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  • 特開-燃料電池用触媒 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006372
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】燃料電池用触媒
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/90 20060101AFI20240110BHJP
   H01M 4/86 20060101ALI20240110BHJP
   H01M 4/92 20060101ALI20240110BHJP
   H01M 4/96 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
H01M4/90 M
H01M4/86 M
H01M4/92
H01M4/96 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107189
(22)【出願日】2022-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000104607
【氏名又は名称】株式会社キャタラー
(71)【出願人】
【識別番号】000204181
【氏名又は名称】太陽化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 久美子
(72)【発明者】
【氏名】井元 瑠伊
(72)【発明者】
【氏名】岡田 英敏
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 直樹
(72)【発明者】
【氏名】竹下 朋洋
(72)【発明者】
【氏名】矢野 一久
(72)【発明者】
【氏名】山本 憲司
(72)【発明者】
【氏名】松村 祐宏
(72)【発明者】
【氏名】笠間 勇輝
【テーマコード(参考)】
5H018
【Fターム(参考)】
5H018AA06
5H018AS03
5H018BB01
5H018BB16
5H018EE02
5H018EE03
5H018EE05
5H018EE17
5H018EE18
5H018EE19
5H018HH02
5H018HH05
(57)【要約】
【課題】本開示の目的は、従来よりも性能が向上した燃料電池用触媒を提供することである。
【解決手段】本実施形態は、触媒金属と、前記触媒金属を担持する担体とを含む燃料電池用触媒であり、前記担体の内外表面積比(担体の外表面積/担体の内表面積)が0.56~0.69であり、担体の外表面に担持されている前記触媒金属の割合が、23~35%である、燃料電池用触媒である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒金属と、前記触媒金属を担持する担体とを含む燃料電池用触媒であり、
前記担体の内外表面積比(担体の外表面積/担体の内表面積)が0.56~0.69であり、
担体の外表面に担持されている前記触媒金属の割合が、23~35%である、燃料電池用触媒。
【請求項2】
前記担体がメソポーラスカーボンである、請求項1に記載の燃料電池用触媒。
【請求項3】
前記触媒金属が白金又は白金合金である、請求項1又は2に記載の燃料電池用触媒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料電池用触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、電気的に接続された2つの電極に燃料ガス(水素ガス)と酸化剤ガス(酸素ガス)を供給し、電気化学的に燃料の酸化を起こさせることで、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。この燃料電池は、通常、電解質膜を一対の電極(触媒層)で挟持した膜電極接合体を基本構造とする単セルを複数積層して構成されている。中でも、電解質膜として固体高分子電解質膜を用いた固体高分子電解質型燃料電池は、小型化が容易であること、低い温度で作動すること、等の利点があることから、特に携帯用、移動体用電源として注目されている。
【0003】
固体高分子電解質型燃料電池において、水素が供給されたアノード(燃料極)では下記(1)式の反応が進行する。
→ 2H + 2e ・・・(1)
【0004】
上記(1)式で生じる電子(e)は、外部回路を経由し、外部の負荷で仕事をした後、カソード(空気極/酸化剤極)に到達する。他方で、上記(1)式で生じたプロトン(H)は、水と水和した状態で、電気浸透により固体高分子電解質膜内をアノード側からカソード側に移動する。
【0005】
一方、カソードでは下記(2)式の反応が進行する。
2H + 1/2O + 2e → HO ・・・(2)
【0006】
したがって、電池全体では下記(3)式に示す化学反応が進行し、起電力が生じて外部負荷に対して電気的仕事がなされる。
+ 1/2O → HO ・・・(3)
【0007】
触媒層には、通常、カーボン等の微細な細孔を有する担体に上記電極反応を促進させるための白金や白金合金等の触媒金属を担持させた触媒、及びプロトン伝導性を確保するためのアイオノマが含まれている。
【0008】
このような構成の燃料電池の分野において、従来から、触媒層に着目し、燃料電池の性能向上を図る試みがなされている。例えば特許文献1には、メソポーラスカーボンからなる担体を、2300℃以上2500℃以下において熱処理すること、熱処理された前記担体に触媒金属を担持させること、前記触媒金属を担持させた前記担体を、80℃以上95℃以下かつ、濃度が0.5mol/L以上の酸性溶液に浸漬して、酸化処理することを含む燃料電池用触媒の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2020-24796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは、燃料電池の更なる発電性能向上のために、従来とは異なる観点から燃料電池用触媒の性能を向上させることができないか検討を行った。
【0011】
本開示の目的は、従来よりも性能が向上した燃料電池用触媒を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行ったところ、燃料電池用触媒を構成する担体の内外表面積比及び、担体の外表面に担持されている前記触媒金属の割合を特定の範囲とすることにより、従来の燃料電池用触媒と比べて、性能が向上した燃料電池用触媒が得られることを見出し、本開示に至った。
【0013】
本実施形態の態様例は、以下の通りに記載される。
【0014】
(1) 触媒金属と、前記触媒金属を担持する担体とを含む燃料電池用触媒であり、
前記担体の内外表面積比(担体の外表面積/担体の内表面積)が0.56~0.69であり、
担体の外表面に担持されている前記触媒金属の割合が、23~35%である、燃料電池用触媒。
