(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063670
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】燃料電池用複合部材およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/0223 20160101AFI20240502BHJP
H01M 8/0273 20160101ALI20240502BHJP
H01M 8/0247 20160101ALI20240502BHJP
【FI】
H01M8/0223
H01M8/0273
H01M8/0247
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171803
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115646
【弁理士】
【氏名又は名称】東口 倫昭
(74)【代理人】
【識別番号】100115657
【弁理士】
【氏名又は名称】進藤 素子
(74)【代理人】
【識別番号】100196759
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 雪
(72)【発明者】
【氏名】大西 將博
(72)【発明者】
【氏名】篠▲崎▼ 卓宏
(72)【発明者】
【氏名】酒井 翔太
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA12
5H126AA13
5H126BB06
5H126DD02
5H126DD04
5H126DD05
5H126EE03
(57)【要約】
【課題】シール性の低下を抑制可能な燃料電池用複合部材およびその製造方法を提供する。
【解決手段】燃料電池用複合部材1は、ガスケット配置部4を有するプレート状部材2と、ガスケット配置部4に一体成形されるガスケット5と、を備える。ガスケット配置部4は、表面2Uに配置される表側配置部4Uと、裏面2Dに配置される裏側配置部4Dと、を有する。表側配置部4Uは、所望のシール対象領域22ULa、22ULc、22URa、22URc、22UMの周囲に配置される連続部40Uと、連続部40Uから独立して、連続部40Uの面方向外側に配置される独立部41Uと、を有する。連続部40Uと独立部41Uとは、連続部内貫通孔402Ua、裏側配置部4D、独立部内貫通孔410Uを介して、連通している。独立部41Uの内部において、ガスケット5は、表面2Uから表側に突出しないように配置されている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスケット配置部を有するプレート状部材と、前記ガスケット配置部に一体成形されるガスケットと、を備える燃料電池用複合部材であって、
前記ガスケット配置部は、前記プレート状部材の表面に配置される表側配置部と、前記プレート状部材の裏面に配置される裏側配置部と、を有し、
前記表側配置部は、前記表面に凹設され、所望のシール対象領域の周囲に配置される連続部と、前記表面に凹設され、前記連続部から独立して、前記連続部の面方向外側に配置される独立部と、を有し、
前記連続部は、前記プレート状部材を表裏方向に貫通し、前記裏側配置部に連なる連続部内貫通孔を有し、
前記独立部は、前記プレート状部材を表裏方向に貫通し、前記裏側配置部に連なる独立部内貫通孔を有し、
前記連続部と前記独立部とは、前記連続部内貫通孔、前記裏側配置部、前記独立部内貫通孔を介して、連通し、
前記独立部の内部において、前記ガスケットは、前記表面から表側に突出しないように配置されていることを特徴とする燃料電池用複合部材。
【請求項2】
前記連続部は、前記ガスケットのシールリップが前記表面から表側に突出する表側溝部と、前記表側溝部から溝幅方向外側に突出する複数の側突部と、を有し、
複数の前記側突部は、前記連続部内貫通孔を有する複数の貫通側突部と、前記プレート状部材を表裏方向に貫通しない連続部内非貫通孔を有する複数の非貫通側突部と、を有する請求項1に記載の燃料電池用複合部材。
【請求項3】
前記表面は、平面視で長方形状を呈し、
前記表面の面方向のうち、長手方向をX方向、短手方向をY方向として、
前記表側溝部は、X方向に延在する複数のX方向延在部と、Y方向に延在する複数のY方向延在部と、を有し、
前記独立部は、前記表面のX方向中央部を含み、複数の前記X方向延在部のY方向両外側に二つ配置され、
複数の前記貫通側突部のうち、二つの前記貫通側突部は、前記表面のY方向中央部を含み、複数の前記Y方向延在部のX方向両外側に配置されるX方向外端側突部である請求項2に記載の燃料電池用複合部材。
【請求項4】
複数の前記貫通側突部のうち、二つの前記貫通側突部は、前記表面のX方向中央部を含み、複数の前記X方向延在部のY方向両外側に配置されるY方向外端側突部である請求項3に記載の燃料電池用複合部材。
【請求項5】
前記連続部は、前記X方向外端側突部と前記Y方向外端側突部とを連結する分岐合流区間を有し、
前記分岐合流区間において、前記X方向外端側突部に向かう方向を上流側、前記Y方向外端側突部に向かう方向を下流側として、
前記分岐合流区間は、前記X方向外端側突部に連なる上流幹部と、前記上流幹部の下流側に配置され前記Y方向外端側突部に連なる下流幹部と、前記上流幹部と前記下流幹部との間に配置される複数の枝部と、前記上流幹部の下流端と複数の前記枝部の上流端とを連結する分岐部と、複数の前記枝部の下流端と前記下流幹部の上流端とを連結する合流部と、を有し、
複数の前記貫通側突部のうち、少なくとも一つの前記貫通側突部は、前記合流部に配置される合流部側突部であり、
複数の前記非貫通側突部のうち、少なくとも一つの前記非貫通側突部は、複数の前記枝部のうち任意の前記枝部に配置される枝部側突部である請求項4に記載の燃料電池用複合部材。
【請求項6】
前記貫通側突部は、溝幅方向外端に前記連続部内貫通孔を有するテーパ状を呈し、
前記非貫通側突部は、溝幅方向外端に前記連続部内非貫通孔を有するテーパ状を呈する請求項2に記載の燃料電池用複合部材。
【請求項7】
前記連続部は、さらに、面方向に隣り合う複数の前記表側溝部間に介在する表側介在部を有し、
前記表側介在部は、前記連続部内貫通孔と、前記連続部内非貫通孔と、を有する請求項2に記載の燃料電池用複合部材。
【請求項8】
前記裏側配置部は、前記裏面に凹設され、前記ガスケットのシールリップが前記裏面から裏側に突出する裏側溝部と、前記裏面に面一に配置され、前記裏側溝部から面方向外側に拡がる溝縁部と、前記裏面に凹設され、面方向に隣り合う複数の前記裏側溝部間に介在し、前記表側介在部の前記連続部内貫通孔が開口する裏側介在部と、を有する請求項7に記載の燃料電池用複合部材。
【請求項9】
さらに、前記プレート状部材の前記裏面に配置され、電解質膜と、前記電解質膜の表裏両面に配置される一対の触媒層と、を有する膜電極接合体を備え、
前記ガスケットは、前記プレート状部材および前記膜電極接合体に一体成形される請求項1に記載の燃料電池用複合部材。
【請求項10】
請求項1に記載の燃料電池用複合部材の製造方法であって、
金型のゲートが前記連続部に対向するように、前記金型のキャビティに前記プレート状部材を配置する配置工程と、
前記ゲートから前記キャビティに前記ガスケットの原料を注入し、前記原料を前記連続部に流動させると共に、前記原料を前記連続部内貫通孔を介して前記連続部から前記裏側配置部に流動させ、前記独立部内貫通孔を介して前記裏側配置部から前記独立部に流動させる原料注入工程と、
を有する燃料電池用複合部材の製造方法。
【請求項11】
前記連続部は、前記ガスケットのシールリップが前記表面から表側に突出する表側溝部と、前記表側溝部から溝幅方向外側に突出する複数の側突部と、を有し、
複数の前記側突部は、前記連続部内貫通孔を有する複数の貫通側突部と、前記プレート状部材を表裏方向に貫通しない連続部内非貫通孔を有する複数の非貫通側突部と、を有する請求項10に記載の燃料電池用複合部材の製造方法。
【請求項12】
前記表面は、平面視で長方形状を呈し、
前記表面の面方向のうち、長手方向をX方向、短手方向をY方向として、
前記表側溝部は、X方向に延在する複数のX方向延在部と、Y方向に延在する複数のY方向延在部と、を有し、
前記独立部は、前記表面のX方向中央部を含み、複数の前記X方向延在部のY方向両外側に二つ配置され、
複数の前記貫通側突部のうち、二つの前記貫通側突部は、前記表面のY方向中央部を含み、複数の前記Y方向延在部のX方向両外側に配置されるX方向外端側突部であり、
前記配置工程においては、前記ゲートが前記X方向外端側突部に対向するように、前記キャビティに前記プレート状部材を配置する請求項11に記載の燃料電池用複合部材の製造方法。
【請求項13】
複数の前記貫通側突部のうち、二つの前記貫通側突部は、前記表面のX方向中央部を含み、複数の前記X方向延在部のY方向両外側に配置されるY方向外端側突部である請求項12に記載の燃料電池用複合部材の製造方法。
【請求項14】
前記連続部は、前記X方向外端側突部と前記Y方向外端側突部とを連結する分岐合流区間を有し、
前記分岐合流区間において、前記X方向外端側突部に向かう方向を上流側、前記Y方向外端側突部に向かう方向を下流側として、
前記分岐合流区間は、前記X方向外端側突部に連なる上流幹部と、前記上流幹部の下流側に配置され前記Y方向外端側突部に連なる下流幹部と、前記上流幹部と前記下流幹部との間に配置される複数の枝部と、前記上流幹部の下流端と複数の前記枝部の上流端とを連結する分岐部と、複数の前記枝部の下流端と前記下流幹部の上流端とを連結する合流部と、を有し、
複数の前記貫通側突部のうち、少なくとも一つの前記貫通側突部は、前記合流部に配置される合流部側突部であり、
複数の前記非貫通側突部のうち、少なくとも一つの前記非貫通側突部は、複数の前記枝部のうち任意の前記枝部に配置される枝部側突部である請求項13に記載の燃料電池用複合部材の製造方法。
【請求項15】
前記貫通側突部は、溝幅方向外端に前記連続部内貫通孔を有するテーパ状を呈し、
前記非貫通側突部は、溝幅方向外端に前記連続部内非貫通孔を有するテーパ状を呈する請求項11に記載の燃料電池用複合部材の製造方法。
【請求項16】
前記連続部は、さらに、面方向に隣り合う複数の前記表側溝部間に介在する表側介在部を有し、
前記表側介在部は、前記連続部内貫通孔と、前記連続部内非貫通孔と、を有する請求項11に記載の燃料電池用複合部材の製造方法。
【請求項17】
前記裏側配置部は、前記裏面に凹設され、前記ガスケットのシールリップが前記裏面から裏側に突出する裏側溝部と、前記裏面に面一に配置され、前記裏側溝部から面方向外側に拡がる溝縁部と、前記裏面に凹設され、面方向に隣り合う複数の前記裏側溝部間に介在し、前記表側介在部の前記連続部内貫通孔が開口する裏側介在部と、を有する請求項16に記載の燃料電池用複合部材の製造方法。
【請求項18】
さらに、前記プレート状部材の前記裏面に配置され、電解質膜と、前記電解質膜の表裏両面に配置される一対の触媒層と、を有する膜電極接合体を備え、
前記配置工程において、前記キャビティに、前記プレート状部材と共に、前記膜電極接合体を配置することにより、
前記ガスケットを、前記プレート状部材および前記膜電極接合体に一体成形する請求項10に記載の燃料電池用複合部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プレート状部材にガスケットを一体成形した燃料電池用複合部材およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池のセパレータのシール対象領域(マニホールド、膜電極接合体など)の周囲には、ガスケットが配置されている。セパレータにガスケットを配置する方法としては、予め作製した別体のガスケットをセパレータに接着する方法が挙げられる。この方法の場合、細く柔軟なガスケットを、セパレータのガスケット配置部に装着する作業が必要である。また、ガスケット装着前に、セパレータのガスケット配置部に接着剤を塗布する作業が必要である。これらの作業は煩雑である。
【0003】
