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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063729
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】車両用熱マネジメントシステム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6556 20140101AFI20240502BHJP
   B60H 1/22 20060101ALI20240502BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240502BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20240502BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240502BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20240502BHJP
   H01M 10/663 20140101ALI20240502BHJP
【FI】
H01M10/6556
B60H1/22 651A
H01M10/613
H01M10/615
H01M10/625
H01M10/6568
H01M10/663
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080166
(22)【出願日】2023-05-15
(31)【優先権主張番号】P 2022171455
(32)【優先日】2022-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】秋山 泰有
【テーマコード(参考)】
3L211
5H031
【Fターム(参考)】
3L211AA11
3L211BA02
3L211CA18
3L211DA43
5H031AA09
5H031HH06
5H031KK08
(57)【要約】
【課題】電池の暖機と車室内の暖房とを効率良く行うこと。
【解決手段】電池暖機モードでは、第1切換弁45が遮断状態に切り換わっている。そして、電池熱交換器38に向けて流れる冷却水をヒータ56によって加熱し、加熱された冷却水が電池熱交換器38にて電池32に放熱する。暖房補助モードでは、第1切換弁45が許容状態に切り換わっている。そして、ヒータ56によって加熱された冷却水が電池熱交換器38を迂回した状態で第1循環回路35を循環し、加熱された冷却水が冷媒熱媒体熱交換器61にて冷媒に放熱することで冷媒を暖める。そして、冷媒が暖房用室内熱交換器13にて室内空気に放熱する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内を空調するために冷媒が循環するとともに前記冷媒と室内空気との熱交換を行う室内熱交換器を有する冷媒回路と、
電池、及び前記電池の電力によって駆動する駆動機器の温度を調節するために熱媒体が循環する熱媒体回路と、
前記冷媒回路及び前記熱媒体回路に連結され、冷媒と熱媒体との熱交換を行う冷媒熱媒体熱交換器と、
前記冷媒回路及び前記熱媒体回路の作動を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記車室内の暖房を行う暖房モードに前記冷媒回路の作動を切換可能であり、前記暖房モードでは、熱媒体が前記冷媒熱媒体熱交換器にて冷媒に放熱し、冷媒が前記室内熱交換器にて前記室内空気に放熱するように設定可能であり、
前記熱媒体回路は、
熱媒体を循環させる第1ポンプ、及び熱媒体と前記電池との熱交換を行う電池熱交換器を有するとともに前記冷媒熱媒体熱交換器が連結されている第1循環回路と、
熱媒体を循環させる第2ポンプ、熱媒体と前記駆動機器との熱交換を行う駆動機器熱交換器、及び熱媒体の放熱を行うラジエータを有する第2循環回路と、を備え、
前記第1循環回路と前記第2循環回路とは、接続通路を介して並列接続されており、
前記熱媒体回路は、前記制御部の制御によって、前記接続通路を介した前記第1循環回路と前記第2循環回路との連通を許容する許容状態と、前記接続通路を介した前記第1循環回路と前記第2循環回路との連通を遮断する遮断状態と、に切換可能な切換弁を有し、
前記第1循環回路は、前記電池熱交換器に向けて流れる熱媒体を加熱する加熱部を有し、
前記制御部は、
前記切換弁を前記遮断状態に切り換えて、前記電池熱交換器に向けて流れる熱媒体を前記加熱部によって加熱し、加熱された熱媒体が前記電池熱交換器にて前記電池に放熱する電池暖機モードと、
前記切換弁を前記許容状態に切り換えて、前記加熱部によって加熱された熱媒体が前記電池熱交換器を迂回した状態で前記第1循環回路を循環し、加熱された熱媒体が前記冷媒熱媒体熱交換器にて冷媒に放熱することで前記冷媒を暖めて、冷媒が前記室内熱交換器にて前記室内空気に放熱する暖房補助モードと、に切換可能である車両用熱マネジメントシステム。
【請求項2】
前記暖房補助モードでは、前記駆動機器熱交換器にて前記駆動機器から吸熱した熱媒体が、前記接続通路を介して前記第1循環回路へ流れて前記冷媒熱媒体熱交換器にて冷媒に放熱するように設定可能であることを特徴とする請求項1に記載の車両用熱マネジメントシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用熱マネジメントシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用熱マネジメントシステムは、車室内を空調するために冷媒が循環する冷媒回路を備えている。冷媒回路は、冷媒と室内空気との熱交換を行う室内熱交換器を有している。また、車両用熱マネジメントシステムは、電池、及び電池の電力によって駆動する駆動機器の温度を調節するために熱媒体が循環する熱媒体回路を備えている。熱媒体回路は、ポンプ、電池熱交換器、駆動機器熱交換器、及びラジエータを有している。ポンプは、熱媒体を循環させる。電池熱交換器は、熱媒体と電池との熱交換を行う。駆動機器熱交換器は、熱媒体と駆動機器との熱交換を行う。ラジエータは、熱媒体の放熱を行う。そして、熱媒体は、電池熱交換器にて電池から吸熱する。これにより、電池が熱媒体によって冷却される。また、熱媒体は、駆動機器熱交換器にて駆動機器から吸熱する。これにより、駆動機器が熱媒体によって冷却される。電池及び駆動機器から吸熱した熱媒体は、ラジエータにて放熱する。これにより、熱媒体が外気によって冷却される。
