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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063632
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/38 20060101AFI20240502BHJP
   H01Q 9/38 20060101ALI20240502BHJP
   H01Q 9/30 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
H01Q1/38
H01Q9/38
H01Q9/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171733
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】322003732
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】小島 優
【テーマコード(参考)】
5J046
【Fターム(参考)】
5J046AA03
5J046AB06
5J046AB07
5J046AB13
5J046PA07
(57)【要約】
【課題】指向性を有し、小型化可能な構造をもつアンテナ装置であって、従来よりも広帯域化が図られたアンテナ装置を提供する。
【解決手段】アンテナ装置10aは、板状の第1アンテナ素子11、及び、第1アンテナ素子11と同一平面上に配置され、板状であって、第1アンテナ素子11よりも幅が小さく、第1アンテナ素子11の一辺11aに給電部を介して接続される一辺12aを有する第2アンテナ素子12を有する放射器13と、放射器13と同一平面上で、かつ、放射器13に接続されることなく配置される無給電素子16であって、x軸方向に無給電素子16を見た場合に、第1アンテナ素子11及び第2アンテナ素子12のそれぞれの少なくとも一部と重なる位置に配置されている無給電素子16と、放射器13及び無給電素子16に対向する平面に配置され、x軸方向に幅を有しy軸方向に延びる板状で、かつ、無給電の反射板14とを備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電部に接続されて用いられる指向性を有するアンテナ装置であって、
第1方向に幅を有し前記第1方向に直交する第2方向に延びる板状の第1アンテナ素子、及び、前記第1アンテナ素子と同一平面上に配置され、前記第1アンテナ素子よりも幅が小さく、前記第1アンテナ素子の一辺に前記給電部を介して接続される一辺を有する第2アンテナ素子を有する放射器と、
前記放射器と同一平面上で、かつ、前記放射器に接続されることなく配置される無給電素子であって、前記第1方向に前記無給電素子を見た場合に、前記第1アンテナ素子及び前記第2アンテナ素子のそれぞれの少なくとも一部と重なる位置に配置されている無給電素子と、
前記放射器及び前記無給電素子に対向する平面に配置され、前記第1方向に幅を有し前記第2方向に延びる板状で、かつ、無給電の反射板とを備え、
前記反射板は、前記放射器よりも長い長さを有し、
前記第2アンテナ素子は、使用周波数の波長の1/4よりも短い長さを有し、
前記放射器及び前記無給電素子と前記反射板とは、電磁結合できる間隔を有し、
前記アンテナ装置の入力インピーダンスの抵抗成分は、前記第1アンテナ素子の長さによって調整され、
前記アンテナ装置の入力インピーダンスのリアクタンス成分は、前記第2アンテナ素子の長さによって調整される、
アンテナ装置。
【請求項2】
前記無給電素子は、前記第1方向に前記無給電素子を見た場合に、前記第1アンテナ素子の一部と重なり、前記第2アンテナ素子の全部と重なる位置に配置されている、
請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記無給電素子は、前記アンテナ装置を平面視した場合に、
前記第1アンテナ素子及び前記第2アンテナ素子の前記第1方向における一方側において前記第2方向に延びる板状の第1部分と、
前記第1アンテナ素子及び前記第2アンテナ素子の前記第1方向における他方側において前記第2方向に延びる板状の第2部分と、
前記第1部分と前記第2部分とを接続する第3部分とを有する、
請求項2記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記第1アンテナ素子は、前記第1方向に第1幅を有し前記第2方向に延びる幅太部分と、前記第1方向に前記第1幅よりも小さい第2幅を有し前記第2方向に延びる幅狭部分とを含み、
前記第1部分及び前記第2部分は、前記第1方向に前記無給電素子を見た場合に、前記第1アンテナ素子のうち前記幅狭部分とだけ重なる位置に配置されている、
請求項3記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記第2アンテナ素子の前記一辺は、前記第1アンテナ素子の前記一辺の第1端部と対向し、
前記無給電素子は、前記第1方向に前記無給電素子を見た場合に、
前記第1アンテナ素子の一部と重なる第4部分と、
前記第4部分と接続され、少なくとも前記第2アンテナ素子の全部と重なる第5部分とを有する、
請求項2記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記第1アンテナ素子は、前記一辺のうち前記第1端部と反対側の第2端部を含む切り欠きを有し、
前記第4部分は、前記切り欠きの領域内に配置されている、
請求項5記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記第5部分は、前記第2方向の長さが前記第2アンテナ素子と同一である、
