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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063677
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】香りテスターおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/02 20060101AFI20240502BHJP
   B65D 77/20 20060101ALI20240502BHJP
   A45D 40/00 20060101ALI20240502BHJP
   B05B 11/04 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
A45D34/02 510A
B65D77/20
A45D40/00 V
B05B11/04 M
B05B11/04 P
B05B11/04 E
B05B11/04 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171828
(22)【出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122529
【弁理士】
【氏名又は名称】藤枡 裕実
(74)【代理人】
【識別番号】100135954
【弁理士】
【氏名又は名称】深町 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100119057
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英生
(74)【代理人】
【識別番号】100131369
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100171859
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 英之
(72)【発明者】
【氏名】畠 一成
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA03
3E067AA12
3E067AB97
3E067AC01
3E067BA12B
3E067BA15C
3E067BB01B
3E067BB01C
3E067BB14B
3E067BB14C
3E067BC04C
3E067EA06
3E067EA20
3E067EA24
3E067EA32
3E067EE15
3E067EE19
3E067FA04
3E067FB07
3E067FC01
3E067GB02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】子供が袋体を取り外して口に入れるリスクを低減し、組み立てが容易であり、香気成分を含んだ空気が押圧した手や顔面に直接付着、残留することを抑制する。
【解決手段】香りテスター1は、台紙と、香気成分を発散する芳香剤、弾性フォーム体を収納した袋体20とを備える。台紙10は、第1部分110と、折り曲げられた第2部分120と、折り曲げられ第1、第2部分110、120の間に配置される第3部分130とから構成される。台紙10には第1、第2部分110、120の境界にまたがる窓孔160が設けられ、袋体20は外縁を含む領域に吐出孔210を備え、窓孔160、吐出孔210が重畳するように第2、第3部分120、130の間に配置される。第1、第2部分110、120が近づくように台紙10を押圧したときに、香気成分を含んだ空気を窓孔160、吐出孔210を通じて袋体20の外部に吐出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台紙と、
内容物として香気成分を発散する芳香剤および弾性フォーム体を収納した袋体と、を備え、
前記台紙は、第1部分と、当該第1部分に対して折り曲げられた第2部分と、当該第2部分に対して折り曲げられ、前記第1部分および前記第2部分の間に配置される第3部分と、から構成され、
前記台紙には、前記第1部分および前記第2部分の境界にまたがる窓孔が設けられ、
前記袋体は、その外縁を含む領域に吐出孔を備え、かつ前記窓孔および前記吐出孔が少なくとも部分的に重畳するように前記第2部分および前記第3部分の間に配置され、
前記第1部分および前記第2部分が互いに近づくように前記台紙を押圧したときに、前記芳香剤が発散する香気成分を含んだ空気を前記窓孔および前記吐出孔を通じて前記袋体の外部に吐出する、香りテスター。
【請求項2】
前記台紙を前記押圧したとき、前記袋体の前記弾性フォーム体が前記押圧方向に沿って収縮し、前記押圧後に当該押圧を止めたとき、前記弾性フォーム体が前記収縮の前の状態に復帰して前記第1部分および前記第2部分が互いに遠ざかるように前記台紙が開く、請求項1に記載の香りテスター。
【請求項3】
前記袋体は、シールされたシール部と、前記内容物を収納し、シールされていない胴部と、から構成されたピロー袋であり、
前記吐出孔は、前記シール部および前記胴部にまたがるように形成されている、請求項1に記載の香りテスター。
【請求項4】
前記第3部分には貫通孔が形成され、
前記第3部分の前記袋体とは反対側の面の前記貫通孔を覆う領域に、接着面が前記袋体を向く側に配置された接着テープが貼付され、
前記接着面が前記袋体および前記第3部分と接触することにより、前記袋体が前記第3部分に固定される、請求項1に記載の香りテスター。
【請求項5】
前記台紙の前記第1部分または前記第2部分の前記窓孔付近にスリットが設けられ、
前記第3部分には、前記第2部分とは反対側に向けて突起部が延設され、
前記第3部分は、前記第1部分および前記第2部分の間に配置され、かつ前記突起部が前記スリットを貫通するように当該第2部分に対して折り曲げられる、請求項1に記載の香りテスター。
