(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063726
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】装身具の部品及び装身具
(51)【国際特許分類】
A44C 17/02 20060101AFI20240502BHJP
A44C 27/00 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
A44C17/02
A44C27/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065063
(22)【出願日】2023-04-12
(62)【分割の表示】P 2022171508の分割
【原出願日】2022-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】513027271
【氏名又は名称】株式会社美創
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 晃一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 幸夫
【テーマコード(参考)】
3B114
【Fターム(参考)】
3B114AA12
3B114AA21
3B114HH04
3B114HH15
3B114JB03
(57)【要約】
【課題】比較的簡単な作業で宝石などの装飾品を固定できる装身具の部品及び装身具を提供すること。
【解決手段】装飾品2を保持する装身具の部品1Aは、互いに対向する場所に設けられた第1開口部11および第2開口部12を有する枠体10と、枠体10の内部に設けられる弾性体20と、第2開口部12を塞ぐように設けられる蓋部30とを備える。枠体10は、第1開口部11の縁から開口内向きに延出する延出部13を有し、蓋部30は、枠体10の内部に装飾品2が組み入れられた状態で第2開口部12を塞ぎ、装飾品2は、延出部13と弾性体20との間に挟持されて固定され、第1開口部11から装飾品2が露出する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装飾品を保持する装身具の部品であって、
互いに対向する場所に設けられた第1開口部および第2開口部を有する枠体と、
前記枠体の内部に設けられる弾性体と、
前記第2開口部を塞ぐ蓋部と、
を備え、
前記枠体は、前記第1開口部の縁から開口内向きに延出する延出部を有し、
前記蓋部は、前記枠体の内部に前記装飾品が組み入れられた状態で前記第2開口部を塞ぎ、
前記装飾品は、前記延出部と前記弾性体との間に挟持されて固定され、
前記第1開口部から前記装飾品が露出する、
装身具の部品。
【請求項2】
前記枠体は、前記装身具の紐状部材を挿通する挿通部を有し、
前記挿通部に前記紐状部材を挿通して前記枠体を貫通させた状態で、前記弾性体から前記紐状部材に押圧力が与えられる、
請求項1に記載の装身具の部品。
【請求項3】
前記弾性体は、前記紐状部材を通す貫通孔を有する、
請求項2に記載の装身具の部品。
【請求項4】
前記枠体は、筒形又はメッシュ形である、
請求項1に記載の装身具の部品。
【請求項5】
前記弾性体は、透光性を有する材料によって形成される、
請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の装身具の部品。
【請求項6】
前記蓋部は、透光性を有する部分を備える、
請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の装身具の部品。
【請求項7】
装飾品を保持する装身具の部品であって、
互いに対向する場所に設けられた第1開口部および第2開口部を有する第1枠体と、
互いに対向する場所に設けられた第3開口部および第4開口部を有する第2枠体と、
前記第1枠体および前記第2枠体の内部に設けられる弾性体と、
を備え、
前記第1枠体は、前記第1開口部の縁から開口内向きに延出する第1延出部を有し、
前記第2枠体は、前記第3開口部の縁から開口内向きに延出する第2延出部を有し、
前記第1枠体の内部に第1装飾品が組み入れられており、
前記第2枠体の内部に第2装飾品が組み入れられており、
前記第1枠体の前記第2開口部側と前記第2枠体の前記第4開口部側とが互いに突き合わされた状態で接続されており、
前記第1装飾品は、前記第1延出部と前記弾性体との間に挟持されて固定され、
前記第1開口部から前記第1装飾品が露出し、
前記第2装飾品は、前記第2延出部と前記弾性体との間に挟持されて固定され、
