電層と、
前記第1透明導電層の上に設けられ、コンタクトホールが設けられた第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の上に設けられ、前記コンタクトホールを介して前記第1透明導電層と接続される第2透明導電層と、を有し、
前記第1絶縁層は、前記第1透明導電層と重なる領域に凹部を有し、前記凹部の底部に前記コンタクトホールが設けられる、表示装置。
【請求項2】
平面視において、前記第2方向に隣接する2つの画素の第1配線の間隔は、4μm以上8μm以下であり、
前記第1透明導電層と前記第2透明導電層とが接触する面積は、前記第1配線の間隔に対して40%以上である、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1絶縁層の前記凹部における膜厚は、前記凹部が設けられていない前記第1絶縁層の膜厚に対して70%以上75%以下である、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第2透明導電層よりも上層に設けられた共通補助電極と、
前記共通補助電極よりも上層に設けられた第3透明導電層と、をさらに有し、
前記凹部は、前記共通補助電極と重畳する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記コンタクトホールに充填された充填部材をさらに有し、
前記充填部材は、前記第3透明導電層の上面よりも突出した突出部を有する、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
第1基板の上に、第1方向及び前記第1方向と交差する第2方向に沿って配置された複数の画素を有し、
前記複数の画素の各々は、
トランジスタと、
前記トランジスタよりも上層に設けられ、前記トランジスタと接続される第1配線と、
前記第1配線よりも上層に設けられ、前記トランジスタと接続される第1透明導電層と、
前記第1透明導電層の上に設けられ、コンタクトホールを有する第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の上に設けられ、前記コンタクトホールを介して前記第1透明導電層と接続される第2透明導電層と、を有し、
前記第1絶縁層は、前記第2方向に並んで配置された複数の画素に亘って延在する凹部を有し、前記第1透明導電層と重なる前記凹部の底部に前記コンタクトホールが設けられる、表示装置。
【請求項7】
平面視において、前記第2方向に隣接する2つの画素の第1配線の間隔は、4μm以上8μm以下であり、
前記第1透明導電層と前記第2透明導電層とが接触する面積は、前記第1配線の間隔に対して40%以上である、請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1絶縁層の前記凹部までの膜厚は、前記凹部が設けられていない前記第1絶縁層の膜厚に対して70%以上75%以下である、請求項6に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第2透明導電層よりも上層に設けられた共通補助電極と、
前記共通補助電極よりも上層に設けられた第3透明導電層と、をさらに有し、
前記凹部は、前記共通補助電極と重畳する、請求項6に記載の表示装置。
【請求項10】
前記コンタクトホールに充填された充填部材をさらに有し、
前記充填部材は、前記第3透明導電層の上面よりも突出した突出部を有する、請求項9に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、表示装置に関する。特に、本発明の一実施形態は、酸化物半導体を含むトランジスタが用いられた表示装置に関する。また、本発明の一実施形態は、表示装置のアレイ基板に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、アモルファスシリコン、低温ポリシリコン、および単結晶シリコンに替わり、酸化物半導体をチャネルに用いたトランジスタの開発が進められている(例えば、特許文献1、2参照)。酸化物半導体がチャネルに用いられたトランジスタは、アモルファスシリコンがチャネルに用いられたトランジスタと同様に、単純な構造かつ低温プロセスで形成される。酸化物半導体をチャネルに用いたトランジスタは、アモルファスシリコンをチャネルに用いたトランジスタよりも高い移動度を有し、オフ電流が非常に低いことが知られている。
【0003】
表示装置として、例えば、IPS方式の液晶表示装置が知られている(特許文献3)。トランジスタのソース電極は、有機パッシベーション膜及び層間絶縁膜に設けられた開口を介して、画素電極と接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-146819号公報
【特許文献2】特開2015-159315号公報
【特許文献3】特開2015-087600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
表示装置の画素サイズ縮小化に伴って画素電極と信号線との距離が短くなり、画素電極は信号線による容量カップリングの影響を受けやすくなる。そのため、信号線の電位によって画素電極の電位が変化するクロストークの影響が顕在化する。
【0006】
本発明の一実施形態は、表示装置において、高精細化された画素におけるクロストークを低減することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る表示装置は、第1基板の上に、第1方向及び第1方向と交差する第2方向に沿って配置された複数の画素を有し、複数の画素の各々は、トランジスタと、トランジスタよりも上層に設けられ、トランジスタと接続される第1配線と、第1配線よりも上層に設けられ、トランジスタと接続される第1透明導電層と、第1透明導電層の上に設けられ、コンタクトホールが設けられた第1絶縁層と、第1絶縁層の上に設けられ、コンタクトホールを介して第1透明導電層と接続される第2透明導電層と、を有し、第1絶縁層は、第1透明導電層と重なる領域に凹部を有し、凹部の底部にコンタクトホールが設けられる。
【0008】
本発明の一実施形態に係る表示装置は、第1基板の上に、第1方向及び第1方向と交差する第2方向に沿って配置された複数の画素を有し、複数の画素の各々は、トランジスタと、トランジスタよりも上層に設けられ、トランジスタと接続される第1配線と、第1配線よりも上層に設けられ、トランジスタと接続される第1透明導電層と、第1透明導電層の上に設けられ、コンタクトホールを有する第1絶縁層と、第1絶縁層の上に設けられ、コンタクトホールを介して第1透明導電層と接続される第2透明導電層と、を有し、第1絶縁層は、第2方向に並んで配置された複数の画素に亘って延在する凹部を有し、第1透明導電層と重なる凹部の底部にコンタクトホールが設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の概要を示す平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る表示装置の回路構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る表示装置の画素の画素回路を示す回路図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す平面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す平面図である。
【
図7】
図5及び
図6に示す表示装置のA1-A2線における断面図である。
【
図8A】
図5及び
図6に示す表示装置のB1-B2線における断面図である。
【
図8B】
図5及び
