(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063626
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】卵検出機構及び卵計数装置
(51)【国際特許分類】
A01K 45/00 20060101AFI20240502BHJP
【FI】
A01K45/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171721
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】522044250
【氏名又は名称】株式会社エヌ・ビー・エル
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(74)【代理人】
【識別番号】100227673
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 光起
(72)【発明者】
【氏名】南部 邦男
(57)【要約】
【課題】簡単な構成でありながら、搬送ベルト上の卵を精度よく検出できるようにする。
【解決手段】非導電性材料からなる搬送ベルト12により運ばれる卵Eを検出するものであって、搬送ベルト12の下面側に設けられた下電極21と、搬送ベルト12の上面側において卵Eの通過を妨げずに下電極21に対向して設けられた上電極22と、下電極21及び上電極22間の静電容量の変化に基づいて、搬送ベルト12上の卵Eを検出する卵検出部23とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非導電性材料からなる搬送ベルトにより運ばれる卵を検出するものであって、
前記搬送ベルトの下面側に設けられた下電極と、
前記搬送ベルトの上面側において前記卵の通過を妨げずに前記下電極に対向して設けられた上電極と、
前記下電極及び前記上電極間の静電容量の変化に基づいて、前記搬送ベルト上の卵を検出する卵検出部とを備える、卵検出機構。
【請求項2】
前記搬送ベルトを駆動するベルト駆動装置は、運転信号又は搬送距離信号を発生するものであり、
前記卵検出機構は、前記卵検出部による卵検出信号と前記運転信号又は前記搬送距離信号とを紐付けて記録する記録部をさらに備える、請求項1に記載の卵検出機構。
【請求項3】
前記下電極は、前記搬送ベルトの下面に接触して前記搬送ベルトを支持する接触支持面を有する、請求項1又は2に記載の卵検出機構。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の卵検出機構を前記搬送ベルトの搬送方向と直交する幅方向に複数配置し、
前記複数の卵検出機構により得られた卵検出信号に基づいて、前記搬送ベルトにより運ばれる卵の個数をカウントする、卵計数装置。
【請求項5】
前記複数の卵検出機構において、前記上電極をそれぞれ設けるとともに、前記下電極を1つの共通電極としている、請求項4に記載の卵計数装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卵検出機構及び卵計数装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、集卵ベルトにより搬送される卵をカウントするものとしては、特許文献1に示すように、反射型などのフォトセンサを用いたものが考えられている。
【0003】
しかしながら、フォトセンサを用いたものでは、鶏舎内の羽毛等のゴミや粉塵等の汚れまた外乱光に影響されやすく、カウントミスが発生する恐れがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、鶏舎内の羽毛等のゴミ、粉塵や外乱光の影響を受けることなく卵を精度良く検出できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明に係る卵検出機構は、非導電性材料からなる搬送ベルトにより運ばれる卵を検出するものであって、前記搬送ベルトの下面側に設けられた下電極と、前記搬送ベルトの上面側において前記卵の通過を妨げずに前記下電極に対向して設けられた上電極と、前記下電極及び前記上電極間の静電容量の変化に基づいて、前記搬送ベルト上の卵を検出する卵検出部とを備えることを特徴とする。
【0007】
この卵検出機構であれば、搬送ベルトの上下それぞれに下電極及び上電極を設けて、それら下電極及び上電極間の静電容量の変化に基づいて搬送ベルト上の卵を検出するので、鶏舎内の羽毛等のゴミ、粉塵や外乱光の影響を受けることなく簡単な構成により卵を精度よく検出できるようになる。また、本発明の静電容量型センサはゴミや粉塵の影響を受けにくくそれらに起因する検出ミスを低減することができる。
【0008】
搬送ベルト上での卵の分布を演算できるようにするためには、前記搬送ベルトを駆動するベルト駆動装置は、運転信号又は搬送距離信号を発生するものであり、前記卵検出機構は、前記卵検出部による卵検出信号と前記運転信号又は前記搬送距離信号とを紐付けて記録する記録部をさらに備えることが望ましい。
【0009】
下電極の具体的な実施の態様としては、前記下電極は、前記搬送ベルトの下面に接触して前記搬送ベルトを支持する接触支持面を有することが望ましい。この構成であれば、下電極が搬送ベルトの下面に接触しているので、卵が通過したことにより生じる静電容量の変化を精度よく検出することができる。
【0010】
