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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063623
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】車両のソフトウェア更新装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/65 20180101AFI20240502BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
G06F8/65
B60R16/02 660U
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171717
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154586
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 正広
(74)【代理人】
【識別番号】100182051
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 直宏
(74)【代理人】
【識別番号】100179280
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 育郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180747
【弁理士】
【氏名又は名称】小森 剛彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 英明
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376CA44
5B376GA03
5B376GA07
(57)【要約】
【課題】車両のソフトウェアの更新について、車両の管理者がその更新を適切に管理できるようにする。
【解決手段】車両4のソフトウェア更新装置としての制御系20は、更新制御装置27、出力デバイス38,40を制御する入出力制御装置24、および、管理者端末(12)と通信可能な通信制御装置25、を有する。更新制御装置27は、ソフトウェアの更新処理を実行する前に、車両4に管理者が乗車しているか否かを判断する乗車判断処理、を実行する。管理者が乗車している場合、更新制御装置27は、入出力制御装置24を通じて、車両1に設けられる出力デバイス38(,40)から、更新処理の案内通知を出力する。管理者が乗車していない場合、更新制御装置27は、通信制御装置25を通じて、管理者端末(12)から、更新処理の案内通知を出力する。更新制御装置27は、更新処理の案内通知を出力した後に、ソフトウェアを更新するための処理を実行する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両で用いられるソフトウェアを更新するために前記車両に設けられる、車両のソフトウェア更新装置であって、
前記車両のソフトウェアを更新する処理を実行する更新制御装置、前記車両に設けられる出力デバイスを制御する入出力制御装置、および、前記車両の管理者の端末デバイスと通信可能な通信制御装置、を有し、
前記更新制御装置は、
前記車両のソフトウェアを更新するための処理を実行する前に、
前記車両に前記管理者が乗車しているか否かを判断する乗車判断処理、を実行し、
前記乗車判断処理において管理者が乗車していると判断する場合には、前記入出力制御装置を通じて、前記車両に設けられる前記出力デバイスから、前記車両のソフトウェアの更新処理の案内通知を出力し、
前記乗車判断処理において管理者が乗車していないと判断する場合には、前記通信制御装置を通じて、前記車両の管理者の端末デバイスから、前記車両のソフトウェアの更新処理の案内通知を出力し、
前記車両のソフトウェアの更新処理の案内通知を出力した後に、前記車両のソフトウェアを更新するための処理を実行する、
車両のソフトウェア更新装置。
【請求項2】
前記更新制御装置は、
前記乗車判断処理において前記車両に乗車していると判断する管理者の体調の良否を判断する体調判断処理、を実行し、
前記体調判断処理において前記車両の管理者の体調が良であると判断する場合には、前記入出力制御装置を通じて、前記車両に設けられる前記出力デバイスから、前記車両のソフトウェアの更新処理の案内通知を出力し、
前記体調判断処理において前記車両の管理者の体調が良でないと判断する場合には、前記車両のソフトウェアの更新処理の案内通知出力を止めて、前記車両のソフトウェアを更新するための処理を中断する、
請求項1記載の、車両のソフトウェア更新装置。
【請求項3】
前記車両に設けられる前記入出力制御装置は、前記車両に設けられる出力デバイスとともに入力デバイスを制御するものであり、
前記更新制御装置は、
前記入出力制御装置を通じて前記車両のソフトウェアの更新処理の案内通知を出力し始めるとともに、前記車両に乗車している管理者による案内通知の表示についての認知の有無を判断する視認判断処理を繰り返し実行し、
案内通知の出力中に繰り返される前記視認判断処理において管理者が通知を視認していると判断する場合には、案内通知が出力し終える前でも、前記入力デバイスからの管理者の承諾入力を可能とし、
前記入力デバイスから管理者の承諾が入力されると、前記車両のソフトウェアを更新するための処理を実行する、
請求項1または2記載の、車両のソフトウェア更新装置。
【請求項4】
前記出力デバイスは、表示により通知を出力可能な表示デバイスであり、
前記更新制御装置は、
前記車両のソフトウェアの更新処理の案内通知を前記表示デバイスから出力し始めた後の前記視認判断処理において、前記表示デバイスに表示している案内通知についての前記車両の乗員による視認期間に基づいて、前記車両の乗員が案内通知を視認していることを判断する、
請求項3記載の、車両のソフトウェア更新装置。
【請求項5】
前記更新制御装置は、
前記車両に前記管理者が乗車しているか否かを再度判断する乗車再判断処理を実行し、
前記乗車再判断処理において管理者が乗車していると判断する場合には、管理者による承諾入力を許可し、
前記乗車再判断処理において管理者が乗車していると判断しない場合には、前記車両のソフトウェアの更新処理の案内通知出力を止めて、前記車両のソフトウェアを更新するための処理を中断する、
請求項4記載の、車両のソフトウェア更新装置。
【請求項6】
前記更新制御装置は、
管理者から承諾の入力がある場合には、前記車両のソフトウェアを更新するための処理を実行し、
管理者から承諾の入力がない場合には、前記車両のソフトウェアを更新するための処理を中断する、
請求項5記載の、車両のソフトウェア更新装置。
【請求項7】
前記更新制御装置は、前記車両のソフトウェアを更新するための処理を、
前記車両において更新のためのソフトウェアを取得する処理を実行する場合、
前記車両に取得しているソフトウェアを前記車両に展開する処理、および、
前記車両に展開したソフトウェアの実行へ切り替える処理、の複数の段階に分けて、各段階の実行の前に、前記車両のソフトウェアの更新処理の案内通知を出力する、
請求項6記載の、車両のソフトウェア更新装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のソフトウェア更新装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1~3は、このように車両で用いられるソフトウェアを更新する際に、自動車の乗員に対してそれを通知することを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開 2021-128362号公報
【特許文献2】特開2018-86894号公報
【特許文献3】特開2017-97620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1~3では、車両の走行停止などの走行状態を判断し、たとえば駐停車中においてソフトウェアの更新を通知している。
これにより、車両で用いるソフトウェアは、製造後の車両においても更新することができる。車両で用いるソフトウェアは、改善したり、機能追加したり、できるようになる。
【0005】
ただし、特許文献1~3のような通知の仕方では、車両の駐停車中に、車両に乗車している乗員に対して、ソフトウェアの更新処理についての通知がなされることになる。
その一方で、車両は、一般的に、その車両を購入などした人のみが使用するものではない。たとえば、会社が購入した車両を従業員が使用する場合、家長が購入した車両を扶養家族が使用する場合などの例が挙げられる。
そして、上述した特許文献1~3では、これらの車両の管理者以外の人が乗車している場合でも、車両の駐停車中においてソフトウェアの更新を通知してしまう。