図6に示す表示装置のB1-B2線における断面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る表示装置において、各層のレイアウトを説明する平面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る表示装置において、各層のレイアウトを説明する平面図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る表示装置において、各層のレイアウトを説明する平面図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る表示装置において、各層のレイアウトを説明する平面図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る表示装置において、各層のレイアウトを説明する平面図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る表示装置において、各層のレイアウトを説明する平面図である。
【
図15】本発明の一実施形態に係る表示装置において、各層のレイアウトを説明する平面図である。
【
図16】本発明の一実施形態に係る表示装置において、各層のレイアウトを説明する平面図である。
【
図17】本発明の一実施形態に係る表示装置において、各層のレイアウトを説明する平面図である。
【
図18】本発明の一実施形態に係る表示装置において、各層のレイアウトを説明する平面図である。
【
図19】本発明の一実施形態に係る表示装置において、各層のレイアウトを説明する平面図である。
【
図20】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す平面図である。
【
図21】
図20に示す表示装置のC1-C2線における断面図である。
【
図22】
図20に示す表示装置のE1-E2線における断面図である。
【
図23】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図24】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図25】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図26】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す平面図である。
【
図27】
図26に示す表示装置のF1-F2線における断面図である。
【
図28】
図26に示す表示装置のG1-G2線における断面図である。
【
図29】
図26に示す表示装置のH1-H2線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。以下の開示はあくまで一例にすぎない。当業者が、発明の主旨を保ちつつ、実施形態の構成を適宜変更することによって容易に想到し得る構成は、当然に本発明の範囲に含有される。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、膜厚、形状等について模式的に表される場合がある。しかし、図示された形状はあくまで一例であって、本発明の解釈を限定しない。本明細書と各図において、既出の図に関して前述した構成と同様の構成には、同一の符号の後にアルファベットを付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0011】
本発明の各実施の形態において、基板から酸化物半導体層に向かう方向を上または上方という。逆に、酸化物半導体層から基板に向かう方向を下または下方という。このように、説明の便宜上、上方または下方という語句を用いて説明するが、例えば、基板と酸化物半導体層との上下関係が図示と異なる向きに配置されてもよい。以下の説明で、例えば基板上の酸化物半導体層という表現は、上記のように基板と酸化物半導体層との上下関係を説明しているに過ぎず、基板と酸化物半導体層との間に他の部材が配置されていてもよい。上方または下方は、複数の層が積層された構造における積層順を意味するものであり、トランジスタの上方の画素電極と表現する場合、平面視でトランジスタと画素電極とが重畳しない位置関係であってもよい。一方、トランジスタの鉛直上方の画素電極と表現する場合は、平面視でトランジスタと画素電極とが重畳する位置関係を意味する。
【0012】
「表示装置」とは、電気光学層を用いて映像を表示する構造体を指す。例えば、表示装置という用語は、電気光学層を含む表示パネルを指す場合もあり、または表示セルに対して他の光学部材(例えば、偏光部材、バックライト、タッチパネル等)を装着した構造体を指す場合もある。「電気光学層」には、技術的な矛盾が生じない限り、液晶層、エレクトロルミネセンス(EL)層、エレクトロクロミック(EC)層、電気泳動層が含まれ得る。したがって、後述する実施形態について、表示装置として、液晶層を含む液晶表示装置を例示して説明するが、本実施形態における構造は、上述した他の電気光学層を含む表示装置へ適用することができる。
【0013】
本明細書において「αはA、BまたはCを含む」、「αはA、BおよびCのいずれかを含む」、「αはA、BおよびCからなる群から選択される一つを含む」、といった表現は、特に明示が無い限り、αがA~Cの複数の組み合わせを含む場合を排除しない。さらに、これらの表現は、αが他の要素を含む場合も排除しない。
【0014】
なお、以下の各実施形態は、技術的な矛盾を生じない限り、互いに組み合わせることができる。
【0015】
[第1実施形態]
[1.表示装置10の概要]
図1~
図3を参照して、本発明の一実施形態に係る表示装置10の概要について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る表示装置10の概要を示す平面図である。
図1に示すように、表示装置10は、アレイ基板300、シール部400、対向基板500、フレキシブルプリント回路基板600(FPC600)、およびICチップ700を有する。アレイ基板300および対向基板500はシール部400によって貼り合わせられている。シール部400に囲まれた液晶領域22には、複数の画素PIXが、D1方向(行方向)およびD1方向と交差するD2方向(列方向)に沿ってマトリクス状に配置されている。複数の画素PIXは、対向基板に設けられるカラーフィルタに応じた赤色画素R、緑色画素G、および青色画素Bを含む。D1方向とD2方向とは、直交していてもよい。
図1では図示しないが、アレイ基板300の表面に対して垂直な方向をD3方向として説明する。液晶領域22は、後述する液晶素子LEと平面視で重畳する領域である。なお、以下では、液晶領域22のうち、複数の画素を含む領域を画像表示領域23という場合がある。
【0016】
また、表示装置10は、アレイ基板300の背部にバックライトユニットを有し、バックライトユニットからの出射光が画像表示領域23を透過するときに、各画素PIXにおいて透過光が変調されることで画像が表示される。
【0017】
シール部400が設けられたシール領域24は、液晶領域22の周囲の領域である。FPC600は端子領域26に取り付けられている。端子領域26はアレイ基板300が対向基板500に重畳しない領域に設けられており、シール領域24の外側に設けられている。なお、シール領域24の外側とは、シール部400が設けられた領域およびシール部400によって囲まれた領域の外側を意味する。ICチップ700はFPC600上に設けられている。ICチップ700は各画素PIXの画素回路を駆動させるための信号を供給する。なお、以下では、シール領域24、シール領域24の外側および端子領域26をまとめて額縁領域という場合がある。ICチップ700は当該額縁領域に搭載されていてもよい。
【0018】
[2.表示装置10の回路構成]
図2は、本発明の一実施形態に係る表示装置10の回路構成を示すブロック図である。
