(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063606
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】ロケット発射用偏向耐火板およびロケット発射用偏向耐火板の交換方法
(51)【国際特許分類】
B64G 5/00 20060101AFI20240502BHJP
【FI】
B64G5/00
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171689
(22)【出願日】2022-10-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002963
【氏名又は名称】弁理士法人MTS国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100080458
【弁理士】
【氏名又は名称】高矢 諭
(74)【代理人】
【識別番号】100144299
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 崇
(72)【発明者】
【氏名】田中 祐人
(57)【要約】
【課題】上下に分割して構成されているが、燃焼ガスの流下による悪影響が抑えられており、かつ、低コストかつ容易に耐火
板の交換を行えるロケット発射用偏向耐火
板及びその交換方法を提供する。
【解決手段】第1耐火部材11と第2耐火部材13とを含み、支持部材72により第1耐火部材11の上面12A及び第2耐火部材13の上面14Aがそれぞれ、水平面に対して所定角度で傾斜した形で、かつ互いに隣接するように下方から支持されており、第1耐火部材11は、第2耐火部材13に対して相対的に上側に配置されるとともに、第2耐火部材13とは水平面に対する傾斜角度が異なるように支持部材72上に配置され、かつ、第1耐火部材11の上面12Aを仮想的に平行に延長した面12A1が、第2耐火部材13の上面14Aと交差するように配置されており、かつ、鉛直方向上側から見て、第1耐火部材11と第2耐火部材13との間には隙間が空いていない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の耐火部材と、前記複数の耐火部材を所定角度で支持する支持部材とを有するロケット発射用偏向耐火版であって、
前記複数の耐火部材は、上面と下面と側面とを有する所定厚みを持った第1耐火部材と、上面と下面と側面とを有する所定厚みを持った第2耐火部材とを含み、前記支持部材により前記第1耐火部材の上面及び前記第2耐火部材の上面がそれぞれ、水平面に対して所定角度で傾斜した形で、かつ互いに隣接するように下方から支持されており、
前記第1耐火部材は、前記第2耐火部材に対して相対的に上側に配置されるとともに、前記第2耐火部材とは水平面に対する傾斜角度が異なるように前記支持部材上に配置され、かつ、前記第1耐火部材の上面を仮想的に平行に延長した面が、前記第2耐火部材の上面と交差するように配置されており、かつ、鉛直方向上側から見て、前記第1耐火部材と前記第2耐火部材との間には隙間が空いていないことを特徴とするロケット発射用偏向耐火版。
【請求項2】
前記第1耐火部材の側面のうち前記第2耐火部材と対向する第1側面部と、前記第2耐火部材の側面のうち前記第1側面部に対向する第2側面部とは、所定の隙間を設けて配置されていることを特徴とする請求項1に記載のロケット発射用偏向耐火版。
【請求項3】
前記第2耐火部材は略直方体の形状であり、直方体から、隣接する前記第1耐火部材に近接する部位の上面側が一部切り欠かれた形状であることを特徴とする請求項2に記載のロケット発射用偏向耐火版。
【請求項4】
前記第2耐火部材は、上面の上端が前記第1耐火部材の下端面に当接していることを特徴とする請求項1に記載のロケット発射用偏向耐火版。
【請求項5】
前記第2耐火部材は、上面の上端が前記第1耐火部材の下端面の下端に当接していることを特徴とする請求項1に記載のロケット発射用偏向耐火版。
【請求項6】
前記第1耐火部材の下面の下端は、前記第2耐火部材の上面に当接していることを特徴とする請求項1に記載のロケット発射用偏向耐火版。
【請求項7】
前記複数の耐火部材は、前記第1耐火部材と前記第2耐火部材のみであることを特徴とする請求項1に記載のロケット発射用偏向耐火版。
【請求項8】
前記複数の耐火部材のそれぞれは、耐火版ブロックと、前記支持部材上で前記耐火版ブロックの位置を固定する支持梁とを含み、前記支持梁は、前記耐火版ブロックの下面に連結されていることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載のロケット発射用偏向耐火版。
【請求項9】
前記複数の耐火部材は、前記支持部材に対して着脱可能に所定の傾斜角度で固定されていることを特徴とする請求項8記載のロケット発射用偏向耐火版。
【請求項10】
請求項1~3のいずれかに記載のロケット発射用偏向耐火版の交換方法であって、
前記第2耐火部材を、最も低い位置にある部位を回転中心として立て起こす立て起こし工程と、
前記立て起こし工程で立て起こした前記第2耐火部材を吊り上げて撤去する撤去工程と、
を有することを特徴とするロケット発射用偏向耐火版の交換方法。
【請求項11】
請求項1~3、5のいずれかに記載のロケット発射用偏向耐火版の交換方法であって、
前記第2耐火部材を、最も低い位置にある部位を回転中心として、水平となるように回転させる回転工程と、
前記回転工程で水平にした前記第2耐火部材を撤去する撤去工程と、
を有することを特徴とするロケット発射用偏向耐火版の交換方法。
【請求項12】
請求項1または4に記載のロケット発射用偏向耐火版の交換方法であって、
前記第2耐火部材を、最も高い位置にある部位を回転中心として、水平となるように回転させる回転工程と、
前記回転工程で水平にした前記第2耐火部材を撤去する撤去工程と、
を有することを特徴とするロケット発射用偏向耐火版の交換方法。
【請求項13】
請求項1または6に記載のロケット発射用偏向耐火版の交換方法であって、
前記第2耐火部材を、傾斜角度を維持させたまま、斜め上方に引き上げて撤去することを特徴とするロケット発射用偏向耐火版の交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロケット発射用偏向耐火版およびロケット発射用偏向耐火版の交換方法に関する。なお、本願において、ロケット発射用偏向耐火版の交換には、ロケット発射用偏向耐火版の全体を交換する場合およびロケット発射用偏向耐火版の一部を交換する場合のどちらの場合も含まれる。
【背景技術】
【0002】
ロケット発射時の燃焼ガスは極めて高い高温のガス流体であり、ロケット発射施設100においては、
図15(特許文献1の
図6)に示されるように、発射されるロケット102の発射台104の下方に、ロケット102発射時の燃焼ガスを逃がすための煙道106が設けられている。ロケット102発射時の燃焼ガスを煙道106にスムーズに逃がすために、発射されるロケット102の真下の煙道106内の位置には、ロケット102発射時の燃焼ガスの向きを、煙道106に沿う方向に変える火炎偏向板108が設けられている。この火炎偏向板108は、
図15に示されるように、水平面に対して傾斜させて設けられており、かつ、その下部は、傾斜面の角度を徐々に緩やかにして最終的に水平面に近い角度になるように円弧状に湾曲しており、ロケット102発射時の燃焼ガスの向きを、煙道106に沿う方向にスムーズに変えるようにしている。
【0003】
一方、火炎偏向板108は、発射されるロケット102の真下に配置されていて、ロケット102発射時の燃焼ガスを直接的に浴びる極めて過酷な環境に置かれており、ある程度の使用後に、破損等に対するメンテナンスや取り替えが必要となるが、火炎偏向板108の高さは5m程度あり、メンテナンス作業の際には足場が必要となるなど手間がかかる。
【0004】
この点に対応できると考えられる技術として、
図16および
図17(特許文献1の
図1および
図2)に示されるような特許文献1に記載の技術がある。この技術では、火炎偏向板110を上部偏向板112と下部偏向板114とに分割して構成しており、上部偏向板112は、煙道開口部近傍に設けられた軸116を中心に煙道開口部を塞ぐ位置(
図16参照)と、下部偏向板114と係合する位置(
図17参照)との間を揺動可能に設けられており、下部偏向板114は固定部118で煙道120に固定されている。上部偏向板112は、基部112aと断熱材112bとからなり、軸116と反対側の端部には基部112a側を切り欠いた段部112cが設けられている。下部偏向板114は基部114aと断熱材114bとからなり、全体が斜め上方に傾斜して固定されており、上端部には断熱材114b側を切り欠いた段部114cが設けられている。基部112a、114aの材質については特許文献1に記載されていないので、特許文献1の[従来の技術]の欄に記載された従来技術と同様にコンクリートが用いられているものと考えられる。ロケットの打上げ時には、上部偏向板112が
図16の矢印方向に揺動し前記段部112c、114cで上部偏向板112と下部偏向板114とが係合される。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の火炎偏向板110において、上部偏向板112を下部偏向板114に係合させても、上部偏向板112と下部偏向板114との間の隙間をなくすことは困難である。特に、特許文献1に記載の火炎偏向板110では、上部偏向板112が揺動可能に構成されており、上部偏向板112を下部偏向板114に係合させても、上部偏向板112と下部偏向板114との間に一定以上の隙間が必然的に残ると考えられる。
【0006】
これに対して、特許文献1の段落0008には、上部偏向板112と下部偏向板114との係合部には段部112c、114cが設けられているため、上部偏向板112と下部偏向板114との合わせ目からロケットの燃焼排ガスが火炎偏向板の裏側まで抜けるのを防止している旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、
図16および
図17に示されるように、係合部において段部112c、114cで生じる隙間は、断熱材112b、114bの間を厚さ方向にまっすぐ貫いて段部112c、114cの基部112a、114aに到達しており、段部112c、114cを形成する基部112a、114a(コンクリートと考えられる)は、ロケット102発射時の燃焼ガスの影響を直接的に受けて、劣化および損傷が進行すると考えられる。
【0009】
特許文献1の段落0006の[作用]の欄および特許文献1の段落0012の[発明の効果]の欄に記載されているように、特許文献1においては、メンテナンス作業として断熱材の取付を主に念頭に置いていると考えられるが、段部112c、114cを形成する基部(コンクリートと考えられる)の劣化および損傷が進行した場合、断熱材の交換等では対応できず、火炎偏向板110の全体を交換することが必要となると考えられる。特許文献1に記載の火炎偏向板110は、段部112c、114cを設けることが必要であり、かつ、上部偏向板112は、煙道開口部近傍に設けられた軸116を中心に煙道開口部を塞ぐ位置と、下部偏向板114と係合する位置との間を揺動できるように、製造および設置する必要があり、火炎偏向板110の全体を交換すると、コストと手間が大きくかかると考えられる。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、上下に分割して構成されているが、燃焼ガスの流下による悪影響が抑えられており、かつ、低コストかつ容易に耐火版の交換を行うことができるロケット発射用偏向耐火版およびロケット発射用偏向耐火版の交換方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は前記課題を解決する発明であり、以下のようなロケット発射用偏向耐火版およびロケット発射用偏向耐火版の交換方法である。
【0012】
即ち、本発明に係るロケット発射用偏向耐火版の第1の態様は、複数の耐火部材と、前記複数の耐火部材を所定角度で支持する支持部材とを有するロケット発射用偏向耐火版であって、前記複数の耐火部材は、上面と下面と側面とを有する所定厚みを持った第1耐火部材と、上面と下面と側面とを有する所定厚みを持った第2耐火部材とを含み、前記支持部材により前記第1耐火部材の上面及び前記第2耐火部材の上面がそれぞれ、水平面に対して所定角度で傾斜した形で、かつ互いに隣接するように下方から支持されており、前記第1耐火部材は、前記第2耐火部材に対して相対的に上側に配置されるとともに、前記第2耐火部材とは水平面に対する傾斜角度が異なるように前記支持部材上に配置され、かつ、前記第1耐火部材の上面を仮想的に平行に延長した面が、前記第2耐火部材の上面と交差するように配置されており、かつ、鉛直方向上側から見て、前記第1耐火部材と前記第2耐火部材との間には隙間が空いていないことを特徴とするロケット発射用偏向耐火版である。
【0013】
本願において、本発明および本発明の実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版およびその構成部材に関し、上方や下方等の上下を観念する文言の解釈については、本発明および本発明の実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版を実際の使用状態に配置した状態を基準として解釈するものとする。これらのことは、本願の他の箇所の記載においても同様とする。
【0014】
また、「鉛直方向上側から見て、前記第1耐火部材と前記第2耐火部材との間には隙間が空いていない」状態には、実際には前記第1耐火部材と前記第2耐火部材との間に隙間が空いていても、鉛直方向上側から見たときにその隙間を視認できない状態も含まれる。本願の他の箇所の同様の記載も同様に解釈するものとする。
【0015】
本発明に係るロケット発射用偏向耐火版の第2の態様は、前記第1の態様のロケット発射用偏向耐火版において、前記第1耐火部材の側面のうち前記第2耐火部材と対向する第1側面部と、前記第2耐火部材の側面のうち前記第1側面部に対向する第2側面部とは、所定の隙間を設けて配置されている、ように構成されている態様である。
【0016】
本発明に係るロケット発射用偏向耐火版の第3の態様は、前記第2の態様のロケット発射用偏向耐火版において、前記第2耐火部材は略直方体の形状であり、直方体から、隣接する前記第1耐火部材に近接する部位の上面側が一部切り欠かれた形状である、ように構成されている態様である。
【0017】
本発明に係るロケット発射用偏向耐火版の第4の態様は、前記第1の態様のロケット発射用偏向耐火版において、前記第2耐火部材は、上面の上端が前記第1耐火部材の下端面に当接している、ように構成されている態様である。
【0018】
本発明に係るロケット発射用偏向耐火版の第5の態様は、前記第1の態様のロケット発射用偏向耐火版において、前記第2耐火部材は、上面の上端が前記第1耐火部材の下端面の下端に当接している、ように構成されている態様である。
【0019】
本発明に係るロケット発射用偏向耐火版の第6の態様は、前記第1の態様のロケット発射用偏向耐火版において、前記第1耐火部材の下面の下端は、前記第2耐火部材の上面に当接している、ように構成されている態様である。
【0020】
本発明に係るロケット発射用偏向耐火版の第7の態様は、前記第1~前記第6の態様のいずれかの態様のロケット発射用偏向耐火版において、前記複数の耐火部材は、前記第1耐火部材と前記第2耐火部材のみである、ように構成されている態様である。
【0021】
本発明に係るロケット発射用偏向耐火版の第8の態様は、前記第1~前記第7の態様のいずれかの態様のロケット発射用偏向耐火版において、前記複数の耐火部材のそれぞれは、耐火版ブロックと、前記支持部材上で前記耐火版ブロックの位置を固定する支持梁とを含み、前記支持梁は、前記耐火版ブロックの下面に連結されている、ように構成されている態様である。
【0022】
本発明に係るロケット発射用偏向耐火版の第9の態様は、前記第8の態様のロケット発射用偏向耐火版において、前記複数の耐火部材は、前記支持部材に対して着脱可能に所定の傾斜角度で固定されている、ように構成されている態様である。
【0023】
本発明に係るロケット発射用偏向耐火版の交換方法の第1の態様は、前記第1~前記第3の態様のいずれかの態様のロケット発射用偏向耐火版の交換方法であって、前記第2耐火部材を、最も低い位置にある部位を回転中心として立て起こす立て起こし工程と、前記立て起こし工程で立て起こした前記第2耐火部材を吊り上げて撤去する撤去工程と、を有することを特徴とするロケット発射用偏向耐火版の交換方法である。
【0024】
本発明に係るロケット発射用偏向耐火版の交換方法の第2の態様は、前記第1~前記第3、前記第5の態様のいずれかの態様のロケット発射用偏向耐火版の交換方法であって、前記第2耐火部材を、最も低い位置にある部位を回転中心として、水平となるように回転させる回転工程と、前記回転工程で水平にした前記第2耐火部材を撤去する撤去工程と、を有することを特徴とするロケット発射用偏向耐火版の交換方法である。
【0025】
本発明に係るロケット発射用偏向耐火版の交換方法の第3の態様は、前記第1または前記第4の態様のロケット発射用偏向耐火版の交換方法であって、前記第2耐火部材を、最も高い位置にある部位を回転中心として、水平となるように回転させる回転工程と、前記回転工程で水平にした前記第2耐火部材を撤去する撤去工程と、を有することを特徴とするロケット発射用偏向耐火版の交換方法である。