前記第3開口部から前記第2装飾品が露出する、
装身具の部品。
【請求項8】
前記第1枠体は、筒形又はメッシュ形であり、
前記第2枠体は、筒形又はメッシュ形である、
請求項7に記載の装身具の部品。
【請求項9】
前記弾性体は、透光性を有する材料によって形成される、
請求項7または請求項8に記載の装身具の部品。
【請求項10】
請求項1または請求項7に記載の装身具の部品と、
前記装身具の部品に固定される装飾品と、
前記装身具の部品に取り付けられる紐状部材と、
を備えた装身具。
【請求項11】
請求項2または請求項3に記載の装身具の部品と、
前記装身具の部品に固定される装飾品と、
前記装身具の部品の前記枠体の前記挿通部に挿通され前記枠体を貫通した状態で、前記弾性体から押圧力が与えられる紐状部材と、
を備えた装身具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装身具の部品及び装身具に関する。
【背景技術】
【0002】
貴金属の支持台に宝石を固定する方法として、予め支持台に形成させた溝に宝石の外縁に嵌め込み、工具を使って支持台を変形させて宝石を溝に密着させる方法が一般的に用いられる。また、下記の特許文献1には、支持台において宝石の外周部を外側方向から挟む位置に、外周部に嵌合しうる少なくとも二つの溝を設け、各溝内に前記宝石外周部を嵌入した後、溶解した鑞材を、全部あるいは所定の溝内に流入し冷却して凝固させることを特徴とする宝石の石留め方法が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の方法では、工具を使って支持台を変形させたり、溶解した鑞材を微小な溝に流しこんだりといった難易度の高い作業が必要であり、熟練した技術がなければこのような作業を効率的に行うことが難しいという問題がある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、比較的簡単な作業で宝石などの装飾品を固定できる装身具の部品及び装身具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、装飾品を保持する装身具の部品であって、互いに対向する場所に設けられた第1開口部および第2開口部を有する枠体と、枠体の内部に設けられる弾性体と、第2開口部を塞ぐ蓋部と、を備え、枠体は、第1開口部の縁から開口内向きに延出する延出部を有し、蓋部は、枠体の内部に装飾品が組み入れられた状態で第2開口部を塞ぎ、装飾品は、延出部と弾性体との間に挟持されて固定され、第1開口部から装飾品が露出する、装身具の部品である。
【0007】
このような構成によれば、枠体の内部に装飾品が組み入れられた状態で、第2開口部が蓋部によって塞がれていることで、枠体の内部において延出部と弾性体との間に装飾品が挟持され、弾性体の復元力によって装飾品が固定される。固定された装飾品は第1開口部から露出して外から見える状態となる。
【0008】
上記装身具の部品において、枠体は、装身具の紐状部材を挿通する挿通部を有し、挿通部に紐状部材を挿通して枠体を貫通させた状態で、弾性体から紐状部材に押圧力が与えられる構成であってもよい。これにより、枠体を貫通させた紐状部材に弾性体から押圧力が与えられ、紐状部材の枠体に対する固定位置を設定しやすくなる。
【0009】
上記装身具の部品において、弾性体は、紐状部材を通す貫通孔を有してもよい。これにより、枠体の挿通部に紐状部材を挿通する際、紐状部材が弾性体の貫通孔を通して枠体を貫通することになる。
【0010】
上記装身具の部品において、枠体は、筒形又はメッシュ形であってもよい。これにより、枠体のデザインが多様化する。
【0011】
上記装身具の部品において、弾性体は透光性を有する材料によって形成されていてもよい。これにより、枠体の内部に弾性体が組み込まれていても、枠体の外部から内部への光の透過および枠体の内部から外部への光の反射が効果的に行われる。
【0012】
上記装身具の部品において、蓋部は透光性を有する部分を備えていてもよい。これにより、蓋部の透光性を有する部分を介して枠体の内部へ光が透過するようになる。
【0013】
本発明の第2の態様は、装飾品を保持する装身具の部品であって、互いに対向する場所に設けられた第1開口部および第2開口部を有する第1枠体と、互いに対向する場所に設けられた第3開口部および第4開口部を有する第2枠体と、第1枠体および第2枠体の内部に設けられる弾性体と、を備え、第1枠体は、第1開口部の縁から開口内向きに延出する第1延出部を有し、第2枠体は、第3開口部の縁から開口内向きに延出する第2延出部を有し、第1枠体の内部に第1装飾品が組み入れられており、第2枠体の内部に第2装飾品が組み入れられており、第1枠体の第2開口部側と第2枠体の第4開口部側とが互いに突き合わされた状態で接続されており、第1装飾品は、第1延出部と弾性体との間に挟持されて固定され、第1開口部から第1装飾品が露出し、第2装飾品は、第2延出部と弾性体との間に挟持されて固定され、第3開口部から第2装飾品が露出する、装身具の部品である。