図2に示すように、画素PIXが配置された液晶領域22に対してD1方向に沿うようにソースドライバ回路SDが設けられており、液晶領域22に対してD2方向に沿うようにゲートドライバ回路GD-1、GD-2が設けられている。ソースドライバ回路SDおよびゲートドライバ回路GD-1、GD-2は、上記のシール領域24に設けられている。ただし、ソースドライバ回路SDおよびゲートドライバ回路GD-1、GD-2が設けられる領域はシール領域24に限定されず、画素PIXの画素回路が設けられた領域の外側であれば、どの領域でもよい。なお、ICチップ700内にソースドライバ回路を設ける構成も採用可能である。
【0019】
ソースドライバ回路SDからソース配線321がD2方向に延在しており、D2方向に配列された複数の画素PIXの画素回路に接続されている。ゲートドライバ回路GD-1又はゲートドライバ回路GD-2からゲート配線331がD1方向に延在しており、D1方向に配列された複数の画素PIXの画素回路に接続されている。
【0020】
端子領域26には端子部333が設けられている。端子部333とソースドライバ回路SDとは接続配線341で接続されている。同様に、端子部333とゲートドライバ回路GD-1、GD-2とは接続配線341で接続されている。FPC600が端子部333に接続されることで、FPC600が接続された外部機器と表示装置20とが接続され、外部機器からの信号によって表示装置10に設けられた各画素PIXに含まれる画素回路が駆動する。
【0021】
[3.表示装置10の画素PIXの画素回路]
図3は、本発明の一実施形態に係る表示装置10の画素PIXの画素回路を示す回路図である。
図3に示すように、画素回路はトランジスタ800、保持容量890、および液晶素子LEなどの素子を含む。詳細は後述するが、液晶素子LEの一方の電極は画素電極PTCOであり、他方の電極は共通電極CTCOである。そして、保持容量890の一方の電極は画素電極PTCOが兼ねており、他方の電極は共通電極CTCOが兼ねている。トランジスタ800は第1ゲート電極810、第1ソース電極830、および第1ドレイン電極840を有する。第1ゲート電極810はゲート配線331に接続されている。第1ソース電極830はソース配線321に接続されている。第1ドレイン電極840は保持容量890および液晶素子LEに接続されている。なお、本実施形態では、説明の便宜上、830Bをソース電極といい、840Bをドレイン電極というが、各々の電極は、ソースとしての機能とドレインとしての機能とが入れ替わってもよい。
【0022】
[4.表示装置10の構成]
図4~
図19を参照して、本発明の一実施形態に係る表示装置10の構成の詳細について説明する。
図4は、本発明の一実施形態に係る表示装置10の構成を示す断面図である。
図5及び
図6は、本発明の一実施形態に係る表示装置10の構成を示す平面図である。
図7は、
図5及び
図6に示す表示装置10のA1-A2線における断面図である。
図8は、
図5及び
図6に示す表示装置10のB1-B2線における断面図である。
図9は、表示領域と額縁領域との境界における平面図である。
図10~
図19は、本発明の一実施形態に係る表示装置10において、各層のレイアウトを説明する平面図である。なお、
図4の断面図は、表示装置10の層構造を説明するための断面図であり、周辺回路と画素回路が隣接して示されているが、実際には画素回路は画像表示領域内に、周辺回路は画像表示領域外の額縁領域に設けられており、これらの回路同士が離間して設けられていることは言うまでもない。また、特に、
図4の中の画素回路においては、画素中のコンタクトホール周辺部を中心に示されており、表示に寄与する透光領域(開口領域)については一部のみが示されている。
【0023】
図4に示すように、表示装置10は、基板SUB、トランジスタTr1、トランジスタTr2、配線W、接続電極ZTCO、画素電極PTCO、共通補助電極CMTL、および共通電極CTCOを有する。TCOはTransparent Conductive Oxide(透明導電性酸化物)の略称である。トランジスタTr1は表示装置10の画素PIXの画素回路に含まれるトランジスタである。トランジスタTr2はソースドライバ回路SDまたはゲートドライバ回路GD-1、GD-2などの周辺回路に含まれるトランジスタである。
【0024】
[5.トランジスタTr1の構成]
トランジスタTr1(トランジスタ800)は、酸化物半導体層OS、ゲート絶縁層GI1、およびゲート電極GL1(第1ゲート電極810)を有する。ゲート電極GL1は酸化物半導体層OSに対向する。なお、ゲート配線331の一部がゲート電極GL1として機能する。ゲート絶縁層GI1は酸化物半導体層OSとゲート電極GL1との間に設けられている。本実施形態では、ゲート電極GL1よりも基板SUB側に酸化物半導体層OSが設けられたトップゲート型トランジスタが例示されているが、ゲート電極GL1と酸化物半導体層OSとの位置関係が逆であるボトムゲート型トランジスタが用いられてもよい。
【0025】
酸化物半導体層OSは、酸化物半導体領域OS1、OS2を含む。酸化物半導体領域OS1は、平面視でゲート電極GL1と重畳する領域の酸化物半導体層である。酸化物半導体領域OS1は、半導体として機能し、ゲート電極GL1に供給される電圧に応じて導通状態と非導通状態とに切り替えられる。つまり、酸化物半導体領域OS1はトランジスタTr1のチャネルとして機能する。酸化物半導体領域OS2は導電体として機能する。
【0026】
ゲート電極GL1の上に絶縁層IL2が設けられている。絶縁層IL2の上に配線W1(ソース配線321)が設けられている。配線W1は、絶縁層IL2およびゲート絶縁層GI1に設けられたコンタクトホールWCONを介して酸化物半導体領域OS2に接続されている。配線W1には、画素の階調に関連するデータ信号が伝達される。絶縁層IL2および配線W1の上に絶縁層IL3が設けられている。絶縁層IL3の上に接続電極ZTCO(ドレイン電極840)が設けられている。接続電極ZTCOは、絶縁層IL3、IL2、およびゲート絶縁層GI1に設けられたコンタクトホールZCONを介して酸化物半導体領域OS2に接続されている。接続電極ZTCOはコンタクトホールZCONの底部において酸化物半導体領域OS2と接している。接続電極ZTCOは、透明導電層である。
【0027】
接続電極ZTCO(第1透明導電層ともいう)と酸化物半導体領域OS2とが接する領域を第1コンタクト領域CON1という。詳細は後述するが、接続電極ZTCOは、平面視でゲート電極GL1および配線W1とは重畳しない第1コンタクト領域CON1において酸化物半導体領域OS2と接する。平面視で第1コンタクト領域CON1は画素の表示領域に含まれる。
【0028】
例えば、ITO層などの透明導電層をシリコン層などの半導体層に接するように形成すると、ITO成膜時のプロセスガスや酸素イオンによって半導体層の表面が酸化する。半導体層の表面に形成された酸化層は高抵抗であるため、半導体層と透明導電層との間の接触抵抗が高くなる。その結果、半導体層と透明電極層との電気的接触に不良が生じる。一方、上記の透明導電層を酸化物半導体層に接するように形成しても、酸化物半導体層の表面に上記のような高抵抗な酸化層は形成されない。そのため、酸化物半導体層と透明導電層との間の電気的接触に不良は生じない。
【0029】
接続電極ZTCOの上に絶縁層IL4が設けられている。絶縁層IL4は、絶縁層IL4よりも下層に設けられた構造体によって形成された段差を緩和する。絶縁層IL4を平坦化膜という場合がある。絶縁層IL4の上に画素電極PTCO(第2透明導電層ともいう)が設けられている。
【0030】
画素電極PTCOは絶縁層IL4に設けられたコンタクトホールPCONを介して接続電極ZTCOに接続されている。接続電極ZTCOと画素電極PTCOとが接する領域をコンタクト領域CON2という。平面視でコンタクト領域CON2はゲート電極GL1と重畳する。画素電極PTCOは、透明導電層である。
【0031】
