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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063605
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】エア噴射ノズル
(51)【国際特許分類】
   B05B 1/02 20060101AFI20240502BHJP
   B08B 5/02 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
B05B1/02
B08B5/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171687
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】515332975
【氏名又は名称】近畿日本鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(72)【発明者】
【氏名】中尾 拓実
【テーマコード(参考)】
3B116
4F033
【Fターム(参考)】
3B116BB32
3B116BB88
4F033AA04
4F033BA02
4F033DA01
4F033EA01
4F033JA03
4F033NA01
(57)【要約】
【課題】噴射口が延びる方向における噴射エアの偏りを抑制できるエア噴射ノズルを提供する。
【解決手段】エア噴射ノズルにおいて、各主板部21及び各側壁部22A,22Bで形成された一対の開口部のうち、一方の開口部を塞ぐように上流壁部23が設けられている。一対の開口部のうち、他方の開口部が、各側壁部22A,22Bが向かい合う方向に延びる長尺状をなす噴射口とされている。上流壁部23のうち各側壁部22A,22Bが向かい合う方向の中央部には、流入口24が形成されている。各主板部21、各側壁部22A,22B及び上流壁部23により囲まれた空間には、流入口24から流入したエアを分流させて噴射口に導く第1,第2仕切板部41,42が設けられている。第1,第2仕切板部41,42は、板面を各側壁部22A,22Bに向けた状態で設けられている。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入口(24)から流入させたエアを噴射口(31)から噴射することにより、塵埃を吹き飛ばすエア噴射ノズル(10)において、
板面を向かい合わせた状態で配置された一対の主板部(21)と、
前記各主板部の側縁部同士を接続する側壁部(22A,22B)と、
前記各主板部及び前記各側壁部で形成された一対の開口部のうち、一方の開口部を塞ぐように設けられた上流壁部(23)と、
を備え、
前記各主板部及び前記各側壁部で形成された一対の開口部のうち、他方の開口部が、前記各側壁部が向かい合う方向に延びる長尺状をなす前記噴射口とされており、
前記上流壁部のうち前記各側壁部が向かい合う方向の中間部には、前記流入口が形成されており、
前記各主板部、前記各側壁部及び前記上流壁部により囲まれた空間に設けられるとともに前記流入口側から前記噴射口側に向かって延び、前記流入口から流入したエアを分流させて前記噴射口に導く複数の仕切板部(41,42)を備え、
複数の前記仕切板部として、
前記流入口側から、前記各側壁部が向かい合う方向における前記噴射口の中央に対して一方の側に向かって延びる第1仕切板部(41)と、
前記流入口側から、前記各側壁部が向かい合う方向における前記噴射口の中央に対して他方の側に向かって延びる第2仕切板部(42)と、
を備え、
前記第1仕切板部及び前記第2仕切板部は、板面を前記側壁部に向けた状態で設けられている、エア噴射ノズル。
【請求項2】
前記各主板部及び前記各側壁部において前記噴射口側の部分は、前記噴射口側に向かうほど前記各主板部の間の距離が小さくなるノズル部(30)となっており、
前記第1仕切板部及び前記第2仕切板部における前記噴射口側の先端が、前記主板部のうち前記ノズル部との境界、又は前記ノズル部よりも前記流入口側に位置している、請求項1に記載のエア噴射ノズル。
【請求項3】