【請求項6】
前記内容物を除いた前記袋体の少なくとも一部は紙製材料で構成されている、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の香りテスター。
【請求項7】
第1部分と、当該第1部分に対して折り曲げ可能な第2部分と、当該第2部分に対して折り曲げ可能な第3部分とを有し、前記第1部分および前記第2部分の境界にまたがる窓孔が設けられた台紙と、
香気成分を発散する芳香剤および弾性フォーム体を内部に収納し、その外縁を含む領域に吐出孔を備える袋体と、を準備する工程と、
前記第3部分が前記第1部分および前記第2部分の間に配置され、かつ前記袋体が、前記窓孔および前記吐出孔が少なくとも部分的に重畳するように前記第2部分および前記第3部分の間に配置されるように、前記台紙を折り曲げる工程と、を備え、
前記第1部分および前記第2部分が互いに近づくように前記台紙を押圧したときに、前記芳香剤が発散する香気成分を含んだ空気を前記窓孔および前記吐出孔を通じて前記袋体の外部に吐出する、香りテスターの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の商品に付与される香水や芳香剤等の香りを消費者が事前に確認するための香りテスターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、衣料用洗剤、食器用・洗髪用洗剤、芳香剤、防虫剤、化粧品等の香りが付与された商品では、消費者に対する訴求効果のひとつとして、当該商品の香りの特徴が重要となる。このため、商品の陳列棚には当該商品とともに、当該商品が発する香りを事前に消費者によって確認できるよう、種々の形態の香りテスターが配置されている。
【0003】
香りテスターとしては、例えばボトルに液体状の芳香剤を収納するタイプもあるが、材料費や製造負荷低減の観点から、芳香剤を収納した袋体を台紙に貼り付けた簡易的なテスターを構成するものが増えている。例えば、特許文献1には、香料を収納している香料収納体と、これを取り付けるとともに香料収納体から香りを噴出するための噴出孔を有する香料収納体取付部と、これに取り付けられ折り曲げ可能に形成された押圧部とからなる台紙を備えた香りテスターが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、シート材を折り曲げて香料収納体を挟み込み可能に設けられた保持手段と、当該保持手段を陳列装置に係合させるための係合手段とを備えた香りテスターが記載されている。当該香りテスターにおいて、保持手段は、シート材を折り曲げて形成される表シート部と裏シート部とにより構成され、香料収納体は、その外縁部分を表シート部と裏シート部の自由端側間に挟み込んだ状態で溶着により固着して一体化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】登録実用新案第3144017号公報
【特許文献2】特開2022-15966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
台紙に芳香剤等が収納された袋体を固定して、台紙を押圧等することで芳香剤が発散する香気成分を含んだ空気を袋体から外部へ放出するタイプの香りテスターでは、特に子供等が香りにつられて袋体を当該香りテスターから取り外し、口に入れる等のリスクを低減する必要がある。また、組み立てが容易であり、かつ芳香剤が発散する香気成分を含んだ空気が押圧した手や顔面などに直接付着、残留しないよう配慮する必要がある。
【0007】
本開示はこのような状況に鑑みてなされたものであり、子供等が香りにつられて袋体を容易に取り外して口に入れる等のリスクを低減し、組み立てが容易であり、かつ芳香剤が発散する香気成分を含んだ空気が押圧した手や顔面などに直接付着、残留することが抑制できる香りテスターおよびその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施の形態による香りテスターの第1の構成は、台紙と、内容物として香気成分を発散する芳香剤および弾性フォーム体を収納した袋体と、を備え、前記台紙は、第1部分と、当該第1部分に対して折り曲げられた第2部分と、当該第2部分に対して折り曲げられ、前記第1部分および前記第2部分の間に配置される第3部分と、から構成され、前記台紙には、前記第1部分および前記第2部分の境界にまたがる窓孔が設けられ、前記袋体は、その外縁を含む領域に吐出孔を備え、かつ前記窓孔および前記吐出孔が少なくとも部分的に重畳するように前記第2部分および前記第3部分の間に配置され、前記第1部分および前記第2部分が互いに近づくように前記台紙を押圧したときに、前記芳香剤が発散する香気成分を含んだ空気を前記窓孔および前記吐出孔を通じて前記袋体の外部に吐出する。
【0009】
また、本実施の別の形態による香りテスターの第2の構成は、上記の第1の構成において、前記台紙を前記押圧したとき、前記袋体の前記弾性フォーム体が前記押圧方向に沿って収縮し、前記押圧後に当該押圧を止めたとき、前記弾性フォーム体が前記収縮の前の状態に復帰して前記第1部分および前記第2部分が互いに遠ざかるように前記台紙が開くものとしてもよい。
【0010】
また、本実施の別の形態による香りテスターの第3の構成は、上記の第1の構成または第2の構成において、前記袋体は、シールされたシール部と、前記内容物を収納し、シールされていない胴部と、から構成されたピロー袋であり、前記吐出孔は、前記シール部および前記胴部にまたがるように形成されていてもよい。
【0011】
また、本実施の別の形態による香りテスターの第4の構成は、上記の第1の構成から第3の構成のいずれかにおいて、前記第3部分には貫通孔が形成され、前記第3部分の前記袋体とは反対側の面の前記貫通孔を覆う領域に、接着面が前記袋体を向く側に配置された接着テープが貼付され、前記接着面が前記袋体および前記第3部分と接触することにより、前記袋体が前記第3部分に固定されてもよい。