【0026】
本発明に係るロケット発射用偏向耐火版の交換方法の第4の態様は、前記第1または前記第6の態様のロケット発射用偏向耐火版の交換方法であって、前記第2耐火部材を、傾斜角度を維持させたまま、斜め上方に引き上げて撤去することを特徴とするロケット発射用偏向耐火版の交換方法である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、上下に分割して構成されているが、燃焼ガスの流下による悪影響が抑えられており、かつ、低コストかつ容易に耐火版の交換を行うことができるロケット発射用偏向耐火版およびロケット発射用偏向耐火版の交換方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版10の側面図
【
図2】第1実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版10の上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14の部位を鉛直方向上側から(
図1の矢印II方向から)見た図
【
図3】上部耐火版ブロック12と下部耐火版ブロック14の隣接部位およびその周辺領域を拡大して示す拡大側面図
【
図5】本発明の第1実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版10の下部耐火版ブロック14を取り外す際の状況を模式的に示す側面図
【
図6】本発明の第2実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版20の側面図
【
図7】上部耐火版ブロック12と下部耐火版ブロック24の隣接部位およびその周辺領域を拡大して示す拡大側面図
【
図8】本発明の第2実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版20の下部耐火版ブロック24を取り外す際の状況を模式的に示す側面図
【
図9】本発明の第3実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版30の側面図
【
図10】上部耐火版ブロック12と下部耐火版ブロック34の隣接部位およびその周辺領域を拡大して示す拡大側面図
【
図11】本発明の第3実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版30の下部耐火版ブロック34を取り外す際の状況を模式的に示す側面図
【
図12】本発明の第4実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版40の側面図
【
図13】上部耐火版ブロック12と下部耐火版ブロック44の隣接部位およびその周辺領域を拡大して示す拡大側面図
【
図14】本発明の第4実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版40の下部耐火版ブロック44を取り外す際の状況を模式的に示す側面図
【
図16】特許文献1に記載の発明の実施例に係るロケット射座の火炎偏向板の側断面図
【
図17】特許文献1に記載の発明の実施例に係るロケット射座の火炎偏向板において上部偏向板と下部偏向板とが係合した状態を表す側断面図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0030】
(1)第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版10の側面図であり、
図2は、本発明の第1実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版10の上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14の部位を鉛直方向上側から(
図1の矢印II方向から)見た図であり、
図3は、上部耐火版ブロック12と下部耐火版ブロック14の隣接部位およびその周辺領域を拡大して示す拡大側面図であり、
図4は、下部耐火版ブロック14の側面図であり、
図5は、本発明の第1実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版10の下部耐火版ブロック14を取り外す際の状況を模式的に示す側面図である。
【0031】
本発明の第1実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版10は、上部耐火部材11と、下部耐火部材13と、上部耐火部材11および下部耐火部材13を所定の傾斜角度で固定して下方から支持する鋼製の骨組構造72とを有してなる。
【0032】
上部耐火部材11は、上部耐火版ブロック12と支持梁16とを有して構成されており、上部耐火版ブロック12の下面には支持梁16が取り付けられていて、上部耐火版ブロック12と支持梁16とは一体化されている。
【0033】
下部耐火部材13は、下部耐火版ブロック14と支持梁18とを有して構成されており、下部耐火版ブロック14の下面には支持梁18が取り付けられていて、下部耐火版ブロック14と支持梁18とは一体化されている。
【0034】
上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14は、ロケット発射時の燃焼ガスを受け止めて、所定の方向に(煙道の方向に)燃焼ガスを流す役割を有する。
【0035】
上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14は、
図1に示すように、下方に位置する下部耐火版ブロック14が、上方に位置する上部耐火版ブロック12よりも水平面に対する傾斜角度が小さくなるように、支持梁16、18を介して骨組構造72に取り付けられて配置されている(以下、配置構成1-1と記載することがある。)。
【0036】
また、
図3に示すように、上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14は、上部耐火版ブロック12の上面12Aを仮想的に平行に延長した面12A1が、斜め下方に位置する下部耐火版ブロック14の上面14Aに交差するように、骨組構造72に取り付けられて配置されている(以下、配置構成1-2と記載することがある。)。
【0037】
さらに、
図2および
図3に示すように、下部耐火版ブロック14の上面14Aの上端14A1は上部耐火版ブロック12の下端部の下方に位置しており、鉛直方向上側から見て、上部耐火版ブロック12と下部耐火版ブロック14との間には、隙間は空いていない(以下、配置構成1-3と記載することがある。)。
【0038】
このため、ロケット発射時の燃焼ガスは、上部耐火版ブロック12の上面12Aおよび下部耐火版ブロック14の上面14Aに沿ってスムーズに流下し、流下方向を煙道方向に変えて、煙道内に進行する。従来は、
図15~
図17に示されるように、ロケット発射用偏向耐火版(
図15~
図17では火炎偏向板)の下部は、傾斜面の角度を徐々に緩やかにして最終的に水平面に近い角度になるように円弧状に湾曲させて、ロケット発射時の燃焼ガスの向きを、煙道に沿う方向にスムーズに変えるようにしていたが、本第1実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版10では、前記した配置構成1-1、1-2および1-3を採用することにより、平板状の耐火版(上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14)のみでも、ロケット発射時の燃焼ガスの向きを、煙道に沿う方向にスムーズに変えることができるようにしている。
【0039】
上部耐火版ブロック12の水平面に対する傾斜角度は、標準的には40°以上60°以下であり、下部耐火版ブロック14の水平面に対する傾斜角度は、標準的には15°以上35°以下である。
【0040】
支持梁16、18は、上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14をそれぞれ骨組構造72に取り付けて、上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14の位置を固定させる役割を有する。支持梁16、18には、例えば断面H形の鋼材を用いることができる。骨組構造72への支持梁16、18の取り付けはボルト等を用いて着脱可能に行うことができる。
【0041】
骨組構造72は、
図1に示すように、底面水平鋼材72Aと、鉛直鋼材72Bと、斜め鋼材72Cと、中間水平鋼材72Dと、を有してなる鋼製構造であり、上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14を所定の傾斜角度で支持する役割を有する。斜め鋼材72Cは、上部耐火版ブロック12に求められる傾斜角度に対応する傾斜角度を有している。骨組構造72の前記した各部材72A、72B、72C、72Dには、例えば断面H形の鋼材を用いることができる。
【0042】
上部耐火版ブロック12は、支持梁16を介して斜め鋼材72Cに連結されており、上部耐火版ブロック12の水平面に対する傾斜角度は、斜め鋼材72Cの水平面に対する傾斜角度と一致させるのが原則であるが、斜め鋼材72Cと支持梁16との間に薄い鋼板等のスペーサを介在させて、傾斜角度を微調整することも可能である。上部耐火版ブロック12の上方には干渉物はないので、上部耐火版ブロック12を交換する際には、支持梁16の斜め鋼材72Cへのボルト接合を解除した後、上部耐火版ブロック12を吊り上げて撤去することができる。
【0043】
下部耐火版ブロック14の下面に取り付けられた支持梁18は、斜め鋼材72Cの下部の支持部72C1および底面水平鋼材72Aとの当接部72A1で骨組構造72に支持されており、下部耐火版ブロック14は、下部耐火版ブロック14の水平面に対する傾斜角度が、上部耐火版ブロック12の水平面に対する傾斜角度よりも小さくなる(前記配置構成1-1、
図1参照)ように、かつ、上部耐火版ブロック12の上面12Aを仮想的に平行に延長した面12A1が、斜め下方に位置する下部耐火版ブロック14の上面14Aに交差する(前記配置構成1-2、
図3参照)ように、配置されている。下部耐火版ブロック14の上面14Aの上端14A1は上部耐火版ブロック12の下端部の下方に位置しており、鉛直方向上側から見て、上部耐火版ブロック12と下部耐火版ブロック14との間には、隙間は空いていない(前記配置構成1-3、
図2、3参照)。支持部72C1においては、下部耐火版ブロック14の下面に取り付けられた支持梁18の下面上端部が斜め鋼材72Cに、所定の治具を介してボルトで着脱可能に連結される。前記所定の治具にはボルトが挿通する孔を長孔として設けておき、固定位置を微修正できるようにしておくのがよい。当接部72A1においては、支持梁18の下面下端部が底面水平鋼材72Aの上面に当接しており、その近傍に、下部耐火版ブロック14が水平面に対する傾斜が小さくなる方向に滑るのを防ぐストッパー72A2が、底面水平鋼材72Aの上面に設けられている。
【0044】
図3および
図4に示すように、下部耐火版ブロック14は、直方体から、直上の上部耐火版ブロック12に近接する部位の上面14A側を切り欠いた略直方体の形状であり、下部耐火版ブロック14を側方から見た形状は、(下部耐火版ブロック14の上面14Aの幅x1)<(下部耐火版ブロック14の下面14Bの幅x2)である台形であり、直上の上部耐火版ブロック12に近接する面は傾斜面14Cとなっており、上部耐火版ブロック12と下部耐火版ブロック14との間には隙間zが設けられている。隙間zの大きさは、下部耐火版ブロック14の下面に取り付けられた支持梁18と骨組構造72の底面水平鋼材72Aとの当接部72A1を中心として、下部耐火版ブロック14を上向きに回転させても下向きに回転させても、直上に位置する上部耐火版ブロック12に下部耐火版ブロック14が接触しないように定める。
【0045】
このため、
図5に示すように、下部耐火版ブロック14は、骨組構造72の底面水平鋼材72Aとの当接部72A1を中心として上向きに回転させても下向きに回転させても、直上に位置する上部耐火版ブロック12に接触しないので、下部耐火版ブロック14を交換する際には、当接部72A1を中心として上向きに回転させて立て起こしてから吊り上げて撤去することも、当接部72A1を中心として下向きに回転させて水平に寝かせてから、水平方向に引き出して撤去することも可能である。なお、骨組構造72の斜め鋼材72Cの下部は、着脱可能なように構成されており、下部耐火版ブロック14を下向きに回転させて水平に寝かせる際には、骨組構造72から斜め鋼材72Cの下部を取り外す。
【0046】
上部耐火版ブロック12と支持梁16との一体化および下部耐火版ブロック14と支持梁18との一体化は、例えば、上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14をキャスタブル耐火物(詳細は後述する)で形成する場合、支持梁16、18の上面にずれ止めを設けておき、上部耐火版ブロック12を形成するとき及び下部耐火版ブロック14を形成するときにそれぞれ一体化させるようにしてもよい。また、上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14を形成した後、アンカーボルト等によって、上部耐火版ブロック12に支持梁16を取り付け、下部耐火版ブロック14に支持梁18を取り付けるようにしてもよい。
【0047】
上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14は、ロケット発射時の燃焼ガスを受け止めて、所定の方向に(煙道の方向に)燃焼ガスを流す役割を有する。したがって、上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14には、優れた耐火性能が要求されるとともに、ロケット発射時の燃焼ガスの圧力に耐える機械的な性能も要求される。
【0048】
上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14の材質は、必要な耐火性能および機械的性能等を発現できるものであれば特には限定されず、必要な耐火性能および機械的性能等に応じて、具体的には例えば、アルミナ、マグネシア、酸化クロム、ジルコニア等を上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14に用いることができる。上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14を作製する際の取り扱い性がよく、また、補修時の施工性がよく、さらにコスト的な面から、キャスタブル耐火物(耐火性の大きな軽量骨材にアルミナセメントを配合したもの)を上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14に好適に用いることができる。
【0049】
上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14は、それぞれ単一の材料で構成されている。ここで言う単一の材料とは、上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14のそれぞれの各部位が同一の組成の材料で構成されていることを意味し、複数種の耐火材料を混合してなる材料を除外する趣旨ではない。上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14は、単一の材料で構成されているため、損傷したときの補修も、当該単一の材料を用いて行うことができ、複数の材料や部材を用いる必要がなく、容易に行うことができる。例えば、上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14をキャスタブル耐火物で形成した場合、損傷個所(例えばロケット発射時の燃焼ガスにより削り取られた箇所)をキャスタブル耐火物で補修することができる。キャスタブル耐火物による補修では、損傷箇所(削り取られた箇所等)にキャスタブル耐火物を詰め込んで削り取られた箇所等にキャスタブル耐火物を充填することで補修を行うことができる。なお、安全性が確認できれば、最初に上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14をそれぞれ形成する際に使用した耐火材料とは異なる耐火材料で、それぞれ補修することも可能である。
【0050】
上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14の厚さは、ロケット発射時の燃焼ガスを安全に受け止める観点から、標準的には150~250mm程度である。また、取り扱い性の観点や作製上の容易さの観点から、上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14の面内方向の大きさは標準的には800~4000mm程度である。
【0051】