この点、特許文献1には、セパレータにガスケットを一体成形する方法が開示されている。この方法の場合、セパレータが配置された金型のキャビティにガスケットの原料を注入することにより、ガスケットを射出成形しながら、セパレータとガスケットとを一体化することができる。このため、前述のガスケット配置作業や接着剤塗布作業は不要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、同文献の方法の場合、ガスケットの成形不良により、ガスケットの形状精度が低下するおそれがある。このため、シール対象領域に対するシール性が低下するおそれがある。そこで、本開示は、シール性の低下を抑制可能な燃料電池用複合部材およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記課題を解決するため、本開示の燃料電池用複合部材は、ガスケット配置部を有するプレート状部材と、前記ガスケット配置部に一体成形されるガスケットと、を備える燃料電池用複合部材であって、前記ガスケット配置部は、前記プレート状部材の表面に配置される表側配置部と、前記プレート状部材の裏面に配置される裏側配置部と、を有し、前記表側配置部は、前記表面に凹設され、所望のシール対象領域の周囲に配置される連続部と、前記表面に凹設され、前記連続部から独立して、前記連続部の面方向外側に配置される独立部と、を有し、前記連続部は、前記プレート状部材を表裏方向に貫通し、前記裏側配置部に連なる連続部内貫通孔を有し、前記独立部は、前記プレート状部材を表裏方向に貫通し、前記裏側配置部に連なる独立部内貫通孔を有し、前記連続部と前記独立部とは、前記連続部内貫通孔、前記裏側配置部、前記独立部内貫通孔を介して、連通し、前記独立部の内部において、前記ガスケットは、前記表面から表側に突出しないように配置されていることを特徴とする。
【0007】
ガスケットは、プレート状部材のガスケット配置部に、一体成形されている。このため、予め作製した別体のガスケットをプレート状部材に接着する方法と比較して、作業工数を削減することができる。また、ガスケットの成形と同時に、ガスケットとプレート状部材とを、位置決めかつ一体化することができる。
【0008】
プレート状部材は、連続部内貫通孔、独立部内貫通孔を有している。このため、プレート状部材とガスケットとの接触面積を増やすことができる。したがって、非接着にもかかわらず、プレート状部材からのガスケットのずれや脱落を抑制することができる。また、ガスケットは、連続部内貫通孔、独立部内貫通孔を介して、プレート状部材の表裏両面に、一体的に成形されている。このため、アンカー効果により、非接着にもかかわらず、プレート状部材からのガスケットのずれや脱落を抑制することができる。
【0009】
独立部は、連続部(つまりシール対象領域)から独立している。並びに、独立部は、連続部の面方向外側に配置されている。このため、独立部のガスケット(詳しくは、ガスケットのうち、独立部に配置された部分。以下、同様に、「任意部位のガスケット」とは、「ガスケットのうち、当該任意部位に配置された部分」をいう。)に成形不良が発生した場合であっても、言い換えると独立部のガスケットの形状精度が低い場合であっても、当該形状精度の影響が連続部のガスケットに及びにくい。したがって、独立部のガスケットに起因するシール性の低下を抑制することができる。
【0010】
独立部において、ガスケットは、プレート状部材の表面から表側に突出しないように、配置されている。このため、独立部のガスケットの形状精度が低い場合であっても、独立部のガスケットに起因するシール性の低下を抑制することができる。
【0011】
(2)好ましくは、上記構成において、前記連続部は、前記ガスケットのシールリップが前記表面から表側に突出する表側溝部と、前記表側溝部から溝幅方向外側に突出する複数の側突部と、を有し、複数の前記側突部は、前記連続部内貫通孔を有する複数の貫通側突部と、前記プレート状部材を表裏方向に貫通しない連続部内非貫通孔を有する複数の非貫通側突部と、を有する構成とする方がよい。
【0012】
プレート状部材は、表側溝部、貫通側突部、連続部内貫通孔、非貫通側突部、連続部内非貫通孔を備えている。このため、プレート状部材とガスケットとの接触面積を増やすことができる。したがって、非接着にもかかわらず、プレート状部材からのガスケットのずれや脱落を抑制することができる。
【0013】
表側溝部の表側には、ガスケットのシールリップ(詳しくは、シールラインを形成する、シールリップの頂部)が配置されている。他方、連続部内貫通孔は貫通側突部に、連続部内非貫通孔は非貫通側突部に、各々配置されている。すなわち、連続部内貫通孔、連続部内非貫通孔は、表側溝部を避けて配置されている。このため、連続部内貫通孔、連続部内非貫通孔のガスケットの形状精度が低い場合であっても、当該形状精度の影響が表側溝部のガスケットに及びにくい。したがって、連続部内貫通孔、連続部内非貫通孔のガスケットに起因するシール性の低下を抑制することができる。
【0014】
(3)好ましくは、上記いずれかの構成において、前記表面は、平面視で長方形状を呈し、前記表面の面方向のうち、長手方向をX方向、短手方向をY方向として、前記表側溝部は、X方向に延在する複数のX方向延在部と、Y方向に延在する複数のY方向延在部と、を有し、前記独立部は、前記表面のX方向中央部を含み、複数の前記X方向延在部のY方向両外側に二つ配置され、複数の前記貫通側突部のうち、二つの前記貫通側突部は、前記表面のY方向中央部を含み、複数の前記Y方向延在部のX方向両外側に配置されるX方向外端側突部である構成とする方がよい。
【0015】
二つの独立部は、表面のX方向中央部を含む位置に配置されている。並びに、二つの独立部は、複数のX方向延在部のY方向両外側に配置されている。また、独立部には独立部内貫通孔が配置されている。このため、表面のX方向中央部を含む位置、かつ表側溝部のY方向両外側において、プレート状部材からのガスケットのずれや脱落を抑制することができる。
【0016】
二つのX方向外端側突部は、表面のY方向中央部を含む位置に配置されている。並びに、二つのX方向外端側突部は、複数のY方向延在部のX方向両外側に配置されている。また、X方向外端側突部には連続部内貫通孔が配置されている。このため、表面のY方向中央部を含む位置、かつ表側溝部のX方向両外側において、プレート状部材からのガスケットのずれや脱落を抑制することができる。
【0017】
(4)好ましくは、上記いずれかの構成において、複数の前記貫通側突部のうち、二つの前記貫通側突部は、前記表面のX方向中央部を含み、複数の前記X方向延在部のY方向両外側に配置されるY方向外端側突部である構成とする方がよい。
【0018】
二つのY方向外端側突部は、表面のX方向中央部を含む位置に配置されている。並びに、二つのY方向外端側突部は、複数のX方向延在部のY方向両外側に配置されている。また、Y方向外端側突部には、連続部内貫通孔が配置されている。このため、表面のX方向中央部を含む位置、かつ表側溝部のY方向両外側において、プレート状部材からのガスケットのずれや脱落を抑制することができる。
【0019】
(5)好ましくは、上記いずれかの構成において、前記連続部は、前記X方向外端側突部と前記Y方向外端側突部とを連結する分岐合流区間を有し、前記分岐合流区間において、前記X方向外端側突部に向かう方向を上流側、前記Y方向外端側突部に向かう方向を下流側として、前記分岐合流区間は、上流幹部と、前記上流幹部の下流側に配置される下流幹部と、前記上流幹部と前記下流幹部との間に配置される複数の枝部と、前記上流幹部の下流端と複数の前記枝部の上流端とを連結する分岐部と、複数の前記枝部の下流端と前記下流幹部の上流端とを連結する合流部と、を有し、複数の前記貫通側突部のうち、少なくとも一つの前記貫通側突部は、前記合流部に配置される合流部側突部であり、複数の前記非貫通側突部のうち、少なくとも一つの前記非貫通側突部は、複数の前記枝部のうち任意の前記枝部に配置される枝部側突部である構成とする方がよい。
【0020】
本構成によると、合流部に合流部側突部が配置されている。このため、合流部とガスケットとの接触面積を増やすことができる。また、合流部側突部の連続部内貫通孔を介して、ガスケットは、プレート状部材の表裏両面に、一体的に成形されている。このため、アンカー効果により、合流部からのガスケットのずれや脱落を抑制することができる。また、本構成によると、枝部に枝部側突部が配置されている。このため、枝部とガスケットとの接触面積を増やすことができる。
【0021】
(6)好ましくは、上記いずれかの構成において、前記貫通側突部は、溝幅方向外端に前記連続部内貫通孔を有するテーパ状を呈し、前記非貫通側突部は、溝幅方向外端に前記連続部内非貫通孔を有するテーパ状を呈する構成とする方がよい。
【0022】
本構成によると、貫通側突部の溝幅方向外端に連続部内貫通孔が配置されている。すなわち、貫通側突部において、表側溝部から最も離間した位置に、連続部内貫通孔が配置されている。このため、連続部内貫通孔のガスケットの形状精度が低い場合であっても、当該形状精度の影響が表側溝部のガスケットに及びにくい。したがって、連続部内貫通孔のガスケットに起因するシール性の低下を抑制することができる。
【0023】
本構成によると、非貫通側突部の溝幅方向外端に連続部内非貫通孔が配置されている。すなわち、非貫通側突部において、表側溝部から最も離間した位置に、連続部内非貫通孔が配置されている。このため、連続部内非貫通孔のガスケットの形状精度が低い場合であっても、当該形状精度の影響が表側溝部のガスケットに及びにくい。したがって、連続部内非貫通孔のガスケットに起因するシール性の低下を抑制することができる。
【0024】
(7)好ましくは、上記いずれかの構成において、前記連続部は、さらに、面方向に隣り合う複数の前記表側溝部間に介在する表側介在部を有し、前記表側介在部は、前記連続部内貫通孔と、前記連続部内非貫通孔と、を有する構成とする方がよい。
【0025】
表側介在部は、連続部内貫通孔、連続部内非貫通孔を有している。このため、表側介在部とガスケットとの接触面積を増やすことができる。したがって、非接着にもかかわらず、表側介在部からのガスケットのずれや脱落を抑制することができる。また、ガスケットは、連続部内貫通孔を介して、プレート状部材の表裏両面に、一体的に成形されている。このため、アンカー効果により、非接着にもかかわらず、表側介在部からのガスケットのずれや脱落を抑制することができる。
【0026】
(8)好ましくは、上記いずれかの構成において、前記裏側配置部は、前記裏面に凹設され、前記ガスケットのシールリップが前記裏面から裏側に突出する裏側溝部と、前記裏面に面一に配置され、前記裏側溝部から面方向外側に拡がる溝縁部と、前記裏面に凹設され、面方向に隣り合う複数の前記裏側溝部間に介在し、前記表側介在部の前記連続部内貫通孔が開口する裏側介在部と、を有する構成とする方がよい。
【0027】
裏側配置部は、プレート状部材の裏面に面一の、溝縁部を備えている。このため、溝縁部のガスケットにより、裏面に面シール部を配置することができる。また、裏側配置部には、表側配置部の連続部内貫通孔が開口している。このため、プレート状部材とガスケットとの接触面積を増やすことができる。また、アンカー効果により、非接着にもかかわらず、裏側配置部からのガスケットのずれや脱落を抑制することができる。特に、裏側介在部には、表側介在部の連続部内貫通孔が開口している。このため、表側介在部と裏側介在部との間において、プレート状部材とガスケットとの接触面積を増やすことができる。また、アンカー効果により、非接着にもかかわらず、裏側介在部からのガスケットのずれや脱落を抑制することができる。
【0028】
(9)好ましくは、上記いずれかの構成において、さらに、前記プレート状部材の前記裏面に配置され、電解質膜と、前記電解質膜の表裏両面に配置される一対の触媒層と、を有する膜電極接合体を備え、前記ガスケットは、前記プレート状部材および前記膜電極接合体に一体成形される構成とする方がよい。
【0029】
ガスケットは、プレート状部材および膜電極接合体に一体成形されている。このため、予め作製した別体のガスケットをプレート状部材に接着し、プレート状部材に膜電極接合体を積層する方法と比較して、作業工数を削減することができる。また、ガスケットの成形と同時に、ガスケットとプレート状部材と膜電極接合体とを、位置決めかつ一体化することができる。
【0030】
(10)好ましくは、上記いずれかの構成の燃料電池用複合部材の製造方法において、金型のゲートが前記連続部に対向するように、前記金型のキャビティに前記プレート状部材を配置する配置工程と、前記ゲートから前記キャビティに前記ガスケットの原料を注入し、前記原料を前記連続部に流動させると共に、前記原料を前記連続部内貫通孔を介して前記連続部から前記裏側配置部に流動させ、前記独立部内貫通孔を介して前記裏側配置部から前記独立部に流動させる原料注入工程と、を有する構成とする方がよい。
【0031】
