IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新東工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-判定装置、判定方法、及びセンサ装置 図1
  • 特開-判定装置、判定方法、及びセンサ装置 図2
  • 特開-判定装置、判定方法、及びセンサ装置 図3
  • 特開-判定装置、判定方法、及びセンサ装置 図4
  • 特開-判定装置、判定方法、及びセンサ装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063638
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】判定装置、判定方法、及びセンサ装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/00 20060101AFI20240502BHJP
   A61F 5/44 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
G01N27/00 H
G01N27/00 K
A61F5/44 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171744
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】白木 正孝
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 誉久
(72)【発明者】
【氏名】長坂 政彦
【テーマコード(参考)】
2G060
4C098
【Fターム(参考)】
2G060AA04
2G060AA15
2G060AB03
2G060AB04
2G060AB09
2G060AB11
2G060AB17
2G060HC13
2G060HD03
2G060KA01
4C098AA09
4C098CD08
4C098CE05
4C098CE06
(57)【要約】
【課題】対象者による排泄の種類を判定することができる新規な判定装置、及びその関連技術を提供する。
【解決手段】判定装置(1)は、少なくとも1つのプロセッサ(11)を備えており、プロセッサ(11)は、第1のガスセンサ(41)により検出された第1のガス濃度、及び、第1のガスセンサ(41)とは主として検出するガス種が異なる第2のガスセンサ(42)により検出された第2のガス濃度を参照することによって、対象者(Ua)による排泄の種類を判定する判定処理(M12)を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサを備えており、
前記プロセッサは、第1のガスセンサにより検出された第1のガス濃度、及び、前記第1のガスセンサとは主として検出するガス種が異なる第2のガスセンサにより検出された第2のガス濃度を参照することによって、対象者による排泄の種類を判定する判定処理を実行する、
ことを特徴とする判定装置。
【請求項2】
前記第1のガスセンサは、大便に由来する第1のガスを主として検出するガスセンサであり、
前記第2のガスセンサは、放屁に由来する第2のガスであって、前記第1のガスとは異なる第2のガスを主として検出するガスセンサである、
ことを特徴とする請求項1に記載の判定装置。
【請求項3】
前記判定処理において、前記プロセッサは、(1)前記第1のガスセンサが検出した前記第1のガス濃度が第1の閾値以上である場合に、対象者による排泄の種類が大便であると判定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の判定装置。
【請求項4】
前記判定処理において、前記プロセッサは、(2)前記第1のガスセンサが検出した前記第1のガス濃度が前記第1の閾値未満であり、且つ、前記第2のガスセンサが検出した前記第2のガス濃度が第2の閾値以上である場合に、対象者による排泄の種類が放屁であると判定する、
ことを特徴とする請求項3に記載の判定装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、判定された排泄の種類をサービス提供者が利用する通知端末に通知する通知処理を更に実行する、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の判定装置。
【請求項6】
