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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063570
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】棒材供給機の残材排出装置
(51)【国際特許分類】
   B23B 13/00 20060101AFI20240502BHJP
【FI】
B23B13/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171636
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000127042
【氏名又は名称】株式会社アルプスツール
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】小林 和義
(72)【発明者】
【氏名】栗林 茂雄
【テーマコード(参考)】
3C045
【Fターム(参考)】
3C045FC32
(57)【要約】
【課題】確実かつ安定した残材排出が可能となり、円滑な棒材供給機の連続運転が可能な残材排出装置を提供する。
【解決手段】棒材供給機に配置されると共に棒材の残材を排出する棒材供給機の残材排出装置であって、前記残材を保持する保持部と、前記保持部の内壁面に前記残材の径方向に沿って形成された溝部と、を有する残材サポート部と、前記溝部から前記保持部の内部に出没自在に配置された残材排出部と、を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒材供給機に配置されると共に棒材の残材を排出する棒材供給機の残材排出装置であって、
前記残材を保持する保持部と、前記保持部の内壁面に前記残材の径方向に沿って形成された溝部と、を有する残材サポート部と、
前記溝部から前記保持部の内部に出没自在に配置された残材排出部と、を有することを特徴とする棒材供給機の残材排出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の棒材供給機の残材排出装置において、
前記溝部は、前記保持部の内壁面から外壁面に向けて貫通する貫通溝として形成され、
前記残材サポート部は、前記残材の軸方向と略平行な枢軸回りに回動自在に配置され、
前記残材排出部は、前記残材サポート部の回動によって前記溝部に挿通可能な残材排出板を備えることを特徴とする棒材供給機の残材排出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の棒材供給機の残材排出装置において、
前記溝部は、前記保持部の内壁面から外壁面に向けて貫通する貫通溝として形成され、
前記残材排出部は、前記溝部に挿通するように移動可能に配置される残材排出板を備えることを特徴とする棒材供給機の残材排出装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の棒材供給機の残材排出装置において、
前記残材排出板は、先端部が残材排出孔に向けて傾斜していることを特徴とする棒材供給機の残材排出装置。
【請求項5】
請求項1に記載の棒材供給機の残材排出装置において、
前記残材排出部は、前記溝部内に配置されると共に、前記保持部の内周側に回動自在に配置されることを特徴とする棒材供給機の残材排出装置。
【請求項6】
請求項5に記載の棒材供給機の残材排出装置において、
前記残材排出部は、前記溝部内に配置される残材排出板を有し、
前記残材排出板は、前記溝部に収納された状態において、前記保持部の内壁面から突出しないように複数の折り曲げ部を有することを特徴とする棒材供給機の残材排出装置。
【請求項7】
請求項5に記載の棒材供給機の残材排出装置において、
前記残材排出部は、前記溝部内に配置される残材排出板を有し、
前記残材排出板は、前記溝部に収納された状態において、前記保持部の内壁面から突出しないようにR形状に形成されることを特徴とする棒材供給機の残材排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒材供給機の棒材を排出する棒材供給機の残材排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
棒材供給機は、細長い棒材を把持して自動旋盤などの加工機に連続的に送り込むとともに、加工機の稼働中にあっては、棒材を回転支承するものである。加工機はその主軸により棒材を把持して回転し、刃物で棒材を切削することとなる。
【0003】
この棒材供給機においては、棒材の端部をフィンガーチャックによって把持しているので、棒材の全長を加工することができず、そのため、把持代を含んだ残材が生じてしまう。したがって、このような残材を棒材供給機外に排出するために棒材供給機は、フィンガーチャックから除去するための残材排出装置を備えている。
【0004】