請求項5記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記第5部分は、前記第2方向の長さが前記第2アンテナ素子よりも短く、
前記第2アンテナ素子は、前記第1方向に延びる部分を有する、
請求項5記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記反射板には、切り欠きが形成されている、
請求項1~8のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンテナ装置に関し、特に、指向性を有し、小型化可能な構造をもつアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、世界中でIoT(Internet of Things)端末の普及が急速に進んでいる。IoT端末用アンテナは、デザイン性やモバイル性の観点から小型化が要望される。また、アンテナ近傍に人体や金属物などがあると、その性能が低下するため、周囲物体に強いことが必要である。周囲の金属物などの影響を低減するためには、単一指向性を有するアンテナが有効である。したがって、IoT端末用アンテナは、小型で単一指向性を有することが望ましい。
【0003】
そこで、従来、放射器と対向して無給電の反射板を設け、放射器と反射板との電磁結合により、反射板と逆側への指向性を強めた小型化可能な構造を有するアンテナ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2018/198349号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のアンテナ装置は、指向性を強めた小型化が可能な構造を有するものの、通信システムによっては、さらなる広帯域化が求められている。
【0006】
そこで、本開示は、指向性を有し、小型化可能な構造をもつアンテナ装置であって、従来よりも広帯域化が図られたアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の一形態に係るアンテナ装置は、給電部に接続されて用いられる指向性を有するアンテナ装置であって、第1方向に幅を有し前記第1方向に直交する第2方向に延びる板状の第1アンテナ素子、及び、前記第1アンテナ素子と同一平面上に配置され、前記第1アンテナ素子よりも幅が小さく、前記第1アンテナ素子の一辺に前記給電部を介して接続される一辺を有する第2アンテナ素子を有する放射器と、前記放射器と同一平面上で、かつ、前記放射器に接続されることなく配置される無給電素子であって、前記第1方向に前記無給電素子を見た場合に、前記第1アンテナ素子及び前記第2アンテナ素子のそれぞれの少なくとも一部と重なる位置に配置されている無給電素子と、前記放射器及び前記無給電素子に対向する平面に配置され、前記第1方向に幅を有し前記第2方向に延びる板状で、かつ、無給電の反射板とを備え、前記反射板は、前記放射器よりも長い長さを有し、前記第2アンテナ素子は、使用周波数の波長の1/4よりも短い長さを有し、前記放射器及び前記無給電素子と前記反射板とは、電磁結合できる間隔を有し、前記アンテナ装置の入力インピーダンスの抵抗成分は、前記第1アンテナ素子の長さによって調整され、前記アンテナ装置の入力インピーダンスのリアクタンス成分は、前記第2アンテナ素子の長さによって調整される。
【発明の効果】
【0008】
本開示により、指向性を有し、小型化可能な構造をもつアンテナ装置であって、従来よりも広帯域化が図られたアンテナ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1参考例に係るアンテナ装置の構造を示す外観図である。
図2図2は、第1参考例に係るアンテナ装置のアンテナ特性を示す図である。
図3図3は、第1参考例に係るアンテナ装置において、第1アンテナ素子の長さを1mmずつ変化させたときのインピーダンス特性を示すスミスチャートである。
図4図4は、第1参考例に係るアンテナ装置において、第2アンテナ素子の長さを1mmずつ変化させたときのインピーダンス特性を示すスミスチャートである。
図5図5は、第2参考例に係るアンテナ装置の構造を示す外観図である。
図6図6は、第2参考例に係るアンテナ装置のアンテナ特性を示す図である。
図7図7は、実施の形態1に係るアンテナ装置の構造を示す外観図である。
図8図8は、実施の形態1に係るアンテナ装置のアンテナ特性を示す図である。
図9図9は、実施の形態2に係るアンテナ装置の構造を示す外観図である。
図10図10は、実施の形態2に係るアンテナ装置のアンテナ特性を示す図である。
図11図11は、実施の形態3に係るアンテナ装置の構造を示す外観図である。
図12図12は、実施の形態3に係るアンテナ装置のアンテナ特性を示す図である。
図13図13は、実施の形態4に係るアンテナ装置の構造を示す外観図である。
図14図14は、実施の形態4に係るアンテナ装置のアンテナ特性を示す図である。
図15図15は、実施の形態5に係るアンテナ装置の構造を示す外観図である。
図16図16は、実施の形態5に係るアンテナ装置のアンテナ特性を示す図である。
図17図17は、実施の形態6に係るアンテナ装置の構造を示す外観図である。
図18図18は、実施の形態6に係るアンテナ装置のアンテナ特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(参考例に係るアンテナ装置)
本開示の実施の形態を説明する前に、特許文献1に係る技術に基づく2.4GHz帯(略中心周波数である使用周波数が2.45GHz、波長が約122mm)向けアンテナ装置の2つの例を、参考例に係るアンテナ装置として、説明する。