上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14をキャスタブル耐火物で形成する場合、上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14は、それぞれ所定の形状に型枠を組んで、その型枠の中にキャスタブル耐火物を打設して形成することができ、安価に作製することができる。また、上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14のそれぞれの下面に底板鋼板(図示せず)を取り付けてもよく、キャスタブル耐火物を型枠の中に打設して上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14を形成する場合、底板鋼板を型枠の一部として用いることもできる。その場合、底板鋼板の上面にずれ止め部材(図示せず)を取り付けておいてもよく、該ずれ止め部材を上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14の内部にそれぞれ埋め込んで設置することにより、上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14と底板鋼板との一体化の程度を向上させて、上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14の耐荷力を向上させることもできる。
【0052】
上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14をキャスタブル耐火物で形成した場合、前述したように、損傷箇所をキャスタブル耐火物で補修することができるが、損傷レベルが補修可能なレベルを超えている場合は、上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14のうちの片方のみ、または両方の交換を必要に応じて行う。
【0053】
前述したように、上部耐火版ブロック12の上方には干渉物はないので、上部耐火版ブロック12を交換する際には、支持梁16の斜め鋼材72Cへのボルト接合を解除した後、上部耐火版ブロック12を吊り上げて撤去することができる。上部耐火版ブロック12を吊り上げる際には、支持梁16のウェブ部に設けた貫通孔(図示せず)に吊り上げ装置のフックを係合させて吊り上げるので、上部耐火版ブロック12と支持梁16とは一体化させた状態で撤去する。
【0054】
一方、下部耐火版ブロック14の斜め上方には上部耐火版ブロック12が存在しているため、上部耐火版ブロック12は交換せずに下部耐火版ブロック14のみを交換する際には、上部耐火版ブロック12をかわして下部耐火版ブロック14を撤去することが必要である。そのため、下部耐火版ブロック14を交換する際には、支持部72C1でのボルト接合を解除した後、
図5に示すように、当接部72A1を中心として上向きに回転させて立て起こしてから吊り上げて撤去するか、当接部72A1を中心として下向きに回転させて水平に寝かせてから、水平方向に引き出して撤去する。前述したように、骨組構造72の斜め鋼材72Cの下部は、着脱可能なように構成されており、下部耐火版ブロック14を下向きに回転させて水平に寝かせる際には、骨組構造72から斜め鋼材72Cの下部を取り外す。下部耐火版ブロック14の下面には支持梁18が取り付けられているので、下部耐火版ブロック14を水平に寝かせても、下部耐火版ブロック14の下面と煙道の床面との間には支持梁18の高さの分だけ隙間ができる。そこで、水平方向に引き出して撤去する際には、この隙間を利用してフォークリフト等で撤去することができる。当接部72A1を中心として上向きに回転させて立て起こしてから吊り上げて撤去する場合には、支持梁18のウェブ部に設けた貫通孔(図示せず)に吊り上げ装置のフックを係合させて吊り上げる。下部耐火版ブロック14を立て起こしてから吊り上げて撤去する場合も、下部耐火版ブロック14を水平方向に引き出して撤去する場合も、下部耐火版ブロック14と支持梁18とは一体化させた状態で撤去する。
【0055】
下部耐火版ブロック14は、
図3および
図4に示すように、直方体から、直上の上部耐火版ブロック12に近接する部位の上面14A側を切り欠いた略直方体の形状であり、当接部72A1を中心として上向きに回転させても下向きに回転させても、直上に位置する上部耐火版ブロック12に接触しないので、交換の際には、現場の状況に応じて作業の行いやすい方の撤去方法を採用することができる。
【0056】
以上のように、本第1実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版10について、上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14のうちの片方のみを交換する場合または両方の交換をする場合のいずれの場合であっても、容易に行うことができる。
【0057】
また、本第1実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版10では、前記した配置構成1-1、1-2および1-3を採用することにより、平板状の耐火版(上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14)のみでも、ロケット発射時の燃焼ガスの向きを、煙道に沿う方向にスムーズに変えることができるようにしており、本第1実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版10は、耐火版の部位を、安価な平板状の耐火版(上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14)のみで構成している。また、上部耐火部材11および下部耐火部材13の骨組構造72への取り付けもボルト接合で行うことができ、特殊な取り付け態様は用いていない。
【0058】
このため、本第1実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版10は、新設時のコストも交換時のコストも抑えられている。
【0059】
(2)第2実施形態
図6は、本発明の第2実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版20の側面図であり、
図7は、上部耐火版ブロック12と下部耐火版ブロック24の隣接部位およびその周辺領域を拡大して示す拡大側面図であり、
図8は、本発明の第2実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版20の下部耐火版ブロック24を取り外す際の状況を模式的に示す側面図である。
【0060】
第1実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版10の下部耐火版ブロック14は、
図3および
図4を示して前述したように、直方体から、直上の上部耐火版ブロック12に近接する部位の上面14A側を切り欠いた略直方体の形状であり、第1実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版10では、下部耐火版ブロック14を、当接部72A1を中心として上向きに回転させても下向きに回転させても、直上に位置する上部耐火版ブロック12に接触しないように構成していたが、本第2実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版20では、下部耐火版ブロック24が、
図6~
図8に示すように、直方体形状であり、かつ、直上に位置する上部耐火版ブロック12の下端面12Bの中央部付近の当接部12B1に下部耐火版ブロック24の上面24Aの上端24A1が当接している。それ以外の構成については、本第2実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版20は、第1実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版10と同様であるので、対応する部材や部位等については原則として同一の符号を付して、説明は原則として省略する。また、下部耐火版ブロック24は、形状が直方体形状である点以外は、第1実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版10の下部耐火版ブロック14と同様であるので、下部耐火版ブロック24についての説明は適宜に省略し、説明を省略した点については、前記「(1)第1実施形態」における下部耐火版ブロック14についての説明で代えるものとする。
【0061】
本発明の第2実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版20は、上部耐火部材11と、下部耐火部材23と、上部耐火部材11および下部耐火部材23を所定の傾斜角度で固定して下方から支持する鋼製の骨組構造72とを有してなる。
【0062】
下部耐火部材23は、下部耐火版ブロック24と支持梁18とを有して構成されており、下部耐火版ブロック24の下面には支持梁18が取り付けられていて、下部耐火版ブロック24と支持梁18とは一体化されている。
【0063】
下部耐火版ブロック24は、上部耐火版ブロック12と協働して、ロケット発射時の燃焼ガスを受け止めて、所定の方向に(煙道の方向に)燃焼ガスを流す役割を有する。
【0064】
上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック24は、
図6に示すように、下方に位置する下部耐火版ブロック24が、上方に位置する上部耐火版ブロック12よりも水平面に対する傾斜角度が小さくなるように、骨組構造72に取り付けられて配置されている(以下、配置構成2-1と記載することがある。)。
【0065】
また、
図7に示すように、上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック24は、上部耐火版ブロック12の上面12Aを仮想的に平行に延長した面12A1が、斜め下方に位置する下部耐火版ブロック24の上面24Aに交差するように、骨組構造72に取り付けられて配置されている(以下、配置構成2-2と記載することがある。)。
【0066】
さらに、
図7に示すように、下部耐火版ブロック24の上面24Aの上端24A1は上部耐火版ブロック12の下端部の下方に位置しており、鉛直方向上側から見て、上部耐火版ブロック12と下部耐火版ブロック24との間には、隙間は空いていない(以下、配置構成2-3と記載することがある。)。
【0067】
このため、ロケット発射時の燃焼ガスは、上部耐火版ブロック12の上面12Aおよび下部耐火版ブロック24の上面24Aに沿ってスムーズに流下し、流下方向を煙道方向に変えて、煙道内に進行する。本第2実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版20では、前記した配置構成2-1、2-2および2-3を採用することにより、平板状の耐火版(上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック24)のみでも、ロケット発射時の燃焼ガスの向きを、煙道に沿う方向にスムーズに変えることができるようにしている。
【0068】
支持梁18は、下部耐火版ブロック24を骨組構造72に取り付けて、下部耐火版ブロック24の位置を固定させる役割を有する。支持梁18には、例えば断面H形の鋼材を用いることができる。骨組構造72への支持梁18の取り付けはボルト等を用いて着脱可能に行うことができる。
【0069】
下部耐火版ブロック24の下面に取り付けられた支持梁18は、斜め鋼材72Cの下部の支持部72C2および底面水平鋼材72Aとの当接部72A3で骨組構造72に支持されており、下部耐火版ブロック24は、下部耐火版ブロック24の水平面に対する傾斜角度が、上部耐火版ブロック12の水平面に対する傾斜角度よりも小さくなる(前記配置構成2-1、
図6参照)ように、かつ、上部耐火版ブロック12の上面12Aを仮想的に平行に延長した面12A1が、斜め下方に位置する下部耐火版ブロック24の上面24Aに交差する(前記配置構成2-2、
図7参照)ように、配置されている。下部耐火版ブロック24の上面24Aの上端24A1は上部耐火版ブロック12の下端部の下方に位置しており、鉛直方向上側から見て、上部耐火版ブロック12と下部耐火版ブロック24との間には、隙間は空いていない(前記配置構成2-3、
図7参照)。支持部72C2においては、下部耐火版ブロック24の下面に取り付けられた支持梁18の下面上端部が斜め鋼材72Cに、所定の治具を介してボルトで着脱可能に連結される。前記所定の治具にはボルトが挿通する孔を長孔として設けておき、固定位置を微修正できるようにしておくのがよい。当接部72A3においては、支持梁18の下面下端部が底面水平鋼材72Aの上面に当接しており、その近傍に、下部耐火版ブロック24が水平面に対する傾斜が小さくなる方向に滑るのを防ぐストッパー72A4が、底面水平鋼材72Aの上面に設けられている。また、下部耐火版ブロック24の上面24Aの上端24A1は、直上に位置する上部耐火版ブロック12の下端面12Bの中央部付近の当接部12B1に当接している。
【0070】
下部耐火版ブロック24を交換する際には、支持部72C2でのボルト接合を解除した後、
図8に示すように、当接部12B1を中心として上向きに回転させて水平に寝かせてから、水平方向に引き出して撤去する。水平方向に引き出して撤去する際には、例えばフォークリフトを用いて撤去することができる。下部耐火版ブロック24と支持梁18とは一体化させた状態で撤去する。なお、
図8には示していないが、上部耐火版ブロック12の搭載される角度や寸法によっては、下部耐火版ブロック24の下面の下端を中心に下向きに回転(当接部72A3を中心に下向きに回転)させ、水平に寝かせてから水平方向に引き出して撤去することも可能である。
【0071】
本第2実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版20では、前記した配置構成2-1、2-2および2-3を採用することにより、平板状の耐火版(上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック24)のみでも、ロケット発射時の燃焼ガスの向きを、煙道に沿う方向にスムーズに変えることができるようにしており、本第2実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版20は、耐火版の部位を、安価な平板状の耐火版(上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック24)のみで構成している。また、上部耐火部材11および下部耐火部材23の骨組構造72への取り付けもボルト接合で行うことができ、特殊な取り付け態様は用いていない。
【0072】
このため、本第2実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版20は、新設時のコストも交換時のコストも抑えられている。
【0073】
(3)第3実施形態
図9は、本発明の第3実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版30の側面図であり、
図10は、上部耐火版ブロック12と下部耐火版ブロック34の隣接部位およびその周辺領域を拡大して示す拡大側面図であり、
図11は、本発明の第3実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版30の下部耐火版ブロック34を取り外す際の状況を模式的に示す側面図である。
【0074】
第2実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版20の下部耐火版ブロック24は、
図7を示して前述したように、直上に位置する上部耐火版ブロック12の下端面12Bの中央部付近の当接部12B1に下部耐火版ブロック24の上面24Aの上端24A1が当接するように構成していたが、本第3実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版30では、下部耐火版ブロック34の上面34Aの上端34A1が、直上に位置する上部耐火版ブロック12の下端面12Bの下端12B2(当接部12B3)に当接するように構成している。それ以外の構成については、本第3実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版30は、第2実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版20と同様であるので、対応する部材や部位等については原則として同一の符号を付して、説明は原則として省略する。また、下部耐火版ブロック34は、第2実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版20の下部耐火版ブロック24と同様であるので、下部耐火版ブロック34についての説明は適宜に省略し、説明を省略した点については、前記「(2)第2実施形態」における下部耐火版ブロック24についての説明で代えるものとする。
【0075】
本発明の第3実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版30は、上部耐火部材11と、下部耐火部材33と、上部耐火部材11および下部耐火部材33を所定の傾斜角度で固定して下方から支持する鋼製の骨組構造72とを有してなる。
【0076】
下部耐火部材33は、下部耐火版ブロック34と支持梁18とを有して構成されており、下部耐火版ブロック34の下面には支持梁18が取り付けられていて、下部耐火版ブロック34と支持梁18とは一体化されている。
【0077】
下部耐火版ブロック34は、上部耐火版ブロック12と協働して、ロケット発射時の燃焼ガスを受け止めて、所定の方向に(煙道の方向に)燃焼ガスを流す役割を有する。