このような残材排出装置は、種々の形態が知られているが、例えば、特許文献1に記載された残材排出装置は、フィードロッドのフィンガーチャックにより把持された棒材を支持し加工機へと案内する主サポートレールと、該主サポートレールの後端側における残材の落下スペース内に上下方向に回動可能に設けられた副サポートレールと、上記フィンガーチャックから残材を抜き取る際に該残材をクランプするクランプ手段とを具備している。
【0005】
このような構成によれば、フィードロッドのフィンガーチャックにより把持された棒材を支持し加工機へと案内する主サポートレールと、該主サポートレールの後端側における残材の落下スペース内に上下方向に回動可能に設けられた副サポートレールと、上記フィンガーチャックから残材を抜き取る際に該残材をクランプするクランプ手段とを具備していることから、棒材は残材の落下スペース内でも副サポートレールにより支持されるので安定して回転し、振動が低減し、加工精度が向上する。また、落下スペースが副サポートレールにより覆われる結果、棒材や部品が破損しても飛び出すことがなく、逆に作業者が回転する棒材等に接触することもなく、したがって安全性が向上するという効果を奏する。
【0006】
また、特許文献2に記載された残材排出装置は、残材の通過を検出する残材通過検出装置と、残材通過検出装置で止まった残材を排除する残材排除装置とを有している。
【0007】
このような構成によれば、残材排除装置は残材通過検出装置で止まった残材を確実に排出するので、残材の排出ミスを防止することができ、連続運転を円滑に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3830221号公報
【特許文献2】特許第5437139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載された残材排出装置によると、自然落下により落下スペースに設置された残材回収箱に回収されて棒材供給機外に排出されることになるところ、排出した残材の姿勢が傾くなどすることで、残材回収箱に確実に落下させることができない場合があるといった不安定な要素があった。
【0010】
本発明は、このような問題点を解決することを目的としており、確実かつ安定した残材排出が可能となり、円滑な棒材供給機の連続運転が可能な残材排出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明に係る棒材供給機の残材排出装置は、棒材供給機に配置されると共に棒材の残材を排出する棒材供給機の残材排出装置であって、前記残材を保持する保持部と、前記保持部の内壁面に前記残材の径方向に沿って形成された溝部と、を有する残材サポート部と、前記溝部から前記保持部の内部に出没自在に配置された残材排出部と、を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る棒材供給機の残材排出装置において、前記溝部は、前記保持部の内壁面から外壁面に向けて貫通する貫通溝として形成され、前記残材サポート部は、前記残材の軸方向と略平行な枢軸回りに回動自在に配置され、前記残材排出部は、前記残材サポート部の回動によって前記溝部に挿通可能な残材排出板を備えると好適である。
【0013】
また、本発明に係る棒材供給機の残材排出装置において、前記溝部は、前記保持部の内壁面から外壁面に向けて貫通する貫通溝として形成され、前記残材排出部は、前記溝部に挿通するように移動可能に配置される残材排出板を備えると好適である。
【0014】
また、本発明に係る棒材供給機の残材排出装置において、前記残材排出板は、先端部が残材排出孔に向けて傾斜していると好適である。
【0015】
また、本発明に係る棒材供給機の残材排出装置において、前記残材排出部は、前記溝部内に配置されると共に、前記保持部の内周側に回動自在に配置されると好適である。
【0016】
また、本発明に係る棒材供給機の残材排出装置において、前記残材排出部は、前記溝部内に配置される残材排出板を有し、前記残材排出板は、前記溝部に収納された状態において、前記保持部の内壁面から突出しないように複数の折り曲げ部を有すると好適である。
【0017】
また、本発明に係る残材排出装置において、前記残材排出部は、前記溝部内に配置される残材排出板を有し、前記残材排出板は、前記溝部に収納された状態において、前記保持部の内壁面から突出しないようにR形状に形成されると好適である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、前記残材を保持する保持部と、前記保持部の内壁面に前記残材の径方向に沿って形成された溝部と、を有する残材サポート部と、前記溝部から前記保持部の内部に出没自在に配置された残材排出部と、を有するので、残材サポート部に載置された残材を溝部から溝内部に向けて突出する残材排出部によって確実に棒材供給機外に排出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1の実施形態に係る残材排出装置を備えた棒材供給機の側面図。
