(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063551
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 25/00 20060101AFI20240502BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20240502BHJP
H01L 23/02 20060101ALI20240502BHJP
H01L 23/04 20060101ALI20240502BHJP
H03F 3/19 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
H01L25/00 B
H01L23/12 301Z
H01L23/02 H
H01L23/04 B
H03F3/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171600
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000154325
【氏名又は名称】住友電工デバイス・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】西原 信
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AC61
5J500AC75
5J500AC86
5J500AC87
5J500AF16
5J500AH09
5J500AH24
5J500AH29
5J500AH33
5J500AK29
5J500AM19
5J500AQ02
5J500AQ03
5J500AT01
(57)【要約】
【課題】高周波特性の劣化を抑制することが可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、基板11と、前記基板の上面に設けられ、高周波信号が入力する入力電極、高周波信号が出力する出力電極および基準電位が供給される基準電位電極を有するトランジスタ60と、前記基板の上面に設けられ、前記基準電位電極と電気的に接続された金属パターン20と、を備える半導体チップ10と、前記金属パターン上に設けられ、前記金属パターンと電気的に接続された第1下部電極と、前記第1下部電極上に設けられた第1誘電体層と、前記第1誘電体層上に設けられた第1上部電極と、を備える第1キャパシタ30と、前記第1上部電極と、前記入力電極および前記出力電極のいずれかの第1電極と、を電気的に接続する第1ボンディングワイヤ42と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板の上面に設けられ、高周波信号が入力する入力電極、高周波信号が出力する出力電極および基準電位が供給される基準電位電極を有するトランジスタと、前記基板の上面に設けられ、前記基準電位電極と電気的に接続された金属パターンと、を備える半導体チップと、
前記金属パターン上に設けられ、前記金属パターンと電気的に接続された第1下部電極と、前記第1下部電極上に設けられた第1誘電体層と、前記第1誘電体層上に設けられた第1上部電極と、を備える第1キャパシタと、
前記第1上部電極と、前記入力電極および前記出力電極のいずれかの第1電極と、を電気的に接続する第1ボンディングワイヤと、
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記第1下部電極は、前記金属パターン上にろう材を用い接続されている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1誘電体層は、セラミック基板または半導体基板である請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1下部電極は、前記金属パターンに接し、前記第1誘電体層は、前記金属パターンの上面のうち前記第1下部電極が設けられていない領域から前記第1下部電極と前記第1上部電極との間にかけて設けられている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記金属パターン上に設けられ、前記金属パターンと電気的に接続された第2下部電極と、前記第2下部電極上に設けられた第2誘電体層と、前記第2誘電体層上に設けられた第2上部電極と、を備える第2キャパシタと、
前記第2上部電極と、前記入力電極および前記出力電極のうち前記第1電極以外の第2電極と、を電気的に接続する第2ボンディングワイヤと、
を備える請求項1、請求項2および請求項4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
第1信号端子と、
前記第1上部電極と前記第1信号端子とを電気的に接続する第3ボンディングワイヤと、
を備える請求項1、請求項2および請求項4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
第2信号端子と、
前記第2上部電極と前記第2電極とを電気的に接続する第4ボンディングワイヤと、
を備える請求項5に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体チップが搭載され、基準電位の供給される導電性のベースを備え、
前記ベースの前記半導体チップが搭載された領域以外の領域上に設けられ、前記ベースと電気的に接続された第2下部電極と、前記第2下部電極上に設けられた第2誘電体層と、前記第2誘電体層上に設けられた第2上部電極と、を備える第2キャパシタと、
前記第2上部電極と、前記入力電極および前記出力電極のうち前記第1電極以外の第2電極と、を電気的に接続する第2ボンディングワイヤと、
を備える請求項1、請求項2および請求項4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1電極は前記入力電極であり、
前記第2ボンディングワイヤは前記第1ボンディングワイヤより長い請求項5に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記半導体チップが搭載され、基準電位の供給される導電体のベースを備え、