【0003】
ここで、例えば、寒冷地などの外気温が極低温の環境下では、車室内の暖房を効率良く行うことができない虞がある。よって、外気温が極低温の環境下であっても、車室内の暖房を効率良く行うために、暖房能力を向上させることが望まれている。そこで、車両用熱マネジメントシステムにおいては、冷媒回路及び熱媒体回路に連結される冷媒熱媒体熱交換器を備えているものが、例えば特許文献1に開示されている。冷媒熱媒体熱交換器は、冷媒回路を流れる冷媒と熱媒体回路を流れる熱媒体との熱交換を行う。そして、冷媒と熱媒体との熱交換が冷媒熱媒体熱交換器にて行われることにより、冷媒が熱媒体から吸熱するようになっている。これにより、冷媒が、熱媒体によって暖められるため、暖房能力が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-159613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のように、熱媒体回路において、電池熱交換器と駆動機器熱交換器とが直列接続されている場合がある。ここで、熱媒体回路に熱媒体を加熱する加熱部をさらに追加して、電池を熱媒体によって効率良く暖機したり、車室内の暖房を効率良く行ったりすることが考えられる。しかしながら、例えば、電池熱交換器と加熱部とが直列接続されていると、加熱部によって加熱された熱媒体が電池熱交換器にて電池に放熱される。このため、加熱部によって加熱された熱媒体が冷媒熱媒体熱交換器にて冷媒に放熱され難くなってしまい、車室内の暖房を効率良く行うことができなくなってしまう虞がある。したがって、電池の暖機と車室内の暖房とを効率良く行うことが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する車両用熱マネジメントシステムは、車室内を空調するために冷媒が循環するとともに前記冷媒と室内空気との熱交換を行う室内熱交換器を有する冷媒回路と、電池、及び前記電池の電力によって駆動する駆動機器の温度を調節するために熱媒体が循環する熱媒体回路と、前記冷媒回路及び前記熱媒体回路に連結され、冷媒と熱媒体との熱交換を行う冷媒熱媒体熱交換器と、前記冷媒回路及び前記熱媒体回路の作動を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記車室内の暖房を行う暖房モードに前記冷媒回路の作動を切換可能であり、前記暖房モードでは、熱媒体が前記冷媒熱媒体熱交換器にて冷媒に放熱し、冷媒が前記室内熱交換器にて前記室内空気に放熱するように設定可能であり、前記熱媒体回路は、熱媒体を循環させる第1ポンプ、及び熱媒体と前記電池との熱交換を行う電池熱交換器を有するとともに前記冷媒熱媒体熱交換器が連結されている第1循環回路と、熱媒体を循環させる第2ポンプ、熱媒体と前記駆動機器との熱交換を行う駆動機器熱交換器、及び熱媒体の放熱を行うラジエータを有する第2循環回路と、を備え、前記第1循環回路と前記第2循環回路とは、接続通路を介して並列接続されており、前記熱媒体回路は、前記制御部の制御によって、前記接続通路を介した前記第1循環回路と前記第2循環回路との連通を許容する許容状態と、前記接続通路を介した前記第1循環回路と前記第2循環回路との連通を遮断する遮断状態と、に切換可能な切換弁を有し、前記第1循環回路は、前記電池熱交換器に向けて流れる熱媒体を加熱する加熱部を有し、前記制御部は、前記切換弁を前記遮断状態に切り換えて、前記電池熱交換器に向けて流れる熱媒体を前記加熱部によって加熱し、加熱された熱媒体が前記電池熱交換器にて前記電池に放熱する電池暖機モードと、前記切換弁を前記許容状態に切り換えて、前記加熱部によって加熱された熱媒体が前記電池熱交換器を迂回した状態で前記第1循環回路を循環し、加熱された熱媒体が前記冷媒熱媒体熱交換器にて冷媒に放熱することで前記冷媒を暖めて、冷媒が前記室内熱交換器にて前記室内空気に放熱する暖房補助モードと、に切換可能である。
【0007】
これによれば、電池暖機モードでは、切換弁が遮断状態に切り換わっている。そして、電池熱交換器に向けて流れる熱媒体を加熱部によって加熱し、加熱された熱媒体が電池熱交換器にて電池に放熱する。したがって、加熱部によって加熱された第1循環回路を流れる熱媒体が、接続通路を介して第2循環回路に流れずに、電池熱交換器に向けて流れるため、電池熱交換器にて熱媒体により電池を効率良く暖機することができる。
【0008】
また、暖房補助モードでは、切換弁が許容状態に切り換わっている。そして、加熱部によって加熱された熱媒体が電池熱交換器を迂回した状態で第1循環回路を循環し、加熱された熱媒体が冷媒熱媒体熱交換器にて冷媒に放熱することで冷媒を暖める。冷媒は室内熱交換器にて室内空気に放熱する。これにより、加熱部によって加熱された熱媒体が電池熱交換器にて電池に放熱されること無く、加熱部によって加熱された熱媒体が冷媒熱媒体熱交換器にて冷媒に放熱されるため、車室内の暖房を効率良く行うことができる。以上により、電池の暖機と車室内の暖房とを効率良く行うことができる。
【0009】
上記車両用熱マネジメントシステムにおいて、前記暖房補助モードでは、前記駆動機器熱交換器にて前記駆動機器から吸熱した熱媒体が、前記接続通路を介して前記第1循環回路へ流れて前記冷媒熱媒体熱交換器にて冷媒に放熱するように設定可能であるとよい。
【0010】
これによれば、駆動機器から生じる熱も暖房を行う際の熱として利用することができる。したがって、車室内の暖房能力を向上させることができるため、車室内の暖房をさらに効率良く行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、電池の暖機と車室内の暖房とを効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態における車両用熱マネジメントシステムを示す概略構成図である。
図2図2は、電池暖機モードの一例を説明するための概略構成図である。
図3図3は、暖房補助モードの一例を説明するための概略構成図である。