【0078】
上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック34は、
図9に示すように、下方に位置する下部耐火版ブロック34が、上方に位置する上部耐火版ブロック12よりも水平面に対する傾斜角度が小さくなるように、骨組構造72に取り付けられて配置されている(以下、配置構成3-1と記載することがある。)。
【0079】
また、
図10に示すように、上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック34は、上部耐火版ブロック12の上面12Aを仮想的に平行に延長した面12A1が、斜め下方に位置する下部耐火版ブロック34の上面34Aに交差するように、骨組構造72に取り付けられて配置されている(以下、配置構成3-2と記載することがある。)。
【0080】
さらに、
図10に示すように、下部耐火版ブロック34の上面34Aの上端34A1は上部耐火版ブロック12の下端部の下方に位置しており、鉛直方向上側から見て、上部耐火版ブロック12と下部耐火版ブロック34との間には、隙間は空いていない(以下、配置構成3-3と記載することがある。)。
【0081】
このため、ロケット発射時の燃焼ガスは、上部耐火版ブロック12の上面12Aおよび下部耐火版ブロック34の上面34Aに沿ってスムーズに流下し、流下方向を煙道方向に変えて、煙道内に進行する。本第3実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版30では、前記した配置構成3-1、3-2および3-3を採用することにより、平板状の耐火版(上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック34)のみでも、ロケット発射時の燃焼ガスの向きを、煙道に沿う方向にスムーズに変えることができるようにしている。
【0082】
支持梁18は、下部耐火版ブロック34を骨組構造72に取り付けて、下部耐火版ブロック34の位置を固定させる役割を有する。支持梁18には、例えば断面H形の鋼材を用いることができる。骨組構造72への支持梁18の取り付けはボルト等を用いて着脱可能に行うことができる。
【0083】
下部耐火版ブロック34の下面に取り付けられた支持梁18は、斜め鋼材72Cの下部の支持部72C3および底面水平鋼材72Aとの当接部72A5で骨組構造72に支持されており、下部耐火版ブロック34は、下部耐火版ブロック34の水平面に対する傾斜角度が、上部耐火版ブロック12の水平面に対する傾斜角度よりも小さくなる(前記配置構成3-1、
図9参照)ように、かつ、上部耐火版ブロック12の上面12Aを仮想的に平行に延長した面12A1が、斜め下方に位置する下部耐火版ブロック34の上面34Aに交差する(前記配置構成3-2、
図10参照)ように、配置されている。下部耐火版ブロック34の上面34Aの上端34A1は上部耐火版ブロック12の下端部の下方に位置しており、鉛直方向上側から見て、上部耐火版ブロック12と下部耐火版ブロック34との間には、隙間は空いていない(前記配置構成3-3、
図10参照)。支持部72C3においては、下部耐火版ブロック34の下面に取り付けられた支持梁18の下面上端部が斜め鋼材72Cに、所定の治具を介してボルトで着脱可能に連結される。前記所定の治具にはボルトが挿通する孔を長孔として設けておき、固定位置を微修正できるようにしておくのがよい。当接部72A5においては、支持梁18の下面下端部が底面水平鋼材72Aの上面に当接しており、その近傍に、下部耐火版ブロック34が水平面に対する傾斜が小さくなる方向に滑るのを防ぐストッパー72A6が、底面水平鋼材72Aの上面に設けられている。また、下部耐火版ブロック34の上面34Aの上端34A1は、直上に位置する上部耐火版ブロック12の下端面12Bの下端12B2(当接部12B3)に当接している。
【0084】
本第3実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版30では、下部耐火版ブロック34の上面34Aの上端34A1は、直上に位置する上部耐火版ブロック12の下端面12Bの下端12B2(当接部12B3)に当接しているので、下部耐火版ブロック34を、当接部72A5を中心として下向きに回転させても、下部耐火版ブロック34は上部耐火版ブロック12と干渉しない。そのため、本第3実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版30の下部耐火版ブロック34を交換する際には、支持部72C3でのボルト接合を解除した後、
図11に示すように、当接部72A5を中心として下部耐火版ブロック34を下向きに回転させて水平に寝かせてから、水平方向に引き出して撤去することができる。下部耐火版ブロック34と支持梁18とは一体化させた状態で撤去する。なお、当接部72A5を中心として下部耐火版ブロック34を下向きに回転させると、上部耐火版ブロック12の下面に取り付けられた支持梁16と干渉するおそれがある場合は、干渉のおそれがある支持梁16の端部を予め斜めにカットしておき、干渉しないようにする。前述したように、骨組構造72の斜め鋼材72Cの下部は、着脱可能なように構成されており、下部耐火版ブロック34を下向きに回転させて水平に寝かせる際には、骨組構造72から取り外す。
【0085】
本第3実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版30では、前記した配置構成3-1、3-2および3-3を採用することにより、平板状の耐火版(上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック34)のみでも、ロケット発射時の燃焼ガスの向きを、煙道に沿う方向にスムーズに変えることができるようにしており、本第3実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版30は、耐火版の部位を、安価な平板状の耐火版(上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック34)のみで構成している。また、上部耐火部材11および下部耐火部材33の骨組構造72への取り付けもボルト接合で行うことができ、特殊な取り付け態様は用いていない。
【0086】
このため、本第3実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版30は、新設時のコストも交換時のコストも抑えられている。
【0087】
(4)第4実施形態
図12は、本発明の第4実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版40の側面図であり、
図13は、上部耐火版ブロック12と下部耐火版ブロック44の隣接部位およびその周辺領域を拡大して示す拡大側面図であり、
図14は、本発明の第4実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版40の下部耐火版ブロック44を取り外す際の状況を模式的に示す側面図である。
【0088】
第2実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版20の下部耐火版ブロック24は、
図7を示して前述したように、直上に位置する上部耐火版ブロック12の下端面12Bの中央部付近の当接部12B1に下部耐火版ブロック24の上面24Aの上端24A1が当接するように構成していたが、本第4実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版40では、
図13に示すように、下部耐火版ブロック44の上面44A上の当接部44A1に、直上に位置する上部耐火版ブロック12の下端面12Bの下端12B2が当接するように構成している。また、その構成を実現するために、骨組構造72の斜め鋼材72Cの下部をカットして斜め鋼材80Cにするとともに、下部耐火版ブロック44を支持する下部補助構造80Eを新たに設け、本第4実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版40を所定の傾斜角度で支持する骨組構造80を構成した。また、斜め鋼材80Cの下端面に合わせて、支持梁16の下端を斜めにカットして、上部耐火版ブロック12の下面に取り付けられる支持梁16Aを構成した。それら以外の構成については、本第4実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版40は、第2実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版20と同様であるので、対応する部材や部位等については原則として同一の符号を付して、説明は原則として省略する。また、下部耐火版ブロック44は、第2実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版20の下部耐火版ブロック24と同様であるので、下部耐火版ブロック44についての説明は適宜に省略し、説明を省略した点については、前記「(2)第2実施形態」における下部耐火版ブロック24についての説明で代えるものとする。
【0089】
本発明の第4実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版40は、上部耐火部材41と、下部耐火部材43と、上部耐火部材41および下部耐火部材43を所定の傾斜角度で固定して下方から支持する鋼製の骨組構造80とを有してなる。
【0090】
上部耐火部材41は、上部耐火版ブロック12と支持梁16Aとを有して構成されており、上部耐火版ブロック12の下面には支持梁16Aが取り付けられていて、上部耐火版ブロック12と支持梁16Aとは一体化されている。前述したように、支持梁16Aは、骨組構造80の斜め鋼材80Cの下端面に合わせて、支持梁16の下端を斜めにカットする加工を施したものである。
【0091】
下部耐火部材43は、下部耐火版ブロック44と支持梁18とを有して構成されており、下部耐火版ブロック44の下面には支持梁18が取り付けられていて、下部耐火版ブロック44と支持梁18とは一体化されている。
【0092】
骨組構造80は、
図12に示すように、底面水平鋼材80Aと、鉛直鋼材80Bと、斜め鋼材80Cと、中間水平鋼材80Dと、下部補助構造80Eと、を有してなる鋼製構造であり、上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック44を所定の傾斜角度で支持する役割を有する。下部補助構造80Eは、下部耐火版ブロック44に求められる傾斜角度に対応する傾斜角度を有する斜め鋼材80E1を有している。骨組構造80の前記した各部材80A、80B、80C、80D、80Eには、例えば断面H形の鋼材を用いることができる。
【0093】
下部耐火版ブロック44は、上部耐火版ブロック12と協働して、ロケット発射時の燃焼ガスを受け止めて、所定の方向に(煙道の方向に)燃焼ガスを流す役割を有する。
【0094】
上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック44は、
図12に示すように、下方に位置する下部耐火版ブロック44が、上方に位置する上部耐火版ブロック12よりも水平面に対する傾斜角度が小さくなるように、骨組構造80に取り付けられて配置されている(以下、配置構成4-1と記載することがある。)。
【0095】
また、
図13に示すように、上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック44は、上部耐火版ブロック12の上面12Aを仮想的に平行に延長した面12A1が、斜め下方に位置する下部耐火版ブロック44の上面44Aに交差するように、骨組構造80に取り付けられて配置されている(以下、配置構成4-2と記載することがある。)。
【0096】
さらに、
図13に示すように、下部耐火版ブロック44の上面44Aの上端44A2は上部耐火版ブロック12の下方に位置しており、鉛直方向上側から見て、上部耐火版ブロック12と下部耐火版ブロック44との間には、隙間は空いていない(以下、配置構成4-3と記載することがある。)。
【0097】
このため、ロケット発射時の燃焼ガスは、上部耐火版ブロック12の上面12Aおよび下部耐火版ブロック44の上面44Aに沿ってスムーズに流下し、流下方向を煙道方向に変えて、煙道内に進行する。本第4実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版40では、前記した配置構成4-1、4-2および4-3を採用することにより、平板状の耐火版(上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック44)のみでも、ロケット発射時の燃焼ガスの向きを、煙道に沿う方向にスムーズに変えることができるようにしている。
【0098】
支持梁18は、下部耐火版ブロック44を骨組構造80の下部補助構造80Eの斜め鋼材80E1に取り付けて、下部耐火版ブロック44の位置を固定させる役割を有する。支持梁18には、例えば断面H形の鋼材を用いることができる。斜め鋼材80E1への支持梁18の取り付けはボルト等を用いて着脱可能に行うことができる。
【0099】
下部耐火版ブロック44の下面に取り付けられた支持梁18は、下部補助構造80Eの斜め鋼材80E1に取り付けられて支持されており、下部耐火版ブロック44は、下部耐火版ブロック44の水平面に対する傾斜角度が、上部耐火版ブロック12の水平面に対する傾斜角度よりも小さくなる(前記配置構成4-1、
図12参照)ように、かつ、上部耐火版ブロック12の上面12Aを仮想的に平行に延長した面12A1が、斜め下方に位置する下部耐火版ブロック44の上面44Aに交差する(前記配置構成4-2、
図13参照)ように、配置されている。また、下部耐火版ブロック44の上面44A上の当接部44A1に、直上に位置する上部耐火版ブロック12の下端面12Bの下端12B2が当接している。下部耐火版ブロック44の上面44Aの上端44A2は上部耐火版ブロック12の下方に位置しており、鉛直方向上側から見て、上部耐火版ブロック12と下部耐火版ブロック44との間には、隙間は空いていない(前記配置構成4-3、
図13参照)。
【0100】
本第4実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版40では、下部耐火版ブロック44の上面44A上の当接部44A1に、直上に位置する上部耐火版ブロック12の下端面12Bの下端12B2が当接しているので、
図14に示すように、下部耐火版ブロック44は傾斜角度を維持したまま、斜め上方に引き出すことができる。そのため、本第4実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版40の下部耐火版ブロック44を交換する際には、斜め鋼材80E1へのボルト接合を解除した後、
図14に示すように、下部耐火版ブロック44は傾斜角度を維持したまま、斜め上方に引き出すようにする。下部耐火版ブロック44と支持梁18とは一体化させた状態で撤去する。
【0101】
本第4実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版40では、前記した配置構成4-1、4-2および4-3を採用することにより、平板状の耐火版(上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック44)のみでも、ロケット発射時の燃焼ガスの向きを、煙道に沿う方向にスムーズに変えることができるようにしており、本第4実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版40は、耐火版の部位を、安価な平板状の耐火版(上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック44)のみで構成している。また、上部耐火部材41および下部耐火部材43の骨組構造80への取り付けもボルト接合で行うことができ、特殊な取り付け態様は用いていない。
【0102】
このため、本第4実施形態に係るロケット発射用偏向耐火版40は、新設時のコストも交換時のコストも抑えられている。
【0103】
(5)補足
以上説明した実施形態では、上部耐火部材11は支持梁16を備え、上部耐火部材41は支持梁16Aを備え、下部耐火部材13、23、33、43は支持梁18を備えるものとしたが、支持梁16、16A、18を備えることは必須ではなく、上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14、24、34、44を、支持梁16、16A、18を用いずに他の手段で骨組構造72、80に連結するようにしてもよい。また、上部耐火版ブロック12および下部耐火版ブロック14、24、34、44を、骨組構造72、80に直接連結するようにしてもよく、この場合、上部耐火版ブロック12のみで上部耐火部材11、41を構成することとなり、下部耐火版ブロック14、24、34、44のみで下部耐火部材13、23、33、43を構成することとなる。
【符号の説明】
【0104】
10、20、30、40…ロケット発射用偏向耐火版
11、41…上部耐火部材
12…上部耐火版ブロック
12A…上部耐火版ブロック12の上面
12A1…上面12Aを仮想的に平行に延長した面
12B…上部耐火版ブロック12の下端面
12B1…下端面12Bの中央部付近の当接部
12B2…下端面12Bの下端
12B3…下端面12Bの下端の当接部