(2) 前記担体がメソポーラスカーボンである、(1)に記載の燃料電池用触媒。
(3) 前記触媒金属が白金又は白金合金である、(1)又は(2)に記載の燃料電池用触媒。
【発明の効果】
【0015】
本開示により、従来の燃料電池用触媒と比べて、性能が向上した燃料電池用触媒を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】燃料電池用触媒における、触媒金属が担体に担持された状態を示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本実施形態は、触媒金属と、前記触媒金属を担持する担体とを含む燃料電池用触媒であり、前記担体の内外表面積比(担体の外表面積/担体の内表面積)が0.56~0.69であり、担体の外表面に担持されている前記触媒金属の割合が、23~35%である、燃料電池用触媒である。本実施形態の燃料電池用触媒は、燃料電池のカソード(空気極)用触媒として好適に用いられる。以下、本実施形態について詳細に説明する。
【0018】
(触媒金属)
本実施形態の燃料電池用触媒は、触媒金属を含む。触媒金属は特に限定されず、例えば白金、ルテニウム、パラジウム、イリジウム、ロジウム等の貴金属元素やこれらの合金を用いることができ、白金、又は白金合金を用いることが好ましい。白金合金としては、白金とコバルト、ニッケル、鉄、マンガン、銅、チタン、タングステン、スズ、ガリウム、ジルコニウム、クロム、ガドリニウム、テルビウム、イッテルビウム、ハフニウム、及びオスニウムから選択される少なくとも一種の金属とを含む合金が挙げられる。白金合金としては、白金-コバルト合金、白金-ニッケル合金が好ましい。触媒金属の平均粒径は、特に限定されないが、例えば2nm以上が好ましく、2.5nm以上がより好ましい。また、触媒金属の平均粒径は、例えば10nm以下が好ましく、5nm以下がより好ましい。
【0019】
触媒金属が白金又は白金合金である場合、燃料電池用触媒は、白金の担持密度が、触媒性能に優れる観点から、通常は1~99wt%、好ましくは10~90wt%、より好ましくは30~70wt%である。なお、白金の担持密度は、白金重量/(燃料電池用触媒重量)×100(wt%)により算出することができる。
【0020】
(担体)
本実施形態の燃料電池用触媒は、前記触媒金属を担持する担体を含む。担体としては特に制限はないが、通常は炭素材料、好ましくはメソポーラスカーボンを用いることができる。
【0021】
担体は内外表面積比(担体の外表面積/担体の内表面積)が0.56~0.69である。なお、担体の外表面積とは、担体の外表面の面積であり、担体の内表面積とは、担体の内表面の面積である。本実施形態において、担体の表面とは、担体の外部と接している面だけでなく、担体の細孔のような粒子の内部構造(壁、細孔)の面を含む概念である。本実施形態において、担体の外表面とは、担体の外部と接している面を意味し、担体の内表面とは粒子の内部構造の面を意味する。担体の内表面(内表面積)及び外表面(外表面積)は、触媒を3D-TEMで分析することにより求めることができる。具体的には、実施例に記載の方法で求めることができる。
【0022】
担体は外表面積が、0.03~0.2μm/個であることが好ましい。また、担体は内表面積が0.05~0.35μm/個であることが好ましい。さらに、担体は表面積(外表面積+内表面積)が、0.08~0.5μm/個であることが好ましい。
【0023】
担体は、上述の触媒金属を担持するが、触媒金属は担体の内表面及び外表面に担持される。燃料電池用触媒における、触媒金属が担体に担持された状態を示すイメージ図(図1)を用いて燃料電池用触媒について説明する。
【0024】
担体は、外表面1と、細孔等の内部構造の面である内表面3とを有しており、本実施形態の燃料電池用触媒は、外表面1及び内表面3に触媒金属が担持される。外表面1に担持されている触媒金属を、外部粒子5とも記し、内表面3に担持されている触媒金属を、内部粒子7とも記す。
【0025】
本実施形態の燃料電池用触媒は、担体の外表面に担持されている触媒金属の割合が、23~35%である。該割合は、例えば実施例に記載の方法により、3D-TEMにより、燃料電池用触媒の三次元構造を分析し、外部粒子の数及び、内部粒子の数を数え、その個数から、下記式より算出することができる。
担体の外表面に担持されている触媒金属の割合(%)=外部粒子の数/(外部粒子の数+内部粒子の数)×100
【0026】
担体がメソポーラスカーボンである場合には、メソポーラスカーボンとしては、1~100nmの細孔径分布における細孔容量の全体を基準として、2~10nmの細孔径分布における細孔容量が80%以上であり、メソ細孔(メソ孔とも記す。)を内部に有するカーボン粒子であることが好ましい。
【0027】
メソポーラスカーボンの平均一次粒子径(平均円相当径)は、特に限定されないが、30nm以上300nm以下が好ましい。メソポーラスカーボンの平均一次粒子径は、270nm以下であることが好ましく、250nm以下であることがより好ましい。また、メソポーラスカーボンの平均一次粒子径は、50nm以上であることが好ましく、70nm以上であることがより好ましい。
【0028】
メソポーラスカーボンの細孔径及び一次粒子径は、当該分野において一般的な方法によって測定された値である。例えば細孔径は、窒素吸着等温線の吸着データをBJH法で解析し、P/PO=0.03~0.99の値で算出することにより得られる。また一次粒子径は、例えば、適切な倍率(例えば、5万~100万倍)の透過型電子顕微鏡(TEM)画像又は走査型電子顕微鏡(SEM)画像において、ある1個の粒子について、当該粒子を円形と見なした際の直径(面積円相当直径)を算出し、このようなTEM観察又はSEM観察による粒径の算出を、同じ種類の100個の粒子について行い、これらの粒子についての数平均を平均一次粒子径とすることにより求めることができる。
【0029】
(担体の製造方法)
担体の製造方法を、担体がメソポーラスカーボンである場合を例に、以下説明する。
メソポーラスカーボンは、メソポーラスシリカを鋳型として用いて製造される。
【0030】
[メソポーラスシリカ(鋳型)の製造方法]
メソポーラスカーボン製造の際に鋳型として用いるメソポーラスシリカの製造方法として、以下の方法が挙げられる。メソポーラスシリカ(鋳型)の製造方法は、シリカ源、界面活性剤及び触媒を含む反応溶液中において、前記シリカ源を縮重合させ、前駆体粒子を得る重合工程(第1-1工程)と、前記反応溶液から前記前駆体粒子を分離し、乾燥させる乾燥工程(第1-2工程)と、前記前駆体粒子を焼成し、メソポーラスシリカを得る焼成工程(第1-3工程)とを備えていることが好ましい。
メソポーラスシリカの製造方法は、乾燥させた前駆体粒子に対して拡径処理を行う拡径工程をさらに備えていてもよい。
【0031】
(第1-1工程:重合工程)
まず、シリカ源、界面活性剤及び触媒を含む反応溶液中において、前記シリカ源を縮重合させ、前駆体粒子を得る(重合工程)。重合工程は通常は溶媒中で行われる。
【0032】
(シリカ源)