図4に示すように、絶縁層IL4は、接続電極ZTCOと重なる領域に凹部RECを有する。つまり、絶縁層IL4は、表面が窪んでいる領域を有する。凹部RECの底部に、コンタクトホールPCONが設けられている。本実施形態では、凹部RECとコンタクトホールPCONとを区別して説明するが、絶縁層IL4は、段差があるコンタクトホールPCONを有しているともいえる。具体的には、絶縁層IL4は、上段と下段とを有するコンタクトホールPCONを有している。コンタクトホールPCONの上段は開口の面積が広く、下段は開口の面積が狭い。凹部REC及びコンタクトホールPCONについては、後に詳細に説明する。
【0032】
画素電極PTCO及び絶縁層IL4の上に絶縁層IL5が設けられている。絶縁層IL5は、コンタクトホールPCONの内部において、コンタクトホールPCONの側面と、画素電極PTCOの上にも設けられている。絶縁層IL5の上に設けられ、コンタクトホールPCONの内部を充填するように充填部材FMが設けられている。充填部材FMが設けられている領域において、充填部材FMは、絶縁層IL4の上に設けられた画素電極PTCOの上面よりも突出した突出部を有している。突出部は、スペーサSPとして機能する。なお、充填部材FMのうち、絶縁層IL4の上に設けられた画素電極PTCOの上面又は絶縁層IL4の上に設けられた絶縁層IL5の上面と略一致する部分を、充填部FPともいう。
【0033】
スペーサSPは一部の画素に対して設けられている。例えば、スペーサSPは、赤色画素、緑色画素、および青色画素のいずれか1つの画素に対して設けられていてもよい。但し、スペーサSPは全ての画素に設けられていてもよい。スペーサSPの高さは、セルギャップの半分の高さである。対向基板にもスペーサが設けられており、対向基板のスペーサと上記のスペーサSPとは平面視で重畳する。なお、スペーサSPの高さをセルギャップ相当とする構成も適用することができる。なお、スペーサSPの詳細な構成については、後に詳述する。
【0034】
図4に示すように、絶縁層IL5及びスペーサSPの上に共通補助電極CMTLおよび共通電極CTCO(第3透明導電層ともいう)が設けられている。共通電極CTCOは、共通補助電極CMTLに接して設けられている。画素電極PTCOと、絶縁層IL5、及び共通電極CTCOにより、保持容量890が構成される。また、共通補助電極CMTLは、充填部材FMに接して設けられている。共通補助電極CMTLと共通電極CTCOとは、それぞれ異なる平面パターンを有する。共通補助電極CMTLは金属層である。共通電極CTCOは透明導電層である。共通補助電極CMTLの電気抵抗は共通電極CTCOの電気抵抗よりも低抵抗である。また、共通補助電極CMTLは遮光層としても機能する。例えば、共通補助電極CMTLが隣接する画素からの光を遮光することで、混色の発生が抑制される。平面視で、第2コンタクト領域CON2及び凹部RECは、共通補助電極CMTLと重畳する。本実施形態では、共通補助電極CMTLの上に共通電極CTCOが設けられる構成について示すが、共通電極CTCOの上に共通補助電極CMTLが設けられる構成であってもよい。
【0035】
トランジスタTr1と基板SUBとの間に遮光層LSが設けられている。本実施形態では、遮光層LSとして、遮光層LS1、LS2が設けられている。ただし、遮光層LSは遮光層LS1のみまたはLS2のみで形成されていてもよい。平面視で、遮光層LSは、ゲート電極GL1と酸化物半導体層OSとが重畳する領域に設けられている。つまり、平面視で、遮光層LSは酸化物半導体領域OS1と重畳する領域に設けられている。遮光層LSは、基板SUB側から入射した光が酸化物半導体領域OS1に到達することを抑制する。遮光層LSとして導電層が用いられる場合、遮光層LSに電圧を印加して酸化物半導体領域OS1を制御してもよい。遮光層LSに電圧が印加される場合、遮光層LSとゲート電極GL1とは、額縁領域で接続されていてもよい。平面視で、第1コンタクト領域CON1は遮光層LSと重畳しない領域に設けられている。また、平面視で、第2コンタクト領域CON2及び凹部RECは遮光層LSと重畳する領域に設けられる。
【0036】
[6.トランジスタTr2の構成]
トランジスタTr2は、p型のトランジスタTr2-1およびn型のトランジスタTr2-2を有する。
【0037】
p型のトランジスタTr2-1およびn型のトランジスタTr2-2は、いずれもゲート電極GL2、ゲート絶縁層GI2、および半導体層Sを有する。ゲート電極GL2は半導体層Sに対向する。ゲート絶縁層GI2は半導体層Sとゲート電極GL2との間に設けられている。本実施形態では、半導体層Sよりも基板SUB側にゲート電極GL2が設けられたボトムゲート型トランジスタが例示されているが、半導体層Sとゲート電極GL2との位置関係が逆であるトップゲート型トランジスタが用いられてもよい。
【0038】
p型のトランジスタTr2-1の半導体層Sは、半導体領域S1、S2を含む。n型のトランジスタTr2-2の半導体層Sは、半導体領域S1、S2、S3を含む。半導体領域S1は、平面視でゲート電極GL2と重畳する領域の半導体領域である。半導体領域S1はトランジスタTr2-1のチャネルとして機能する。半導体領域S2は導電体として機能する。半導体領域S3は、半導体領域S2よりも高抵抗な導電体として機能する。半導体領域S3は、半導体領域S1に向かって侵入するホットキャリアを減衰させることで、ホットキャリア劣化を抑制する。
【0039】
半導体層Sの上に絶縁層IL1およびゲート絶縁層GI1が設けられている。トランジスタTr2において、ゲート絶縁層GI1は単に層間膜として機能する。これらの絶縁層の上に配線W2が設けられている。配線W2は、絶縁層IL1およびゲート絶縁層GI1に設けられた開口を介して半導体層Sに接続されている。配線W2の上に絶縁層IL2が設けられている。絶縁層IL2の上に配線W1が設けられている。配線W1は、絶縁層IL2に設けられた開口(コンタクトホールともいう)を介して配線W2に接続されている。
【0040】
ゲート電極GL2と遮光層LS2とは同一層である。配線W2とゲート電極GL1とは同一層である。同一層とは、複数の部材が1つの層がパターニングされることによって形成されていることを意味する。
【0041】
[7.寄生容量による影響]
図30及び
図31を参照して、配線W1、画素電極PTCO、及び共通電極CTCOによって形成される寄生容量の影響について説明する。
図30及び
図31は、接続電極ZTCOと画素電極PTCOとが接触する第2コンタクト領域CON2を、D1方向に沿って切断した図である。ヘッドマウントディスプレイなどの表示装置では画素数を増加した高精細な表示が望まれている。画素の高精細化にあたっては、配線W1と画素電極PTCOとの間に形成される寄生容量(
図30参照)、及び配線W1と共通電極CTCOとの間に形成される寄生容量(
図31参照)が問題となる。
【0042】
配線W1と共通電極CTCOとの間に形成される寄生容量を減少させるためには、配線W1と共通電極CTCOとの距離を長くすればよい。この場合、絶縁層IL4を厚くすればよいことになる。しかし、絶縁層IL4を厚くすると、コンタクトホールPCONの孔径(絶縁層IL4上面における孔径)が大きくなる傾向がある。この影響により、
図30に示すように、コンタクトホールPCONの孔径が広がることで、コンタクトホールPCONの側壁の角度が小さくなる(側壁の傾斜が緩くなる)。これにより、D1方向において配線W1と、コンタクトホールPCONの側面を覆う画素電極PTCOとの距離L1が近くなることで、これらの間の寄生容量が無視できない程度に大きくなってしまう。このような状態で画素を高速に駆動しようとすると、配線W1と画素電極PTCOとの間で負荷が増大することで、消費電力が増加してしまう。
【0043】
