(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063650
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】紫外線ランプ、および液体処理装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20240502BHJP
C02F 1/32 20230101ALI20240502BHJP
【FI】
A61L2/10
C02F1/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171774
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】峯山 智行
【テーマコード(参考)】
4C058
4D037
【Fターム(参考)】
4C058AA20
4C058BB06
4C058DD01
4C058EE26
4C058KK02
4C058KK23
4C058KK46
4D037AA01
4D037AA02
4D037AB03
4D037BA18
(57)【要約】
【課題】液体に照射された紫外線の照度を検出する検出部の低価格化と長寿命化を図ることができる紫外線ランプ、および液体処理装置を提供することである。
【解決手段】実施形態に係る紫外線ランプは、液体に紫外線を照射する液体処理装置に用いられる。前記紫外線ランプは、筒状を呈し、管径に比べて全長が長い形態を有するバルブと;前記バルブの管軸方向において、前記バルブの両側の端部のそれぞれに設けられた封止部と;前記バルブの内壁、および前記バルブの外壁の少なくともいずれかに設けられ、前記紫外線を可視光に変換可能な波長変換部と;を具備している。前記バルブの管軸方向において、前記波長変換部は、前記バルブの一部の領域に設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体に紫外線を照射する液体処理装置に用いられる紫外線ランプであって、
筒状を呈し、管径に比べて全長が長い形態を有するバルブと;
前記バルブの管軸方向において、前記バルブの両側の端部のそれぞれに設けられた封止部と;
前記バルブの内壁、および前記バルブの外壁の少なくともいずれかに設けられ、前記紫外線を可視光に変換可能な波長変換部と;
を具備し、
前記バルブの管軸方向において、前記波長変換部は、前記バルブの一部の領域に設けられている紫外線ランプ。
【請求項2】
前記バルブの管軸方向において、前記波長変換部の、前記封止部側とは反対側の端部と、前記封止部の、前記バルブ側とは反対側の端部と、の間の距離は、50mm以下である請求項1記載の紫外線ランプ。
【請求項3】
前記バルブの管軸方向と直交する方向において、前記波長変換部は、前記バルブの内壁、および前記バルブの外壁の少なくともいずれかの全周囲に設けられている請求項1または2に記載の紫外線ランプ。
【請求項4】
液体に紫外線を照射する液体処理装置であって、
前記液体が供給される空間を内部に有する容器と;
前記容器の内部を延びる少なくとも1つの保護管と;
前記保護管の内部を延び、前記紫外線を照射可能な少なくとも1つの紫外線ランプと;
前記容器の外部に設けられ、入射した可視光を電気信号に変換可能な検出部と;
前記紫外線ランプと、前記検出部と、の間に設けられ、前記紫外線ランプから照射された前記紫外線の一部を前記可視光に変換可能な波長変換部と;
を具備した液体処理装置。
【請求項5】
前記紫外線ランプは、低圧水銀紫外線ランプであって、
前記波長変換部は、前記紫外線ランプが有するバルブの外壁、および内壁の少なくともいずれかの一部の領域に設けられている請求項4記載の液体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、紫外線ランプ、および液体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水などの液体に紫外線を照射して、液体に含まれている有機物を除去したり、液体を殺菌したりする液体処理装置がある。紫外線による処理を行えば、熱や薬品などによる処理に比べて、処理の対象となる液体をほとんど変質させることがなく、また、多種類の不純物、菌、ウイルスなどの処理に対応することができる。