この際、通知を受けた管理者以外の乗員が、ソフトウェアの更新についての承認操作をしてしまうと、車両のソフトウェアが更新されてしまうことになる。
車両の管理者以外の人が車両のソフトウェアを更新してしまうと、車両の管理者は、車両を管理し難しくなる可能性がある。車両の管理者は、ソフトウェアが更新された車両と、ソフトウェアが更新されていない車両とを、特段の確認作業をすることなしに判別することは難しい。したがって、車両の管理者は、車両のソフトウェアが更新されたことについて気づきにくい。
【0006】
このように車両のソフトウェアの更新では、車両の管理者がその更新を適切に管理できるようにすることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態に係る車両のソフトウェア更新装置は、車両で用いられるソフトウェアを更新するために前記車両に設けられる、車両のソフトウェア更新装置であって、前記車両のソフトウェアを更新する処理を実行する更新制御装置、前記車両に設けられる出力デバイスを制御する入出力制御装置、および、前記車両の管理者の端末デバイスと通信可能な通信制御装置、を有し、前記更新制御装置は、前記車両のソフトウェアを更新するための処理を実行する前に、前記車両に前記管理者が乗車しているか否かを判断する乗車判断処理、を実行し、前記乗車判断処理において管理者が乗車していると判断する場合には、前記入出力制御装置を通じて、前記車両に設けられる前記出力デバイスから、前記車両のソフトウェアの更新処理の案内通知を出力し、前記乗車判断処理において管理者が乗車していないと判断する場合には、前記通信制御装置を通じて、前記車両の管理者の端末デバイスから、前記車両のソフトウェアの更新処理の案内通知を出力し、前記車両のソフトウェアの更新処理の案内通知を出力した後に、前記車両のソフトウェアを更新するための処理を実行する、ものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、車両で用いられるソフトウェアを更新するために車両に設けられる、車両のソフトウェア更新装置は、車両のソフトウェアを更新する処理を実行する更新制御装置、車両に設けられる出力デバイスを制御する入出力制御装置、および、車両の管理者の端末デバイスと通信可能な通信制御装置、を有する。そして、更新制御装置は、車両のソフトウェアを更新するための処理を実行する前に、車両に管理者が乗車しているか否かを判断する乗車判断処理、を実行する。
また、更新制御装置は、乗車判断処理において管理者が乗車していると判断する場合には、入出力制御装置を通じて、車両に設けられる出力デバイスから、車両のソフトウェアの更新処理の案内通知を出力する。これに対し、乗車判断処理において管理者が乗車していないと判断する場合には、更新制御装置は、通信制御装置を通じて、車両の管理者の端末デバイスから、車両のソフトウェアの更新処理の案内通知を出力する。これらの車両のソフトウェアの更新処理の案内通知を出力した後に、更新制御装置は、車両のソフトウェアを更新するための処理を実行する。
これにより、たとえば車両に管理者以外の乗員が乗車している場合には、その車両において、車両のソフトウェアの更新処理の案内通知を出力しないようにできる。車両の管理者以外の乗員は、車両のソフトウェアを更新しないようにできる。しかも、本発明では、車両に管理者以外の乗員が乗車している場合には、その更新通知を止めるのではなく、車両の管理者の端末デバイスに、車両のソフトウェアの更新処理の案内通知を出力する。したがって、車両のソフトウェアを更新可能な場合には、車両の管理者は、その車両を使用していなくても、その更新の通知を受けて、車両のソフトウェアを即時的に更新することが可能である。
その結果、車両の管理者は、たとえば、それ以外の人が車両のソフトウェアを更新してしまうことがなくなり、車両を容易に管理することができる。また、車両の管理者は、自らに通知がされることにより、車両のソフトウェアが更新されたことを把握できる。車両の管理者は、ソフトウェアが更新された車両と、ソフトウェアが更新されていない車両とを、特段の作業をすることなしに容易に判別することができる。車両の管理者は、車両のソフトウェアの更新を適切に管理することができる。
このように、本発明では、車両のソフトウェアの更新について、車両の管理者がその更新を適切に管理できるように改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態に係るソフトウェア更新装置が適用可能な自動車のソフトウェア更新システムの一例の模式的な説明図である。
図2図2は、図1の自動車の制御系の一例の説明図である。
図3図3は、自動車の制御系に用いられる制御装置の基本的な構成の説明図である。
図4図4は、図1のサーバ装置と自動車の制御系との連携により自動車のソフトウェアを更新する制御の一例のタイミングチャートである。
図5図5は、本実施形態において図2の更新制御装置が実行する自動車のソフトウェア更新制御のフローチャートである。
図6図6は、図2の更新制御装置による、ソフトウェア更新のための承諾制御のフローチャートである。
図7図7は、図6のステップST22の事前確認処理において図2の更新制御装置が実行する事前確認制御のフローチャートである。
図8図8は、図6のステップST30の案内終了判断処理において図2の更新制御装置が実行する案内終了判断制御のフローチャートである。
図9図9は、図7のステップST49において表示デバイスに表示される予告案内画面の一例である。
図10図10は、図6のステップST26において表示デバイスに表示される通常の予告案内画面の一例である。
図11図11は、図6のステップST31において承諾入力を許可している状態での、通常の予告案内画面の一例である。
図12図12は、図6のステップST28において表示デバイスに表示される、視認性を向上させた予告案内画面の一例である。
図13図13は、図6のステップST31において承諾入力を許可している状態での、視認性を向上させた予告案内画面の一例である。
図14図14は、上述した実施形態の制御を、OTAセンタとOTAマスタとの連携に適用する場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係るソフトウェア更新装置が適用可能な自動車のソフトウェア更新システム1の一例の模式的な説明図である。
図1において、ソフトウェア更新システム1は、サーバ装置2、自動車4、を有する。サーバ装置2には、データベース3が接続されている。データベース3には、自動車に適用する更新用のソフトウェアなどが記録されてよい。
【0012】
サーバ装置2は、通信網5、中継装置7を通じて、複数の基地局8と接続されている。複数の基地局8は、道路9に沿って並べて設けられている。基地局8や中継装置7は、5G通信用のものでも、ADAS(Advanced Driver-Assistance Systems)やITS(Intelligent Transport Systems)のためのものでも、よい。通信網5は、キャリア通信網や、所謂インターネットにより、構成されてよい。
【0013】
自動車4は、所有者の自宅敷地10の駐車場に駐車している。自動車4は、車両の一例である。車両には、この他にもたとえば、バス、トラック、モータサイクル、パーソナルモビリティ、などがある。
自動車4には、所有者などの乗員が乗車し、乗員の目的地まで走行する。図1に破線で示すように、自動車4は、自宅敷地10の駐車場から道路9へ出て、道路9の車線を走行する。
【0014】
また、図1には、道路9の傍に、端末デバイス12を所持する歩行者11がいる。端末デバイス12には、たとえば、携帯端末、タブレット端末、ウェアラブル端末、などがある。また、歩行者11が自動車4の所有者などの管理者である場合、端末デバイス12は、自動車4キーであってもよい。以下において、管理者が所持する端末デバイス12を、管理者端末(12)という。端末デバイス12や自動車4は、道路9に沿って設けられる基地局8との間で無線通信路を確立して、サーバ装置2などとの間で双方向の通信を実行することが可能である。
【0015】
図2は、図1の自動車4の制御系20の一例の説明図である。
図2の自動車4の制御系20は、車ネットワーク28と、それに接続される複数の制御装置と、を有する。図2には、複数の制御装置として、検出制御装置21、走行制御装置22、空調制御装置23、入出力制御装置24、通信制御装置25、操作制御装置26、更新制御装置27、が例示されている。
【0016】
ここで、車ネットワーク28は、自動車4で採用される例えばCAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)、LAN(Local Area Network)、FlexRay、CXPI(Clock Extension Peripheral Interface)といったものでよい。複数の制御装置は、車ネットワーク28を通じて相互にメッセージを送受できる。これにより、複数の制御装置は、協働して自動車4を制御することができる。