【0011】
(第1参考例)
図1は、第1参考例に係るアンテナ装置9aの構造を示す外観図である。より詳しくは、図1の(a)~(f)は、それぞれ、アンテナ装置9aの上面を見た斜視図、上面図、底面図、側面図、上面における寸法図、底面における寸法図である。アンテナ装置9aは、全体として、長尺状の方形である。幅方向をx軸(「第1方向」ともいう)、x軸に直交し、長尺に延びる方向をy軸(「第2方向」ともいう)、x軸及びy軸に直交する方向をz軸と定義する。
【0012】
アンテナ装置9aは、給電部(図示せず)に接続されて用いられる指向性を有するアンテナであって、x軸方向に幅を有しy軸方向に延びる板状の第1アンテナ素子11、及び、第1アンテナ素子11と同一平面上に配置され、x軸方向に幅を有しy軸方向に延びる板状であって、第1アンテナ素子11よりも幅が小さく、第1アンテナ素子11の一辺11aに給電部を介して接続される一辺12aを有する第2アンテナ素子12を有する放射器13と、放射器13に対向する平面に配置され、x軸方向に幅を有しy軸方向に延びる板状で、かつ、無給電の反射板14とを備える。なお、第2アンテナ素子12は逆L形であってよく、その形状はストレートに限定されない。
【0013】
ここで、反射板14は、放射器13よりも長い長さを有し、第2アンテナ素子12は、使用周波数の波長の1/4よりも短い長さを有し、放射器13と反射板14とは、電磁結合できる間隔を有する。なお、反射板14は、反射板として機能する長さであってよく、使用周波数の波長の1/2以上の長さであってもよい。アンテナ装置9aの入力インピーダンスの抵抗成分は、第1アンテナ素子11の長さによって調整され、アンテナ装置9aの入力インピーダンスのリアクタンス成分は、第2アンテナ素子12の長さによって調整される。
【0014】
なお、各部材の長さ又は幅を使用周波数の波長(λ)を用いて規定する場合、波長(λ)は各部材の比誘電率に応じて定まる波長短縮率を乗じた値(電気長)を用いてよい。また、板状とは、厚さに比べて長さ又は幅が十分に大きい(例えば、2倍以上の)平板を意味し、平面視の外形は方形に限られず、楕円等の任意の形であってもよい。方形とは、矩形(長方形)を意味する。なお、単に「平面視」と記載した場合には、アンテナ装置に対する平面視を意味する。
【0015】
アンテナ装置9aの具体的な構造は、以下の通りである。
【0016】
比誘電率εr=4.6のFR-4(Flame Retardant Type 4)の基板15を用いている。基板15の外形寸法は、長さL50mm×幅W6mm×厚さt1.2mmである。放射器13(第1アンテナ素子11及び第2アンテナ素子12)と反射板14とは、ともに基板15上の銅箔で形成している。
【0017】
アンテナ装置9aは、長さl1×幅w1の第1アンテナ素子11と長さl2×幅w2の第2アンテナ素子12との間隙gに給電部が接続されて構成される放射器13と、長さl3×幅w3の反射板14とで構成される。基板端(基板15のy軸正方向における端)から第1アンテナ素子11までの距離をd、また、基板端から0.5mm(基板15の両面における四方の端から中心に向かって0.5mm)の領域は、銅箔パターンの禁止領域である。
【0018】
アンテナ装置9aの共振周波数については、アンテナ装置9aのインピーダンスの抵抗成分を第1アンテナ素子11の長さl1で制御し、アンテナ装置9aのインピーダンスのリアクタンス成分を第2アンテナ素子12の長さl2で制御することにより、チューニングをおこなうことができる。
【0019】
本参考例に係るアンテナ装置9aでは、第1アンテナ素子11の一辺11aの中央が第2アンテナ素子12の一辺12aと対向するように、第2アンテナ素子12が配置されている。各寸法は、例えば、L=50mm、W=6mm、t=1.2mm、d=17mm、g=0.5mm、l1=25.5mm、w1=5mm、l2=9mm、w2=1mm、l3=49mm、w3=5mmである。
【0020】
これらの各寸法について、使用周波数(2.45GHz)の波長λ(約122mm、電気長約57mm(=122/√4.6))との関係で説明すると、第1アンテナ素子11の長さl1は、約0.4(=25.5×√4.6/122)λであり、第2アンテナ素子12の長さl2は、約0.2(=9×√4.6/122)λである。
【0021】
なお、給電部(図示せず)から放射器13への給電は、アンテナ装置9aの上面側から行われる。給電部(図示せず)と接続される第1アンテナ素子11の一辺11aと第2アンテナ素子12の一辺12aとで挟まれた間隙を「給電点」ともいう。
【0022】
図2は、図1に示された第1参考例に係るアンテナ装置9aのアンテナ特性を示す図である。より詳しくは、図2の(a)は、第1参考例に係るアンテナ装置9aのインピーダンス特性を示すスミスチャートであり、図2の(b)は、第1参考例に係るアンテナ装置9aのVSWR(Voltage Standing Wave Ratio)特性を示す。図2の(a)から分かるように、第1参考例に係るアンテナ装置9aは、使用周波数(2.45GHz)において、共振している。また、図2の(b)から分かるように、第1参考例に係るアンテナ装置9aは、VSWR≦2の帯域幅が420MHzである。
【0023】
図3は、図1に示された第1参考例に係るアンテナ装置9aにおいて、第1アンテナ素子11の長さl1を23.5mmから27.5mmまで1mmずつ変化させたときのインピーダンス特性を示すスミスチャートである。ここでは、第1アンテナ素子11の長さl1以外の寸法は、固定されている。図3から分かるように、アンテナ装置9aのインピーダンスの抵抗成分は、第1アンテナ素子11の長さl1で制御される。
【0024】