そのため、紫外線を液体に照射する液体処理装置は、例えば、半導体装置などの電子部品の洗浄工程、飲料水の殺菌や不純物の除去工程、商業用水(漁業用水、農業用水、食品工場用水など)の殺菌や不純物の除去工程、各種工業用水の殺菌や不純物の除去工程などの幅広い技術分野において用いられている。
【0003】
この様な液体処理装置として、処理を行う液体中に設けられる保護管と、保護管の内部に収納され、紫外線を照射する紫外線ランプと、を備えた液体処理装置が提案されている。
【0004】
ここで、例えば、液体に含まれている不純物が保護管の外面に付着すると、液体に照射される紫外線の照度が低下する場合がある。また、例えば、紫外線ランプから照射される紫外線の照度が経時的に低下する場合がある。液体に照射される紫外線の照度が低下すると、殺菌や不純物の除去が不充分となるおそれがある。
【0005】
そこで、液体に照射された紫外線の照度を検出する紫外線センサを備えた液体処理装置が提案されている。
紫外線センサを備えていれば、検出された紫外線の照度に基づいて、保護管の清掃や紫外線ランプの交換などのメンテナンス時期を知ることができる。
【0006】
ところが、紫外線センサは、例えば、可視光センサに比べて価格が高い。また、紫外線センサが、入射した紫外線により劣化する場合がある。
そこで、液体に照射された紫外線の照度を検出する検出部の低価格化と長寿命化を図ることができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、液体に照射された紫外線の照度を検出する検出部の低価格化と長寿命化を図ることができる紫外線ランプ、および液体処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態に係る紫外線ランプは、液体に紫外線を照射する液体処理装置に用いられる。前記紫外線ランプは、筒状を呈し、管径に比べて全長が長い形態を有するバルブと;前記バルブの管軸方向において、前記バルブの両側の端部のそれぞれに設けられた封止部と;前記バルブの内壁、および前記バルブの外壁の少なくともいずれかに設けられ、前記紫外線を可視光に変換可能な波長変換部と;を具備している。前記バルブの管軸方向において、前記波長変換部は、前記バルブの一部の領域に設けられている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態によれば、液体に照射された紫外線の照度を検出する検出部の低価格化と長寿命化を図ることができる紫外線ランプ、および液体処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施の形態に係る液体処理装置を例示するための模式断面図である。
【
図3】
図1における紫外線ランプの上側の端部の近傍を例示するための模式断面図である。
【
図4】
図1における紫外線ランプの下側の端部の近傍を例示するための模式断面図である。
【
図5】バルブの管軸方向における波長変換部の模式断面図である。
【
図6】(a)、(b)は、バルブの管軸方向と直交する方向における波長変換部の模式断面図である。
【
図7】波長変換部が設けられていない場合の始動電圧(Vrms)のバラツキを例示するためのグラフである。
【
図8】波長変換部を、バルブの一方の端部の近傍の内壁に設けた場合の始動電圧(Vrms)のバラツキを例示するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0013】
図1は、本実施の形態に係る液体処理装置100を例示するための模式断面図である。 液体処理装置100は、処理の対象となる液体300に紫外線を照射する。液体300は、例えば、水を含む液体とすることができる。
【0014】
図1に示すように、液体処理装置100は、例えば、紫外線ランプ1、保護管101、蓋102、シール部材103、容器104、ホルダ105、シール部材106、設置部107、波長変換部108、および検出部109を有する。
【0015】
紫外線ランプ1は、紫外線領域の光を照射する放電ランプとすることができる。以下においては、一例として、紫外線ランプ1が低圧水銀ランプである場合を説明する。低圧水銀ランプである紫外線ランプ1は、例えば、ピーク波長が254nmの紫外線を照射するランプとしたり、ピーク波長が185nmおよび254nmの紫外線を照射するランプとしたりすることができる。
【0016】
紫外線ランプ1は、少なくとも1つ設けることができる。