【0017】
入出力制御装置24は、自動車4のユーザインタフェースデバイスが接続される。自動車4のユーザインタフェースデバイスには、たとえば不図示のダッシュボードに設けられる表示デバイス38、スイッチ、スピーカ40、マイクロホン41、などがある。表示デバイス38は、画像を表示する出力デバイスである。表示デバイス38は、その表示面にタッチパネルが重ねられてもよい。タッチパネルやスイッチは、乗員により操作される操作デバイス(入力デバイス)39である。スピーカ40は、乗員に対して音声などの音を出力する音出力デバイスである。マイクロホン41は、乗員の発声を検出する音入力デバイスである。
また、ユーザインタフェースデバイスには、不図示のUSB(Universal Serial Bus)コネクタなどが併設されてもよい。USBコネクタには、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性の半導体メモリを用いたUSBメモリを接続することができる。USBメモリには、自動車4で使用するプログラム、データなどを記録することができる。
そして、入出力制御装置24は、接続されているユーザインタフェースデバイスの動作を制御し、乗員に対して画像や音声などを出力し、乗員の入力操作や発声を検出する。入出力制御装置24は、自動車4に設けられる出力デバイスおよび入力デバイスを制御することができる。
入出力制御装置24、表示デバイス38、および操作デバイス39は、乗員に対して情報を表示するとともに表示に対する操作を受け付けるヘッドユニット74として機能してよい。
【0018】
検出制御装置21には、自動車4に設けられる各種のセンサが接続される。図では、複数のセンサとして、車内カメラ30、車内Lidar31、車内赤外線センサ32、着座センサ33、シート位置センサ34、温度センサ35、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機36、加速度センサ37、が例示されている。
車内カメラ30は、自動車4の車室内を撮像するカメラである。車内カメラ30の撮像画像には、自動車4に乗車している乗員の画像成分が含まれ得る。撮像画像には、乗員の頭部、顔、目などについての成分が含まれ得る。
車内Lidar31は、自動車4の車室内をレーザ走査する。車内Lidar31の操作の結果として得られる車内の空間情報には、自動車4に乗車している乗員による成分が含まれ得る。車内の空間情報には、乗員の頭部、顔、目などについての成分が含まれ得る。
車内赤外線センサ32は、自動車4の車室内を赤外線で検出する。車内赤外線センサ32による検出情報には、自動車4に乗車している乗員による成分が含まれ得る。
着座センサ33は、自動車4の車室に設けられる不図示のドライバ用シートなどに乗員が着座しているか否かを検出できる。シート位置センサ34は、ドライバ用シートなどのシート位置を検出できる。着座センサ33やシート位置センサ34の検出値は、ドライバ用シートに着座している乗員の体格に応じて異なり得る。
温度センサ35は、自動車4の車室にいる乗員の体温などを検出できる。
GNSS受信機36は、図1に示すGNSS衛星101からの電波を受信し、自動車4の現在位置および現在時刻の情報を生成する。
加速度センサ37は、たとえば三軸のものでよい。三軸の加速度センサ37は、自動車4のピッチ、ロール、ヨーの各方向での加速度を検出できる。
車輪速センサ47は、自動車4の不図示の車輪の速度を検出する。自動車4が駐停車により停止している場合、車輪速センサ47の検出値は、速度「0」となる。
そして、検出制御装置21は、各センサの動作を制御し、各センサから検出値などの検出情報を取得する。また、検出制御装置21は、他の制御装置から、たとえば後述する操作制御装置からシフトセンサ44の検出値を取得してもよい。検出制御装置21は、検出情報から、他の情報を生成してもよい。
たとえば、検出制御装置21は、車内カメラ30による車内の撮像画像、車内Lidar31による車内の空間情報、車内赤外線センサ32の車内の検出情報、などに基づいて、自動車4のドライバ用シートなどに着座している乗員についての識別処理を実行してよい。また、検出制御装置21は、車内カメラ30による車内の撮像画像などに基づいて、識別した乗員の顔や目の画像成分に基づいて、乗員の視線方向や目の開き具合についての判定処理を実行してよい。これらの識別や判定には、乗員について既に登録されている画像などを用いてよい。このような処理を実行する検出制御装置21は、DMS(Driver Monitoring System)73として機能することができる。
なお、車内カメラ30、車内Lidar31、赤外線センサなどは、表示デバイス38の近くに配置されてよい。この場合、たとえば車内カメラ30は、表示デバイス38へ向いている乗員の顔を、略正面から撮像することができる。乗員の視線が表示デバイス38へ向いている場合に、それを確からしく撮像することができる。
【0019】
通信制御装置25には、通信デバイス46が接続される。
通信デバイス46は、車外のたとえば基地局8との間で無線通信路を確立し、確立している無線通信路を通じてサーバ装置2や管理者端末(12)を含む端末デバイス12などとの間で情報を送受する。通信デバイス46は、5G通信用のものでも、ADASやITSのためのものでも、よい。また、通信デバイス46は、近距離の無線通信が可能なものであってもよい。
そして、通信制御装置25は、通信デバイス46の動作を制御し、サーバ装置2や管理者端末(12)を含む端末デバイス12などとの間での情報の送受を実行する。このような通信制御装置25は、自動車4の管理者の管理者端末(12)と通信可能である。
【0020】
走行制御装置22は、自動車4の走行を制御する。走行制御装置22は、ドライバ用シートに着座している乗員による操作にしたがって自動車4の走行を制御しても、ドライバによらないで自動的に自動車4の走行を制御しても、よい。また、走行制御装置22は、ドライバによる操作を支援して、自動車4の走行を制御してもよい。
【0021】
空調制御装置23は、乗員の設定などに基づいて、自動車4において乗員が乗る車室の温度や湿度を制御する。
【0022】
操作制御装置26には、自動車4の走行を操作するための不図示のステアリング、ペダル、シフトレバー、パーキングブレーキ、などの操作部材が接続される。また、操作制御装置26には、シフトレバーの位置を検出するシフトセンサ44、パーキングブレーキの位置を検出するパーキングブレーキセンサ45が接続されてよい。
そして、操作制御装置26は、操作部材に対する乗員の操作を検出する。
たとえば、操作制御装置26は、シフトセンサ44からシフトレバーが操作されている位置を検出したり、パーキングブレーキセンサ45からパーキングブレーキが操作されている位置を検出したりしてよい。
【0023】
更新制御装置27は、自動車4で用いられるソフトウェアを更新するために自動車4に設けられる装置である。
【0024】
このように自動車4の制御系20は、更新制御装置27、入出力制御装置24、通信制御装置25などを有し、自動車4のソフトウェア更新装置として機能し得る。
【0025】
図3は、自動車の制御系に用いられる制御装置50の基本的な構成の説明図である。
図2に示す各種の制御装置50は、基本的に図3の構造を備えてよい。
図3の制御装置50は、内通信部51、タイマ52、CPU(Central Processing Unit)53、メモリ54、およびこれらが接続される内部バス55、を有する。
【0026】
内通信部51は、車ネットワーク28に接続される。内通信部51は、車ネットワーク28に接続されている他の制御装置との間で情報を送受する。
タイマ52は、時間および時刻を計測する。タイマ52の時刻は、GNSS受信機36が生成する時刻により校正されてよい。
CPU53は、メモリ54に記録されているプログラムを読み込んで実行する。これにより、CPU53は、制御装置50の制御部として機能する。
メモリ54は、HDD、不揮発性半導体メモリ、RAMなどで構成されてよい。メモリ54は、CPU53が実行するプログラム56、およびCPU53がプログラム56を実行するために使用する設定値57、パラメータ58、テーブル59などの各種のデータを記録する。メモリ54には、CPU53がプログラム56実行に用いるワークエリアが割り当てられてよい。
ここで、ソフトウェアは、プログラム56だけでなく、CPU53がプログラム56を実行するために使用する設定値57、パラメータ58、テーブル59などの各種のデータを含んでよい。
このように、自動車4の制御系20に設けられる各種の制御装置50は、メモリ54に記録されているプログラム56をCPU53が実行することにより、各々の制御を実現している。
