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特開2024-63640判定装置、判定方法、及び判定システム
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  • 特開-判定装置、判定方法、及び判定システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063640
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】判定装置、判定方法、及び判定システム
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/44 20060101AFI20240502BHJP
   G08B 25/08 20060101ALI20240502BHJP
   G06Q 50/22 20240101ALI20240502BHJP
   G16H 10/00 20180101ALI20240502BHJP
【FI】
A61F5/44 S
G08B25/08 A
G06Q50/22
G16H10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171746
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】白木 正孝
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 誉久
【テーマコード(参考)】
4C098
5C087
5L099
【Fターム(参考)】
4C098AA09
4C098CC27
4C098CD08
4C098CD09
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA21
5C087BB20
5C087EE07
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG08
5C087GG66
5L099AA13
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】対象者による排泄の種類を判定することができる新規な判定装置、及びその関連技術を提供する。
【解決手段】判定装置(1)は、少なくとも1つのプロセッサ(11)を備えており、前記プロセッサ(11)は、第1のガスセンサ(41)により検出されたガス濃度である第1のガス濃度、及び、前記第1のガスセンサ(41)よりも対象者(Ua)の遠位に配置された第2のガスセンサ(42)により検出されたガス濃度である第2のガス濃度を参照することによって、対象者(Ua)による排泄の種類を判定する判定処理(M12)を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサを備えており、
前記プロセッサは、第1のガスセンサにより検出されたガス濃度である第1のガス濃度、及び、前記第1のガスセンサよりも対象者の遠位に配置された第2のガスセンサにより検出されガス濃度である第2のガス濃度を参照することによって、対象者による排泄の種類を判定する判定処理を実行する、
ことを特徴とする判定装置。
【請求項2】
前記判定処理において、前記プロセッサは、前記第1のガス濃度が予め定められた始動閾値以上となってから予め定められた時間が経過した時点で、
(1)前記第1のガス濃度が予め定められた第1の閾値未満である場合に、対象者による排泄の種類が放屁であると判定し、
(2)前記第1のガス濃度が前記第1の閾値以上であり、且つ、前記第2のガス濃度が予め定められた第2の閾値以上である場合に、対象者による排泄の種類が大便であると判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の判定装置。
【請求項3】
前記判定処理において、前記プロセッサは、前記第1のガス濃度が予め定められた始動閾値以上となってから予め定められた時間が経過した時点で、
(1)前記第1のガス濃度が予め定められた第1の閾値未満であり、且つ、前記第2のガス濃度が予め定められた第2の閾値以上である場合に、対象者による排泄の種類が放屁であると判定し、
(2)前記第1のガス濃度が前記第1の閾値以上であり、且つ、前記第2のガス濃度が前記第2の閾値以上である場合に、対象者による排泄の種類が大便であると判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の判定装置。
【請求項4】
前記判定処理において、前記プロセッサは、前記第1のガス濃度が予め定められた始動閾値以上となってから予め定められた時間が経過した時点で、