前記金属パターンおよび前記基準電位電極は、前記基板を貫通するビアホールを介し前記ベースと電気的に接続されている請求項1、請求項2および請求項4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ベース上にトランジスタが設けられた半導体チップと、インピーダンス整合用の整合回路素子と、を搭載し、トランジスタと整合回路素子とをボンディングワイヤを用い電気的に接続することが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トランジスタにおいて発生した熱を半導体チップの基板を介してベースに放出する場合、基板の平面面積を大きくすることで、基板の熱抵抗を低くすることができる。しかし、基板の面積を大きくすると、トランジスタと整合回路素子とを接続するボンディングワイヤが長くなる。これにより、整合回路素子によるインピーダンス整合が難しくなり、高周波特性が劣化することがある。
【0005】
本開示は、上記課題に鑑みなされたものであり、高周波特性の劣化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態は、基板と、前記基板の上面に設けられ、高周波信号が入力する入力電極、高周波信号が出力する出力電極および基準電位が供給される基準電位電極を有するトランジスタと、前記基板の上面に設けられ、前記基準電位電極と電気的に接続された金属パターンと、を備える半導体チップと、前記金属パターン上に設けられ、前記金属パターンと電気的に接続された第1下部電極と、前記第1下部電極上に設けられた第1誘電体層と、前記第1誘電体層上に設けられた第1上部電極と、を備える第1キャパシタと、前記第1上部電極と、前記入力電極および前記出力電極のいずれかの第1電極と、を電気的に接続する第1ボンディングワイヤと、を備える半導体装置である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、高周波特性の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施例1に係る半導体装置の回路図である。
【
図2】
図2は、実施例1における半導体チップの平面図である。
【
図4】
図4は、実施例1における半導体装置の平面図である。
【
図7】
図7は、比較例1に係る半導体装置の平面図である。
【
図8】
図8は、比較例2に係る半導体装置の平面図である。
【
図9】
図9は、実施例2における半導体チップの平面図である。
【
図10】
図10は、実施例2における半導体装置の平面図である。
【
図12】
図12は、実施例3における半導体装置の平面図である。
【
図14】
図14は、実施例4における半導体チップの平面図である。
【
図16A】
図16Aは、実施例4における半導体チップの製造方法を示す断面図である。
【
図16B】
図16Bは、実施例4における半導体チップの製造方法を示す断面図である。
【
図16C】
図16Cは、実施例4における半導体チップの製造方法を示す断面図である。
【
図17】
図17は、実施例4における半導体装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の詳細]
最初に本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本開示の一実施形態は、基板と、前記基板の上面に設けられ、高周波信号が入力する入力電極、高周波信号が出力する出力電極および基準電位が供給される基準電位電極を有するトランジスタと、前記基板の上面に設けられ、前記基準電位電極と電気的に接続された金属パターンと、を備える半導体チップと、前記金属パターン上に設けられ、前記金属パターンと電気的に接続された第1下部電極と、前記第1下部電極上に設けられた第1誘電体層と、前記第1誘電体層上に設けられた第1上部電極と、を備える第1キャパシタと、前記第1上部電極と、前記入力電極および前記出力電極のいずれかの第1電極と、を電気的に接続する第1ボンディングワイヤと、を備える半導体装置である。これにより、高周波特性の劣化を抑制できる。
(2)上記(1)において、前記第1下部電極は、前記金属パターン上にろう材を用い接続されていてもよい。
(3)上記(1)または(2)において、前記第1誘電体層は、セラミック基板または半導体基板であってもよい。
(4)上記(1)において、前記第1下部電極は、前記金属パターンに接し、前記第1誘電体層は、前記金属パターンの上面のうち前記第1下部電極が設けられていない領域から前記第1下部電極と前記第1上部電極との間にかけて設けられていてもよい。
(5)上記(1)から(4)のいずれかにおいて、前記金属パターン上に設けられ、前記金属パターンと電気的に接続された第2下部電極と、前記第2下部電極上に設けられた第2誘電体層と、前記第2誘電体層上に設けられた第2上部電極と、を備える第2キャパシタと、前記第2上部電極と、前記入力電極および前記出力電極のうち前記第1電極以外の第2電極と、を電気的に接続する第2ボンディングワイヤと、を備えてもよい。
(6)上記(1)から(5)のいずれかにおいて、第1信号端子と、前記第1上部電極と前記第1信号端子とを電気的に接続する第3ボンディングワイヤと、を備えてもよい。
(7)上記(5)において、第2信号端子と、前記第2上部電極と前記第2電極とを電気的に接続する第4ボンディングワイヤと、を備えてもよい。
(8)上記(1)から(4)のいずれかにおいて、前記半導体チップが搭載され、基準電位の供給される導電性のベースを備え、前記ベースの前記半導体チップが搭載された領域以外の領域上に設けられ、前記ベースと電気的に接続された第2下部電極と、前記第2下部電極上に設けられた第2誘電体層と、前記第2誘電体層上に設けられた第2上部電極と、を備える第2キャパシタと、前記第2上部電極と、前記入力電極および前記出力電極のうち前記第1電極以外の第2電極と、を電気的に接続する第2ボンディングワイヤと、を備えてもよい。
(9)上記(5)または(8)において、前記第1電極は前記入力電極であり、前記第2ボンディングワイヤは前記第1ボンディングワイヤより長くてもよい。