前記上流壁部、前記第1仕切板部の前記流入口側の端部(41a)及び前記各主板部により形成された第1サイド流入口(24a)の流路面積と、前記上流壁部、前記第2仕切板部の前記流入口側の端部(41b)及び前記各主板部により形成された第2サイド流入口(24b)の流路面積とは、前記第1仕切板部の前記流入口側の端部、前記第2仕切板部の前記流入口側の端部及び前記各主板部により形成されたセンタ流入口(24c)の流路面積よりも大きい、請求項1又は2に記載のエア噴射ノズル。
【請求項4】
前記第1仕切板部及び前記第2仕切板部における前記流入口側の端部により、前記流入口が、前記センタ流入口と、前記各側壁部が向かい合う方向において前記センタ流入口の一方の側に隣り合う前記第1サイド流入口と、前記各側壁部が向かい合う方向において前記センタ流入口の他方の側に隣り合う前記第2サイド流入口とに分けられている、請求項3に記載のエア噴射ノズル。
【請求項5】
前記第1仕切板部及び前記第2仕切板部における前記流入口側の端部(41a,41b)は、前記流入口側に向かうほど板厚が薄くなる先細りの形状となっている、請求項1又は2に記載のエア噴射ノズル。
【請求項6】
前記主板部の板面の平面視において、前記第1仕切板部が延びる方向に前記第1仕切板部から前記噴射口側に延長した第1仮想線(K1)と、前記第2仕切板部が延びる方向に前記第2仕切板部から前記噴射口側に延長した第2仮想線(K2)とが、前記主板部のうち前記ノズル部との境界を通るように、前記第1仕切板部と前記第2仕切板部とのなす角度が設定されている、請求項2に記載のエア噴射ノズル。
【請求項7】
前記ノズル部において前記各主板部のなす角度(θ)が50°~70°の範囲の角度に設定されている、請求項2に記載のエア噴射ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流入口から流入させたエアを噴射口から噴射することにより、塵埃を吹き飛ばすエア噴射ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているように、流入口から流入させた粉粒体及びガスを噴射口から噴射する噴射ノズルが知られている。この噴射ノズルの噴射口は、長尺状をなしている。噴射口が延びる方向における粉粒体の偏りを抑制するために、噴射ノズル内に案内ブロックが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-333725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
噴射ノズルとしては、流入口から流入させたエアを噴射口から噴射することにより、洗浄対象に付着した塵埃を吹き飛ばすものもある。この場合、粉粒体が用いられないため、粉粒体の偏りを抑制するための案内ブロックを噴射ノズル内に設ける必要がない。エア噴射ノズルでは、粉粒体の偏りの問題は発生しないものの、噴射口が延びる方向におけるエアの偏りは発生し得る。このため、エアの偏りを抑制する技術については、未だ改善の余地を残すものとなっている。
【0005】
本発明は、噴射口が延びる方向における噴射エアの偏りを抑制できるエア噴射ノズルを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、流入口から流入させたエアを噴射口から噴射することにより、塵埃を吹き飛ばすエア噴射ノズルにおいて、
板面を向かい合わせた状態で配置された一対の主板部と、
前記各主板部の側縁部同士を接続する側壁部と、
前記各主板部及び前記各側壁部で形成された一対の開口部のうち、一方の開口部を塞ぐように設けられた上流壁部と、
を備え、
前記各主板部及び前記各側壁部で形成された一対の開口部のうち、他方の開口部が、前記各側壁部が向かい合う方向に延びる長尺状をなす前記噴射口とされており、
前記上流壁部のうち前記各側壁部が向かい合う方向の中間部には、前記流入口が形成されており、
前記各主板部、前記各側壁部及び前記上流壁部により囲まれた空間に設けられるとともに前記流入口側から前記噴射口側に向かって延び、前記流入口から流入したエアを分流させて前記噴射口に導く複数の仕切板部を備え、
複数の前記仕切板部として、
前記流入口側から、前記各側壁部が向かい合う方向における前記噴射口の中央に対して一方の側に向かって延びる第1仕切板部と、
前記流入口側から、前記各側壁部が向かい合う方向における前記噴射口の中央に対して他方の側に向かって延びる第2仕切板部と、
を備え、
前記第1仕切板部及び前記第2仕切板部は、板面を前記側壁部に向けた状態で設けられている。
【0007】