少なくとも1つのプロセッサが、第1のガスセンサにより検出された第1のガス濃度、及び、前記第1のガスセンサとは主として検出するガス種が異なる第2のガスセンサにより検出された第2のガス濃度を取得する取得処理と、
前記プロセッサが、前記第1のガス濃度及び前記第2のガス濃度を参照することによって、対象者による排泄の種類を判定する判定処理と、を含んでいる、
ことを特徴とする判定方法。
【請求項7】
第1のガスセンサと、
前記第1のガスセンサとは主として検出するガス種が異なる第2のガスセンサと、を備えており、
前記第1のガスセンサにより検出された第1のガス濃度、及び、前記第2のガスセンサにより検出された第2のガス濃度を、対象者による排泄の種類を判定する判定装置に送信する、
ことを特徴とするセンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排泄の種類を判定する判定装置、判定方法、及びセンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
介護サービス又は医療サービスにおいては、サービス利用者の排泄管理が重要な業務のひとつとなっている。サービス利用者の排泄を、その種類を含めて自動的に検知することができれば、排泄管理におけるサービス提供者の負担を大幅に軽減することができる。
【0003】
サービス利用者の排泄を検知する技術としては、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1に記載の技術では、匂いセンサの出力信号と湿度センサの出力信号とに基づいて、被介護者の排泄物の種類及びオムツ漏れを判断し、介護者に排泄処置の緊急度を通知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-33745号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術は、匂いセンサの信号、及び湿度センサの信号を組み合わせて参照することにより、排泄物の種類を判定する技術である。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、匂いセンサ、湿度センサ、及び吸気ファンを用いるため、センサ装置の構成は複雑になることがある。
【0006】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、対象者による排泄の種類を判定することができる新規な判定装置、及びその関連技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る判定装置は、少なくとも1つのプロセッサを備えており、前記プロセッサは、第1のガスセンサにより検出された第1のガス濃度、及び、前記第1のガスセンサとは主として検出するガス種が異なる第2のガスセンサにより検出された第2のガス濃度を参照することによって、対象者による排泄の種類を判定する判定処理を実行する。
【0008】
本発明の一態様に係る判定方法は、少なくとも1つのプロセッサが、第1のガスセンサにより検出された第1のガス濃度、及び、前記第1のガスセンサとは主として検出するガス種が異なる第2のガスセンサにより検出された第2のガス濃度を取得する取得処理と、前記プロセッサが、前記第1のガス濃度及び前記第2のガス濃度を参照することによって、対象者による排泄の種類を判定する判定処理と、を含んでいる。
【0009】
本発明の一態様に係るセンサ装置は、第1のガスセンサと、前記第1のガスセンサとは主として検出するガス種が異なる第2のガスセンサと、を備えており、前記第1のガスセンサにより検出された第1のガス濃度、及び、前記第2のガスセンサにより検出された第2のガス濃度を、対象者による排泄の種類を判定する判定装置に送信する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、対象者による排泄の種類を判定することができる新規な判定装置、及びその関連技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る判定システムの構成を示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態における、大便に由来するガス及び放屁に由来するガスに含まれる第1のガス濃度及び第2のガス濃度の変化を模式的に示すグラフである。
図3図1に示す判定システムに含まれる判定装置の構成を示すブロック図である。
図4図3に示す判定装置が実施する判定方法の流れを示すフロー図である。