配線W1と画素電極PTCOとの間に形成される寄生容量を減少させるためには、配線W1と画素電極PTCOとの距離を長くすればよい。この場合、コンタクトホールPCONの孔径を縮小すればよいが、コンタクトホールPCONの孔径を縮小するためには絶縁層IL4の膜厚を薄くする必要がある。コンタクトホールPCONの孔径を縮小することができ、コンタクトホールPCONの側壁の角度を小さくすることができる。一方で、絶縁層IL4の膜厚が薄いため、
図31に示すように、D1方向における配線Wと共通電極CTCOとの距離L2が近くなることで、寄生容量が形成されてしまう。このような状態で画素を高速に駆動しようとすると、寄生容量に伴う容量カップリングにより、配線W1の電位によって画素電極PTCOの電位が元の電位よりも高い電位になる。そのため、表示装置に変化するクロストークが生じ、表示装置の表示品位が低下してしまう。
【0044】
このように、画素の精細度を向上させるためには、接続電極ZTCOと画素電極PTCOとを接続するためのコンタクトホールの形状に制約がある。
【0045】
以上説明した通り、画素の高精細化に当たっては、接続電極ZTCOと画素電極PTCOとを接続するコンタクトホールに起因する寄生容量の形成を抑制する必要がある。
【0046】
本発明の一実施形態に係る表示装置20では、絶縁層IL4の膜厚を必要以上に薄くすることなく、コンタクトホールPCONの孔径を小さくするとともに、コンタクトホールPCONの側壁の角度を大きくすることができる。これにより、表示装置20の消費電力が増加することを抑制する。また、表示装置20にクロストークが生じることを抑制する。
【0047】
図7は、
図5及び
図6に示す表示装置のA1-A2線における断面図である。
図8Aは、
図5及び
図6に示す表示装置のB1-B2線における断面図である。
図8Bは、
図8Aに示す断面図のコンタクトホールPCON近傍を説明する図である。
図7及び
図8Aに示すように、絶縁層IL4は、接続電極ZTCOと重なる領域に凹部RECを有する。絶縁層IL4に設けられた凹部RECの底部に、コンタクトホールPCONが設けられる。コンタクトホールPCONにて、接続電極ZTCOと画素電極PTCOとが接続される。
【0048】
図5に示すように、平面視において、D1方向に隣接する2つの画素の配線W1-1と配線W1-2との間隔pitch(画素ピッチともいう)は、4μm以上8μm以下となる。
図5及び
図6に示すように、平面視したとき、凹部RECの形状は角部がラウンドしている四角形状であるが、本発明の一実施形態はこれに限定されない。凹部RECの形状は、円形状であってもよく、多角形状であってもよい。また、凹部RECを囲む外接円の直径は、配線W1-1と配線W1-2との間隔pitchに対して、60%以下であることが好ましい。
図5及び
図6に示すように、平面視したとき、コンタクトホールPCONの形状は円形となる。コンタクトホールPCONの孔径は、配線W1-1と配線W1-2との間隔pitchに対して、40%以上であることが好ましい。なお、平面視において、凹部RECの内部にコンタクトホールPCONが形成されていればよい。凹部RECの形状と、コンタクトホールPCONの形状は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0049】
図7に示すように、絶縁層IL4の全体の厚さは、厚さT1に相当する。また、絶縁層IL4において、凹部RECの深さは、絶縁層IL4の厚さT2に相当する。また、絶縁層IL4の凹部RECの底部までの厚さは、絶縁層IL4の厚さT3に相当する。言い換えると、コンタクトホールPCONの深さは、絶縁層IL4の凹部LECの底部の厚さT3に相当する。絶縁層IL4の凹部RECの底部までの膜厚T3は、凹部RECが設けられていない絶縁層IL4の膜厚T1に対して70%以上75%以下である。
【0050】
図8Bに示すように、断面視したとき、凹部RECは、基板の水平面に対する角度がθ1である勾配を有する。コンタクトホールPCONは、凹部RECの底部に設けられる。また、
図8Bに示すように、断面視したとき、コンタクトホールPCONは、基板の水平面に対する角度がθ2である勾配を有する。ここで、角度θ1は、角度θ2よりも小さいことが好ましい。角度θ1が小さいことで、コンタクトホールPCONに設けられる画素電極PTCOと配線W1との距離L1を大きくすることができる。
【0051】
絶縁層IL4は、有機絶縁材料を用いて形成されている。
図8Aに示すように、絶縁層IL4に設けられた凹部RECの上端部UE-1は湾曲しており、コンタクトホールPCONの上端部は湾曲しているが、本発明の一実施形態はこれに限定されない。絶縁層IL4における凹部REC及びコンタクトホールPCONは、基板の水平面に対する角度を有するテーパー形状を有していてもよい。
【0052】
本実施形態における表示装置において、絶縁層IL4に設けられた凹部RECの底部にコンタクトホールPCONを設けることにより、絶縁層IL4の膜厚T1を必要以上に薄くすることなく、コンタクトホールPCONの孔径を小さくすることができる。また、コンタクトホールPCONの側壁の角度を大きくすることができる。これにより、D1方向において、配線W1とコンタクトホールPCONの側壁を覆う画素電極PTCOとの距離L1が近接することを抑制することができる。その結果、コンタクトホールPCONの側面において、配線W1と画素電極PTCOとにより寄生容量が形成されることを抑制することができる。したがって、画素を高速に駆動する場合であっても、配線W1と画素電極PTCOとの間で負荷が増大することを抑制することができる。そのため、表示装置の消費電力を低減することができる。
【0053】
また、絶縁層IL4の膜厚T1を十分に厚くすることが可能であるため、配線W1と共通電極CTCOとの距離L2とが近接することを抑制することができる。その結果、配線W1と共通電極CTCOとにより寄生容量が形成されることを抑制することができる。したがって、画素を高速に駆動する場合であっても、寄生容量に伴う容量カップリングにより、配線W1の電位によって画素電極PTCOの電位の変動を抑制することができる。そのため、表示装置のクロストークが生じることを抑制することができる。
【0054】
[8.表示装置10の平面レイアウト]
図9~
図19を参照して、表示装置10の画素の平面レイアウトを説明する。
図9~
図19には、スペーサSPが設けられていない場合の画素の平面レイアウトを示す。
【0055】
図4および
図9に示すように、遮光層LSはD1方向に延在し、D1方向に配置された画素に共通して設けられている。画素によって遮光層LSの形状が異なっていてもよい。例えば、スペーサSPが設けられる領域と、スペーサSPが設けられない領域とで、遮光層LSの形状が異なっていてもよい。スペーサSPが設けられる領域の遮光層LSの形状については、後に説明する。本実施形態では、D1方向に延在する遮光層LSの一部から、D1方向と交差するD2方向に突出する突出部PJTが設けられている。
図12に示すように、遮光層LSは、平面視でゲート電極GL1と酸化物半導体層OSとが重畳する領域を含む領域に設けられている。なお、ゲート電極GL1を「ゲート線」ということもできる。
【0056】
図4、
図10、および
図11に示すように、酸化物半導体層OSはD2方向に延在している。ゲート電極GL1は、D1方向に延在して酸化物半導体層OSと交差する。ゲート電極GL1のパターンは遮光層LSのパターンの内側に設けられている。
【0057】
図4、
図12、および
図13に示すように、コンタクトホールWCONは酸化物半導体層OSのパターンの上端付近において、配線W1と重畳する領域に設けられている。コンタクトホールWCONは、ゲート絶縁層GI1及び絶縁層IL2に形成される。配線W1は、絶縁層IL2の上に形成される。酸化物半導体層OSのパターンのメイン部分は隣接する配線W1の間においてD2方向に延在している。酸化物半導体層OSのパターンの残りの部分は、当該メイン部分からコンタクトホールWCONの領域に向かってD1方向およびD2方向に対して斜めの方向に延在している。