本発明では、上流壁部のうち、各側壁部が向かい合う方向の中間部に流入口が形成されている。各主板部、各側壁部及び上流壁部により囲まれた空間に、流入口からエアが流入する。流入したエアは、各側壁部が向かい合う方向に延びる長尺状をなす噴射口から噴射される。
【0008】
各主板部、各側壁部及び上流壁部により囲まれた空間には、流入口側から噴射口側に向かって延び、流入口から流入したエアを分流させて噴射口に導く複数の仕切板部が設けられている。複数の仕切板部として、第1,第2仕切板部が設けられている。第1仕切板部は、流入口側から、各側壁部が向かい合う方向における噴射口の中央に対して一方の側に向かって延びている。第2仕切板部は、流入口側から、各側壁部が向かい合う方向における噴射口の中央に対して他方の側に向かって延びている。これにより、噴射口が延びる方向における噴射エアの偏りの発生を抑制するように、流入口から流入したエアを噴射口に導くことができる。また、第1,第2仕切板部は、板面を側壁部に向けた状態で設けられている。このため、流入口から第1,第2仕切板部を見た場合における第1,第2仕切板部の面積を小さくでき、エアが第1,第2仕切板部に衝突する場合に発生する騒音を低減できる。
【0009】
このように、本発明によれば、噴射口が延びる方向における噴射エアの偏りを抑制しつつ、騒音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】エア噴射ノズルの平面図。
図2】エア噴射ノズルの側面図。
図3】エア噴射ノズルの正面図。
図4図2の4-4線断面図。
図5図1の5-5線断面図。
図6】流入口を上流壁部の外側から見た図。
図7】比較例1に係るエア噴射ノズルの断面図。
図8】比較例2に係るエア噴射ノズルの断面図。
図9】比較例3に係るエア噴射ノズルの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るエア噴射ノズルを具体化した一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。エア噴射ノズルは、流入口から流入させたエアを噴射口から噴射することにより、洗浄対象に付着した塵埃を吹き飛ばすものである。
【0012】
図1図5に示すように、エア噴射ノズル10は、エアの流入口24が形成された本体部20と、本体部20に接続されるとともにエアを噴射する噴射口31が形成されたノズル部30とを備え、箱状をなしている。本体部20及びノズル部30は、例えば鋼板で構成されており、矩形板状をなす一対の主板部21、第1側壁部22A、第2側壁部22B及び上流壁部23を備えている。
【0013】
各主板部21は、板面を平行にした状態で配置されている。各主板部21において一方の側縁部同士が、板状をなす第1側壁部22Aにより接続されている。各主板部21において他方の側縁部同士が、板状をなす第2側壁部22Bにより接続されている。各側壁部22A,22Bは、壁面を平行にした状態で配置されている。
【0014】
各主板部21及び各側壁部22A,22Bの両端部は、開口部とされている。一対の開口部のうち一方の開口部を塞ぐように、矩形板状の上流壁部23が設けられている。上流壁部23のうち各側壁部22A,22Bが向かい合う方向(以下、幅方向)の中央部には、上流壁部23を貫通する流入口24が形成されている。本実施形態において、流入口24は円形状をなしている。流入口24の直径Dは、上流壁部23の壁高さ方向の寸法L1(換言すれば、本体部20における一対の主板部21の内面間の距離)よりも小さくなっている。
【0015】
各主板部21及び各側壁部22A,22Bで形成された一対の開口部のうち他方の開口部は、幅方向に延びる長尺状をなす噴射口31とされている(図3参照)。噴射口31は、幅方向において第1側壁部22Aから第2側壁部22Bにわたって形成されている。噴射口31の中央部は、各側壁部22A,22Bが延びる方向において流入口24と対向している。各主板部21及び各側壁部22A,22Bのうち噴射口31側の部分がノズル部30になっている。ノズル部30は、噴射口31側に向かうほど、各主板部21の間の距離が小さくなる部分である。つまり、ノズル部30におけるエアの流路面積は、噴射口31に向かうほど小さくなっている。
【0016】