【0012】
また、本実施の別の形態による香りテスターの第5の構成は、上記の第1の構成から第4の構成のいずれかにおいて、前記台紙の前記第1部分または前記第2部分の前記窓孔付近にスリットが設けられ、前記第3部分には、前記第2部分とは反対側に向けて突起部が延設され、前記第3部分は、前記第1部分および前記第2部分の間に配置され、かつ前記突起部が前記スリットを貫通するように当該第2部分に対して折り曲げられてもよい。
【0013】
また、本実施の別の形態による香りテスターの第6の構成は、上記の第1の構成から第5の構成のいずれかにおいて、前記内容物を除いた前記袋体の少なくとも一部は紙製材料で構成されてもよい。
【0014】
本実施の形態による香りテスターの製造工程に係る第7の構成は、第1部分と、当該第1部分に対して折り曲げ可能な第2部分と、当該第2部分に対して折り曲げ可能な第3部分とを有し、前記第1部分および前記第2部分の境界にまたがる窓孔が設けられた台紙と、 香気成分を発散する芳香剤および弾性フォーム体を内部に収納し、その外縁を含む領域に吐出孔を備える袋体と、を準備する工程と、前記第3部分が前記第1部分および前記第2部分の間に配置され、かつ前記袋体が、前記窓孔および前記吐出孔が少なくとも部分的に重畳するように前記第2部分および前記第3部分の間に配置されるように、前記台紙を折り曲げる工程と、を備え、前記第1部分および前記第2部分が互いに近づくように前記台紙を押圧したときに、前記芳香剤が発散する香気成分を含んだ空気を前記窓孔および前記吐出孔を通じて前記袋体の外部に吐出する。
【発明の効果】
【0015】
本実施の形態によれば、子供等が香りにつられて袋体を容易に取り外して口に入れる等のリスクを低減し、組み立てが容易であり、かつ芳香剤が発散する香気成分を含んだ空気が押圧した手や顔面などに直接付着、残留することが抑制できる香りテスターおよびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態に係る香りテスターの一例を説明する概略斜視図である。
図2】袋体の構成を説明する概略斜視図である。
図3】第1実施形態に係る香りテスターの台紙の展開図である。
図4】第1実施形態に係る香りテスターの製造方法を示す説明図である。
図5】第1実施形態に係る香りテスターの製造方法を示す説明図である。
図6】第1実施形態に係る香りテスターの使用方法を示す説明図である。
図7】香りテスターの陳列形態を説明する概略斜視図である。
図8】第1実施形態に係る香りテスターの製造方法を示すフロー図である。
図9】第2実施形態に係る香りテスターの一例を説明する概略斜視図である。
図10】第2実施形態に係る香りテスターの台紙の展開図である。
図11】第2実施形態に係る香りテスターの製造方法を示す説明図である。
図12】第2実施形態に係る香りテスターの製造方法を示す説明図である。
図13】第2実施形態に係る香りテスターの製造方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面等を参照して、本開示の香りテスターおよび香りテスターの製造方法の一例について説明する。ただし、本開示の香りテスターは、以下に説明する実施形態に係る装置や方法には限定されない。
【0018】
なお、以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状、断面図における各層の厚さ等は理解を容易にするために適宜誇張している。また、各図において部材の断面を示すハッチングを適宜省略する。本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。また、説明の便宜上、紙面に対して上方または下方等という語句を用いて説明することがあるが、上下方向が逆転してもよく、左右方向についても同様とする。
【0019】
1.第1実施形態
(a)香りテスターの構成
本開示の香りテスターの第1実施形態について説明する。図1に示すように、香りテスター1は、複数回、折り返された台紙10と、その折り返された台紙10の中に収納されるように配置された袋体20と、から構成される。台紙10は、図3の展開図に示すような略矩形の平板状の基材において、破線で表示した2箇所の折曲線である第1折曲線140および第2折曲線150を有する。台紙10は、第1折曲線140を境界とする第1部分110と第2部分120とに区画され、第2折曲線150を境界とする当該第2部分120と第3部分130とに区画される。
【0020】
台紙10は、典型的には厚さが0.05mm以上、5.0mm以下程度の厚紙や板紙等の紙製材料であるが、樹脂材料等でもよい。図3に示すように、台紙10の第1部分110および第2部分120の境界である第1折曲線140にまたがるように、窓孔160が設けられている。窓孔160は、典型的には所定幅の矩形状の孔の両端に当該所定幅を半径とする半円形の孔がつながった長穴であるが、窓孔160の形状はこれに限らず、楕円形、矩形、多角形、スリットであってもよく、多数の小径の孔やスリットの集合としてもよい。
【0021】
本実施形態では、窓孔160は長穴であり、かつ第1折曲線140がその中心線となるように形成されている。すなわち、窓孔160は、第1折曲線140に対して線対称となるように形成されている。ただし、窓孔160は、第1折曲線140に対して第1部分110側または第2部分120側に偏って形成されてもよい。また、窓孔160の長穴の軸線は台紙10の長手方向に沿い、当該長手方向に直交する幅方向の略中心を通る。しかし、窓孔160の長穴の軸線は台紙10の幅方向の略中心からずれていてもよい。
【0022】