13、23、33、43…下部耐火部材
14、24、34、44…下部耐火版ブロック
14A…下部耐火版ブロック14の上面
14A1…上面14Aの上端
14B…下部耐火版ブロック14の下面
14C…上部耐火版ブロック12に近接する傾斜面
16、16A、18…支持梁
24A…下部耐火版ブロック24の上面
24A1…上面24Aの上端
34A…下部耐火版ブロック34の上面
34A1…上面34Aの上端
44A…下部耐火版ブロック44の上面
44A1…上面44A上の当接部
44A2…上面44Aの上端
72、80…骨組構造
72A、80A…底面水平鋼材
72A1、72A3、72A5…当接部
72A2、72A4、72A6…ストッパー
72B、80B…鉛直鋼材
72C、80C…斜め鋼材
72C1、72C2、72C3…支持部
72D、80D…中間水平鋼材
80E…下部補助構造
80E1…下部補助構造80Eの斜め鋼材
100…ロケット発射施設
102…ロケット
104…発射台
106…煙道
108、110…火炎偏向板
112…上部偏向板
112a、114a…基部
112b、114b…断熱材
112c、114c…段部
114…下部偏向板
116…軸
118…固定部
120…煙道
z…隙間
【手続補正書】
【提出日】2023-02-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の耐火部材と、前記複数の耐火部材を所定角度で支持する支持部材とを有するロケット発射用偏向耐火板であって、
前記複数の耐火部材は、上面と下面と側面とを有する所定厚みを持った第1耐火部材と、上面と下面と側面とを有する所定厚みを持った第2耐火部材とを含み、前記支持部材により前記第1耐火部材の上面及び前記第2耐火部材の上面がそれぞれ、水平面に対して所定角度で傾斜した形で、かつ互いに隣接するように下方から支持されており、
前記第1耐火部材は、前記第2耐火部材に対して相対的に上側に配置されるとともに、前記第2耐火部材とは水平面に対する傾斜角度が異なるように前記支持部材上に配置され、かつ、前記第1耐火部材の上面を仮想的に平行に延長した面が、前記第2耐火部材の上面と交差するように配置されており、かつ、鉛直方向上側から見て、前記第1耐火部材と前記第2耐火部材との間には隙間が空いておらず、
前記第1耐火部材の側面のうち前記第2耐火部材と対向する第1側面部と、前記第2耐火部材の側面のうち前記第1側面部に対向する第2側面部とは、所定の隙間を設けて配置されていることを特徴とするロケット発射用偏向耐火板。
【請求項2】
前記第2耐火部材は略直方体の形状であり、直方体から、隣接する前記第1耐火部材に近接する部位の上面側が一部切り欠かれた形状であることを特徴とする請求項1に記載のロケット発射用偏向耐火板。
【請求項3】
複数の耐火部材と、前記複数の耐火部材を所定角度で支持する支持部材とを有するロケット発射用偏向耐火板であって、
前記複数の耐火部材は、上面と下面と側面とを有する所定厚みを持った第1耐火部材と、上面と下面と側面とを有する所定厚みを持った第2耐火部材とを含み、前記支持部材により前記第1耐火部材の上面及び前記第2耐火部材の上面がそれぞれ、水平面に対して所定角度で傾斜した形で、かつ互いに隣接するように下方から支持されており、
前記第1耐火部材は、前記第2耐火部材に対して相対的に上側に配置されるとともに、前記第2耐火部材とは水平面に対する傾斜角度が異なるように前記支持部材上に配置され、かつ、前記第1耐火部材の上面を仮想的に平行に延長した面が、前記第2耐火部材の上面と交差するように配置されており、かつ、鉛直方向上側から見て、前記第1耐火部材と前記第2耐火部材との間には隙間が空いておらず、
前記第2耐火部材は、上面の上端が前記第1耐火部材の下端面に当接していることを特徴とするロケット発射用偏向耐火板。
【請求項4】
前記第2耐火部材は、上面の上端が前記第1耐火部材の前記下端面の下端に当接していることを特徴とする請求項3に記載のロケット発射用偏向耐火板。
【請求項5】
複数の耐火部材と、前記複数の耐火部材を所定角度で支持する支持部材とを有するロケット発射用偏向耐火板であって、
前記複数の耐火部材は、上面と下面と側面とを有する所定厚みを持った第1耐火部材と、上面と下面と側面とを有する所定厚みを持った第2耐火部材とを含み、前記支持部材により前記第1耐火部材の上面及び前記第2耐火部材の上面がそれぞれ、水平面に対して所定角度で傾斜した形で、かつ互いに隣接するように下方から支持されており、
前記第1耐火部材は、前記第2耐火部材に対して相対的に上側に配置されるとともに、前記第2耐火部材とは水平面に対する傾斜角度が異なるように前記支持部材上に配置され、かつ、前記第1耐火部材の上面を仮想的に平行に延長した面が、前記第2耐火部材の上面と交差するように配置されており、かつ、鉛直方向上側から見て、前記第1耐火部材と前記第2耐火部材との間には隙間が空いておらず、
前記第1耐火部材の下面の下端は、前記第2耐火部材の上面に当接していることを特徴とするロケット発射用偏向耐火板。
【請求項6】
前記複数の耐火部材は、前記第1耐火部材と前記第2耐火部材のみであることを特徴とする請求項1に記載のロケット発射用偏向耐火板。
【請求項7】
前記複数の耐火部材のそれぞれは、耐火板ブロックと、前記支持部材上で前記耐火板ブロックの位置を固定する支持梁とを含み、前記支持梁は、前記耐火板ブロックの下面に連結されていることを特徴とする請求項1~3、5、6のいずれかに記載のロケット発射用偏向耐火板。
【請求項8】
前記複数の耐火部材は、前記支持部材に対して着脱可能に所定の傾斜角度で固定されていることを特徴とする請求項7記載のロケット発射用偏向耐火板。
【請求項9】
請求項1または2に記載のロケット発射用偏向耐火板の交換方法であって、
前記第2耐火部材を、最も低い位置にある部位を回転中心として立て起こす立て起こし工程と、
前記立て起こし工程で立て起こした前記第2耐火部材を吊り上げて撤去する撤去工程と、
を有することを特徴とするロケット発射用偏向耐火板の交換方法。
【請求項10】
請求項1、2、4のいずれかに記載のロケット発射用偏向耐火板の交換方法であって、
前記第2耐火部材を、最も低い位置にある部位を回転中心として、水平となるように回転させる回転工程と、
前記回転工程で水平にした前記第2耐火部材を撤去する撤去工程と、
を有することを特徴とするロケット発射用偏向耐火板の交換方法。
【請求項11】
請求項3に記載のロケット発射用偏向耐火板の交換方法であって、
前記第2耐火部材を、最も高い位置にある部位を回転中心として、水平となるように回転させる回転工程と、
前記回転工程で水平にした前記第2耐火部材を撤去する撤去工程と、
を有することを特徴とするロケット発射用偏向耐火板の交換方法。
【請求項12】
請求項5に記載のロケット発射用偏向耐火板の交換方法であって、
前記第2耐火部材を、傾斜角度を維持させたまま、斜め上方に引き上げて撤去することを特徴とするロケット発射用偏向耐火板の交換方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロケット発射用偏向耐火板およびロケット発射用偏向耐火板の交換方法に関する。なお、本願において、ロケット発射用偏向耐火板の交換には、ロケット発射用偏向耐火板の全体を交換する場合およびロケット発射用偏向耐火板の一部を交換する場合のどちらの場合も含まれる。
【背景技術】
【0002】
ロケット発射時の燃焼ガスは極めて高い高温のガス流体であり、ロケット発射施設100においては、
図15(特許文献1の
図6)に示されるように、発射されるロケット102の発射台104の下方に、ロケット102発射時の燃焼ガスを逃がすための煙道106が設けられている。ロケット102発射時の燃焼ガスを煙道106にスムーズに逃がすために、発射されるロケット102の真下の煙道106内の位置には、ロケット102発射時の燃焼ガスの向きを、煙道106に沿う方向に変える火炎偏向板108が設けられている。この火炎偏向板108は、
図15に示されるように、水平面に対して傾斜させて設けられており、かつ、その下部は、傾斜面の角度を徐々に緩やかにして最終的に水平面に近い角度になるように円弧状に湾曲しており、ロケット102発射時の燃焼ガスの向きを、煙道106に沿う方向にスムーズに変えるようにしている。
【0003】
一方、火炎偏向板108は、発射されるロケット102の真下に配置されていて、ロケット102発射時の燃焼ガスを直接的に浴びる極めて過酷な環境に置かれており、ある程度の使用後に、破損等に対するメンテナンスや取り替えが必要となるが、火炎偏向板108の高さは5m程度あり、メンテナンス作業の際には足場が必要となるなど手間がかかる。
【0004】
この点に対応できると考えられる技術として、
図16および
図17(特許文献1の
図1および
図2)に示されるような特許文献1に記載の技術がある。この技術では、火炎偏向板110を上部偏向板112と下部偏向板114とに分割して構成しており、上部偏向板112は、煙道開口部近傍に設けられた軸116を中心に煙道開口部を塞ぐ位置(
図16参照)と、下部偏向板114と係合する位置(
図17参照)との間を揺動可能に設けられており、下部偏向板114は固定部118で煙道120に固定されている。上部偏向板112は、基部112aと断熱材112bとからなり、軸116と反対側の端部には基部112a側を切り欠いた段部112cが設けられている。下部偏向板114は基部114aと断熱材114bとからなり、全体が斜め上方に傾斜して固定されており、上端部には断熱材114b側を切り欠いた段部114cが設けられている。基部112a、114aの材質については特許文献1に記載されていないので、特許文献1の[従来の技術]の欄に記載された従来技術と同様にコンクリートが用いられているものと考えられる。ロケットの打上げ時には、上部偏向板112が
図16の矢印方向に揺動し前記段部112c、114cで上部偏向板112と下部偏向板114とが係合される。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の火炎偏向板110において、上部偏向板112を下部偏向板114に係合させても、上部偏向板112と下部偏向板114との間の隙間をなくすことは困難である。特に、特許文献1に記載の火炎偏向板110では、上部偏向板112が揺動可能に構成されており、上部偏向板112を下部偏向板114に係合させても、上部偏向板112と下部偏向板114との間に一定以上の隙間が必然的に残ると考えられる。
【0006】
これに対して、特許文献1の段落0008には、上部偏向板112と下部偏向板114
との係合部には段部112c、114cが設けられているため、上部偏向板112と下部偏向板114との合わせ目からロケットの燃焼排ガスが火炎偏向板の裏側まで抜けるのを防止している旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、
図16および
図17に示されるように、係合部において段部112c、114cで生じる隙間は、断熱材112b、114bの間を厚さ方向にまっすぐ貫いて段部112c、114cの基部112a、114aに到達しており、段部112c、114cを形成する基部112a、114a(コンクリートと考えられる)は、ロケット102発射時の燃焼ガスの影響を直接的に受けて、劣化および損傷が進行すると考えられる。
【0009】
特許文献1の段落0006の[作用]の欄および特許文献1の段落0012の[発明の効果]の欄に記載されているように、特許文献1においては、メンテナンス作業として断熱材の取付を主に念頭に置いていると考えられるが、段部112c、114cを形成する基部(コンクリートと考えられる)の劣化および損傷が進行した場合、断熱材の交換等では対応できず、火炎偏向板110の全体を交換することが必要となると考えられる。特許文献1に記載の火炎偏向板110は、段部112c、114cを設けることが必要であり、かつ、上部偏向板112は、煙道開口部近傍に設けられた軸116を中心に煙道開口部を塞ぐ位置と、下部偏向板114と係合する位置との間を揺動できるように、製造および設置する必要があり、火炎偏向板110の全体を交換すると、コストと手間が大きくかかると考えられる。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、上下に分割して構成されているが、燃焼ガスの流下による悪影響が抑えられており、かつ、低コストかつ容易に耐火板の交換を行うことができるロケット発射用偏向耐火板およびロケット発射用偏向耐火板の交換方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は前記課題を解決する発明であり、以下のようなロケット発射用偏向耐火板およびロケット発射用偏向耐火板の交換方法である。
【0012】
即ち、本発明に係るロケット発射用偏向耐火板の第1の態様は、複数の耐火部材と、前記複数の耐火部材を所定角度で支持する支持部材とを有するロケット発射用偏向耐火板であって、前記複数の耐火部材は、上面と下面と側面とを有する所定厚みを持った第1耐火部材と、上面と下面と側面とを有する所定厚みを持った第2耐火部材とを含み、前記支持部材により前記第1耐火部材の上面及び前記第2耐火部材の上面がそれぞれ、水平面に対して所定角度で傾斜した形で、かつ互いに隣接するように下方から支持されており、前記第1耐火部材は、前記第2耐火部材に対して相対的に上側に配置されるとともに、前記第2耐火部材とは水平面に対する傾斜角度が異なるように前記支持部材上に配置され、かつ、前記第1耐火部材の上面を仮想的に平行に延長した面が、前記第2耐火部材の上面と交差するように配置されており、かつ、鉛直方向上側から見て、前記第1耐火部材と前記第2耐火部材との間には隙間が空いていないことを特徴とするロケット発射用偏向耐火板である。
【0013】
本願において、本発明および本発明の実施形態に係るロケット発射用偏向耐火板および
その構成部材に関し、上方や下方等の上下を観念する文言の解釈については、本発明および本発明の実施形態に係るロケット発射用偏向耐火板を実際の使用状態に配置した状態を基準として解釈するものとする。これらのことは、本願の他の箇所の記載においても同様とする。
【0014】
また、「鉛直方向上側から見て、前記第1耐火部材と前記第2耐火部材との間には隙間が空いていない」状態には、実際には前記第1耐火部材と前記第2耐火部材との間に隙間が空いていても、鉛直方向上側から見たときにその隙間を視認できない状態も含まれる。本願の他の箇所の同様の記載も同様に解釈するものとする。
【0015】
本発明に係るロケット発射用偏向耐火板の第2の態様は、前記第1の態様のロケット発射用偏向耐火板において、前記第1耐火部材の側面のうち前記第2耐火部材と対向する第1側面部と、前記第2耐火部材の側面のうち前記第1側面部に対向する第2側面部とは、所定の隙間を設けて配置されている、ように構成されている態様である。
【0016】
本発明に係るロケット発射用偏向耐火板の第3の態様は、前記第2の態様のロケット発射用偏向耐火板において、前記第2耐火部材は略直方体の形状であり、直方体から、隣接する前記第1耐火部材に近接する部位の上面側が一部切り欠かれた形状である、ように構成されている態様である。
【0017】
本発明に係るロケット発射用偏向耐火板の第4の態様は、前記第1の態様のロケット発射用偏向耐火板において、前記第2耐火部材は、上面の上端が前記第1耐火部材の下端面に当接している、ように構成されている態様である。
【0018】
本発明に係るロケット発射用偏向耐火板の第5の態様は、前記第1の態様のロケット発射用偏向耐火板において、前記第2耐火部材は、上面の上端が前記第1耐火部材の下端面の下端に当接している、ように構成されている態様である。
【0019】
本発明に係るロケット発射用偏向耐火板の第6の態様は、前記第1の態様のロケット発射用偏向耐火板において、前記第1耐火部材の下面の下端は、前記第2耐火部材の上面に当接している、ように構成されている態様である。
【0020】
本発明に係るロケット発射用偏向耐火板の第7の態様は、前記第1~前記第6の態様のいずれかの態様のロケット発射用偏向耐火板において、前記複数の耐火部材は、前記第1耐火部材と前記第2耐火部材のみである、ように構成されている態様である。
【0021】
本発明に係るロケット発射用偏向耐火板の第8の態様は、前記第1~前記第7の態様のいずれかの態様のロケット発射用偏向耐火板において、前記複数の耐火部材のそれぞれは、耐火板ブロックと、前記支持部材上で前記耐火板ブロックの位置を固定する支持梁とを含み、前記支持梁は、前記耐火板ブロックの下面に連結されている、ように構成されている態様である。
【0022】
本発明に係るロケット発射用偏向耐火板の第9の態様は、前記第8の態様のロケット発射用偏向耐火板において、前記複数の耐火部材は、前記支持部材に対して着脱可能に所定の傾斜角度で固定されている、ように構成されている態様である。
【0023】
本発明に係るロケット発射用偏向耐火板の交換方法の第1の態様は、前記第1~前記第3の態様のいずれかの態様のロケット発射用偏向耐火板の交換方法であって、前記第2耐火部材を、最も低い位置にある部位を回転中心として立て起こす立て起こし工程と、前記立て起こし工程で立て起こした前記第2耐火部材を吊り上げて撤去する撤去工程と、を有
することを特徴とするロケット発射用偏向耐火板の交換方法である。
【0024】
本発明に係るロケット発射用偏向耐火板の交換方法の第2の態様は、前記第1~前記第3、前記第5の態様のいずれかの態様のロケット発射用偏向耐火板の交換方法であって、前記第2耐火部材を、最も低い位置にある部位を回転中心として、水平となるように回転させる回転工程と、前記回転工程で水平にした前記第2耐火部材を撤去する撤去工程と、を有することを特徴とするロケット発射用偏向耐火板の交換方法である。