【0027】
ところで、自動車4で用いるプログラム56といったソフトウェアは、基本的には自動車4の製造時において自動車4に固定化されているものであるが、その後に更新できるようにすることで、改善したり、機能追加したり、することが可能になる。
【0028】
図4は、図1のサーバ装置2と自動車4の制御系20との連携により自動車4のソフトウェアを更新する制御の一例のタイミングチャートである。
図4には、自動車4の制御系20に設けられる更新制御装置27、サーバ装置2、および、サーバ装置2に接続されるデータベース3、が記載されている。データベース3には、自動車4で用いることができる更新用のソフトウェアが記録されている。更新用のソフトウェアは、自動車4の制御系20に設けられる1つの制御装置の制御についてのものであっても、複数の制御装置の制御についてのものであっても、よい。
そして、図4において、時間は、上から下へ流れる。
【0029】
ステップST1において、自動車4の制御系20に設けられる更新制御装置27は、通信制御装置25および通信デバイス46を用いて、サーバ装置2との通信を開始する。たとえば、更新制御装置27は、それが設けられる自動車4についての未適用の新たな更新用のソフトウェアが、データベース3に記録されているか否かを、サーバ装置2に問い合わせる。サーバ装置2は、データベース3を探索し、探索結果を更新制御装置27へ返信する。探索結果には、未適用の更新用のソフトウェアの有無、未適用の更新用のソフトウェアについての情報などが含まれてよい。
【0030】
未適用の更新用のソフトウェアがある場合、更新制御装置27は、ステップST2において、未適用の更新用のソフトウェアをダウンロードにより取得する。たとえば、更新制御装置27は、更新用のソフトウェアのダウンロード要求を、サーバ装置2へ送信する。サーバ装置2は、要求に係る更新用のソフトウェアを、データベース3から取得し、更新制御装置27へ送信する。これにより、更新制御装置27は、自車に未適用の更新用のソフトウェアを取得できる。
【0031】
ステップST3において、更新制御装置27は、ダウンロードにより取得した更新用のソフトウェアを、メモリ54に記録する。ここでのメモリ54は、更新制御装置27のものでも、更新用のソフトウェアを適用する他の制御装置のものでもよい。
【0032】
ステップST4において、更新制御装置27は、メモリ54に記録した更新用のソフトウェアを、それが適用される制御装置50のメモリ54に展開する。これにより、更新用のソフトウェアは、それが適用される制御装置50において実行可能な状態になる。
【0033】
ステップST5において、更新制御装置27は、制御装置50のメモリ54に展開したソフトウェアについてのアクティベーションを実行する。これにより、更新用のソフトウェアが適用される制御装置50のCPU53は、そのメモリ54に展開されているソフトウェアを用いた制御を開始する。
【0034】
これにより、自動車4で用いるソフトウェアは、更新される。
ただし、自動車4のソフトウェアの更新は、基本的に自動車4の走行中に実行しないことが望まれる。自動車4の走行中に、CPU53が実行するプログラム56や、プログラム56の実行に使用する設定値57、パラメータ58が変更されてしまうことは、望ましいことではない。
【0035】
また、自動車4のソフトウェアの更新が自動車4の駐停車中に乗員に通知されて、その乗員が承諾することによりなされてしまうと、自動車4の管理などの面において管理者にとって望ましくない状況が生じ得る。たとえば、自動車4は、一般的に、その自動車4を購入などした人のみが使用するものではない。たとえば、会社が購入した自動車4を従業員が使用する場合、家長が購入した自動車4を扶養家族が使用する場合などの例が挙げられる。通知を受けた管理者以外の乗員が、ソフトウェアの更新についての承諾操作をしてしまうと、自動車4のソフトウェアは更新される。自動車4の管理者以外の人が自動車4のソフトウェアを更新してしまうと、自動車4の管理者は、自動車4を管理し難しくなる可能性がある。自動車4の管理者は、ソフトウェアが更新された自動車4と、ソフトウェアが更新されていない自動車4とを、特段の確認作業をすることなしに判別することは難しい。したがって、自動車4の管理者は、自動車4のソフトウェアが更新されたことについて気づきにくい。このように自動車4のソフトウェアの更新では、自動車4の管理者がその更新を適切に管理できるようにすることが望まれる。
【0036】
このように自動車4で用いるソフトウェアの更新には、改善が望まれる。
【0037】
次に、本実施形態での、自動車4で用いるソフトウェアの更新方法について説明する。
本実施形態では、更新制御装置27が、サーバ装置2からソフトウェアを取得して、自動車4で用いるソフトウェアを更新する場合について説明する。
なお、自動車4で用いるソフトウェアの更新制御は、自動車4の制御系20に設けられる他の制御装置により実行することも可能である。また、自動車4の制御系20に設けられる複数の制御装置が協働して、ソフトウェアの更新制御を実行してもよい。
また、更新に用いるソフトウェアは、USBメモリなどの記録媒体に記録されてもよい。
【0038】
図3に示すように、自動車4で用いるソフトウェアの更新制御を実行する更新制御装置27のメモリ54には、たとえばソフトウェアを更新する際に使用するデータとして、管理者情報60、音出力設定値61、端末送信情報62、更新案内情報63、予告案内情報64、などが記録されてよい。
【0039】
ここで、管理者情報60とは、自動車4の管理者についての情報である。管理者情報60には、たとえば、管理者の顔画像、年齢、眼鏡の有無、視力の値、声の録音データ、声紋などが含まれてよい。
音出力設定値61は、自動車4の管理者などにより設定された音出力の要否の設定値57である。
端末送信情報62は、管理者端末(12)へ送信する情報である。端末送信情報62には、管理者端末(12)で実行されるプログラム56が含まれてよい。ただし、管理者端末(12)に自動車4を管理するためのプログラム56がインストールされている場合には、端末送信情報62は、それを起動するためのトリガ情報としてよい。
更新案内情報63、予告案内情報64、および、承諾通知情報は、自動車4で用いられるソフトウェアを更新する際に管理者の承諾を得るために自動車4にいる管理者へ向けて出力する情報である。
更新案内情報63は、ソフトウェアの更新処理の内容を通知する画面の情報および音声の情報を含んでよい。ソフトウェアの更新処理の内容を通知する画面には、管理者が承諾または不承諾を選択する操作ボダンの情報が含まれてよい。
予告案内情報64は、ソフトウェアの更新処理を予告する画面の情報を含んでよい。
【0040】
図5は、本実施形態において図2の更新制御装置27が実行する自動車4のソフトウェア更新制御のフローチャートである。
更新制御装置27のCPU53は、図5のソフトウェア更新制御を、繰り返し実行する。CPU53は、たとえば自動車4に乗員が乗車している場合や、自動車4が不図示のイグニションボタンを操作されて走行可能な状態にある場合に、図5のソフトウェア更新制御を、繰り返し実行してよい。
図5のステップST1からステップST5は、図4と同じである。
【0041】
更新制御装置27のCPU53は、ステップST1においてサーバ装置2との通信を開始した後、ステップST11において未適用の更新用のソフトウェアがあるか否かを判断する。未適用の更新用のソフトウェアがない場合、CPU53は、本制御を終了する。未適用の更新用のソフトウェアがある場合、CPU53は、処理をステップST12へ進める。
ステップST12において、CPU53は、未適用の更新用のソフトウェアがあることを記録するために、更新フラグを「1」に更新する。更新フラグの初期値は、未適用の更新用のソフトウェアがない場合と同様の「0」でよい。更新フラグは、更新制御装置27のメモリ54に記録されてよい。なお、更新フラグは、後述する図6のステップST34において「0」に更新される。
ステップST13において、CPU53は、承諾フラグが「1」に更新されているか否かを判断する。承諾フラグは、更新用のソフトウェアの更新についての管理者の承諾の有無を示すものである。管理者が承諾している場合、承諾フラグは「1」に更新される。管理者が承諾していない場合、承諾フラグは「0」に更新される。承諾フラグの初期値は「0」でよい。承諾フラグは、更新制御装置27のメモリ54に記録されてよい。
そして、承諾フラグが「1」に更新されていない場合、CPU53は、ステップST13の判断処理を繰り返す。承諾フラグが「1」に更新されると、CPU53は、処理をステップST2へ進める。
【0042】
ステップST2において未適用の更新用のソフトウェアをサーバ装置2からダウンロードして取得し、さらにステップST3においてそれをメモリ54に記録した後、CPU53は、ステップST14において承諾フラグを「0」に更新し、更新フラグを「1」に更新する。