また、台紙10の第3部分130には、2箇所の矩形の孔である固定用孔170が設けられている。固定用孔170は、後述するように、袋体20を台紙10の第3部分130に接着テープ等により固定するために設けられる孔である。固定用孔170の形状は矩形に限らず任意の形状でもよく、その箇所も2箇所に限らず、1箇所または3箇所以上でもよい。また、本開示の香りテスター1の台紙10には、固定用孔170が形成されていなくてもよい。
【0023】
さらに、台紙10の第3部分130の第2部分120から遠ざかる側の端部には、台紙10の長手方向に直交する箇所の固定用スリット171が設けられている。固定用スリット171は、後述するように、袋体20を台紙10の第3部分130に固定する際に、台紙10の幅方向に袋体20がずれないように袋体20を保持するために設けられるが、これも香りテスター1の必須の構成要件ではない。なお、台紙10の長手方向側に沿った第1部分110および第2部分120の長さは、例示的には互いに略同一である。また、長手方向に沿った第1部分110および第2部分120のいずれか一方の長さは、他方の長さの80%以上、120%以下であることが好ましい。この範囲であることにより、後述するように、山型に折り曲げられた台紙10の第1部分110および第2部分120の山型の頂点が上を向くようにテーブル等の上に置くことで、香りテスター1を自立して配置することが容易となる。
【0024】
また、台紙10の長手方向側に沿った第3部分130の長さは、第2部分120の長さの90%以下であることが好ましい。この範囲であることにより、後述するように、第3部分130が第2部分120に対して折り曲げられたときに、第3部分130の先端が窓孔160を塞ぐことが抑制でき、袋体20からの香気成分の外部への吐出が良好に行える。
【0025】
一方、袋体20の構成を図2(a)および図2(b)に基づいて説明する。袋体20は、例えば、樹脂製または紙製のフィルムやシートを外装材として袋状に加工し、内部に弾性フォーム体250や芳香剤260といった内容物を収納したものである。上下方向を長手方向とする外装材は、まず左右方向に折り返して筒状にしてから、左右の両端を重ねて熱圧により上下方向に沿ってシールする。次に、当該筒状の外装材の内部の所定位置に内容物を配置し、その上端および下端を熱圧により左右方向に沿ってシールする。すなわち3方シールを行ってピロー袋を形成する。袋体20の外装材を紙製材料とし、台紙10も紙製材料とすれば、香りテスター1の構成部材の大半を環境負荷が少なくリサイクル材料等の活用が容易な材料で構成できる。このような内容物を除いた袋体20の少なくとも一部を紙製材料で構成する場合は、クラフト紙や、ケント紙、上質紙、コート紙等を用いることができる。中でもクラフト紙が柔軟性や耐久性の面で好適である。
【0026】
上記により、当該筒状の外装材の上下方向に沿って、それぞれ上端および下端がシールされて密閉された内容物が、複数個連続して収納されることとなる。最後に、個々の内容物ごとに、上端および下端のシールされた箇所に沿って、当該筒状の外装材を左右方向に切断し、内容物が密閉され3方シールされた袋体20のそれぞれを分離する。その結果、図3(a)の袋体20は、上下方向に沿ってシールされた第3シール部240と、上端および下端に沿ってシールされた第1シール部220および第2シール部230と、を備えている。
【0027】
また、シール部ではない袋状の外装材である胴部200の中には弾性フォーム体250および芳香剤260が収納されている。弾性フォーム体250は、押圧すると変形し、押圧後に押圧するのを止めると元の形に復帰する弾性の性質を有するものである。フォーム体とは、多数の連続気泡を内包する部材を意味する。連続気泡を有する弾性フォーム体250を用いることで、袋体20に取り込める空気の量を多くできるとともに、香りテスター1の所定部分を押圧した後で、当該香りテスター1の状態が元の状態に復帰するための復元力が得られる。このような弾性フォーム体250として、ウレタンフォームを好適に利用できる。実施形態では、ウレタンフォームのひとつであるスポンジを弾性フォーム体250として利用している。
【0028】
また、芳香剤260は、ビーズ状のものが用いられ、弾性フォーム体250と当該ビーズ状の芳香剤260とが、袋体20に収納されている。このような袋体20を袋体20aとして図2(a)に示している。しかし、本開示の袋体20はこれに限定せず、弾性フォーム体250に、液状の香気成分を溶け込ませた油である香油など液状の芳香剤を染み込ませた香油含有弾性フォーム体270としてもよく、この場合は、ビーズ状の芳香剤260は不要である。このような袋体20を袋体20bとして図2(b)に示している。
【0029】
このように形成された袋体20には、上端または下端のいずれかのシール部220、230と、シールされていない胴部200とにまたがるように吐出孔210が設けられる。本実施形態では、第1シール部220の端から胴部200に至る連続する吐出孔210が設けられている。吐出孔210は、袋体20に収納された芳香剤260や、弾性フォーム体250にしみこませた香油からの香気成分を外部に吐出するために設けられる。吐出孔210が、第1シール部220と胴部200とにまたがるように設けられることにより、胴部200に形成される吐出孔210の大きさの微調整が可能となる。シール部への孔の形成は、袋体20の内部からの香気成分の吐出量には影響しないが、胴部200への孔の形成は、当該吐出量に大きく影響するからである。
【0030】
なお、吐出孔210の形状や大きさは任意であり、吐出孔210が第1シール部220の端に係るまで形成されている必要はない。ただし、吐出孔210は後述するように、袋体20を台紙10に固定した香りテスター1としたときに、台紙10の窓孔160の領域に包含され、吐出孔210および窓孔160が重畳するように形成されていることが望ましい。こうすることで、袋体20からの香気成分の吐出が最小限に抑えられ、かつ台紙10に妨害されることなく、効果的に香気成分の吐出ができる。