図4図4は、暖房補助モードの一例を説明するための概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、車両用熱マネジメントシステムを具体化した一実施形態を図1図4にしたがって説明する。本実施形態の車両用熱マネジメントシステムは、例えば、電気自動車に搭載されている。
【0014】
<車両用熱マネジメントシステム10の全体構成>
図1に示すように、車両用熱マネジメントシステム10は、冷媒回路11と、熱媒体回路31と、冷媒熱媒体熱交換器61と、制御部90と、を備えている。
【0015】
<冷媒回路11>
冷媒回路11は、車室内を空調するために冷媒が循環する。冷媒回路11は、圧縮機12と、暖房用室内熱交換器13と、室外熱交換器14と、冷房用室内熱交換器15と、アキュムレータ16と、を有している。
【0016】
圧縮機12は、冷媒を圧縮して吐出する。暖房用室内熱交換器13は、冷媒と車室内に供給される室内空気との熱交換を行う。室外熱交換器14は、冷媒と外気との熱交換を行う。冷房用室内熱交換器15は、冷媒と車室内に供給される室内空気との熱交換を行う。アキュムレータ16は、圧縮機12へのガス状の冷媒の流出を許容し、且つ、圧縮機12への液状の冷媒の流出を阻止する。
【0017】
圧縮機12と暖房用室内熱交換器13とは、第1配管17によって接続されている。第1配管17の第1端は、圧縮機12の吐出口に接続されている。第1配管17の第2端は、暖房用室内熱交換器13の入口に接続されている。
【0018】
暖房用室内熱交換器13と室外熱交換器14とは、第2配管18によって接続されている。第2配管18の第1端は、暖房用室内熱交換器13の出口に接続されている。第2配管18の第2端は、室外熱交換器14の入口に接続されている。
【0019】
室外熱交換器14と冷房用室内熱交換器15とは、第3配管19によって接続されている。第3配管19の第1端は、室外熱交換器14の出口に接続されている。第3配管19の第2端は、冷房用室内熱交換器15の入口に接続されている。
【0020】
冷房用室内熱交換器15とアキュムレータ16とは、第4配管20によって接続されている。第4配管20の第1端は、冷房用室内熱交換器15の出口に接続されている。第4配管20の第2端は、アキュムレータ16の入口に接続されている。
【0021】
アキュムレータ16と圧縮機12とは、第5配管21によって接続されている。第5配管21の第1端は、アキュムレータ16の出口に接続されている。第5配管21の第2端は、圧縮機12の吸入口に接続されている。
【0022】
冷媒回路11は、第1分岐配管22と、第2分岐配管23と、第3分岐配管24と、を有している。第1分岐配管22は、第2配管18と第3配管19とを接続している。第1分岐配管22の第1端は、第2配管18に接続されている。第1分岐配管22の第2端は、第3配管19に接続されている。したがって、第1分岐配管22は、第2配管18の途中から分岐して第3配管19に接続されている。
【0023】
第2分岐配管23は、第3配管19と第4配管20とを接続している。第2分岐配管23の第1端は、第3配管19における第1分岐配管22との接続箇所よりも冷房用室内熱交換器15寄りの部分に接続されている。第2分岐配管23の第2端は、第4配管20に接続されている。したがって、第2分岐配管23は、第3配管19における第1分岐配管22との接続箇所よりも冷房用室内熱交換器15寄りの部分から分岐して第4配管20に接続されている。
【0024】
第3分岐配管24は、第3配管19と第4配管20とを接続している。第3分岐配管24の第1端は、第3配管19における第2分岐配管23との接続箇所よりも冷房用室内熱交換器15寄りの部分に接続されている。第3分岐配管24の第2端は、第4配管20における第2分岐配管23との接続箇所よりも冷房用室内熱交換器15寄りの部分に接続されている。したがって、第3分岐配管24は、第3配管19における第2分岐配管23との接続箇所よりも冷房用室内熱交換器15寄りの部分から分岐して、第4配管20における第2分岐配管23との接続箇所よりも冷房用室内熱交換器15寄りの部分に接続されている。
【0025】
冷媒回路11は、第1可変絞り25と、第2可変絞り26と、第3可変絞り27と、を有している。第1可変絞り25は、第2配管18に設けられている。第1可変絞り25は、第2配管18における第1分岐配管22との接続箇所よりも室外熱交換器14寄りの部分に配置されている。第1可変絞り25は、第2配管18の流路断面積を調整可能に構成されている。第1可変絞り25は、電磁弁である。第1可変絞り25は、制御部90に電気的に接続されている。制御部90は、第1可変絞り25の駆動を制御して、第1可変絞り25の開度を調整可能である。第1可変絞り25は、第2配管18の流路断面積を小さくして第2配管18を絞ることにより、第2配管18を流れる冷媒を減圧する。したがって、第1可変絞り25は、冷媒回路11を流れる冷媒を減圧する膨張弁として機能する。
【0026】
第2可変絞り26は、第3配管19に設けられている。第2可変絞り26は、第3配管19における第3分岐配管24との接続箇所よりも冷房用室内熱交換器15寄りの部分に配置されている。第2可変絞り26は、第3配管19の流路断面積を調整可能に構成されている。第2可変絞り26は、電磁弁である。第2可変絞り26は、制御部90に電気的に接続されている。制御部90は、第2可変絞り26の駆動を制御して、第2可変絞り26の開度を調整可能である。第2可変絞り26は、第3配管19の流路断面積を小さくして第3配管19を絞ることにより、第3配管19を流れる冷媒を減圧する。したがって、第2可変絞り26は、冷媒回路11を流れる冷媒を減圧する膨張弁として機能する。
【0027】
第3可変絞り27は、第3分岐配管24に設けられている。第3可変絞り27は、第3分岐配管24の流路断面積を調整可能に構成されている。第3可変絞り27は、電磁弁である。第3可変絞り27は、制御部90に電気的に接続されている。制御部90は、第3可変絞り27の駆動を制御して、第3可変絞り27の開度を調整可能である。第3可変絞り27は、第3分岐配管24の流路断面積を小さくして第3分岐配管24を絞ることにより、第3分岐配管24を流れる冷媒を減圧する。したがって、第3可変絞り27は、冷媒回路11を流れる冷媒を減圧する膨張弁として機能する。
【0028】