図1に例示をした液体処理装置100には、紫外線ランプ1が1つ設けられている。紫外線ランプ1は、保護管101の内部を延びている。
【0017】
図2は、紫外線ランプ1の模式断面図である。
図1、および
図2に示すように、紫外線ランプ1は、例えば、バルブ2、封止部3、第1の電極4a、第2の電極4b、ソケット5、リード線6、およびリード線7を有する。 なお、後述するように、バルブ2の内壁、およびバルブ2の外壁の少なくともいずれかに、波長変換部108が設けられる場合がある(例えば、後述する
図5、および
図6を参照)。
【0018】
バルブ2は、筒状を呈し、管径に比べて全長(管軸方向(バルブ2が延びる方向)の長さ)が長い形態を有する。バルブ2は、例えば、円筒管である。バルブ2の外径D(mm)は、例えば、10mm以上、25mm以下である。バルブ2の肉厚は、例えば、1mm程度である。
【0019】
バルブ2の管軸方向の長さは、液体処理装置100の仕様などに応じて適宜変更することができる。例えば、紫外線ランプ1の発光長は、720mm程度である。
【0020】
バルブ2の内部空間(放電空間)には、希ガスと水銀、または、希ガスとアマルガムが封入されている。アマルガムは、水銀と、金属との合金である。金属は、例えば、亜鉛、ビスマス、インジウム、錫などである。水銀またはアマルガムの封入量は、例えば、1mg~300mg程度である。希ガスは、例えば、クリプトン、キセノン、アルゴン、ネオンなどの単ガス、あるいは、複数種類のガスを混合させた混合ガスとすることができる。
【0021】
バルブ2の内部空間における25℃の希ガスの圧力(封入圧力)は、例えば、0.1Torr(13.3Pa)以上、10Torr(1333Pa)以下とすることができる。すなわち、紫外線ランプ1は、低圧水銀ランプである。なお、バルブ2の内部空間における25℃の希ガスの圧力(封入圧力)は、気体の標準状態(SATP(Standard Ambient Temperature and Pressure):温度25℃、1bar)により求めることができる。
【0022】
バルブ2の管軸方向において、封止部3は、バルブ2の両側の端部のそれぞれに設けられている。封止部3を設けることで、バルブ2の内部空間を気密に封止することができる。また、一方の封止部3には第1の電極4aが設けられ、他方の封止部3には第2の電極4bが設けられている。
【0023】
バルブ2の内部空間には、第1の電極4a、および第2の電極4bが露出している。第2の電極4bは、第1の電極4aと対向している。例えば、第1の電極4aは、重力方向において、バルブ2の下側の端部に設けられた封止部3に設けられている。例えば、第2の電極4bは、重力方向において、バルブ2の上側の端部に設けられた封止部3に設けられている。
【0024】
図3は、
図1における紫外線ランプ1の上側の端部の近傍を例示するための模式断面図である。
図3に示すように、第2の電極4bは、例えば、ウェルズ4b1、フィラメント4b2、およびエミッタ4b3を有する。
【0025】
ウェルズ4b1は、線状を呈し、封止部3の内部に一対設けられている。ウェルズ4b1の一方の端部は、封止部3からバルブ2の内部に突出している。ウェルズ4b1の一方の端部は、フィラメント4b2の端部を保持している。ウェルズ4b1の他方の端部は、封止部3の外部に露出している。ウェルズ4b1の他方の端部は、ソケット5を介して、リード線7と電気的に接続されている。
【0026】
フィラメント4b2は、バルブ2の内部に設けられている。フィラメント4b2は、例えば、タングステンや、レニューム・タングステン合金などを含む線状部材を螺旋状に巻いたものである。なお、フィラメント4b2は、線状部材を巻回したフィラメントを二重巻にした、いわゆるダブルフィラメントとすることもできるし、三重巻にした、いわゆるトリプルフィラメントとすることもできる。
【0027】
エミッタ4b3は、フィラメント4b2に設けられている。エミッタ4b3は、例えば、仕事関数が低いBaO、SrO、CaOの混合体をフィラメント4b2に塗布することで形成される。また、エミッタ4b3の材料が蒸発するのを抑制するために、ZrO2などを混合体にさらに添加することもできる。エミッタ4b3が設けられていれば、始動電圧や管電圧を低減させることができる。
【0028】
図4は、
図1における紫外線ランプ1の下側の端部の近傍を例示するための模式断面図である。