本構成により製造される燃料電池用複合部材は、上記(1)の構成と同様の効果を有している。本構成によると、原料注入工程において、ガスケットの原料は、裏側配置部を巡った後、最終的に独立部に到達する。このため、流動に起因する成形不良が裏側配置部に発生するのを、抑制することができる。
【0032】
(11)好ましくは、上記(10)の構成において、前記連続部は、前記ガスケットのシールリップが前記表面から表側に突出する表側溝部と、前記表側溝部から溝幅方向外側に突出する複数の側突部と、を有し、複数の前記側突部は、前記連続部内貫通孔を有する複数の貫通側突部と、前記プレート状部材を表裏方向に貫通しない連続部内非貫通孔を有する複数の非貫通側突部と、を有する構成とする方がよい。
【0033】
本構成により製造される燃料電池用複合部材は、上記(2)の構成と同様の効果を有している。本構成によると、原料注入工程において、ガスケットの原料は、貫通側突部を介して、連続部内貫通孔に流入する。原料が貫通側突部を経由することにより、原料が連続部内貫通孔に流入する際のエアの巻き込みを抑制することができる。したがって、成形不良が裏側配置部に発生するのを、抑制することができる。
【0034】
(12)好ましくは、上記(10)以降((10)を含む。以下同様)のいずれかの構成において、前記表面は、平面視で長方形状を呈し、前記表面の面方向のうち、長手方向をX方向、短手方向をY方向として、前記表側溝部は、X方向に延在する複数のX方向延在部と、Y方向に延在する複数のY方向延在部と、を有し、前記独立部は、前記表面のX方向中央部を含み、複数の前記X方向延在部のY方向両外側に二つ配置され、複数の前記貫通側突部のうち、二つの前記貫通側突部は、前記表面のY方向中央部を含み、複数の前記Y方向延在部のX方向両外側に配置されるX方向外端側突部であり、前記配置工程においては、前記ゲートが前記X方向外端側突部に対向するように、前記金型のキャビティに前記プレート状部材を配置する構成とする方がよい。
【0035】
本構成により製造される燃料電池用複合部材は、上記(3)の構成と同様の効果を有している。原料注入工程において、ガスケットの原料は、二つのX方向外端側突部から、裏側配置部を経由して、二つの独立部まで流動する。本構成によると、ガスケットの原料が流動する際の流路長のばらつきを、抑制することができる。よって、当該ばらつきに起因する成形不良の発生を抑制することができる。
【0036】
(13)好ましくは、上記(10)以降のいずれかの構成において、複数の前記貫通側突部のうち、二つの前記貫通側突部は、前記表面のX方向中央部を含み、複数の前記X方向延在部のY方向両外側に配置されるY方向外端側突部である構成とする方がよい。
【0037】
本構成により製造される燃料電池用複合部材は、上記(4)の構成と同様の効果を有している。原料注入工程において、ガスケットの原料は、二つのX方向外端側突部から、表側配置部を経由して、二つのY方向外端側突部まで流動する。本構成によると、ガスケットの原料が流動する際の流路長のばらつきを、抑制することができる。よって、当該ばらつきに起因する成形不良の発生を抑制することができる。
【0038】
(14)好ましくは、上記(10)以降のいずれかの構成において、前記連続部は、前記X方向外端側突部と前記Y方向外端側突部とを連結する分岐合流区間を有し、前記分岐合流区間において、前記X方向外端側突部に向かう方向を上流側、前記Y方向外端側突部に向かう方向を下流側として、前記分岐合流区間は、上流幹部と、前記上流幹部の下流側に配置される下流幹部と、前記上流幹部と前記下流幹部との間に配置される複数の枝部と、前記上流幹部の下流端と複数の前記枝部の上流端とを連結する分岐部と、複数の前記枝部の下流端と前記下流幹部の上流端とを連結する合流部と、を有し、複数の前記貫通側突部のうち、少なくとも一つの前記貫通側突部は、前記合流部に配置される合流部側突部であり、複数の前記非貫通側突部のうち、少なくとも一つの前記非貫通側突部は、複数の前記枝部のうち任意の前記枝部に配置される枝部側突部である構成とする方がよい。
【0039】
本構成により製造される燃料電池用複合部材は、上記(5)の構成と同様の効果を有している。原料注入工程において、ガスケットの原料は、分岐合流区間を「X方向外端側突部→上流幹部→分岐部→複数の枝部→合流部→下流幹部→Y方向外端側突部」という方向に流動する。複数の枝部の形状(流路の延在形状、断面形状など)、流路長などは、一定ではない。このため、複数の枝部の流路抵抗は、ばらつきやすい。したがって、複数の枝部を流動するガスケットの原料が合流部で合流するタイミングも、ばらつきやすい。
【0040】
この点、本構成によると、複数の枝部のうち、任意の枝部には、枝部側突部が配置されている。このため、当該枝部におけるガスケットの原料の流速を遅くすることができる。したがって、複数の枝部のうち、ガスケットの原料の流速が速い枝部(単数でも複数でもよい)に、適宜、枝部側突部を配置することにより、複数の枝部の流路抵抗のばらつきを、抑制することができる。すなわち、複数の枝部を流動するガスケットの原料が合流部で合流するタイミングのばらつきを、抑制することができる。よって、当該タイミングのばらつきに起因する成形不良の発生を抑制することができる。
【0041】
(15)好ましくは、上記(10)以降のいずれかの構成において、前記貫通側突部は、溝幅方向外端に前記連続部内貫通孔を有するテーパ状を呈し、前記非貫通側突部は、溝幅方向外端に前記連続部内非貫通孔を有するテーパ状を呈する構成とする方がよい。
【0042】
本構成により製造される燃料電池用複合部材は、上記(6)の構成と同様の効果を有している。原料注入工程において、ガスケットの原料は、貫通側突部を介して、連続部内貫通孔に流入する。本構成の貫通側突部は、溝幅方向外端に向かって先細るテーパ状を呈している。連続部内貫通孔は、貫通側突部のテーパ頂部に配置されている。このため、ガスケットの原料は、貫通側突部に滞留してから(貫通側突部の裾部(溝幅方向内端)からテーパ頂部(溝幅方向外端)に流動してから)、貫通側突部を介して、連続部内貫通孔に流入する。したがって、エアの巻き込みを抑制することができる。よって、成形不良が裏側配置部に発生するのを、抑制することができる。
【0043】
原料注入工程において、ガスケットの原料は、表側溝部に沿って流動する。本構成の貫通側突部は、溝幅方向外端に向かって先細るテーパ状を呈している。このため、表側配置部におけるガスケットの原料の流路幅を部分的に調整することができる。非貫通側突部についても同様である。また、連続部内非貫通孔は、非貫通側突部のテーパ頂部に配置されている。このため、表側配置部におけるガスケットの原料の流路深さを部分的に調整することができる。
【0044】
(16)好ましくは、上記(10)以降のいずれかの構成において、前記連続部は、さらに、面方向に隣り合う複数の前記表側溝部間に介在する表側介在部を有し、前記表側介在部は、前記連続部内貫通孔と、前記連続部内非貫通孔と、を有する構成とする方がよい。
【0045】
本構成により製造される燃料電池用複合部材は、上記(7)の構成と同様の効果を有している。本構成によると、原料注入工程において、表側介在部の連続部内貫通孔を介して、表側配置部から裏側配置部に、ガスケットの原料を流動させることができる。
【0046】
(17)好ましくは、上記(10)以降のいずれかの構成において、前記裏側配置部は、前記裏面に凹設され、前記ガスケットのシールリップが前記裏面から裏側に突出する裏側溝部と、前記裏面に面一に配置され、前記裏側溝部から面方向外側に拡がる溝縁部と、前記裏面に凹設され、面方向に隣り合う複数の前記裏側溝部間に介在し、前記表側介在部の前記連続部内貫通孔が開口する裏側介在部と、を有する構成とする方がよい。
【0047】
本構成により製造される燃料電池用複合部材は、上記(8)の構成と同様の効果を有している。本構成によると、原料注入工程において、表側介在部の連続部内貫通孔を介して、表側介在部から裏側介在部に、ガスケットの原料を、直接、流動させることができる。
【0048】
(18)好ましくは、上記(10)以降のいずれかの構成において、さらに、前記プレート状部材の前記裏面に配置され、電解質膜と、前記電解質膜の表裏両面に配置される一対の触媒層と、を有する膜電極接合体を備え、前記配置工程において、前記キャビティに、前記プレート状部材と共に、前記膜電極接合体を配置することにより、前記ガスケットを、前記プレート状部材および前記膜電極接合体に一体成形する構成とする方がよい。
【0049】
本構成により製造される燃料電池用複合部材は、上記(9)の構成と同様の効果を有している。本構成によると、ガスケットを、プレート状部材および膜電極接合体に一体成形することができる。
【発明の効果】
【0050】
本開示の燃料電池用複合部材およびその製造方法によると、シール性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】
図1は、第一実施形態の燃料電池用複合部材を備える燃料電池のスタックの斜視図である。
【
図4】
図4は、第一実施形態の燃料電池用複合部材の上面図である。
【
図5】
図5は、同燃料電池用複合部材の第一セパレータの上面図である。
【
図6】
図6は、同燃料電池用複合部材の下面図である。
【
図7】
図7は、同燃料電池用複合部材の第一セパレータの下面図である。
【
図18】
図18は、第一実施形態の第二セパレータの上面図である。
【
図21】
図21は、第一実施形態の燃料電池用複合部材の製造方法の配置工程の第一段階の模式図である。
【
図24】
図24は、同製造方法の原料注入工程の模式図である。
【
図25】
図25は、第二実施形態の燃料電池用複合部材を備える燃料電池のスタックの上下方向部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、本開示の燃料電池用複合部材およびその製造方法の実施の形態について説明する。以降の図においては、上側が本開示の「表側」に、下側が本開示の「裏側」に、各々対応している。また、左右方向(長手方向)が本開示の「X方向」に、前後方向(短手方向)が本開示の「Y方向」に、各々対応している。
【0053】
<第一実施形態>
[スタック]
まず、本実施形態の燃料電池用複合部材を備える燃料電池のスタックの構成について、簡単に説明する。
図1に、本実施形態の燃料電池用複合部材を備える燃料電池のスタックの斜視図を示す。
図2に、
図1のII部分の分解斜視図を示す。
図3に、
図1のIII部分の分解斜視図を示す。なお、
図1~
図3においては、ガスケット5に点線ハッチングを施す。
【0054】
図1~
図3に示すように、スタック9は、一対のエンドプレート90と、複数の燃料電池用複合部材1と、複数の第二セパレータ7と、を備えている。燃料電池用複合部材1と、第二セパレータ7と、は上下方向(積層方向)に交互に積層されている。
【0055】
図2に示すように、第二セパレータ7の下面7Dは、燃料電池用複合部材1の上面2Uに、積層されている。燃料電池用複合部材1の上面2Uには、五つのシール対象領域22ULa、22ULc、22URa、22URc、22UMが設定されている。また、上面2Uには、VMQ(ビニルメチルシリコーンゴム)製のガスケット5が配置されている。ガスケット5は、第二セパレータ7の下面7Dの裏側溝部700Dに弾接している。当該弾接により、ガスケット5は、五つのシール対象領域22ULa、22ULc、22URa、22URc、22UMを、外部から隔離している。また、ガスケット5は、五つのシール対象領域22ULa、22ULc、22URa、22URc、22UM同士を、互いに隔離している。
【0056】
図3に示すように、燃料電池用複合部材1の下面2Dは、第二セパレータ7の上面7Uに、積層されている。燃料電池用複合部材1の下面2Dには、七つのシール対象領域22DLa、22DLb、22DLc、22DRa、22DRb、22DRc、22DMが設定されている。また、下面2Dには、上面2Uのガスケット5と一体のガスケット5が配置されている。ガスケット5は、第二セパレータ7の上面7U自体、上面7Uの表側溝部700U、上面7Uの保持部収容溝部701Uに弾接している。当該弾接により、ガスケット5は、七つのシール対象領域22DLa、22DLb、22DLc、22DRa、22DRb、22DRc、22DMを、外部から隔離している。また、ガスケット5は、七つのシール対象領域22DLa、22DLb、22DLc、22DRa、22DRb、22DRc、22DM同士を、互いに隔離している。
【0057】
[燃料電池用複合部材1]
次に、本実施形態の燃料電池用複合部材の構成について説明する。
図4に、本実施形態の燃料電池用複合部材の上面図を示す。