冷媒回路11は、第1開閉弁28と、第2開閉弁29と、第3開閉弁30と、を有している。第1開閉弁28は、第2配管18に設けられている。第1開閉弁28は、第2配管18における第1分岐配管22との接続箇所よりも室外熱交換器14寄りの部分であって、且つ、第1可変絞り25よりも暖房用室内熱交換器13寄りの部分に配置されている。第1開閉弁28は、第2配管18における冷媒の流れを許容する開弁状態と、第2配管18における冷媒の流れを遮断する閉弁状態と、に切換可能に構成されている。第1開閉弁28は、電磁弁である。第1開閉弁28は、制御部90に電気的に接続されている。制御部90は、第1開閉弁28の駆動を制御して、第1開閉弁28を開弁状態と閉弁状態とに切換可能である。
【0029】
第2開閉弁29は、第1分岐配管22に設けられている。第2開閉弁29は、第1分岐配管22における冷媒の流れを許容する開弁状態と、第1分岐配管22における冷媒の流れを遮断する閉弁状態と、に切換可能に構成されている。第2開閉弁29は、電磁弁である。第2開閉弁29は、制御部90に電気的に接続されている。制御部90は、第2開閉弁29の駆動を制御して、第2開閉弁29を開弁状態と閉弁状態とに切換可能である。
【0030】
第3開閉弁30は、第2分岐配管23に設けられている。第3開閉弁30は、第2分岐配管23における冷媒の流れを許容する開弁状態と、第2分岐配管23における冷媒の流れを遮断する閉弁状態と、に切換可能に構成されている。第3開閉弁30は、電磁弁である。第3開閉弁30は、制御部90に電気的に接続されている。制御部90は、第3開閉弁30の駆動を制御して、第3開閉弁30を開弁状態と閉弁状態とに切換可能である。
【0031】
<熱媒体回路31>
熱媒体回路31は、電池32、インバータ33、及びモータジェネレータ34の温度を調節するために熱媒体としての冷却水が循環する。インバータ33及びモータジェネレータ34は、電池32の電力によって駆動する駆動機器である。
【0032】
電池32は、例えば、リチウムイオン電池やニッケル水素電池である。インバータ33は、電池32から供給された電力に基づいて、モータジェネレータ34の駆動を制御する。モータジェネレータ34は、インバータ33によって駆動されることにより電動機として電気自動車の走行用の駆動力を発生させる。また、モータジェネレータ34は、電気自動車の制動時に発電機として回生電力を発生させる。モータジェネレータ34から発生した回生電力は、インバータ33を介して電池32に供給される。
【0033】
熱媒体回路31は、第1循環回路35と、第2循環回路36と、を備えている。第1循環回路35は、第1ポンプ37、及び電池熱交換器38を有している。第1ポンプ37は、第1循環回路35を流れる冷却水を循環させる。第1ポンプ37は、制御部90に電気的に接続されている。制御部90は、第1ポンプ37の駆動を制御する。電池熱交換器38は、電池32と熱的に結合されている。電池熱交換器38は、冷却水と電池32との熱交換を行う。
【0034】
第2循環回路36は、第2ポンプ39、インバータ熱交換器40、モータ熱交換器41、及びラジエータ42を有している。第2ポンプ39は、第2循環回路36を流れる冷却水を循環させる。第2ポンプ39は、制御部90に電気的に接続されている。制御部90は、第2ポンプ39の駆動を制御する。
【0035】
インバータ熱交換器40は、インバータ33と熱的に結合されている。インバータ熱交換器40は、冷却水とインバータ33との熱交換を行う。したがって、インバータ熱交換器40は、冷却水と駆動機器との熱交換を行う駆動機器熱交換器である。インバータ熱交換器40に供給された冷却水は、インバータ熱交換器40にてインバータ33から吸熱する。これにより、インバータ33が冷却水によって冷却される。
【0036】
モータ熱交換器41は、モータジェネレータ34と熱的に結合されている。モータ熱交換器41は、冷却水とモータジェネレータ34との熱交換を行う。したがって、モータ熱交換器41は、冷却水と駆動機器との熱交換を行う駆動機器熱交換器である。モータ熱交換器41に供給された冷却水は、モータ熱交換器41にてモータジェネレータ34から吸熱する。これにより、モータジェネレータ34が冷却水によって冷却される。
【0037】
ラジエータ42は、冷却水と外気との熱交換を行う。そして、ラジエータ42は、冷却水の放熱を行う。ラジエータ42に供給された冷却水は、ラジエータ42にて外気に放熱する。これにより、冷却水が外気により冷却される。
【0038】
熱媒体回路31は、接続通路としての第1接続通路43及び第2接続通路44を備えている。第1接続通路43及び第2接続通路44は、配管である。第1接続通路43及び第2接続通路44は、第1循環回路35と第2循環回路36とを接続している。したがって、第1循環回路35と第2循環回路36とは、第1接続通路43及び第2接続通路44を介して並列接続されている。
【0039】
熱媒体回路31は、切換弁としての第1切換弁45を有している。第1切換弁45は、第1口45a、第2口45b、及び第3口45cを有している。第1切換弁45は、第1口45a、第2口45b、及び第3口45cそれぞれを開閉可能に構成されている。第1切換弁45は、第1口45a、第2口45b、及び第3口45cそれぞれの連通を切り換える三方弁である。第1切換弁45は、電磁弁である。第1切換弁45は、第1口45a、第2口45b、及び第3口45cそれぞれの開度を調整可能に構成されている。第1切換弁45は、制御部90に電気的に接続されている。制御部90は、第1切換弁45の駆動を制御する。
【0040】
熱媒体回路31は、第2切換弁46を有している。第2切換弁46は、第4口46a、第5口46b、第6口46c、及び接続口46dを有している。第2切換弁46は、第4口46a、第5口46b、及び第6口46cそれぞれを開閉可能に構成されている。第2切換弁46は、第4口46a、第5口46b、及び第6口46cそれぞれの連通を切り換える三方弁である。第2切換弁46は、電磁弁である。第2切換弁46は、第4口46a、第5口46b、及び第6口46cそれぞれの開度を調整可能に構成されている。なお、接続口46dは、常に開放されている。第2切換弁46は、制御部90に電気的に接続されている。制御部90は、第2切換弁46の駆動を制御する。
【0041】
第1ポンプ37と第1切換弁45とは第6配管47によって接続されている。第6配管47の第1端は、第1ポンプ37の吐出口に接続されている。第6配管47の第2端は、第1切換弁45の第1口45aに接続されている。