ステップST15において、CPU53は、承諾フラグが「1」に更新されているか否かを判断する。そして、承諾フラグが「1」に更新されていない場合、CPU53は、ステップST15の判断処理を繰り返す。承諾フラグが「1」に更新されると、CPU53は、処理をステップST4へ進める。
【0043】
ステップST4においてメモリ54に記録している更新用のソフトウェアを展開した後、CPU53は、ステップST16において承諾フラグを「0」に更新し、更新フラグを「1」に更新する。
ステップST17において、CPU53は、承諾フラグが「1」に更新されているか否かを判断する。そして、承諾フラグが「1」に更新されていない場合、CPU53は、ステップST17の判断処理を繰り返す。承諾フラグが「1」に更新されると、CPU53は、処理をステップST5へ進める。
ステップST5において、CPU53は、展開している更新用のソフトウェアのアクティベーション処理を実行する。これにより、更新用のソフトウェアは、それが適用される制御装置50のCPU53により実行され、制御に使用される。
その後、CPU53は、本制御を終了する。
【0044】
このように更新制御装置27のCPU53は、自動車4のソフトウェアを更新するための処理を、自動車4において更新のためのソフトウェアを取得する処理を実行する場合と、自動車4に取得しているソフトウェアを自動車4に展開する処理と、自動車4に展開したソフトウェアの実行へ切り替える処理、との複数の段階に分ける。そして、CPU53は、各段階のソフトウェアの更新処理を実行する前に、自動車4のソフトウェアの更新処理についての承諾を得る。
【0045】
図6は、図2の更新制御装置27による、ソフトウェア更新のための承諾制御のフローチャートである。
更新制御装置27のCPU53は、CPU53は、各段階のソフトウェアの更新処理を実行する前に、自動車4のソフトウェアの更新処理についての承諾を得るために、図6の承諾制御を、繰り返し実行する。
【0046】
ステップST21において、CPU53は、更新フラグが「1」であるか否かを判断する。更新フラグは、図5に示す各段階での自動車4のソフトウェアの更新処理がある場合に、ステップST12、ステップST14、およびステップST16の処理により「1」に更新される。
【0047】
ステップST22において、CPU53は、事前確認処理を実行する。事前確認処理の詳細は、図7において説明する。
【0048】
ステップST23において、CPU53は、メモリ54に記録されている管理者の音出力設定値61に基づいて、音出力の要否を判断する。これにより、CPU53は、設定判断処理として、視認能力判断処理の前に、自動車4において取得可能な乗員についての音出力の設定情報を取得して、音による案内通知の出力の要否を判断する処理を実行することができる。音を出力する設定値57である場合、CPU53は、処理をステップST27へ進める。音を出力しない設定値57である場合、CPU53は、処理をステップST24へ進める。
【0049】
ステップST24において、CPU53は、自動車4に乗車している管理者による、自動車4のソフトウェアの更新処理の案内表示についての視認能力を判断する視認能力判断処理、を実行する。
CPU53は、たとえば、メモリ54に記録されている管理者情報60に基づいて、管理者の視認能力を判断してよい。この場合、CPU53は、乗員の年齢が所定の年齢、たとえば60歳以上であるか否かに基づいて、管理者の視認能力を判断してよい。
また、CPU53は、車内カメラ30の撮像画像に基づいて、管理者の視認能力を判断してよい。この場合、CPU53は、管理者が表示デバイス38を視認する際に目を細める挙動をしているか否かに基づいて、管理者の視認能力を判断してよい。
【0050】
ステップST25において、CPU53は、ステップST24で判断した管理者の視認能力について、その有無を判断する。
CPU53は、たとえば、乗員の年齢が所定の年齢以上である場合、または、目を細める挙動をしている場合、視認能力が十分ではないと判断し、処理をステップST27へ進める。CPU53は、音出力設定値61に関わらず、処理をステップST27へ進める。
CPU53は、これらのいずれの場合でもない場合、視認能力が十分であると判断し、処理をステップST26へ進める。
【0051】
ステップST26において、CPU53は、入出力制御装置24を通じて、表示デバイス38に、自動車4のソフトウェアの更新処理の案内通知を表示する。表示デバイス38は、自動車4のソフトウェアの更新処理の案内通知を表示する。ここで表示デバイス38に表示される案内表示は、上述した視認能力判断処理の判断基準において容易に視認可能な文字のサイズで、通常表示されてよい。
また、案内表示には、管理者等の乗員が承諾または不承諾を選択するための複数の操作ボタンの画像が、入力操作不能な状態で表示されてよい。
このように、CPU53は、設定判断処理において音による案内通知の出力が不要であると判断する場合には、視認能力判断処理の判断に基づいて、自動車4のソフトウェアの更新処理の案内通知を通常表示で出力する。
その後、CPU53は、処理をステップST30へ進める。
【0052】
ステップST27において、CPU53は、表示デバイス38が、たとえばナビゲーション設定などのために使用中であるか否かを判断する。表示デバイス38が使用中である場合、CPU53は、本処理を繰り返し実行する。表示デバイス38が使用中でない場合、または使用中でなくなる場合、CPU53は、処理をステップST28へ進める。
【0053】
ステップST28において、CPU53は、入出力制御装置24を通じて、表示デバイス38に、自動車4のソフトウェアの更新処理の案内通知を表示する。CPU53は、入出力制御装置24を通じて、表示デバイス38に、自動車4のソフトウェアの更新処理の案内通知を表示する際に、自動車4の乗員が表示デバイス38を使用している場合には、表示デバイス38の使用が終わってから、表示デバイス38に、自動車4のソフトウェアの更新処理の案内通知を表示する。
表示デバイス38は、自動車4のソフトウェアの更新処理の案内通知を表示する。ここで表示デバイス38に表示される案内表示は、上述したステップST26の通常表示より文字のサイズを大きくしたものでよい。また、文字数を削減してよい。
また、案内表示には、管理者等の乗員が承諾または不承諾を選択するための複数の操作ボタンの画像が、入力操作不能な状態で表示されてよい。
このようにCPU53は、視認能力判断処理において乗員が案内表示を視認できる能力があると判断できない場合には、表示デバイス38に、ステップST26の第一の案内通知の表示と比べて視認性が高められている第二の案内通知を表示する。
【0054】
ステップST29において、CPU53は、入出力制御装置24を通じて、音出力デバイスから、音による案内通知を出力する。
このように、CPU53は、設定判断処理において音による案内通知の出力が必要であると判断する場合には、自動車4のソフトウェアの更新処理の案内通知を音により出力する。
また、CPU53は、視認能力判断処理の判断に基づいて、音による案内通知の出力が必要であると判断する場合には、自動車4のソフトウェアの更新処理の案内通知を音により出力する。
その後、CPU53は、処理をステップST30へ進める。
【0055】
ステップST30において、CPU53は、管理者に対する案内を終了するか否かを判断する。管理者に対する案内を終了すると判断しない場合、CPU53は、本処理を繰り返す。CPU53は、基本的に、表示デバイス38に案内通知を表示し、音による案内通知の出力を終えると、管理者に対する案内を終了すると判断してよい。この場合、CPU53は、処理をステップST31へ進める。
【0056】
ステップST31において、CPU53は、管理者による自動車4のソフトウェアの更新処理についての承諾入力を可能にする。CPU53は、表示デバイス38の案内表示に表示している複数の操作ボタンについて、入力操作可能な状態としてよい。これにより、管理者は、タッチパネルを操作して、自動車4のソフトウェアの更新処理についての承諾または不承諾を入力操作することができる。
【0057】
ステップST32において、CPU53は、ステップST31において管理者が入力操作したものが、自動車4のソフトウェアの更新処理についての承諾であるか否かを判断する。管理者が承諾を入力している場合、CPU53は、処理をステップST33へ進める。管理者が不承諾を入力している場合、CPU53は、本制御を終了する。この場合、CPU53は、更新フラグを「1」にしたまま、かつ、承諾フラグを「0」にしたまま、本制御を終了することになる。自動車4のソフトウェアの更新処理は、実行されない。
【0058】
ステップST33において、CPU53は、承諾フラグを「1」に更新する。これにより、承諾を求めていた自動車4のソフトウェアの更新処理は、実行される。