図2】本発明の第1の実施形態に係る残材排出装置を備えた棒材支持装置の正面図。
図3】本発明の第1の実施形態に係る残材排出装置の平面図。
図4】本発明の第1の実施形態に係る残材排出装置の側面図。
図5図4におけるP-P断面図。
図6】本発明の第1の実施形態に係る残材排出装置の動作を説明する断面図。
図7】本発明の第1の実施形態に係る残材排出装置の動作を説明する断面図。
図8】本発明の第2の実施形態に係る残材排出装置の断面図。
図9】本発明の第2の実施形態に係る残材排出装置の動作を説明する断面図。
図10】本発明の第3の実施形態に係る残材排出装置の断面図。
図11】本発明の第3の実施形態に係る残材排出装置の動作を説明する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1の実施形態]
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0021】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る残材排出装置を備えた棒材供給機の側面図であり、図2は、本発明の第1の実施形態に係る残材排出装置を備えた棒材支持装置の正面図であり、図3は、本発明の第1の実施形態に係る残材排出装置の平面図であり、図4は、本発明の第1の実施形態に係る残材排出装置の側面図であり、図5は、図4におけるP-P断面図であり、図6は、本発明の第1の実施形態に係る残材排出装置の動作を説明する断面図であり、図7は、本発明の第1の実施形態に係る残材排出装置の動作を説明する断面図である。
【0022】
図1及び図2に示されるように、本実施形態に係る棒材供給機1の残材排出装置20は、一例として図示しない旋盤などの材料加工機に棒材などの材料を供給する装置であって、材料加工機に隣接して配置される。図1に示すように、残材排出装置20は、棒材供給機1内に備え付けらえれ、フィードロッド11の先端に取り付けられると共に、棒材13を把持するフィンガーチャック12と、該フィンガーチャック12から加工後の棒材13の残材13aを抜くクランプ手段9と、棒材13の供給方向に延びるサポートレール7及びフィンガーチャック12から抜かれた残材13aを保持する残材サポート部8とを有し、フレーム10に固定されている。
【0023】
フィードロッド11は、この棒材供給機の内部に前後方向で往復移動可能に設けられている。具体的には、棒材供給機の内部に配置されたモーターで駆動される無端チェーン(図示せず)に連結され、該無端チェーンの往復駆動により棒材供給機内を前進したり後退したりするようになっている。
【0024】
フィンガーチャック12は、フィードロッド11の先端にベアリング等を介し回転可能に取り付けられており、その弾性的な拡開変形により棒材13の後端を把持するようになっている。フィンガーチャック12はフィードロッド11と共に棒材供給機内を移動し、その把持した棒材13が加工機の主軸の回転と共に回転するとフィードロッド11の先端で棒材13と共に回転することとなる。
【0025】
加工機は、例えば自動旋盤であり、その主軸の中心軸が上記フィンガーチャック12、該フィンガーチャック12により把持された棒材13等の中心軸の延長線に合致するようにこの棒材供給機の先方に配置されている。
【0026】
サポートレール7は、横断面が略半円状の凹溝を有した棒材13を案内するガイドレールであり、この棒材供給機のフレーム10上に水平に固定されている。上記フィンガーチャック12により把持された棒材13はこのサポートレール7の凹溝に沿って移動することになる。
【0027】
残材サポート部8は、サポートレール7と同様な形状であるが短いレールであり、サポートレール7の後端側における残材13aの残材排出孔21内にサポートレール7に連続するように配置されている。また、図3から図5に示すように、残材サポート部8は、サポートレール7の凹溝形状と対応する保持部14が形成され、該保持部14の内壁面には保持部14を内壁面から外壁面に向けて貫通する貫通孔としての溝部15が形成されている。さらに、残材サポート部8のフィンガーチャック12側の端部には、切欠部16が形成され、当該切欠部16にクランプ手段9が挿入されることで、残材13aをフィンガーチャック12から取り出すことができる。
【0028】
残材サポート部は、フレーム10上に残材サポート部8の長さ方向に平行な枢軸17を介し枢軸17に取り付けられた残材サポート部動作レバー18によって上下方向に回動可能に設けられている。残材サポート部8とフレーム10との間には、それらの長さ方向に直交する向きに図示しないエアシリンダーがブラケット及びピンを介して配置されている。
【0029】
クランプ手段9は、残材サポート部8の後方に配置されており、棒材13を左右から挟む二つの爪片として構成されており、従来周知の種々の方法によって一対のクランプ手段9,9が近接・離間可能に配置され、一対のクランプ手段9,9が近接することで残材13aを把持し、離間することで把持した残材13aを残材サポート部8の保持部14に落下させる。
【0030】