図5に、本実施形態の燃料電池用複合部材の第一セパレータの上面図を示す。
図6に、本実施形態の燃料電池用複合部材の下面図を示す。
図7に、本実施形態の燃料電池用複合部材の第一セパレータの下面図を示す。なお、
図4、
図6においては、ガスケット5に点線ハッチングを施す。また、
図5においては、第一セパレータ2を貫通しない連続部内非貫通孔403Uaを黒色で示す(孔内を黒で塗りつぶす)。
【0058】
図4~
図7に示すように、燃料電池用複合部材1は、第一セパレータ2と、ガスケット5と、MEGA(Membrane Electrode Gas diffusion layer Assembly 膜電極ガス拡散層接合体)6と、を備えている。第一セパレータ(バイポーラプレート)2は、本開示の「プレート状部材」の概念に含まれる。
【0059】
(第一セパレータ2)
第一セパレータ2は、導電性樹脂製であって、長方形薄板状を呈している。第一セパレータ2の上面2Uは、平面視で(上側から見て)長方形状を呈している。第一セパレータ2は、六つのマニホールド20La~20Lc、20Ra~20Rcと、ガスケット配置部4と、を備えている。
【0060】
(マニホールド20La~20Lc、20Ra~20Rc)
六つのマニホールド20La~20Lc、20Ra~20Rcは、各々、第一セパレータ2を上下方向(表裏方向、積層方向)に貫通している。このうち、三つのマニホールド20La~20Lcは、第一セパレータ2の左縁に沿って、前側から後側に向かって並んでいる。残りの三つのマニホールド20Ra~20Rcは、第一セパレータ2の右縁に沿って、後側から前側に向かって並んでいる。
【0061】
(流路領域21ULa、21ULc、21URa、21URc、21DM)
図4~
図5に二点鎖線で示すように、第一セパレータ2の上面(表面)2Uにおいて、マニホールド20Laの右側(面方向内側)には流路領域21ULaが、マニホールド20Lcの右側には流路領域21ULcが、マニホールド20Raの左側(面方向内側)には流路領域21URaが、マニホールド20Rcの左側には流路領域21URcが、各々配置されている。また、マニホールド20Lbとマニホールド20Rbとの左右方向中間(面方向内側)には、流路領域21UMが配置されている。
【0062】
図7に二点鎖線で示すように、第一セパレータ2の下面(裏面)2Dにおいて、左側の三つのマニホールド20La~20Lcと、右側の三つのマニホールド20Ra~20Rcと、の左右方向中間には、流路領域21DMが配置されている。これらの流路領域21ULa、21ULc、21URa、21URc、21DMには、各々、流体(水素、空気、冷却水)用の複数の溝部(図略)が凹設されている。
【0063】
(シール対象領域22ULa、22ULc、22URa、22URc、22UM、22DLa、22DLb、22DLc、22DRa、22DRb、22DRc、22DM)
図4~
図5に示すように、上面2Uには、五つのシール対象領域22ULa、22ULc、22URa、22URc、22UMが設定されている。シール対象領域22ULaには、マニホールド20La、流路領域21ULaが含まれる。シール対象領域22ULcには、マニホールド20Lc、流路領域21ULcが含まれる。シール対象領域22URaには、マニホールド20Ra、流路領域21URaが含まれる。シール対象領域22URcには、マニホールド20Rc、流路領域21URcが含まれる。シール対象領域22UMには、マニホールド20Lb、20Rb、流路領域21UMが含まれる。
【0064】
図7に示すように、下面2Dには、七つのシール対象領域22DLa、22DLb、22DLc、22DRa、22DRb、22DRc、22DMが設定されている。シール対象領域22DLaには、マニホールド20Laが含まれる。シール対象領域22DLbには、マニホールド20Lbが含まれる。シール対象領域22DLcには、マニホールド20Lcが含まれる。シール対象領域22DRaには、マニホールド20Raが含まれる。シール対象領域22DRbには、マニホールド20Rbが含まれる。シール対象領域22DRcには、マニホールド20Rcが含まれる。シール対象領域22DMには、流路領域21DM、後述するMEGA6(
図6参照)が含まれる。
【0065】
(ガスケット配置部4)
図5、
図7に示すように、ガスケット配置部4は、表側配置部4Uと、裏側配置部4Dと、を備えている。ガスケット配置部4には、ガスケット5が一体成形されている。
【0066】
(表側配置部4U)
表側配置部4Uは、上面2Uに配置されている。表側配置部4Uは、五つのシール対象領域22ULa、22ULc、22URa、22URc、22UMの周囲に配置されている。
【0067】
【0068】
なお、
図8および
図8の部分拡大図(
図10、
図12、
図14、
図15)においては、ガスケット5に点線ハッチングを施す。また、
図8および
図8の部分拡大図においては、ガスケット5を透過して、第一セパレータ2を示す。また、
図8、
図12においては、第一セパレータ2を貫通しない連続部内非貫通孔403Uaを黒色で示す(孔内を黒で塗りつぶす)。
図5、
図8に示すように、表側配置部4Uは、連続部40Uと、二つの独立部41Uと、を備えている。
【0069】
(連続部40U)
図9に示すように、連続部40Uは、上面2Uに凹設されている。
図5、
図8に示すように、連続部40Uは、表側溝部400Uと、複数の側突部401Uと、表側外枠部404Uと、四つの表側介在部405ULa、405ULc、405URa、405URcと、四つの分岐合流区間Aと、を備えている。
【0070】
(表側溝部400U)
図9に示すように、表側溝部400Uからは、ガスケット5のシールリップ51が、上面2Uに対して上側に突出している。
図11に示すように、表側溝部400Uの溝底部は、側突部401Uの凹底部よりも、下側(深い位置)に配置されている。連続部40Uは、二段底状を呈している。
【0071】
図8に示すように、表側溝部400Uは、複数のX方向延在部400UXと、複数のY方向延在部400UYと、を備えている。X方向延在部400UXは、左右方向に延在している。Y方向延在部400UYは、前後方向に延在している。
図10に示すように、表側溝部400Uの溝幅W2は、シールリップ51のリップ幅W1よりも、狭い。平面視で、シールリップ51の頂部510は、表側溝部400Uの溝内に配置されている。
【0072】
(側突部401U)
図8に示すように、平面視で、側突部401Uは、表側溝部400Uから溝幅方向外側に突出している。側突部401Uは、溝幅方向内側から溝幅方向外側に向かって先細る、テーパ状を呈している。複数の側突部401Uは、複数の貫通側突部402Uと、四つの非貫通側突部403Uと、を有している。非貫通側突部403Uは、本開示の「枝部側突部」に該当する。
【0073】
(貫通側突部402U)
図10~
図14に示すように、貫通側突部402Uは、連続部内貫通孔402Uaを有している。連続部内貫通孔402Uaは、貫通側突部402Uの溝幅方向外端(テーパ頂部)に配置されている。連続部内貫通孔402Uaは、第一セパレータ2を上下方向(表裏方向)に貫通している。連続部内貫通孔402Uaは、裏側配置部4Dに連なっている。
【0074】
図5、
図8、
図10~
図14に示すように、複数の貫通側突部402Uは、二つのX方向外端側突部402UX(特に
図10)と、二つのY方向外端側突部402UY(特に
図14)と、四つの合流部側突部402UA(特に
図12)と、を有している。
【0075】
図5に示すように、二つのX方向外端側突部402UXは、上面2Uの軸AXを含む位置に、配置されている。軸AXは、上面2Uおよび下面2Dの前後方向中心を通って左右方向に延在している。軸AXは、本開示の「Y方向中央部」の概念に含まれる。二つのX方向外端側突部402UXは、全てのY方向延在部400UYの左右方向両外側に配置されている。
図10に示すように、X方向外端側突部402UXは、他の貫通側突部402Uと同様に、溝幅方向外側に向かって尖る三角形状を呈している。
【0076】
図5に示すように、二つのY方向外端側突部402UYは、上面2Uの軸AYを含む位置に、配置されている。軸AYは、上面2Uおよび下面2Dの左右方向中心を通って前後方向に延在している。軸AYは、本開示の「X方向中央部」の概念に含まれる。二つのY方向外端側突部402UYは、全てのX方向延在部400UXの前後方向両外側に配置されている。
図14に示すように、Y方向外端側突部402UYは、他の貫通側突部402Uと異なり、二つの貫通側突部402Uが左右方向に連なった形状を呈している。すなわち、Y方向外端側突部402UYは、二つの三角形部402UYaと、連結部402UYbと、を備えている。三角形部402UYaは、他の貫通側突部402Uと同様に、溝幅方向外側に向かって尖る三角形状を呈している。二つの三角形部402UYaは、軸AYを挟んで、左右方向に離間して配置されている。連結部402UYbは、左右方向に長い帯状を呈している。連結部402UYbは、軸AYを跨がって、二つの三角形部402UYaの中間に配置されている。連結部402UYbは、二つの三角形部402UYaを左右方向に連結している。全体として、Y方向外端側突部402UYは、溝幅方向外側に向かって尖るテーパ状を呈している。
【0077】
図5に示すように、四つの合流部側突部402UAは、軸AX、AYにより第一セパレータ2を分割して設定される四つの領域R1~R4(
図5に示すように、平面視で、交点Oを中心とする時計回りに、左前領域R1、左後領域R2、右後領域R3、右前領域R4)に、一つずつ配置されている。合流部側突部402UAは、Y方向延在部400UYのY方向端部(前端部、後端部)がX方向延在部400UXの中間部に連なる部分に、配置されている。合流部側突部402UAは、後述する合流部A5に配置されている。
【0078】
(非貫通側突部403U)
図5、
図8、
図12~
図13に示すように、非貫通側突部(枝部側突部)403Uは、連続部内非貫通孔403Uaを有している。連続部内非貫通孔403Uaは、非貫通側突部403Uの溝幅方向外端(テーパ頂部)に配置されている。連続部内非貫通孔403Uaは、第一セパレータ2を上下方向に貫通していない。連続部内非貫通孔403Uaは、有底凹部状を呈している。
【0079】
図5に示すように、四つの非貫通側突部403Uは、四つの領域R1~R4に、一つずつ配置されている。非貫通側突部403Uは、合流部側突部402UAの隣り(面方向外側)に配置されている。非貫通側突部403Uは、後述する外回り枝部A3aに配置されている。
【0080】
(表側外枠部404U、表側介在部405ULa、405ULc、405URa、405URc)
図5に示すように、表側外枠部404Uは、上面2Uの外縁に沿って、長方形枠状に延在している。表側外枠部404Uには、表側外枠部404Uの延在方向に沿って、前述の表側溝部400Uが配置されている。また、表側外枠部404Uには、表側外枠部404Uの表側溝部400Uから面方向外側に突出して、前述の側突部401Uが配置されている。
【0081】
図5に示すように、四つの表側介在部405ULa、405ULc、405URa、405URcは、四つの領域R1~R4に、一つずつ配置されている。四つの表側介在部405ULa、405ULc、405URa、405URcは、表側外枠部404Uの四隅の面方向内側に、L字状に配置されている。具体的には、表側介在部405ULaは、シール対象領域22ULaと、シール対象領域22UMと、の間に配置されている。表側介在部405ULcは、シール対象領域22ULcと、シール対象領域22UMと、の間に配置されている。表側介在部405URaは、シール対象領域22URaと、シール対象領域22UMと、の間に配置されている。表側介在部405URcは、シール対象領域22URcと、シール対象領域22UMと、の間に配置されている。
【0082】
一例として、
図8に示す領域R1の表側介在部405ULaは、シール対象領域22ULaに近接したX方向延在部400UXと、シール対象領域22UMに近接したX方向延在部400UXと、の間に配置されている。並びに、表側介在部405ULaは、シール対象領域22ULaに近接したY方向延在部400UYと、シール対象領域22UMに近接したY方向延在部400UYと、の間に配置されている。すなわち、表側介在部405ULaは、面方向に隣り合う二つの表側溝部400Uの間に介在している。
【0083】
表側介在部405ULaは、
図13に示す連続部内貫通孔402Uaと、連続部内非貫通孔403Uaと、を備えている。領域R2の表側介在部405ULc、領域R3の表側介在部405URa、領域R4の表側介在部405URcについても同様である。