本発明において、シリカ源の種類は、特に限定されない。シリカ源としては、例えば、
(a)テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、テトラエチレングリコキシシラン等のテトラアルコキシシラン類、
(b)3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等のトリアルコキシシラン類、
(c)ケイ酸ソーダ、カネマイト(kanemite、NaHSi・3HO)等のケイ酸塩類などがある。
シリカ源には、これらのいずれか1種を用いてもよく、あるいは、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
(界面活性剤)
シリカ源を反応溶液中で縮重合させる場合において、反応溶液に界面活性剤を添加すると、反応溶液中において界面活性剤がミセルを形成する。ミセルの周囲には親水基が集合しているため、ミセルの表面にはシリカ源が吸着する。さらに、シリカ源が吸着しているミセルが反応溶液中において自己組織化し、シリカ源が縮重合する。その結果、1次粒子内部には、ミセルに起因するメソ孔(直径が2nm以下のマイクロ孔を含む。以下、同じ。)が形成される。メソ孔の大きさは、主として、界面活性剤の分子長により制御(1~50nmまで)することができる。
【0034】
本発明において、界面活性剤の種類は特に限定されないが、界面活性剤には、アルキル4級アンモニウム塩を用いることが好ましい。アルキル4級アンモニウム塩としては、次の式(a)で表される化合物が好ましい。
CH-(CH-N(R)(R)(R)X ・・・(a)
【0035】
(a)式中、R、R、Rは、それぞれ、炭素数が1~3のアルキル基を表す。R、R、及び、Rは、互いに同一であってもよく、あるいは、異なっていてもよい。アルキル4級アンモニウム塩同士の凝集(ミセルの形成)を容易化するためには、R、R、及び、Rは、すべて同一であることが好ましい。さらに、R、R、及び、Rの少なくとも1つがメチル基であることが好ましく、すべてがメチル基であることがより好ましい。
(a)式中、Xはハロゲン原子を表す。ハロゲン原子の種類は特に限定されないが、入手の容易さからXは、Cl又はBrが好ましい。
【0036】
(a)式中、nは7~21の整数を表す。一般に、nが小さくなるほど、メソ孔の中心細孔径が小さい球状のメソ多孔体が得られる。一方、nが大きくなるほど、中心細孔径は大きくなるが、nが大きくなりすぎると、アルキル4級アンモニウム塩の疎水性相互作用が過剰となる。その結果、層状の化合物が生成し、球状のメソ多孔体が得られない。nは、好ましくは、9~17、さらに好ましくは、13~17である。
【0037】
(a)式で表されるものの中でも、アルキルトリメチルアンモニウムハライドが好ましい。アルキルトリメチルアンモニウムハライドとしては、例えば、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムハライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムハライド、ノニルトリメチルアンモニウムハライド、デシルトリメチルアンモニウムハライド、ウンデシルトリメチルアンモニウムハライド、ドデシルトリメチルアンモニウムハライド、トリデシルトリメチルアンモニウムハライド、テトラデシルトリメチルアンモニウムハライド、ペンタデシルトリメチルアンモニウムハライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムハライド等が挙げられる。
これらの中でも、特に、アルキルトリメチルアンモニウムブロミド又はアルキルトリメチルアンモニウムクロリドが好ましい。
【0038】
メソポーラスシリカを製造する際に用いる界面活性剤としては、1種類のアルキル4級アンモニウム塩を用いてもよく、あるいは、2種以上を用いてもよい。しかしながら、アルキル4級アンモニウム塩は、1次粒子内にメソ孔を形成するためのテンプレートとなるので、その種類は、メソ孔の形状に大きな影響を与える。より均一なメソ孔を有するシリカ粒子(メソポーラスシリカ)を合成するためには、1種類のアルキル4級アンモニウム塩を用いるのが好ましい。
【0039】
(触媒)
シリカ源を縮重合させる場合、通常、反応溶液中に触媒を加える。粒子状のメソポーラスシリカを合成する場合、触媒には、水酸化ナトリウム、アンモニア水等のアルカリを用いてもよく、あるいは、塩酸等の酸を用いてもよい。
【0040】
(溶媒)
溶媒には、水、アルコール等の有機溶媒、水と有機溶媒との混合溶媒等を用いることが好ましい。
【0041】
アルコールは、(1)メタノール、エタノール、プロパノール等の1価のアルコール、(2)エチレングリコール等の2価のアルコール、(3)グリセリン等の3価のアルコール、のいずれでもよい。
【0042】
水と有機溶媒との混合溶媒を用いる場合、混合溶媒中の有機溶媒の含有量は、目的に応じて任意に選択することができる。一般に、溶媒中に適量の有機溶媒を添加すると、粒径や粒度分布の制御が容易化する。さらに、水と有機溶媒との混合溶媒を用いる場合において、有機溶媒の含有量が5質量%以下である混合溶媒(すなわち、水の含有量が95質量%以上である混合溶媒)を用いると、耐フラッディング性に優れたメソポーラスカーボンを製造するためのメソポーラスシリカを低コストで製造することができる。
【0043】
(反応溶液の組成)
反応溶液中の組成は、合成されるメソポーラスシリカの外形や細孔構造に影響を与える。特に、反応溶液中の界面活性剤の濃度、及びシリカ源の濃度は、メソポーラスシリカ粒子の1次粒子の平均直径、細孔径、細孔容量、及び線形度に与える影響が大きい。
【0044】
(界面活性剤の濃度)
界面活性剤の濃度が低すぎると、粒子の析出速度が遅くなり、1次粒子が連結している構造体は得られない。従って、界面活性剤の濃度は、通常は0.03mol/L以上である。界面活性剤の濃度は、好ましくは、0.035mol/L以上であり、さらに好ましくは、0.04mol/L以上である。
【0045】
一方、界面活性剤の濃度が高すぎると、粒子の析出速度が速くなりすぎ、1次粒子径が容易に300nmを超える。従って、界面活性剤の濃度は、通常は1.0mo1/L以下である必要がある。界面活性剤の濃度は、好ましくは0.95mol/L以下であり、さらに好ましくは0.90mol/L以下である。
【0046】
(シリカ源の濃度)
シリカ源の濃度が低すぎると、粒子の析出速度が遅くなり、1次粒子が連結している構造体は得られない場合や、界面活性剤が過剰となり、均―なメソ孔が得られない場合がある。従って、シリカ源の濃度は、通常は0.05mol/L以上である。シリカ源の濃度は、好ましくは0.06mol/L以上であり、より好ましくは0.07mol/L以上である。
【0047】
一方、シリカ源の濃度が高すぎると、粒子の析出速度が速くなりすぎ、1次粒子径が容易に300nmを超える場合や、球状粒子ではなく、シート状の粒子が得られる場合がある。従って、シリカ源の濃度は、通常は1.0mol/L以下である必要がある。シリカ源の濃度は、好ましくは0.95mol/L以下であり、さらに好ましくは0.90mol/L以下である。