【0014】
このような構成によれば、第1枠体の内部に第1装飾品が組み入れられるとともに、第2枠体の内部に第2装飾品が組み入れられた状態で、第1枠体の第2開口部側と第2枠体の第4開口部側とが互いに突き合わされた状態で接続されている。これにより、第1延出部と弾性体との間に第1装飾品が挟持されるとともに、第2延出部と弾性体との間に第2装飾品が挟持され、弾性体の復元力によって第1装飾品および第2装飾品がそれぞれ固定される。固定された第1装飾品および第2装飾品は、それぞれ第1開口部および第3開口部から露出して外から見える状態となる。
【0015】
上記装身具の部品において、第1枠体は、筒形又はメッシュ形であり、記第2枠体は、筒形又はメッシュ形であってもよい。これにより、第1枠体および第2枠体のデザインが多様化する。
【0016】
上記装身具の部品において、弾性体は透光性を有する材料によって形成されていてもよい。これにより、第1枠体および第2枠体の内部に弾性体が組み込まれていても、第1枠体および第2枠体の外部から内部への光の透過および第1枠体および第2枠体の内部から外部への光の反射が効果的に行われる。
【0017】
本発明の第3の態様は、上記装身具の部品と、装身具の部品に固定される装飾品と、装身具の部品に取り付けられる紐状部材と、を備えた装身具である。これにより、枠体の内部に装飾品が弾性体の復元力で固定された装身具の部品に紐状部材が取り付けられた装身具が構成される。
【0018】
本発明の第4の態様は、装身具の紐状部材を挿通する挿通部が設けられた枠体を備えた上記装身具の部品と、装身具の部品に固定される装飾品と、装身具の部品の枠体の挿通部に挿通され枠体を貫通した状態で、弾性体から押圧力が与えられる紐状部材と、を備えた装身具である。これにより、枠体を貫通させた紐状部材に弾性体から押圧力が与えられ、紐状部材の枠体に対する固定位置を設定しやすくなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、比較的簡単な作業で宝石などの装飾品を固定できる装身具の部品及び装身具を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る装身具の部品を例示する斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る装身具の部品を例示する平面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る装身具の部品を例示する底面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る装身具の部品を例示する分解斜視図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る装身具の部品を例示する側断面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る装身具の部品を例示する平断面図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係る装身具を例示する図(その1)である。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る装身具を例示する図(その2)である。
【
図9】
図9は、第3実施形態に係る装身具の部品を例示する斜視図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態に係る装身具の部品を例示する側断面図である。
【
図11】
図11は、第4実施形態に係る装身具の部品を例示する側断面図である。
【
図12】
図12は、第4実施形態に係る装身具の部品を例示する分解側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。
【0022】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る装身具の部品を例示する斜視図である。
図2は、第1実施形態に係る装身具の部品を例示する平面図である。
図3は、第1実施形態に係る装身具の部品を例示する底面図である。
