(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063735
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】ファン取付部カバー、ファン付きウェアのウェア本体及びファン付きウェア
(51)【国際特許分類】
A41D 13/002 20060101AFI20240502BHJP
A41D 13/005 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
A41D13/002 105
A41D13/005 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023100430
(22)【出願日】2023-06-20
(31)【優先権主張番号】P 2022171059
(32)【優先日】2022-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592171005
【氏名又は名称】株式会社セフト研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】市ヶ谷 弘司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 知弘
(72)【発明者】
【氏名】村川 佑菜
(72)【発明者】
【氏名】市ヶ谷 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】石塚 隆博
(72)【発明者】
【氏名】住吉 右次
【テーマコード(参考)】
3B211
【Fターム(参考)】
3B211AA01
3B211AC02
3B211AC03
3B211AC08
(57)【要約】
【課題】ファン付きウェアについて、雨天時に使用しても着用者の身体やファン付きウェアの中に着用した衣服が濡れにくくする。
【解決手段】ファン付きウェア100は、ウェア本体1とファン2とを備え、ウェア本体1は、ファン2を取り付けるためのファン取付孔111が形成された服地部11と、ファン取付孔111を服地部11の内面側から覆う内面カバー12と、を備える。服地部11は、内面カバー12と服地部11との間の空間内の水を服地部11の外面側へと排水する排水孔112を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファン付きウェアのウェア本体の服地部に、ファンを取り付けるためのファン取付部を前記服地部の内面側から覆うようにして取り付けられることを特徴とするファン取付部カバー。
【請求項2】
前記ファン取付部カバー内の空間から、ファンによって当該空間内に導入された空気を当該空間外に送出するための開口部である空気送出部を備えることを特徴とする請求項1に記載のファン取付部カバー。
【請求項3】
前記空気送出部は、前記ファン取付部カバーが前記服地部に取り付けられた状態で、前記ファン取付部よりも上方に位置するように形成されていることを特徴とする請求項2に記載のファン取付部カバー。
【請求項4】
前記ファン取付部カバー内の水を前記ファン取付部カバー外へと排水する排水部を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のファン取付部カバー。
【請求項5】
前記ファン取付部カバーから突出する突出部を備え、前記排水部は前記突出部に形成されていることを特徴とする請求項4に記載のファン取付部カバー。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか一項に記載のファン取付部カバーと、
ファンを取り付けるためのファン取付部が形成された服地部と、
を備えることを特徴とするファン付きウェアのウェア本体。
【請求項7】
前記ファン取付部カバーは、上端部を除いた全周が前記服地部に接続されていることを特徴とする請求項6に記載のファン付きウェアのウェア本体。
【請求項8】
前記服地部は、前記ファン取付部カバー内の空間から、当該空間内の水を前記服地部の外面側へと排水する排水部を備えることを特徴とする請求項6に記載のファン付きウェアのウェア本体。
【請求項9】
前記排水部は、前記ファン取付部の下方に形成されていることを特徴とする請求項8に記載のファン付きウェアのウェア本体。
【請求項10】
前記排水部は、前記服地部の前記ファン取付部カバーによって覆われた部分に形成された開口部であることを特徴とする請求項8に記載のファン付きウェアのウェア本体。
【請求項11】
前記ファン取付部カバーは、下方へと徐々に左右方向の幅が狭くなるように形成され、
前記排水部は、前記服地部の前記ファン取付部カバーによって覆われた部分の下端部近傍に形成されていることを特徴とする請求項10に記載のファン付きウェアのウェア本体。
【請求項12】
前記ファン取付部カバーは、前記服地部の前記ファン取付部が形成された部分の内面側と対向するように配置されたカバー本体と、前記カバー本体と前記服地部とを接続し、下方へと徐々に幅が狭くなるように形成された側面部と、を備え、