【0048】
(触媒の濃度)
メソポーラスシリカを製造する際の触媒の濃度は、特に限定されない。一般に、触媒の濃度が低すぎると、粒子の析出速度が遅くなる。一方、触媒の濃度が高すぎると、粒子の析出速度が速くなる。最適な触媒の濃度は、シリカ源の種類、界面活性剤の種類、目標とする物性値等に応じて最適な濃度を選択するのが好ましい。
【0049】
例えば、触媒として酸を用いる場合、反応溶液のpHが9以下となるように、触媒の濃度を調整するのが好ましい。反応溶液のpHは、好ましくは、8.5以下、さらに好ましくは、5未満である。一方、触媒としてアルカリを用いる場合、反応溶液のpHが7超となるように、触媒の濃度を調整するのが好ましい。
【0050】
(反応条件)
所定量の界面活性剤を含む溶媒中に、シリカ源を加え、加水分解及び重縮合を行う。これにより、界面活性剤がテンプレートとして機能し、シリカ及び界面活性剤を含む前駆体粒子が得られる。反応条件は、シリカ源の種類、前駆体粒子の粒径等に応じて、最適な条件を選択する。一般に、反応温度は、-20~100℃が好ましい。反応温度は、より好ましくは0~100℃、さらに好ましくは0~90℃であり、特に好ましくは10~80℃であり、最も好ましくは35~80℃である。
【0051】
(第1-2工程:乾燥工程)
次に、前記反応溶液から前記前駆体粒子を分離し、乾燥させる(乾燥工程)。
乾燥は、前駆体粒子内に残存している溶媒を除去するために行う。乾燥条件は、溶媒の除去が可能な限りにおいて、特に限定されるものではない。
【0052】
(拡径工程)
次に、必要に応じて、乾燥させた前駆体粒子に対して拡径処理を行ってもよい(拡径工程)。「拡径処理」とは、1次粒子内のメソ細孔の直径を拡大させる処理をいう。
拡径処理は、具体的には、合成された前駆体粒子(界面活性剤の未除去のもの)を、拡径剤を含む溶液中で水熱処理することにより行う。この処理によって前駆体粒子の細孔径を拡大させることができる。
【0053】
拡径剤としては、例えば、(a)トリメチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ベンゼン、シクロヘキサン、トリイソプロピルベンゼン、ナフタレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン等の炭化水素、(b)塩酸、硫酸、硝酸等の酸が挙げられる。
【0054】
炭化水素共存下で水熱処理することにより細孔径が拡大するのは、拡径剤が溶媒から、より疎水性の高い前駆体粒子の細孔内に導入される際に、シリカの再配列が起こるためと考えられる。
【0055】
また、塩酸等の酸共存下で水熱処理することにより細孔径が拡大するのは、1次粒子内部においてシリカの溶解・再析出が進行するためと考えられる。製造条件を最適化すると、シリカ内部に放射状細孔が形成される。これを酸共存下で水熱処理すると、シリカの溶解・再析出が起こり、放射状細孔が連通細孔に変換される。
【0056】
拡径処理の条件は、目的とする細孔径が得られる限りにおいて、特に限定されない。通常、反応溶液に対して、0.05mo1/L~10mo1/L程度の拡径剤を添加し、60~150℃で水熱処理するのが好ましい。
【0057】
(第1-3工程:焼成工程)
次に、必要に応じて拡径処理を行った後、前記前駆体粒子を焼成する(焼成工程)。これにより、メソポーラスシリカが得られる。
焼成は、OH基が残留している前駆体粒子を脱水・重合させるため、及び、メソ孔内に残存している界面活性剤を熱分解させるために行われる。焼成条件は、脱水・重合、及び界面活性剤の熱分解が可能な限りにおいて、特に限定されない。焼成は、通常、大気中において、400℃~700℃で1時間~10時間加熱することにより行われる。
【0058】
[メソポーラスカーボンの製造方法]
メソポーラスカーボンの製造方法は、鋳型となるメソポーラスシリカを準備する第1工程と、前記メソポーラスシリカのメソ孔内にカーボンを析出させ、メソポーラスシリカ/カーボン複合体を作製する第2工程と、前記複合体からメソポーラスシリカを除去する第3工程とを備えている。メソポーラスカーボンの製造方法は、前記第3工程の後に、前記メソポーラスカーボンを1500℃より高い温度で熱処理する第4工程をさらに備えていてもよい。
【0059】
(第1工程(鋳型(メソポーラスシリカ)の製造))
まず、鋳型となるメソポーラスシリカを作製する(第1工程)。メソポーラスシリカの製造方法の詳細については、[メソポーラスシリカ(鋳型)の製造方法]として、上述した通りであるので、説明を省略する。
【0060】
(第2工程(メソ細孔内へのカーボン析出))
次に、メソポーラスシリカのメソ孔内にカーボンを析出させ、メソポーラスシリカ/カーボン複合体を作製する(第2工程)。
メソ孔内へのカーボンの析出は、具体的には、(a)メソ孔内にカーボン前駆体を導入し、(b)メソ孔内において、カーボン前駆体を重合及び炭化させることにより行われる。
【0061】
((a)カーボン前駆体の導入)
「カーボン前駆体」とは、熱分解によって炭素を生成可能なものをいう。このようなカーボン前駆体としては、具体的には、(1)常温で液体であり、かつ、熱重合性のポリマー前駆体(例えば、フルフリルアルコール、アニリン等)、(2)炭水化物の水溶液と酸の混合物(例えば、スクロース(ショ糖)、キシロース(木糖)、グルコース(ブドウ糖)等の単糖類、あるいは、二糖類、多糖類と、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸等の酸との混合物)、(3)2液硬化型のポリマー前駆体の混合物(例えば、フェノールとホルマリン等)、等がある。
【0062】
これらの中でも、ポリマー前駆体は、溶媒で希釈することなくメソ孔内に含浸させることができるので、相対的に少数回の含浸回数で、相対的に多量の炭素をメソ孔内に生成させることができる。また、重合開始剤が不要であり、取り扱いも容易であるという利点がある。
【0063】
液体又は溶液のカーボン前駆体を用いる場合、1回当たりの液体又は溶液の吸着量は、多いほどよく、メソ孔全体が液体又は溶液で満たされる量が好ましい。また、カーボン前駆体として炭水化物の水溶液と酸の混合物を用いる場合、酸の量は、有機物を重合させることが可能な最小量とするのが好ましい。さらに、カーボン前駆体として、2液硬化型のポリマー前駆体の混合物を用いる場合、その比率は、ポリマー前駆体の種類に応じて、最適な比率を選択する。
【0064】
((b)カーボン前駆体の重合及び炭化)
メソ細孔内に導入されたカーボン前駆体は、カーボン前駆体の種類に応じた加熱等の公知の方法で重合させることができ、次に、重合させたカーボン前駆体をメソ孔内において炭化させる。
カーボン前駆体の炭化は、非酸化雰囲気中(例えば、不活性雰囲気中、真空中等)において、カーボン前駆体を含むメソポーラスシリカを所定温度に加熱することにより行う。加熱温度は、具体的には、500℃以上1200℃以下が好ましい。加熱温度が500℃未満であると、カーボン前駆体の炭化が不十分となる。一方、加熱温度が1200℃を超えると、シリカと炭素とが反応するので好ましくない。加熱時間は、加熱温度に応じて、最適な時間を選択する。