【0059】
ステップST34において、CPU53は、更新フラグを「0」に更新する。その後、CPU53は、本制御を終了する。
【0060】
このように、CPU53は、図5および図6の制御により、管理者から承諾の入力を取得するために自動車4のソフトウェアの更新処理の案内通知を出力し、管理者から承諾の入力がある場合には、自動車4のソフトウェアを更新するための処理を実行する。
これに対し、管理者から承諾の入力がない場合には、CPU53は、今回の承諾制御においては、自動車4のソフトウェアを更新するための処理を中断することになる。
また、CPU53は、管理者から承諾の入力を取得する前に、管理者の視認能力を判断する。そして、視認能力が十分である場合には、CPU53は、音による案内通知を実行しない。CPU53は、視認能力が不足している場合においてのみ、音による案内通知を実行する。CPU53は、視認能力が十分にあるたとえば年齢が若い管理者に対して、音による案内通知を過剰に実行しないようにできる。
【0061】
図7は、図6のステップST22の事前確認処理において図2の更新制御装置27が実行する事前確認制御のフローチャートである。
CPU53は、自動車4のソフトウェアを更新するための管理者から承諾の入力を取得する前に、図7の事前確認制御を実行する。
【0062】
ステップST41において、CPU53は、今回のソフトウェアの更新処理が、図5のステップST5のアクティベーションであるか否かを判断する。今回のソフトウェアの更新処理がアクティベーションである場合、CPU53は、処理をステップST42へ進める。今回のソフトウェアの更新処理がアクティベーション以外である場合、CPU53は、処理をステップST44へ進める。アクティベーション以外のソフトウェアの更新処理には、たとえば、図5のステップST2のソフトウェアのダウンロード処理、ステップST4のソフトウェアの展開処理、がある。
【0063】
ステップST42において、CPU53は、自動車4の現在位置が、予めメモリ54に登録されている地点であるか否かを判断する。自動車4の現在位置には、たとえばGNSS受信機36が生成する位置を用いてよい。
管理者は、たとえば図1のような自宅敷地10などの位置を、予めメモリ54に登録してよい。自動車4の現在位置が登録地点でない場合、CPU53は、本処理を繰り返す。自動車4の現在位置が登録地点になると、CPU53は、処理をステップST43へ進める。
【0064】
ステップST43において、CPU53は、自動車4の現在時刻が、予めメモリ54に登録されている時間帯であるか否かを判断する。管理者は、たとえば自動車4を使用する頻度が低い時間帯、たとえば夜間の時間帯を、予めメモリ54に登録してよい。自動車4の現在時刻が登録時間帯でない場合、CPU53は、処理をステップST42へ戻す。自動車4の現在時刻が登録時間帯になると、CPU53は、処理をステップST44へ進める。この場合、自動車4は、登録時間帯において登録地点にいることになる。
【0065】
ステップST44において、CPU53は、乗車判断処理として、自動車4にその管理者が乗車しているか否かを判断する。CPU53は、たとえば車内カメラ30の撮像画像について乗員の抽出処理を実行し、抽出した乗員の特徴と予めメモリ54に記録されている管理者情報60とを照合し、それらの合致度を判定してよい。そして、管理者情報60との合致度が閾値以上となる乗員が、撮像画像に撮像されている場合、CPU53は、自動車4に管理者が乗車していると判断してよい。この場合、CPU53は、処理をステップST46へ進める。これに対し、管理者情報60との合致度が閾値以上とならない乗員が、撮像画像に撮像されている場合、CPU53は、自動車4に管理者が乗車していないと判断してよい。この場合、CPU53は、処理をステップST45へ進める。また、車内カメラ30の撮像画像において乗員を抽出できない場合、CPU53は、自動車4に管理者が乗車していないと判断してよい。この場合、CPU53は、処理をステップST45へ進めてよい。
【0066】
ステップST45において、CPU53は、管理者端末(12)を用いた管理者の承諾処理を実行する。CPU53は、たとえばソフトウェアの更新処理についての案内画面を管理者端末(12)へ送信して表示し、それに対する管理者端末(12)への管理者の承諾入力の情報を取得してよい。なお、管理者端末(12)に予め自動車4を管理するためのアプリケーションプログラムがインストールされている場合、CPU53は、そのアプリケーションプログラムの実行指示を、管理者端末(12)へ送信してよい。その後、CPU53は、処理を図5のステップST32へ進める。CPU53は、管理者端末(12)から取得した承諾に関する情報が、承諾であるか否かを判断し、承諾である場合には承諾フラグを「1」に更新する。また、CPU53は、ソフトウェアの更新処理を実行することができる。
【0067】
ステップST46において、CPU53は、体調判断処理として、乗車判断処理において自動車4に乗車していると判断する管理者の体調を判定する。
CPU53は、たとえば車内カメラ30の撮像画像について抽出している管理者の画像成分に基づいて、管理者の体調を判定してよい。管理者の体調が良い場合、管理者は、たとえばドライバ用シートに正しく着座することができる。これに対し、管理者の体調が良くない場合、管理者は、たとえばドライバ用シートに傾いて着座することがある。CPU53は、ドライバ用シートにおける管理者の着座姿勢に基づいて、管理者の体調を判定してよい。
CPU53は、車内赤外線センサ32による管理者の検出情報に基づいて、管理者の体調を判定してよい。赤外線により管理者等の乗員を検出する場合、その検出情報には、乗員の脈拍などの体調に関する情報が含まれ得る。CPU53は、脈拍が正常値の範囲内であるか否かに基づいて、乗員の体調を判定してよい。
【0068】
ステップST47において、CPU53は、管理者の体調の良否を判断する。管理者の体調が良好である場合、CPU53は、処理をステップST48へ進める。管理者の体調が良好でない場合、CPU53は、処理を図6へ戻す。CPU53は、承諾フラグを「1」に更新することなく、図6の承認処理を終了する。この場合、CPU53は、管理者の体調が良好とはいえない場合には、ソフトウェアの更新処理についての案内を、管理者へ通知しない。
【0069】
ステップST48において、CPU53は、自動車4が走行中であるか否かを判断する。
CPU53は、車輪速を検出する車輪速センサ47の検出値や、シフトレバーのシフト状態を検出するシフトセンサ44の検出値に基づいて、自動車4が走行中であるか否かを判断してもよい。
この他にもたとえば、CPU53は、加速度センサ37の検出値が「0」であるか否かに基づいて、自動車4が走行中であるか否かを判断してよい。
そして、自動車4が走行中である場合、CPU53は、処理をステップST49へ進める。自動車4が走行中でない場合、CPU53は、処理をステップST50へ進める。
【0070】
ステップST49において、CPU53は、入出力制御装置24を通じて、表示デバイス38に、自動車4のソフトウェアの更新処理の予告案内通知を表示する。これにより、CPU53は、自動車4が走行中である場合には、自動車4のソフトウェアの更新処理の案内通知ではなく、その予告を通知表示することができる。
【0071】
ステップST50において、CPU53は、自動車4が停車中であるか否かを判断する。
CPU53は、車輪速を検出する車輪速センサ47の検出値や、シフトレバーのシフト状態を検出するシフトセンサ44の検出値に基づいて、自動車4が停車中であるか否かを判断してよい。
この他にもたとえば、CPU53は、加速度センサ37の検出値が「0」であるか否かに基づいて、自動車4が停車中であるか否かを判断してよい。
そして、自動車4が停車中でない場合、CPU53は、本処理を繰り返す。
自動車4が停車中になると、CPU53は、図7の事前確認制御を終了し、処理を図6のステップST23へ進める。
【0072】
このようにCPU53は、図6および図7の制御により、予告案内を通知した後に自動車4が走行中でなくなった場合に、設定判断処理および視認能力判断処理を実行して、自動車4のソフトウェアの更新処理の案内通知を出力する、ことができる。
【0073】
また、CPU53は、乗車判断処理において管理者が乗車していると判断する場合には、自動車4が走行中ではない停車中のタイミングにおいて、入出力制御装置24を通じて、自動車4に設けられる出力デバイスから、自動車4のソフトウェアの更新処理の案内通知を出力することができる。これに対し、自動車4に管理者が乗車していないと判断する場合には、CPU53は、通信制御装置25を通じて、管理者端末(12)から、自動車4のソフトウェアの更新処理の案内通知を出力することができる。そして、これらのソフトウェアの更新処理の案内通知を出力した後に、CPU53は、自動車4のソフトウェアを更新するための処理を実行することができる。