各主板部21が向かい合う方向(以下、高さ方向)における噴射口31の寸法L2は、例えば、本体部20における一対の主板部21の内面間の距離L1の1/400~3/400の範囲の寸法に設定され、好ましくは本体部20の高さ方向における寸法の1/250~1/200の範囲の寸法に設定されている。例えば、内面間の距離L1が20mmの場合、高さ方向における噴射口31の寸法L2は0.08mm~0.1mmの範囲の寸法に設定されている。「L1×1/400≦L2≦L1×3/400」の設定により、騒音を低減しつつ、噴射口31からの噴射エアの流速を高めて塵埃除去効果を高めることができる。噴射口31の寸法L2が主板部21の内面間の距離L1の3/400の寸法よりも大きい寸法に設定されると、エア噴射ノズル10内の容積を利用した消音器の効果が低下し、騒音が増加してしまうことが実験により確認された。また、噴射口31の寸法L2が主板部21の内面間の距離L1の3/400の寸法よりも大きい寸法に設定されると、噴射口31からの噴射エアの流速が低下し、塵埃除去効果が低下してしまうことが実験により確認された。また、噴射口31の寸法L2が主板部21の内面間の距離L1の1/400の寸法よりも小さい寸法に設定されると、噴射口31からの噴射エアの流量が低下し、塵埃除去効果が低下する懸念がある。
【0017】
上流壁部23の外面には、流入口24にエアを供給するための管状(具体的には円筒状)の供給部25が設けられている。本実施形態において、供給部25の内径は、流入口24の直径Dよりも大きい。供給部25には、図示しないエア供給管を介して、エア供給装置が接続される。エア供給装置からエア供給管及び供給部25を介して供給されたエアが流入口24からエア噴射ノズル10の内部に流れ込み、流れ込んだエアが噴射口31から噴射される。噴射口31が洗浄対象物に向くように作業者がエア噴射ノズル10を操作することにより、洗浄対象物に付着した塵埃が吹き飛ばされる。なお、供給部25の内径は、例えば、流入口24の直径と同じ寸法であってもよい。
【0018】
図5に示すように、ノズル部30において各主板部21のなす角度θは、鋭角に設定されており、具体的には50°~70°の範囲の角度に設定されている。この設定は、噴射口31からのエア噴射に伴い発生する騒音を低減するためのものである。本実施形態とは異なり、各主板部21のなす角度θを90°に設定した場合、ノズル部30の内面にエアが衝突する場合に発生する騒音が増加することが実験により確認された。これに対し、角度θを鋭角に設定することにより、騒音低減効果が実験により確認された。なお、各主板部21のなす角度θは、好ましくは55°~65°の範囲の角度(例えば60°)に設定されていればよい。
【0019】
第1側壁部22Aのうち噴射口31側の先端部は、噴射口31に対して、流入口24側から噴射口31側に向かう方向に延びる第1ガイド部32Aとされている。第2側壁部22Bのうち噴射口31側の先端部も、同様に第2ガイド部32Bとされている。各ガイド部32A,32Bは、各ガイド部32A,32Bよりも幅方向外側にエアが分散することを抑制し、噴射口31から噴射されたエアの直進性を高めるために設けられている。これにより、噴射口31からの噴射エアの圧力低下を抑制し、塵埃除去効果を高めることができる。
【0020】
エア噴射ノズル10は、流入口24から流入したエアを分流させて噴射口31に導き、噴射口31の幅方向における噴射エアの偏りを抑制するための第1仕切板部41及び第2仕切板部42を備えている。各仕切板部41,42は、矩形(具体的には長方形)板状をなしており、例えば鋼板で構成されている。各仕切板部41,42は、各主板部21、各側壁部22A,22B及び上流壁部23により囲まれた空間に設けられている。図4に示すように、第1仕切板部41は、上流壁部23の幅方向における中央部から、噴射口31の幅方向における中央に対して第1側壁部22Aの側に向かって延びている。第2仕切板部42は、上流壁部23の幅方向における中央部から、噴射口31の幅方向における中央に対して第2側壁部22Bの側に向かって延びている。幅方向における第1仕切板部41及び第2仕切板部42の間の距離は、流入口24側から噴射口31側に向かうほど大きくなっている。第1仕切板部41と第2仕切板部42とは、主板部21の板面の平面視において、流入口24の中心を通って、かつ、各側壁部22A,22Bが延びる方向に延びる中央軸線に対して対称配置されている。
【0021】