【0065】
なお、メソ孔内に生成させる炭素量は、メソポーラスシリカを除去した時に、カーボン粒子が形状を維持できる量以上であればよい。従って、1回の充填、重合及び炭化で生成する炭素量が相対的に少ない場合には、これらの工程を複数回繰り返すことが好ましい。この場合、繰り返される各工程の条件は、それぞれ、同一であってもよく、あるいは、異なっていてもよい。
【0066】
また、充填、重合及び炭化の各工程を複数回繰り返す場合、各炭化工程は、相対的に低温で炭化処理を行い、最後の炭化処理が終了した後、さらにこれより高い温度で、再度、炭化処理を行ってもよい。最後の炭化処理を、それ以前の炭化処理より高い温度で行うと、複数回に分けて細孔内に導入されたカーボンが一体化しやすくなる。
【0067】
(第3工程(メソポーラスシリカの除去))
次に、複合体から鋳型であるメソポーラスシリカを除去する(第3工程)。これにより、メソポーラスカーボンが得られる。
メソポーラスシリカの除去方法としては、具体的には、(1)複合体を水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液中で加熱する方法、(2)複合体をフッ化水素酸水溶液でエッチングする方法、等がある。
【0068】
(第4工程(熱処理))
次に、必要に応じてメソポーラスカーボンを1500℃より高い温度で熱処理する(第4工程)。メソポーラスシリカのメソ孔内において炭素源を炭化させる場合において、シリカと炭素との反応を抑制するためには、熱処理温度を低くせざるを得ない。そのため、第2工程において炭化処理を行うことにより得られるカーボンの黒鉛化度は低い傾向がある。高い黒鉛化度のメソポーラスカーボンを得るためには、鋳型であるメソポーラスシリカを除去した後に、メソポーラスカーボンを高温で熱処理(黒鉛化処理)することが好ましい。
【0069】
第4工程で熱処理を行う場合には、黒鉛化を十分に行う観点から、熱処理温度は1500℃超であることが好ましい。熱処理温度は、好ましくは1700℃以上、より好ましくは1800℃以上である。一方、熱処理温度を必要以上に高くしても、効果に差が無く、実益が無いため、熱処理温度は好ましくは2300℃以下、より好ましくは2200℃以下である。
【0070】
黒鉛化処理は、アルゴン雰囲気下等の不活性雰囲気下で行うことができる。黒鉛化処理(熱処理)を行うことによりメソポーラスカーボンの黒鉛化が進行し、高い黒鉛化度を有するメソポーラスカーボンとなり、電子伝導性が向上するため好ましい。
【0071】
(燃料電池用触媒の製造方法)
本実施形態の燃料電池用触媒は、上述の方法で得られたメソポーラスカーボン等の担体に触媒金属を担持させることにより、製造することができる。
【0072】
メソポーラスカーボンからなる担体に触媒金属を担持させる方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。このような方法としては、例えば(1)触媒金属粒子を構成する元素のイオンを含有する溶液に担体を接触させて、このイオンを担体に吸着させた後に、このイオンが吸着した担体を還元雰囲気下に保持して、担体に吸着したイオンを金属に還元して触媒金属粒子とする方法、(2)触媒金属粒子を構成する元素のイオンを含有する溶液に担体を浸漬し、この溶液中でイオンを還元することにより担体に直接触媒金属粒子を担持させる方法、(3)触媒金属粒子を構成する金属元素を物理的方法により、そのまま担体に担持させる方法等が挙げられる。また、触媒金属が合金である場合には、担体に触媒金属を担持させる方法としては、例えば担体に合金を構成する各金属を担持させた後に、加熱により合金化させる方法が挙げられる。
【0073】
本実施形態の燃料電池用触媒は、燃料電池のカソード(空気極)用触媒として好適に用いることができ、アイオノマと共に、空気極(空気極触媒層)を形成することができる。空気極は、例えば本実施形態の燃料電池用触媒をアイオノマと混合し、燃料電池用触媒にアイオノマを被覆させ、次いでアイオノマを被覆した燃料電池用触媒を用いて触媒層を形成することにより、燃料電池用電極が製造される。
【0074】
(アイオノマ被覆工程)
アイオノマ被覆工程は、燃料電池用触媒とアイオノマを混合して、燃料電池用触媒上にアイオノマを被覆する工程である。
【0075】
アイオノマとしては、特に限定されないが、例えば、パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー、高酸素透過アイオノマ等を用いることができる。アイオノマとしては1種単独で用いても、2種以上を用いてもよい。
【0076】
パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーとしては、フッ化スルホニルビニルエーテルモノマーに基づく繰り返し単位を含む含フッ素イオン交換樹脂が挙げられる。パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーとしては、例えば、ナフィオン(登録商標)、フレミオン(登録商標)、アクイヴィオン(登録商標)、アシプレックス(登録商標)等が挙げられる。
【0077】
高酸素透過アイオノマとは、その分子構造内に酸基及び環状構造を含む高分子化合物をいう。高酸素透過アイオノマは、その分子構造内に環状構造を含むために、酸素透過係数が高い。このため、高酸素透過アイオノマをアイオノマとして用いた時に、触媒との界面における酸素移動抵抗が相対的に小さくなる。
換言すれば、高酸素透過アイオノマとは、酸素透過係数がナフィオン(登録商標)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーよりも高いアイオノマをいう。
【0078】
高酸素透過アイオノマとしては、例えば、(a)脂肪族環構造を有するパーフルオロカーボンユニットと、パーフルオロスルホン酸を側鎖に持つ酸基ユニットとを含む電解質ポリマー、(b)脂肪族環構造を有するパーフルオロカーボンユニットと、パーフルオロイミドを側鎖に持つ酸基ユニットとを含む電解質ポリマー、(c)脂肪族環構造を有するパーフルオロカーボンに直接、パーフルオロスルホン酸が結合したユニットを含む電解質ポリマー、等が挙げられる(例えば、特開2003-036856号公報、国際公開第2012/088166号、特開2013-216811号公報、特開2006-152249号公報参照)。
【0079】
触媒層中におけるアイオノマの含有量は、担体の量に応じて適宜設定してもよく、I/C比(アイオノマ質量/カーボン(担体)質量)が例えば0.3~1.3、好ましくは0.4~1.1、より好ましくは0.5~1.0であってもよい。
【0080】