【0058】
図4および
図13に示すように、複数の配線W1がD2方向に延在している。隣接する2つの配線をそれぞれ区別して説明する必要がある場合、隣接する2つの配線W1を第1配線W1-1および第2配線W1-2という。この場合、酸化物半導体層OSのメイン部分は、第1配線W1-1と第2配線W1-2との間において、D2方向に延在し、ゲート電極GL1と交差するということができる。
【0059】
図4、
図14、および
図15に示すように、コンタクトホールZCONは酸化物半導体層OSのパターンの下端付近に設けられている。コンタクトホールZCONは、ゲート絶縁層GI1、及び絶縁層IL2、IL3に形成される。コンタクトホールZCONは、酸化物半導体層OSのパターンと重畳する領域、かつ、ゲート電極GL1とは重畳しない領域に設けられている。コンタクトホールZCONは接続電極ZTCOと重畳する領域に設けられている。接続電極ZTCOは、絶縁層IL3の上に形成される。接続電極ZTCOは、第1配線W1-1と第2配線W1-2との間において、ゲート電極GL1および酸化物半導体層OSと重畳する。よって、接続電極ZTCOは、ゲート電極GL1とは重畳しないコンタクトホールZCON(第1コンタクト領域CON1)において酸化物半導体層OSと接する。
【0060】
図4、
図14、および
図15に示すように、酸化物半導体層OSは、ゲート電極GL1に対して、コンタクトホールZCON(第1コンタクト領域CON1)とは反対側で配線W1と接する。コンタクトホールZCONは遮光層LSと重畳しない。
【0061】
図4及び
図16に示すように、凹部REC及びコンタクトホールPCONは接続電極ZTCOのパターンの上端付近に設けられている。凹部REC及びコンタクトホールPCONは、絶縁層IL4に形成される。凹部REC及びコンタクトホールPCONは、ゲート電極GL1のパターンおよび接続電極ZTCOのパターンと重畳する領域に設けられている。コンタクトホールPCONの内部において、接続電極ZTCOは露出される。
【0062】
図4及び
図17に示すように、画素電極PTCOは、コンタクトホールPCONと重畳する領域に設けられている。画素電極PTCOは、絶縁層IL4の上であって、凹部REC及びコンタクトホールPCONの内部に形成される。コンタクトホールPCONの内部で、接続電極ZTCOと画素電極PTCOとが接続される。画素電極PTCOは、第1配線W1-1と第2配線W1-2との間において、ゲート電極GL1、酸化物半導体層OS、および接続電極ZTCOと重畳する。よって、画素電極PTCOは、ゲート電極GL1と重畳するコンタクトホールPCON(第2コンタクト領域CON2)において接続電極ZTCOと接する。また、矩形状の画素電極PTCOのうち、絶縁層IL4上面に設けられる領域は、配線W1との間に絶縁層IL4が介在するため配線W1との距離が大きく、配線W1の電位の影響を受けにくい。一方で、画素電極PTCOの接続電極ZTCOと接する領域は、開口溝の底部に位置するため絶縁層IL4が介在せず、配線W1との距離が比較的近い。そのため、配線W1と画素電極PTCOとの距離が大きくなるよう、接続電極ZTCOと接する領域における画素電極PTCOの幅(D1方向の長さ)は、それ以外の領域における画素電極PTCOの幅(D1方向における長さ)よりも小さくしてもよい。なお、画像表示領域においてスペーサSPが設けられる領域においては、絶縁層IL5の上に充填部材FMが設けられる。充填部材FMについては、
図20以降で詳述する。
【0063】
図4及び
図18に示すように、共通補助電極CMTLは、複数の画素の各々の画素電極PTCOの一部と重畳し、格子状に設けられ、各画素電極PTCOと対向する位置に開口OPが形成されている。具体的には、共通補助電極CMTLは、画像表示領域内で分断されることなく複数の又は全部の画素に対して共通に設けられており、各画素の凹部REC及びコンタクトホールPCONと重畳するとともに、各画素電極PTCOの縁部の一部とも重畳する。そのため、凹部REC及びコンタクトホールPCONにおいて、共通補助電極CMTLは、画素電極PTCOと重畳している。また、共通補助電極CMTLは、平面視でゲート電極GL1とも重畳する。一方、共通補助電極CMTLは、コンタクトホールZCONを含む画素電極PTCOが露出されるように開口されている。すなわち、コンタクトホールZCON(第1コンタクト領域CON1)が表示領域に含まれている。なお、ここで言う表示領域とは、画素単位で見た場合にユーザが画素からの光を視認できる領域を意味する。例えば、金属層によって遮光され、ユーザが光を視認できない領域は表示領域には含まれない。つまり、上記の表示領域を「透光領域(または、開口領域)」という場合がある。共通補助電極CMTLは、D1方向及びD2方向に沿って配置されている。また、共通補助電極CMTLは、ゲート配線GL及び配線W1と重畳するように設けられている。共通補助電極CMTLは、遮光機能を有し、酸化物半導体層OSのチャネルへの光照射を抑制することができる。したがって、そのような共通補助電極CMTLを含む表示装置10では、トランジスタTr1の特性が安定し、信頼性が向上する。
【0064】
図19に示すように、共通電極CTCOは、画像表示領域23内で分断されることなく複数の又は全部の画素に対して共通に設けられている。共通電極CTCOは、画素電極PTCOと重畳している。共通電極CTCOは、上記各開口OPに対応した領域にスリットSLが設けられている。スリットSLは湾曲した形状(縦に長いS字形状)を有している。スリットSLの先端は、当該先端の延伸方向に直交する幅が小さくなる形状を有している。また、スリットSLの一方の先端は共通補助電極CMTLと重畳し、かつ、画素電極PTCOと重畳している。また、スリットSLの他方の先端は、開口OP内に位置するものの、画素電極PTCOとは重畳していない。
【0065】
[9.スペーサSPの構成]
図20~
図22を参照して、アレイ基板に設けられるスペーサSPの構成について説明する。表示装置10のアレイ基板及び対向基板には、スペーサSPが設けられる。アレイ基板に設けられたスペーサSPと、対向基板に設けられたスペーサSPとが向かい合うことで、セルギャップを形成する。スペーサSPは、複数の画素ごとに間隔をあけて設けられている。
【0066】
図20には、遮光層LS、共通補助電極CMTL、及び共通電極CTCOの平面図を示す。
図21には、
図20に示すC1-C2線に沿って切断した断面図を示す。
図22には、
図20に示すD1-D2線に沿って切断した断面図を示す。
図21、
図22において、遮光層LS、共通補助電極CMTL、及び共通電極CTCO以外の構成は、
図9~
図18で説明した構成と同様であるため、詳細な図示を省略する。
【0067】
図20に示すように、絶縁層IL5の上に、充填部材FMのうちスペーサSPが、D1方向に並ぶ3つの凹部REC及びコンタクトホールPCONと重畳するように設けられている。凹部REC及びコンタクトホールPCONには、充填部材FMの充填部FPが埋め込まれている。充填部材FMが設けられている領域のうち、絶縁層IL4の上に設けられた画素電極PTCOの上面よりも突出した突出部(スペーサSPともいう)が設けられている。
図21及び
図22に示すように、充填部材FMのスペーサSPの上に共通補助電極CMTLが設けられている。また、共通補助電極CMTLの上に共通電極CTCOが設けられている。
【0068】
図21及び
図22に示すように、スペーサSPが設けられる領域は、遮光層LSが重畳するように設けられている。
図20に示すように、共通補助電極CMTL及び共通電極CTCOは、スペーサSPが設けられない画素と同じパターンを有していてもよい。
【0069】
[表示装置の製造方法]
次に、本発明の一実施形態に係る表示装置10の製造方法について、
図23~
図25を参照して説明する。ここでは、絶縁層IL4に凹部REC及びコンタクトホールPCONの形成方法について詳細に説明する。