(3)前記第1のガス濃度が予め定められた第1の閾値以上であり、且つ、前記第2のガス濃度が予め定められた第2の閾値未満である場合に、前記予め定められた時間の設定異常であると判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の判定装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記判定処理の結果をサービス提供者が利用する通知端末に通知する通知処理を更に実行する、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の判定装置。
【請求項6】
少なくとも1つのプロセッサが、第1のガスセンサにより検出されたガス濃度である第1のガス濃度、及び、前記第1のガスセンサよりも対象者の遠位に配置された第2のガスセンサにより検出されたガス濃度である第2のガス濃度を取得する取得処理と、
前記プロセッサが、前記第1のガス濃度及び前記第2のガス濃度を参照することによって、対象者による排泄の種類を判定する判定処理と、を含んでいる、
ことを特徴とする判定方法。
【請求項7】
第1のガスセンサと、
前記第1のガスセンサよりも対象者の遠位に配置された第2のガスセンサと、
前記第1のガスセンサにより検出されたガス濃度である第1のガス濃度、及び、前記第2のガスセンサにより検出されたガス濃度である第2のガス濃度を参照することによって、対象者による排泄の種類を判定する判定処理を実行する判定装置と、を備えている、
ことを特徴とする判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排泄の種類を判定する判定装置、判定方法、及び判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
介護サービス又は医療サービスにおいては、サービス利用者の排泄管理が重要な業務のひとつとなっている。サービス利用者の排泄を、その種類を含めて自動的に検知することができれば、排泄管理におけるサービス提供者の負担を大幅に軽減することができる。
【0003】
サービス利用者の排泄を検知する技術としては、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1に記載の技術では、匂いセンサの出力信号と湿度センサの出力信号とに基づいて、被介護者の排泄物の種類及びオムツ漏れを判断し、介護者に排泄処置の緊急度を通知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-33745号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術は、匂いセンサの信号、及び湿度センサの信号を組み合わせて参照することにより、排泄物の種類を判定する技術である。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、匂いセンサ、湿度センサ、及び吸気ファンを用いるため、判定システムの構成は複雑になることがある。
【0006】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、対象者による排泄の種類を判定することができる新規な判定装置、及びその関連技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る判定装置は、少なくとも1つのプロセッサを備えており、前記プロセッサは、第1のガスセンサにより検出されたガス濃度である第1のガス濃度、及び、前記第1のガスセンサよりも対象者の遠位に配置された第2のガスセンサにより検出されたガス濃度である第2のガス濃度を参照することによって、対象者による排泄の種類を判定する判定処理を実行する。
【0008】
本発明の一態様に係る判定方法は、少なくとも1つのプロセッサが、第1のガスセンサにより検出されたガス濃度である第1のガス濃度、及び、前記第1のガスセンサよりも対象者の遠位に配置された第2のガスセンサにより検出されたガス濃度である第2のガス濃度を取得する取得処理と、前記プロセッサが、前記第1のガス濃度及び前記第2のガス濃度を参照することによって、対象者による排泄の種類を判定する判定処理と、を含んでいる。
【0009】
本発明の一態様に係る判定システムは、第1のガスセンサと、前記第1のガスセンサよりも対象者の遠位に配置された第2のガスセンサと、前記第1のガスセンサにより検出されたガス濃度である第1のガス濃度、及び、前記第2のガスセンサにより検出されたガス濃度である第2のガス濃度を参照することによって、対象者による排泄の種類を判定する判定処理を実行する判定装置と、を備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、対象者による排泄の種類を判定することができる新規な判定装置、及びその関連技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る判定システムの構成を示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態における、大便及び放屁が生じた場合の第1のガス濃度及び第2のガス濃度の変化を模式的に示すグラフである。