図4は、第1実施形態に係る装身具の部品を例示する分解斜視図である。
図5は、第1実施形態に係る装身具の部品を例示する側断面図である。
図6は、第1実施形態に係る装身具の部品を例示する平断面図である。
【0023】
第1実施形態に係る装身具の部品1Aは、宝石などの装飾品2を保持するもので、枠体10と、弾性体20と、蓋部30と、を備える。枠体10は、互いに対向する場所に設けられた第1開口部11および第2開口部12を有する。枠体10一方の端部に第1開口部11が設けられ、この一方の端部と対向する他方の端部に第2開口部12が設けられる。枠体10の第1開口部11には、第1開口部11の縁から開口内向きに延出部13が延出するように設けられる。枠体10は、筒形であってもよいし、メッシュ形(側面が網状に設けられたものや、複数本の支柱が設けられたものを含む)であってもよい。
【0024】
枠体10の側面には、装身具の紐状部材(後述する)を挿通する挿通部15が設けられる。挿通部15は、紐状部材を挿通可能な穴や隙間である。本実施形態では、枠体10に2つの挿通部15が設けられる。紐状部材は、一方の挿通部15から枠体10に挿入され、他方の挿通部15から枠体10の外に出される。枠体10の側面には、紐状部材や他の部材を接続するための環状部16が設けられていてもよい。
【0025】
弾性体20は、弾性変形可能な部材である。弾性体20には、例えばシリコーンゴムが用いられる。弾性体20は、後述する紐状部材を通すことができるように貫通孔21を備えた形状になっている。例えば、弾性体20は筒形に設けられている。なお、弾性体20の形状は、紐状部材を通すことができ、所定の復元力を得られる形状であればよく、筒形以外の形状(例えば、C形)であってもよい。
【0026】
弾性体20は透光性を有する材料によって形成されていてもよい。これにより、枠体10の内部に弾性体20が組み込まれていても、枠体10の外部から内部への光の透過および枠体10の内部から外部への光の反射が、透光性を有する弾性体20を通して効果的に行われる。また、これらの光によって枠体10に組み込まれた装飾品2の輝きが増すことになる。
【0027】
蓋部30は、枠体10の第2開口部12を塞ぐように設けられる。蓋部30は、第2開口部12を塞ぐように配置された状態で、例えば枠体10の第2開口部12の側に設けられた爪17を折り曲げることで脱落しないように固定される。なお、蓋部30の固定手段は爪17に限定されず、蓋部30を枠体10の第2開口部12に螺合したり、蓋部30を枠体10に接着、溶着(例えば、ロウ付け)したりしてもよい。
【0028】
蓋部30は透光性を有する部分を備えていてもよい。透光性を有する部分は、蓋部30の一部であってもよいし、全部であってもよい。これにより、蓋部30の透光性を有する部分を介して枠体10の内部へ光が透過するようになる。さらに、上記のように弾性体20について透光性を有する材料によって形成されていれば、蓋部30の透光性を有する部分を透過した光が弾性体20も透過して装飾品2に到達し、装飾品2を下側からも輝かせることができる。
【0029】
このような装身具の部品1Aにおいて装飾品2を組み込むには、第2開口部12から枠体10の内部に装飾品2を組み入れ、次に弾性体20を入れた状態で蓋部30によって第2開口部12を塞ぎ、爪17などによって固定する。これにより、装飾品2は弾性体20によって第1開口部11の側に寄せられることになるが、第1開口部11には延出部13が設けられているため、延出部13に当接して第1開口部11から外に出てしまうことはない。第2開口部12を蓋部30で塞ぐことにより、装飾品2が延出部13と弾性体20との間で挟持される。この際、弾性体20は潰され、この復元力によって装飾品2は延出部13に押し付けられて押圧された状態となり、枠体10の内部に固定されることになる。装飾品2は、第1開口部11から露出して外から見える状態で固定される。
【0030】
本実施形態に係る装身具の部品1Aでは、装飾品2が枠体10の上側(第1開口部11の側)から枠体10に固定されるのではなく、下側(第2開口部12の側)から枠体10の内部に組み入れ、第2開口部12を蓋部30で塞ぐことで固定される。枠体10の内部において、装飾品2は弾性体20からの復元力によって押圧され、確実に枠体10の内部に固定される。
【0031】
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態に係る装身具を例示する図(その1)である。
図8は、第2実施形態に係る装身具を例示する図(その2)である。
図7には、装身具100の表側(装飾品2の側)からみた図が示され、