【0042】
第1切換弁45と電池熱交換器38とは第7配管48によって接続されている。第7配管48の第1端は、第1切換弁45の第2口45bに接続されている。第7配管48の第2端は、電池熱交換器38の入口に接続されている。
【0043】
電池熱交換器38と第1ポンプ37とは第8配管49によって接続されている。第8配管49の第1端は、電池熱交換器38の出口に接続されている。第8配管49の第2端は、第1ポンプ37の吸入口に接続されている。
【0044】
第2ポンプ39とモータ熱交換器41とは、第9配管50によって接続されている。第9配管50の第1端は、第2ポンプ39の吐出口に接続されている。第9配管50の第2端は、モータ熱交換器41の入口に接続されている。
【0045】
モータ熱交換器41と第2切換弁46とは、第10配管51によって接続されている。第10配管51の第1端は、モータ熱交換器41の出口に接続されている。第10配管51の第2端は、第2切換弁46の第4口46aに接続されている。
【0046】
第2切換弁46とラジエータ42とは、第11配管52によって接続されている。第11配管52の第1端は、第2切換弁46の第5口46bに接続されている。第11配管52の第2端は、ラジエータ42の入口に接続されている。
【0047】
ラジエータ42とインバータ熱交換器40とは、第12配管53によって接続されている。第12配管53の第1端は、ラジエータ42の出口に接続されている。第12配管53の第2端は、インバータ熱交換器40の入口に接続されている。
【0048】
インバータ熱交換器40と第2ポンプ39とは、第13配管54によって接続されている。第13配管54の第1端は、インバータ熱交換器40の出口に接続されている。第13配管54の第2端は、第2ポンプ39の吸入口に接続されている。
【0049】
第2循環回路36は、バイパス通路55を有している。バイパス通路55は、配管である。バイパス通路55は、第2切換弁46と第12配管53とを接続している。バイパス通路55の第1端は、第2切換弁46の第6口46cに接続されている。バイパス通路55の第2端は、第12配管53に接続されている。
【0050】
第1接続通路43は、第1切換弁45と第2切換弁46とを接続している。第1接続通路43の第1端は、第1切換弁45の第3口45cに接続されている。第1接続通路43の第2端は、第2切換弁46の接続口46dに接続されている。
【0051】
第2接続通路44は、第1循環回路35の第8配管49と第2循環回路36の第12配管53とを接続している。第2接続通路44の第1端は、第12配管53におけるバイパス通路55との接続箇所と対応する部分に接続されている。第2接続通路44の第2端は、第8配管49に接続されている。
【0052】
第1切換弁45は、制御部90の制御によって、第1接続通路43を介した第1循環回路35と第2循環回路36との連通を許容する許容状態と、第1接続通路43を介した第1循環回路35と第2循環回路36との連通を遮断する遮断状態と、に切換可能である。
【0053】
第1切換弁45は、許容状態のときには、少なくとも第3口45cが開弁した状態になっている。第1切換弁45は、遮断状態のときには、少なくとも第3口45cが閉弁した状態になっている。
【0054】
<冷媒熱媒体熱交換器61>
冷媒熱媒体熱交換器61は、冷媒回路11の第3分岐配管24及び第1循環回路35の第6配管47に連結されている。したがって、冷媒熱媒体熱交換器61は、冷媒回路11及び熱媒体回路31に連結されている。よって、第1循環回路35には、冷媒熱媒体熱交換器61が連結されている。冷媒熱媒体熱交換器61は、第3分岐配管24における第3可変絞り27よりも第4配管20寄りに位置する部分に連結されている。冷媒熱媒体熱交換器61の内部は、第3分岐配管24の一部を構成している。また、冷媒熱媒体熱交換器61の内部は、第6配管47の一部を構成している。そして、冷媒熱媒体熱交換器61は、第3分岐配管24を流れる冷媒と第6配管47を流れる冷却水との熱交換を行う。したがって、冷媒熱媒体熱交換器61は、冷媒回路11を循環する冷媒と熱媒体回路31を循環する冷却水との熱交換を行う。
【0055】
<ヒータ56>
第1循環回路35は、加熱部としてのヒータ56を有している。ヒータ56は、第6配管47における冷媒熱媒体熱交換器61が連結されている箇所よりも第1切換弁45寄りに位置する部分に設けられている。ヒータ56は、第6配管47内を流れて、電池熱交換器38に向けて流れる冷却水を加熱する。ヒータ56は、制御部90に電気的に接続されている。制御部90は、ヒータ56の駆動を制御する。ヒータ56は、制御部90の制御により駆動されると、第6配管47内を流れる冷却水を加熱する。
【0056】
<制御部90>
制御部90は、中央処理制御装置(CPU)を備えている。制御部90は、各種プログラムやマップ等を予め記憶した読出専用メモリ(ROM)、CPUの演算結果等を一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)等により構成されるメモリを備えている。制御部90は、タイマカウンタ、入力インターフェース、出力インターフェース等を備えている。
【0057】
車両用熱マネジメントシステム10は、電池温度センサ91を備えている。電池温度センサ91は、電池32の温度を検出するように構成されている。電池温度センサ91は、制御部90に電気的に接続されている。電池温度センサ91によって検出された電池32の温度に関する検出信号は、制御部90に出力される。
【0058】
車両用熱マネジメントシステム10は、インバータ温度センサ92を備えている。インバータ温度センサ92は、インバータ33の温度を検出するように構成されている。インバータ温度センサ92は、制御部90に電気的に接続されている。インバータ温度センサ92によって検出されたインバータ33の温度に関する検出信号は、制御部90に出力される。
【0059】
車両用熱マネジメントシステム10は、モータ温度センサ93を備えている。モータ温度センサ93は、モータジェネレータ34の温度を検出するように構成されている。モータ温度センサ93は、制御部90に電気的に接続されている。モータ温度センサ93によって検出されたモータジェネレータ34の温度に関する検出信号は、制御部90に出力される。