【0070】
図23は、接続電極ZTCOの上に絶縁層IL4を形成し、絶縁層IL4に第1の露光を行う工程を示す図である。まず、
図23に示すように、接続電極ZTCOの上に絶縁層IL4を形成する。絶縁層IL4の膜厚T1は、例えば、2.0μm以上4.0μm以下である。本実施形態では、絶縁層IL4の材料として、ポジ型の有機樹脂を用いる。ポジ型の有機樹脂は、光(主に紫外線)を照射することで軟化する。
【0071】
次に、マスク310を用いて、絶縁層IL4を露光する。マスク310は、後に形成されるコンタクト領域CON2の孔径よりも面積が大きい開口320を有する。絶縁層IL4にマスク310の開口320を介して光が照射されることで、開口320に相当する面積の絶縁層IL4が露光される。このとき、露光の強度は一定で、露光時間を数100secとして絶縁層IL4を露光する(積算露光という)。露光の時間によって、絶縁層IL4が表面から露光される深さを制御する。本実施形態では、絶縁層IL4の膜厚T1に対して、絶縁層IL4の表面から25%以上30%以下の膜厚T2が露光される。絶縁層IL4が露光された領域を、領域410として示している。
【0072】
図24は、マスク310からマスク330に切り替えて、絶縁層IL4に第2の露光を行う工程を示す図である。マスク330の開口340の面積は、マスク330の開口の面積よりも小さい。マスク330の開口340の位置は、絶縁層IL4の領域410と重なる位置に設けられる。絶縁層IL4は、第1の露光によって既に25%以上30%以下の深さ(厚さT2)まで露光されている。そのため、第2の露光では、開口340に相当する面積の絶縁層IL4の残りの膜厚T3である、70%以上75%以下が露光される。
【0073】
図25は、絶縁層IL4を現像する工程を示す図である。絶縁層IL4を現像することにより、露光された領域410、420が除去される。これにより、絶縁層IL4に凹部REC及びコンタクトホールPCONを形成することができる。ここで、第1露光によって露光された領域410が、凹部RECに相当し、第2露光工程によって露光された領域420が、コンタクトホールPCONに相当する。また、コンタクトホールPCONにおいて、接続電極ZTCOが露出する領域が、後に画素電極PTCOと接続される、コンタクト領域CON2となる。
【0074】
以上説明したとおり、絶縁層IL4に、凹部REC及びコンタクトホールPCONを形成することができる。広い開口320を有するマスク310のみで、絶縁層IL4に露光を行う場合、コンタクトホールPCONの開口が大きくなることで、結果的に表示装置の表示品質が低下してしまう。また、狭い開口340を有するマスク330のみで、絶縁層IL4に露光を行う場合、絶縁層IL4の膜厚T1が大きいため、絶縁層IL4に十分に露光を行うことが困難である。本実施形態では、まず、広い開口320を有するマスク310を用いて絶縁層IL4に第1露光工程を行った後、狭い開口340を有するマスク330を用いて絶縁層IL4に第2露光工程を行っている。そのため、第2の露光における絶縁層IL4の実効的な厚みを薄くすることができるため、コンタクトホールPCONの孔径をより小さくすることができる。
【0075】
[第2実施形態]
本実施形態では、第1実施形態に示す表示装置10の構成とは一部異なる構成を有する表示装置について、
図26~
図29を参照して説明する。具体的には、絶縁層IL4に形成される凹部REC及びコンタクトホールPCONの構成が異なっている。したがって、絶縁層IL4における凹部REC及びコンタクトホールPCONに関して詳細に説明し、その他の構成については適宜省略する。
【0076】
図26は、本発明の一実施形態に係る表示装置10の構成を示す平面図である。
図27は、
図26に示す表示装置10のF1-F2線における断面図である。
図28は、
図26に示す表示装置10のG1-G2線における断面図である。
図29は、
図26に示す表示装置10のH1-H2線における断面図である。
【0077】
本実施形態では、絶縁層IL4は、D1方向に並んで配置された複数の画素に亘って延在する凹部RECを有する。また、凹部RECの底部において接続電極ZTCOと重なる領域に、コンタクトホールPCONが設けられている。
【0078】
凹部RECは、ゲート電極GL1に沿って延在している。また、凹部RECは、遮光層LSに沿って延在している。本実施形態において、凹部RECはD1方向に延在しているため、凹部RECを溝と呼ぶ場合がある。凹部RECのD2方向における長さ(幅)は、例えば、5.0μm以上8.0μm以下である。凹部RECの幅は、遮光層LSによって隠れる幅であればよい。第1実施形態において、隣接する画素における凹部RECの間の最小寸法は、露光機の分解能によって制約を受ける場合がある。本実施形態においては、凹部RECを複数の画素に亘って延在するように形成することにより、露光機の分解能の制約をなくすことができる。
【0079】
図26に示すように、平面視において、D1方向に隣接する2つの画素の配線W1-1と配線W1-2との間隔pitchは、6μm以上7μm以下であることが好ましい。また、コンタクトホールPCONの孔径は、配線W1-1と配線W1-2との間隔pitchに対して、40%以上であることが好ましい。
【0080】
図27及び
図28に示すように、絶縁層IL4の全体の厚さは、厚さT1に相当する。また、絶縁層IL4において、凹部RECの深さは、絶縁層IL4の厚さT2に相当する。また、絶縁層IL4の凹部LECの底部までの厚さは、絶縁層IL4の厚さT3に相当する。言い換えると、コンタクトホールPCONの深さは、絶縁層IL4の凹部LECの底部の厚さT3に相当する。絶縁層IL4の凹部RECの底部までの膜厚T3は、凹部RECが設けられていない絶縁層IL4の膜厚T1に対して70%以上75%以下である。絶縁層IL4の凹部RECの底部までの膜厚T3は、凹部RECが設けられていない絶縁層IL4の膜厚T1に対して70%以上75%以下である。
【0081】
図28に示すように、画素電極PTCOよりも上層に設けられた共通補助電極CMTLと、共通補助電極CMTLよりも上層に設けられた共通電極CTCOと、をさらに有し、凹部RECは、共通補助電極CMTLと重畳する。
【0082】
本実施形態における表示装置10にスペーサSPを設ける場合については、凹部RECの形状以外は、第1実施形態と同様である。つまり、凹部RECがD1方向に延在すること以外は、
図20に示す表示装置10のレイアウトと同様である。凹部REC及びコンタクトホールPCONには、充填部材FMが埋め込まれている。充填部材FMが設けられている領域のうち、絶縁層IL4の上に設けられた画素電極PTCOの上面よりも突出した突出部(スペーサSPともいう)が設けられている。第1実施形態と同様に、充填部材FMのスペーサSPの上に共通補助電極CMTLがもう得られている。また、共通補助電極CMTLの上に共通電極CTCOがもうけられている。
【0083】
本実施形態における表示装置においても、絶縁層IL4に設けられたD1方向に延在する凹部RECの底部に画素ごとにコンタクトホールPCONを設けることにより、絶縁層IL4の膜厚T1を必要以上に薄くすることなく、コンタクトホールPCONの孔径を小さくすることができる。また、コンタクトホールPCONの側壁の角度を大きくすることができる。これにより、D1方向において、配線W1とコンタクトホールPCONの側壁を覆う画素電極PTCOとの距離L1が近接することを抑制することができる。その結果、コンタクトホールPCONの側面において、配線W1と画素電極PTCOとにより寄生容量が形成されることを抑制することができる。したがって、画素を高速に駆動する場合であっても、配線W1と画素電極PTCOとの間で負荷が増大することを抑制することができる。そのため、表示装置の消費電力を低減することができる。
【0084】