搬送ベルトには、その搬送方向と直交する幅方向に卵がランダムに載っている。この搬送ベルトの幅方向における卵を精度よく検出してカウントするためには、本発明に係る卵計数装置は、上述した卵検出機構を前記搬送ベルトの搬送方向と直交する幅方向に複数配置し、前記複数の卵検出機構により得られた卵検出信号に基づいて、前記搬送ベルトにより運ばれる卵の個数をカウントすることを特徴とする。
【0011】
複数の卵検出機構を用いて卵計数装置を構成する上で、その構成を簡単にするためには、前記複数の卵検出機構において、前記上電極をそれぞれ設けるとともに、前記下電極を1つの共通電極としていることが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
このように構成した本発明によれば、鶏舎内の羽毛等のゴミ、粉塵や外乱光の影響を受けることなく、簡単な構成でありながら卵を精度よく検出できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る卵計数装置の構成を模式的に示す平面図である。
【
図2】同実施形態における卵計数装置の構成を模式的に示す断面図である。
【
図3】同実施形態における卵検出方法を示す模式図である。
【
図4】同実施形態における卵のカウント例を示す模式図である。
【
図5】変形実施形態における卵検出機構の構成を模式的に示す断面図である。
【
図6】変形実施形態における卵検出機構の構成を模式的に示す断面図である。
【
図7】変形実施形態における卵のカウント例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る卵計数装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に示すいずれの図についても、わかりやすくするために、適宜省略し又は誇張して模式的に描かれている。同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0015】
<装置構成>
本実施形態の卵計数装置100は、
図1に示すように、採卵鶏舎において複数のケージ10が一列に配置されたケージ列11に沿って設けられた搬送ベルトである集卵ベルト12上の卵Eをカウントするものである。この卵計数装置100は、集卵ベルト12の下流端部に設けられ、当該集卵ベルト12により下流側に搬送された卵Eを検出してカウントする。
【0016】
ここで、集卵ベルト12は、ベルト駆動装置13により駆動されるものであり、非導電性材料から構成されている。また、ベルト駆動装置13は、ベルト駆動モータ131及び当該ベルト駆動モータ131に設けられたエンコーダ132を有している。エンコーダ132は、集卵ベルト12の運転信号又は搬送距離信号(エンコーダ信号)を発生するものであり、後述する卵検出部23又はカウント部3に送信される。
【0017】
具体的に卵計数装置100は、
図1及び
図2に示すように、集卵ベルト12の搬送方向Xと直交する幅方向Yに沿って配置された複数の卵検出機構2を有し、複数の卵検出機構2により得られた卵検出信号に基づいて、集卵ベルト12により運ばれる卵Eの個数をカウントするものである。
図2では、4つの卵検出機構2を有する構成を示しているが、卵検出機構2の数はこれに限られない。
【0018】
各卵検出機構2は、集卵ベルト12の下面側に設けられた下電極21と、集卵ベルト12の上面側において卵Eの通過を妨げずに下電極21に対向して設けられた上電極22と、下電極21及び上電極22間の静電容量の変化に基づいて、集卵ベルト12上の卵Eを検出する卵検出部23とを備えている。
【0019】
本実施形態では、複数の卵検出機構2において、上電極22をそれぞれ独立して設けるとともに、下電極21を1つの共通電極2Aとしている。
【0020】
また、下電極21である共通電極21Aは、集卵ベルト12の下面に接触して集卵ベルト12を支持する接触支持面21xを有する。ここでは、集卵ベルト12は幅方向中央部が下に凹むように湾曲した形状であり、集卵ベルト12の下面も下に凹むように湾曲した形状であるため、接触支持面21xは集卵ベルト12の下面に対応して、幅方向中央部が下に凹むように湾曲した形状となっている。
【0021】
卵検出部23は、下電極21及び上電極22間の静電容量の変化を検出し、その静電容量の変化量に基づいて、下電極21及び上電極22の間を卵Eが通過したことを検出するものである。なお、下電極21及び上電極22間に導電体である卵Eが入ると静電容量が大きくなり、この静電容量の増加を検出することで、卵Eが通過したことを検出することができる。
【0022】
具体的に卵検出部23は、下電極21及び上電極22間の静電容量を検出する静電容量センサ23aと、当該静電容量センサ23aにより検出された静電容量と所定のしきい値とを比較して卵Eを検出する卵検出回路23bとを備えている。
【0023】
卵検出回路23bによる検出例を
図3に示している。静電容量センサ23aにより得られた静電容量Cが、所定のしきい値Kを超えた場合に、卵Eを検出する。
図3では、静電容量Cが所定のしきい値Kを3回超えており、3つの卵Eを検出することになる。ここで、静電容量が単にしきい値Kを超えた場合に卵Eを検出する構成としても良いし、静電容量がしきい値Kを超えた時間が所定時間連続した場合又は静電容量がしきい値Kを超えた距離が所定距離連続した場合に卵Eを検出する構成としても良い。
【0024】
なお、この卵検出回路23bには、ベルト駆動装置13(エンコーダ132)からの運転信号又は搬送距離信号(エンコーダ信号)が入力され、卵検出回路23bの卵検出信号に運転信号又は搬送距離信号が紐付けられる。
【0025】