図3図1に示す判定システムに含まれる判定装置の構成を示すブロック図である。
図4図3に示す判定装置が実施する判定方法の流れを示すフロー図である。
図5図4に示す判定方法に含まれる判定処理の具体例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(判定システムの構成)
本発明の一実施形態に係る判定システムSについて、図1を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る判定システムSの構成を示す模式図である。
【0013】
判定システムSは、介護サービス及び/又は医療サービスの提供を目的とする施設において、対象者であるサービス利用者Uaによる排泄の種類を判定し、判定結果をサービス提供者Ubに通知するためのシステムである。本実施形態においては、排泄の種類は、大便及び放屁の何れか一方であると判定される。なお、本明細書における「放屁」とは、排便を伴わずに身体からガスが排出される現象のことを指す。排便時に身体からガスが排出される現象、排便後に大便からガスが排出される現象、排尿後に尿からガスが排出される現象は、「放屁」に含まれない。
【0014】
判定システムSは、図1に示すように、判定装置1と、通知端末2と、中継端末3と、第1のガスセンサ41と、第2のガスセンサ42と、を含んでいる。判定装置1と通知端末2とは、ネットワークを介して通信を行い、判定装置1と中継端末3とは、ネットワークを介して通信を行い、中継端末3と、第1のガスセンサ41及び第2のガスセンサ42のそれぞれとは、ネットワークを介さずに通信(例えば近距離無線通信)を行う。
【0015】
第1のガスセンサ41は、サービス利用者Uaに装着される。一例として、第1のガスセンサ41は、サービス利用者Uaの下着(おむつやパンツなど)の内部に装着される。第1のガスセンサ41は、出力信号を、中継端末3を介して判定装置1に送信する。第1のガスセンサ41から中継端末3への通信は、第1のガスセンサ41が備えるプロセッサが、第1のガスセンサ41が備える通信インタフェースを用いて行う。
【0016】
第2のガスセンサ42は、第1のガスセンサ41よりもサービス利用者Uaの遠位に配置され、例えば、サービス利用者Uaの臀部を基準として、第1のガスセンサ41よりも遠位に配置される。一例として、第2のガスセンサ42は、サービス利用者Uaの上衣(パジャマの上半身部分やセーターなど)の内部に装着される。第2のガスセンサ42から中継端末3への通信は、第2のガスセンサ42が備えるプロセッサが、第2のガスセンサ42が備える通信インタフェースを用いて行う。以下、本明細書において、単に「ガスセンサ」と記載する場合、当該記載は、第1のガスセンサ41及び第2のガスセンサ42のうち両方、又は任意の一方を指す。
【0017】
第1のガスセンサ41は、予め定められたガス種を選択的に検出するガスセンサである。また、第2のガスセンサ42は、第1のガスセンサ41が選択的に検出するガスと同一のガス種を選択的に検出するガスセンサである。すなわち、第1のガスセンサ41と第2のガスセンサ42とは、主として検出するガス種が同一である。本実施形態においては、第1のガスセンサ41及び第2のガスセンサ42は、硫化水素センサである。本明細書において、第1のガスセンサ41によって検出されたガスの濃度を第1のガス濃度と記載し、第2のガスセンサ42によって検出されたガスの濃度を第2のガス濃度と記載する。
【0018】
なお、本発明は、第1のガスセンサ41及び第2のガスセンサ42が硫化水素センサである構成に限定されない。第1のガスセンサ41及び第2のガスセンサ42は、互いに同一の、大便に由来するガス種を選択的に検出するガスセンサであってもよく、例えば硫化水素、メチルメルカプタン、スカトール又はインドールを選択的に検出するセンサであってもよい。また、第1のガスセンサ41及び第2のガスセンサ42は、互いに同一の、放屁に由来するガス種を選択的に検出するガスセンサであってもよく、例えば水素センサであってもよい。また、第1のガスセンサ41と、第2のガスセンサ42とは、互いに異なるガス種を選択的に検出するガスセンサであってもよい。
【0019】
第1のガスセンサ41及び第2のガスセンサ42の出力信号は、それぞれ第1のガス濃度及び第2のガス濃度の時系列を表す情報を含む。以下、記載の簡略化のため、第1のガス濃度及び第2のガス濃度の時系列を表す情報を、それぞれ単に「第1のガス濃度」及び「第2のガス濃度」と略記する。
【0020】