図5図4に示す判定方法に含まれる判定処理の具体例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(判定システムの構成)
本発明の一実施形態に係る判定システムSについて、図1を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る判定システムSの構成を示す模式図である。
【0013】
判定システムSは、介護サービス及び/又は医療サービスの提供を目的とする施設において、対象者であるサービス利用者Uaによる排泄の種類を判定し、判定結果をサービス提供者Ubに通知するためのシステムである。本実施形態においては、排泄の種類は、大便及び放屁の何れか一方であると判定される。なお、本明細書における「放屁」とは、排便を伴わずに身体からガスが排出される現象のことを指す。排便時に身体からガスが排出される現象、排便後に大便からガスが排出される現象、排尿後に尿からガスが排出される現象は、「放屁」に含まれない。
【0014】
判定システムSは、図1に示すように、判定装置1と、通知端末2と、中継端末3と、センサ装置4と、を含んでいる。判定装置1と通知端末2とは、ネットワークを介して通信を行い、判定装置1と中継端末3とは、ネットワークを介して通信を行い、中継端末3とセンサ装置4とは、ネットワークを介さずに通信(例えば近距離無線通信)を行う。
【0015】
センサ装置4は、サービス利用者Uaに装着される。一例として、センサ装置4は、サービス利用者Uaの下着(おむつやパンツなど)の内部に装着される。センサ装置4は、第1のガスセンサ41と、第2のガスセンサ42とを備えており、第1のガスセンサ41及び第2のガスセンサ42それぞれの出力信号を、中継端末3を介して判定装置1に送信する。センサ装置4から中継端末3への通信は、センサ装置4が備えるプロセッサが、センサ装置4が備える通信インタフェースを用いて行う。
【0016】
第1のガスセンサ41は、予め定められたガス種である第1のガスを選択的に検出するガスセンサである。第2のガスセンサ42は、予め定められたガス種であって、第1のガスとは異なるガス種である第2のガスを選択的に検出するガスセンサである。すなわち、第2のガスセンサは、第1のガスセンサとは主として検出するガス種が異なる。更に別の言い方をすれば、第2のガスセンサは、第1のガスセンサとは検出ターゲットとなるガス種が異なる。以下、本明細書において、単に「ガスセンサ」と記載する場合、当該記載は、第1のガスセンサ41及び第2のガスセンサ42のうち両方、又は任意の一方を指す。
【0017】
第1のガスセンサ及び第2のガスセンサの出力信号は、それぞれ第1のガス及び第2のガスの濃度の時系列を表す情報を含む。以下、記載の簡略化のため、第1のガス及び第2のガスの濃度の時系列を表す情報を、それぞれ単に「第1のガス濃度」及び「第2のガス濃度」と略記する。
【0018】
本実施形態において、第1のガスは、大便に由来するガスであり、例えば、硫化水素である。換言すれば、第1のガスセンサ41は、硫化水素センサである。また、本実施形態において、第2のガスは、放屁に由来するガスであり、例えば、水素である。換言すれば、第2のガスセンサ42は、水素センサである。
【0019】
なお、以下の説明においては、簡単のために、大便に由来するガスには、第1のガスが含まれ、且つ、第2のガスが含まれないものとし、放屁に由来するガスには、第2のガスが含まれ、且つ、第1のガスが含まれないものとする。この場合、サービス利用者Uaによる排泄が大便であるとき、第1のガス濃度及び第2のガス濃度は、図3の左側のグラフに示すように変化する。一方、サービス利用者Uaによる排泄が放屁であるとき、第1のガス濃度及び第2のガス濃度は、図3の右側のグラフに示すように変化する。
【0020】
中継端末3は、センサ装置4の周辺に配置される。一例として、中継端末3は、サービス利用者Uaが利用する居室に配置される。中継端末3は、ガスセンサの出力信号をセンサ装置4から受信する。また、中継端末3は、センサ装置4から受信したガスセンサの出力信号を判定装置1に送信する。本実施形態においては、スマートフォンを中継端末3として利用する。据え置き型の無線中継器を、中継端末3として用いてもよい。
【0021】
判定装置1は、上述した施設外に配置される。一例として、判定装置1は、データセンターに配置される。判定装置1は、ガスセンサの出力信号を中継端末3から受信する。また、判定装置1は、中継端末3から受信したガスセンサの出力信号を参照し、サービス利用者Uaの排泄の種類を判定する。そして、判定装置1は、判定結果を含む通知画面を通知端末2に送信する。なお、施設内に配置されたコンピュータなどを、判定装置1として利用してもよい。