図8には、装身具100の裏側からみた図が示される。
第2実施形態に係る装身具100は、第1実施形態に係る部品1Aに固定される装飾品2と、部品1Aに取り付けられる紐状部材3と、を備える。
【0032】
装飾品2は、部品1Aの枠体10の内部に組み入れられる。先に説明したように、装飾品2を組み入れた枠体10の第2開口部12は蓋部30によって塞がれる。これにより、枠体10の内部に収容された装飾品2は弾性体20によって第1開口部11の延出部13に押し付けられて固定される。
【0033】
紐状部材3には、例えばチェーン、革紐、ワイヤーが用いられる。本実施形態では、紐状部材3としてチェーンを用いる場合を例とする。紐状部材3は、部品1Aの枠体10に設けられた挿通部15に通される。例えば、紐状部材3の一端が環状部16に接続され、紐状部材3の他端が挿通部15に通される。紐状部材3の他端は一方の挿通部15から枠体10の内部に通され、他方の挿通部15から枠体10の外部に出される。
【0034】
枠体10を貫通する紐状部材3は、枠体10の内部で弾性体20から押圧力を受ける。例えば、筒状の弾性体20の場合、紐状部材3は枠体10を貫通する際、弾性体20の筒内に通される。筒状の弾性体20は、蓋部30と装飾品2との間で潰されていることから、弾性体20の筒内に通された紐状部材3は潰された弾性体20から押圧力を受けることになる。弾性体20から紐状部材3に与える押圧力を適度に設定することで、枠体10を貫通する紐状部材3に抵抗感を与えて部品1Aの止め位置を固定しつつ、紐状部材3の引き具合によって部品1Aの止め位置を変えることができる。紐状部材3によって輪が構成される場合、部品1Aの止め位置を変えることで輪の大きさを調整することが可能となる。
【0035】
ここで、紐状部材3は、部品1Aに装飾品2を組み入れて蓋部30を閉じた後に挿通部15に通してもよいし、蓋部30を閉じる前に挿通部15に通しておき、その後に蓋部30を閉じるようにしてもよい。蓋部30を閉じた後に紐状部材3を挿通部15に通す場合には、紐状部材3の先端(挿通部15に通す他端)に針金のような通線部材を取り付けておくとよい。これにより、枠体10の内部で弾性体20が潰されていても、容易に紐状部材3を通すことができる。
【0036】
また、
図6に示すように、枠体10に設けられた2つの挿通部15のそれぞれの中心軸(挿通部15が穴の場合、穴の中心軸)は枠体10の中心で交差するが、同一直線上でなくてもよい。例えば、それぞれの挿通方向は鋭角側で約120°程度になっている。これにより、枠体10を貫通する紐状部材3に適度な角度が設けられる。例えば、ネックレスの場合には、装飾品2を組み入れた部品1Aを吊るチェーンが略V字形に広がるように輪となり、デザイン性に優れることになる。
【0037】
枠体10を貫通した紐状部材3の他端側には、挿通部15よりも大きな留め部材を設けてもよい。これにより、誤って紐状部材3が枠体10から抜けてしまうことを防止することができる。
【0038】
(第3実施形態)
図9は、第3実施形態に係る装身具の部品を例示する斜視図である。
図10は、第3実施形態に係る装身具の部品を例示する側断面図である。
第3実施形態に係る装身具の部品1Bは、第1実施形態に係る装身具の部品1Aのような挿通部15が設けられていない。また、第3実施形態に係る装身具の部品1Bでは、枠体10に紐状部材3が貫通しないため、枠体10の内部に設けられる弾性体20の形状が筒状になっている必要はない。
図10に示す例では、弾性体20の形状がブロック状になっている。
【0039】
この部品1Bでも第1実施形態と同様に、枠体10の第2開口部12から内部に装飾品2を組み入れ、次に弾性体20を入れた状態で蓋部30によって第2開口部12を塞ぎ、爪17などによって固定する。これにより、装飾品2が枠体10の内部において延出部13と弾性体20との間で挟持される。この際、弾性体20は潰され、この復元力によって装飾品2を延出部13に押圧しながら装飾品2を枠体10の内部に固定することになる。装飾品2は第1開口部11から露出して外から見える状態で固定される。
【0040】
部品1Bの枠体10には環状部16が設けられていてもよい。これにより、環状部16に紐状部材3を取り付けることができる。環状部16に通した紐状部材3を輪にすることでネックレスやブレスレットが構成される。また、先に説明した部品1Aを用いた装身具100において、部品1Aの枠体10を貫通した紐状部材3の他端に装飾品2を組み入れた部品1Bを取り付けてもよい。これにより、部品1Bが紐状部材3の留め部材として機能するとともに、2つの装飾品2が紐状部材3によって繋がったデザインの装身具100が構成される。
【0041】
