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  • 特開-アルミニウム合金着色処理技術 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063560
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】アルミニウム合金着色処理技術
(51)【国際特許分類】
   C25D 11/18 20060101AFI20240502BHJP
   C25D 11/16 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
C25D11/18 314Z
C25D11/16
C25D11/18 305
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171621
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】522420199
【氏名又は名称】林 敏
(71)【出願人】
【識別番号】522420340
【氏名又は名称】▲デン▼ 宇
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100224786
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 卓之
(74)【代理人】
【識別番号】100225015
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 彩夏
(72)【発明者】
【氏名】林敏
(72)【発明者】
【氏名】▲デン▼ 宇
(57)【要約】      (修正有)
【課題】アルミニウム合金表面に多色着色を施し、物理的着色と化学的錯体によって顔料と金属を一体化させる多色陽極酸化アルミニウム合金着色技術を提供する。
【解決手段】アルミニウム合金着色処理の手順は以下の通りである。アルミニウム合金表面にある油や汚れを除去してからアルカリ処理を行い、アルカリドの中和反応を起こす。アルミニウム合金表面で化学研磨を行い、化学研磨による化合物を中和させて陽極酸化処理を施し、陽極酸化処理後のアルミニウム合金表面に微細孔を有する酸化アルミニウム媒質皮膜が発生する。弱溶剤形インクを使ってアルミニウム合金表面でカラーパターンを印刷し、アルミニウム合金表面を乾燥させて封孔処理を施す。本発明の多色陽極酸化は陽極酸化皮膜においてパウダーの付着性および緻密性、耐摩耗性を安定させる。電子煙突筐体、タブレット筐体及びその他の製品のアルミニウム合金の着色工程に適用される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム合金着色処理技術、その特徴は、以下通りの手順を含む:
a.アルミニウム合金表面にある油や汚れを除去。
b.アルミニウム合金表面でアルカリ処理を行い、アルカリドの中和反応を起こす。
c.アルミニウム合金表面で化学研磨を行い、化学研磨による化合物を中和させる。
d.アルミニウム合金表面に陽極酸化処理を施し、陽極酸化による化学物質を中和させる。陽極酸化後、アルミニウム合金表面に微細孔を有する酸化アルミニウム媒質皮膜が発生する。
e.印刷機を通じて水性弱溶剤形インクでアルミニウム合金表面にカラーパターンを印刷する。カラーインクは微細孔に入る。
f.カラーパターンが印刷されたアルミニウム合金表面を乾燥させる。
【請求項2】
請求項1に記載のアルミニウム合金着色処理技術に基づいて、その特徴は以下の通りである:
手順d後手順e前に、アルミニウム合金表面に事前印刷されたパターンのエッジに対して、レーザー彫刻機でレーザー溶接エッジ封止前処理を行う。
【請求項3】
請求項1に記載のアルミニウム合金着色処理技術に基づいて、その特徴は以下の通りである:手順d後手順e前に、アルミニウム合金表面に事前印刷されたパターンに対して、レーザー彫刻機で熱放射孔拡大処理を行う。
【請求項4】
請求項1に記載のアルミニウム合金着色処理技術に基づいて、その特徴は以下の通りである:
手順aにおいて、耐酸性・耐アルカリ性・導電性に優れるチタン製ハンガーラックにアルミニウム合金部品を置く。
【請求項5】
請求項1に記載のアルミニウム合金着色処理技術に基づいて、その特徴は以下の通りである:
手順aにおいて、15%~30%の硝酸を含む水溶液で洗浄を行い、硝酸水溶液を60~70℃に加熱し、部品を3~5分間浸し、部品表面の油およびワックスの汚れを除去する。
【請求項6】
請求項1に記載のアルミニウム合金着色処理技術に基づいて、その特徴は以下の通りである:
微細孔の直径は0.01-0.03μm。
【請求項7】
請求項1に記載のアルミニウム合金着色処理技術に基づいて、その特徴は以下の通りである:
カラーインクの中に、直径0.0015~0.003μmの染料微粒子が含まれる。
【請求項8】
請求項1に記載のアルミニウム合金着色処理技術に基づいて、その特徴は以下の通りである:
手順dにおいて、アルミニウム合金表面で行われる陽極酸化処理が45分以上持続。
【請求項9】
請求項1に記載のアルミニウム合金着色処理技術に基づいて、その特徴は以下の通りである:
手順eにおいて、弱溶剤形インクが水性インクを採用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属処理技術に係わる。具体的に言うと、金属技術処理に適用される着色技術に係わる。
【背景技術】
【0002】
既存技術の中で、従来の陽極酸化着色に色の単一の制限がある。従来の陽極酸化は赤、橙、黄、緑、青、藍、紫、黒、グレーなどの単色しかつけられず、1つの陽極酸化部品に1種の色だけ表示されるので、製品の多色要求を満たせない。また、着色がしっかりとしていないので、一定期間後は脱色や変色などの技術問題が発生しやすくなる。これが原因で、当該分野に存在する陽極酸化着色の色の単一および老化・脱色・変色しやすさなどの技術的欠陥は、当該分野の技術者が早急に解決しなければならない技術問題となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、既存技術に基づくアルミニウム合金表面処理中、陽極酸化着色が色が定着しにくく色が単一である技術問題を解消し、アルミニウム合金表面に多色着色を施すと同時に物理的着色および化学的錯体によって顔料と金属を一体化させる多色陽極酸化アルミニウム合金着色技術を提供することを技術的目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の技術的目的を実現するために、本発明の技術方案は:
アルミニウム合金着色処理技術、その特徴は、以下通りの手順を含む:
a.アルミニウム合金表面にある油や汚れを除去。
b.アルミニウム合金表面でアルカリ処理を行い、アルカリドの中和反応を起こす。
c.アルミニウム合金表面で化学研磨を行い、化学研磨による化合物を中和させる。
d.アルミニウム合金表面に陽極酸化処理を施し、陽極酸化による化学物質を中和させる。陽極酸化後、アルミニウム合金表面に微細孔を有する酸化アルミニウム媒質皮膜が発生する。
e.印刷機を通じて弱溶剤形インクでアルミニウム合金表面にカラーパターンを印刷する。カラーインクは微細孔に入る。
f.カラーパターンが印刷されたアルミニウム合金表面を乾燥させる。
【0005】
さらに、述べられている手順d後手順e前に、アルミニウム合金表面に事前印刷されたパターンのエッジに対して、レーザー彫刻機でレーザー溶接エッジ封止前処理を行う。
【0006】
さらに、特許要求1に述べられているアルミニウム合金着色処理技術に基づいて、その特徴は以下の通りである:述べられている手順d後手順e前に、アルミニウム合金表面に事前印刷されたパターンに対して、レーザー彫刻機で熱放射孔拡大処理を行う。
【0007】
さらに、述べられている手順aにおいて、耐酸性・耐アルカリ性・導電性に優れるチタン製ハンガーラックにアルミニウム合金部品を置く。
【0008】
さらに、述べられている手順aにおいて、15%~30%の硝酸を含む水溶液で洗浄を行い、硝酸水溶液を60~70℃に加熱し、部品を3~5分間浸し、部品表面の油およびワックスの汚れを除去する。
【0009】
さらに、述べられている微細孔の直径は0.01-0.03μm。
【0010】
さらに、述べられているカラーインクの中に、直径0.0015~0.003μmの染料微粒子が含まれる。
【0011】
アルミニウム合金表面で行われる陽極酸化処理が45分以上持続。
水酸化ナトリウム:200 g/L、硝酸ナトリウム:50 g/L
【発明の効果】
【0012】
本発明の有益な技術的効果:染料は錯体金属イオンの染料である。温度差による負圧でカラーインクを吸着し、カラーインクを付着させる。孔の熱膨張でカラーインクがさらにしっかりと吸着されるようになる。また、印刷しながら乾燥させ、エッジを事前封止することで、パターンの精度を高めることができる。多孔質水酸化アルミニウムが物理吸着されてから化学錯体で発色する金属塩類を合成し、アルミニウム合金の一部となる。多色陽極酸化は陽極酸化皮膜において特殊孔拡大技術および特殊皮膜発生陽極パラメータを通じてパウダーの付着性、緻密性と耐摩耗性を安定させる。後処理時、特有印刷機と弱溶剤形インクを利用して着色する。着色後は封孔処理を行う。封孔後、乾燥機で乾燥させる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は本発明の一実施例の制作工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下通りの具体的な実施例に合わせて、本発明の実施方式を詳しく説明する。だが、特許要求にいかなる制限も与えない。
【0015】
本発明において、チタン製ハンガーラックで部品を固定させる。チタン製ハンガーラックは耐酸性・耐アルカリ性・導電性に優れる。水100Lに硝酸20Lを溶かした硝酸水溶液を60~70℃に加熱し、部品を3~5分間浸し、部品表面の油およびワックスの汚れを除去し、アルミニウム合金表面にある油や汚れを除去する。
【0016】
アルミニウム合金表面でアルカリ処理を行い、アルカリドの中和反応を起こす。アルカリ洗浄液を調製する。水酸化ナトリウム200gと硝酸ナトリウム50gを水1Lに溶かした溶液を80~90℃に加熱し、部品表面の自然酸化皮膜を除去し、部品表面の光沢度を調整する。あるいは、水酸化ナトリウム380gを水1Lに溶かした溶液を80~90℃に加熱し、部品表面の自然酸化皮膜を除去し、部品表面の光沢度を調整する。アルカリ洗浄後、アルミニウム合金表面で中和反応を起こすための溶液は以下の重量百分比で調製する:1.硝酸30%、2.三酸化クロム5%、3.水65%。 室温で中和・アルカリ洗浄を行い、アルカリ洗浄後の表面にある化合物を除去する。