【0060】
車両用熱マネジメントシステム10は、外気温センサ94を備えている。外気温センサ94は、外気温を検出するように構成されている。外気温センサ94は、制御部90に電気的に接続されている。外気温センサ94によって検出された外気温に関する検出信号は、制御部90に出力される。
【0061】
車両用熱マネジメントシステム10は、室内温度センサ95を備えている。室内温度センサ95は、車室内の温度を検出するように構成されている。室内温度センサ95は、制御部90に電気的に接続されている。室内温度センサ95によって検出された車室内の温度に関する検出信号は、制御部90に出力される。
【0062】
制御部90には、冷媒回路11及び熱媒体回路31の作動を制御する制御プログラムが予め記憶されている。したがって、制御部90は、冷媒回路11及び熱媒体回路31の作動を制御する。
【0063】
制御部90には、車室内の冷房を行う冷房モードと、車室内の暖房を行う暖房モードである第1暖房モード又は第2暖房モードと、に冷媒回路11の作動を切り換えるプログラムが予め記憶されている。したがって、制御部90は、車室内の冷房を行う冷房モードと、車室内の暖房を行う暖房モードである第1暖房モード又は第2暖房モードと、に冷媒回路11の作動を切換可能である。
【0064】
制御部90には、電池暖機モードに切り換えるプログラムが予め記憶されている。したがって、制御部90は、電池暖機モードに切換可能である。制御部90には、暖房補助モードに切り換えるプログラムが予め記憶されている。したがって、制御部90は、暖房補助モードに切換可能である。
【0065】
制御部90は、車両に設けられる空調ECU96に電気的に接続されている。制御部90は、空調ECU96から送信される運転指令に関する信号を受信する。制御部90は、空調ECU96から受信した運転指令に基づいて、冷房モード、第1暖房モード、及び第2暖房モードのいずれかに切り換える。
【0066】
制御部90には、車室内の冷房を行う旨の運転指令に関する信号を空調ECU96から受信した場合に、冷房モードにて車室内の冷房を行うプログラムが予め記憶されている。また、制御部90は、車室内の暖房を行う旨の運転指令に関する信号を空調ECU96から受信したとする。このとき、外気温センサ94により検出される外気温が、予め設定された温度よりも高い場合には、第1暖房モードにて車室内の暖房を行うプログラムが予め記憶されている。一方で、外気温センサ94により検出される外気温が、予め設定された温度以下である場合には、第2暖房モードにて車室内の暖房を行うプログラムが予め記憶されている。なお、「予め設定された温度」とは、例えば、-10℃である。制御部90には、第2暖房モードのときに、暖房補助モードを行うプログラムが予め記憶されている。制御部90には、電池温度センサ91により検出される電池32の温度が目標温度よりも低い場合には、電池暖機モードを行うプログラムが予め記憶されている。
【0067】
制御部90は、室内温度センサ95により検出される車室内の温度が目標温度となるように、冷媒回路11及び熱媒体回路31の作動を制御する。制御部90は、電池温度センサ91により検出される電池32の温度が目標温度となるように、冷媒回路11及び熱媒体回路31の作動を制御する。制御部90は、インバータ温度センサ92により検出されるインバータ33の温度が目標温度となるように、冷媒回路11及び熱媒体回路31の作動を制御する。制御部90は、モータ温度センサ93により検出されるモータジェネレータ34の温度が目標温度となるように、冷媒回路11及び熱媒体回路31の作動を制御する。
【0068】
[実施形態の作用]
次に、本実施形態の作用について説明する。
<冷房モード>
冷房モードでは、制御部90の制御により、第1開閉弁28、第1可変絞り25、及び第2可変絞り26が開弁状態となっている。このとき、第1可変絞り25の開度は全開になっている。よって、第1可変絞り25は、膨張弁として機能していない。一方で、第2可変絞り26の開度は小さくなっている。よって、第2可変絞り26は、膨張弁として機能している。また、冷房モードでは、制御部90の制御により、第2開閉弁29、第3開閉弁30、及び第3可変絞り27が閉弁状態となっている。
【0069】
これにより、圧縮機12から吐出された冷媒は、第1配管17、暖房用室内熱交換器13、第2配管18、室外熱交換器14、第3配管19、冷房用室内熱交換器15、第4配管20、アキュムレータ16、及び第5配管21の順に流れる。なお、冷房モードでは、冷媒が暖房用室内熱交換器13を流れても、暖房用室内熱交換器13にて冷媒と外気との熱交換が行われないようになっている。
【0070】
冷房モードでは、圧縮機12から吐出された冷媒が、室外熱交換器14にて外気に放熱する。室外熱交換器14にて外気に放熱した冷媒は、第2可変絞り26で減圧される。第2可変絞り26で減圧された冷媒は、冷房用室内熱交換器15にて室内空気から吸熱する。これにより、室内空気が冷却される。そして、冷房用室内熱交換器15にて室内空気から吸熱した冷媒は、アキュムレータ16を経由して圧縮機12へ還流される。
【0071】
<第1暖房モード>
第1暖房モードでは、制御部90の制御により、第1開閉弁28、第1可変絞り25、及び第3開閉弁30が開弁状態となっている。このとき、第1可変絞り25の開度は小さくなっている。よって、第1可変絞り25は、膨張弁として機能している。また、第1暖房モードでは、制御部90の制御により、第2開閉弁29、第2可変絞り26、及び第3可変絞り27が閉弁状態となっている。
【0072】
これにより、圧縮機12から吐出された冷媒は、第1配管17、暖房用室内熱交換器13、第2配管18、室外熱交換器14、第3配管19、第2分岐配管23、第4配管20、アキュムレータ16、及び第5配管21の順に流れる。
【0073】
第1暖房モードでは、圧縮機12から吐出された冷媒が、暖房用室内熱交換器13にて室内空気に放熱する。これにより、室内空気が暖められる。したがって、暖房用室内熱交換器13は、第1暖房モードにおいて、冷媒と室内空気との熱交換を行う室内熱交換器である。暖房用室内熱交換器13にて室内空気に放熱した冷媒は、第1可変絞り25で減圧される。第1可変絞り25で減圧された冷媒は、室外熱交換器14にて外気から吸熱する。そして、室外熱交換器14にて外気から吸熱した冷媒は、アキュムレータ16を経由して圧縮機12へ還流される。