(10)上記(1)から(9)のいずれかにおいて、前記半導体チップが搭載され、基準電位の供給される導電体のベースを備え、前記金属パターンおよび前記基準電位電極は、前記基板を貫通するビアホールを介し前記ベースと電気的に接続されていてもよい。
【0010】
本開示の実施形態にかかる半導体装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0011】
[実施例1]
図1は、実施例1に係る半導体装置の回路図である。
図1に示すように、半導体装置100は、トランジスタ60、整合回路62および64を備えている。トランジスタ60は、例えばFET(Field Effect Transistor)であり、ソースS、ドレインDおよびゲートGを備えている。整合回路62は、入力端子TinとゲートGとの間に接続されている。整合回路62において、インダクタL1およびL2は、入力端子TinとゲートGとの間に直列接続されている。キャパシタC1は、インダクタL1とL2との間のノードにシャント接続されている。整合回路64は、出力端子ToutとドレインDとの間に接続されている。整合回路64において、インダクタL3およびL4は、出力端子ToutとドレインDとの間に直列接続されている。キャパシタC2は、インダクタL3とL4との間のノードにシャント接続されている。
【0012】
整合回路62は、入力端子Tinから整合回路62をみたインピーダンスと整合回路62からゲートGをみたインピーダンスとを整合させる。整合回路64は、ドレインDから整合回路64をみたインピーダンスと整合回路64から出力端子Toutをみたインピーダンスとを整合させる。入力端子Tinに入力された高周波信号はトランジスタ60により増幅される。増幅された高周波信号は出力端子から出力される。高周波信号の周波数は例えば30MHz~300GHzであり、半導体装置100は移動体通信の基地局に用いられる場合、高周波信号の周波数は例えば0.5GHz~10GHzである。
【0013】
図2は、実施例1における半導体チップの平面図である。
図3は、
図2のA-A断面図である。
図2において、ソース電極14、ドレイン電極16、ゲート電極18および金属パターン20をクロスハッチングで示している。基板11の上面の法線方向をZ方向、ソース電極14からドレイン電極16の方向をX方向、ドレイン電極16の延伸方向をY方向とする。
【0014】
図2および
図3に示すように、基板11は、基板11aと基板11a上に設けられた半導体層11bを備えている。基板11には活性領域12が設けられている。活性領域12以外の領域はイオン注入等により半導体層11bが不活性化された非活性領域である。基板11の上面には、ソース電極14、ドレイン電極16、ゲート電極18および金属パターン20が設けられている。ソース電極14およびゲート電極18は、Y方向に互い違いに設けられている。ソース電極14およびゲート電極18のX方向における+方向にドレイン電極16が設けられている。ソース電極14およびゲート電極18とドレイン電極16との間に活性領域12が設けられている。活性領域12には、X方向に延伸する複数のソースフィンガ、複数のドレインフィンガおよび複数のゲートフィンガ(不図示)が設けられている。複数のソースフィンガ、複数のドレインフィンガおよび複数のゲートフィンガは、それぞれソース電極14、ドレイン電極16およびゲート電極18に電気的に接続され短絡されている。トランジスタ60は、活性領域12、ソース電極14、ドレイン電極16およびゲート電極18を備えている。ソース電極14、ドレイン電極16およびゲート電極18は、それぞれソースS、ドレインDおよびゲートGに相当する。
【0015】
ソース電極14のX方向における-方向に金属パターン20が設けられている。金属パターン20はソース電極14と電気的に接続され短絡されている。基板11の下面に金属層28が設けられている。Z方向から見て、金属パターン20と重なるように、ビアホール22が設けられている。ビアホール22は基板11を貫通する。ビアホール22の内面には金属層28aが設けられている。金属層28と28aは同じ金属からなる。金属パターン20は、ビアホール22を介し金属層28に電気的に接続され、短絡されている。
【0016】
半導体チップ10が例えば窒化物半導体チップの場合、基板11aは例えば炭化シリコン(SiC)基板、ダイヤモンド基板、シリコン基板、窒化ガリウム(GaN)基板またはサファイア基板である。半導体層11bは例えばGaN層、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層および/または窒化インジウムガリウム(InGaN)層等の窒化物半導体層を含む。トランジスタがGaN HEMT(High Electron Mobility Transistor)の場合、半導体層11bは、GaN電子走行層と、GaN電子走行層上に設けられたAlGaNバリア層と、を含む。半導体装置が例えばGaAs系半導体装置の場合、基板11aは例えば砒化ガリウム(GaAs)基板である。半導体層11bは例えばGaAs層、砒化アルミニウムガリウム(AlGaAs)層および/または砒化インジウムガリウム(InGaAs)層等の砒化物半導体層を含む。ソース電極14、ドレイン電極16、ゲート電極18、金属パターン20、金属層28および28aは例えば金層を含む。
【0017】
図4は、実施例1における半導体装置の平面図である。
図5は、
図4のA-A断面図である。
図6は、
図4のB-B断面図である。
図4において、リッド54は図示されていない。ソース電極14、ドレイン電極16、ゲート電極18、金属パターン20、ベース50、入力パターン45、出力パターン46をクロスハッチングで示している。ベース50の上面の法線方向をZ方向、入力リードから出力リードの方向をX方向、X方向およびZ方向に交差する方向をY方向とする。
【0018】
図4から
図6に示すように、ベース50上に半導体チップ10およびキャパシタ34が搭載されている。ベース50の少なくとも上面は導電体層である。半導体チップ10およびキャパシタ34を囲むように、ベース50上に絶縁性の枠体52が搭載されている。キャパシタ34は、誘電体層35と誘電体層35を挟む上部電極36および下部電極37とを備えている。