【0084】
(分岐合流区間A)
図5に示すように、四つの分岐合流区間Aは、四つの領域R1~R4に、一つずつ配置されている。四つの分岐合流区間Aは、前述の四つの表側介在部405ULa、405ULc、405URa、405URcに対応している。
【0085】
一例として、
図8に示す領域R1の分岐合流区間Aは、領域R1と領域R2との境界のX方向外端側突部402UXと、領域R1と領域R4との境界のY方向外端側突部402UYと、を連結している。すなわち、分岐合流区間Aは、平面視において、第一セパレータ2の周方向に隣り合う、X方向外端側突部402UXと、Y方向外端側突部402UYと、を連結している。
【0086】
分岐合流区間Aは、上流幹部A1と、下流幹部A2と、外回り枝部A3aと、内回り枝部A3bと、分岐部A4と、合流部A5と、を備えている。外回り枝部A3a、内回り枝部A3bは、本開示の「枝部」の概念に含まれる。ここで、分岐合流区間Aにおいて、X方向外端側突部402UXに向かう方向を上流側、Y方向外端側突部402UYに向かう方向を下流側とする。
【0087】
上流幹部A1は、X方向外端側突部402UXに連なっている。下流幹部A2は、Y方向外端側突部402UYに連なっている。外回り枝部A3a、内回り枝部A3bは、各々、上流幹部A1と下流幹部A2との間に配置されている。外回り枝部A3aは、シール対象領域22ULaを、面方向外側に迂回している。内回り枝部A3aは、シール対象領域22ULaを、面方向内側に迂回している。分岐部A4は、上流幹部A1の下流端と、外回り枝部A3aの上流端と、内回り枝部A3bの上流端と、を連結している。合流部A5は、下流幹部A2の上流端と、外回り枝部A3aの下流端と、内回り枝部A3bの下流端と、を連結している。
【0088】
(独立部41U)
図16に示すように、独立部41Uは、上面2Uに凹設されている。
図5、
図14に示すように、上面2Uにおいて、独立部41Uは、連続部40Uから独立して配置されている。二つの独立部41Uは、連続部40Uの前後方向両外側(面方向両外側)に配置されている。二つの独立部41Uは、上面2Uの左右方向中央部(軸AY)を含む位置に、配置されている。
【0089】
図16に示すように、独立部41Uは、独立部内貫通孔410Uと、深底部411Uと、浅底部412Uと、を備えている。浅底部412Uは、上面2Uに凹設されている。
図15に示すように、浅底部412Uは、左右方向に延在する長孔状を呈している。深底部411Uは、浅底部412Uの底面に凹設されている。独立部内貫通孔410Uは、深底部411Uの底面に開設されている。独立部内貫通孔410Uは、裏側配置部4Dに連なっている。流路断面積を比較すると、独立部内貫通孔410Uが最小、深底部411Uが中間、浅底部412Uが最大である。
【0090】
図5、
図11、
図13、
図16に示すように、連続部40Uと独立部41Uとは、連続部内貫通孔402Ua、裏側配置部4D、独立部内貫通孔410Uを介して、連通している。
図16に示すように、独立部41Uの内部において、ガスケット5は、上面2U以下の位置に配置されている。すなわち、ガスケット5は、上面2Uから上側に突出しないように配置されている。
【0091】
(裏側配置部4D)
図7に示すように、裏側配置部4Dは、第一セパレータ2の下面2Dに配置されている。裏側配置部4Dは、七つのシール対象領域22DLa、22DLb、22DLc、22DRa、22DRb、22DRc、22DMの周囲に配置されている。
【0092】
図17に、
図6の枠XVII内の拡大図を示す。なお、ガスケット5に点線ハッチングを施す。また、ガスケット5を透過して、第一セパレータ2を示す。
図7、
図17に示すように、裏側配置部4Dは、裏側溝部400Dと、保持部固定溝部402Dと、溝縁部401Dと、裏側外枠部404Dと、六つの裏側介在部405DLa、405DLb、405DLc、405DRa、405DRb、405DRcと、を備えている。
【0093】
(裏側溝部400D)
図9に示すように、裏側溝部400Dからは、ガスケット5のシールリップ51が、下面2Dに対して下側に突出している。
図11に示すように、裏側溝部400Dの溝底部は、下面2D(溝縁部401Dの配置面)よりも、上側(深い位置)に配置されている。
【0094】
図10に示す表側溝部400Uと同様に、裏側溝部400Dの溝幅(
図10に示す表側溝部400Uの溝幅W2と同じ)は、シールリップ51のリップ幅(
図10に示すシールリップ51のリップ幅W1と同じ)よりも、狭い。平面視で(下側から見て)、シールリップ51の頂部510は、裏側溝部400Dの溝内に配置されている。
【0095】
(保持部固定溝部402D、溝縁部401D)
図9に示すように、保持部固定溝部402Dは、下面2Dに凹設されている。
図7、
図17に示すように、保持部固定溝部402Dは、シール対象領域22DMの外縁に沿って配置されている。
図9に示すように、溝縁部401Dは、下面2Dに面一に配置されている。つまり、溝縁部401Dは、段差を介さずに、下面2Dに連なっている。溝縁部401Dは、裏側溝部400Dから面方向外側に拡がっている。溝縁部401Dは、下面2Dの外縁付近まで延在している。
【0096】
(裏側外枠部404D、裏側介在部405DLa、405DLb、405DLc、405DRa、405DRb、405DRc)
図7に示すように、裏側外枠部404Dは、下面2Dの外縁に沿って、長方形枠状に延在している。裏側外枠部404Dには、裏側外枠部404Dの延在方向に沿って、前述の裏側溝部400Dが配置されている。また、裏側外枠部404Dには、裏側外枠部404Dの裏側溝部400Dから面方向外側に突出して、前述の溝縁部401Dが配置されている。
【0097】
六つの裏側介在部405DLa、405DLb、405DLc、405DRa、405DRb、405DRcのうち、四つの裏側介在部405DLa、405DLc、405DRa、405DRcは、四つの領域R1~R4に、一つずつ配置されている。四つの裏側介在部405DLa、405DLc、405DRa、405DRcは、裏側外枠部404Dの四隅の面方向内側に、L字状に配置されている。具体的には、裏側介在部405DLaは、シール対象領域22DLaと、シール対象領域22DLbおよびシール対象領域22DMと、の間に配置されている。裏側介在部405DLcは、シール対象領域22DLcと、シール対象領域22DLbおよびシール対象領域22DMと、の間に配置されている。裏側介在部405DRaは、シール対象領域22DRaと、シール対象領域22DRbおよびシール対象領域22DMと、の間に配置されている。裏側介在部405DRcは、シール対象領域22DRcと、シール対象領域22DRbおよびシール対象領域22DMと、の間に配置されている。
【0098】
残り二つの裏側介在部405DLb、405DRbのうち、裏側介在部405DLbは、裏側介在部405DLaのL字角部と、裏側介在部405DLcのL字角部と、を連結している。また、裏側介在部405DRbは、裏側介在部405DRaのL字角部と、裏側介在部405DRcのL字角部と、を連結している。
【0099】
裏側介在部405DLbは、シール対象領域22DLbと、シール対象領域22DMと、の間に配置されている。また、裏側介在部405DRbは、シール対象領域22DRbと、シール対象領域22DMと、の間に配置されている。
【0100】
前述の表側介在部405ULaと同様に、裏側介在部405DLa、405DLb、405DLc、405DRa、405DRb、405DRcは、各々、面方向に隣り合う二つの裏側溝部400Dの間に介在している。
【0101】
(ガスケット5)
図4、
図6、
図8、
図11、
図17に示すように、ガスケット5は、第一セパレータ2のガスケット配置部4に一体成形されている。ガスケット5は、ひとつながりの一体物である。ガスケット5は、基部50と、シールリップ51と、MEGA保持部52と、を備えている。
【0102】
図8に示すように、上面2Uにおいて、基部50は、表側外枠部404Uの複数の側突部401U、四つの表側介在部405ULa、405ULc、405URa、405URcに配置されている。
図11に示すように、基部50の頂面(上面)は、上面2Uに面一である。すなわち、基部50は、上面2Uに埋設されている。
【0103】
図17に示すように、下面2Dにおいて、基部50は、裏側外枠部404Dの溝縁部401D、六つの裏側介在部405DLa、405DLb、405DLc、405DRa、405DRb、405DRcに配置されている。
図11に示すように、基部50の頂面(下面)は、段差を介して、下面2Dよりも下側に配置されている。すなわち、基部50は、下面2Dに積層されている。
【0104】
図8、
図11、
図17に示すように、シールリップ51は、表側溝部400U、裏側溝部400Dに沿って、配置されている。シールリップ51は、頂部510と、裾部511と、を備えている。頂部510は、シールリップ51の突出端である。頂部510は、後述する第二セパレータ7に弾接している。当該弾接により、頂部510は、シールライン(線シール部、あるいは帯シール部)を形成している。裾部511は、頂部510の溝幅方向外側に配置されている。裾部511は、スロープ状を呈している。裾部511は、基部50と頂部510とを連結している。
【0105】
図6、
図17に示すように、MEGA保持部52は、下面2Dの保持部固定溝部402Dに沿って、シール対象領域22DMの周囲に配置されている。MEGA保持部52は、長方形枠状に延在している。
図9に示すように、MEGA保持部52は、上下一対の把持体520を備えている。
【0106】
(MEGA6)
図6、
図17に示すように、MEGA6は、長方形薄板状であって、下面2Dに配置されている。
図9に示すように、MEGA6の外縁は、ガスケット5のMEGA保持部52の一対の把持体520に、上下方向から保持されている。すなわち、ガスケット5は、第一セパレータ2およびMEGA6に一体成形されている。
【0107】
MEGA6は、図示しないMEA(Membrane Electrode Assembly 膜電極接合体)と、一対のガス拡散層と、を備えている。一対のガス拡散層は、MEAの上下両面に積層されている。MEAは、電解質膜と、一対の触媒層と、を備えている。一対の触媒層は、電解質膜の上下両面に積層されている。
【0108】
[第二セパレータ7]
次に、本実施形態の第二セパレータの構成について説明する。
図18に、本実施形態の第二セパレータの上面図を示す。
図19に、同第二セパレータの下面図を示す。
図20に、
図1に示すスタックの上下方向部分断面図を示す。なお、
図20は、
図8のIX-IX断面(
図9参照)に対応している。
【0109】
図1~
図3、
図18~
図19に示すように、第二セパレータ7は、第一セパレータ2同様に、導電性樹脂製であって、長方形薄板状を呈している。第二セパレータ7は、六つのマニホールド70La~70Lc、70Ra~70Rcを備えている。六つのマニホールド70La~70Lc、70Ra~70Rcは、第一セパレータ2の六つのマニホールド20La~20Lc、20Ra~20Rcと、上下方向に連なっている。
【0110】
図18に示すように、第二セパレータ7の上面7Uには、表側溝部700Uと、保持部収容溝部701Uと、二点鎖線で示す流路領域71UMと、が配置されている。
図3、
図7、
図20に示すように、表側溝部700Uは、第一セパレータ2の下面2Dの裏側溝部400Dに対向している。表側溝部700Uの溝底面には、裏側溝部400Dに配置されたガスケット5のシールリップ51の頂部510が弾接している。当該弾接により、シールラインが形成されている。
図3、
図7、
図20に示すように、保持部収容溝部701Uは、保持部固定溝部402Dに対向している。保持部収容溝部701Uの溝底面には、保持部固定溝部402Dに配置されたガスケット5のMEGA保持部52の把持体520が弾接している。当該弾接により、MEGA保持部52がMEGA6に圧接している。また、当該弾接により、シールラインが形成されている。このように、MEGA6の周囲には、シールリップ51の頂部510による環状の外側シールラインと、把持体520による環状の内側シールラインと、が配置されている。また、上面7Uと下面2Dとの間には、MEGA6を除いて、全面的に溝縁部401Dのガスケット5が介在している。溝縁部401Dのガスケット5は、上面7Uに面接触している。このため、上面7Uと下面2Dとの絶縁を確保することができる。
【0111】