【0074】
<第2暖房モード>
第2暖房モードでは、制御部90の制御により、第2開閉弁29及び第3可変絞り27が開弁状態となっている。このとき、第3可変絞り27の開度は小さくなっている。よって、第3可変絞り27は、膨張弁として機能している。また、第2暖房モードでは、制御部90の制御により、第1開閉弁28、第3開閉弁30、第1可変絞り25、及び第2可変絞り26が閉弁状態となっている。
【0075】
これにより、圧縮機12から吐出された冷媒は、第1配管17、暖房用室内熱交換器13、第2配管18、第1分岐配管22、第3配管19、第3分岐配管24、第4配管20、アキュムレータ16、及び第5配管21の順に流れる。
【0076】
第2暖房モードでは、圧縮機12から吐出された冷媒が、暖房用室内熱交換器13にて室内空気に放熱する。これにより、室内空気が暖められる。したがって、暖房用室内熱交換器13は、第2暖房モードにおいて、冷媒と室内空気との熱交換を行う室内熱交換器である。暖房用室内熱交換器13にて室内空気に放熱した冷媒は、第3可変絞り27で減圧される。第3可変絞り27で減圧された冷媒は、冷媒熱媒体熱交換器61にて冷却水から吸熱する。そして、冷媒熱媒体熱交換器61にて冷却水から吸熱した冷媒は、アキュムレータ16を経由して圧縮機12へ還流される。したがって、第2暖房モードでは、冷却水が冷媒熱媒体熱交換器61にて冷媒に放熱し、冷媒が暖房用室内熱交換器13にて室内空気に放熱するように設定可能である。
【0077】
<電池暖機モード>
図2では、車両用熱マネジメントシステム10が、電池暖機モードで運転しているときの冷却水の流れを矢印で示している。なお、図2は、車両用熱マネジメントシステム10における電池暖機モードの一例を示している。
【0078】
図2に示すように、電池暖機モードでは、制御部90の制御により第1切換弁45の駆動が制御されて、第1口45a及び第2口45bが開弁し、且つ、第3口45cが閉弁した状態になっている。したがって、電池暖機モードでは、第1切換弁45を遮断状態に切り換える。
【0079】
電池暖機モードにおける熱媒体回路31では、制御部90の制御により第1ポンプ37が駆動している。したがって、第1循環回路35では、冷却水が循環している。また、電池暖機モードでは、制御部90の制御によりヒータ56が駆動している。そして、第1ポンプ37から第6配管47へ流出して、電池熱交換器38に向けて流れる冷却水は、ヒータ56によって加熱される。ヒータ56により加熱された冷却水は、電池熱交換器38にて電池32に放熱する。これにより、電池32が冷却水によって暖機される。電池32に放熱した冷却水は、第8配管49を介して第1ポンプ37へ還流する。
【0080】
このように、電池暖機モードでは、第1切換弁45を遮断状態に切り換えて、電池熱交換器38に向けて流れる冷却水をヒータ56によって加熱し、加熱された冷却水が電池熱交換器38にて電池32に放熱する。したがって、ヒータ56によって加熱された第1循環回路35を流れる冷却水が、第1接続通路43を介して第2循環回路36に流れずに、電池熱交換器38に向けて流れるため、電池熱交換器38にて冷却水により電池32が効率良く暖機される。
【0081】
図2に示す電池暖機モードにおける熱媒体回路31では、制御部90の制御により第2ポンプ39が駆動している。したがって、第2循環回路36では、冷却水が循環している。また、図2に示す電池暖機モードでは、制御部90の制御により第2切換弁46の駆動が制御されて、第4口46a及び第6口46cが開弁し、且つ、第5口46bが閉弁した状態になっている。
【0082】
これにより、第2ポンプ39からの冷却水は、第9配管50、モータ熱交換器41、第10配管51、第2切換弁46、バイパス通路55、第12配管53、インバータ熱交換器40、及び第13配管54の順に流れる。したがって、第2循環回路36を流れる冷却水は、ラジエータ42を迂回した状態で第2循環回路36を循環する。よって、第2循環回路36を循環する冷却水は、ラジエータ42にて外気に放熱されることが無い。その結果、第2循環回路36を循環する冷却水は、モータ熱交換器41にてモータジェネレータ34からほとんど吸熱せず、さらには、インバータ熱交換器40にてインバータ33からほとんど吸熱しない状態で、第2循環回路36を循環している。
【0083】
図2に示す電池暖機モードでは、第1切換弁45が遮断状態に切り換わっている。したがって、第1接続通路43を介した第1循環回路35と第2循環回路36との間の冷却水の流れが遮断されている。第1接続通路43を介した第1循環回路35から第2循環回路36への冷却水の流れが生じていないことから、第2接続通路44を介した第2循環回路36から第1循環回路35への冷却水の流れも生じない。よって、電池32の温度の調節とインバータ33及びモータジェネレータ34の温度の調節とがそれぞれ独立して行われている。
【0084】
なお、図2に示す電池暖機モードでは、圧縮機12の駆動が停止している。したがって、図2に示す電池暖機モードでは、冷媒回路11の作動が停止されている。よって、図2に示す電池暖機モードにおいて、車両用熱マネジメントシステム10では、冷媒回路11による車室内の空調が行われていない。
【0085】
<暖房補助モード>
図3では、車両用熱マネジメントシステム10が、暖房補助モードで運転しているときの冷媒及び冷却水の流れを矢印で示している。また、図3では、車両用熱マネジメントシステム10が、暖房補助モードで運転しているときの冷媒熱媒体熱交換器61での熱の動きを太い矢印で示している。なお、図3は、車両用熱マネジメントシステム10における暖房補助モードの一例を示している。
【0086】
図3に示す暖房補助モードにおける熱媒体回路31では、制御部90の制御により第1切換弁45の駆動が制御されて、第1口45a及び第3口45cが開弁し、且つ、第2口45bが閉弁した状態になっている。さらに、制御部90の制御により第2切換弁46の駆動が制御されて、第6口46cが開弁し、且つ、第4口46a及び第5口46bが閉弁した状態になっている。
【0087】
図3に示す暖房補助モードにおける熱媒体回路31では、制御部90の制御により第1ポンプ37が駆動している。したがって、第1循環回路35では、冷却水が循環している。また、図3に示す暖房補助モードにおける熱媒体回路31では、制御部90の制御によりヒータ56が駆動している。そして、第1循環回路35を流れる冷却水が、ヒータ56によって加熱される。