前記排水部は、前記服地部の前記ファン取付部カバーによって覆われた部分の下端部近傍に形成されていることを特徴とする請求項10に記載のファン付きウェアのウェア本体。
【請求項13】
前記排水部にはメッシュが備えられていることを特徴とする請求項10に記載のファン付きウェアのウェア本体。
【請求項14】
前記服地部と、前記ファン取付部カバーと、は別体として形成されていることを特徴とする請求項6に記載のファン付きウェアのウェア本体。
【請求項15】
前記ファン取付部カバーは、前記ファン取付部カバー内の水を前記ファン取付部カバー外へと排水する排水部を備え、
前記ファン取付部カバーは、前記排水部が前記服地部の外面側に位置するようにして前記服地部に取り付けられることを特徴とする請求項14に記載のファン付きウェアのウェア本体。
【請求項16】
前記ファン取付部カバーは、前記ファン取付部カバーから突出する突出部を備え、
前記排水部は前記突出部に形成され、
前記服地部は、前記突出部を挿通させることができる開口部を備えることを特徴とする請求項15に記載のファン付きウェアのウェア本体。
【請求項17】
前記ファン取付部カバーは、
ファンを挿通させることができるファン挿通部を備え、
前記ファン挿通部と前記ファン取付部とが重なるようにして前記服地部に取り付けられることを特徴とする請求項14に記載のファン付きウェアのウェア本体。
【請求項18】
請求項6に記載のウェア本体と、
前記ファン取付部に取り付けられたファンと、
を備えることを特徴とするファン付きウェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファン取付部カバー、ファン付きウェアのウェア本体及びファン付きウェアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、身体を冷却するファン付きウェアが実用化され、急速に普及しつつある。ファン付きウェアは、例えば、通気性の低い素材で形成されたウェア本体と、ウェア本体の後側に取り付けられた2つのファンと、2つのファンに電力を供給するための電源部と、電源部と2つのファンとを電気的に接続するための接続ケーブルと、を備える。
【0003】
ファンを作動させると、大量の空気がファンからウェア本体内に取り込まれ、取り込まれた空気の圧力により、ウェア本体と着用者の身体との間に空気が流通する空間が自動的に形成される。取り込まれた空気は、形成された空間内を、着用者の身体又はウェア本体の下に着用した下着の表面に沿って流通し、例えば、襟部や袖部の開口部に形成された空気排出部から外部に排出される。
そして、取り込まれた空気が、ウェア本体と着用者の身体又は下着との間の空間内を流通する間に、身体から出た汗を蒸発させ、蒸発する際の気化熱により身体が冷却される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなファン付きウェアは、晴天時に限らず、雨天時に使用することも想定されるところ、雨天時に使用すると、ファンによって外気と共に雨の水滴をウェア本体内に取り込んでしまい、ウェア本体内の着用者の身体や着用者がファン付きウェアの中に着用した衣服が濡れてしまう可能性があった。
【0006】
本発明の課題は、ファン付きウェアについて、雨天時に使用しても着用者の身体やファン付きウェアの中に着用した衣服が濡れにくくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、ファン取付部カバーにおいて、
ファン付きウェアのウェア本体の服地部に、ファンを取り付けるためのファン取付部を前記服地部の内面側から覆うようにして取り付けられることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のファン取付部カバーにおいて、
前記ファン取付部カバー内の空間から、ファンによって当該空間内に導入された空気を当該空間外に送出するための開口部である空気送出部を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のファン取付部カバーにおいて、
前記空気送出部は、前記ファン取付部カバーが前記服地部に取り付けられた状態で、前記ファン取付部よりも上方に位置するように形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のファン取付部カバーにおいて、
前記ファン取付部カバー内の水を前記ファン取付部カバー外へと排水する排水部を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のファン取付部カバーにおいて、
前記ファン取付部カバーから突出する突出部を備え、前記排水部は前記突出部に形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、ファン付きウェアのウェア本体において、
請求項1から3のいずれか一項に記載のファン取付部カバーと、
ファンを取り付けるためのファン取付部が形成された服地部と、