【0031】
図3に示す台紙10は、第1部分110に対して第1折曲線140を回転軸として第2部分120が折り曲げられ、第2部分120に対して第2折曲線150を回転軸として、第3部分130が折り曲げられる。このとき、第3部分130が第1部分110および第2部分120の間に配置されるように、第2部分120や第3部分130が折り曲げられる。また、袋体20は、その外縁を含む領域に吐出孔210を備え、かつ台紙10の窓孔160および吐出孔210が少なくとも部分的に重畳するように第2部分120および第3部分130の間に配置される。
【0032】
すなわち、台紙10の第1部分110および第2部分120は、側面から見て山型になるよう、第2部分120が折り曲げられる。さらに、その向かい合わせとなった第1部分110および第2部分120の間に第3部分130が割り込むように第3部分130が折り曲げられている。また、互いに向かい合わせとなった第2部分120および第3部分130の間に袋体20が挟まるように収納され、袋体20の表裏両面がそれぞれ第2部分120および第3部分130と接触するように袋体20が配置される。
【0033】
ここで好適には、袋体20と第2部分120との間、および袋体20と第3部分130との間には、それぞれ接着剤等が塗布または配置されて、第2部分120、袋体20および第3部分130が互いに固着している。ただし、このように第2部分120、袋体20および第3部分130が部分的にまたは全体的に固着されていなくてもよい。
【0034】
このとき、台紙10の第1部分110および第2部分120の境界にまたがる領域には窓孔160が設けられ、袋体20にも、その外縁を含む領域に吐出孔210が設けられている。さらに、この窓孔160および吐出孔210が少なくとも部分的に重畳するように袋体20が第2部分120および第3部分130の間に配置される。窓孔160および吐出孔210が重畳する、とは、窓孔160付近の袋体20の胴部200の厚さ方向または吐出孔210付近の台紙10の厚さ方向に沿って見たときに、窓孔160の領域および吐出孔210の領域が互いに重なることを意味する。
【0035】
したがって、窓孔160および吐出孔210が少なくとも部分的に重畳する場合、例えば、台紙10の第1部分110側の窓孔160と第1部分110に近い方の袋体20の第1シール部220や胴部200に形成された吐出孔210とが部分的に重畳する。あるいは、台紙10の第2部分120側の窓孔160と第2部分120に近い方の袋体20の第1シール部220や胴部200に形成された吐出孔210とが部分的に重畳する。
【0036】
このような構成を備えた香りテスター1は、側面視で山型に折り曲げられた台紙10の第1部分110および第2部分120の山型の頂点が上を向くようにテーブル等の上に置かれることで自立して配置できる。この香りテスター1において、第1部分110および第2部分120が互いに近づくように台紙10を押圧したとする。具体的には、ユーザが山型に折り曲げられた台紙10の第1部分110および第2部分120が互いに接近するよう指で挟む。
【0037】
このとき、袋体20の弾性フォーム体250が圧縮されるとともに、芳香剤260が発散する香気成分を含んだ空気を窓孔160および吐出孔210を通じて袋体20の外部に吐出する。または、弾性フォーム体250に液状の香気成分を溶け込ませた油である香油など液状の芳香剤を染み込ませたものである場合は、その芳香剤が発散する香気成分を含んだ空気を窓孔160および吐出孔210を通じて袋体20の外部に吐出する。
【0038】
(b)香りテスターの製造方法
次に、本実施形態の香りテスター1の製造方法について、主に図2乃至図6図8のフロー図に基づき説明する。
【0039】
まず、図2に示すような、弾性フォーム体250等を入れてシールされた袋体20に吐出孔210を形成する(図8のステップS501)。具体的には、前述したように、香気成分を発散する芳香剤および弾性フォーム体を内部に収納し、その外縁を含む領域に吐出孔210を形成する。香気成分を発散する芳香剤および弾性フォーム体とは、図2(a)に示す袋体20aのタイプと、図2(b)に示す袋体20bのタイプと、の両方を指す。すなわち、香気成分を発散するビーズ状の芳香剤260および弾性フォーム体250を別個に収納した袋体20aと、弾性フォーム体250に液状の香気成分を溶け込ませた油である香油など液状の芳香剤を染み込ませたものを収納した袋体20bと、を指す。
【0040】
袋体20への吐出孔210の形成は、できる限り袋体20を台紙10に固定する直前に行うことが好ましい。袋体20に吐出孔210の形成された後は、内部からの香気成分の発散が進行し、香りテスター1としての寿命が短くなるからである。
【0041】
次に、袋体20の吐出孔210と台紙10の窓孔160とが重畳する配置となるように、袋体20を台紙10に固定する(ステップS502)。具体的には、図3に示すような、第1部分110、第2部分120および第3部分130を有し、第1部分110および第2部分120の境界にまたがる窓孔160が設けられた台紙10に、図4に示すように袋体20を固定する。図4(a)は、図3に示すような展開された台紙10に袋体20を固定した状態を示す正面図である。図4(b)は、図4(a)の正面図に対する左側面図である。
【0042】
ここでは、第2部分120の窓孔160と袋体20の吐出孔210とが重畳する位置に袋体20を固定している。固定方法は、例えば図4のように、両面テープや液状接着剤である粘着部310を介して台紙10の第2部分120と袋体20とを接着により固定してもよい。なお、袋体20が固定される台紙10の領域は第2部分120以外でもよく、固定方法は粘着部310に限らず、台紙10に設けたスリットに袋体20を部分的に差し込む等の方法であってもよい。
【0043】