【0022】
通知端末2は、サービス提供者Ubに携帯される。通知端末2は、通知画面を表すデータを判定装置1から受信する。また、通知端末2は、タッチパネル式のディスプレイを備えており、判定装置1から受信したデータに基づいて通知画面をそのディスプレイに表示する。本実施形態においては、スマートフォンを通知端末2として利用する。なお、以下の説明においては、通知画面を表すデータを送信することを、その通知画面を送信すると記載し、各種画面を表すデータを受信することを、その画面を受信すると記載する。
【0023】
(判定装置の構成)
判定システムSに含まれる判定装置1の構成について、図3を参照して説明する。図3は、図1に示す判定システムSに含まれる判定装置1の構成を示すブロック図である。
【0024】
判定装置1は、図3に示すように、プロセッサ11と、一次メモリ12と、二次メモリ13と、通信インタフェース14と、バス15と、を備えている。プロセッサ11、一次メモリ12、二次メモリ13、及び通信インタフェース14は、バス15を介して相互に接続されている。判定装置1として利用可能なデバイスとしては、例えば、クラウドサーバを構成するワークステーションを挙げることができる。
【0025】
二次メモリ13には、判定プログラムPが格納されている。プロセッサ11は、二次メモリ13に格納されている判定プログラムPを一次メモリ12上に展開する。そして、プロセッサ11は、一次メモリ12上に展開された判定プログラムPに含まれる命令に従って、後述する判定方法M1に含まれる各処理を実行する。プロセッサ11として利用可能なデバイスとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)を挙げることができる。また、一次メモリ12として利用可能なデバイスとしては、例えば、半導体RAM(Random Access Memory)を挙げることができる。また、二次メモリ13として利用可能なデバイスとしては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)を挙げることができる。
【0026】
通信インタフェース14は、ネットワークを介して通知端末2及び中継端末3と通信を行うためのインタフェースである。通信インタフェース14として利用可能なインタフェースとしては、例えば、イーサネット(登録商標)インタフェースが挙げられる。また、利用可能なネットワークとしては、PAN(Personal Area Network)、LAN(Local Area Network)、CAN(Campus Area Network)、MAN(Metropolitan Area Network)、WAN(Wide Area Network)、GAN(Global Area Network)、又は、これらのネットワークを含むインターネットワークが挙げられる。インターネットワークは、イントラネットであってもよいし、エクストラネットであってもよいし、インターネットであってもよい。
【0027】
なお、プロセッサ11に判定方法M1を実行させるための判定プログラムPは、コンピュータ読み取り可能な一時的でない有形の記録媒体に記録され得る。この記録媒体は、二次メモリ13であってもよいし、その他の記録媒体であってもよい。例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブル論理回路などが、その他の記録媒体として利用可能である。
【0028】
また、本実施形態においては、単一のプロセッサ(プロセッサ11)を用いて判定方法M1を実行する構成を採用しているが、本発明は、これに限定されない。すなわち、複数のプロセッサを用いて判定方法M1を実行する構成を採用してもよい。この場合、判定方法M1を実行する複数のプロセッサは、単一のコンピュータに設けられ、バスを介して相互に通信可能に構成されていてもよいし、複数のコンピュータに分散して設けられ、ネットワークを介して相互に通信可能に構成されていてもよい。例えば、クラウドサーバを構成する複数のコンピュータの各々が備えるプロセッサが連携して判定方法M1を実行する態様や、判定装置1のプロセッサ11と通知端末2のプロセッサとが連携して判定方法M1を実行する態様なども、考えられる。
【0029】
(判定方法の流れ)
判定装置1が実施する判定方法M1の流れについて、図4及び図5を参照して説明する。