図4は、図1に示された第1参考例に係るアンテナ装置9aにおいて、第2アンテナ素子12の長さl2を7mmから11mmまで1mmずつ変化させたときのインピーダンス特性を示すスミスチャートである。ここでは、第2アンテナ素子12の長さl2以外の寸法は、固定されている。図4から分かるように、アンテナ装置9aのインピーダンスのリアクタンス成分は、第2アンテナ素子12の長さl2で制御される。
【0025】
(第2参考例)
図5は、第2参考例に係るアンテナ装置9bの構造を示す外観図である。より詳しくは、図5の(a)~(f)は、それぞれ、アンテナ装置9bの上面を見た斜視図、上面図、底面図、側面図、上面における寸法図、底面における寸法図である。アンテナ装置9bは、第2アンテナ素子12の配置位置及びサイズを除いて、第1参考例に係るアンテナ装置9aと同じ構成を備える。
【0026】
つまり、第2参考例に係るアンテナ装置9bでは、第2アンテナ素子12の一辺12aは、第1アンテナ素子11の一辺11aの第1端部11bと対向している。つまり、第2アンテナ素子12の一辺12aは、第1アンテナ素子11の一辺11aの中央ではなく、第1端部11bに対応する位置に配置されている。そして、第2アンテナ素子12のサイズは、長さl2が9.5mm、つまり、約0.2(=9.5×√4.6/122)λである。他の寸法は、すべて第1参考例に係るアンテナ装置9aと同じである。
【0027】
図6は、図5に示された第2参考例に係るアンテナ装置9bのアンテナ特性を示す図である。より詳しくは、図6の(a)は、第2参考例に係るアンテナ装置9bのインピーダンス特性を示すスミスチャートであり、図6の(b)は、第2参考例に係るアンテナ装置9bのVSWR特性を示す。図6の(a)から分かるように、第2参考例に係るアンテナ装置9bは、第1参考例に係るアンテナ装置9aと同様に、使用周波数(2.45GHz)において、共振している。また、図6の(b)から分かるように、第2参考例に係るアンテナ装置9bは、第1参考例に係るアンテナ装置9aと同様に、VSWR≦2の帯域幅が420MHzである。
【0028】
このように、第1参考例に係るアンテナ装置9a及び第2参考例に係るアンテナ装置9bは、反射板14が設けられることで、周囲の金属物などの影響を低減させることが可能な指向性を有し、かつ、小型化された構造を有する。
【0029】
(実施の形態に係るアンテナ装置)
以下では、第1参考例に係るアンテナ装置9a及び第2参考例に係るアンテナ装置9bのアンテナ性能の改善例として、さらなる広帯域化を図った例を実施の形態1~6で説明する。
【0030】
以下、本開示の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示す。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。また、用語の意味、及び、xyz軸等については、第1参考例に係るアンテナ装置9a及び第2参考例に係るアンテナ装置9bの説明と同じである。
【0031】
いずれの実施の形態も、第1参考例に係るアンテナ装置9a、第2参考例に係るアンテナ装置9b、又は、それらに類似するアンテナ装置をベースとし、改良点を有する。以下、その改良点を中心に説明する。
【0032】
(実施の形態1)
まず、本開示の実施の形態1に係るアンテナ装置について説明する。
【0033】
図7は、実施の形態1に係るアンテナ装置10aの構造を示す外観図である。より詳しくは、図7の(a)~(d)は、それぞれ、アンテナ装置10aの上面を見た斜視図、上面図、底面図、上面の寸法図である。アンテナ装置10aは、図1に示される第1参考例に係るアンテナ装置9aをベースとし、放射器13と同一平面上に配置される無給電素子16を有する点に特徴を有する。第1アンテナ素子11の幅は、第1参考例に係るアンテナ装置9aに比べ、小さくなっている。
【0034】
無給電素子16は、放射器13と同一平面上で、かつ、放射器13に接続されることなく配置され、x軸方向に無給電素子16を見た場合に、第1アンテナ素子11及び第2アンテナ素子12のそれぞれの少なくとも一部と重なる位置に配置されている。ここでは、無給電素子16は、x軸方向に無給電素子16を見た場合に、第1アンテナ素子11の一部と重なり、第2アンテナ素子12の全部と重なる位置に配置されている。
【0035】
より詳しくは、無給電素子16は、アンテナ装置10aを平面視した場合に、第1アンテナ素子11及び第2アンテナ素子12のx軸方向における一方側においてy軸方向に延びる板状の第1部分161と、第1アンテナ素子11及び第2アンテナ素子12のx軸方向における他方側においてy軸方向に延びる板状の第2部分162と、第1部分161と第2部分162とを接続する第3部分163とを有する。
【0036】
具体的な寸法については、図7の(d)に示される通り、第1アンテナ素子11の長さl1が22mm、幅w1が2mmであり、第2アンテナ素子12の長さl2が11mm、幅w2が1mmである。無給電素子16は、第1アンテナ素子11とは0.5mmの間隙を有し、第2アンテナ素子12とは1mmの間隙を有し、第1部分161及び第2部分162の長さが25mm、幅が1mmであり、第3部分163の長さ(第1部分161及び第2部分162を含む)が4mm、幅が5mmである。
【0037】
これらの各長さについて、使用周波数(2.45GHz)の波長λ(約122mm、電気約長57mm(=122/√4.6))との関係で説明すると、第1アンテナ素子11の長さl1は、約0.4(=22×√4.6/122)λであり、第2アンテナ素子12の長さl2は、約0.2(=11×√4.6/122)λであり、無給電素子16の長さは、約0.4(=25×√4.6/122)λである。
【0038】