図19に示すように、第二セパレータ7の下面7Dには、裏側溝部700Dと、二点鎖線で示す流路領域71DLc、71DRcと、が配置されている。
図2、
図5、
図20に示すように、裏側溝部700Dは、第一セパレータ2の上面2Uの表側溝部400Uに対向している。裏側溝部700Dの溝底面には、表側溝部400Uに配置されたガスケット5のシールリップ51の頂部510が弾接している。当該弾接により、シールラインが形成されている。一方、下面7Dは上面2Uに全面的に面接触している。このため、下面7Dと上面2Uとの導通を確保することができる。
【0112】
[燃料電池用複合部材の製造方法]
次に、本実施形態の燃料電池用複合部材の製造方法について説明する。本実施形態の燃料電池用複合部材の製造方法は、配置工程と、原料注入工程と、型開き工程と、を有している。
【0113】
図21に、本実施形態の燃料電池用複合部材の製造方法の配置工程の第一段階の模式図(第一セパレータの左前のマニホールド付近)を示す。
図22に、同工程の第二段階の模式図(第一セパレータの左前のマニホールド付近)を示す。
図23に、同段階の模式図(第一セパレータの左側のX方向外端側突部付近)を示す。
図24に、同製造方法の原料注入工程の模式図を示す。なお、
図21~
図22、
図24は、
図8のIX-IX断面(
図9参照)に対応している。
図23は、
図10のXI-XI方向断面(
図11参照)に対応している。
【0114】
(金型)
まず、本実施形態の燃料電池用複合部材の製造方法に用いる金型8の構成について説明する。
図21に示すように、金型8は、第一型80と、第二型81と、を備えている。第一型80は、第二型81に対して、上側から離接可能である。第一型80の成形面801には、第一セパレータ2の表側配置部4Uに一体成形されるガスケット5の形状が付与されている。第二型81の成形面811には、第一セパレータ2の裏側配置部4Dに一体成形されるガスケット5の形状が付与されている。また、成形面811には、第一セパレータ2の六つのマニホールド20La~20Lc、20Ra~20Rc(
図5参照)に対応して、六つのボス811aが配置されている。また、成形面811には、長方形枠状の保持部成形用溝部811bが配置されている。
図22に示すように、型閉め状態において、金型8の内部には、ガスケット5と同形状のキャビティ82が区画されている。
図23に示すように、第一型80はゲート800を備えている。ゲート800は、
図5に示す第一セパレータ2の左右二つのX方向外端側突部402UXに対応して、左右二つ配置されている。
【0115】
(配置工程)
本工程においては、型開き状態の金型8の第二型81に、MEGA6と、第一セパレータ2と、を配置する。
図21に示すように、まず、MEGA6を第二型81の成形面811に配置する。次に、MEGA6の上側に、第一セパレータ2を配置する。この際、成形面811の六つのボス811aは、第一セパレータ2の六つのマニホールド20La~20Lc、20Ra~20Rc(
図5参照)に、相対的に挿入される。
【0116】
続いて、
図22に示すように、第一型80を、上側から第二型81に当接させる。すなわち、型閉めを行う。
図23に示すように、型閉めにより、ゲート800は、第一セパレータ2のX方向外端側突部402UXの真上に配置される。すなわち、ゲート800は、表側配置部4Uの連続部40Uに対向している。
【0117】
(原料注入工程)
本工程においては、二つのゲート800から、キャビティ82(X方向外端側突部402UXの真上位置)に、ガスケットの原料(具体的には、液状シリコーンゴム)を注入する。
図8に矢印y1~y4で示すように、領域R1の表側配置部4Uにおいて、原料は、X方向外端側突部402UXとY方向外端側突部402UYとの間を、分岐合流区間Aを介して流動する。具体的には、原料は、上流側から下流側に向かって、X方向外端側突部402UX→上流幹部A1→分岐部A4→外回り枝部A3aおよび内回り枝部A3b→合流部A5→下流幹部A2→Y方向外端側突部402UYの順に流動する。領域R2~R4についても同様である。
【0118】
図5、
図8に示すように、領域R1からの原料(
図8の矢印y1~y4)と、領域R4からの原料(
図8の矢印y5)と、は前側のY方向外端側突部402UYで合流する。同様に、領域R2からの原料と、領域R3からの原料と、は後側のY方向外端側突部402UYで合流する。
【0119】
原料は、ゲート800からX方向外端側突部402UXに流入する際、X方向外端側突部402UXの連続部内貫通孔402Uaを介して、裏側配置部4Dに流入する。また、原料は、X方向外端側突部402UX以外の貫通側突部402Uを通過する際、連続部内貫通孔402Uaを介して、裏側配置部4Dに流入する。また、原料は、Y方向外端側突部402UYで合流した後、Y方向外端側突部402UYの二つの連続部内貫通孔402Uaを介して、裏側配置部4Dに流入する。また、原料は、表側介在部405ULaを通過する際、表側介在部405ULaの連続部内貫通孔402Uaを介して、裏側配置部4Dに流入する。このように、原料は、複数の連続部内貫通孔402Uaを介して、表側配置部4Uの各所から、裏側配置部4Dに流入する。
【0120】
図17に矢印y6で示すように、領域R1の裏側配置部4Dにおいて、原料は、複数の連続部内貫通孔402Uaからキャビティ82(
図24参照)の形状に沿って、下面2Dを面方向に拡散する。裏側配置部4Dの隅々にまで行き渡った原料は、独立部内貫通孔410Uに合流する。合流した原料は、独立部内貫通孔410Uを介して、
図8に示す独立部41U(深底部411U、浅底部412U)に流入する。領域R2~R4についても同様である。
【0121】
図7、
図17に示すように、領域R1からの原料(
図17の矢印y6)と、領域R4からの原料(
図17の矢印y7)と、は前側の独立部内貫通孔410Uで合流する。
図16に示すように、合流した原料(
図16の矢印y8)は、下側から独立部41Uに流入する。同様に、領域R2からの原料と、領域R3からの原料と、は後側の独立部内貫通孔410Uで合流し、後側の独立部41Uに流入する。
【0122】
このようにして、原料が、キャビティ82の全体に行き渡る。
図24に示すように、キャビティ82で原料が硬化することにより、ガスケット5が成形される。この際、ガスケット5は、第一セパレータ2、MEGA6と一体化する。このようにして、燃料電池用複合部材1は作製される。
【0123】
(型開き工程)
本工程においては、第一型80を、第二型81から離間させる。すなわち、型開きを行う。そして、キャビティ82から燃料電池用複合部材1を取り出す。その後、
図1に示すように、燃料電池用複合部材1と第二セパレータ7とを交互に積層させ積層体を形成し、当該積層体を一対のエンドプレート90で挟持することにより、スタック9が組み付けられる。
【0124】
[作用効果]
次に、本実施形態の燃料電池用複合部材およびその製造方法の作用効果について説明する。
図4、
図6、
図24に示すように、ガスケット5は、第一セパレータ2のガスケット配置部4に、一体成形されている。このため、予め作製した別体のガスケット5を第一セパレータ2に接着する方法と比較して、作業工数を削減することができる。また、ガスケット5の成形と同時に、ガスケット5と第一セパレータ2とを、位置決めかつ一体化することができる。
【0125】
図5に示すように、第一セパレータ2は、連続部内貫通孔402Ua、独立部内貫通孔410Uを有している。このため、第一セパレータ2とガスケット5との接触面積を増やすことができる。したがって、非接着にもかかわらず、第一セパレータ2からのガスケット5のずれや脱落を抑制することができる。また、
図11、
図16に示すように、ガスケット5は、連続部内貫通孔402Ua、独立部内貫通孔410Uを介して、第一セパレータ2の上下両面(表裏両面)に、一体的に成形されている。このため、アンカー効果により、非接着にもかかわらず、第一セパレータ2からのガスケット5のずれや脱落を抑制することができる。また、ガスケット5の成形と同時に、ガスケット5と第一セパレータ2とを、位置決めかつ一体化することができる。一例として、表側配置部4Uのガスケット5が享受するアンカー効果について説明する。表側配置部4Uのガスケット5は、連続部内貫通孔402Uaおよび独立部内貫通孔410Uを介して、裏側配置部4Dのガスケット5と繋がっている(ガスケット5は一体物である)。このため、表側配置部4Uからガスケット5が脱落しようとすると、裏側配置部4Dのガスケット5が、あたかもフックの「返し」のように機能し、脱落を抑制する。裏側配置部4Dのガスケット5が享受するアンカー効果についても同様である。裏側配置部4Dのガスケット5の場合は、表側配置部4Uのガスケット5が、フックの「返し」のように機能する。
【0126】
図5、
図14に示すように、独立部41Uは、連続部40U、つまりシール対象領域22ULa、22ULc、22URa、22URc、22UMから独立している。並びに、独立部41Uは、連続部40Uの前後方向(面方向)外側に配置されている。このため、独立部41Uのガスケット5に成形不良(バリなど)が発生した場合であっても、言い換えると独立部41Uのガスケット5の形状精度が低い場合であっても、当該形状精度の影響が連続部40Uのガスケット5に及びにくい。したがって、独立部41Uのガスケット5に起因するシール性の低下を抑制することができる。
【0127】
図16に示すように、独立部41Uにおいて、ガスケット5は、第一セパレータ2の上面2Uから上側に突出しないように、配置されている。このため、独立部41Uのガスケット5に成形不良(バリなど)が発生した場合であっても、独立部41Uのガスケット5に起因するシール性の低下を抑制することができる。
【0128】
図5に示すように、第一セパレータ2は、表側溝部400U、貫通側突部402U、連続部内貫通孔402Ua、非貫通側突部403U、連続部内非貫通孔403Uaを備えている。このため、第一セパレータ2とガスケット5との接触面積を増やすことができる。したがって、非接着にもかかわらず、第一セパレータ2からのガスケット5のずれや脱落を抑制することができる。
【0129】
図11に示すように、表側溝部400Uの上側には、ガスケット5のシールリップ51(詳しくは、シールラインを形成する、シールリップ51の頂部510)が配置されている。他方、
図12に示すように、連続部内貫通孔402Uaは貫通側突部402Uに、連続部内非貫通孔403Uaは非貫通側突部403Uに、各々配置されている。すなわち、連続部内貫通孔402Ua、連続部内非貫通孔403Uaは、表側溝部400Uを避けて配置されている。このため、連続部内貫通孔402Ua、連続部内非貫通孔403Uaのガスケット5に起因して成形不良(引けなど)が発生した場合であっても、当該成形不良の影響が表側溝部400Uのガスケット5に及びにくい。したがって、連続部内貫通孔402Ua、連続部内非貫通孔403Uaのガスケット5に起因するシール性の低下を抑制することができる。
【0130】
図5に示すように、二つの独立部41Uは、上面2Uの軸AYを含む位置に配置されている。並びに、二つの独立部41Uは、複数のX方向延在部400UXの前後方向両外側に配置されている。また、
図15、
図16に示すように、独立部41Uには独立部内貫通孔410Uが配置されている。このため、上面2Uの軸AYを含む位置、かつ表側溝部400Uの前後方向両外側において、第一セパレータ2からのガスケット5のずれや脱落を抑制することができる。
【0131】
図5に示すように、二つのX方向外端側突部402UXは、上面2Uの軸AXを含む位置に配置されている。並びに、二つのX方向外端側突部402UXは、複数のY方向延在部400UYの左右方向両外側に配置されている。また、
図10、
図11に示すように、X方向外端側突部402UXには連続部内貫通孔402Uaが配置されている。このため、上面2Uの軸AXを含む位置、かつ表側溝部400Uの左右方向両外側において、第一セパレータ2からのガスケット5のずれや脱落を抑制することができる。
【0132】
図5に示すように、二つのY方向外端側突部402UYは、上面2Uの軸AYを含む位置に配置されている。並びに、二つのY方向外端側突部402UYは、複数のX方向延在部400UXの前後方向両外側に配置されている。また、
図14に示すように、Y方向外端側突部402UYには、左右一対の連続部内貫通孔402Uaが配置されている。このため、上面2Uの軸AYを含む位置、かつ表側溝部400Uの前後方向両外側において、第一セパレータ2からのガスケット5のずれや脱落を抑制することができる。