【0025】
本発明に係るロケット発射用偏向耐火板の交換方法の第3の態様は、前記第1または前記第4の態様のロケット発射用偏向耐火板の交換方法であって、前記第2耐火部材を、最も高い位置にある部位を回転中心として、水平となるように回転させる回転工程と、前記回転工程で水平にした前記第2耐火部材を撤去する撤去工程と、を有することを特徴とするロケット発射用偏向耐火板の交換方法である。
【0026】
本発明に係るロケット発射用偏向耐火板の交換方法の第4の態様は、前記第1または前記第6の態様のロケット発射用偏向耐火板の交換方法であって、前記第2耐火部材を、傾斜角度を維持させたまま、斜め上方に引き上げて撤去することを特徴とするロケット発射用偏向耐火板の交換方法である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、上下に分割して構成されているが、燃焼ガスの流下による悪影響が抑えられており、かつ、低コストかつ容易に耐火板の交換を行うことができるロケット発射用偏向耐火板およびロケット発射用偏向耐火板の交換方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板10の側面図
【
図2】第1実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板10の上部耐火
板ブロック12および下部耐火
板ブロック14の部位を鉛直方向上側から(
図1の矢印II方向から)見た図
【
図3】上部耐火
板ブロック12と下部耐火
板ブロック14の隣接部位およびその周辺領域を拡大して示す拡大側面図
【
図5】本発明の第1実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板10の下部耐火
板ブロック14を取り外す際の状況を模式的に示す側面図
【
図6】本発明の第2実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板20の側面図
【
図7】上部耐火
板ブロック12と下部耐火
板ブロック24の隣接部位およびその周辺領域を拡大して示す拡大側面図
【
図8】本発明の第2実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板20の下部耐火
板ブロック24を取り外す際の状況を模式的に示す側面図
【
図9】本発明の第3実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板30の側面図
【
図10】上部耐火
板ブロック12と下部耐火
板ブロック34の隣接部位およびその周辺領域を拡大して示す拡大側面図
【
図11】本発明の第3実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板30の下部耐火
板ブロック34を取り外す際の状況を模式的に示す側面図
【
図12】本発明の第4実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板40の側面図
【
図13】上部耐火
板ブロック12と下部耐火
板ブロック44の隣接部位およびその周辺領域を拡大して示す拡大側面図
【
図14】本発明の第4実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板40の下部耐火
板ブロック44を取り外す際の状況を模式的に示す側面図
【
図16】特許文献1に記載の発明の実施例に係るロケット射座の火炎偏向板の側断面図
【
図17】特許文献1に記載の発明の実施例に係るロケット射座の火炎偏向板において上部偏向板と下部偏向板とが係合した状態を表す側断面図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0030】
(1)第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板10の側面図であり、
図2は、本発明の第1実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板10の上部耐火
板ブロック12および下部耐火
板ブロック14の部位を鉛直方向上側から(
図1の矢印II方向から)見た図であり、
図3は、上部耐火
板ブロック12と下部耐火
板ブロック14の隣接部位およびその周辺領域を拡大して示す拡大側面図であり、
図4は、下部耐火
板ブロック14の側面図であり、
図5は、本発明の第1実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板10の下部耐火
板ブロック14を取り外す際の状況を模式的に示す側面図である。
【0031】
本発明の第1実施形態に係るロケット発射用偏向耐火板10は、上部耐火部材11と、下部耐火部材13と、上部耐火部材11および下部耐火部材13を所定の傾斜角度で固定して下方から支持する鋼製の骨組構造72とを有してなる。
【0032】
上部耐火部材11は、上部耐火板ブロック12と支持梁16とを有して構成されており、上部耐火板ブロック12の下面には支持梁16が取り付けられていて、上部耐火板ブロック12と支持梁16とは一体化されている。
【0033】
下部耐火部材13は、下部耐火板ブロック14と支持梁18とを有して構成されており、下部耐火板ブロック14の下面には支持梁18が取り付けられていて、下部耐火板ブロック14と支持梁18とは一体化されている。
【0034】
上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック14は、ロケット発射時の燃焼ガスを受け止めて、所定の方向に(煙道の方向に)燃焼ガスを流す役割を有する。
【0035】
上部耐火
板ブロック12および下部耐火
板ブロック14は、
図1に示すように、下方に位置する下部耐火
板ブロック14が、上方に位置する上部耐火
板ブロック12よりも水平面に対する傾斜角度が小さくなるように、支持梁16、18を介して骨組構造72に取り付けられて配置されている(以下、配置構成1-1と記載することがある。)。
【0036】
また、
図3に示すように、上部耐火
板ブロック12および下部耐火
板ブロック14は、上部耐火
板ブロック12の上面12Aを仮想的に平行に延長した面12A1が、斜め下方に位置する下部耐火
板ブロック14の上面14Aに交差するように、骨組構造72に取り付けられて配置されている(以下、配置構成1-2と記載することがある。)。
【0037】
さらに、
図2および
図3に示すように、下部耐火
板ブロック14の上面14Aの上端14A1は上部耐火
板ブロック12の下端部の下方に位置しており、鉛直方向上側から見て、上部耐火
板ブロック12と下部耐火
板ブロック14との間には、隙間は空いていない(以下、配置構成1-3と記載することがある。)。
【0038】
このため、ロケット発射時の燃焼ガスは、上部耐火
板ブロック12の上面12Aおよび下部耐火
板ブロック14の上面14Aに沿ってスムーズに流下し、流下方向を煙道方向に変えて、煙道内に進行する。従来は、
図15~
図17に示されるように、ロケット発射用
偏向耐火
板(
図15~
図17では火炎偏向板)の下部は、傾斜面の角度を徐々に緩やかにして最終的に水平面に近い角度になるように円弧状に湾曲させて、ロケット発射時の燃焼ガスの向きを、煙道に沿う方向にスムーズに変えるようにしていたが、本第1実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板10では、前記した配置構成1-1、1-2および1-3を採用することにより、平板状の耐火
板(上部耐火
板ブロック12および下部耐火
板ブロック14)のみでも、ロケット発射時の燃焼ガスの向きを、煙道に沿う方向にスムーズに変えることができるようにしている。
【0039】
上部耐火板ブロック12の水平面に対する傾斜角度は、標準的には40°以上60°以下であり、下部耐火板ブロック14の水平面に対する傾斜角度は、標準的には15°以上35°以下である。
【0040】
支持梁16、18は、上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック14をそれぞれ骨組構造72に取り付けて、上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック14の位置を固定させる役割を有する。支持梁16、18には、例えば断面H形の鋼材を用いることができる。骨組構造72への支持梁16、18の取り付けはボルト等を用いて着脱可能に行うことができる。
【0041】
骨組構造72は、
図1に示すように、底面水平鋼材72Aと、鉛直鋼材72Bと、斜め鋼材72Cと、中間水平鋼材72Dと、を有してなる鋼製構造であり、上部耐火
板ブロック12および下部耐火
板ブロック14を所定の傾斜角度で支持する役割を有する。斜め鋼材72Cは、上部耐火
板ブロック12に求められる傾斜角度に対応する傾斜角度を有している。骨組構造72の前記した各部材72A、72B、72C、72Dには、例えば断面H形の鋼材を用いることができる。
【0042】
上部耐火板ブロック12は、支持梁16を介して斜め鋼材72Cに連結されており、上部耐火板ブロック12の水平面に対する傾斜角度は、斜め鋼材72Cの水平面に対する傾斜角度と一致させるのが原則であるが、斜め鋼材72Cと支持梁16との間に薄い鋼板等のスペーサを介在させて、傾斜角度を微調整することも可能である。上部耐火板ブロック12の上方には干渉物はないので、上部耐火板ブロック12を交換する際には、支持梁16の斜め鋼材72Cへのボルト接合を解除した後、上部耐火板ブロック12を吊り上げて撤去することができる。
【0043】
下部耐火
板ブロック14の下面に取り付けられた支持梁18は、斜め鋼材72Cの下部の支持部72C1および底面水平鋼材72Aとの当接部72A1で骨組構造72に支持されており、下部耐火
板ブロック14は、下部耐火
板ブロック14の水平面に対する傾斜角度が、上部耐火
板ブロック12の水平面に対する傾斜角度よりも小さくなる(前記配置構成1-1、
図1参照)ように、かつ、上部耐火
板ブロック12の上面12Aを仮想的に平行に延長した面12A1が、斜め下方に位置する下部耐火
板ブロック14の上面14Aに交差する(前記配置構成1-2、
図3参照)ように、配置されている。下部耐火
板ブロック14の上面14Aの上端14A1は上部耐火
板ブロック12の下端部の下方に位置しており、鉛直方向上側から見て、上部耐火
板ブロック12と下部耐火
板ブロック14との間には、隙間は空いていない(前記配置構成1-3、
図2、3参照)。支持部72C1においては、下部耐火
板ブロック14の下面に取り付けられた支持梁18の下面上端部が斜め鋼材72Cに、所定の治具を介してボルトで着脱可能に連結される。前記所定の治具にはボルトが挿通する孔を長孔として設けておき、固定位置を微修正できるようにしておくのがよい。当接部72A1においては、支持梁18の下面下端部が底面水平鋼材72Aの上面に当接しており、その近傍に、下部耐火
板ブロック14が水平面に対する傾斜が小さくなる方向に滑るのを防ぐストッパー72A2が、底面水平鋼材72Aの上面に設けられている。
【0044】
図3および
図4に示すように、下部耐火
板ブロック14は、直方体から、直上の上部耐火
板ブロック12に近接する部位の上面14A側を切り欠いた略直方体の形状であり、下部耐火
板ブロック14を側方から見た形状は、(下部耐火
板ブロック14の上面14Aの幅x1)<(下部耐火
板ブロック14の下面14Bの幅x2)である台形であり、直上の上部耐火
板ブロック12に近接する面は傾斜面14Cとなっており、上部耐火
板ブロック12と下部耐火
板ブロック14との間には隙間zが設けられている。隙間zの大きさは、下部耐火
板ブロック14の下面に取り付けられた支持梁18と骨組構造72の底面水平鋼材72Aとの当接部72A1を中心として、下部耐火
板ブロック14を上向きに回転させても下向きに回転させても、直上に位置する上部耐火
板ブロック12に下部耐火
板ブロック14が接触しないように定める。
【0045】
このため、
図5に示すように、下部耐火
板ブロック14は、骨組構造72の底面水平鋼材72Aとの当接部72A1を中心として上向きに回転させても下向きに回転させても、直上に位置する上部耐火
板ブロック12に接触しないので、下部耐火
板ブロック14を交換する際には、当接部72A1を中心として上向きに回転させて立て起こしてから吊り上げて撤去することも、当接部72A1を中心として下向きに回転させて水平に寝かせてから、水平方向に引き出して撤去することも可能である。なお、骨組構造72の斜め鋼材72Cの下部は、着脱可能なように構成されており、下部耐火
板ブロック14を下向きに回転させて水平に寝かせる際には、骨組構造72から斜め鋼材72Cの下部を取り外す。
【0046】
上部耐火板ブロック12と支持梁16との一体化および下部耐火板ブロック14と支持梁18との一体化は、例えば、上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック14をキャスタブル耐火物(詳細は後述する)で形成する場合、支持梁16、18の上面にずれ止めを設けておき、上部耐火板ブロック12を形成するとき及び下部耐火板ブロック14を形成するときにそれぞれ一体化させるようにしてもよい。また、上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック14を形成した後、アンカーボルト等によって、上部耐火板ブロック12に支持梁16を取り付け、下部耐火板ブロック14に支持梁18を取り付けるようにしてもよい。
【0047】
上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック14は、ロケット発射時の燃焼ガスを受け止めて、所定の方向に(煙道の方向に)燃焼ガスを流す役割を有する。したがって、上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック14には、優れた耐火性能が要求されるとともに、ロケット発射時の燃焼ガスの圧力に耐える機械的な性能も要求される。
【0048】
上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック14の材質は、必要な耐火性能および機械的性能等を発現できるものであれば特には限定されず、必要な耐火性能および機械的性能等に応じて、具体的には例えば、アルミナ、マグネシア、酸化クロム、ジルコニア等を上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック14に用いることができる。上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック14を作製する際の取り扱い性がよく、また、補修時の施工性がよく、さらにコスト的な面から、キャスタブル耐火物(耐火性の大きな軽量骨材にアルミナセメントを配合したもの)を上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック14に好適に用いることができる。
【0049】
上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック14は、それぞれ単一の材料で構成されている。ここで言う単一の材料とは、上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック14のそれぞれの各部位が同一の組成の材料で構成されていることを意味し、複数種の耐火材料を混合してなる材料を除外する趣旨ではない。上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック14は、単一の材料で構成されているため、損傷したときの補修も、当該単一の材料を用いて行うことができ、複数の材料や部材を用いる必要がなく、容易に
行うことができる。例えば、上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック14をキャスタブル耐火物で形成した場合、損傷個所(例えばロケット発射時の燃焼ガスにより削り取られた箇所)をキャスタブル耐火物で補修することができる。キャスタブル耐火物による補修では、損傷箇所(削り取られた箇所等)にキャスタブル耐火物を詰め込んで削り取られた箇所等にキャスタブル耐火物を充填することで補修を行うことができる。なお、安全性が確認できれば、最初に上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック14をそれぞれ形成する際に使用した耐火材料とは異なる耐火材料で、それぞれ補修することも可能である。
【0050】
上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック14の厚さは、ロケット発射時の燃焼ガスを安全に受け止める観点から、標準的には150~250mm程度である。また、取り扱い性の観点や作製上の容易さの観点から、上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック14の面内方向の大きさは標準的には800~4000mm程度である。
【0051】