次に、袋体20の表裏がともに台紙10で囲まれるように、台紙10を第2折曲線150に沿って折り返す(ステップS503)。具体的には、図4(b)に示すような側面図において、順次、香りテスター1を組み立てる様子を示したものが図5(a)および図5(b)である。図5(a)では、第1部分110が第2部分120に対して、第1折曲線140を回転軸として折り曲げられているが、ここではまだ折り曲げなくてもよい。ここで、図5(a)の状態から図5(b)の状態となるように、第3部分130を、第2折曲線150を回転軸として第1部分110および第2部分120の間に配置されるように折り曲げる。
【0044】
台紙10の第3部分130の第2部分120から遠ざかる側の端部には、2箇所の固定用スリット171が設けられており、当該スリットに沿って第3部分130の第2部分120に遠ざかる側の両端を第2部分120に近づく向きに折り曲げる。その結果、折り曲げられた折曲片130aが袋体20の両端を保持し、袋体20が台紙10の長手方向に直交する方向にずれることが抑制できる。
【0045】
その結果、袋体20の表裏がともに台紙10である第2部分120および第3部分130に囲まれ、袋体20が保護される。ここで、袋体20を第2部分120および第3部分130にしっかりと覆われるようにするため、第2部分120および袋体20だけでなく、第3部分130および袋体20を固定することが有効である。第3部分130および袋体20の固定は任意の方法でできるが、本実施形態では、第3部分130に2箇所の貫通孔である固定用孔170が設けられている。このため、図5(b)に示すように、第3部分130の袋体20とは反対側の面の固定用孔170を覆う領域に、接着面が袋体20を向く側に配置された接着テープ320が貼付されることで、接着面が袋体20および第3部分130と接触する。その結果、容易に第3部分130および袋体20を固定できる。
【0046】
さらに、窓孔160を通る第1折曲線140に沿って台紙10を軽く折り返す(ステップS504)。これによって、側面視で山型に折り曲げられた台紙10の第1部分110および第2部分120の山型の頂点が上を向くようにテーブル等の上に置くことで、香りテスター1を自立して配置することが容易となる。陳列台が単なるテーブル等である場合は、このようにテーブル上に香りテスター1を載置すればよい。また、香りテスター1を商品の陳列棚に併設される値札ホルダーに引っ掛けて固定する場合がある。この場合の香りテスター1の取り付け状態を示す斜視図を図7に示す。
【0047】
図7に示すように、香りテスター1は、値札ホルダー400の凹部410に台紙10の第1部分110を挿入することで、第2部分120や窓孔160が手前側を向くように値札ホルダー400の前面に固定される。このように、香りテスター1の意匠性や訴求効果を強調しつつ、必要に応じて香りテスター1を陳列台等にセットする(ステップS505)ことができる。
【0048】
なお、上記の香りテスター1の製造方法の説明では、あらかじめ窓孔160が形成された台紙10と、あらかじめ吐出孔210が形成された袋体20とを組み合わせることについて述べた。しかし、窓孔160が形成されていない台紙10に、吐出孔210が形成されていない袋体20を取り付けた後で、一度の抜き工程にて窓孔160および吐出孔210を同時に形成する工程としてもよい。
【0049】
この場合、例えば図4(a)のように、展開された台紙10に袋体20を固定した状態で抜き工程を実施してもよく、図6(c)のように台紙10の第1部分110および第2部分120が最接近した状態で抜き工程を実施してもよい。このように、台紙10に袋体20を取り付けた後で一度の抜き工程で窓孔160および吐出孔210を同時に形成することで、台紙10および袋体20の位置合わせを考慮することなく、確実に窓孔160および吐出孔210を、互いに重畳するように精度よく形成できる。その結果、製造工程の負荷軽減や窓孔160および吐出孔210の位置精度の向上により、効率的な袋体20からの香気成分の発散が期待できる。
【0050】
(c)香りテスターの使用方法
次に、本実施形態の香りテスター1の使用方法について、主に図6に基づき説明する。
【0051】
図6(a)乃至図6(d)は、図4(b)、図5(a)および図5(b)に示す側面図において組み立て方が示された香りテスター1の使用方法を説明する、同様の側面図である。まず、ユーザは、図6(a)にように配置された香りテスター1に対して、第1部分110および第2部分120が互いに近づくように台紙10を押圧する。例えば、テーブル上に載置された香りテスター1の第1部分110および第2部分120を指で挟み込んで圧縮するように押圧する。あるいは、図7のような値札ホルダー400に挿入された香りテスター1の場合は、前面を向く第2部分120を手前から奥に向かって押圧する。
【0052】
このとき、図6(a)から図6(b)を経て図6(c)の状態まで第1部分110および第2部分120が互いに近づくことにより、袋体20の内部の弾性フォーム体250が押圧方向に沿って圧縮され、袋体20の内部の空気が外部に排出される。これにより、芳香剤が発散する香気成分を含んだ空気G1が窓孔160および吐出孔210を通じて袋体20の外部に吐出される。その結果、ユーザは、関連する商品の香りを効果的に事前確認できる。
【0053】
一方、ユーザが当該押圧後に押圧を止めたとき、袋体20が収納する弾性フォーム体250が収縮前の状態に復帰して第1部分110および第2部分120が互いに遠ざかるように台紙10が開く。これにより、袋体20の内部には、押圧前と同様の量だけの空気G2が入り込む。これにより、ユーザは、香りを確認したい場合に必要に応じて香りテスター1に対する所定の台紙10の押圧を繰り返し行えば、その都度、芳香剤が発散する香気成分を含んだ空気を窓孔160および吐出孔210を通じて袋体20の外部に吐出させることができる。そして、関連する商品の香りを効果的に事前確認できる。