【0133】
図5、
図8に示すように、表側介在部405ULa、405ULc、405URa、405URcは、連続部内貫通孔402Ua、連続部内非貫通孔403Uaを有している。このため、表側介在部405ULa、405ULc、405URa、405URcとガスケット5との接触面積を増やすことができる。したがって、非接着にもかかわらず、表側介在部405ULa、405ULc、405URa、405URcからのガスケット5のずれや脱落を抑制することができる。また、ガスケット5は、連続部内貫通孔402Uaを介して、第一セパレータ2の上下両面に、一体的に成形されている。このため、アンカー効果により、非接着にもかかわらず、表側介在部405ULa、405ULc、405URa、405URcからのガスケット5のずれや脱落を抑制することができる。
【0134】
図8に示すように、合流部A5には、合流部側突部402UAが配置されている。このため、合流部A5とガスケット5との接触面積を増やすことができる。また、合流部側突部402UAの連続部内貫通孔402Uaを介して、ガスケット5は、第一セパレータ2の上下両面に、一体的に成形されている。このため、アンカー効果により、合流部A5からのガスケット5のずれや脱落を抑制することができる。また、外回り枝部A3aには、非貫通側突部403Uが配置されている。このため、外回り枝部A3aとガスケット5との接触面積を増やすことができる。
【0135】
図10に示すように、貫通側突部402Uの溝幅方向外端には、連続部内貫通孔402Uaが配置されている。すなわち、貫通側突部402Uにおいて、表側溝部400Uから最も離間した位置に、連続部内貫通孔402Uaが配置されている。このため、連続部内貫通孔402Uaのガスケット5の形状精度が低い場合であっても、当該形状精度の影響が表側溝部400Uのガスケット5に及びにくい。したがって、連続部内貫通孔402Uaのガスケット5に起因するシール性の低下を抑制することができる。
【0136】
図12に示すように、非貫通側突部403Uの溝幅方向外端には、連続部内非貫通孔403Uaが配置されている。すなわち、非貫通側突部403Uにおいて、表側溝部400Uから最も離間した位置に、連続部内非貫通孔403Uaが配置されている。このため、連続部内非貫通孔403Uaのガスケット5の形状精度が低い場合であっても、当該形状精度の影響が表側溝部400Uのガスケット5に及びにくい。したがって、連続部内非貫通孔403Uaのガスケット5に起因するシール性の低下を抑制することができる。
【0137】
図4、
図6に示すように、裏側配置部4Dのガスケット5に対して、表側配置部4Uのガスケット5は、細い紐状を呈している。また、ガスケット5は、ゴム弾性を有しており、柔軟である。このため、型開き工程において、表側配置部4Uのガスケット5は、
図24に示す第一型80の成形面801から離れにくい。すなわち、型離れ性が低い。この点、表側配置部4Uには、複数の側突部401U(貫通側突部402U、非貫通側突部403U)が配置されている。このため、成形面801からのガスケット5の型離れ性を、向上させることができる。
【0138】
図4に示すように、全ての側突部401Uは、表側外枠部404Uに配置されている。このため、側突部401Uが表側介在部405ULa、405ULc、405URa、405URcに配置されている場合と比較して、流路領域21ULa、21ULc、21URa、21URc、21DMを広くすることができる。
【0139】
図4に示すように、全ての側突部401Uは、表側外枠部404Uの表側溝部400Uから、面方向外側に張り出している。このため、側突部401Uが表側外枠部404Uの表側溝部400Uから面方向内側に張り出している場合と比較して、流路領域21ULa、21ULc、21URa、21URc、21DMを広くすることができる。
【0140】
図7、
図9、
図17に示すように、裏側配置部4Dは、第一セパレータ2の下面2Dに面一の、溝縁部401Dを備えている。このため、溝縁部401Dのガスケット5により、下面2Dに面シール部(平面状のシール部)を配置することができる。具体的には、
図20に示すように、第一セパレータ2の下面2Dの外縁と第二セパレータ7の上面7Uの外縁との間に、広い面積の枠状の面シール部を形成することができる。面シール部においては、ガスケット5が上面7Uに全面的に面接触している。
【0141】
図7、
図17に示すように、裏側配置部4Dには、表側配置部4Uの連続部内貫通孔402Uaが開口している。このため、第一セパレータ2とガスケット5との接触面積を増やすことができる。また、アンカー効果により、非接着にもかかわらず、裏側配置部4Dからのガスケット5のずれや脱落を抑制することができる。特に、裏側介在部405DLa、405DLb、405DLc、405DRa、405DRb、405DRcには、表側介在部405ULa、405ULc、405URa、405URcの連続部内貫通孔402Uaが開口している。このため、表側介在部405ULa、405ULc、405URa、405URcと、裏側介在部405DLa、405DLb、405DLc、405DRa、405DRb、405DRcと、の間において、第一セパレータ2とガスケット5との接触面積を増やすことができる。また、アンカー効果により、非接着にもかかわらず、裏側介在部405DLa、405DLb、405DLc、405DRa、405DRb、405DRcからのガスケット5のずれや脱落を抑制することができる。
【0142】
図10、
図11、
図15~
図17に示すように、原料注入工程において、裏側配置部4Dにガスケット5を一体成形する際、ガスケット5の原料は、表側配置部4Uから裏側配置部4Dに、複数の連続部内貫通孔402Uaを介して、流入する。裏側配置部4Dを流動した原料は、独立部内貫通孔410Uを介して、最終的に独立部41U(深底部411U、浅底部412U)に到達する。このため、流動に起因する成形不良(ボイド、スラグ、ショートモールドなど)を、独立部41Uに集約することができる。したがって、成形不良が裏側配置部4Dに発生するのを、抑制することができる。
【0143】
図23に示すように、裏側配置部4Dにガスケット5を一体成形する際、ガスケット5の原料は、貫通側突部402Uを介して、連続部内貫通孔402Uaに流入する。原料が貫通側突部402Uを経由することにより、原料が連続部内貫通孔402Uaに流入する際のエアの巻き込みを抑制することができる。したがって、成形不良(ボイドなど)が裏側配置部4Dに発生するのを、抑制することができる。
【0144】
図10、
図11、
図15~
図17に示すように、原料注入工程において、裏側配置部4Dにガスケット5を一体成形する際、ガスケット5の原料は、二つのX方向外端側突部402UXから、裏側配置部4Dを経由して、二つの独立部41Uまで流動する。
【0145】
図5に示すように、二つの独立部41Uは、軸AYを含む位置であって、複数のX方向延在部400UXの前後方向両外側に配置されている。並びに、二つのX方向外端側突部402UXは、軸AXを含む位置であって、複数のY方向延在部400UYの左右方向両外側に配置されている。このように、平面視において、二つの独立部41Uと二つのX方向外端側突部402UXとは、上面2Uの外縁付近に、中心角(交点Oを中心とする中心角)90°ずつ離間して、均等に配置されている。このため、ガスケット5の原料が流動する際の流路長のばらつきを、抑制することができる。よって、当該ばらつきに起因する成形不良(ウェルドラインなど)の発生を抑制することができる。
【0146】
図8、
図23に示すように、原料注入工程において、ガスケット5の原料は、二つのX方向外端側突部402UXから、表側配置部4Uを経由して、二つのY方向外端側突部402UYまで流動する。
図5に示すように、二つのY方向外端側突部402UYは、軸AYを含む位置であって、複数のX方向延在部400UXの前後方向両外側に配置されている。並びに、二つのX方向外端側突部402UXは、軸AXを含む位置であって、複数のY方向延在部400UYの左右方向両外側に配置されている。このように、平面視において、二つのY方向外端側突部402UYと二つのX方向外端側突部402UXとは、上面2Uの外縁付近に、中心角90°ずつ離間して、均等に配置されている。このため、ガスケット5の原料が流動する際の流路長のばらつきを、抑制することができる。よって、当該ばらつきに起因する成形不良(ウェルドラインなど)の発生を抑制することができる。
【0147】
図8に示すように、Y方向外端側突部402UYは、X方向延在部400UXから前側(面方向外側)に突出すると共に、左右方向に長い帯状を呈している。このため、連続部40Uの流路幅は、Y方向外端側突部402UYが配置されている区間において、拡張されている。したがって、ガスケット5の原料が連続部40Uを流動する際に流路長にばらつきがあっても、Y方向外端側突部402UYが、当該ばらつきを吸収することができる。
【0148】
図8、
図12に示すように、原料注入工程において、表側配置部4Uにガスケット5を一体成形する際、ガスケット5の原料は、分岐合流区間Aを「X方向外端側突部402UX→上流幹部A1→分岐部A4→外回り枝部A3a、内回り枝部A3b→合流部A5→下流幹部A2→Y方向外端側突部402UY」という方向に流動する。ここで、外回り枝部A3a、内回り枝部A3bの形状(流路の延在形状、断面形状など)、流路長などは、一定ではない。非貫通側突部403Uが配置されていない場合、外回り枝部A3aの方が、内回り枝部A3bよりも、流路抵抗が小さくなる。このため、外回り枝部A3aを流動するガスケット5の原料の方が、内回り枝部A3bを流動する原料よりも、早く合流部A5に到達してしまう。したがって、内回り枝部A3bを流動して合流部A5に到達した原料の流れは、外回り枝部A3aを流動して合流部A5に到達し、合流部A5を通過した原料の流れにより、阻害されてしまう。
【0149】
この点、外回り枝部A3a(合流部A5の上流側)には、非貫通側突部403Uが配置されている。このため、外回り枝部A3aの流路抵抗を大きくすることができる。すなわち、原料の流速を遅くすることができる。したがって、外回り枝部A3a、内回り枝部A3bを流動するガスケット5の原料が合流部A5で合流するタイミングのばらつきを、抑制することができる。よって、当該タイミングのばらつきに起因する成形不良(ウェルドラインなど)の発生を抑制することができる。なお、内回り枝部A3bの流路抵抗を大きくする場合は、内回り枝部A3bに非貫通側突部403Uを配置する。このように、任意の枝部(外回り枝部A3a、内回り枝部A3b)に非貫通側突部403Uを配置することにより、外回り枝部A3aと内回り枝部A3bとの流路抵抗のばらつきを、抑制することができる。
【0150】
図8に示すように、原料注入工程において、裏側配置部4Dにガスケット5を一体成形する際、ガスケット5の原料は、貫通側突部402Uを介して、連続部内貫通孔402Uaに流入する。貫通側突部402Uは、溝幅方向外端に向かって先細るテーパ状を呈している。連続部内貫通孔402Uaは、貫通側突部402Uのテーパ頂部に配置されている。このため、ガスケット5の原料は、貫通側突部402Uに滞留してから(貫通側突部402Uの裾部(溝幅方向内端)からテーパ頂部(溝幅方向外端)に流動してから)、貫通側突部402Uを介して、連続部内貫通孔402Uaに流入する。したがって、エアの巻き込みを抑制することができる。よって、成形不良(ボイドなど)が裏側配置部4Dに発生するのを、抑制することができる。
【0151】
図8に示すように、原料注入工程において、表側配置部4Uにガスケット5を一体成形する際、ガスケット5の原料は、表側溝部400Uに沿って流動する。貫通側突部402Uは、溝幅方向外端に向かって先細るテーパ状を呈している。このため、表側配置部4Uにおけるガスケット5の原料の流路幅を部分的に調整することができる。非貫通側突部403Uについても同様である。また、連続部内非貫通孔403Uaは、非貫通側突部403Uのテーパ頂部に配置されている。このため、表側配置部4Uにおけるガスケット5の原料の流路深さを部分的に調整することができる。
【0152】
図5、
図8に示すように、表側介在部405ULa、405ULc、405URa、405URcは、各々、連続部内貫通孔402Uaと、連続部内非貫通孔403Uaと、を有している。このため、原料注入工程において、表側介在部405ULa、405ULc、405URa、405URcの連続部内貫通孔402Uaを介して、表側配置部4Uから裏側配置部4Dに、ガスケット5の原料を流動させることができる。また、連続部内貫通孔402Ua、連続部内非貫通孔403Uaにより、表側介在部405ULa、405ULc、405URa、405URc(つまり内回り枝部A3b)を流動する原料の流速を調整することができる。