【0019】
ベース50と半導体チップ10の金属層28とは導電性の接合層51により接合されている。これにより、ベース50と金属層28とは電気的に接続され短絡される。ベース50とキャパシタ34の下部電極37とは導電性の接合層51により接合されている。これにより、ベース50と下部電極37とは電気的に接続され短絡される。ベース50と枠体52とは接合層53により接合されている。
【0020】
半導体チップ10の金属パターン20上にキャパシタ30が搭載されている。キャパシタ30は、誘電体層31と誘電体層31を挟む上部電極32および下部電極33とを備えている。金属パターン20と下部電極33とは導電性の接合層26により接合されている。これにより、金属パターン20と下部電極33とは電気的に接続され短絡される。
【0021】
平面視において、枠体52上の対向する位置に金属パターンである入力パターン45および出力パターン46が設けられている。入力パターン45および出力パターン46上に、入力リード47および出力リード48がそれぞれ電気的に接合されている。枠体52上にリッド54が接合されている。リッド54により半導体チップ10は空気または不活性ガス等の気体56内に封止される。
【0022】
ボンディングワイヤ41は、入力パターン45とキャパシタ30の上部電極32とを電気的に接続する。ボンディングワイヤ42はキャパシタ30の上部電極32とゲート電極18とを電気的に接続する。ボンディングワイヤ43はドレイン電極16とキャパシタ34の上部電極36とを電気的に接続する。ボンディングワイヤ44は、キャパシタ34の上部電極36と出力パターン46とを電気的に接続する。
【0023】
ボンディングワイヤ41および42は、
図1のインダクタL1およびL2にそれぞれ相当し、ボンディングワイヤ43および44は、
図1のインダクタL3およびL4にそれぞれ相当する。キャパシタ30および34は、
図1のキャパシタC1およびC2にそれぞれ相当する。ベース50にグランド電位等の基準電位が供給されることで、ソース電極14には、ベース50から接合層51、金属層28、金属層28aおよび金属パターン20を介し基準電位が供給される。キャパシタ30の下部電極33には、ベース50から接合層51、金属層28、金属層28aおよび金属パターン20、接合層26を介し基準電位が供給される。キャパシタ34の下部電極37には、ベース50から接合層51を介し基準電位が供給される。
【0024】
高周波信号は、入力リード47から入力パターン45、ボンディングワイヤ41、上部電極32およびボンディングワイヤ42を介しゲート電極18に入力する。トランジスタ60により増幅された高周波信号は、ドレイン電極16からボンディングワイヤ43、上部電極36、ボンディングワイヤ44および出力パターン46を介し出力リード48に出力される。
【0025】
ベース50は、例えば銅等の金属層である。枠体52は、例えばアルミナ等のセラミックス絶縁体である。リッド54は、例えばセラミックス等の絶縁体または金属である。誘電体層31および35は、例えばチタン酸バリウム等の無機絶縁層またはシリコン等の半導体層である。上部電極32、36、下部電極33、37、入力パターン45および出力パターン46は、例えば金層等の金属層である。ボンディングワイヤ41から44は、例えば金ワイヤ等の金属ワイヤである。入力リード47および出力リード48は、例えばコバール等の金属リードである。
【0026】
ベース50のX方向およびY方向の幅は、一例としてそれぞれ8mmおよび10mmである。半導体チップ10のX方向およびY方向の幅は、一例としてそれぞれ3.75mmおよび4.6mmである。キャパシタ30および34のX方向およびY方向の幅は、一例としてそれぞれ0.9mmおよび3.5mmである。入力リード47および出力リード48のX方向およびY方向の幅は、一例としてそれぞれ2.5mmおよび1.5mmである。
【0027】
[比較例1]
図7は、比較例1に係る半導体装置の平面図である。枠体52外のベース50、入力リード47および出力リード48の図示を省略している。
図7に示すように、比較例1の半導体装置110では、キャパシタ30は、半導体チップ10上には搭載されておらず、ベース50上に搭載されている。半導体チップ10は、キャパシタ30と34のうちキャパシタ30の方に搭載されている。これにより、ボンディングワイヤ42はボンディングワイヤ43より短くなる。これは、FETのゲート入力インピーダンスは、ドレイン出力インピーダンスより小さいため、インピーダンス整合するときに、インダクタL1のインダクタンスをインダクタL3のインダクタンスより小さくするためである。
【0028】
トランジスタ60の高出力化のためには、基板11の熱抵抗を低くし、トランジスタ60において発生した熱をベース50に放出することが求められる。例えば、基板11aとして炭化シリコン基板を用いる場合、炭化シリコンの熱伝導率が高いため、放熱性を高めることができる。基板11の熱抵抗を低くするためには、半導体チップ10の平面面積を大きくすることが考えられる。
【0029】
[比較例2]
図8は、比較例2に係る半導体装置の平面図である。枠体52外のベース50、入力リード47および出力リード48の図示を省略している。
図8に示すように、比較例2の半導体装置112では、半導体チップ10の平面面積を比較例1より大きくしている。トランジスタ60は、半導体チップ10のX方向における中央付近に設けられている。これは、トランジスタ60の熱を+X方向および-X方向に対称に伝導させることで、熱抵抗を低くするためである。このため、キャパシタ30とゲート電極18との間隔が大きくなる。これにより、ボンディングワイヤ42が比較例1より長くなる。ボンディングワイヤ42の長さは、整合回路62が機能するように定めている。ボンディングワイヤ42が長くなると、インダクタL2のインダクタンスが大きくなる。これにより、入力リード47の入力インピーダンスとゲート電極18の入力インピーダンスの整合が難しくなる。よって、半導体装置112の所望の高周波特性を得ることができず、高周波特性が劣化する可能性がある。
【0030】