また、フレーム10には、残材サポート部8の溝部15に向かって突出する残材排出部19が取り付けられている。残材排出部19は、溝部15の対応する位置に立設して形成されている。残材排出部19は、フレーム10に取り付けられる基部19aと基部19aから斜め上方に向かって突出すると共に先端部が残材排出孔21に向かって傾斜した残材排出板19bとを備えている。
【0031】
残材排出部19は、主軸の方向に沿って所定の間隔で配置されており、例えば、フィンガーチャック12側の端部側の間隔が小さく、サポートレール7側の端部に向かって間隔が大きくなるように配置されている。
【0032】
次に、この棒材供給機1の残材排出装置20の動作について説明する。
【0033】
まず、新しい棒材13をこの棒材供給機に供給する際は図示しないレール蓋が上方に回動しサポートレール7及び残材サポート部8の凹溝及び保持部14を開ける。新しい棒材13はサポートレール7及び残材サポート部8に平行に配置された図示しない棒材投入装置により凹溝及び保持部14内へと転がり落ちる。そこで、図示しない押し棒が棒材13をその後端が切欠部16の位置へと押し出し、クランプ手段9が切欠部16内に移動して該棒材13の後端を掴む。フィードロッド11はこの棒材13の後端に向かって前進し、フィンガーチャック12で該後端を把持する。続いてフィードロッド11はさらに前進し、棒材13を加工機の主軸の方へと送り込む。該棒材13は加工機の主軸の回転と共に回転するが、本発明においてはサポートレール7の後方に残材サポート部8が繋がっており、残材13aの落下スペース内でも残材サポート部8により支持されるので、棒材13は安定して回転することになる。
【0034】
加工機による一本の棒材13の加工が終了し、残材13a及びフィンガーチャック12がフィードロッド11と共に残材サポート部8の後方へと後退すると、クランプ手段9で残材13aを把持し固定する。
【0035】
次いで、フィードロッド11が図1中実線で示される位置に所定の長さ後退すると、残材13aがフィンガーチャック12から抜け出る。そして、クランプ手段9が残材13aを解放し、図5で示されるように、残材サポート部8の保持部14に落下して載置される。次に、図6に示すように、残材サポート部8が回動すると、残材13aは、残材サポート部8と共に移動する。このとき、残材排出板19bが残材サポート部8に形成された溝部15を通過することで、残材13aに接する。このように、残材排出板19bは、残材サポート部8が回動することで、残材サポート部8の溝部15から保持部14の内部に出没自在に配置されている。
【0036】
さらに、残材サポート部8が回動すると、図7に示す位置まで移動する。このとき、残材13aは、残材排出板19bによって保持部14から押し出される形となり、保持部14の内部形状に沿って保持部14の縁部まで移動し、残材排出板19bの先端の斜面に沿って残材サポート部8の保持部14から押し出される。残材排出板19bの先端は残材排出孔21に向かって傾斜しているので、残材13aは残材排出孔21に確実に排出されることとなる。
【0037】
このように、本実施形態に係る棒材供給機1の残材排出装置20は、残材サポート部8の回動によって残材排出板19bによって残材排出孔21に向けて残材13aを排出するので、残材13aの形状や長さ並びに質量の影響を受けることなく、確実に安定した残材13aの排出が可能となる。
【0038】
[第2の実施形態]
以上、説明した第1の実施形態に係る棒材供給機1の残材排出装置20では、残材サポート部8が枢軸17回りに回動することで、残材サポート部8に形成された溝部15に残材排出板19bが挿通することで、保持部14に保持された残材13aを保持部14外に押し出すことで残材13aを排出する場合について説明を行った。次に説明する第2の実施形態に係る棒材供給機の残材排出装置は、第1の実施形態に係る棒材供給機の残材排出装置と異なる形態を有する固定手段の実施例について説明を行うものである。なお、上述した第1の実施形態の場合と同一又は類似する部材については、同一符号を付して説明を省略する。
【0039】
図8は、本発明の第2の実施形態に係る残材排出装置の断面図であり、図9は、本発明の第2の実施形態に係る残材排出装置の動作を説明する断面図である。
【0040】
図8に示すように、本実施形態に係る棒材供給機の残材排出装置20aは、第1の実施形態に係る棒材供給機の残材排出装置20と同様に、保持部14及び溝部15を有する残材サポート部8を有している。残材サポート部8は、フレーム10に固定軸17aを介して取り付けられている。
【0041】
残材排出部19´は、図示しない移動手段によって昇降自在に取り付けられており、溝部15に相当する位置に溝部15に対して挿通自在に配置された残材排出板19cを有している。また、残材排出板19cの上端は、残材排出孔21に向けて傾斜した傾斜面19dを有している。
【0042】
このように構成された本実施形態に係る棒材供給機の残材排出装置20aは、図8に示すように、クランプ手段9によってフィンガーチャック12から残材13aを抜き出し、当該残材13aを残材サポート部8の保持部14に載置する。