図8は、図7に示された実施の形態1に係るアンテナ装置10aのアンテナ特性を示す図である。より詳しくは、図8の(a)は、実施の形態1に係るアンテナ装置10aのインピーダンス特性を示すスミスチャートであり、図8の(b)は、実施の形態1に係るアンテナ装置10aのVSWR特性を示し、図8の(c)は、実施の形態1に係るアンテナ装置10aにおける電流の流れを示す。
【0039】
図8の(a)から分かるように、実施の形態1に係るアンテナ装置10aは、使用周波数(2.45GHz)において、共振している。
【0040】
また、図8の(b)から分かるように、実施の形態1に係るアンテナ装置10aは、VSWR≦2の帯域幅が580MHzであり、ベースとなる第1参考例に係るアンテナ装置9aの帯域幅(420MHz)よりも広帯域化されている。
【0041】
また、図8の(c)から分かるように、無給電素子16には、第1アンテナ素子11及び第2アンテナ素子12と同一方向に(つまり、同相で)電流が流れている。このことが実施の形態1に係るアンテナ装置10aの性能を劣化させることなく広帯域化している要因と考えられる。
【0042】
以上のように、本実施の形態に係るアンテナ装置10aは、給電部に接続されて用いられる指向性を有するアンテナ装置10aであって、x軸方向に幅を有しy軸方向に延びる板状の第1アンテナ素子11、及び、第1アンテナ素子11と同一平面上に配置され、x軸方向に幅を有しy軸方向に延びる板状であって、第1アンテナ素子11よりも幅が小さく、第1アンテナ素子11の一辺11aに給電部を介して接続される一辺12aを有する第2アンテナ素子12を有する放射器13と、放射器13と同一平面上で、かつ、放射器13に接続されることなく配置される無給電素子16であって、x軸方向に無給電素子16を見た場合に、第1アンテナ素子11及び第2アンテナ素子12のそれぞれの少なくとも一部と重なる位置に配置されている無給電素子16と、放射器13及び無給電素子16に対向する平面に配置され、x軸方向に幅を有しy軸方向に延びる板状で、かつ、無給電の反射板14とを備え、反射板14は、放射器13及び無給電素子16よりも長い長さを有し、第2アンテナ素子12は、使用周波数の波長の1/4よりも短い長さを有し、反射板14及び無給電素子16と放射器13とは、電磁結合できる間隔を有し、アンテナ装置10aの入力インピーダンスは、無給電素子16によって広帯域化され、アンテナ装置10aの入力インピーダンスの抵抗成分は、第1アンテナ素子11の長さによって調整され、アンテナ装置10aの入力インピーダンスのリアクタンス成分は、第2アンテナ素子12の長さによって調整される。
【0043】
本実施の形態では、無給電素子16は、x軸方向に無給電素子16を見た場合に、第1アンテナ素子11の一部と重なり、第2アンテナ素子12の全部と重なる位置に配置されている。より詳しくは、無給電素子16は、アンテナ装置10aを平面視した場合に、第1アンテナ素子11及び第2アンテナ素子12のx軸方向における一方側においてy軸方向に延びる板状の第1部分161と、第1アンテナ素子11及び第2アンテナ素子12のx軸方向における他方側においてy軸方向に延びる板状の第2部分162と、第1部分161と第2部分162とを接続する第3部分163とを有する。
【0044】
このような無給電素子16により、第1参考例に係るアンテナ装置9aと同様に、指向性を有し、小型化可能な構造をもつアンテナ装置であるが、第1参考例に係るアンテナ装置9aよりも広帯域化が図られたアンテナ装置10aが実現される。
【0045】
(実施の形態2)
次に、本開示の実施の形態2に係るアンテナ装置について説明する。
【0046】
図9は、実施の形態2に係るアンテナ装置10bの構造を示す外観図である。より詳しくは、図9の(a)~(d)は、それぞれ、アンテナ装置10bの上面を見た斜視図、上面図、底面図、上面の寸法図である。アンテナ装置10bは、実施の形態1に係るアンテナ装置10aの変形例に相当し、実施の形態1に係るアンテナ装置10aと比べ、第1アンテナ素子11の形状が異なる。以下、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0047】
本実施の形態では、第1アンテナ素子11は、x軸方向に第1幅(ここでは、5mm)を有しy軸方向に延びる幅太部分111と、x軸方向に第1幅よりも小さい第2幅(ここでは、2mm)を有しy軸方向に延びる幅狭部分112とを含む。幅太部分111と幅狭部分112とは、幅太部分111の第1幅の中心と幅狭部分112の第2幅の中心とが同一直線上に並ぶように、繋がっている。幅太部分111と幅狭部分112とを合わせた第1アンテナ素子11の長さは、19.5mmである。
【0048】
本実施の形態では、無給電素子16の第1部分161及び第2部分162は、x軸方向に無給電素子16を見た場合に、第1アンテナ素子11のうち幅狭部分112とだけ重なる位置に配置されている。無給電素子16の第1部分161及び第2部分162は、平面視で、それらの外側の辺と第1アンテナ素子11の幅太部分111の外側の辺とが一直線上に並び、第1アンテナ素子11の幅狭部分112と0.5mmの間隙を有する。
【0049】
図10は、図9に示された実施の形態2に係るアンテナ装置10bのアンテナ特性を示す図である。より詳しくは、図10の(a)は、実施の形態2に係るアンテナ装置10bのインピーダンス特性を示すスミスチャートであり、図10の(b)は、実施の形態2に係るアンテナ装置10bのVSWR特性を示す。
【0050】
図10の(a)から分かるように、実施の形態2に係るアンテナ装置10bは、使用周波数(2.45GHz)において、共振している。
【0051】