(第4実施形態)
図11は、第4実施形態に係る装身具の部品を例示する側断面図である。
図12は、第4実施形態に係る装身具の部品を例示する分解側断面図である。
第4実施形態に係る装身具の部品1Cは、第1枠体110と第2枠体120とを突き合わせて互いに蓋部30の役目を果たすように構成したものである。
すなわち、部品1Cは、第1枠体110と、第2枠体120と、弾性体20と、を備える。第1枠体110は、互いに対向する場所に設けられた第1開口部111および第2開口部112を有する。第1枠体110の一方の端部には第1開口部111が設けられ、この一方の端部と対向する他方の端部に第2開口部112が設けられる。第1枠体110の第1開口部111の縁には、縁から開口内向きに延出する第1延出部113が設けられる。第2枠体120は、互いに対向する場所に設けられた第3開口部121および第4開口部122を有する。第2枠体120の一方の端部には第3開口部121が設けられ、この一方の端部と対向する他方の端部に第4開口部122が設けられる。第2枠体120の第3開口部121の縁には、縁から開口内向きに延出する第2延出部123が設けられる。弾性体20は、第1枠体110および第2枠体120の内部に設けられる。
【0042】
このような装身具の部品1Cにおいて装飾品を組み込むには、先ず、第2開口部112から第1枠体110の内部に第1装飾品2Aを組み入れ、第4開口部122から第2枠体120の内部に第2装飾品2Bを組み入れる。次に、この状態で弾性体20を間にして第1枠体110の第2開口部112側と第2枠体120の第4開口部122側とを互いに突き合わせて接続する。これにより、第1装飾品2Aが第1延出部113と弾性体20との間で挟持され、第1開口部111から第1装飾品2Aが露出するように固定される。さらに、第2装飾品2Bが第2延出部123と弾性体20との間で挟持され、第3開口部121から第2装飾品2Bが露出するように固定される。
【0043】
弾性体20を間にして第1枠体110と第2枠体120とを互いに突き合わせて接続することにより弾性体20は潰され、この復元力によって第1装飾品2Aを第1延出部113に押圧しながら固定し、第2装飾品2Bを第2延出部123に押圧しながら固定することになる。第1装飾品2Aは第1開口部111から露出して外から見える状態で固定され、第2装飾品2Bは第3開口部121から露出して外から見える状態で固定される。
【0044】
ここで、第1枠体110と第2枠体120との接続は、螺合、接着、溶着(例えば、ロウ付け)など各種の接続方法を用いることができる。
【0045】
第4実施形態に係る装身具の部品1Cによれば、第1枠体110と第2枠体120とを互い結合することで、第1装飾品2Aおよび第2装飾品2Bをそれぞれ表裏から露出させることができる。また、第1装飾品2Aおよび第2装飾品2Bはそれぞれ第1枠体110および第2枠体120の内部から外部に向けて固定され、容易かつ確実な固定を行うことができる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態によれば、工具を使って支持台を変形させたり、溶解した鑞材を微小な溝に流しこんだりといった難易度の高い作業が不要であり、熟練した技術を持たない作業者でも比較的簡単な作業で宝石などの装飾品を固定させることができる装身具の部品1A、1B、1C及び装身具100を提供できる。
【0047】
なお、上記に本実施形態およびその適用例を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、
図6に示す例では、枠体10に設けられた2つの挿通部15の中心軸が同一直線上にない場合を示しているが、同一直線上に設けられていてもよい。この場合、挿通部15の中心軸が弾性体20の貫通孔21を通るように弾性体20を配置すると、紐状部材3を真っ直ぐに枠体10を貫通させることができる。また、前述の各実施形態またはその適用例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、各実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0048】
1A,1B,1C…部品,2…装飾品,2A…第1装飾品,2B…第2装飾品,3…紐状部材,10…枠体,11…第1開口部,12…第2開口部,13…延出部,15…挿通部,16…環状部,17…爪,20…弾性体,21…貫通孔,30…蓋部,100…装身具,110…第1枠体,111…第1開口部,112…第2開口部,113…第1延出部,120…第2枠体,121…第3開口部,122…第4開口部,123…第2延出部