図4に示すように、第1の電極4aは、例えば、ウェルズ4a1、フィラメント4b2、およびエミッタ4b3を有する。
【0029】
ウェルズ4a1は、線状を呈し、封止部3の内部に一対設けられている。ウェルズ4a1の一方の端部は、封止部3からバルブ2の内部に突出している。ウェルズ4a1の一方の端部は、フィラメント4b2の端部を保持している。ウェルズ4a1の他方の端部は、封止部3の外部に露出している。ウェルズ4a1の他方の端部は、ソケット5を介して、リード線6と電気的に接続されている。
【0030】
図3、および
図4に示すように、バルブ2の管軸方向において、ウェルズ4a1の長さは、ウェルズ4b1の長さよりも長い。ウェルズ4a1の、封止部3からの突出長さは、ウェルズ4b1の、封止部3からの突出長さよりも長い。そのため、バルブ2の内部空間に露出する第1の電極4aの端部(フィラメント4b2の端部)と、第1の電極4aが設けられる封止部3の端部との間の距離L1(mm)は、バルブ2の内部空間に露出する第2の電極4bの端部(フィラメント4b2の端部)と、第2の電極4bが設けられる封止部3の端部との間の距離L2(mm)よりも長い。
【0031】
バルブ2の管軸方向において、電極の端部と、この電極が設けられる封止部3の端部との間の距離が長くなれば、バルブ2の、電極の端部と封止部の端部との間の部分の温度が低くなる。そのため、バルブ2の内部において、第1の電極4aの端部と、第1の電極4aが設けられる封止部3との間に最冷部が形成される。なお、最冷部は、紫外線ランプ1の点灯中において、バルブ2の、最も温度が低くなる部分である。最冷部においては、水銀の蒸気の一部が凝縮して、水銀またはアマルガムが生成される。
【0032】
また、
図1に例示をした液体処理装置100の場合には、紫外線ランプ1が鉛直方向に延びている。この場合、紫外線ランプ1の、第1の電極4aが設けられる側の端部が、第2の電極4bが設けられる側の端部よりも重力方向下側に位置するようにすることが好ましい。前述した様に、最冷部においては、水銀の蒸気の一部が凝縮して、水銀またはアマルガムが生成される。そのため、最冷部が重力方向上側に設けられていると、生成された水銀またはアマルガムが最冷部の下方に流出しやすくなる。生成された水銀またはアマルガムが流出すると、水銀の蒸気の蒸気圧が不安定となる。これに対して、最冷部が重力方向下側に設けられていると、生成された水銀またはアマルガムが、最冷部から流出するのを抑制することができる。そのため、水銀の蒸気の蒸気圧を安定させることができる。
【0033】
なお、紫外線ランプ1が水平に対して傾斜した方向に延びる場合も同様とすることができる。紫外線ランプ1が水平に延びる場合には、一対の第1の電極4a、または、一対の第2の電極4bが設けられるようにしてもよい。ただし、紫外線ランプ1が水平に延びる場合であっても、第1の電極4aと第2の電極4bが設けられていれば、最冷部の位置を安定させることができる。
【0034】
図1~
図4に示すように、ソケット5は、1つの封止部3に対して1つ設けられている。ソケット5は、筒状を呈し、封止部3と、封止部3から露出するウェルズ4a1、4b1を覆っている。ソケット5は、例えば、樹脂や、セラミックスなどの絶縁性材料から形成される。
【0035】
リード線6は、ソケット5を介して、第1の電極4aのウェルズ4a1と電気的に接続されている。すなわち、リード線6は、第1の電極4aのフィラメント4b2と電気的に接続されている。
リード線7は、ソケット5を介して、第2の電極4bのウェルズ4b1と電気的に接続されている。すなわち、リード線7は、第2の電極4bのフィラメント4b2と電気的に接続されている。
【0036】
リード線6とリード線7は、例えば、点灯回路などと電気的に接続される。点灯回路により、リード線6とリード線7に電圧を印加すると、第1の電極4aのフィラメント4b2と、第2の電極4bのフィラメント4b2との間に放電が生ずる。バルブ2の内部空間において放電が生ずると、放電により発生した電子が、水銀原子と衝突して、ピーク波長が254nmの紫外線、または、ピーク波長が185nmおよび254nmの紫外線が放射される。
【0037】
この場合、例えば、バルブ2の材料が、石英ガラスや、合成石英ガラスなどであれば、ピーク波長が254nmの紫外線、または、ピーク波長が185nmおよび254nmの紫外線をバルブ2の外部に照射することができる。