上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック14をキャスタブル耐火物で形成する場合、上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック14は、それぞれ所定の形状に型枠を組んで、その型枠の中にキャスタブル耐火物を打設して形成することができ、安価に作製することができる。また、上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック14のそれぞれの下面に底板鋼板(図示せず)を取り付けてもよく、キャスタブル耐火物を型枠の中に打設して上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック14を形成する場合、底板鋼板を型枠の一部として用いることもできる。その場合、底板鋼板の上面にずれ止め部材(図示せず)を取り付けておいてもよく、該ずれ止め部材を上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック14の内部にそれぞれ埋め込んで設置することにより、上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック14と底板鋼板との一体化の程度を向上させて、上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック14の耐荷力を向上させることもできる。
【0052】
上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック14をキャスタブル耐火物で形成した場合、前述したように、損傷箇所をキャスタブル耐火物で補修することができるが、損傷レベルが補修可能なレベルを超えている場合は、上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック14のうちの片方のみ、または両方の交換を必要に応じて行う。
【0053】
前述したように、上部耐火板ブロック12の上方には干渉物はないので、上部耐火板ブロック12を交換する際には、支持梁16の斜め鋼材72Cへのボルト接合を解除した後、上部耐火板ブロック12を吊り上げて撤去することができる。上部耐火板ブロック12を吊り上げる際には、支持梁16のウェブ部に設けた貫通孔(図示せず)に吊り上げ装置のフックを係合させて吊り上げるので、上部耐火板ブロック12と支持梁16とは一体化させた状態で撤去する。
【0054】
一方、下部耐火
板ブロック14の斜め上方には上部耐火
板ブロック12が存在しているため、上部耐火
板ブロック12は交換せずに下部耐火
板ブロック14のみを交換する際には、上部耐火
板ブロック12をかわして下部耐火
板ブロック14を撤去することが必要である。そのため、下部耐火
板ブロック14を交換する際には、支持部72C1でのボルト接合を解除した後、
図5に示すように、当接部72A1を中心として上向きに回転させて立て起こしてから吊り上げて撤去するか、当接部72A1を中心として下向きに回転させて水平に寝かせてから、水平方向に引き出して撤去する。前述したように、骨組構造72の斜め鋼材72Cの下部は、着脱可能なように構成されており、下部耐火
板ブロック14を下向きに回転させて水平に寝かせる際には、骨組構造72から斜め鋼材72Cの下部を取り外す。下部耐火
板ブロック14の下面には支持梁18が取り付けられているので、下部耐火
板ブロック14を水平に寝かせても、下部耐火
板ブロック14の下面と煙道の床面
との間には支持梁18の高さの分だけ隙間ができる。そこで、水平方向に引き出して撤去する際には、この隙間を利用してフォークリフト等で撤去することができる。当接部72A1を中心として上向きに回転させて立て起こしてから吊り上げて撤去する場合には、支持梁18のウェブ部に設けた貫通孔(図示せず)に吊り上げ装置のフックを係合させて吊り上げる。下部耐火
板ブロック14を立て起こしてから吊り上げて撤去する場合も、下部耐火
板ブロック14を水平方向に引き出して撤去する場合も、下部耐火
板ブロック14と支持梁18とは一体化させた状態で撤去する。
【0055】
下部耐火
板ブロック14は、
図3および
図4に示すように、直方体から、直上の上部耐火
板ブロック12に近接する部位の上面14A側を切り欠いた略直方体の形状であり、当接部72A1を中心として上向きに回転させても下向きに回転させても、直上に位置する上部耐火
板ブロック12に接触しないので、交換の際には、現場の状況に応じて作業の行いやすい方の撤去方法を採用することができる。
【0056】
以上のように、本第1実施形態に係るロケット発射用偏向耐火板10について、上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック14のうちの片方のみを交換する場合または両方の交換をする場合のいずれの場合であっても、容易に行うことができる。
【0057】
また、本第1実施形態に係るロケット発射用偏向耐火板10では、前記した配置構成1-1、1-2および1-3を採用することにより、平板状の耐火板(上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック14)のみでも、ロケット発射時の燃焼ガスの向きを、煙道に沿う方向にスムーズに変えることができるようにしており、本第1実施形態に係るロケット発射用偏向耐火板10は、耐火板の部位を、安価な平板状の耐火板(上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック14)のみで構成している。また、上部耐火部材11および下部耐火部材13の骨組構造72への取り付けもボルト接合で行うことができ、特殊な取り付け態様は用いていない。
【0058】
このため、本第1実施形態に係るロケット発射用偏向耐火板10は、新設時のコストも交換時のコストも抑えられている。
【0059】
(2)第2実施形態
図6は、本発明の第2実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板20の側面図であり、
図7は、上部耐火
板ブロック12と下部耐火
板ブロック24の隣接部位およびその周辺領域を拡大して示す拡大側面図であり、
図8は、本発明の第2実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板20の下部耐火
板ブロック24を取り外す際の状況を模式的に示す側面図である。
【0060】
第1実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板10の下部耐火
板ブロック14は、
図3および
図4を示して前述したように、直方体から、直上の上部耐火
板ブロック12に近接する部位の上面14A側を切り欠いた略直方体の形状であり、第1実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板10では、下部耐火
板ブロック14を、当接部72A1を中心として上向きに回転させても下向きに回転させても、直上に位置する上部耐火
板ブロック12に接触しないように構成していたが、本第2実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板20では、下部耐火
板ブロック24が、
図6~
図8に示すように、直方体形状であり、かつ、直上に位置する上部耐火
板ブロック12の下端面12Bの中央部付近の当接部12B1に下部耐火
板ブロック24の上面24Aの上端24A1が当接している。それ以外の構成については、本第2実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板20は、第1実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板10と同様であるので、対応する部材や部位等については原則として同一の符号を付して、説明は原則として省略する。また、下部耐火
板ブロック24は、形状が直方体形状である点以外は、第1実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板1
0の下部耐火
板ブロック14と同様であるので、下部耐火
板ブロック24についての説明は適宜に省略し、説明を省略した点については、前記「(1)第1実施形態」における下部耐火
板ブロック14についての説明で代えるものとする。
【0061】
本発明の第2実施形態に係るロケット発射用偏向耐火板20は、上部耐火部材11と、下部耐火部材23と、上部耐火部材11および下部耐火部材23を所定の傾斜角度で固定して下方から支持する鋼製の骨組構造72とを有してなる。
【0062】
下部耐火部材23は、下部耐火板ブロック24と支持梁18とを有して構成されており、下部耐火板ブロック24の下面には支持梁18が取り付けられていて、下部耐火板ブロック24と支持梁18とは一体化されている。
【0063】
下部耐火板ブロック24は、上部耐火板ブロック12と協働して、ロケット発射時の燃焼ガスを受け止めて、所定の方向に(煙道の方向に)燃焼ガスを流す役割を有する。
【0064】
上部耐火
板ブロック12および下部耐火
板ブロック24は、
図6に示すように、下方に位置する下部耐火
板ブロック24が、上方に位置する上部耐火
板ブロック12よりも水平面に対する傾斜角度が小さくなるように、骨組構造72に取り付けられて配置されている(以下、配置構成2-1と記載することがある。)。
【0065】
また、
図7に示すように、上部耐火
板ブロック12および下部耐火
板ブロック24は、上部耐火
板ブロック12の上面12Aを仮想的に平行に延長した面12A1が、斜め下方に位置する下部耐火
板ブロック24の上面24Aに交差するように、骨組構造72に取り付けられて配置されている(以下、配置構成2-2と記載することがある。)。
【0066】
さらに、
図7に示すように、下部耐火
板ブロック24の上面24Aの上端24A1は上部耐火
板ブロック12の下端部の下方に位置しており、鉛直方向上側から見て、上部耐火
板ブロック12と下部耐火
板ブロック24との間には、隙間は空いていない(以下、配置構成2-3と記載することがある。)。
【0067】
このため、ロケット発射時の燃焼ガスは、上部耐火板ブロック12の上面12Aおよび下部耐火板ブロック24の上面24Aに沿ってスムーズに流下し、流下方向を煙道方向に変えて、煙道内に進行する。本第2実施形態に係るロケット発射用偏向耐火板20では、前記した配置構成2-1、2-2および2-3を採用することにより、平板状の耐火板(上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック24)のみでも、ロケット発射時の燃焼ガスの向きを、煙道に沿う方向にスムーズに変えることができるようにしている。
【0068】
支持梁18は、下部耐火板ブロック24を骨組構造72に取り付けて、下部耐火板ブロック24の位置を固定させる役割を有する。支持梁18には、例えば断面H形の鋼材を用いることができる。骨組構造72への支持梁18の取り付けはボルト等を用いて着脱可能に行うことができる。
【0069】
下部耐火
板ブロック24の下面に取り付けられた支持梁18は、斜め鋼材72Cの下部の支持部72C2および底面水平鋼材72Aとの当接部72A3で骨組構造72に支持されており、下部耐火
板ブロック24は、下部耐火
板ブロック24の水平面に対する傾斜角度が、上部耐火
板ブロック12の水平面に対する傾斜角度よりも小さくなる(前記配置構成2-1、
図6参照)ように、かつ、上部耐火
板ブロック12の上面12Aを仮想的に平行に延長した面12A1が、斜め下方に位置する下部耐火
板ブロック24の上面24Aに交差する(前記配置構成2-2、
図7参照)ように、配置されている。下部耐火
板ブロック24の上面24Aの上端24A1は上部耐火
板ブロック12の下端部の下方に位置して
おり、鉛直方向上側から見て、上部耐火
板ブロック12と下部耐火
板ブロック24との間には、隙間は空いていない(前記配置構成2-3、
図7参照)。支持部72C2においては、下部耐火
板ブロック24の下面に取り付けられた支持梁18の下面上端部が斜め鋼材72Cに、所定の治具を介してボルトで着脱可能に連結される。前記所定の治具にはボルトが挿通する孔を長孔として設けておき、固定位置を微修正できるようにしておくのがよい。当接部72A3においては、支持梁18の下面下端部が底面水平鋼材72Aの上面に当接しており、その近傍に、下部耐火
板ブロック24が水平面に対する傾斜が小さくなる方向に滑るのを防ぐストッパー72A4が、底面水平鋼材72Aの上面に設けられている。また、下部耐火
板ブロック24の上面24Aの上端24A1は、直上に位置する上部耐火
板ブロック12の下端面12Bの中央部付近の当接部12B1に当接している。
【0070】
下部耐火
板ブロック24を交換する際には、支持部72C2でのボルト接合を解除した後、
図8に示すように、当接部12B1を中心として上向きに回転させて水平に寝かせてから、水平方向に引き出して撤去する。水平方向に引き出して撤去する際には、例えばフォークリフトを用いて撤去することができる。下部耐火
板ブロック24と支持梁18とは一体化させた状態で撤去する。なお、
図8には示していないが、上部耐火
板ブロック12の搭載される角度や寸法によっては、下部耐火
板ブロック24の下面の下端を中心に下向きに回転(当接部72A3を中心に下向きに回転)させ、水平に寝かせてから水平方向に引き出して撤去することも可能である。
【0071】
本第2実施形態に係るロケット発射用偏向耐火板20では、前記した配置構成2-1、2-2および2-3を採用することにより、平板状の耐火板(上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック24)のみでも、ロケット発射時の燃焼ガスの向きを、煙道に沿う方向にスムーズに変えることができるようにしており、本第2実施形態に係るロケット発射用偏向耐火板20は、耐火板の部位を、安価な平板状の耐火板(上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック24)のみで構成している。また、上部耐火部材11および下部耐火部材23の骨組構造72への取り付けもボルト接合で行うことができ、特殊な取り付け態様は用いていない。
【0072】
このため、本第2実施形態に係るロケット発射用偏向耐火板20は、新設時のコストも交換時のコストも抑えられている。
【0073】
(3)第3実施形態
図9は、本発明の第3実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板30の側面図であり、
図10は、上部耐火
板ブロック12と下部耐火
板ブロック34の隣接部位およびその周辺領域を拡大して示す拡大側面図であり、
図11は、本発明の第3実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板30の下部耐火
板ブロック34を取り外す際の状況を模式的に示す側面図である。
【0074】
第2実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板20の下部耐火
板ブロック24は、
図7を示して前述したように、直上に位置する上部耐火
板ブロック12の下端面12Bの中央部付近の当接部12B1に下部耐火
板ブロック24の上面24Aの上端24A1が当接するように構成していたが、本第3実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板30では、下部耐火
板ブロック34の上面34Aの上端34A1が、直上に位置する上部耐火
板ブロック12の下端面12Bの下端12B2(当接部12B3)に当接するように構成している。それ以外の構成については、本第3実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板30は、第2実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板20と同様であるので、対応する部材や部位等については原則として同一の符号を付して、説明は原則として省略する。また、下部耐火
板ブロック34は、第2実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板20の下部耐火
板ブロック24と同様であるので、下部耐火
板ブロック34についての説明は適宜に省略し
、説明を省略した点については、前記「(2)第2実施形態」における下部耐火
板ブロック24についての説明で代えるものとする。
【0075】
本発明の第3実施形態に係るロケット発射用偏向耐火板30は、上部耐火部材11と、下部耐火部材33と、上部耐火部材11および下部耐火部材33を所定の傾斜角度で固定して下方から支持する鋼製の骨組構造72とを有してなる。
【0076】
下部耐火部材33は、下部耐火板ブロック34と支持梁18とを有して構成されており、下部耐火板ブロック34の下面には支持梁18が取り付けられていて、下部耐火板ブロック34と支持梁18とは一体化されている。
【0077】
下部耐火板ブロック34は、上部耐火板ブロック12と協働して、ロケット発射時の燃焼ガスを受け止めて、所定の方向に(煙道の方向に)燃焼ガスを流す役割を有する。
【0078】
上部耐火
板ブロック12および下部耐火
板ブロック34は、
図9に示すように、下方に位置する下部耐火
板ブロック34が、上方に位置する上部耐火
板ブロック12よりも水平面に対する傾斜角度が小さくなるように、骨組構造72に取り付けられて配置されている(以下、配置構成3-1と記載することがある。)。
【0079】
また、
図10に示すように、上部耐火
板ブロック12および下部耐火