【0030】
図4は、図3に示す判定装置1が実施する判定方法M1の流れを示すフロー図である。判定方法M1は、図4に示すように、取得処理M11と、判定処理M12と、通知処理M13と、を含んでいる。本実施形態において、取得処理M11、判定処理M12及び通知処理M13は、判定装置1のプロセッサ11によって実行される。
【0031】
取得処理M11は、第1のガスセンサ41により検出された第1のガス濃度(硫化水素ガス濃度)、及び、第2のガスセンサ42により検出された第2のガス濃度(水素ガス濃度)を取得する処理である。本実施形態においては、プロセッサ11は、ガスセンサが検出したガス濃度を、センサ装置4の通信インタフェース及び判定装置1の通信インタフェース14を介して、センサ装置4から取得する。しかしながら、本発明は、このような構成に限定されない。一例として、プロセッサ11は、二次メモリ13に記憶された第1のガス濃度及び第2のガス濃度を二次メモリ13から読み出すことによって、第1のガス濃度及び第2のガス濃度を取得してもよい。
【0032】
判定処理M12は、第1のガス濃度及び第2のガス濃度を参照することによって、サービス利用者Uaによる排泄の種類を判定する処理である。判定処理M12の具体例については、参照する図面を代えて後述する。
【0033】
なお、プロセッサ11は、取得処理M11にて取得したガス濃度に対して前処理を施し、前処理が施されたガス濃度を用いて判定処理M12を実行してもよい。前処理としては、正規化及び標準化などのスケーリング処理、ハイパスフィルタ及びローパスフィルタなどのフィルタ処理、線形補間及びスプライン補間などの補間処理、などが挙げられる。
【0034】
通知処理M13は、判定処理M12において判定された排泄の種類をサービス提供者Ubが利用する通知端末2に通知するための処理である。本実施形態においては、プロセッサ11が、判定された排泄の種類を示す通知画面を、通信インタフェース14を用いて通知端末2に送信する。
【0035】
(判定処理の具体例)
判定処理M12の一具体例について、図5を参照して説明する。図5は、図4に示す判定方法M1に含まれる判定処理M12の具体例を示すフロー図である。
【0036】
判定処理M12は、例えば図5に示すように、第1比較処理M12aと、大便判定処理M12bと、第2比較処理M12cと、放屁判定処理M12dと、によって構成することができる。本実施形態において、第1比較処理M12a、大便判定処理M12b、第2比較処理M12c、及び放屁判定処理M12dは、判定装置1のプロセッサ11によって実行される。
【0037】
第1比較処理M12aは、第1のガス濃度を予め定められた第1の閾値と比較する処理である。
【0038】
第1比較処理M12aにおいて、第1のガス濃度が第1の閾値以上であると判定された場合、大便判定処理M12bが実行される。大便判定処理M12bは、サービス利用者Uaによる排泄の種類が大便であると判定する処理である。
【0039】
第1比較処理M12aにおいて、第1のガス濃度が第1の閾値未満であると判定された場合、第2比較処理M12cが実行される。第2比較処理M12cは、第2のガス濃度を予め定められた第2の閾値と比較する処理である。
【0040】
第2比較処理M12cにおいて、第2のガス濃度が第2の閾値以上であると判定された場合、放屁判定処理M12dが実行される。放屁判定処理M12dは、サービス利用者Uaによる排泄の種類が放屁であると判定する処理である。
【0041】
(本実施形態の効果)
以上のように、本実施形態に係る判定装置1は、少なくとも1つのプロセッサ11を備えており、プロセッサ11は、第1のガスセンサ41により検出された第1のガス濃度、及び、第1のガスセンサ41とは主として検出するガス種が異なる第2のガスセンサ42により検出された第2のガス濃度を参照することによって、対象者Uaによる排泄の種類を判定する判定処理M12を実行する。
【0042】
このような構成によれば、プロセッサ11が、選択的に検出されたガス濃度であって、互いに異なる2つ以上のガス種のガス濃度を参照するため、対象者Uaによる排泄の種類を判定することができる装置が実現できる。
【0043】
また、本実施形態において、第1のガスセンサ41は、大便に由来する第1のガスを主として検出するガスセンサであり、第2のガスセンサ42は、放屁に由来する第2のガスであって、第1のガスとは異なる第2のガスを主として検出するガスセンサである。
【0044】