また、例えば、バルブ2の材料が、ピーク波長が185nmの紫外線を吸収し、ピーク波長が254nmの紫外線を透過するガラスであれば、ピーク波長が254nmの紫外線をバルブ2の外部に照射することができる。
【0038】
紫外線ランプ1は、液体300の中に直接設けることができない。そのため、紫外線ランプ1は、保護管101の内部に収納される。
【0039】
保護管101は、管状を呈し、管径に比べて全長(管軸方向の長さ)が長い形態を有する。保護管101は、例えば、円筒管である。保護管101の両側の端部は開口している。保護管101の端部にはフランジ101aを設けることができる。
保護管101は、容器104の内部を延びている。例えば、保護管101は、天井板104bと、底板104aとの間を延びている。保護管101の一方の端部は、天井板104bから上方に突出している。保護管101の他方の端部は、底板104aから下方に突出している。保護管101は、少なくとも1つ設けることができる。
【0040】
保護管101の内部空間には、少なくとも1つの紫外線ランプ1が収納される。
図1に例示をした液体処理装置100の場合には、保護管101の内部空間に1つの紫外線ランプ1が収納されている。保護管101の内部空間に1つの紫外線ランプ1が収納される場合には、紫外線ランプ1は、保護管101と略同軸となるように収納することができる。保護管101の寸法は、収納される紫外線ランプ1の寸法や数に応じて適宜変更することができる。
【0041】
図1に示すように、容器104は、液体300が供給される空間を内部に有する。容器104の内部空間は、液体300が流通する流路となる。そのため、紫外線ランプ1を収納する保護管101が容器104の内部空間に設けられていれば、紫外線ランプ1が保護管101を介して液体300の中に設けられることになる。
【0042】
紫外線ランプ1において発生した紫外線は、保護管101を介して液体300に照射される。そのため、保護管101は、紫外線の透過率が高い材料から形成される。例えば、保護管101は、石英ガラスや、合成石英ガラスなどから形成される。
【0043】
紫外線ランプ1から液体300に紫外線が照射されると、紫外線により、例えば、液体300に含まれている菌やウイルスの、殺菌や不活性化が行われる。
【0044】
蓋102は、保護管101の開口を塞いでいる。例えば、蓋102は、保護管101のフランジ101aに取り付けられる。蓋102には厚み方向を貫通する孔が設けられている。紫外線ランプ1に設けられたリード線6、7は、蓋102に設けられた孔を介して外部に引き出されている。リード線6、7と孔の内壁との間の隙間は、封止材により封止されている。蓋102は、例えば、ステンレスなどの金属や、フッ素樹脂などの樹脂から形成される。
【0045】
また、一対のスペーサ102aを設けることができる。スペーサ102aは、保護管101の内部であって、紫外線ランプ1に設けられたソケット5と、蓋102との間に設けられている。スペーサ102aには厚み方向を貫通する孔が設けられている。紫外線ランプ1に設けられたリード線6、7は、スペーサ102aに設けられた孔を介して外部に引き出されている。スペーサ102aは、例えば、絶縁性を有する樹脂から形成される。また、スペーサ102aと蓋102を一体化することもできる。
【0046】
シール部材103は、蓋102と、保護管101(フランジ101a)との間に設けられている。シール部材103は、例えば、Oリングなどである。蓋102とシール部材103を保護管101に取り付けることで、保護管101の内部空間が気密となるように封止される。
【0047】
ここで、保護管101の内部空間に酸素があると、紫外線ランプ1から照射された紫外線が減衰するおそれがある。そのため、蓋102とシール部材103により封止された保護管101の内部空間には、窒素ガスや希ガスを封入することができる。
【0048】
容器104は、筒状を呈し、断面寸法(中心軸に直交する方向の長さ)に比べて全長(中心軸方向の長さ)が長い形態を有する。容器104は、例えば、円筒形状を呈している。容器104は、例えば、ステンレスなどの金属から形成される。
【0049】
容器104の側壁の底板104aの近傍には、液体300の供給口104cを設けることができる。供給口104cには、例えば、液体300を供給する供給装置などを接続することができる。容器104の側壁の天井板104bの近傍には、処理が施された液体300aの排出口104dを設けることができる。排出口104dには、例えば、処理が施された液体300aを収納するタンクや、液体300aを用いる洗浄装置などを接続することができる。