板ブロック34は、上部耐火
板ブロック12の上面12Aを仮想的に平行に延長した面12A1が、斜め下方に位置する下部耐火
板ブロック34の上面34Aに交差するように、骨組構造72に取り付けられて配置されている(以下、配置構成3-2と記載することがある。)。
【0080】
さらに、
図10に示すように、下部耐火
板ブロック34の上面34Aの上端34A1は上部耐火
板ブロック12の下端部の下方に位置しており、鉛直方向上側から見て、上部耐火
板ブロック12と下部耐火
板ブロック34との間には、隙間は空いていない(以下、配置構成3-3と記載することがある。)。
【0081】
このため、ロケット発射時の燃焼ガスは、上部耐火板ブロック12の上面12Aおよび下部耐火板ブロック34の上面34Aに沿ってスムーズに流下し、流下方向を煙道方向に変えて、煙道内に進行する。本第3実施形態に係るロケット発射用偏向耐火板30では、前記した配置構成3-1、3-2および3-3を採用することにより、平板状の耐火板(上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック34)のみでも、ロケット発射時の燃焼ガスの向きを、煙道に沿う方向にスムーズに変えることができるようにしている。
【0082】
支持梁18は、下部耐火板ブロック34を骨組構造72に取り付けて、下部耐火板ブロック34の位置を固定させる役割を有する。支持梁18には、例えば断面H形の鋼材を用いることができる。骨組構造72への支持梁18の取り付けはボルト等を用いて着脱可能に行うことができる。
【0083】
下部耐火
板ブロック34の下面に取り付けられた支持梁18は、斜め鋼材72Cの下部の支持部72C3および底面水平鋼材72Aとの当接部72A5で骨組構造72に支持されており、下部耐火
板ブロック34は、下部耐火
板ブロック34の水平面に対する傾斜角度が、上部耐火
板ブロック12の水平面に対する傾斜角度よりも小さくなる(前記配置構成3-1、
図9参照)ように、かつ、上部耐火
板ブロック12の上面12Aを仮想的に平行に延長した面12A1が、斜め下方に位置する下部耐火
板ブロック34の上面34Aに交差する(前記配置構成3-2、
図10参照)ように、配置されている。下部耐火
板ブロック34の上面34Aの上端34A1は上部耐火
板ブロック12の下端部の下方に位置しており、鉛直方向上側から見て、上部耐火
板ブロック12と下部耐火
板ブロック34との
間には、隙間は空いていない(前記配置構成3-3、
図10参照)。支持部72C3においては、下部耐火
板ブロック34の下面に取り付けられた支持梁18の下面上端部が斜め鋼材72Cに、所定の治具を介してボルトで着脱可能に連結される。前記所定の治具にはボルトが挿通する孔を長孔として設けておき、固定位置を微修正できるようにしておくのがよい。当接部72A5においては、支持梁18の下面下端部が底面水平鋼材72Aの上面に当接しており、その近傍に、下部耐火
板ブロック34が水平面に対する傾斜が小さくなる方向に滑るのを防ぐストッパー72A6が、底面水平鋼材72Aの上面に設けられている。また、下部耐火
板ブロック34の上面34Aの上端34A1は、直上に位置する上部耐火
板ブロック12の下端面12Bの下端12B2(当接部12B3)に当接している。
【0084】
本第3実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板30では、下部耐火
板ブロック34の上面34Aの上端34A1は、直上に位置する上部耐火
板ブロック12の下端面12Bの下端12B2(当接部12B3)に当接しているので、下部耐火
板ブロック34を、当接部72A5を中心として下向きに回転させても、下部耐火
板ブロック34は上部耐火
板ブロック12と干渉しない。そのため、本第3実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板30の下部耐火
板ブロック34を交換する際には、支持部72C3でのボルト接合を解除した後、
図11に示すように、当接部72A5を中心として下部耐火
板ブロック34を下向きに回転させて水平に寝かせてから、水平方向に引き出して撤去することができる。下部耐火
板ブロック34と支持梁18とは一体化させた状態で撤去する。なお、当接部72A5を中心として下部耐火
板ブロック34を下向きに回転させると、上部耐火
板ブロック12の下面に取り付けられた支持梁16と干渉するおそれがある場合は、干渉のおそれがある支持梁16の端部を予め斜めにカットしておき、干渉しないようにする。前述したように、骨組構造72の斜め鋼材72Cの下部は、着脱可能なように構成されており、下部耐火
板ブロック34を下向きに回転させて水平に寝かせる際には、骨組構造72から取り外す。
【0085】
本第3実施形態に係るロケット発射用偏向耐火板30では、前記した配置構成3-1、3-2および3-3を採用することにより、平板状の耐火板(上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック34)のみでも、ロケット発射時の燃焼ガスの向きを、煙道に沿う方向にスムーズに変えることができるようにしており、本第3実施形態に係るロケット発射用偏向耐火板30は、耐火板の部位を、安価な平板状の耐火板(上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック34)のみで構成している。また、上部耐火部材11および下部耐火部材33の骨組構造72への取り付けもボルト接合で行うことができ、特殊な取り付け態様は用いていない。
【0086】
このため、本第3実施形態に係るロケット発射用偏向耐火板30は、新設時のコストも交換時のコストも抑えられている。
【0087】
(4)第4実施形態
図12は、本発明の第4実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板40の側面図であり、
図13は、上部耐火
板ブロック12と下部耐火
板ブロック44の隣接部位およびその周辺領域を拡大して示す拡大側面図であり、
図14は、本発明の第4実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板40の下部耐火
板ブロック44を取り外す際の状況を模式的に示す側面図である。
【0088】
第2実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板20の下部耐火
板ブロック24は、
図7を示して前述したように、直上に位置する上部耐火
板ブロック12の下端面12Bの中央部付近の当接部12B1に下部耐火
板ブロック24の上面24Aの上端24A1が当接するように構成していたが、本第4実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板40では、図
13に示すように、下部耐火
板ブロック44の上面44A上の当接部44A1に、直上に位置する上部耐火
板ブロック12の下端面12Bの下端12B2が当接するように構成している。また、その構成を実現するために、骨組構造72の斜め鋼材72Cの下部をカットして斜め鋼材80Cにするとともに、下部耐火
板ブロック44を支持する下部補助構造80Eを新たに設け、本第4実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板40を所定の傾斜角度で支持する骨組構造80を構成した。また、斜め鋼材80Cの下端面に合わせて、支持梁16の下端を斜めにカットして、上部耐火
板ブロック12の下面に取り付けられる支持梁16Aを構成した。それら以外の構成については、本第4実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板40は、第2実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板20と同様であるので、対応する部材や部位等については原則として同一の符号を付して、説明は原則として省略する。また、下部耐火
板ブロック44は、第2実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板20の下部耐火
板ブロック24と同様であるので、下部耐火
板ブロック44についての説明は適宜に省略し、説明を省略した点については、前記「(2)第2実施形態」における下部耐火
板ブロック24についての説明で代えるものとする。
【0089】
本発明の第4実施形態に係るロケット発射用偏向耐火板40は、上部耐火部材41と、下部耐火部材43と、上部耐火部材41および下部耐火部材43を所定の傾斜角度で固定して下方から支持する鋼製の骨組構造80とを有してなる。
【0090】
上部耐火部材41は、上部耐火板ブロック12と支持梁16Aとを有して構成されており、上部耐火板ブロック12の下面には支持梁16Aが取り付けられていて、上部耐火板ブロック12と支持梁16Aとは一体化されている。前述したように、支持梁16Aは、骨組構造80の斜め鋼材80Cの下端面に合わせて、支持梁16の下端を斜めにカットする加工を施したものである。
【0091】
下部耐火部材43は、下部耐火板ブロック44と支持梁18とを有して構成されており、下部耐火板ブロック44の下面には支持梁18が取り付けられていて、下部耐火板ブロック44と支持梁18とは一体化されている。
【0092】
骨組構造80は、
図12に示すように、底面水平鋼材80Aと、鉛直鋼材80Bと、斜め鋼材80Cと、中間水平鋼材80Dと、下部補助構造80Eと、を有してなる鋼製構造であり、上部耐火
板ブロック12および下部耐火
板ブロック44を所定の傾斜角度で支持する役割を有する。下部補助構造80Eは、下部耐火
板ブロック44に求められる傾斜角度に対応する傾斜角度を有する斜め鋼材80E1を有している。骨組構造80の前記した各部材80A、80B、80C、80D、80Eには、例えば断面H形の鋼材を用いることができる。
【0093】
下部耐火板ブロック44は、上部耐火板ブロック12と協働して、ロケット発射時の燃焼ガスを受け止めて、所定の方向に(煙道の方向に)燃焼ガスを流す役割を有する。
【0094】
上部耐火
板ブロック12および下部耐火
板ブロック44は、
図12に示すように、下方に位置する下部耐火
板ブロック44が、上方に位置する上部耐火
板ブロック12よりも水平面に対する傾斜角度が小さくなるように、骨組構造80に取り付けられて配置されている(以下、配置構成4-1と記載することがある。)。
【0095】
また、
図13に示すように、上部耐火
板ブロック12および下部耐火
板ブロック44は、上部耐火
板ブロック12の上面12Aを仮想的に平行に延長した面12A1が、斜め下方に位置する下部耐火
板ブロック44の上面44Aに交差するように、骨組構造80に取り付けられて配置されている(以下、配置構成4-2と記載することがある。)。
【0096】
さらに、
図13に示すように、下部耐火
板ブロック44の上面44Aの上端44A2は上部耐火
板ブロック12の下方に位置しており、鉛直方向上側から見て、上部耐火
板ブロック12と下部耐火
板ブロック44との間には、隙間は空いていない(以下、配置構成4-3と記載することがある。)。
【0097】
このため、ロケット発射時の燃焼ガスは、上部耐火板ブロック12の上面12Aおよび下部耐火板ブロック44の上面44Aに沿ってスムーズに流下し、流下方向を煙道方向に変えて、煙道内に進行する。本第4実施形態に係るロケット発射用偏向耐火板40では、前記した配置構成4-1、4-2および4-3を採用することにより、平板状の耐火板(上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック44)のみでも、ロケット発射時の燃焼ガスの向きを、煙道に沿う方向にスムーズに変えることができるようにしている。
【0098】
支持梁18は、下部耐火板ブロック44を骨組構造80の下部補助構造80Eの斜め鋼材80E1に取り付けて、下部耐火板ブロック44の位置を固定させる役割を有する。支持梁18には、例えば断面H形の鋼材を用いることができる。斜め鋼材80E1への支持梁18の取り付けはボルト等を用いて着脱可能に行うことができる。
【0099】
下部耐火
板ブロック44の下面に取り付けられた支持梁18は、下部補助構造80Eの斜め鋼材80E1に取り付けられて支持されており、下部耐火
板ブロック44は、下部耐火
板ブロック44の水平面に対する傾斜角度が、上部耐火
板ブロック12の水平面に対する傾斜角度よりも小さくなる(前記配置構成4-1、
図12参照)ように、かつ、上部耐火
板ブロック12の上面12Aを仮想的に平行に延長した面12A1が、斜め下方に位置する下部耐火
板ブロック44の上面44Aに交差する(前記配置構成4-2、
図13参照)ように、配置されている。また、下部耐火
板ブロック44の上面44A上の当接部44A1に、直上に位置する上部耐火
板ブロック12の下端面12Bの下端12B2が当接している。下部耐火
板ブロック44の上面44Aの上端44A2は上部耐火
板ブロック12の下方に位置しており、鉛直方向上側から見て、上部耐火
板ブロック12と下部耐火
板ブロック44との間には、隙間は空いていない(前記配置構成4-3、
図13参照)。
【0100】
本第4実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板40では、下部耐火
板ブロック44の上面44A上の当接部44A1に、直上に位置する上部耐火
板ブロック12の下端面12Bの下端12B2が当接しているので、
図14に示すように、下部耐火
板ブロック44は傾斜角度を維持したまま、斜め上方に引き出すことができる。そのため、本第4実施形態に係るロケット発射用偏向耐火
板40の下部耐火
板ブロック44を交換する際には、斜め鋼材80E1へのボルト接合を解除した後、
図14に示すように、下部耐火
板ブロック44は傾斜角度を維持したまま、斜め上方に引き出すようにする。下部耐火
板ブロック44と支持梁18とは一体化させた状態で撤去する。
【0101】
本第4実施形態に係るロケット発射用偏向耐火板40では、前記した配置構成4-1、4-2および4-3を採用することにより、平板状の耐火板(上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック44)のみでも、ロケット発射時の燃焼ガスの向きを、煙道に沿う方向にスムーズに変えることができるようにしており、本第4実施形態に係るロケット発射用偏向耐火板40は、耐火板の部位を、安価な平板状の耐火板(上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック44)のみで構成している。また、上部耐火部材41および下部耐火部材43の骨組構造80への取り付けもボルト接合で行うことができ、特殊な取り付け態様は用いていない。
【0102】
このため、本第4実施形態に係るロケット発射用偏向耐火板40は、新設時のコストも交換時のコストも抑えられている。
【0103】
(5)補足
以上説明した実施形態では、上部耐火部材11は支持梁16を備え、上部耐火部材41は支持梁16Aを備え、下部耐火部材13、23、33、43は支持梁18を備えるものとしたが、支持梁16、16A、18を備えることは必須ではなく、上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック14、24、34、44を、支持梁16、16A、18を用いずに他の手段で骨組構造72、80に連結するようにしてもよい。また、上部耐火板ブロック12および下部耐火板ブロック14、24、34、44を、骨組構造72、80に直接連結するようにしてもよく、この場合、上部耐火板ブロック12のみで上部耐火部材11、41を構成することとなり、下部耐火板ブロック14、24、34、44のみで下部耐火部材13、23、33、43を構成することとなる。
【符号の説明】
【0104】
10、20、30、40…ロケット発射用偏向耐火板
11、41…上部耐火部材
12…上部耐火板ブロック
12A…上部耐火板ブロック12の上面
12A1…上面12Aを仮想的に平行に延長した面
12B…上部耐火板ブロック12の下端面
12B1…下端面12Bの中央部付近の当接部
12B2…下端面12Bの下端
12B3…下端面12Bの下端の当接部
13、23、33、43…下部耐火部材
14、24、34、44…下部耐火板ブロック
14A…下部耐火板ブロック14の上面
14A1…上面14Aの上端
14B…下部耐火板ブロック14の下面
14C…上部耐火板ブロック12に近接する傾斜面
16、16A、18…支持梁
24A…下部耐火板ブロック24の上面
24A1…上面24Aの上端
34A…下部耐火板ブロック34の上面
34A1…上面34Aの上端
44A…下部耐火板ブロック44の上面
44A1…上面44A上の当接部
44A2…上面44Aの上端
72、80…骨組構造
72A、80A…底面水平鋼材
72A1、72A3、72A5…当接部
72A2、72A4、72A6…ストッパー
72B、80B…鉛直鋼材
72C、80C…斜め鋼材
72C1、72C2、72C3…支持部
72D、80D…中間水平鋼材
80E…下部補助構造
80E1…下部補助構造80Eの斜め鋼材
100…ロケット発射施設
102…ロケット
104…発射台
106…煙道
108、110…火炎偏向板
112…上部偏向板
112a、114a…基部
112b、114b…断熱材
112c、114c…段部
114…下部偏向板
116…軸
118…固定部
120…煙道
z…隙間
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】