実施例1によれば、半導体チップ10は、基板11の上面に設けられたトランジスタ60と、基板11の上面に設けられたソース電極14と電気的に接続された金属パターン20と、を備えている。トランジスタ60は、高周波信号が入力するゲート電極18(入力電極)、高出力信号が出力するドレイン電極16(出力電極)および基準電位が供給されるソース電極14(基準電位電極)を有する。金属パターン20上にキャパシタ30(第1キャパシタ)が設けられている。キャパシタ30は、金属パターン20上に設けられ金属パターン20に電気的に接続された下部電極33(第1下部電極)と、下部電極33上に設けられた誘電体層31(第1誘電体層)と、誘電体層31上に設けられた上部電極32(第1上部電極)と、を備える。
【0031】
これにより、キャパシタ30の下部電極33には基準電位が供給される。金属パターン20は、基板11上に設けられるため、基板11の平面面積を大きくでき、基板11の熱抵抗を低くできる。ボンディングワイヤ42(第1ボンディングワイヤ)は、上部電極32とゲート電極18とを電気的に接続する。これにより、キャパシタ30とボンディングワイヤ42により整合回路62を形成できる。ボンディングワイヤ42を短くできるため、整合回路62により所望のインピーダンス整合が可能となる。よって、半導体装置100の高周波特性を向上させることができる。
【0032】
キャパシタ30の下部電極33は、金属パターン20上にろう材を用い接合されている。これより、キャパシタ30の下部電極33を基準電位とすることができ、キャパシタ30をシャント接続できる。ろう材は、例えば錫銀銅もしくは金錫等の半田、または銀ペースト等の金属ペーストである。
【0033】
キャパシタ30の誘電体層31は、セラミック基板である。セラミック基板の材料として比誘電率の高い(例えば比誘電率が10以上または100以上)材料を用いることで、キャパシタ30を小型化できる。また、セラミック基板の材料として誘電損失の小さい材料を用いることで、損失を低減できる。
【0034】
キャパシタ30の誘電体層31は、半導体基板でもよい。半導体基板は、例えばシリコン基板である。誘電体層31を半導体基板とすることで、誘電体層31にキャパシタ以外の受動素子(例えば抵抗およびインダクタ)を集積したIPD(Integrated PAssive Device)を用いることができる。このように、キャパシタ30は、IPDに設けられたキャパシタでもよい。
【0035】
ボンディングワイヤ41(第3ボンディングワイヤ)は、キャパシタ30の上部電極32と入力パターン45(第1信号端子)とを電気的に接続する。これにより、ボンディングワイヤ41、42およびキャパシタ30により整合回路62を形成できる。なお、整合回路62にはインダクタL1は設けられていなくてもよい。
【0036】
キャパシタ34(第2キャパシタ)は、導電性のベース50の半導体チップ10が搭載された領域以外の領域上に設けられ、ベース50と電気的に接続された下部電極37(第2下部電極)と、下部電極37上に設けられた誘電体層35(第2誘電体層)と、誘電体層35上に設けられた上部電極36(第2上部電極)と、を備える。ボンディングワイヤ43(第2ボンディングワイヤ)は、上部電極36とドレイン電極16とを電気的に接続する。これにより、キャパシタ34とボンディングワイヤ43により整合回路64を形成できる。
【0037】
ボンディングワイヤ44(第4ボンディングワイヤ)は、キャパシタ34の上部電極36と出力パターン46(第2信号端子)とを電気的に接続する。これにより、ボンディングワイヤ43、44およびキャパシタ34により整合回路64を形成できる。なお、整合回路64にはインダクタL4は設けられていなくてもよい。キャパシタ34の誘電体層35は、キャパシタ30と同じセラミック基板または半導体基板とすることができる。
【0038】
図4のように、ボンディングワイヤ43の長さD2はボンディングワイヤ42の長さD1より長い。これにより、入力リード47の入力インピーダンスとゲート電極18の入力インピーダンスを整合させ、かつ出力リード48の出力インピーダンスとドレイン電極16の出力インピーダンスを整合させることができる。なお、長さD1およびD2は、平面的な長さでなく、立体的な長さである。長さD2は、好ましくは、長さD1の1.2倍以上であり、1.5倍以上であり、10倍以下である。
【0039】
金属パターン20およびソース電極14は、基板11を貫通するビアホール22を介し導電体のベース50と電気的に接続されて短絡されている。これにより、金属パターン20およびソース電極14に基準電位が供給することができる。
【0040】
図2において、距離D3は、ゲート電極18の-X方向の端と基板11の-X方向の辺とのX方向における距離であり、距離D4は、ドレイン電極16の+X方向の端と基板11の+X方向の辺とのX方向における距離である。トランジスタ60の熱を+X方向および-X方向に対称に伝導させる観点から、距離D3は、距離D4の0.5倍以上かつ2倍以下が好ましく、2/3倍以上かつ1.5倍以下がより好ましい。
【0041】
[実施例2]
図9は、実施例2における半導体チップの平面図である。
図9に示すように、半導体チップ10aでは、金属パターン20は、搭載領域20a、20b、接続領域20cおよび20dを有する。搭載領域20aは、トランジスタ60と基板11の-X方向の辺との間に設けられ、搭載領域20bは、トランジスタ60と基板11の+X方向の辺との間に設けられている。接続領域20cは、トランジスタ60と基板11の-Y方向の辺との間に設けられている。接続領域20dは、トランジスタ60と基板11の+Y方向の辺との間に設けられている。接続領域20cおよび20dは搭載領域20aと20bとを接続する。これにより、搭載領域20aと20bは電気的に短絡し同電位となる。接続領域20cおよび20dのいずれかは設けられていなくてもよい。
【0042】
図10は、実施例2における半導体装置の平面図である。
図11は、
図10のA-A断面図である。
図10において、リッド54は図示されていない。
【0043】
図10および