【0017】
アルミニウム合金表面に化学研磨を施し、化学研磨による化合物を中和させる。化学研磨用溶液は以下の重量百分比で調製する:1.硫酸(含有量98%)16%、2.燐酸(含有量85%)80%、3.硝酸(含有量98%)4%。90~110℃の温度下で製品を浸し、製品表面の光沢度を調整する。化学研磨による化合物を中和させるための溶液は以下の重量百分比で調製する:1.硝酸30%、2.三酸化クロム5%、3.水65%。室温で化学研磨による化合物を中和させる。
【0018】
アルミニウム合金表面で陽極酸化処理を行い、陽極酸化による化合物を中和させ、アルミニウム合金表面に45分以上陽極酸化を施し、アルミニウム合金表面に微細孔を残す。陽極酸化用溶液の配合比:水1Lに150~200gの硫酸および10~15gの酸化アルミニウムを含む。溶液温度は18~20℃。冷凍機、整流器、鉛板+銅板+PP溝で装置を固定させ、陽極酸化処理を行う。陽極酸化によって、1平方センチメートルのアルミニウム表面に77億のナノサイズの孔が発生する。述べられている微細孔の直径は0.01-0.03μm。陽極酸化後、アルミニウム合金表面に微細孔を有する酸化アルミニウム媒質皮膜が発生する。印刷と着色を通じて、唯一の着色可能な金属となる。硝酸30%、三酸化クロム5%、水65%の重量百分比で調製した中和酸化酸液を使用して、室温下で孔を拡大させる。
【0019】
上記の各工程において、超音波装置で超音波処理を行うと、洗浄と染料付着の効果はよりよくなる。
【0020】
アルミニウム合金表面で陽極酸化処理を行った後、洗浄し乾燥させ、アルミニウム合金表面に事前印刷されたパターンのエッジに対して、レーザー彫刻機でレーザー溶接エッジ封止前処理を行う。実施時、封止されるエッジの幅は0.01mm-1mm、好ましくは0.1mmである。封止後、レーザー彫刻機のレーザーヘッドは高温でパターンのエッジにある孔を封止させることで、印刷時にカラーインクがパターンエッジ以外に浸透しないようにして、パターンの解像度と精度を大幅に向上させる。実施中、レーザー彫刻機のレーザーヘッドから射出した光がアルミニウム合金表面と20~89°の角度を形成し、角度がパターンの内縁に向かって設定することができる。封止後、封止された外縁にある一部の孔はパターンの内縁に傾斜しているか、傾斜した半開放構造をしている。さらにカラーインクのパターンエッジの範囲外への浸透を防止し、カラーパターンの精度を向上させる。また、本発明は実施中に温度差技術を活用して、レーザー彫刻機でアルミニウム合金表面にパターンを事前印刷し、60~200℃の熱放射で孔を拡大させる。熱放射孔拡大処理を行ってから印刷する。カラーインクは室温でも、さらに低い温度でも使用可能。カラーインクの温度が-10~+20℃に下がる場合、印刷中にカラーインクが孔に入ると材料や空気が急速収縮し、小さな負圧吸着力を形成する。これによって、材料の低温収縮後にカラーインクが孔の中にしっかりと吸着され、さらにアルミニウム合金錯体を形成する。レーザーによる熱放射により、アルミニウム合金は温度が高まり、カラーインクに触るとカラーインクの中の水を急速に蒸発させ、熱膨張でしっかりと吸着できると同時に印刷しながら乾燥させられる急速乾燥技術を形成する。これによって、複数面の印刷を必要とする円環部品を急速な回転による未乾燥のインクの飛び散りから守り、いい視覚効果をお届けする。
【0021】
実施中、弱溶剤形インクは錯イオンナノ弱溶剤形カラーインク、好ましくは水性弱溶剤形インクを採用すると、油性系香水のテストを通過できる。本発明では、弱溶剤形インクは有機溶剤を主要な成分とする。エステル系溶剤とケトン系溶剤を採用し、アルミニウム合金と結合する過程でアルミニウム合金と融合し、弱溶剤形インクの中の着色剤をアルミニウム合金としっかりと結合させる。弱溶剤形インクは媒質皮膜を必要としない。このうえで温度差技術を活用すると、高速印刷を実現することができる。印刷機でアルミニウム合金表面でカラーパターンを印刷し、弱溶剤の中の錯体陰イオンとアルミニウム合金陽イオンの化学反応を起こしてアルミニウム合金表面に付着するカラーパターンを形成する。しっかり定着し、脱色しにくく、長持ちする。歴史資料の収蔵に適している。
【0022】
カラーインクの中に直径0.0015-0.003μmの染料微粒子が含まれる。カラーインクが微細孔に入る。カラーパターンが印刷されたアルミニウム合金表面を乾燥させる。環境温度を26 ℃以下にして、エアーナイフで30分間水切りをする。
【0023】
本発明では、染料は錯体金属イオンの染料である。多孔質水酸化アルミニウムが物理吸着されてから化学錯体で発色する金属塩類を合成し、アルミニウム合金の一部となる。多色陽極は陽極酸化皮膜において特殊孔拡大技術および特殊皮膜発生陽極パラメータを通じてパウダーの付着性、緻密性と耐摩耗性を安定させる。後処理時、特有印刷機と弱溶剤形インクを利用して着色する。着色後は封孔処理を行う。封孔後、乾燥機で乾燥させる。
図1