なお、以下の説明においては、簡単のために、放屁及び大便の両方に、第1のガスセンサ41及び第2のガスセンサ42が選択的に検出するガス種が含まれているものとする。この場合、サービス利用者Uaによる排泄が大便であるとき、第1のガス濃度及び第2のガス濃度は、図2の左側のグラフに示すように変化する。一方、サービス利用者Uaによる排泄が放屁であるとき、第1のガス濃度及び第2のガス濃度は、図2の右側のグラフに示すように変化する。
【0021】
中継端末3は、第1のガスセンサ41及び第2のガスセンサ42の周辺に配置される。一例として、中継端末3は、サービス利用者Uaが利用する居室に配置される。中継端末3は、ガスセンサの出力信号を受信する。また、中継端末3は、受信したガスセンサの出力信号を判定装置1に送信する。本実施形態においては、スマートフォンを中継端末3として利用する。据え置き型の無線中継器を、中継端末3として用いてもよい。
【0022】
判定装置1は、上述した施設外に配置される。一例として、判定装置1は、データセンターに配置される。判定装置1は、ガスセンサの出力信号を中継端末3から受信する。また、判定装置1は、中継端末3から受信したガスセンサの出力信号を参照し、サービス利用者Uaの排泄の種類を判定する。そして、判定装置1は、判定結果を含む通知画面を通知端末2に送信する。なお、施設内に配置されたコンピュータなどを、判定装置1として利用してもよい。
【0023】
通知端末2は、サービス提供者Ubに携帯される。通知端末2は、通知画面を表すデータを判定装置1から受信する。また、通知端末2は、タッチパネル式のディスプレイを備えており、判定装置1から受信したデータに基づいて通知画面をそのディスプレイに表示する。本実施形態においては、スマートフォンを通知端末2として利用する。なお、以下の説明においては、通知画面を表すデータを送信することを、その通知画面を送信すると記載し、各種画面を表すデータを受信することを、その画面を受信すると記載する。
【0024】
(判定装置の構成)
判定システムSに含まれる判定装置1の構成について、図3を参照して説明する。図3は、図1に示す判定システムSに含まれる判定装置1の構成を示すブロック図である。
【0025】
判定装置1は、図3に示すように、プロセッサ11と、一次メモリ12と、二次メモリ13と、通信インタフェース14と、バス15と、を備えている。プロセッサ11、一次メモリ12、二次メモリ13、及び通信インタフェース14は、バス15を介して相互に接続されている。判定装置1として利用可能なデバイスとしては、例えば、クラウドサーバを構成するワークステーションを挙げることができる。
【0026】
二次メモリ13には、判定プログラムPが格納されている。プロセッサ11は、二次メモリ13に格納されている判定プログラムPを一次メモリ12上に展開する。そして、プロセッサ11は、一次メモリ12上に展開された判定プログラムPに含まれる命令に従って、後述する判定方法M1に含まれる各処理を実行する。プロセッサ11として利用可能なデバイスとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)を挙げることができる。また、一次メモリ12として利用可能なデバイスとしては、例えば、半導体RAM(Random Access Memory)を挙げることができる。また、二次メモリ13として利用可能なデバイスとしては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)を挙げることができる。
【0027】
通信インタフェース14は、ネットワークを介して通知端末2及び中継端末3と通信を行うためのインタフェースである。通信インタフェース14として利用可能なインタフェースとしては、例えば、イーサネット(登録商標)インタフェースが挙げられる。また、利用可能なネットワークとしては、PAN(Personal Area Network)、LAN(Local Area Network)、CAN(Campus Area Network)、MAN(Metropolitan Area Network)、WAN(Wide Area Network)、GAN(Global Area Network)、又は、これらのネットワークを含むインターネットワークが挙げられる。インターネットワークは、イントラネットであってもよいし、エクストラネットであってもよいし、インターネットであってもよい。
【0028】
なお、プロセッサ11に判定方法M1を実行させるための判定プログラムPは、コンピュータ読み取り可能な一時的でない有形の記録媒体に記録され得る。この記録媒体は、二次メモリ13であってもよいし、その他の記録媒体であってもよい。例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブル論理回路などが、その他の記録媒体として利用可能である。
【0029】