【0074】
また、CPU53は、体調判断処理において自動車4の管理者の体調が良であると判断する場合には、入出力制御装置24を通じて、自動車4に設けられる出力デバイスから、自動車4のソフトウェアの更新処理の案内通知を出力する。これに対し、自動車4の管理者の体調が良でないと判断する場合には、CPU53は、自動車4のソフトウェアの更新処理の案内通知出力を止めて、今回の自動車4のソフトウェアの更新処理を中断する、ことができる。
【0075】
図8は、図6のステップST30の案内終了判断処理において図2の更新制御装置27が実行する案内終了判断制御のフローチャートである。
CPU53は、自動車4において入出力制御装置24を通じて自動車4のソフトウェアの更新処理の案内通知を管理者へ向けて出力し始めた後、管理者から承諾入力を許可する前に、図8の案内終了判断制御を実行する。
【0076】
ステップST61において、CPU53は、音声による通知が終了しているか否かを判断する。管理者に視認能力がある場合、CPU53は、音声による通知を出力していない。また、管理者に視認能力がない場合、CPU53は、音声による通知を出力している。音声による通知は、所定の時間で出力し終える。このように音声による通知を出力していない場合、または、音声による通知が終了している場合、CPU53は、音声による通知が終了していると判断し、処理をステップST64へ進める。これに対し、音声による通知の出力中である場合、CPU53は、音声による通知が終了していないと判断し、処理をステップST62へ進める。
【0077】
ステップST62において、CPU53は、視認判断処理として、自動車4に乗車している管理者による案内通知の表示についての視認状態を判定する。
CPU53は、たとえば、車内カメラ30の撮像画像に基づいて、管理者の視線方向を判定することができる。管理者の視線方向が表示デバイス38の方向である場合、CPU53は、案内通知の表示を視認していると判定してよい。
【0078】
ステップST63において、CPU53は、自動車4に乗車している管理者による案内通知の表示について視認しているか否かを判断する。
CPU53は、たとえば、案内通知の表示を連続的に視認している視認期間が閾値以上である場合、管理者が案内通知を認知していると判断してよい。この場合、CPU53は、処理をステップST64へ進める。CPU53は、案内通知の出力中に繰り返される視認判断処理において管理者が通知を視認していると判断する場合には、音声による案内通知を出力し終える前でも、処理をステップST64へ進める。
これに対し、視認期間が閾値以上となっていない場合、CPU53は、管理者が案内通知を認知していると判断しない。この場合、CPU53は、処理をステップST61へ戻す。CPU53は、管理者が案内通知を認知していると判断できるようになるまで、ステップST61からステップST63の処理を繰り返しに実行する。
【0079】
ステップST64において、CPU53は、乗車再判断処理として、自動車4に管理者が乗車しているか否かを再度判断する。
自動車4に管理者が乗車している場合、CPU53は、図8の案内終了判断制御を終了し、処理を図6のステップST31へ進める。すなわち、CPU53は、管理者が案内通知をしている現時点においても乗車していると判断する場合には、ステップST31において管理者による承諾入力を許可する。
これに対し、自動車4に管理者が乗車していない場合、CPU53は、図8の案内終了判断制御を終了し、さらに図6の制御を終了する。この場合、CPU53は、自動車4のソフトウェアの更新処理の案内通知の出力を止めて、今回の自動車4のソフトウェアを更新するための処理を中断する、ことになる。
【0080】
このようにCPU53は、案内通知の前後において自動車4に対するその管理者の乗車の有無を判断する。これにより、案内通知の前で管理者の乗車を判断したタイミングから時間が経過している場合でも、管理者に対して更新案内を通知することができる。
【0081】
次に、上述したソフトウェアの更新制御において表示デバイス38に表示される各種の画面について説明する。
【0082】
図9は、図7のステップST49において表示デバイス38に表示される予告案内画面81の一例である。
予告案内画面81には、ソフトウェアの更新待ち状態にあることを通知するメッセージが表示される。
【0083】
図10は、図6のステップST26において表示デバイス38に表示される通常の更新案内画面82の一例である。
通常の更新案内画面82には、ソフトウェアの更新処理を実行すること通知するメッセージとともに、その更新処理の承諾ボタン83と、不承諾ボタン84と、が表示される。この時点では、承諾ボタン83と、不承諾ボタン84とは、破線で示すように、乗員が操作することができない選択不能な状態で表示されている。
【0084】
図11は、図6のステップST31において承諾入力を許可している状態での、通常の更新案内画面82の一例である。
図11において、承諾ボタン83と、不承諾ボタン84とは、実線で示されており、乗員が操作することができる選択可能な状態で表示されている。
【0085】
図12は、図6のステップST28において表示デバイス38に表示される、視認性を向上させた更新案内画面85の一例である。
視認性を向上させた更新案内画面85には、ソフトウェアの更新処理を実行すること通知するメッセージとともに、その更新処理の承諾ボタン86と、不承諾ボタン87と、が表示される。この時点では、承諾ボタン86と、不承諾ボタン87とは、破線で示すように、乗員が操作することができない選択不能な状態で表示されている。また、メッセージの文字やボタンの文字は、図10の通常の更新案内画面82のものより、拡大されている。また、メッセージの文字数やボタンの文字数は、図10の通常の更新案内画面82のものより、削減されている。これにより、高齢の管理者であっても、表示デバイス38を一瞥するだけで、ソフトウェアの更新処理が実行されようとしていることを容易に理解することができる。
【0086】
図13は、図6のステップST31において承諾入力を許可している状態での、視認性を向上させた予告案内画面85の一例である。
図13において、承諾ボタン86と、不承諾ボタン87とは、実線で示されており、乗員が操作することができる選択可能な状態で表示されている。
【0087】
図14は、上述した本実施形態の制御を、OTA(Over the Air)センタ71とOTAマスタ72との連携に適用する場合の説明図である。
図14において、サーバ装置2は、OTAセンタ71と、バックエンド75と、を有する。
また、自動車4は、OTAマスタ72と、DMS73と、ヘッドユニット74と、を有する。
【0088】
OTAセンタ71とOTAマスタ72とは、それらが連携して、サーバ装置2に接続されているデータベース3の更新用のソフトフェアを、サーバ装置2から自動車4へダウンロードするための制御を実行するものである。
この場合、自動車4のOTAマスタ72は、図5のソフトウェア更新制御などを実行して、サーバ装置2から更新用のソフトフェアをダウンロードし、展開し、アクティベートする制御を実行してよい。
【0089】
そして、このようにOTAセンタ71とOTAマスタ72とを用いて、本実施形態の詳述した一連の制御を実行する場合、自動車4のOTAマスタ72は、図6から図8の承認制御を実行することになる。
また、OTAマスタ72は、図5のステップST1において、サーバ装置2のOTAセンタ71との間で通信して、未適用の更新用のソフトフェアの有無を確認してよい。
また、OTAマスタ72は、たとえば図7のステップST44、ステップST46、図6のステップST25、図8のステップST62、ステップST64などの処理を、DMS73による乗員の撮像画像を用いて実行すればよい。
また、OTAマスタ72は、たとえば図7のステップST49の予告案内、図6のステップST26またはステップST28の更新案内などを、ヘッドユニット74に表示してよい。
【0090】
以上のように、本実施形態では、自動車4で用いられるソフトウェアを更新するために自動車4に設けられる、自動車4のソフトウェア更新装置としての制御系20は、自動車4のソフトウェアを更新する処理を実行する更新制御装置27、自動車4に設けられる出力デバイスを制御する入出力制御装置24、および、自動車4の管理者の管理者端末(12)と通信可能な通信制御装置25、を有する。そして、更新制御装置27のCPU53は、自動車4のソフトウェアを更新するための処理を実行する前に、自動車4にその管理者が乗車しているか否かを判断する乗車判断処理、を実行する。