図11に示すように、実施例2の半導体装置102では、キャパシタ30は、金属パターン20の搭載領域20a上に搭載されている。キャパシタ34は、金属パターン20の搭載領域20b上に搭載されている。キャパシタ30の下部電極33は接合層26により搭載領域20aに接合され、キャパシタ34の下部電極37は接合層26により搭載領域20bに接合されている。接合層26は、例えばろう材である。ボンディングワイヤ43は、ドレイン電極16とキャパシタ34の上部電極36とを電気的に接続し、ボンディングワイヤ44は、キャパシタ34の上部電極36と出力パターン46とを電気的に接続する。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0044】
実施例2によれば、キャパシタ34の下部電極37は、金属パターン20の搭載領域20b上に設けられ、金属パターン20と電気的に接続する。これにより、キャパシタ34の下部電極37には基準電位が供給される。金属パターン20の搭載領域20aおよび20bが基板11上に設けられるため、基板11の平面面積を大きくでき、基板11の熱抵抗を低くできる。ボンディングワイヤ43(第2ボンディングワイヤ)は、上部電極36と、ドレイン電極16とを電気的に接続する。これにより、キャパシタ34とボンディングワイヤ43により整合回路64を形成できる。
【0045】
ボンディングワイヤ44(第4ボンディングワイヤ)は、キャパシタ34の上部電極36と出力パターン46(第2信号端子)とを電気的に接続する。これにより、ボンディングワイヤ43、44およびキャパシタ34により整合回路64を形成できる。なお、整合回路64にはインダクタL4は設けられていなくてもよい。
【0046】
実施例1では、キャパシタ30が金属パターン20上に搭載され、キャパシタ34は半導体チップ10上に搭載されていない例を説明し、実施例2では、キャパシタ30および34が金属パターン20上に搭載されている例を説明した。キャパシタ34が金属パターン20上に搭載され、キャパシタ30は半導体チップ10上に搭載されていなくてもよい。このように、第1ボンディングワイヤが接続する第1電極は、ゲート電極およびドレイン電極のいずれかであればよい。第2ボンディングワイヤが接続する第2電極は、ゲート電極およびドレイン電極のうち第1電極以外の第2電極であればよい。
【0047】
トランジスタ60の入力電極の入力インピーダンスを整合させる整合回路62では、インダクタL2のインダクタンスは小さくてよいことが多い。よって、第1ボンディングワイヤが接続する第1電極は、入力電極であることが好ましい。
【0048】
[実施例3]
図12は、実施例3における半導体装置の平面図である。
図13は、
図12のA-A断面図である。
図12では、封止樹脂55を透過してベース50上を図示している。
【0049】
図12および
図13に示すように、実施例3の半導体装置104は、ベース50上に枠体52およびキャパシタ34は設けられていない。ベース50、半導体チップ10およびキャパシタ30は封止樹脂55により封止されている。封止樹脂55は、例えばエポキシ樹脂である。ボンディングワイヤ41は、第1信号端子である入力リード47とキャパシタ30の上部電極32とを電気的に接続し、ボンディングワイヤ43はドレイン電極16と第2信号端子である出力リード48とを電気的に接続する。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0050】
実施例3のように、半導体チップ10およびキャパシタ30は封止樹脂55により封止されていてもよい。キャパシタ34は設けられず、ドレイン電極16と出力リード48とがボンディングワイヤ43により接続されていてもよい。この場合、ボンディングワイヤ43は、整合回路64のインダクタL3の一部を形成し、キャパシタC2およびインダクタL4は、半導体装置104の外に設けてもよい。実施例3の半導体チップ10として実施例2の半導体チップ10aを用いてもよい。この場合、キャパシタ34は半導体装置に内蔵される。
【0051】
[実施例4]
図14は、実施例4における半導体チップの平面図である。
図15は、
図14のA-A断面図である。
図14および
図15に示すように、半導体チップ10bでは、金属パターン20上に下部電極33aが直接設けられ、下部電極33aを覆うように、平面視において下部電極33aより大きい範囲に誘電体層31aが設けられている。誘電体層31a上に上部電極32aが設けられている。キャパシタ30aは、下部電極33a、誘電体層31aおよび上部電極32aを備えている。下部電極33aおよび上部電極32aは、例えば金層を含む金属層であり、誘電体層31aは例えば窒化シリコン層または酸化シリコン層である。
【0052】
図16Aから
図16Cは、実施例4における半導体チップの製造方法を示す断面図である。
図16Aに示すように、基板11上にトランジスタ60および金属パターン20を形成する。
図16Bに示すように、金属パターン20上に下部電極33aを形成する。基板11上に、トランジスタ60、金属パターン20および下部電極33aを覆うように誘電体層31aを例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用い形成する。誘電体層31a上に上部電極32aを形成する。
図16Cに示すように、トランジスタ60上等の誘電体層31aを例えばエッチング法を用い除去する。基板11の下面を研磨または研削し、基板11を薄膜化する。基板11を貫通するビアホール22を形成する。基板11の下面およびビアホール22の内面に金属層28および28aを形成する。以上により、実施例4の半導体チップ10bが形成される。
【0053】
図17は、実施例4における半導体装置の平面図である。
図18は、
図17のA-A断面図である。
図17では、封止樹脂55を透過してベース50上を図示している。
図17および
図18の示すように、実施例4の半導体装置106では、ベース上に
図14および
図15において示した半導体チップ10bが搭載されている。その他の構成は、実施例3と同じであり説明を省略する。
【0054】
実施例4のように、キャパシタ30aは半導体チップ10bに設けられていてもよい。すなわち、下部電極33a(第1下部電極)は、金属パターン20に接している。誘電体層31a(第1誘電体層)は、金属パターン20の上面のうち下部電極33aが設けられていない領域から下部電極33aと上部電極32a(第2上部電極)との間にかけて設けられていてもよい。これにより、実施例1のように、キャパシタ30を半導体チップ10b上に搭載する工程を削減することができる。