また、図10の(b)から分かるように、実施の形態2に係るアンテナ装置10bは、VSWR≦2の帯域幅が600MHzであり、ベースとなる第1参考例に係るアンテナ装置9aの帯域幅(420MHz)及び実施の形態1に係るアンテナ装置10aの帯域幅(580MHz)よりも広帯域化されている。これは、本実施の形態に係るアンテナ装置10bでは、実施の形態1に係るアンテナ装置10aと異なり、第1アンテナ素子11が幅太部分111を有する(つまり、幅の広い部分を有する)ためと考えられる。
【0052】
以上のように、本実施の形態に係るアンテナ装置10bは、実施の形態1に係るアンテナ装置10aの変形部分として、第1アンテナ素子11が、x軸方向に第1幅を有しy軸方向に延びる幅太部分111と、x軸方向に第1幅よりも小さい第2幅を有しy軸方向に延びる幅狭部分112とを含み、無給電素子16の第1部分161及び第2部分162が、x軸方向に無給電素子16を見た場合に、第1アンテナ素子11のうち幅狭部分112とだけ重なる位置に配置されているという特徴を有する。
【0053】
これにより、ベースとなる第1参考例に係るアンテナ装置9a及び実施の形態1に係るアンテナ装置10aよりもさらに広帯域化される。
【0054】
(実施の形態3)
次に、本開示の実施の形態3に係るアンテナ装置について説明する。
【0055】
図11は、実施の形態3に係るアンテナ装置10cの構造を示す外観図である。より詳しくは、図11の(a)~(d)は、それぞれ、アンテナ装置10cの上面を見た斜視図、上面図、底面図、上面の寸法図である。アンテナ装置10cは、図5に示される第2参考例に係るアンテナ装置9bをベースとし、放射器13と同一平面上に配置される無給電素子16を有する点に特徴を有する。
【0056】
無給電素子16は、x軸方向に無給電素子16を見た場合に、第1アンテナ素子11の一部と重なる第4部分164と、第4部分164と接続され、少なくとも第2アンテナ素子12の全部と重なる第5部分165とを有する。
【0057】
第1アンテナ素子11は、第2参考例に係るアンテナ装置9bと異なり、一辺11aのうち第1端部11bと反対側の第2端部11cを含む切り欠き11dを有する。無給電素子16の第4部分164は、第1アンテナ素子11の切り欠き11dの領域内に配置されている。
【0058】
具体的な寸法については、図11の(d)に示される通り、第1アンテナ素子11は、長さl1が23mm、幅w1が5mmの矩形において、切り欠き11dを有する。第2アンテナ素子12は、長さl2が10.5mm、幅w2が1mmである。無給電素子16は、第1アンテナ素子11及び第2アンテナ素子12とは0.5mmの間隙を有し、全体の長さが25mmであり、第4部分164の幅が1mmであり、第5部分165のうち、x軸方向に見て第2アンテナ素子12の全部と重なる箇所の幅が3.5mmであり、x軸方向に見て第2アンテナ素子12と重ならない箇所の長さが2.5mm、幅が5mmである。
【0059】
これらの各長さについて、使用周波数(2.45GHz)の波長λ(約122mm、電気長約57mm(=122/√4.6))との関係で説明すると、第1アンテナ素子11の長さl1は、約0.4(=23×√4.6/122)λであり、第2アンテナ素子12の長さl2は、約0.2(=10.5×√4.6/122)λであり、無給電素子16の長さは、約0.4(=25×√4.6/122)λである。
【0060】
図12は、図11に示された実施の形態3に係るアンテナ装置10cのアンテナ特性を示す図である。より詳しくは、図12の(a)は、実施の形態3に係るアンテナ装置10cのインピーダンス特性を示すスミスチャートであり、図12の(b)は、実施の形態3に係るアンテナ装置10cのVSWR特性を示す。
【0061】
図12の(a)から分かるように、実施の形態3に係るアンテナ装置10cは、使用周波数(2.45GHz)において、共振している。
【0062】
また、図12の(b)から分かるように、実施の形態3に係るアンテナ装置10cは、VSWR≦2の帯域幅が540MHzであり、ベースとなる第2参考例に係るアンテナ装置9bの帯域幅(420MHz)よりも広帯域化されている。
【0063】
以上のように、本実施の形態に係るアンテナ装置10cは、給電部に接続されて用いられる指向性を有するアンテナ装置であって、x軸方向に幅を有しy軸方向に延びる板状の第1アンテナ素子11、及び、第1アンテナ素子11と同一平面上に配置され、x軸方向に幅を有しy軸方向に延びる板状であって、第1アンテナ素子11よりも幅が小さく、第1アンテナ素子11の一辺11aに給電部を介して接続される一辺12aを有する第2アンテナ素子12を有する放射器13と、放射器13と同一平面上で、かつ、放射器13に接続されることなく配置される無給電素子16であって、x軸方向に無給電素子16を見た場合に、第1アンテナ素子11及び第2アンテナ素子12のそれぞれの少なくとも一部と重なる位置に配置されている無給電素子16と、放射器13及び無給電素子16に対向する平面に配置され、x軸方向に幅を有しy軸方向に延びる板状で、かつ、無給電の反射板14とを備え、反射板14は、放射器13及び無給電素子16よりも長い長さを有し、第2アンテナ素子12は、使用周波数の波長の1/4よりも短い長さを有し、反射板14及び無給電素子16と放射器13とは、電磁結合できる間隔を有し、アンテナ装置10aの入力インピーダンスは、無給電素子16によって広帯域化され、アンテナ装置10aの入力インピーダンスの抵抗成分は、第1アンテナ素子11の長さによって調整され、アンテナ装置10aの入力インピーダンスのリアクタンス成分は、第2アンテナ素子12の長さによって調整される。無給電素子16は、x軸方向に無給電素子16を見た場合に、第1アンテナ素子11の一部と重なり、第2アンテナ素子12の全部と重なる位置に配置されている。
【0064】