この被覆工程では、担体にアイオノマを被覆するために、分散媒を加えてもよい。分散媒としては、特に限定されず、使用されるアイオノマ等によって適宜選択すればよい。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、プロピレングリコール等のアルコール類や、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド等、或いは、これらの混合物や水との混合物を用いてもよい。
【0081】
被覆方法としては、特に限定されないが、例えば、ホモジナイザー、ボールミル、シェアミキサー、ロールミル等が挙げられる。
【0082】
(触媒層形成工程)
この被覆工程後、触媒層を形成する。触媒層の形成方法は特に限定されず、例えば被覆工程後、必要に応じて分散媒を加えて触媒インクを調製し、カーボンペーパー等の基材又は固体電解質膜の表面に塗布し、乾燥させることにより形成する方法が挙げられる。この燃料電池用触媒層の厚みは特に限定されないが、20μm以下、又は10μm以下であってもよく、また3μm以上であってもよい。触媒層に含まれる触媒金属の量としては特に制限はないが、触媒金属目付量が0.10~0.40mg/cmであってもよく、0.15~0.30mg/cmであってもよい。
【0083】
本実施形態の燃料電池用触媒は、燃料電池、特に固体高分子電解質型燃料電池のカソード(空気極)用触媒として好適に用いることができ、燃料電池の他の部材としては、特に制限はない。本実施形態の燃料電池用触媒を用いた燃料電池は、従来の燃料電池用触媒を用いた燃料電池と比べて、性能が向上する。特に後述の実施例で記載したように、過加湿条件下での効率点電圧が上昇するため好ましい。
【実施例0084】
以下、実施例を挙げて本実施形態を説明するが、本開示はこれらの例によって限定されるものではない。
【0085】
[実施例1]
(メソポーラスシリカ-1の製造)
界面活性剤であるn-ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド〔C1633N(CHC1〕及び1規定の水酸化ナトリウムを、水、メタノール、及びエチレングリコール(EG)を含む混合溶媒に添加し、第1溶液を得た。これとは別に、テトラエトキシシラン(TEOS)を、メタノール及びEGを含む混合溶媒に添加し、第2溶液を得た。各原料の使用量を、下記表1に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
第1溶液に第2溶液を添加したところ、しばらくしてから溶液が白濁し、粒子が合成できたことが確認できた。8時間室温で攪拌後、濾過し、残渣を水に再分散した。再び濾過し、残渣を45℃のオーブンで乾燥させ、試料を得た。得られた試料を、2規定の硫酸に分散後、オートクレーブ中、120℃で3日間加熱した。オートクレーブ処理後の試料を濾過・洗浄した後、試料を550℃で6時間焼成することにより、有機成分を除去し、メソポーラスシリカ-1を得た。窒素吸着測定のBJH法により求めた、シリカのメソ細孔のピーク直径は、5~10nmであった。また、水銀圧入法により求めた、シリカマクロ細孔のピーク直径は0.14μmであった。
【0088】
(メソポーラスカーボン-1の製造)
PFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂)製容器にメソポーラスシリカ-1を入れ、メソポーラスシリカ-1の細孔容量分のFA(フルフリルアルコール)を加えて、シリカの細孔内に浸透させた。
【0089】
FAが浸透したメソポーラスシリカ-1を150℃×18h熱処理することにより、FAを重合させた。さらに、これを窒素雰囲気中で500℃×6h熱処理し、FAの炭素化を進めた。
【0090】
得られたメソポーラスシリカ-1/FA炭化物に、メソポーラスシリカ-1/FA炭化物の細孔容量分のFAを加えて、細孔内に浸透させた。FAが浸透したメソポーラスシリカ-1/FA炭化物を150℃×18h熱処理することにより、FAを重合させ、次いで窒素雰囲気中で900℃×6h熱処理して、メソポーラスシリカ/カーボン複合体を得た。
【0091】
この複合体を12%HF溶液に12h浸漬し、シリカ成分を溶解した。溶解後、ろ過、洗浄を繰り返し、さらに45℃で乾燥して、メソポーラスカーボン-1を得た。メソポーラスカーボン-1を、アルゴン気流中で、1800℃で1時間保持することにより、熱処理(黒鉛化処理)を行い、熱処理したメソポーラスカーボン-1(担体)を得た。
【0092】
(担持工程)
1gの熱処理したメソポーラスカーボン-1を、41.6mLの純水中に分散させ、これに0.72gの白金を含むジニトロジアミン白金塩水溶液(特許第4315857号:株式会社キャタラー製)を添加し、その後3.2gのエタノールをさらに添加して、加熱することにより白金を還元した。これによりメソポーラスカーボン-1からなる担体に触媒金属粒子である白金粒子を担持させ、白金担持触媒を得た。次に白金触媒にコバルトを担持させ、白金コバルト担持触媒を得た。コバルトは、最終的な燃料電池用触媒において白金:コバルトが7:1(モル比)となる量を担持させた。
【0093】
(合金化工程)
得られた白金コバルト担持触媒をアルゴン雰囲気下、800℃で加熱し、白金とコバルトを合金化させ、粉末状の燃料電池用触媒を得た。燃料電池用触媒の白金の担持密度は42wt%であった。
【0094】
なお、白金の担持密度は、白金重量/(電極触媒重量)×100(wt%)により算出した。なお、白金重量は、ICP分光分析法により求めた、燃料電池用触媒に担持された白金の重量である。
【0095】
(表面積及び外表面積の計測、並びに内表面積及び内外表面積比の算出)
燃料電池用触媒について、日本電子製 JEM-ARM200F(Cs-STEM)を使用し、加速電圧60kV以下、傾斜角±75°~80°でTEM観察を行い、連続傾斜像を得た。
【0096】
得られた連続傾斜像を、システムインフロンティア製 Composer及びVisualizer-evoを用いて以下のように解析した。
(1)Composerを使用し、TEMで撮影された連続傾斜像を元に3次元再構成を行った。
(2)Visualizer-evoを使用しZスライス像を作成した。
(3)上記で得られたZスライス像をJSOL社製 Simplewareにインプットした。
(4)Threshold(閾値)を選択し、Enableにチェックを入れ適用した。
(5)カーボン部分(グレー部)を目視で判定。カーボン部分が塗りつぶされる様に閾値(40~70)を決め適用した。
(6)Gaucian(スムージング)値0.9を1回実施した。
(7)Island removal(浮島削除)を行い、500ボクセル以下を削除し、カーボン部分の抽出を行った。
(8)Meausments [X2」(表面積計測)ボタンを押し、担体の表面積(内表面積+外表面積)を計測した。
(9)Close(穴埋め)をCavity fill(充填)で実施し、孔を塞いた。
(10)Meausments [X2](表面積計測)ボタンを押し、担体の外表面積を計測した。
(11)(8)で求めた担体の表面積の値から(10)で求めた担体の外表面積の値を引き算し担体の内表面積を算出した。
(12)外表面積を内表面積で除し、担体の内外表面積比を算出した。
【0097】