を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のファン付きウェアのウェア本体において、
前記ファン取付部カバーは、上端部を除いた全周が前記服地部に接続されていることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載のファン付きウェアのウェア本体において、
前記服地部は、前記ファン取付部カバー内の空間から、当該空間内の水を前記服地部の外面側へと排水する排水部を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のファン付きウェアのウェア本体において、
前記排水部は、前記ファン取付部の下方に形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項8に記載のファン付きウェアのウェア本体において、
前記排水部は、前記服地部の前記ファン取付部カバーによって覆われた部分に形成された開口部であることを特徴とする。
【0017】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載のファン付きウェアのウェア本体において、
前記ファン取付部カバーは、下方へと徐々に左右方向の幅が狭くなるように形成され、
前記排水部は、前記服地部の前記ファン取付部カバーによって覆われた部分の下端部近傍に形成されていることを特徴とする。
【0018】
請求項12に記載の発明は、請求項10に記載のファン付きウェアのウェア本体において、
前記ファン取付部カバーは、前記服地部の前記ファン取付部が形成された部分の内面側と対向するように配置されたカバー本体と、前記カバー本体と前記服地部とを接続し、下方へと徐々に幅が狭くなるように形成された側面部と、を備え、
前記排水部は、前記服地部の前記ファン取付部カバーによって覆われた部分の下端部近傍に形成されていることを特徴とする。
【0019】
請求項13に記載の発明は、請求項10に記載のファン付きウェアのウェア本体において、
前記排水部にはメッシュが備えられていることを特徴とする。
【0020】
請求項14に記載の発明は、請求項6に記載のファン付きウェアのウェア本体において、
前記服地部と、前記ファン取付部カバーと、は別体として形成されていることを特徴とする。
【0021】
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載のファン付きウェアのウェア本体において、
前記ファン取付部カバーは、前記ファン取付部カバー内の水を前記ファン取付部カバー外へと排水する排水部を備え、
前記ファン取付部カバーは、前記排水部が前記服地部の外面側に位置するようにして前記服地部に取り付けられることを特徴とする。
【0022】
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載のファン付きウェアのウェア本体において、
前記ファン取付部カバーは、前記ファン取付部カバーから突出する突出部を備え、
前記排水部は前記突出部に形成され、
前記服地部は、前記突出部を挿通させることができる開口部を備えることを特徴とする。
【0023】
請求項17に記載の発明は、請求項14に記載のファン付きウェアのウェア本体において、
前記ファン取付部カバーは、
ファンを挿通させることができるファン挿通部を備え、
前記ファン挿通部と前記ファン取付部とが重なるようにして前記服地部に取り付けられることを特徴とする。
【0024】
請求項18に記載の発明は、ファン付きウェアにおいて、
請求項6に記載のウェア本体と、
前記ファン取付部に取り付けられたファンと、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ファン付きウェアについて、雨天時に使用しても着用者の身体やファン付きウェアの中に着用した衣服が濡れにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】第1実施形態に係るファン付きウェアの前身頃開閉手段を開いた状態における正面図である。
【
図2】第1実施形態に係るファン付きウェアを着用者が着用した状態の背面図である。
【
図3】
図2のIII-III部における断面図である。なお、ウェア本体に備えられる電源部保持部及びケーブル保持部、電源部並びに接続ケーブルの図示を省略している。
【
図4】第1実施形態に係るファン付きウェアのウェア本体の内面カバーが備えられた部分を内面側から見た斜視図である。
【
図5】第2実施形態に係るファン付きウェアの前身頃開閉手段を開いた状態における正面図である。
【
図6】第2実施形態に係るファン付きウェアを着用者が着用した状態の背面図である。
【
図7】
図6のVII-VII部における断面図である。なお、ウェア本体に備えられる電源部保持部及びケーブル保持部、電源部並びに接続ケーブルの図示を省略している。
【
図8】第2実施形態に係るファン付きウェアのウェア本体の内面カバーをファン挿通孔側から見た斜視図である。
【