【0050】
容器104の下側の開口は、底板104aにより塞がれている。底板104aと容器104は、例えば、溶接などにより液密に接合される。また、例えば、容器104にフランジを設け、パッキンなどを介して、フランジに底板104aをネジ止めすることもできる。底板104aは、板状を呈し、例えば、ステンレスなどの金属から形成される。
【0051】
底板104aには、厚み方向を貫通する孔104a1を設けることができる。例えば、孔104a1は、底板104aの中央に設けることができる。
【0052】
容器104の上側の開口は、天井板104bにより塞がれている。天井板104bと容器104は、例えば、溶接などにより液密に接合される。また、例えば、容器104にフランジを設け、パッキンなどを介して、フランジに天井板104bをネジ止めすることもできる。天井板104bは、板状を呈し、例えば、ステンレスなどの金属から形成される。
【0053】
天井板104bには、厚み方向を貫通する孔104b1を設けることができる。例えば、孔104b1は、天井板104bの中央に設けることができる。
【0054】
孔104a1と孔104b1の内部には、保護管101が設けられる。そのため、孔104a1は、孔104b1と同軸に設けることができる。
【0055】
ホルダ105は、板状を呈し、例えば、1つの保護管101に対して一対設けることができる。例えば、一方のホルダ105は、保護管101の上側の端部の近傍を保持する。一方のホルダ105は、例えば、シール部材106を介して、天井板104bに取り付けられる。例えば、他方のホルダ105は、保護管101の下側の端部の近傍を保持する。他方のホルダ105は、例えば、シール部材106を介して、底板104aに取り付けられる。
【0056】
シール部材106は、例えば、Oリングなどである。シール部材106は、保護管101と、底板104aの孔104a1の内壁との間の隙間を液密となるように封止する。シール部材106は、保護管101と、天井板104bの孔104b1の内壁との間の隙間を液密となるように封止する。
【0057】
設置部107は、ベース107a、およびスタンド107bを有する。設置部107は、例えば、鉄やステンレスなどの金属から形成される。
ベース107aは、例えば、液体処理装置100を設置する場所の床面に設けられる。ベース107aは、板状を呈し、容器104の底板104aと対向している。スタンド107bは、柱状を呈し、容器104の底板104aと、ベース107aとの間に設けられている。例えば、スタンド107bは、複数設けることができる。スタンド107bが設けられていれば、容器104の底板104aと、ベース107aとの間に空間を設けることができる。
図1に示すように、容器104の底板104aと、ベース107aとの間の空間には、保護管101の下側の端部、および蓋102を設けることができる。
【0058】
なお、液体処理装置100を設置する場所の床面に設ける場合を例示したが、これに限定されるわけではない。例えば、液体処理装置100は、設置する場所の天井面に設けることもできる。この場合、設置部107は、例えば、容器104の天井板104bに設けることができる。例えば、液体処理装置100は、設置する場所の壁面に設けることもできる。この場合、設置部107は、例えば、容器104の側壁に設けることができる。
【0059】
ここで、液体300に含まれている不純物が保護管101の外面に付着すると、液体300に照射される紫外線の照度が低下する場合がある。また、例えば、紫外線ランプ1から照射される紫外線の照度が経時的に低下する場合がある。液体300に照射される紫外線の照度が低下すると、殺菌や不純物の除去が不充分となるおそれがある。
【0060】
この場合、液体300に照射された紫外線の照度を検出する紫外線センサを設ければ、紫外線ランプ1から照射される紫外線の照度の変化を知ることができる。そのため、保護管101の清掃や、紫外線ランプ1の交換などのメンテナンス時期を知ることができる。ところが、紫外線センサは、例えば、可視光センサに比べて価格が高い。また、紫外線センサには紫外線ランプ1から照射された紫外線が入射することになるため、紫外線センサの、紫外線が入射する部分が紫外線により劣化する場合がある。
【0061】