【0153】
図23に示すように、配置工程において、ゲート800は、X方向外端側突部402UX(連続部内貫通孔402Ua)に対向している。ゲート800は、表側溝部400Uに対向していない。このため、表側溝部400Uのガスケット5(特にシールリップ51)にゲート跡が残るのを、抑制することができる。
【0154】
原料注入工程において使用されるガスケット5の原料は、液状シリコーンゴムである。液状シリコーンゴムは、粘性が低く、流動性が高い。このため、第一セパレータ2の上面2Uおよび下面2Dに亘って設定されたガスケット配置部4(表側配置部4U、裏側配置部4D)に、一度にガスケット5を配置、成形することができる。並びに、キャビティ82に予め配置されている第一セパレータ2、MEGA6の破損を、抑制することができる。
【0155】
図21に示すように、配置工程においては、キャビティ82に、第一セパレータ2と共に、MEGA6が配置される。このため、ガスケット5を、第一セパレータ2およびMEGA6に一体成形することができる。
【0156】
図20に示すように、第一セパレータ2の下面2D側(アノード側)の流路領域21DMと、第二セパレータ7の上面7U側(カソード側)の流路領域71UMと、はMEGA6を挟んで上下方向に対向している。流路領域21DMは、貫通孔(図略)、流路領域21ULaを介して、マニホールド20Laに連通している。並びに、流路領域21DMは、貫通孔(図略)、流路領域21URaを介して、マニホールド20Raに連通している。流路領域21DMには、空気(酸素)が供給される。流路領域71UMは、貫通孔(図略)、流路領域21ULcを介して、マニホールド20Lcに連通している。並びに、流路領域71UMは、貫通孔(図略)、流路領域21URcを介して、マニホールド20Rcに連通している。流路領域21DMには、水素が供給される。流路領域21UMは、マニホールド20Lb、20Rbに連通している。流路領域21UMには、冷却水が供給される。このように、スタック9は、主に、燃料電池用複合部材1と、第二セパレータ7と、いう二種類の部材だけで、構成されている。本実施形態のスタック9によると、部品点数が少なくなる。
【0157】
<第二実施形態>
本実施形態の燃料電池用複合部材およびその製造方法と、第一実施形態の燃料電池用複合部材およびその製造方法との相違点は、燃料電池用複合部材にMEGAが一体化されていない点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。
【0158】
図25に、本実施形態の燃料電池用複合部材を備える燃料電池のスタックの上下方向部分断面図を示す。なお、
図20と対応する部位については、同じ符号で示す。
図25に示すように、MEGA6の外縁には、枠状の把持片520aが接合されている。把持片520aは、ガスケット5と同様にVMQ製である。把持片520aは、
図9に示すガスケット5のMEGA保持部52の一対の把持体520のうち、一方の把持体520(詳しくは、下面2Dから下側に突出している把持体520)が別体化されたものである。
【0159】
本実施形態の燃料電池用複合部材1の製造方法は、前述の配置工程、原料注入工程、型開き工程に加えて、接合工程を有している。本実施形態の燃料電池用複合部材1の製造方法を、前出の
図21~
図24を援用して、説明する。なお、金型8の第二型81の成形面811には、保持部成形用溝部811bが凹設されていない。
【0160】
配置工程においては、
図21に示すように、型開き状態の金型8の第二型81に、第一セパレータ2を配置し、
図22に示すように、型閉めを行う。原料注入工程においては、二つのゲート800から、キャビティ82(X方向外端側突部402UXの真上位置)に、ガスケットの原料を注入する。原料はキャビティ82の全体に行き渡り、硬化する。当該硬化により、ガスケット5が成形される。この際、ガスケット5は、第一セパレータ2と一体化する。型開き工程においては、型開きを行い、キャビティ82からガスケット5が一体化された第一セパレータ2を取り出す。接合工程においては、ガスケット5のMEGA保持部52の面方向内側にMEGA6を配置し、把持片520aをMEGA保持部52に接合する。この際、把持片520aにより、MEGA6の外縁を下側から覆う。その後、
図1に示すように、燃料電池用複合部材1と第二セパレータ7とを交互に積層させ積層体を形成し、当該積層体を一対のエンドプレート90で挟持することにより、スタック9が組み付けられる。
【0161】
本実施形態の燃料電池用複合部材およびその製造方法と、第一実施形態の燃料電池用複合部材およびその製造方法とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。本実施形態のように、ガスケット5を第一セパレータ2に一体成形した後に、MEGA6を第一セパレータ2に装着してもよい。
【0162】
<その他>
以上、本開示の燃料電池用複合部材およびその製造方法の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0163】
側突部401U(貫通側突部402U、非貫通側突部403U)の形状、位置、大きさ、配置数(以下、「形状等」と略称する)は特に限定しない。
図11に示すように、側突部401Uの底面を、表側溝部400Uの溝底面よりも、浅い位置に配置してもよい。また、側突部401Uの底面を、表側溝部400Uの溝底面と、面一に配置してもよい。
図10に示すように、平面視で、側突部401Uの形状をテーパ状にしてもよい。また、平面視で、側突部401Uの形状を台形状、長方形状、円弧状などとしてもよい。複数の側突部401Uの形状は、一致していても、一致していなくてもよい。
図5に示すように、側突部401Uを、表側外枠部404Uに配置してもよい。また、側突部401Uを、表側介在部405ULa、405ULc、405URa、405URcに配置してもよい。
図5に示すように、側突部401Uを、表側外枠部404Uから面方向外側に突出させてもよい。また、側突部401Uを、表側外枠部404Uから面方向内側に突出させてもよい。
【0164】
貫通側突部402Uにおける連続部内貫通孔402Uaの形状等は特に限定しない。非貫通側突部403Uにおける連続部内非貫通孔403Uaの形状等は特に限定しない。非貫通側突部403Uを、枝部(外回り枝部A3a、内回り枝部A3b)以外の部位に配置してもよい。側突部401Uに、連続部内貫通孔402Ua、連続部内非貫通孔403Uaを配置しなくてもよい。表側配置部4Uに、側突部401Uを配置しなくてもよい。連続部40U、独立部41Uの形状等は特に限定しない。例えば、上面2Uにおいて、二つの独立部41Uが、連続部40Uの左右方向両外側(面方向両外側)に配置されていてもよい。また、二つの独立部41Uが、上面2Uの前後方向中央部(軸AX)を含む位置に、配置されていてもよい。独立部41Uは、上面2Uにおいて、連続部40Uから独立していればよい。
【0165】
配置工程における、ゲート800に対する連続部40Uの位置は特に限定しない。例えば、ゲート800に、貫通側突部402U(X方向外端側突部402UX以外の貫通側突部402Uを含む)を対向させてもよい。この場合、
図23に示すように、ゲート800に連続部内貫通孔402Uaを対向させてもよい。また、ゲート800に連続部内貫通孔402Uaを対向させなくてもよい。ゲート800の出口(下流端)と、連続部内貫通孔402Uaの入口(上流端)と、の大小関係は特に限定しない。ゲート800の出口が連続部内貫通孔402Uaの入口より、大径でも、小径でもよい。あるいは、当該出口と当該入口とが同径でもよい。また、ゲート800に、貫通側突部402U以外の部位(表側外枠部404U、表側介在部405ULa、405ULc、405URa、405URc、非貫通側突部403Uなど)を対向させてもよい。この場合、ゲート800に、これらの部位に配置された連続部内貫通孔402Ua、または連続部内非貫通孔403Uaを対向させてもよい。また、金型8に複数のゲート800を配置してもよい。
【0166】
図1に示すスタック9の配置方向は特に限定しない。燃料電池用複合部材1と第二セパレータ7との積層方向が、
図1に対して上下逆でもよい。勿論、当該積層方向が水平方向、垂直方向および水平方向に対して斜め方向でもよい。第一セパレータ2、第二セパレータ7の形状は特に限定しない。平面視で、長方形、正方形などであってもよい。
【0167】
第一セパレータ2、第二セパレータ7の材質は特に限定しない。導電性を有し、腐食性を有しない、樹脂、金属などであればよい。例えば、ステンレス鋼、チタン、銅、マグネシウム、アルミニウム、カーボン、グラファイト、セラミックス、導電性樹脂(カーボン、グラファイト、ポリアクリロニトリル系炭素繊維などを有する熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂)などが挙げられる。
【0168】
ガスケット5の材質は特に限定しない。絶縁性、ゴム弾性を有するエラストマーであればよい。原料の段階で、流動性を有していればよい。ガスケット5は、ゴム成分の他に、架橋剤、共架橋剤、加工助剤、軟化剤、補強材などを含んでいてもよい。好適なゴム成分としては、VMQ(シリコーンゴム)の他、VMQ以外のシリコーンゴム(PVMQ(フェニルビニルメチルシリコーンゴム)、FVMQ(フルオロビニルメチルシリコーンゴム)など)、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)、FKM(フッ素ゴム)などが挙げられる。原料として液状シリコーンゴムを用いる場合、液状シリコーンゴムの種類は特に限定しない。一液タイプでも、二液タイプでもよい。また、室温硬化型でも、加熱硬化型でもよい。
【符号の説明】
【0169】
1:燃料電池用複合部材
2:第一セパレータ(プレート状部材)、20La~20Lc:マニホールド、20Ra~20Rc:マニホールド
2U:上面(表面)、21ULa:流路領域、21ULc:流路領域、21URa:流路領域、21URc:流路領域、21UM:流路領域、22ULa:シール対象領域、22ULc:シール対象領域、22URa:シール対象領域、22URc:シール対象領域、22UM:シール対象領域
2D:下面(裏面)、21DM:流路領域、22DLa:シール対象領域、22DLb:シール対象領域、22DLc:シール対象領域、22DRa:シール対象領域、22DRb:シール対象領域、22DRc:シール対象領域、22DM:シール対象領域
4:ガスケット配置部、4U:表側配置部、40U:連続部、400U:表側溝部、400UX:X方向延在部、400UY:Y方向延在部、401U:側突部、402U:貫通側突部、402UA:合流部側突部、402UX:X方向外端側突部、402UY:Y方向外端側突部、402UYa:三角形部、402UYb:連続部、402Ua:連続部内貫通孔、403U:非貫通側突部(枝部側突部)、403Ua:連続部内非貫通孔、404U:表側外枠部、405ULa:表側介在部、405ULc:表側介在部、405URa:表側介在部、405URc:表側介在部、41U:独立部、410U:独立部内貫通孔、411U:深底部、412U:浅底部、4D:裏側配置部、400D:裏側溝部、401D:溝縁部、402D:保持部固定溝部、404D:裏側外枠部、405DLa:裏側介在部、405DLb:裏側介在部、405DLc:裏側介在部、405DRa:裏側介在部、405DRb:裏側介在部、405DRc:裏側介在部
5:ガスケット、50:基部、51:シールリップ、510:頂部、511:裾部、52:MEGA保持部、520:把持体、520a:把持片、6:MEGA、7:第二セパレータ、70La~70Lc:マニホールド、70Ra~70Rc:マニホールド、7U:上面、700U:表側溝部、701U:保持部収容溝部、71UM:流路領域、7D:下面、700D:裏側溝部、71DLc:流路領域、71DRc:流路領域、8:金型、80:第一型、800:ゲート、801:成形面、81:第二型、811:成形面、811a:ボス、811b:保持部成形用溝部、82:キャビティ、9:スタック、90:エンドプレート
A:分岐合流区間、A1:上流幹部、A2:下流幹部、A3a:外回り枝部(枝部)、A3b:内回り枝部(枝部)、A4:分岐部、A5:合流部、AX:軸(Y方向中央部)、AY:軸(X方向中央部)、O:交点、R1~R4:領域、W1:リップ幅、W2:溝幅