また、本実施形態の卵計数装置100は、各卵検出機構2の卵検出部23により検出された卵検出信号に基づいて、集卵ベルト12により運ばれる卵Eの個数をカウントするカウント部3と、卵計数装置100は、卵検出部23による卵検出信号又はカウント部3によるカウント情報とベルト駆動装置13(エンコーダ132)からの運転信号又は搬送距離信号とを紐付けて記録する記録部4をさらに備えている。その他、卵計数装置100は、カウント部3により得られたカウント情報とベルト駆動装置13(エンコーダ132)からの運転信号又は搬送距離信号とから、集卵ベルト12における卵分布を演算する卵分布演算部を備えていても良い。
【0026】
なお、卵検出部23、カウント部3及び記録部4は、1つの情報処理装置により構成されていてもよいし、複数の情報処理装置により構成されていてもよい。
【0027】
ここで、4つの卵検出機構2を用いた集卵ベルト12上の卵Eのカウント例について、
図4を参照して説明する。
図4(a)のように、集卵ベルト12上に卵Eが載っている場合、4つの卵検出機構2における静電容量C1~C4の経時変化は
図4(b)のようになる。
【0028】
時間t1において、C2の静電容量がしきい値Kを超えており、これにより1つの卵Eが通過したとしてカウントする。時間t2において、C1の静電容量がしきい値Kを超えており、これにより1つの卵Eが通過したとしてカウントする。時間t3において、C3の静電容量がしきい値Kを超えており、これにより1つの卵Eが通過したとしてカウントする。時間t4において、互いに隣接するC2、C3の静電容量がしきい値Kを超えており、これにより1つの卵Eが通過したとしてカウントする。時間t5において、互いに隣接するC1、C2の静電容量がしきい値Kを超えており、これにより1つの卵Eが通過したとしてカウントする。
【0029】
上記の通り、同じタイミングで互いに隣接する静電容量が増加した場合には、共通の卵Eにより静電容量が増加したと考えられ、1つの卵Eが通過したとカウントする。また、1つの静電容量が増加した場合には、1つの卵Eが通過したとカウントする。なお、同じタイミングで互いに隣接しない静電容量が増加した場合(例えばC1とC3、又はC1とC4)には、2つの卵Eが通過したとしてカウントする。なお、各静電容量の変化における卵Eのカウント方法は上記に限られず、種々設定することができる。
【0030】
<本実施形態の効果>
本実施形態の卵計数装置100によれば、搬送ベルト12の上下それぞれに下電極21及び上電極22を設けて、それら下電極21及び上電極22間の静電容量の変化に基づいて搬送ベルト12上の卵Eを検出するので、鶏舎内の羽毛等のゴミ、粉塵や外乱光の影響を受けることなく、簡単な構成でありながら卵Eを精度良く検出してカウントできるようになる。
【0031】
<本発明の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0032】
例えば、
図5(a)に示すように、下電極21を共通電極とすることなく、上電極と同様に、複数の卵検出機構2それぞれで独立して設けてもよい。また、複数の下電極21のうち一部を共通電極としてもよい。また、
図5(b)に示すように、集卵ベルト12をフラットな形状とし、下電極21も集卵ベルト12に対応して、フラットな接触支持面21xを有する構成としても良い。
【0033】
また、前記実施形態では、上電極22が固定してあり、下電極21及び上電極22の距離が一定となる構成であったが、
図6に示すように、上電極22と下電極21との距離が可変となる構成であってもよい。具体的には、上電極22が集卵ベルト12に対して上下移動可能に設けられており、大きな卵Eが通過する際には、
図6(b)に示すように、上電極22が卵Eにより持ち上げられて、大きな卵Eの通過を妨げること無いように構成しても良い。
図6に示す例では、上電極22がヒンジ部24周りに回転することによって上下移動する構成としている。また、上電極22は、通常時は、ストッパ25により所定高さに保持されている。このように上電極22を上下移動可能に設けることで、通常時において上電極22と下電極21との距離を小さくして卵Eの検出精度を高めつつ、種々のサイズの卵Eの通過を妨げること無く検出することができる。
【0034】
さらに、カウント部3によるカウント方法としては以下の方式も考えられる。
カウント部3は、
図7に示すように、複数の卵検出機構2の静電容量センサ23aからの静電容量と、ベルト駆動装置13からの運転信号又は搬送距離信号とを取得し、それらから静電容量の大小を示す等高線状のデータを演算することができる。そして、カウント部3は、演算した等高線状のデータの頂点部の数を卵の数としてカウントすることができる。
【0035】
その上、卵計数装置100は、集卵ベルト12が稼働しているにも関わらず、卵検出部23による卵Eの非検出が一定時間又は一定距離連続した場合に、何らかの異常が発生しているとして作業員に報知する報知部を有していても良い。
【0036】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0037】
100・・・卵計数装置
E ・・・卵
10 ・・・ケージ
11 ・・・ケージ列
12 ・・・集卵ベルト(搬送ベルト)
13 ・・・ベルト駆動装置
131・・・ベルト駆動モータ
132・・・エンコーダ
2 ・・・卵検出機構
21 ・・・下電極
21x・・・接触支持面
2A ・・・共通電極
22 ・・・上電極
23 ・・・卵検出部
23a・・・静電容量センサ
23b・・・卵検出回路
3 ・・・カウント部
4 ・・・記録部