そこで、液体処理装置100には、波長変換部108、および検出部109が設けられている。
波長変換部108は、入射した紫外線を可視光に変換する。波長変換部108は、例えば、Y(イットリウム)、Sr(ストロンチウム)、La(ランタン)などを含む蛍光体を含有することができる。なお、蛍光体の種類は例示をしたものに限定されるわけではなく、入射した紫外線を可視光に変換することができるものであればよい。
【0062】
波長変換部108は、紫外線ランプ1と、検出部109との間に設けることができる。例えば、波長変換部108は、紫外線ランプ1のバルブ2、保護管101、後述する窓104e、および、窓104eと検出部109との間、の少なくともいずれかに設けることができる。
なお、
図1は、波長変換部108がバルブ2の内壁に設けられている場合である。
【0063】
波長変換部108を、バルブ2、保護管101、および窓104eに設ける場合には、蛍光体を含む材料を、これらに塗布すれば良い。波長変換部108を、窓104eと検出部109との間に設ける場合には、透光性を有する板材などに蛍光体を含む材料を塗布すれば良い。
【0064】
この場合、波長変換部108が、容器104の外部に露出していれば、波長変換部108のメンテナンスが容易となる。また、容器104の外部に出射した紫外線を検出すれば、容器104の内部に照射された紫外線が波長変換部108により可視光に変換されることがない。そのため、紫外線ランプ1から照射された紫外線の利用効率を向上させることができる。例えば、波長変換部108を、窓104eの外面、および窓104eと検出部109との間、の少なくともいずれかに設ければよい。
【0065】
また、波長変換部108が、保護管101の内部に設けられていれば、外力が波長変換部108に加わったり、環境に含まれているゴミが波長変換部108に付着したり、環境に含まれているガスが波長変換部108に接触したりするのを抑制することができる。そのため、波長変換部108の機能が経時的に低下したり、寿命が短くなったりするのを抑制することができる。例えば、波長変換部108を、保護管101の内壁、紫外線ランプ1のバルブ2の外壁、および紫外線ランプ1のバルブ2の内壁、の少なくともいずれかに設ければよい。
【0066】
ここで、波長変換部108を保護管101の内部に設けると、液体300に照射される紫外線の一部が波長変換部108により可視光に変換されるので、紫外線ランプ1から照射された紫外線の利用効率が低下するおそれがある。また、紫外線の照度の変化が検出できる程度の可視光の照度が得られればよい。すなわち、波長変換部108は、紫外線ランプ1から照射された紫外線の一部を可視光に変換すればよい。
そのため、波長変換部108を保護管101の内部に設ける場合には、波長変換部108の面積を小さくすることが好ましい。
【0067】
例えば、バルブ2の管軸方向において、波長変換部108は、バルブ2の一部の領域に設けることができる。この場合、波長変換部108は、バルブ2の一方の端部の近傍に設けることができる。また、波長変換部108は、バルブ2の内壁、およびバルブ2の外壁の少なくともいずれかに設けることができる。波長変換部108が、バルブ2の一部の領域に設けられていれば、波長変換部108が、液体処理装置100の処理能力に及ぼす影響を小さくすることができる。
【0068】
図5は、バルブ2の管軸方向における波長変換部108の模式断面図である。
図6(a)、(b)は、バルブ2の管軸方向と直交する方向における波長変換部108の模式断面図である。
なお、
図5、および
図6(a)、(b)においては、波長変換部108を、バルブ2の、第1の電極4a側の端部の近傍に設ける場合を例示したが、波長変換部108を、バルブ2の、第2の電極4b側の端部の近傍に設けるようにしてもよい。
【0069】
図5に示すように、バルブ2の管軸方向において、波長変換部108の、封止部3側とは反対側の端部と、封止部3の、バルブ2側とは反対側の端部と、の間の距離L3(mm)は、50mm以下とすることができる。
【0070】
図6(a)に示すように、バルブ2の管軸方向と直交する方向において、波長変換部108はバルブ2の内壁の全周囲に設けることができる。すなわち、波長変換部108の中心角θは360°とすることができる。この様にすれば、紫外線ランプ1の配置位置に関係なく、検出部109と波長変換部108とが対向するので、紫外線ランプ1の取り付け作業が容易となったり、検出部109による検出精度のバラツキを低減させたりすることができる。