各仕切板部41,42は、各主板部21と交差(直交)するように設けられている。このため、各仕切板部41,42は、板面を各側壁部22A,22Bに向けた状態で設けられている。これにより、流入口24から各仕切板部41,42を見た場合における各仕切板部41,42の面積を小さくできる。その結果、エアが各仕切板部41,42に衝突する場合に発生する騒音を低減することができる。また、各仕切板部41,42が板状であることにより、エア噴射ノズル10の内部容積を大きくできる。これにより、この内部容積を用いた消音器の効果を高めることができ、ひいては騒音低減効果を高めることができる。
【0022】
第1,第2仕切板部41,42は、その長さ方向全域にわたって、一方の主板部21から他方の主板部21まで延びている(図5参照)。第1,第2仕切板部41,42における流入口24側の端部41a,41bは、図4に示すように、流入口24側に向かうほど板厚が薄くなる先細りの形状となっている。これにより、流入口24から流入したエアをスムーズに分流することができ、騒音低減効果を高めることができる。
【0023】
図4及び図5に示すように、第1,第2仕切板部41,42における流入口24側の端部41a,41bは、上流壁部23に当接している。これにより、図6に示すように、流入口24が、センタ流入口24cと、幅方向においてセンタ流入口24cに対して第1側壁部22Aの側に隣り合う第1サイド流入口24aと、幅方向においてセンタ流入口24cに対して第2側壁部22Bの側に隣り合う第2サイド流入口24bとに分けられている。なお、図6の一点鎖線は、各仕切板部41,42の流入口24側の先端を示している。
【0024】
センタ流入口24cの幅方向における寸法LCは、第1サイド流入口24a及び第2サイド流入口24bそれぞれの幅方向における寸法LSよりも小さい。このため、センタ流入口24cの流路面積は、第1サイド流入口24a及び第2サイド流入口24bそれぞれの流路面積よりも小さい。これは、騒音低減効果を高めつつ、噴射口31からの噴射エアの圧力低下を抑制するための構成である。
【0025】
つまり、第1サイド流入口24aから流入したエアは、各主板部21、上流壁部23、第1仕切板部41及び第1側壁部22Aにより囲まれる第1空間を通ってノズル部30へと導かれる。この際、第1空間におけるエアの流路面積が、第1サイド流入口24aの流路面積よりも大きくなっていることにより、第1空間が消音器として機能する。一方、第2サイド流入口24bから流入したエアは、各主板部21、上流壁部23、第2仕切板部42及び第2側壁部22Bにより囲まれる第2空間を通ってノズル部30へと導かれる。この際、第2空間におけるエアの流路面積が、第2サイド流入口24bの流路面積よりも大きくなっていることにより、第2空間が消音器として機能する。このため、センタ流入口24cよりも各サイド流入口24a,24bの流路面積を大きくしたとしても、エアが流れることに伴い発生する騒音を低減できる。これにより、流入口24から流入するエア流量を増加させて噴射口31からの噴射エアの圧力低下を抑制しつつ、騒音低減効果を高めることができる。これに対し、例えば「LC>LS」とし、各サイド流入口24a,24bよりもセンタ流入口24cの流路面積を大きくした場合、騒音が増加することが実験により確認された。
【0026】
なお、センタ流入口24cの幅方向における寸法LC(例えば2mm)は、各サイド流入口24a,24bの幅方向における寸法LS(例えば5.75mm)の1/2未満の寸法に設定されていればよく、例えば、LSの1/2未満であってかつLSの1/3以上の寸法に設定されていればよい。また、本実施形態では、各側壁部22A,22Bが延びる方向において、ノズル部30の寸法は、本体部20の寸法よりも小さく、具体的には例えば本体部20の寸法の1/2以下の寸法である。これにより、本体部20の第1,第2空間を大きくでき、騒音低減効果を高めることができる。
【0027】
本実施形態とは異なり、図7に示す比較例1の構成では、騒音が増加してしまう。比較例1の構成は、第1,第2仕切板部41,42に代えて、断面が直角三角形の三角柱状をなす第1,第2ブロック部51,52を備えている。各ブロック部51,52は、一方の主板部21から他方の主板部21にわたって延びている。比較例1の構成では、本実施形態と比較して、本体部20の内部容積が小さくなるため、騒音が増加してしまう。また、比較例1の構成では、本実施形態と比較して、幅方向における噴射口31からの噴射エアの偏りが発生してしまう。
【0028】