また、本実施形態においては、単一のプロセッサ(プロセッサ11)を用いて判定方法M1を実行する構成を採用しているが、本発明は、これに限定されない。すなわち、複数のプロセッサを用いて判定方法M1を実行する構成を採用してもよい。この場合、判定方法M1を実行する複数のプロセッサは、単一のコンピュータに設けられ、バスを介して相互に通信可能に構成されていてもよいし、複数のコンピュータに分散して設けられ、ネットワークを介して相互に通信可能に構成されていてもよい。例えば、クラウドサーバを構成する複数のコンピュータの各々が備えるプロセッサが連携して判定方法M1を実行する態様や、判定装置1のプロセッサ11と通知端末2のプロセッサとが連携して判定方法M1を実行する態様なども、考えられる。
【0030】
(判定方法の流れ)
判定装置1が実施する判定方法M1の流れについて、図4及び図5を参照して説明する。
【0031】
図4は、図3に示す判定装置1が実施する判定方法M1の流れを示すフロー図である。判定方法M1は、図4に示すように、取得処理M11と、判定処理M12と、通知処理M13と、を含んでいる。本実施形態において、取得処理M11、判定処理M12及び通知処理M13は、判定装置1のプロセッサ11によって実行される。
【0032】
取得処理M11は、第1のガスセンサ41により検出されたガス濃度である第1のガス濃度、及び、第2のガスセンサ42により検出されたガス濃度である第2のガス濃度を取得する処理である。本実施形態においては、プロセッサ11は、ガスセンサが検出したガス濃度を、ガスセンサの通信インタフェース及び判定装置1の通信インタフェース14を介して、ガスセンサから取得する。しかしながら、本発明は、このような構成に限定されない。一例として、プロセッサ11は、二次メモリ13に記憶された第1のガス濃度及び第2のガス濃度を二次メモリ13から読み出すことによって、第1のガス濃度及び第2のガス濃度を取得してもよい。
【0033】
判定処理M12は、第1のガス濃度及び第2のガス濃度を参照することによって、サービス利用者Uaによる排泄の種類を判定する処理である。判定処理M12の具体例については、参照する図面を代えて後述する。
【0034】
なお、プロセッサ11は、取得処理M11にて取得したガス濃度に対して前処理を施し、前処理が施されたガス濃度を用いて判定処理M12を実行してもよい。前処理としては、正規化及び標準化などのスケーリング処理、ハイパスフィルタ及びローパスフィルタなどのフィルタ処理、線形補間及びスプライン補間などの補間処理、などが挙げられる。
【0035】
通知処理M13は、判定処理M12において判定された排泄の種類をサービス提供者Ubが利用する通知端末2に通知するための処理である。本実施形態においては、プロセッサ11が、判定された排泄の種類を示す通知画面を、通信インタフェース14を用いて通知端末2に送信する。
【0036】
(判定処理の具体例)
判定処理M12の一具体例について、図5を参照して説明する。図5は、図4に示す判定方法M1に含まれる判定処理M12の具体例を示すフロー図である。
【0037】
判定処理M12は、例えば図5に示すように、始動比較処理M12aと、待機処理M12bと、第1比較処理M12cと、放屁判定処理M12dと、第2比較処理M12eと、大便判定処理M12fと、設定異常判定処理M12gと、によって構成することができる。本実施形態において、始動比較処理M12a、待機処理M12b、第1比較処理M12c、放屁判定処理M12d、第2比較処理M12e、大便判定処理M12f、及び設定異常判定処理M12gは、判定装置1のプロセッサ11によって実行される。
【0038】
始動比較処理M12aは、第1のガス濃度を予め定められた始動閾値と比較する処理である。始動比較処理M12aにおいて、第1のガス濃度が始動閾値未満である場合(NO)、処理がループする。すなわち、取得処理M11において取得された第1のガス濃度が始動比較処理M12a未満である限り、取得処理M11と始動比較処理M12aとが繰り返し実行される。
【0039】
始動比較処理M12aにおいて、第1のガス濃度が始動閾値以上であると判定された場合(YES)、待機処理M12bが実行される。待機処理M12bは、第1のガス濃度が予め定められた始動閾値以上となってから、予め定められた時間Tの間、待機する処理である。本実施形態においては、時間Tは、サービス提供者Ubが通知端末2を利用して、予め設定されている。
【0040】
待機処理M12bが完了すると、第1比較処理M12cが実行される。第1比較処理M12cは、第1のガス濃度を予め定められた第1の閾値と比較し、且つ、第2のガス濃度を予め定められた第2の閾値と比較する処理である。
【0041】
第1比較処理M12cにおいて、第1のガス濃度が第1の閾値未満であり、且つ、第2のガス濃度が第2の閾値以上である場合(YES)、放屁判定処理M12dが実行される。放屁判定処理M12dは、サービス利用者Uaによる排泄の種類が放屁であると判定する処理である。
【0042】