【0055】
半導体チップ10bを封止するパッケージとして、封止樹脂55を用いず、実施例1のような、枠体とリッドを用いてもよい。実施例2のような誘電体層35としてセラミック基板または半導体基板を有するキャパシタ34の代わりに、キャパシタ30aのように基板11上に半導体プロセスを用い形成されたキャパシタが半導体チップ10bに設けられていてもよい。
【0056】
実施例1から実施例4では、トランジスタ60としてFETを例に説明したが、トランジスタ60はFET以外の例えばバイポーラトランジスタでもよい。トランジスタ60がFETであり、入力電極がゲート電極18、出力電極がドレイン電極16および基準電位電極がソース電極14の場合、整合回路62のインダクタL2のインダクタンスが小さくなり、ボンディングワイヤ42を短くする。このため、ゲート電極18に接続されるキャパシタ30および30aを金属パターン20上に設ける。
【0057】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0058】
10、10a、10b 半導体チップ
11、11a 基板
11b 半導体層
12 活性領域
14 ソース電極
16 ドレイン電極
18 ゲート電極
20 金属パターン
20a、20b 搭載領域
20c、20d 接続領域
22 ビアホール
26、51、53 接合層
28、28a 金属層
30、30a、34 キャパシタ
31、31a、35 誘電体層
32、32a、36 上部電極
33、33a、37 下部電極
41、42、43、44 ボンディングワイヤ
45 入力パターン
46 出力パターン
47 入力リード
48 出力リード
50 ベース
52 枠体
54 リッド
55 封止樹脂
56 気体
60 トランジスタ
62、64 整合回路
100、102、104、106、110、112 半導体装置
【手続補正書】
【提出日】2023-11-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板の上面に設けられ、高周波信号が入力する入力電極、高周波信号が出力する出力電極および基準電位が供給される基準電位電極を有するトランジスタと、前記基板の上面に設けられ、前記基準電位電極と電気的に接続された金属パターンと、を備える半導体チップと、
前記金属パターン上に設けられ、前記金属パターンと電気的に接続された第1下部電極と、前記第1下部電極上に設けられた第1誘電体層と、前記第1誘電体層上に設けられた第1上部電極と、を備える第1キャパシタと、
前記第1上部電極と、前記入力電極および前記出力電極のいずれかの第1電極と、を電気的に接続する第1ボンディングワイヤと、
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記第1下部電極は、前記金属パターン上にろう材を用い接続されている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1誘電体層は、セラミック基板または半導体基板である請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1下部電極は、前記金属パターンに接し、前記第1誘電体層は、前記金属パターンの上面のうち前記第1下部電極が設けられていない領域から前記第1下部電極と前記第1上部電極との間にかけて設けられている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記金属パターン上に設けられ、前記金属パターンと電気的に接続された第2下部電極と、前記第2下部電極上に設けられた第2誘電体層と、前記第2誘電体層上に設けられた第2上部電極と、を備える第2キャパシタと、
前記第2上部電極と、前記入力電極および前記出力電極のうち前記第1電極以外の第2電極と、を電気的に接続する第2ボンディングワイヤと、
を備える請求項1、請求項2および請求項4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
第1信号端子と、
前記第1上部電極と前記第1信号端子とを電気的に接続する第3ボンディングワイヤと、
を備える請求項1、請求項2および請求項4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
第2信号端子と、
前記第2上部電極と前記第2信号端子とを電気的に接続する第4ボンディングワイヤと、
を備える請求項5に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体チップが搭載され、基準電位の供給される導電性のベースを備え、
前記ベースの前記半導体チップが搭載された領域以外の領域上に設けられ、前記ベースと電気的に接続された第2下部電極と、前記第2下部電極上に設けられた第2誘電体層と、前記第2誘電体層上に設けられた第2上部電極と、を備える第2キャパシタと、
前記第2上部電極と、前記入力電極および前記出力電極のうち前記第1電極以外の第2電極と、を電気的に接続する第2ボンディングワイヤと、
を備える請求項1、請求項2および請求項4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1電極は前記入力電極であり、
前記第2ボンディングワイヤは前記第1ボンディングワイヤより長い請求項5に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記半導体チップが搭載され、基準電位の供給される導電性のベースを備え、
前記金属パターンおよび前記基準電位電極は、前記基板を貫通するビアホールを介し前記ベースと電気的に接続されている請求項1、請求項2および請求項4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
[本開示の実施形態の詳細]