【0088】
また、図3に示す暖房補助モードでは、第2ポンプ39の駆動が停止している。よって、第1ポンプ37からの冷却水は、第6配管47、第1切換弁45、第1接続通路43、第2切換弁46、バイパス通路55、第2接続通路44、及び第8配管49の順に流れる。したがって、第1循環回路35を流れる冷却水は、電池熱交換器38を迂回した状態で第1循環回路35を循環する。よって、第1循環回路35を循環する冷却水は、電池熱交換器38にて電池32と熱交換が行われることが無い。
【0089】
冷媒回路11を循環する冷媒は、冷媒熱媒体熱交換器61にて冷却水から吸熱する。したがって、ヒータ56によって加熱された冷却水は、冷媒熱媒体熱交換器61にて冷媒に放熱する。これにより、冷媒が冷却水によって暖められる。
【0090】
このように、図3に示す暖房補助モードでは、第1切換弁45を許容状態に切り換えて、ヒータ56によって加熱された冷却水が電池熱交換器38を迂回した状態で第1循環回路35を循環する。そして、加熱された冷却水が冷媒熱媒体熱交換器61にて冷媒に放熱することで冷媒を暖めて、冷媒が暖房用室内熱交換器13にて室内空気に放熱する。これにより、ヒータ56によって加熱された冷却水が電池熱交換器38にて電池32に放熱されること無く、ヒータ56によって加熱された冷却水が冷媒熱媒体熱交換器61にて冷媒に放熱されるため、車室内の暖房が効率良く行われる。
【0091】
図4に示す暖房補助モードでは、制御部90の制御により第2ポンプ39が駆動している。したがって、第2循環回路36では、ラジエータ42を迂回した状態で冷却水が循環している。そして、図4に示す暖房補助モードでは、第1循環回路35から第1接続通路43を介して第2循環回路36へ流れる冷却水の分だけ、第2循環回路36を流れている冷却水が、第2接続通路44を介して第8配管49へ流出する。このように、暖房補助モードでは、モータ熱交換器41にてモータジェネレータ34から吸熱するとともに、インバータ熱交換器40にてインバータ33から吸熱した冷却水が、第2接続通路44を介して第1循環回路35へ流れて冷媒熱媒体熱交換器61にて冷媒に放熱するように設定可能である。よって、モータジェネレータ34及びインバータ33から生じる熱も暖房を行う際の熱として利用される。したがって、車室内の暖房能力が向上するため、車室内の暖房がさらに効率良く行われる。
【0092】
[実施形態の効果]
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)電池暖機モードでは、第1切換弁45が遮断状態に切り換わっている。そして、電池熱交換器38に向けて流れる冷却水をヒータ56によって加熱し、加熱された冷却水が電池熱交換器38にて電池32に放熱する。したがって、ヒータ56によって加熱された第1循環回路35を流れる冷却水が、第1接続通路43を介して第2循環回路36に流れず、電池熱交換器38に向けて流れるため、電池熱交換器38にて冷却水により電池32を効率良く暖機することができる。
【0093】
また、暖房補助モードでは、第1切換弁45が許容状態に切り換わっている。そして、ヒータ56によって加熱された冷却水が電池熱交換器38を迂回した状態で第1循環回路35を循環し、加熱された冷却水が冷媒熱媒体熱交換器61にて冷媒に放熱することで冷媒を暖める。冷媒は暖房用室内熱交換器13にて室内空気に放熱する。これにより、ヒータ56によって加熱された冷却水が電池熱交換器38にて電池32に放熱されること無く、ヒータ56によって加熱された冷却水が冷媒熱媒体熱交換器61にて冷媒に放熱されるため、車室内の暖房を効率良く行うことができる。以上により、電池32の暖機と車室内の暖房とを効率良く行うことができる。
【0094】
(2)暖房補助モードでは、モータ熱交換器41にてモータジェネレータ34から吸熱するとともに、インバータ熱交換器40にてインバータ33から吸熱した冷却水が、第2接続通路44を介して第1循環回路35へ流れて冷媒熱媒体熱交換器61にて冷媒に放熱するように設定可能である。これによれば、モータジェネレータ34及びインバータ33から生じる熱も暖房を行う際の熱として利用することができる。したがって、車室内の暖房能力を向上させることができるため、車室内の暖房をさらに効率良く行うことができる。
【0095】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0096】
○ 実施形態において、電池暖機モードを行っているときに、第2ポンプ39の駆動が停止していてもよい。要は、電池暖機モードを行っているときに、第2循環回路36における冷却水の循環が行われておらず、インバータ33及びモータジェネレータ34の温度の調節が行われていなくてもよい。
【0097】
○ 実施形態において、電池暖機モードを行っているときに、例えば、冷媒回路11が作動することにより、冷房モードを行っていてもよいし、第1暖房モードを行っていてもよい。
【0098】
○ 実施形態において、電池熱交換器38に向けて流れる冷却水を加熱する加熱部としてヒータ56を用いたが、これに限らない。要は、電池熱交換器38に向けて流れる冷却水を加熱することが可能なものであれば、その具体的な構成は特に限定されるものではない。
【0099】
○ 実施形態において、熱媒体回路31を循環する熱媒体は、冷却水に限らない。要は、熱媒体回路31を循環する熱媒体は、電池32、インバータ33、及びモータジェネレータ34の温度を調節可能であれば特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0100】
10…車両用熱マネジメントシステム、11…冷媒回路、13…室内熱交換器である暖房用室内熱交換器、31…熱媒体回路、32…電池、33…駆動機器であるインバータ、34…駆動機器であるモータジェネレータ、35…第1循環回路、36…第2循環回路、37…第1ポンプ、38…電池熱交換器、39…第2ポンプ、40…駆動機器熱交換器であるインバータ熱交換器、41…駆動機器熱交換器であるモータ熱交換器、42…ラジエータ、43…接続通路としての第1接続通路、44…接続通路としての第2接続通路、45…切換弁としての第1切換弁、56…加熱部としてのヒータ、61…冷媒熱媒体熱交換器、90…制御部。
図1
図2
図3
図4