また、絶縁層IL4の膜厚T1を十分に厚くすることが可能であるため、配線W1と共通電極CTCOとの距離L2とが近接することを抑制することができる。その結果、配線W1と共通電極CTCOとにより寄生容量が形成されることを抑制することができる。したがって、画素を高速に駆動する場合であっても、寄生容量に伴う容量カップリングにより、配線W1の電位によって画素電極PTCOの電位の変動を抑制することができる。そのため、表示装置のクロストークが生じることを抑制することができる。
【0085】
[10.表示装置10の各部材の材質]
基板SUBとして、ガラス基板、石英基板、またはサファイア基板など、透光性を有し、可撓性を有しない剛性基板を用いることができる。一方、基板SUBが可撓性を有する必要がある場合は、基板SUBとしてポリイミド基板、アクリル基板、シロキサン基板、またはフッ素樹脂基板など、樹脂を含み、可撓性を有するフレキシブル基板を用いることができる。基板SUBの耐熱性を向上させるために、上記の樹脂に不純物が導入されてもよい。
【0086】
ゲート電極GL1、GL2、配線W1、W2、遮光層LS、および共通補助電極CMTLとして、金属材料を用いることができる。例えば、金属材料として、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ビスマス(Bi)、もしくは銀(Ag)、またはこれらの合金もしくは化合物が用いられる。上記の電極等の部材として、上記の金属材料が単層で用いられてもよく、積層で用いられてもよい。
【0087】
例えば、ゲート電極GL1として、Ti、Al、及びTiの積層構造が用いられる。本実施形態において、上記の積層構造を有するゲート電極GL1のパターン端部の断面形状は順テーパ形状である。
【0088】
ゲート絶縁層GI1、GI2および絶縁層IL1~IL5として、一般的な絶縁性材料を用いることができる。例えば、絶縁層IL1~IL3、IL5として、酸化シリコン(SiOx)、酸化窒化シリコン(SiOxNy)、窒化シリコン(SiNx)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化窒化アルミニウム(AlOxNy)、窒化酸化アルミニウム(AlNxOy)、または窒化アルミニウム(AlNx)などの無機絶縁層を用いることができる。これらの絶縁層として、欠陥が少ない絶縁層を用いることができる。絶縁層IL4として、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、またはシロキサン樹脂などの有機絶縁材料を用いることができる。ゲート絶縁層GI1、GI2および絶縁層IL1~IL3、IL5として、上記の有機絶縁材料が用いられてもよい。上記の絶縁層等の部材として、上記の絶縁性材料が単層で用いられてもよく、積層で用いられてもよい。
【0089】
上記のSiOxNyおよびAlOxNyは、酸素(O)よりも少ない比率(x>y)の窒素(N)を含有するシリコン化合物およびアルミニウム化合物である。SiNxOyおよびAlNxOyは、窒素よりも少ない比率(x>y)の酸素を含有するシリコン化合物およびアルミニウム化合物である。
【0090】
上記の絶縁層の一例として、ゲート絶縁層GI1として膜厚が100nmのSiOxが用いられる。絶縁層IL1として総膜厚が600nm~700nmのSiOx、SiNx、SiOxの積層構造が用いられる。ゲート絶縁層GI2として総膜厚が60~100nmのSiOx、SiNxの積層構造が用いられる。絶縁層IL2として総膜厚が300nm~500nmのSiOx、SiNx、SiOxの積層構造が用いられる。絶縁層IL3として総膜厚が200nm~500nmのSiOx(単層)、SiNx(単層)、またはこれらの積層が用いられる。絶縁層IL4として膜厚T1が2.0μm~4.0μmの有機絶縁材料が用いられる。絶縁層IL5として膜厚が50nm~150nmのSiNx(単層)が用いられる。
【0091】
充填部材FMとして、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、またはシロキサン樹脂などの有機絶縁材料が用いられる。
【0092】
酸化物半導体層OSとして、半導体の特性を有する酸化物半導体を用いることができる。酸化物半導体層OSは透光性を有する。例えば、酸化物半導体層OSとして、インジウム(In)を含む2以上の金属を含む酸化物半導体が用いられる。酸化物半導体層OSとして、例えば、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、および酸素(O)を含む酸化物半導体を酸化物半導体層OSとして用いてもよい。特に、In:Ga:Zn:O=1:1:1:4の組成比を有する酸化物半導体を用いてもよい。ただし、本実施形態で使用される酸化物半導体層OSは上記の組成に限定されるものではなく、上記とは異なる組成の酸化物半導体を用いることもできる。例えば、移動度を向上させるためにInの比率を上記より大きくしてもよい。また、バンドギャップを大きくし、光照射による影響を小さくするためにGaの比率を上記より大きくしてもよい。酸化物半導体層OSはアモルファスであってもよく、多結晶であってもよい。酸化物半導体層OSはアモルファスと結晶の混相であってもよい。
【0093】
また、酸化物半導体層OSとして、酸化物半導体層OSの全体に対するインジウムの比率は50%以上であってもよい。酸化物半導体層OSとして、インジウムに加えて、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ランタノイドが用いられる。酸化物半導体層OSとして、上記以外の元素が用いられてもよい。酸化物半導体層OSの全体に対するインジウムの比率が50%以上である場合、酸化物半導体層OSは多結晶構造となる。
【0094】
接続電極ZTCO、画素電極PTCO、および共通電極CTCOとして、透明導電層が用いられる。当該透明導電層として、酸化インジウムおよび酸化スズの混合物(ITO)または酸化インジウムおよび酸化亜鉛の混合物(IZO)などを用いることができる。当該透明導電層として、上記以外の材料が用いられてもよい。
【0095】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態の表示装置を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0096】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0097】
10、10A:表示装置、22:液晶領域、23:画像表示領域、24:シール領域、26:端子領域、300:アレイ基板、310:マスク、320:開口、321:ソース配線、330:マスク、331:ゲート配線、333:端子部、340:開口、341:接続配線、400:シール部、410:領域、420:領域、500:対向基板、600:フレキシブルプリント回路基板、700:チップ、800:トランジスタ、810:第1ゲート電極、830:第1ソース電極、840:第1ドレイン電極、890:保持容量、CMTL:共通補助電極、CON1:第1コンタクト領域、CON2:第2コンタクト領域、CTCO:共通電極、FM:充填部材、FP:充填部、GD-1、GD-2:ゲートドライバ回路、GI1:ゲート絶縁層、GI2:ゲート絶縁層、GL:ゲート配線、GL1、GL2:ゲート電極、IL1~IL5:絶縁層、LE:液晶素子、LS:遮光層、LS1:遮光層、LS2:遮光層、OP:開口、OS:酸化物半導体層、OS1、OS2:酸化物半導体領域、PCON:コンタクトホール、PIX:画素、PJT:突出部、PTCO:画素電極、REC:凹部、S:半導体層、S1、S2、S3:半導体領域、SD:ソースドライバ回路、SL:スリット、SP:スペーサ、SUB:基板、Tr1、Tr2、Tr2-1、Tr2-2:トランジスタ、W、W1、W1-1、W1-2、W2:配線、WCON:コンタクトホール、ZCON:コンタクトホール、ZTCO:接続電極