なお、変形例として、第1比較処理M12cにおいて、第1のガス濃度が第1の閾値未満である場合、第2のガス濃度と第2の閾値との間の大小関係にかかわらず、放屁判定処理M12dが実行されてもよい。このような変形例においても、本実施形態と同様の効果が奏される。
【0043】
第1比較処理M12cにおいて、NOと判定された場合、第2比較処理M12eが実行される。第2比較処理M12eは、第1のガス濃度を予め定められた第1の閾値と比較し、且つ、第2のガス濃度を予め定められた第2の閾値と比較する処理である。
【0044】
第2比較処理M12eにおいて、第1のガス濃度が第1の閾値以上であり、且つ、第2のガス濃度が第2の閾値以上である場合(YES)、大便判定処理M12fが実行される。大便判定処理M12fは、サービス利用者Uaによる排泄の種類が大便であると判定する処理である。
【0045】
第2比較処理M12eにおいて、NOと判定された場合、設定異常判定処理M12gが実行される。設定異常判定処理M12gは、時間Tが適切に設定されていない、すなわち予め定められた時間Tの設定異常であると判定する処理である。
【0046】
(本実施形態の効果)
以上のように、本実施形態に係る判定装置1は、少なくとも1つのプロセッサ11を備えており、プロセッサ11は、第1のガスセンサ41により検出されたガス濃度である第1のガス濃度、及び、第1のガスセンサ41よりも対象者Uaの遠位に配置された第2のガスセンサ42により検出されたガス濃度である第2のガス濃度を参照することによって、対象者Uaによる排泄の種類を判定する判定処理M12を実行する。
【0047】
このような構成によれば、プロセッサ11が、対象者からの距離が互いに異なる位置に配置された第1のガスセンサ及び第2のガスセンサによって検出されたガス濃度を参照するため、対象者Uaによる排泄の種類を判定することができる装置が実現できる。
【0048】
また、本実施形態において、判定処理M12において、プロセッサ11は、第1のガス濃度が予め定められた始動閾値以上となってから予め定められた時間Tが経過した時点で、(1)第1のガス濃度が予め定められた第1の閾値未満であり、且つ、第2のガス濃度が予め定められた第2の閾値以上である場合に、対象者Uaによる排泄の種類が放屁であると判定し、(2)第1のガス濃度が第1の閾値以上であり、且つ、第2のガス濃度が第2の閾値以上である場合に、対象者Uaによる排泄の種類が大便であると判定する。
【0049】
このような構成によれば、プロセッサ11が、良好な精度で対象者Uaによる排泄が大便又は放屁であるか、判定することができる技術が実現できる。対象者Uaによる放屁が生じると、放屁に由来するガスが対象者Uaの臀部から拡散し、第2のガス濃度が上昇する。しかしながら、放屁に由来するガス濃度の上昇は、一時的であるため、時間Tが適切に設定されている場合、第1のガス濃度は、時間T後、下降していると考えられる。対象者Uaによる大便が生じると、大便に由来するガスが対象者Uaの臀部から拡散し、第2のガス濃度が上昇する。大便に由来するガス濃度の上昇は、継続的であるため、時間Tが適切に設定されている場合、第1のガス濃度は、時間T後、依然として高いと考えられる。本実施形態においては、第1比較処理M12c及び第2比較処理M12eにおける処理は、このような原理に基づく。
【0050】
また、本実施形態において、判定処理M12において、プロセッサ11は、第1のガス濃度が予め定められた始動閾値以上となってから予め定められた時間Tが経過した時点で、(3)第1のガス濃度が予め定められた第1の閾値以上であり、且つ、第2のガス濃度が予め定められた第2の閾値未満である場合に、予め定められた時間Tの設定異常であると判定する。
【0051】
このような構成によれば、時間Tが適切に設定されていないことを原因とする誤判定の可能性を低減することができる。その結果、誤判定によりサービス利用者の大便の措置が遅れる可能性を低減することができる。時間Tが適切に設定されていない、すなわち、時間Tが短すぎる又は長すぎる場合、時間T後にも第1のガス濃度が依然として高いが、第2のガス濃度は上昇しない。本実施形態においては、設定異常判定処理M12gにおける処理は、このような原理に基づく。
【0052】
また、本実施形態において、プロセッサ11は、判定処理M12の結果をサービス提供者Ubが利用する通知端末2に通知する通知処理M13を更に実行する。
【0053】
このような構成によれば、サービス提供者Ubに判定結果が通知されるため、対象者Uaの排泄管理のためのサービス提供者Ubが被る負担を軽減することができる装置が実現できる。
【0054】
また、本実施形態に係る判定方法M1は、少なくとも1つのプロセッサ11が、第1のガスセンサ41により検出されたガス濃度である第1のガス濃度、及び、第1のガスセンサ41よりも対象者Uaの遠位に配置された第2のガスセンサ42により検出されたガス濃度である第2のガス濃度を取得する取得処理M11と、プロセッサ11が、第1のガス濃度及び第2のガス濃度を参照することによって、対象者Uaによる排泄の種類を判定する判定処理M12と、を含んでいる。