【0054】
(d)第1実施形態に係る香りテスターについて
以上、説明したように、本実施形態の香りテスター1は、台紙10と、内容物として香気成分を発散する芳香剤260および弾性フォーム体250を収納した袋体20と、を備える。台紙10は、第1部分110と、当該第1部分110に対して折り曲げられた第2部分120と、当該第2部分120に対して折り曲げられ、第1部分110および第2部分120の間に配置される第3部分130と、から構成される。
【0055】
また、台紙10には、第1部分110および第2部分120の境界にまたがる窓孔160が設けられる。一方、袋体20は、その外縁を含む領域に吐出孔210を備え、かつ窓孔160および吐出孔210が少なくとも部分的に重畳するように第2部分120および第3部分130の間に配置される。第1部分110および第2部分120が互いに近づくように台紙10を押圧したときに、芳香剤が発散する香気成分を含んだ空気を窓孔160および吐出孔210を通じて袋体20の外部に吐出することができる。
【0056】
本実施形態の香りテスター1において、袋体20の表裏がともに台紙10である第2部分120および第3部分130に囲まれ、袋体20が保護される。よって、香りテスター1では、袋体20が台紙10によって隠蔽され、袋体20だけが香りテスター1から取り外されたり、子供が間違って袋体20だけ取り出して口に入れてしまう等のリスクが低減できる。特に、袋体20の外装材が紙製材料である場合は、子供でも容易に袋を破って中身である芳香剤等を口に入れることが容易となるため、袋体20の表裏をともに台紙10で囲む効果は大きい。
【0057】
本実施形態の香りテスター1は、台紙10に袋体20を固定して、台紙10を2箇所で折り曲げるだけの簡単な組み立てにより製造できる。よって、材料設計や製造の作業負荷が低減できる。また、香気成分を含んだ空気が吐出する台紙10の吐出孔210は、第1部分110および第2部分120の境界にまたがる領域に形成され、香気成分を含んだ空気の吐出方向が、第1部分110および第2部分120を両者が互いに近づくように押圧する方向とは異なっている。すなわち、吐出方向は略上方であり、押圧方向は略水平方向となる。このため、ユーザが香りテスター1を押圧したときに、芳香剤が発散する香気成分を含んだ空気が押圧した手や顔面などに直接付着、残留することが抑制できる。
【0058】
2.第2実施形態
(a)香りテスターの構成
次に、本開示の香りテスターの第2実施形態について説明する。図9は、第2実施形態の香りテスター1aを示す概略斜視図である。図9に示すように、香りテスター1aは、第1実施形態の香りテスター1と同様に、複数回、折り返された台紙10aと、その折り返された台紙10aの中に収納されるように配置された袋体20と、から構成される。台紙10aは、図10の展開図に示すような略矩形の平板状の基材において、2箇所の折曲線である第1折曲線140および第2折曲線150を有する。ただし、台紙10aの第1部分110または第2部分120の窓孔160付近に突起部固定用スリット174が設けられ、第3部分130には、第2部分120とは反対側に向けて突起部180が延設されている点が、第1実施形態の香りテスター1の台紙10とは異なる。
【0059】
台紙10aは、第1折曲線140を境界とする第1部分110と第2部分120とに区画され、第2折曲線150を境界とする第2部分120と第3部分130とに区画されている。また、台紙10aの第1部分110および第2部分120の境界である第1折曲線140にまたがるように、窓孔160が設けられている。さらには、長穴状の窓孔160が台紙10aの長手方向に沿って配置されるのに対して、当該窓孔160と交差するように当該長手方向に直交する方向に沿った突起部固定用スリット174が設けられている。ただし、必ずしも突起部固定用スリット174が当該窓孔160と交差する必要はない。
【0060】
突起部固定用スリット174の当該長手方向に直交する方向に沿った幅をW1とし、突起部180の当該方向に沿った最大幅をW2とするとき、W1の値はW2の値の0.9倍以上、1.5倍以下とすることが好ましい。W1およびW2の値がこの範囲であることにより、後述するように突起部180を突起部固定用スリット174に挿入して第3部分130を第1部分110および第2部分120に対して好適に固定できる。
【0061】
また、台紙10aの第3部分130の第2部分120から遠ざかる側の端部には、2箇所の台紙10aの長手方向に対して傾斜したスリットである固定用スリット173が設けられている。固定用スリット173は、袋体20の角部を差し込んで当該袋体20を第3部分130に固定するために設けられる。固定用スリット173を設けることにより、粘着部を用いなくても袋体20を台紙10aに容易に固定できる。ただし、本実施形態において固定用スリット173に代えて粘着部を使用してもよい。
【0062】
さらに、台紙10aの第3部分130の第2部分120に近い側の端部には、2箇所の台紙10aの長手方向に沿ったスリットである固定用スリット172が設けられている。これは、第1実施形態の台紙10における固定用スリット171と同様の機能を有するものである。固定用スリット172も香りテスター1aの必須の構成要件ではない。
【0063】
突起部180は、図10に示すように、互いに略半円状の部位である第1片180aおよび第2片180bが向かい合わせに隣接する構成を有している。折り返される前の第1片180aおよび第2片180bを突起形成部と称してもよい。台紙10aを組み立てる際には、突起形成部である第1片180aおよび第2片180bを互いに接触するように折り返した突起部180としてから突起部固定用スリット174に差し込む。こうすることで、突起部180が突起部固定用スリット174から抜けてしまうことが効果的に抑制できる。ただし、台紙10aを組み立てる際に、第1片180aおよび第2片180bを折り返す構成としなくてもよい。