(担体の外表面に担持されている白金-コバルト合金粒子の割合の算出)
燃料電池用触媒について、日本電子製 JEM-ARM200F(Cs-STEM)を使用し、加速電圧 60kV以下、傾斜角±75°~80°でTEM観察を行い、連続傾斜像を得た。
【0098】
得られた連続傾斜像を、システムインフロンティア製 Composer及びVisualizer-evoを用いて以下のように解析した。
(1)上記(表面積及び外表面積の計測、並びに内表面積及び内外表面積の算出)に記載の方法で、担体の外表面と内表面を規定した。
(2)担体の外表面から露出している部分がある白金-コバルト合金粒子全てを、担体の外表面に担持されている白金-コバルト合金粒子、すなわち外部粒子としてカウントした。
(4)担体の外表面から露出していない白金-コバルト合金粒子を、担体の内表面に担持されている白金-コバルト合金粒子、すなわち内部粒子としてカウントした。
(5)外部粒子と内部粒子の合計個数を100%とし、外部粒子の割合(担体の外表面に担持されている白金-コバルト合金粒子の割合)(%)を算出した。
【0099】
(白金-コバルト合金粒子の平均粒径)
燃料電池用触媒について、白金-コバルト合金粒子の平均粒径を粉末XRDにおける白金-コバルト合金粒子の(220)面の回折ピークの線幅からシュラー式によって算出した。
【0100】
(担体平均円相当径)
熱処理したメソポーラスカーボン-1(担体)の平均円相当径を以下の方法で求めた。
電解放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)(日立ハイテク製)を用いて得られた、熱処理したメソポーラスカーボン-1のSEM画像において、ある1個の粒子について当該粒子を円形と見なした際の直径(面積円相当直径)を算出し、同様に合計100個の粒子について面積円相当直径を算出した。100個の粒子の面積円相当直径の数平均を、担体平均円相当径として算出した。
【0101】
(触媒インクの作製)
1gの前記燃料電池用触媒の粉末に対し、8gの超純水及び6gのエタノールを添加し、攪拌した後、0.52gのアイオノマを添加した。次いで、超音波分散機で30分間分散させた後、プライミクス社製の薄膜旋回型ミキサー(フィルミクス)を用いて30m/sで15分間分散後、均一なスラリーとして触媒インクを得た。
【0102】
(空気極触媒層シートの作製)
前記触媒インクを、インク塗工機を用いて、ポリテトラフルオロエチレンシート上に塗工し、塗工後、80℃の送風乾燥機にて5分間乾燥させ、ポリテトラフルオロエチレンシート上に空気極触媒層が形成された空気極触媒層シートとした。
空気極触媒層は、白金目付量が0.2mg/cmであり、I/C比(アイオノマ質量/カーボン(担体)質量)が0.95であった。
【0103】
(燃料極触媒層シートの作製)
1gの前記白金担持カーボンブラックの粉末(ketjen)に対し、8gの超純水及び6gのエタノールを添加し、攪拌した後、0.26gのアイオノマ(Nafion)を添加した。次いで、超音波分散機で30分間分散させた後、プライミクス社製の薄膜旋回型ミキサー(フィルミクス)を用いて30m/sで15分間分散後、均一なスラリーとして触媒インクを得た。
【0104】
前記触媒インクを、インク塗工機を用いて、ポリテトラフルオロエチレンシート上に塗工し、塗工後、80℃の送風乾燥機にて5分間乾燥させ、ポリテトラフルオロエチレンシート上に燃料極触媒層が形成された燃料極触媒層シートとした。
燃料極触媒層は、白金目付量が0.2mg/cmであり、I/C比(アイオノマ質量/カーボンブラック(担体)質量)が0.5であった。
【0105】
(燃料電池の作製)
電解質膜であるテフロン(登録商標)シートを、空気極触媒層シート、及び燃料極触媒層シートで挟み、加熱プレスすることにより、触媒層(空気極触媒層及び燃料極触媒層)をテフロンに転写し、次いでポリテトラフルオロエチレンシートを剥がすことにより、MEA(膜電極接合体)を得た。
MEAを1cm角セルに組付けた。次いでMEAの両側に拡散層及び集電体を配置し燃料電池を得た。拡散層にはカーボンペーパー(マイクロポーラスレイヤ付)を用いた。集電体には流路一体型金メッキ銅板(流路:0.4mmピッチの直線流路)を用いた。
【0106】
(燃料電池の性能評価)
燃料電池について、セル温度を60℃に加熱した後、80%RHの過加湿条件下で、0.2A/cmにおける電圧値(mV)(効率点電圧)を評価した。
発電条件は、H流量を500cc/分、空気流量を1000cc/分とし、背圧:1kg/cmとした。
測定装置として、株式会社エヌエフ回路設計ブロック社製 As-510-340 燃料電池発電特性評価システムを使用した。
【0107】
[実施例2]
熱処理したメソポーラスカーボン-1を、下記方法で製造した熱処理したメソポーラスカーボン-2に変更した以外は、実施例1と同様に行った。
【0108】
(メソポーラスシリカ-2の製造)
界面活性剤であるn-ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド[C1633N(CHCl]20gと、エタノール14gとを、1.5wt%塩酸700gに添加し塩酸溶液を得た。この塩酸溶液を70℃で加熱・攪拌しながら1号ケイ酸ソーダ(SiOとして33wt%、SiO/NaO=2.00)65gを添加し、3時間保持して、縮重合反応を行った。
【0109】
得られた固形生成物を濾過により濾別し、次いで固形生成物をイオン交換水1000gに分散させ攪拌した。この濾過・分散攪拌を5回繰り返して固形生成物を洗浄した後、洗浄された固形生成物を70℃で24時間乾燥させた。
次に、乾燥させた固形生成物を2規定の塩酸に分散させ、密閉容器中、80℃で3日間加熱した。加熱処理後の固形生成物を濾過・洗浄・乾燥した後、空気存在下、550℃で6時間焼成することによりメソポーラスシリカ-2を得た。窒素吸着測定のBJH法により求めた、シリカメソ細孔のピーク直径は6.9nmであった。また水銀圧入法により求めたシリカマクロ細孔のピーク直径は0.25μmであった。
【0110】
(メソポーラスカーボン-2の製造)
メソポーラスシリカ-1をメソポーラスシリカ-2に変更した以外は、実施例1と同様に行い、熱処理したメソポーラスカーボン-2(担体)を得た。
【0111】
[実施例3]
熱処理したメソポーラスカーボン-1を、下記方法で製造した熱処理したメソポーラスカーボン-3に変更した以外は、実施例1と同様に行った。
【0112】
(メソポーラスシリカ-3の製造)
界面活性剤であるn-ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド[C1633N(CHCl]20gと、エタノール14gとを、2wt%塩酸550gに添加し塩酸溶液を得た。この塩酸溶液を70℃で加熱・攪拌しながら1号ケイ酸ソーダ(SiOとして33wt%、SiO/NaO=2.00)65gを添加し、3時間保持して、縮重合反応を行った。
【0113】
得られた固形生成物を濾過により濾別し、次いで固形生成物をイオン交換水1000gに分散させ攪拌した。この濾過・分散攪拌を5回繰り返して固形生成物を洗浄した後、洗浄された固形生成物を70℃で24時間乾燥させた。