このような構成によれば、プロセッサ11が、大便に由来するガスの濃度である第1のガス濃度、および放屁に由来するガスの濃度である第2のガス濃度を参照するため、良好な精度で対象者Uaによる排泄が大便又は放屁であるか、判定することができる技術が実現できる。
【0045】
また、本実施形態において、判定処理M12において、プロセッサ11は、(1)第1のガスセンサ41が検出した第1のガス濃度が第1の閾値以上である場合に、対象者Uaによる排泄の種類が大便であると判定する。また、判定処理M12において、プロセッサ11は、(2)第1のガスセンサ41が検出した第1のガス濃度が第1の閾値未満であり、且つ、第2のガスセンサ42が検出した第2のガス濃度が第2の閾値以上である場合に、対象者Uaによる排泄の種類が放屁であると判定する。
【0046】
このような構成によれば、第1のガス濃度に基づいて排泄の種類が大便でないことが確認された場合に限って、第2のガス濃度に基づいて排泄の種類が放屁であるか否かが判定される。このため、排泄の種類が大便であるにも関わらず、放屁と誤判定する可能性を低減することができる。その結果、誤判定によりサービス利用者の大便の措置が遅れる可能性を低減することができる。
【0047】
また、本実施形態において、プロセッサ11は、判定された排泄の種類をサービス提供者Ubが利用する通知端末2に通知する通知処理M13を更に実行する。
【0048】
このような構成によれば、サービス提供者Ubに判定結果が通知されるため、対象者Uaの排泄管理のためのサービス提供者Ubが被る負担を軽減することができる装置が実現できる。
【0049】
また、本実施形態に係る判定方法M1は、少なくとも1つのプロセッサ11が、第1のガスセンサ41により検出された第1のガス濃度、及び、第1のガスセンサ41とは主として検出するガス種が異なる第2のガスセンサ42により検出された第2のガス濃度を取得する取得処理M11と、プロセッサ11が、第1のガス濃度及び第2のガス濃度を参照することによって、対象者Uaによる排泄の種類を判定する判定処理M12と、を含んでいる。
【0050】
このような構成によれば、プロセッサ11が、選択的に検出されたガス濃度であって、互いに異なる2つ以上のガス種のガス濃度を参照するため、対象者Uaによる排泄の種類を判定することができる方法が実現できる。
【0051】
また、本実施形態に係るセンサ装置4は、第1のガスセンサ41と、第1のガスセンサ41とは主として検出するガス種が異なる第2のガスセンサ42と、を備えており、第1のガスセンサ41により検出された第1のガス濃度、及び、第2のガスセンサ42により検出された第2のガス濃度を、対象者Uaによる排泄の種類を判定する判定装置1に送信する。
【0052】
このような構成によれば、対象者Uaによる排泄の種類を判定するために利用できるセンサ装置4が実現できる。ガスセンサ及び湿度センサが組み合わせて構成される従来技術によるセンサ装置と比較して、センサ装置4は、両者が共にガスセンサである第1のガスセンサ41及び第2のガスセンサ42を備えているため、当該センサ装置4は構成が簡便である。
【0053】
(変形例)
本実施形態においては、判定方法M1を判定装置1が実施する形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、判定方法M1をセンサ装置4が実施してもよいし、中継端末3が実施してもよいし、通知端末2が実施してもよい。
【0054】
判定方法M1をセンサ装置4が実施する場合、センサ装置4は、自身が得た判定結果を中継端末3に送信し、中継端末3は、センサ装置4から得た判定結果を判定装置1に送信する。また、判定方法M1を中継端末3が実施する場合、センサ装置4は、ガスセンサの出力信号を中継端末3に送信し、中継端末3は、自身が得た判定結果を判定装置1に送信する。何れの場合も、判定装置1は、判定方法M1を実施することなく、中継端末3から得た判定結果を示す通知画面を通知端末2に送信する通知装置として機能する。
【0055】
判定方法M1を通知端末2が実施する場合、センサ装置4は、ガスセンサの出力信号を中継端末3に送信し、中継端末3は、センサ装置4から得た出力信号を判定装置1に送信する。判定装置1は、判定方法M1を実施することなく、中継端末3から得た出力信号を通知端末2に送信する中継装置として機能する。この場合、通知端末2は、自身が得た判定結果を含む通知画面を表示することになる。
【0056】