本実施の形態では、第2アンテナ素子12の一辺12aは、第1アンテナ素子11の一辺11aの第1端部11bと対向し、無給電素子16は、x軸方向に無給電素子16を見た場合に、第1アンテナ素子11の一部と重なる第4部分164と、第4部分164と接続され、少なくとも第2アンテナ素子12の全部と重なる第5部分165とを有する。そして、第1アンテナ素子11は、一辺11aのうち第1端部11bと反対側の第2端部11cを含む切り欠き11dを有し、無給電素子16の第4部分164は、第1アンテナ素子11の切り欠き11dの領域内に配置されている。
【0065】
これにより、ベースとなる第2参考例に係るアンテナ装置9bの帯域幅(420MHz)よりも広帯域化される。
【0066】
(実施の形態4)
次に、本開示の実施の形態4に係るアンテナ装置について説明する。
【0067】
図13は、実施の形態4に係るアンテナ装置10dの構造を示す外観図である。より詳しくは、図13の(a)~(d)は、それぞれ、アンテナ装置10dの上面を見た斜視図、上面図、底面図、上面の寸法図である。アンテナ装置10dは、実施の形態3に係るアンテナ装置10cの変形例に相当し、実施の形態3に係るアンテナ装置10cと比べ、無給電素子16の形状が異なる。以下、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0068】
本実施の形態では、無給電素子16の第5部分165は、実施の形態3と異なり、y軸方向の長さが第2アンテナ素子12と同一である。つまり、無給電素子16の第5部分165は、x軸方向に見て第2アンテナ素子12と過不足なく重なる。
【0069】
実施の形態3と比べ、第1アンテナ素子11に形成された切り欠き11dのサイズが異なるが、第1アンテナ素子11全体の長さ、第2アンテナ素子12の長さ、無給電素子16の全体の長さは、実施の形態3と同じである。
【0070】
図14は、図13に示された実施の形態4に係るアンテナ装置10dのアンテナ特性を示す図である。より詳しくは、図14の(a)は、実施の形態4に係るアンテナ装置10dのインピーダンス特性を示すスミスチャートであり、図14の(b)は、実施の形態4に係るアンテナ装置10dのVSWR特性を示す。
【0071】
図14の(a)から分かるように、実施の形態4に係るアンテナ装置10dは、使用周波数(2.45GHz)において、共振している。
【0072】
また、図14の(b)から分かるように、実施の形態4に係るアンテナ装置10dは、VSWR≦2の帯域幅が580MHzであり、ベースとなる第2参考例に係るアンテナ装置9bの帯域幅(420MHz)及び実施の形態3に係るアンテナ装置10cの帯域幅(540MHz)よりも広帯域化されている。
【0073】
以上のように、本実施の形態に係るアンテナ装置10dは、実施の形態3に係るアンテナ装置10cの変形部分として、無給電素子16の第5部分165が、y軸方向の長さが第2アンテナ素子12と同一であるという特徴を有する。
【0074】
これにより、ベースとなる第2参考例に係るアンテナ装置9b及び実施の形態3に係るアンテナ装置10cよりもさらに広帯域化される。なお、無給電素子16における第5部分165のy軸方向の長さは、第2アンテナ素子12よりも短くてもよい。
【0075】
(実施の形態5)
次に、本開示の実施の形態5に係るアンテナ装置について説明する。
【0076】
図15は、実施の形態5に係るアンテナ装置10eの構造を示す外観図である。より詳しくは、図15の(a1)、(a2)、(b)、(c)及び(d)は、それぞれ、アンテナ装置10eの上面を見た斜視図、下面を見た斜視図、上面図、底面図、スルーホールを含む底面図である。アンテナ装置10eは、実施の形態4に係るアンテナ装置10dにおける底面の反射板14に切り欠き14aが形成されたものに相当する。
【0077】
反射板14に形成された切り欠き14aは、平面視で、給電部(図示せず)と接続される第1アンテナ素子11の一辺11aと第2アンテナ素子12の一辺12aとで挟まれた間隙である「給電点」と重なる。このような切り欠き14aの領域により、図15の(d)に示されるように、アンテナ装置10eの基板15の底面(切り欠き14aの領域)からスルーホール15a及び15bを経て、それぞれ、第1アンテナ素子11及び第2アンテナ素子12に給電することが可能になる。
【0078】
切り欠き14aの寸法については、3mm×3mmサイズであり、反射板14のy軸方向に延びる一辺を29mmの部分と17mmの部分に分断する位置に3mmの開口14bを有するように、切り欠き14aが形成されている。
【0079】
図16は、図15に示された実施の形態5に係るアンテナ装置10eのアンテナ特性を示す図である。より詳しくは、図16の(a)は、実施の形態5に係るアンテナ装置10eのインピーダンス特性を示すスミスチャートであり、図16の(b)は、実施の形態5に係るアンテナ装置10eのVSWR特性を示す。
【0080】
図16の(a)から分かるように、実施の形態5に係るアンテナ装置10eは、使用周波数(2.45GHz)において、共振している。また、インピーダンス特性において、キンク(kink)が表われており、これは、反射板14の全体と放射器13との結合とともに、切り欠き14aにより分断された長さ29mmの反射板と放射器13との結合などが加わるためと考えられる。
【0081】
また、図16の(b)から分かるように、実施の形態5に係るアンテナ装置10eは、VSWR≦2の帯域幅が700MHzであり、ベースとなる第2参考例に係るアンテナ装置9bの帯域幅(420MHz)及び実施の形態4に係るアンテナ装置10dの帯域幅(580MHz)よりも広帯域化されている。これは、図16の(a)のインピーダンス特性に生じたキンクによる影響と考えられる。
【0082】
以上のように、本実施の形態に係るアンテナ装置10eは、実施の形態4に係るアンテナ装置10dの変形部分として、反射板14に切り欠き14aが形成されているという特徴を有する。