【0071】
また、
図6(b)に示すように、バルブ2の管軸方向と直交する方向において、波長変換部108の中心角θは180°以下とすることもできる。この様にすれば、波長変換部108の材料の量を低減させることができるので、紫外線ランプ1の低コスト化を図ることができる。
【0072】
波長変換部108の厚みには特に限定がなく、変換された可視光が出射できればよい。例えば、波長変換部108の厚みは、10μm以上とすることができる。
これらの様にすれば、波長変換部108が、液体処理装置100の処理能力に及ぼす影響を抑制することができ、且つ、検出部109による検出精度を向上させることができる。
【0073】
ここで、波長変換部108をバルブ2の内壁に設けると、始動電圧を低下させることができ、且つ、始動電圧のバラツキを小さくすることができることが判明した。
図7は、波長変換部108が設けられていない場合の始動電圧(Vrms)のバラツキを例示するためのグラフである。
図8は、波長変換部108を、バルブ2の一方の端部の近傍の内壁に設けた場合の始動電圧(Vrms)のバラツキを例示するためのグラフである。
波長変換部108を設けていない場合には、
図7から分かるように、始動電圧の平均値は316Vrmsとなり、標準偏差は6.4となる。
これに対し、波長変換部108がバルブ2の内壁に設けられている場合には、
図8から分かるように、始動電圧の平均値は312Vrmsとなり、標準偏差は2.2となる。
すなわち、波長変換部108がバルブ2の内壁に設けられていれば、始動電圧を低下させることができ、且つ、始動電圧のバラツキを小さくすることができる。そのため、紫外線ランプ1の始動が容易となる。
【0074】
この様になる要因は必ずしも明らかではないが、以下の様に考えることができる。
例えば、封止部3によりバルブ2の端部を封止する際に、僅かな不純物がバルブ2の内部に侵入する場合がある。バルブ2の内部に不純物が侵入すると、始動電圧が上昇したり、始動電圧のバラツキが大きくなったりする場合がある。波長変換部108がバルブ2の内壁に設けられていれば、波長変換部108により、侵入した不純物を捕捉することができる。そのため、始動電圧を低下させることができ、且つ、始動電圧のバラツキを小さくすることができる。
【0075】
波長変換部108から出射した可視光は、検出部109に入射する。検出部109は、入射した可視光を電気信号に変換する。検出部109は、例えば、可視光センサとすることができる。
図1に示すように、検出部109は、容器104の外部に設けることができる。バルブ2の管軸方向において、検出部109は、波長変換部108と対向する位置に設けることができる。
【0076】
図1に示すように、波長変換部108が、容器104の内部に設けられる場合には、容器104の壁面に窓104eを設けることができる。バルブ2の管軸方向において、窓104eは、検出部109と対向する位置に設けることができる。窓104eは、例えば、容器104の内壁と外壁との間を貫通する孔に液密となるように設けることができる。窓104eは、可視光を透過する材料から形成することができる。窓104eは、例えば、ガラスや透光性樹脂などから形成される。
【0077】
以上に説明した様に、紫外線を可視光に変換する波長変換部108が設けられていれば、価格の高い紫外線センサに代えて、可視光を検出する検出部109を用いることができる。また、波長変換部108に含まれている蛍光体に入射しないで波長変換部108を透過する紫外線は僅かであるため、検出部109には、紫外線ランプ1から照射された紫外線がほとんど入射しなくなる。そのため、検出部109には、紫外線による劣化がほとんど生じなくなるので、検出部109の長寿命化を図ることができる。
【0078】
またさらに、波長変換部108がバルブ2の内壁に設けられていれば、始動電圧を低下させることができ、且つ、始動電圧のバラツキを小さくすることができる。そのため、紫外線ランプ1の始動が容易となる。
【0079】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 紫外線ランプ、2 バルブ、3 封止部、4a 第1の電極、4b 第2の電極、100 液体処理装置、101 保護管、104 容器、104e 窓、108 波長変換部、109 検出部、300 液体、300a 液体