本実施形態においては、排泄の種類が大便及び放屁の何れか一方であると判定される形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。判定される排泄の種類は、任意の2種類以上の排泄の組み合わせであってよい。判定される排泄の種類としては、例えば、大便、小便及び放屁及び等が挙げられる。排泄の種類は、大便のなかでも、血便と、血便ではない大便とが区別されて、判定されてもよい。また、排泄の種類は、小便のなかでも、血尿と、血尿ではない小便とが区別されて、判定されてもよい。判定される排泄の種類が3以上である場合、センサ装置4が、判定される排泄の種類と同数のガスセンサであって、判定される排泄それぞれに由来し、互いに異なるガス種であるガスを選択的に検出するガスセンサを備えており、プロセッサ11が検出されるガス濃度すべてを参照する構成が採用されてもよい。あるいは、センサ装置4は、第1のガスセンサ41と第2のガスセンサ42とを備えており、プロセッサ11が、検出される2つのガス濃度を参照して、所定のアルゴリズムに基づいて、3以上の種類の排泄を判定してもよい。
【0057】
本実施形態においては、第1のガスセンサ41が硫化水素ガスを検出し、第2のガスセンサ42が水素ガスを検出する形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1のガスセンサ41は、大便に由来する第1のガスとして、硫化水素以外の、大便に由来するガスを選択的に検出するガスセンサであってもよい。第2のガスセンサ42は、放屁に由来する第2のガスとして、水素以外の、放屁に由来するガスを選択的に検出するガスセンサであってもよい。また、センサ装置4は、第3のガスセンサを更に備えてもよく、当該第3のガスセンサは、小便に由来する第3のガスとして、鉄分含有ガスを選択的に検出するガスセンサであってもよい。
【0058】
なお、放屁には、水素ガスの他に、メタンガス、二酸化炭素ガス及び窒素ガスも含まれている。したがって、(1)第2のガスとしてメタンガスを用い、第2のガスセンサ42としてメタンセンサを用いてもよいし、(2)第2のガスとして二酸化炭素ガスを用い、第2のガスセンサ42として二酸化炭素センサを用いてもよいし、(3)第2のガスとして窒素ガスを用い、第2のガスセンサ42として窒素センサを用いてもよい。
【0059】
水素ガス、メタンガス、二酸化炭素ガス、及び窒素ガスのうち、放屁における濃度が最も高いガスは水素ガスである。また、水素ガスは、大気中の濃度が低い。このため、水素ガスは、放屁に由来する第2のガスとして用いることに最も適したガスであると考えることができる。ただし、水素は分子量が小さいため、サービス利用者Uaの下着を透過して大気中へ拡散しやすい。したがって、第2のガスセンサ42が存在する下着内部においては、水素ガス濃度は短時間で低下することがある。短時間での濃度低下が排泄の種類を判定する障害になる場合には、メタンガス、二酸化炭素ガス、又は窒素ガスを、第2のガスとして用いるとよい。なかでもメタンガスは、窒素ガス及び二酸化炭素ガスに比べて大気中の濃度が低いので、放屁に由来する第2のガスとして用いることに適したガスである。
【0060】
また、本発明において、判定処理M12において排泄の種類を判定するためのアルゴリズムは、本実施形態について上述したアルゴリズムに限定されない。排泄の種類を判定するためのアルゴリズムとしては、例えば、判定される排泄の種類と、第1のガス濃度と、第2のガス濃度とが関係付けられた教師データを用いて機械学習した学習済モデルが用いられるアルゴリズム;対象者による過去の排泄のときに検出された第1のガス濃度及び第2のガス濃度と、当該過去の排泄の種類との対応関係に基づいて定められた実績値が、比較対象として用いられるアルゴリズム;などが挙げられる。
【0061】
また、本発明において、第1のガスセンサ41及び第2のガスセンサ42の、対象者による排泄に対する応答特性は、本実施形態について上述した応答特性に限定されない。例えば、第1のガスセンサ41は、第2のガスと比較して第1のガスに対してより感応性であり、且つ第2のガスに対しても感応性であってもよい。第2のガスセンサ42もまた、同様である。
【0062】
(付記事項)
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、上述した実施形態に開示された各技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
1 判定装置
2 通知端末
4 センサ装置
11 プロセッサ
41 第1のガスセンサ
42 第2のガスセンサ
Ua 対象者、サービス利用者
Ub サービス提供者

図1
図2
図3
図4
図5