【0043】
次に、残材排出板19cが残材サポート部8に向けて上昇し、残材サポート部8の溝部15を挿通する。このとき、残材サポート部8に載置された残材13aは、図9に示すように、保持部14の内周及び残材排出板19cの傾斜面19dに沿って、残材サポート部8の縁部に向かって移動する。
【0044】
その後、さらに残材排出板19cが上昇すると、残材13aは、残材排出板19cの先端の傾斜面19dに沿って落下し、残材排出孔21に排出される。このとき、残材排出板19cは、主軸の方向に沿って複数形成されているので、水平状態を保ったまま残材排出孔21に向けて排出することが可能となる。
【0045】
[第3の実施形態]
以上、説明した第1及び第2の実施形態に係る棒材供給機1の残材排出装置20,20aでは、残材サポート部8に保持部14の内周から外周に向けて貫通する溝部15が形成された場合について説明を行った。次に説明する第3の実施形態に係る棒材供給機の残材排出装置は、第1及び第2の実施形態に係る棒材供給機の残材排出装置と異なる形態を有する固定手段の実施例について説明を行うものである。なお、上述した第1及び第2の実施形態の場合と同一又は類似する部材については、同一符号を付して説明を省略する。
【0046】
図10は、本発明の第3の実施形態に係る残材排出装置の断面図であり、図11は、本発明の第3の実施形態に係る残材排出装置の動作を説明する断面図である。
【0047】
図10に示すように、本実施形態に係る棒材供給機の残材排出装置20bは、第2の実施形態に係る棒材供給機の残材排出装置20aと同様に、保持部14を有する残材サポート部8aを有している。また、残材サポート部8aは、第1及び第2の実施形態に係る棒材供給機の残材排出装置20,20aと異なり、有底溝状の溝部15aが形成されている。また、残材サポート部8aは、フレーム10に固定軸17aを介して取り付けられている。
【0048】
残材排出部19´´は、溝部15a内に保持部14の内壁面から突出しないように配置された残材排出板19eを有している。残材排出板19eは、回動軸22回りに回動自在に取り付けられており、溝部15aの内部から保持部14の内部に向けて出没自在に配置されている。
【0049】
残材排出板19eは、複数の折り曲げ部19fを有しており、本実施形態に係る棒材供給機の残材排出装置20bでは三カ所の折り曲げ部19fを有している。このように複数の折り曲げ部19fを有することで、溝部15a内に配置された際に、残材排出板19eが保持部14の内部に突出することなく配置することが可能となる。
【0050】
また、残材排出板19eは、複数の折り曲げ部19fを有する形状に限定されず、溝部15a内に配置される際に保持部14の内壁面から突出しない形状であれば、どのような形態を有していても構わない。例えば、残材排出板19eは、保持部14の内壁面の湾曲と同一の方向に湾曲したR形状を有していても構わない。
【0051】
このように構成された本実施形態に係る棒材供給機の残材排出装置20bは、図10に示すように、クランプ手段9によってフィンガーチャック12から残材13aを抜き出し、当該残材13aを残材サポート部8aの保持部14に載置する。
【0052】
次に、固定された残材サポート部8aの溝部15a内に配置された残材排出板19eを残材サポート部8aの保持部14の内部側に回転させる。このとき、残材13aは、残材排出板19eの折り曲げ形状に沿って移動し、図11に示すように、残材サポート部8aから離脱する。
【0053】
その後、さらに残材排出板19eを回動すると、残材13aは、水平状態を保ったまま残材排出孔21に排出される。
【0054】
なお、上記実施形態に係る棒材供給機の残材排出装置20,20a,20bでは、残材サポート部8,8aに形成した溝部15,15aを主軸の方向に沿って所定の間隔で配置されており、例えば、フィンガーチャック12側の端部側の間隔が小さく、サポートレール側の端部に向かって間隔が大きくなるように配置されている場合について説明を行ったが、溝部15,15aの形成間隔や数については、適宜変更しても構わない。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれうることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0055】
1 棒材供給機, 7 サポートレール, 8,8a 残材サポート部, 9 クランプ手段, 10 フレーム, 11 フィードロッド, 12 フィンガーチャック, 13 棒材, 13a 残材, 14 保持部, 15,15a 溝部, 16 切欠部, 17 枢軸, 18 残材サポート部動作レバー, 19,19´,19´´ 残材排出部, 19b,19c,19e 残材排出板, 20,20a,20b 残材排出装置, 21 残材排出孔, 22 回動軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11