【0083】
これにより、ベースとなる第2参考例に係るアンテナ装置9b及び実施の形態4に係るアンテナ装置10dよりもさらに広帯域化される。
【0084】
なお、本実施の形態では、切り欠き14aは、反射板14において、平面視で給電点と重なる位置に形成されたが、このような位置に限定されるものではなく、例えば、平面視で第2アンテナ素子12だけと重なる位置、平面視で第1アンテナ素子11だけと重なる位置、反射板14のy軸方向に延びる2辺のうち実施の形態での辺とは反対側の辺に開口を有する位置等に形成されてもよい。さらに、切り欠き14aは、反射板14において、1箇所に限られず、2以上の箇所に形成されてもよい。
【0085】
(実施の形態6)
次に、本開示の実施の形態6に係るアンテナ装置について説明する。
【0086】
図17は、実施の形態6に係るアンテナ装置10fの構造を示す外観図である。より詳しくは、図17の(a)~(d)は、それぞれ、アンテナ装置10fの上面を見た斜視図、上面図、底面図、上面の寸法図である。アンテナ装置10fは、実施の形態4に係るアンテナ装置10dの変形例に相当し、実施の形態4に係るアンテナ装置10dと比べ、第2アンテナ素子12の形状等が異なる。以下、実施の形態4との相違点を中心に説明する。
【0087】
本実施の形態では、無給電素子16の第5部分165は、実施の形態4と異なり、y軸方向の長さが第2アンテナ素子12よりも短い。無給電素子16の全体のy軸方向の長さは、24mmである。
【0088】
そして、第2アンテナ素子12は、実施の形態4と異なり、y軸方向に延びる部分だけでなく、x軸方向に延びる部分12bも有する。このx軸方向に延びる部分12bは、y軸方向に見て、3.5mmに渡って無給電素子16の第5部分165と重なる。つまり、第2アンテナ素子12は、無給電素子16の第5部分165の2辺に沿う逆L形を有する。
【0089】
図18は、図17に示された実施の形態6に係るアンテナ装置10fのアンテナ特性を示す図である。より詳しくは、図18の(a)は、実施の形態6に係るアンテナ装置10fのインピーダンス特性を示すスミスチャートであり、図18の(b)は、実施の形態6に係るアンテナ装置10fのVSWR特性を示す。
【0090】
図18の(a)から分かるように、実施の形態6に係るアンテナ装置10fは、使用周波数(2.45GHz)において、共振している。
【0091】
また、図18の(b)から分かるように、実施の形態6に係るアンテナ装置10fは、VSWR≦2の帯域幅が620MHzであり、ベースとなる第2参考例に係るアンテナ装置9bの帯域幅(420MHz)及び実施の形態4に係るアンテナ装置10dの帯域幅(580MHz)よりも広帯域化されている。
【0092】
以上のように、本実施の形態に係るアンテナ装置10fは、実施の形態4に係るアンテナ装置10dの変形部分として、無給電素子16の第5部分165が、y軸方向の長さが第2アンテナ素子12よりも短く、第2アンテナ素子12は、x軸方向に延びる部分12dを有する。
【0093】
これにより、ベースとなる第2参考例に係るアンテナ装置9b及び実施の形態4に係るアンテナ装置10dよりもさらに広帯域化される。
【0094】
以上、本開示に係るアンテナ装置について、実施の形態1~6に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態1~6に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態1~6に施したものや、実施の形態1~6における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【0095】
例えば、実施の形態1~6に係るアンテナ装置では、一枚の基板15の上面に放射器13と無給電素子16とが形成され、下面に反射板14が形成されたが、このような一枚基板の構成に限られず、放射器13と反射板14とが電磁結合できる間隔を有するという制約を実現するために、異なる基板の一方に放射器13と無給電素子16とが形成され、他方に反射板14が形成されてもよい。
【0096】
また、実施の形態5に係るアンテナ装置10eは、実施の形態4に係るアンテナ装置10dにおける底面の反射板14に切り欠き14aが形成されたが、実施の形態1~3及び6に係るアンテナ装置10a~10c及び10fにおける底面の反射板14に切り欠き14aが形成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本開示に係るアンテナ装置は、指向性を有し、小型化可能な構造をもつ広帯域なアンテナ装置として、例えば、車載インフォテイメントシステム、ウェアラブル端末、携帯端末等に用いられるアンテナ装置として、利用できる。
【符号の説明】
【0098】
10a~10f アンテナ装置
11 第1アンテナ素子
11a 第1アンテナ素子の一辺
11b 第1アンテナ素子の一辺の第1端部
11c 第1アンテナ素子の一辺の第2端部
11d 第1アンテナ素子に形成された切り欠き
111 第1アンテナ素子の幅太部分
112 第1アンテナ素子の幅狭部分
12 第2アンテナ素子
12a 第2アンテナ素子の一辺
12b 第2アンテナ素子のx軸方向に延びる部分
13 放射器
14 反射板
14a 反射板に形成された切り欠き
14b 反射板に形成された切り欠きの開口
15 基板
15a、15b スルーホール
16 無給電素子
161 無給電素子の第1部分
162 無給電素子の第2部分
163 無給電素子の第3部分
164 無給電素子の第4部分
165 無給電素子の第5部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18