また、CPU53は、乗車判断処理において管理者が乗車していると判断する場合には、自動車4が走行中ではないタイミングにおいて、入出力制御装置24を通じて、自動車4に設けられる出力デバイスから、自動車4のソフトウェアの更新処理の案内通知を出力する。これに対し、乗車判断処理において管理者が乗車していないと判断する場合には、CPU53は、通信制御装置25を通じて、自動車4の管理者の管理者端末(12)から、自動車4のソフトウェアの更新処理の案内通知を出力する。これらの自動車4のソフトウェアの更新処理の案内通知を出力した後に、CPU53は、自動車4のソフトウェアを更新するための処理を実行する。
これにより、たとえば自動車4に管理者以外の乗員が乗車している場合には、その自動車4において、自動車4のソフトウェアの更新処理の案内通知を出力しないようにできる。自動車4の管理者以外の乗員は、自動車4のソフトウェアを更新しないようにできる。しかも、本実施形態では、自動車4に管理者以外の乗員が乗車している場合には、その更新通知を止めるのではなく、自動車4の管理者の管理者端末(12)に、自動車4のソフトウェアの更新処理の案内通知を出力する。したがって、自動車4のソフトウェアを更新可能な場合には、自動車4の管理者は、その自動車4を使用していなくても、その更新の通知を受けて、自動車4のソフトウェアを即時的に更新することが可能である。
また、CPU53は、管理者から承諾の入力がある場合には、自動車4のソフトウェアを更新するための処理を実行し、管理者から承諾の入力がない場合には、今回の自動車4のソフトウェアを更新するための処理を中断する。
その結果、自動車4の管理者は、たとえば、それ以外の人が自動車4のソフトウェアを更新してしまうことがなくなり、自動車4を容易に管理することができる。また、自動車4の管理者は、自らに通知がされることにより、自動車4のソフトウェアが更新されたことを把握できる。自動車4の管理者は、ソフトウェアが更新された自動車4と、ソフトウェアが更新されていない自動車4とを、特段の作業をすることなしに容易に判別することができる。自動車4の管理者は、自動車4のソフトウェアの更新を適切に管理することができる。
特に、本実施形態では、ソフトウェアの更新を、基本的に、自動車4において更新のためのソフトウェアを取得する処理と、取得しているソフトウェアを自動車4に展開する処理と、自動車4に展開したソフトウェアの実行へ切り替える処理との、複数の段階に分けて、各段階の実行の前に、自動車4のソフトウェアの更新処理の案内通知を出力する。これにより、これらの処理を1回の承諾で連続的に実施する必要がなくなる。各承諾の下でのソフトウェアの更新処理の時間は、短くなる。管理者は、一連のすべての更新処理を一度に待つことなく、短い待ち時間の後に、自動車4の走行を開始することができる。本実施形態のCPU53は、自動車4のソフトウェアの更新処理の案内を通知するために、自動車4の利用を阻害し難くなる。
【0091】
本実施形態では、乗車判断処理において自動車4に乗車していると判断する場合、CPU53は、さらに、管理者の体調の良否を判断する体調判断処理、を実行する。そして、体調判断処理において自動車4の管理者の体調が良であると判断する場合には、CPU53は、入出力制御装置24を通じて、自動車4に設けられる出力デバイスから、自動車4のソフトウェアの更新処理の案内通知を出力する。これに対し、体調判断処理において自動車4の管理者の体調が良でないと判断する場合には、CPU53は、自動車4のソフトウェアの更新処理の案内通知出力を止めて、今回の自動車4のソフトウェアを更新するための処理を中断する。この場合、CPU53は、次回のタイミングにおいて、自動車4のソフトウェアの更新処理の案内通知を出力することになる。
これにより、CPU53は、たとえば自動車4の管理者の体調が優れない場合に、その優れない体調の管理者に対して自動車4のソフトウェアの更新処理の案内を通知しないようできる。優れない体調の管理者に対する負担を軽減できる。管理者は、体調が良い状態で、自動車4のソフトウェアの更新処理の案内通知を受けて、自動車4のソフトウェアの更新状態を確実に把握することができる。
このように本実施形態では、自動車4の管理者が、自動車4のソフトウェアの更新について適切に管理することが可能になる。
【0092】
本実施形態において、自動車4に設けられる入出力制御装置24は、自動車4に設けられる出力デバイスとともに入力デバイスを制御する。そして、CPU53は、入出力制御装置24を通じて自動車4のソフトウェアの更新処理の案内通知を出力し始めるとともに、自動車4に乗車している管理者による案内通知の表示についての視認の有無を判断する視認判断処理を繰り返し実行する。また、案内通知の出力中に繰り返される視認判断処理において管理者が通知を視認していると判断する場合には、CPU53は、案内通知が出力し終える前でも、入力デバイスからの管理者の承諾入力を可能にする。また、入力デバイスから管理者の承諾が入力されると、自動車4のソフトウェアを更新するための処理を実行する。
これにより、管理者は、自動車4のソフトウェアの更新処理の案内通知を視認すれば、その案内通知の終了を待つことなく、入力デバイスから承諾を入力することができる。また、入出力制御装置24は、入力デバイスから管理者の承諾が入力されると、自動車4のソフトウェアを更新するための処理を実行することができる。管理者は、たとえば案内通知が終了することを常に待つことなく、承諾入力をして、自動車4の走行を開始することができる。本実施形態のCPU53は、自動車4のソフトウェアの更新処理の案内を通知するために、自動車4の利用を阻害し難くなる。
【0093】
本実施形態において、出力デバイスは、表示により通知を出力可能な表示デバイス38である。CPU53は、自動車4のソフトウェアの更新処理の案内通知を表示デバイス38から出力し始めた後の視認判断処理において、表示デバイス38に表示している案内通知についての自動車4の乗員による視認期間に基づいて、自動車4の乗員が案内通知を視認していることを判断する。
さらに、CPU53は、自動車4に管理者が案内通知をしている現時点においても乗車しているか否かを再度判断する乗車再判断処理を実行する。そして、CPU53は、乗車再判断処理において管理者が案内通知をしている現時点においても乗車していると判断しない場合には、自動車4のソフトウェアの更新処理の案内通知出力を止めて、今回の自動車4のソフトウェアを更新するための処理を中断する。承諾入力を許可しない。
自動車4のソフトウェアの更新処理は、基本的に、自動車4が走行していない状態において実行することが望ましいと考えられている。したがって、案内通知前に自動車4にその管理者が乗車しているか否かを最初に判断したタイミングから、案内通知後に承諾入力を許可するタイミングまでに、一定の時間が経過している可能性がある。この間に、自動車4の乗員が交代してしまっている可能性がある。このような交代があった場合、仮にたとえば単に自動車4の乗員が案内通知を視認していることのみに基づいて管理者による承諾入力を許可してしまうと、承諾を入力する時点での自動車4の乗員が管理者ではなくなる。管理者以外の乗員が、自動車4のソフトウェアの更新処理を承諾できるようになってしまう。本実施形態では、このような時間経過があったとしても、管理者による承諾を受け付けるようにすることができる。
【0094】
以上の実施形態は、本発明の好適な実施形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形または変更が可能である。
【符号の説明】
【0095】
1…ソフトウェア更新システム、2…サーバ装置、4…自動車(車両)、5…通信網、7…中継装置、8…基地局、9…道路、10…自宅敷地、11…歩行者(管理者)、12…端末デバイス(管理者端末)、20…制御系(ソフトウェア更新装置)、21…検出制御装置、22…走行制御装置、23…空調制御装置、24…入出力制御装置、25…通信制御装置、26…操作制御装置、27…更新制御装置、28…車ネットワーク、30…車内カメラ、31…車内Lidar、32…車内赤外線センサ、33…着座センサ、34…シート位置センサ、35…温度センサ、36…GNSS受信機、37…加速度センサ、38…表示デバイス(出力デバイス)、39…操作デバイス(入力デバイス)、40…スピーカ(音出力デバイス)、41…マイクロホン(音入力デバイス)、44…シフトセンサ、45…パーキングブレーキセンサ、46…通信デバイス、47…車輪速センサ、50…制御装置、51…内通信部、52…タイマ、53…CPU、54…メモリ、55…内部バス、56…プログラム、57…設定値、58…パラメータ、59…テーブル、60…管理者情報、61…音出力設定値、62…端末送信情報、63…更新案内情報、64…予告案内情報、71…OTAセンタ、72…OTAマスタ、73…DMS、74…ヘッドユニット、75…バックエンド、81…予告案内画面、82…通常の更新案内画面、83…承諾ボタン、84…不承諾ボタン、85…視認性を向上させた更新案内画面、86…承諾ボタン、87…不承諾ボタン、101…GNSS衛星


図1
図2
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