図4に示すように、各仕切板部41,42における噴射口31側の先端が、主板部21におけるノズル部30と本体部20との境界26、又はノズル部30よりも流入口24側に位置している。本実施形態では、上記先端は、ノズル部30よりも流入口24側に位置しており、具体的には、本体部20において各側壁部22A,22Bが延びる方向の中央よりも噴射口31側に位置している。これは、騒音低減効果を高めるための構成である。本実施形態とは異なり、図8に示す比較例2の構成は、第1,第2仕切板部61,62の先端が境界26よりも噴射口31側に位置している。この場合、上記第1,第2空間を通るエアが各仕切板部41,42によってノズル部30に直接導かれ、エアがノズル部30の内面に衝突することに伴い発生する騒音が、本実施形態よりも増加することが実験により確認された。
【0029】
図4に示すように、本体部20における主板部21の板面の平面視において、第1仕切板部41が延びる方向に第1仕切板部41から噴射口31側に延長した第1仮想線K1と、第2仕切板部42が延びる方向に第2仕切板部42から噴射口31側に延長した第2仮想線K2とが境界26を通るように、第1仕切板部41と第2仕切板部42とのなす角度が設定されている。本実施形態では、本体部20における主板部21の板面の平面視において、第1仮想線K1と第2仮想線K2とが噴射口31を通るように、第1仕切板部41と第2仕切板部42とのなす角度が設定されている。これにより、騒音低減効果を高めることができる。
【0030】
本実施形態とは異なり、図9に示す比較例3の構成では、騒音が増加してしまう。比較例3の構成は、第1仕切板部71から延長した第1仮想線K1が、境界26を通らず、第1側壁部22Aのうち本体部20の部分と交差する。また、第2仕切板部72から延長した第2仮想線K2が、境界26を通らず、第2側壁部22Bのうち本体部20の部分と交差する。この場合、各仕切板部71,72により導かれたエアの大部分が各側壁部22A,22Bに衝突し、騒音が増加してしまう。また、各仕切板部71,72により導かれたエアの大部分が各側壁部22A,22Bに衝突してしまうため、噴射口31側にスムーズにエアが導かれず、噴射口31からの噴射エアの圧力が低下してしまう。
【0031】
以上説明した本実施形態によれば、噴射口31が延びる方向における噴射エアの偏りを抑制しつつ、騒音を低減できるエア噴射ノズル10を提供することができる。
【0032】
<その他の実施形態>
上記実施形態は、以下のように変更して実施されてもよい。
【0033】
・エア噴射ノズルとして、図8又は図9に示した構成が用いられてもよい。この場合であっても、上記実施形態の効果に準じた効果を得ることはできる。
【0034】
・主板部は、矩形状をなすものに限らず、例えば、側縁部が幅方向外側に凸となる円弧状をなすものであってもよい。
【0035】
・流入口24としては、真円形状に限らず、例えば、幅方向に長い長円形状であってもよいし、矩形形状であってもよい。
【0036】
・第1,第2仕切板部41,42における流入口24側の端部41a,41bが、流入口24側から噴射口31側に向かう方向(具体的には、幅方向及び高さ方向に直交する方向)に上流壁部23から所定距離離間していてもよい。この所定距離は、例えば1mm~2mmの範囲の距離とすればよい。この場合、第1サイド流入口は、上流壁部23、第1仕切板部41の端部41a及び各主板部21により形成された流路となり、第2サイド流入口は、上流壁部23、第2仕切板部42の端部42a及び各主板部21により形成された流路となる。また、センタ流入口は、第1,第2仕切板部41,42の端部及び各主板部21により形成された流路となる。この場合であっても、第1,第2サイド流入口それぞれの流路面積が、センタ流入口の流路面積よりも大きく設定されていればよい。
【0037】
・第1,第2仕切板部41,42に加えて、流入口24から流入したエアを分流させて噴射口31に導くための1つ以上の追加の仕切板部がエア噴射ノズル10内に設けられていてもよい。この場合、追加の仕切板部は、板状をなし、流入口側24から噴射口31側に向かって延びるように設けられていればよい。
【符号の説明】
【0038】
10…エア噴射ノズル、21…主板部、22A,22B…第1,第2側壁部、23…上流壁部、24…流入口、30…ノズル部、31…噴射口、41,42…第1,第2仕切板部。
図1
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図9