【0064】
(b)香りテスターの製造方法
次に、本実施形態の香りテスター1aの製造方法について、主に図10乃至図12図13のフロー図に基づき、特に第1実施形態の香りテスター1との相違点を中心に説明する。図10は、図3に対応する台紙10aの展開図である。図11(a)および図11(b)は、それぞれ図4(a)および図4(b)に対応する、図11に示す展開された台紙10aに袋体20を固定した状態を示す正面図、および、当該正面図に対する左側面図である。また、図12(a)および図12(b)も、それぞれ図5(a)および図5(b)に対応する、香りテスター1aを組み立てる様子を示した図である。
【0065】
まず、弾性フォーム体250等を入れてシールされた袋体20に吐出孔210を形成する(図13のステップS521)。次に、袋体20の吐出孔210と台紙10aの窓孔160とが重畳する配置となるように、袋体20を台紙10aに固定する(ステップS522)。本実施形態では、台紙10aに設けた固定用スリット173に袋体20を部分的に差し込むことにより、袋体20を台紙10aに固定する。固定用スリット173を第1スリットと称してもよい。
【0066】
次に、図11(a)、図12(a)および図12(b)に示すように、袋体20の表裏がともに台紙10aで囲まれるように、台紙10aを第2折曲線150に沿って折り返す(ステップS523)。さらに、台紙10aを折り返した後、第3部分130の第2部分120とは反対側に向けて設けられた第1片180aおよび第2片180bから構成される突起形成部を、折り返して重ねて突起部180とする(ステップS524)。折り返しは、図11(a)に示す、第1片180aおよび第2片180bの境界を通る、台紙10aの長手方向に直交する直線a1に沿って行われる。さらに、図12(b)に示すように、突起部180が台紙10aの突起部固定用スリット174を貫通するように差し込む(ステップS525)。突起部固定用スリット174を第2スリットと称してもよい。
【0067】
その結果、袋体20の表裏がともに台紙10aである第2部分120および第3部分130に囲まれ、袋体20が保護される。本実施形態では、第3部分130の第2部分120とは反対側に向けて設けられた突起部180を台紙10aの突起部固定用スリット174に挿入している。このため、特段の接着剤や粘着部等を介在させなくても、第2部分120および第3部分130が十分に接近した状態を維持しながら袋体20を保護できる。
【0068】
さらに、窓孔160を通る第1折曲線140に沿って台紙10aを軽く折り返す(ステップS526)。これによって、側面視で山型に折り曲げられた台紙10aの第1部分110および第2部分120の山型の頂点が上を向くようにテーブル等の上に置かれることで、香りテスター1aを自立して配置することが容易となる。また、香りテスター1aを商品の陳列棚に併設される値札ホルダーに引っ掛けて固定する場合についても、第1実施形態の香りテスター1と共通する。このように、香りテスター1aの意匠性や訴求効果を強調しつつ、必要に応じて香りテスター1aを陳列台等にセットする(ステップS527)ことができる。
【0069】
(c)香りテスターの使用方法
本実施形態の香りテスター1aの使用方法は、第1実施形態の香りテスター1と共通するため、説明を省略する。
【0070】
(d)第2実施形態に係る香りテスターについて
以上、説明したように、本実施形態の香りテスター1aは、第1実施形態の香りテスター1の構成に加えて、台紙10aの第1部分110または第2部分120の窓孔160付近にスリットである突起部固定用スリット174が設けられる。また、第3部分130には、第2部分120とは反対側に向けて突起部180が延設され、第3部分130は、第1部分110および第2部分120の間に配置され、かつ突起部180が当該スリットを貫通するように第2部分120に対して折り曲げられる。
【0071】
本実施形態の香りテスター1aでは、袋体20の表裏がともに台紙10aである第2部分120および第3部分130に囲まれる。それとともに、突起部180が突起部固定用スリット174に挿入される。これによって、第2部分120および第3部分130による袋体20の保護効果が維持できる。また、台紙10aと袋体20の間に余分な接着テープや粘着部等を介在させる必要がなく、製造工程の負荷軽減や材料の削減ができる。よって、香りテスター1aでは、袋体20が台紙10aによって隠蔽され、袋体20だけが香りテスター1aから取り外されたり、子供が間違って袋体20だけ取り出して口に入れてしまう等のリスクが一層低減できる。特に、袋体20の外装材が紙製材料である場合の効果は、さらに大きいと言える。
【0072】
なお、第1実施形態および第2実施形態で示した実施態様は、作用機能に矛盾が生じない限り、その全部または一部を併用して実施できる。これらの組み合わされた実施態様も、本開示の範囲に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0073】
1、1a 香りテスター
10、10a 台紙
20、20a、20b 袋体
110 第1部分
120 第2部分
130 第3部分
130a 折曲片
140 第1折曲線
150 第2折曲線
160 窓孔
170 固定用孔
171、172、173 固定用スリット
174 突起部固定用スリット
180 突起部
180a 第1片
180b 第2片
200 胴部
210 吐出孔
220 第1シール部
230 第2シール部
240 第3シール部
250 弾性フォーム体
260 芳香剤
270 香油含有弾性フォーム体
310 粘着部
320 接着テープ
400 値札ホルダー
410 凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13