最初に本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本開示の一実施形態は、基板と、前記基板の上面に設けられ、高周波信号が入力する入力電極、高周波信号が出力する出力電極および基準電位が供給される基準電位電極を有するトランジスタと、前記基板の上面に設けられ、前記基準電位電極と電気的に接続された金属パターンと、を備える半導体チップと、前記金属パターン上に設けられ、前記金属パターンと電気的に接続された第1下部電極と、前記第1下部電極上に設けられた第1誘電体層と、前記第1誘電体層上に設けられた第1上部電極と、を備える第1キャパシタと、前記第1上部電極と、前記入力電極および前記出力電極のいずれかの第1電極と、を電気的に接続する第1ボンディングワイヤと、を備える半導体装置である。これにより、高周波特性の劣化を抑制できる。
(2)上記(1)において、前記第1下部電極は、前記金属パターン上にろう材を用い接続されていてもよい。
(3)上記(1)または(2)において、前記第1誘電体層は、セラミック基板または半導体基板であってもよい。
(4)上記(1)において、前記第1下部電極は、前記金属パターンに接し、前記第1誘電体層は、前記金属パターンの上面のうち前記第1下部電極が設けられていない領域から前記第1下部電極と前記第1上部電極との間にかけて設けられていてもよい。
(5)上記(1)から(4)のいずれかにおいて、前記金属パターン上に設けられ、前記金属パターンと電気的に接続された第2下部電極と、前記第2下部電極上に設けられた第2誘電体層と、前記第2誘電体層上に設けられた第2上部電極と、を備える第2キャパシタと、前記第2上部電極と、前記入力電極および前記出力電極のうち前記第1電極以外の第2電極と、を電気的に接続する第2ボンディングワイヤと、を備えてもよい。
(6)上記(1)から(5)のいずれかにおいて、第1信号端子と、前記第1上部電極と前記第1信号端子とを電気的に接続する第3ボンディングワイヤと、を備えてもよい。
(7)上記(5)において、第2信号端子と、前記第2上部電極と前記第2信号端子とを電気的に接続する第4ボンディングワイヤと、を備えてもよい。
(8)上記(1)から(4)のいずれかにおいて、前記半導体チップが搭載され、基準電位の供給される導電性のベースを備え、前記ベースの前記半導体チップが搭載された領域以外の領域上に設けられ、前記ベースと電気的に接続された第2下部電極と、前記第2下部電極上に設けられた第2誘電体層と、前記第2誘電体層上に設けられた第2上部電極と、を備える第2キャパシタと、前記第2上部電極と、前記入力電極および前記出力電極のうち前記第1電極以外の第2電極と、を電気的に接続する第2ボンディングワイヤと、を備えてもよい。
(9)上記(5)または(8)において、前記第1電極は前記入力電極であり、前記第2ボンディングワイヤは前記第1ボンディングワイヤより長くてもよい。
(10)上記(1)から(9)のいずれかにおいて、前記半導体チップが搭載され、基準電位の供給される導電性のベースを備え、前記金属パターンおよび前記基準電位電極は、前記基板を貫通するビアホールを介し前記ベースと電気的に接続されていてもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
[比較例1]
図7は、比較例1に係る半導体装置の平面図である。枠体52外のベース50、入力リード47および出力リード48の図示を省略している。
図7に示すように、比較例1の半導体装置110では、キャパシタ30は、半導体チップ10上には搭載されておらず、ベース50上に搭載されている。半導体チップ10は、キャパシタ30と34のうちキャパシタ30の方に搭載されている。これにより、ボンディングワイヤ42はボンディングワイヤ43より短くなる。これは、FETのゲート入力インピーダンスは、ドレイン出力インピーダンスより小さいため、インピーダンス整合するときに、インダクタ
L2のインダクタンスをインダクタL3のインダクタンスより小さくするためである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
実施例1によれば、半導体チップ10は、基板11の上面に設けられたトランジスタ60と、基板11の上面に設けられたソース電極14と電気的に接続された金属パターン20と、を備えている。トランジスタ60は、高周波信号が入力するゲート電極18(入力電極)、高周波信号が出力するドレイン電極16(出力電極)および基準電位が供給されるソース電極14(基準電位電極)を有する。金属パターン20上にキャパシタ30(第1キャパシタ)が設けられている。キャパシタ30は、金属パターン20上に設けられ金属パターン20に電気的に接続された下部電極33(第1下部電極)と、下部電極33上に設けられた誘電体層31(第1誘電体層)と、誘電体層31上に設けられた上部電極32(第1上部電極)と、を備える。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
キャパシタ30の誘電体層31は、半導体基板でもよい。半導体基板は、例えばシリコン基板である。誘電体層31を半導体基板とすることで、誘電体層31にキャパシタ以外の受動素子(例えば抵抗およびインダクタ)を集積したIPD(Integrated Passive Device)を用いることができる。このように、キャパシタ30は、IPDに設けられたキャパシタでもよい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
金属パターン20およびソース電極14は、基板11を貫通するビアホール22を介し導電性のベース50と電気的に接続されて短絡されている。これにより、金属パターン20およびソース電極14に基準電位が供給することができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
実施例4のように、キャパシタ30aは半導体チップ10bに設けられていてもよい。すなわち、下部電極33a(第1下部電極)は、金属パターン20に接している。誘電体層31a(第1誘電体層)は、金属パターン20の上面のうち下部電極33aが設けられていない領域から下部電極33aと上部電極32a(第1上部電極)との間にかけて設けられていてもよい。これにより、実施例1のように、キャパシタ30を半導体チップ10b上に搭載する工程を削減することができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】