次に、乾燥させた固形生成物を2規定の塩酸に分散させ、密閉容器中、80℃で3日間加熱した。加熱処理後の固形生成物を濾過・洗浄・乾燥した後、空気存在下、550℃で6時間焼成することによりメソポーラスシリカ-3を得た。窒素吸着測定のBJH法により求めた、シリカメソ細孔のピーク直径は8.lnmであった。また水銀圧入法により求めたシリカマクロ細孔のピーク直径は0.27μmであった。
【0114】
(メソポーラスカーボン-3の製造)
メソポーラスシリカ-1をメソポーラスシリカ-3に変更した以外は、実施例1と同様に行い、熱処理したメソポーラスカーボン-3(担体)を得た。
【0115】
[実施例4]
熱処理したメソポーラスカーボン-1を、下記方法で製造した熱処理したメソポーラスカーボン-4に変更した以外は、実施例1と同様に行った。
【0116】
(メソポーラスシリカ-4の製造)
界面活性剤であるn-ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド[C1633N(CHCl]18gと、エタノール13gとを、1.5wt%塩酸550gに添加し塩酸溶液を得た。この塩酸溶液を40℃で加熱・攪拌しながら1号ケイ酸ソーダ(SiOとして33wt%、SiO/NaO=2.00)65gを添加し、3時間保持して、縮重合反応を行った。
【0117】
得られた固形生成物を濾過により濾別し、次いで固形生成物をイオン交換水1000gに分散させ攪拌した。この濾過・分散攪拌を5回繰り返して固形生成物を洗浄した後、洗浄された固形生成物を70℃で24時間乾燥させた。
次に、乾燥させた固形生成物を2規定の塩酸に分散させ、密閉容器中、80℃で3日間加熱した。加熱処理後の固形生成物を濾過・洗浄・乾燥した後、空気存在下、550℃で6時間焼成することによりメソポーラスシリカ-4を得た。窒素吸着測定のBJH法により求めた、シリカメソ細孔のピーク直径は7.8nmであった。また水銀圧入法により求めたシリカマクロ細孔のピーク直径は0.26μmであった。
【0118】
(メソポーラスカーボン-4の製造)
メソポーラスシリカ-1をメソポーラスシリカ-4に変更した以外は、実施例1と同様に行い、熱処理したメソポーラスカーボン-4(担体)を得た。
【0119】
[実施例5]
熱処理したメソポーラスカーボン-1を、下記方法で製造した熱処理したメソポーラスカーボン-5に変更した以外は、実施例1と同様に行った。
【0120】
(メソポーラスカーボン-5の製造)
メソポーラスシリカ-1を実施例4に記載したメソポーラスシリカ-4に変更し、1800℃で1時間保持する熱処理(黒鉛化処理)を、2200℃で1時間保持する熱処理(黒鉛化処理)に変更した以外は、実施例1と同様に行い、熱処理したメソポーラスカーボン-5(担体)を得た。窒素吸着測定のBJH法により求めた、シリカメソ細孔のピーク直径は9.2nmであった。また水銀圧入法により求めたシリカマクロ細孔のピーク直径は0.28μmであった。
【0121】
[比較例1]
熱処理したメソポーラスカーボン-1を、市販のメソポーラスカーボンに1980℃で1時間保持する熱処理(黒鉛化処理)を行ったものに変更した以外は実施例1と同様に行った。
【0122】
[比較例2]
熱処理したメソポーラスカーボン-1を、市販のカーボンブラックに変更した以外は実施例1と同様に行った。
【0123】
[比較例3]
熱処理したメソポーラスカーボン-1を、比較例1と異なる市販のメソポーラスカーボンに変更した以外は実施例1と同様に行った。
【0124】
[比較例4]
熱処理したメソポーラスカーボン-1を、下記方法で製造した熱処理したメソポーラスカーボン-c4に変更した以外は、実施例1と同様に行った。
【0125】
(メソポーラスシリカ-c4の製造)
界面活性剤であるn-ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド[C1633N(CHCl]18gと、エタノール12gとを、1.5wt%塩酸600gに添加し塩酸溶液を得た。この塩酸溶液を70℃で加熱・攪拌しながら1号ケイ酸ソーダ(SiOとして30wt%、SiO/NaO=2.00)60gを添加し、3時間保持して、縮重合反応を行った。
【0126】
得られた固形生成物を濾過により濾別し、次いで固形生成物をイオン交換水1000gに分散させ攪拌した。この濾過・分散攪拌を5回繰り返して固形生成物を洗浄した後、洗浄された固形生成物を70℃で24時間乾燥させた。
次に、乾燥させた固形生成物を2規定の塩酸に分散させ、密閉容器中、130℃で3日間加熱した。加熱処理後の固形生成物を濾過・洗浄・乾燥した後、空気存在下、550℃で6時間焼成することによりメソポーラスシリカ-c4を得た。
【0127】
(メソポーラスカーボン-c4の製造)
メソポーラスシリカ-1をメソポーラスシリカ-c4に変更した以外は、実施例1と同様に行い、熱処理したメソポーラスカーボン-c4(担体)を得た。
【0128】
[比較例5]
熱処理したメソポーラスカーボン-1を、比較例1のメソポーラスカーボンに2100℃で1時間保持する熱処理(黒鉛化処理)を行ったものに変更した以外は実施例1と同様に行った。
【0129】
[比較例6]
熱処理したメソポーラスカーボン-1を、比較例1のメソポーラスカーボンに1400℃で1時間保持する熱処理(黒鉛化処理)を行ったものに変更した以外は実施例1と同様に行った。
【0130】
実施例、比較例の燃料電池用触媒(空気極触媒層の形成に使用した触媒)における担体の表面積、外表面積、内表面積、内外表面積比、担体の外表面に担持されている白金-コバルト合金粒子の割合及び燃料電池の性能評価の結果を表2及び表3に示す。なお、以下の表2及び表3において白金-コバルト合金粒子を白金合金粒子と記す。
【0131】
【表2】
【0132】
【表3】
【0133】
実施例の燃料電池用触媒を使用した燃料電池は、比較例の燃料電池用触媒を使用した燃料電池と比べて、効率点電圧が高く、燃料電池用触媒としての性能にすぐれていた。
【0134】
本明細書中に記載した数値範囲の上限値及び/又は下限値は、それぞれ任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができる。例えば、数値範囲の上限値及び下限値を任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができ、数値範囲の上限値同士を任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができ、また、数値範囲の下限値同士を任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができる。
【0135】
以上、本実施形態を詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲における設計変更があっても、それらは本開示に含まれるものである。
【符号の説明】
【0136】
1 外表面
3 内表面
5 外部粒子
7 内部粒子
図1