【0055】
このような構成によれば、プロセッサ11が、対象者からの距離が互いに異なる位置に配置された第1のガスセンサ及び第2のガスセンサによって検出されたガス濃度を参照するため、対象者Uaによる排泄の種類を判定することができる方法が実現できる。
【0056】
また、本実施形態に係る判定システムSは、第1のガスセンサ41と、第1のガスセンサ41よりも対象者Uaの遠位に配置された第2のガスセンサ42と、第1のガスセンサ41により検出されたガス濃度である第1のガス濃度、及び、第2のガスセンサ42により検出されたガス濃度である第2のガス濃度を参照することによって、対象者Uaによる排泄の種類を判定する判定処理M12を実行する判定装置1と、を備えている。
【0057】
このような構成によれば、対象者Uaによる排泄の種類を判定するための判定システムSが実現できる。ガスセンサ及び湿度センサが組み合わせて構成される従来技術による判定システムと比較して、判定システムSは、両者が共にガスセンサである第1のガスセンサ41及び第2のガスセンサ42を備えているため、当該判定システムSは構成を簡便である。
【0058】
(変形例)
本実施形態においては、判定方法M1を判定装置1が実施する形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、判定方法M1を中継端末3が実施してもよいし、通知端末2が実施してもよい。
【0059】
判定方法M1を中継端末3が実施する場合、第1のガスセンサ41及び第2のガスセンサ42は、出力信号を中継端末3に送信し、中継端末3は、自身が得た判定結果を判定装置1に送信する。この場合、判定装置1は、判定方法M1を実施することなく、中継端末3から得た判定結果を示す通知画面を通知端末2に送信する通知装置として機能する。
【0060】
判定方法M1を通知端末2が実施する場合、第1のガスセンサ41及び第2のガスセンサ42は、出力信号を中継端末3に送信し、中継端末3は、ガスセンサから得た出力信号を判定装置1に送信する。判定装置1は、判定方法M1を実施することなく、中継端末3から得た出力信号を通知端末2に送信する中継装置として機能する。この場合、通知端末2は、自身が得た判定結果を含む通知画面を表示することになる。
【0061】
本実施形態においては、排泄の種類が大便及び放屁の何れか一方であると判定される形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。判定される排泄の種類は、任意の2種類以上の排泄の組み合わせであってよい。判定される排泄の種類としては、例えば、大便、小便及び放屁等が挙げられる。
【0062】
本実施形態においては、第1のガスセンサ41が対象者Uaの下着の内部に装着され、第2のガスセンサ42が対象者Uaの上衣の内部に装着される形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。第1のガスセンサ41及び第2のガスセンサ42の配置は、第2のガスセンサ42の方が対象者Uaのより遠位に配置されている構成であればよく、例えば、第1のガスセンサ41が対象者Uaの衣服に装着され、第2のガスセンサ42が居室の壁面に装着される構成であってもよい。
【0063】
また、本発明において、判定処理M12において排泄の種類を判定するためのアルゴリズムは、本実施形態について上述した具体例のアルゴリズムに限定されない。排泄の種類を判定するためのアルゴリズムとしては、例えば、判定される排泄の種類と、第1のガス濃度と、第2のガス濃度とが関係付けられた教師データを用いて機械学習した学習済モデルが用いられるアルゴリズム、及び、対象者による過去の排泄のときに検出された第1のガス濃度及び第2のガス濃度と、当該過去の排泄の種類との対応関係に基づいて定められた実績値が、比較対象として用いられるアルゴリズム、などが挙げられる。
【0064】
また、本発明において、予め定められる時間Tの設定方法は、サービス提供者Ubが予め設定する方法に限定されない。たとえば、第1のガスセンサ41と第2のガスセンサ42とが互いの距離を検出する構成(例えば近距離無線通信)を備えており、検出された距離を参照して、プロセッサ11が時間Tを設定してもよい。
【0065】
(付記事項)
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、上述した実施形態に開示された各技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
1 判定装置
2 通知端末
11 プロセッサ
41 第1のガスセンサ
42 第2のガスセンサ
M1 判定方法
S 判定システム
Ua 対象者、サービス利用者
Ub サービス提供者

図1
図2
図3
図4
図5