図9】第2実施形態に係るファン付きウェアのウェア本体にファンが取り付けられた部分をウェア本体の内面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、
図1から
図10に基づいて説明する。ただし、本発明の技術的範囲は図示例に限定されるものではなく、以下説明する実施の形態には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更を加えることが可能である。
【0028】
[1 第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係るファン付きウェア100について、
図1から
図4に基づいて説明する。
【0029】
以下においては、着用者がファン付きウェア100を着用した状態を基準として、着用者の前方向を前、着用者の後方向を後、着用者の上方向を上、着用者の下方向を下、着用者の右方向を右、着用者の左方向を左と定めて説明する。
なお、ウェア本体1の前身頃開閉手段13を開いた状態においては、
図1に示すように、ウェア本体1の着用時に着用者側に向く面が向く方向を前、その反対方向を後と定めて説明する。
また、ファン付きウェア100のいずれの構成について説明する際にも、ファン付きウェア100の着用時に着用者に向く側を内面側、その反対側の外部空間に向く側を外面側とする。
【0030】
[(1) 実施形態の構成]
実施形態に係るファン付きウェア100は、
図1及び
図2に示すように、ウェア本体1と、ウェア本体1内に空気を導入するためのファン2と、ファン2に電力を供給する電源部3と、電源部3とファン2との間を接続する接続ケーブル4と、を備え、ファン2によってウェア本体1内に取り込まれた空気を、着用者Wの身体又はウェア本体1の下に着用した下着の表面に沿って流通させた後に、ファン付きウェア100の着用時にウェア本体1の襟部と着用者Wの首との間の隙間及びウェア本体1の袖部と着用者Wの腕との間の隙間に形成される空気排出部Vから排出することで、身体から出た汗を蒸発させ、蒸発する際の気化熱により身体を冷却するものである。
【0031】
[a ウェア本体]
ウェア本体1は、ファン付きウェア100の内、ファン2、電源部3、接続ケーブル4等の電気部品を除いた部分であり、
図1及び
図2に示すように、着用者Wの胴部及び腕部を覆うブルゾン型の上衣の形状に形成されている。
【0032】
ウェア本体1は、服地部11と、内面カバー12と、前身頃開閉手段13と、空気漏れ防止手段14と、電源部保持部15と、ケーブル保持部16と、を備えて構成されている。
【0033】
[(a) 服地部]
服地部11は、雨水を透過させない程度の防水性を有するシート状の部材によって、着用者Wの胴部及び腕部を覆うブルゾン型の上衣の形状に形成された部分である。ウェア本体1を構成するシート状の部材のうち、このようなブルゾン型の上衣としての形状を形成する部分を服地部11とする。
【0034】
なお、ウェア本体1の形状はこれに限られず、例えば、着用者Wの胴部のみを覆うベスト型に形成してもよい。この場合、このようなベスト型の上衣として形状を形成する部分が服地部11に該当することとなる。すなわち、ウェア本体1の形状を問わず、ウェア本体1を構成するシート状の部材のうち、衣服の形状を形成する部分が服地部11に該当する。
【0035】
服地部11には、
図2から
図4に示すように、ファン取付孔111と、排水孔112と、が形成されている。
【0036】
[ファン取付孔]
ファン取付孔111は、ファン2をウェア本体1に取り付けるための開口部であり、
図2に示すように、服地部11の着用者Wの腰の左右に対応する位置に形成されている。
【0037】
ファン取付孔111は、直径が後述のファン2の直径と略同一の円形となるように形成され、
図3に示すようにファン取付孔111を挿通するようにしてファン2を取り付けることで、ファン取付孔111を介して、服地部11の外面側の空気を服地部11の内面側に取り込むことができる。
【0038】
ファン取付孔111の周囲は、例えばプラスチック等によって形成された扁平な環状の部材を取り付ける、服地部11のファン取付孔111周囲の部分を折り返して縫合する等の方法で、補強されていることが好ましい。
【0039】
[排水孔]
排水孔112は、服地部11の内面側と内面カバー12との間の空間内の水を、服地部11の外面側へと排水するための開口部であり、
図2から
図4に示すように、服地部11のファン取付孔111の下方の位置に形成されている。
【0040】
排水孔112は、
図3及び
図4に示すように、服地部11の内面側が内面カバー12によって覆われた部分の下端部近傍に位置し、
図2及び
図4に示すように、前後方向から見た際に内面カバー12のカバー本体121の下端部近傍の形状と一致する形状(上方に底辺が位置する略二等辺三角形)の開口部として形成されている。
【0041】
排水孔112は、
図2及び
図4に示すように、全面に網状の部材であるメッシュ1121を備える。したがって、服地部11の内面側と内面カバー12との間の空間内の水は、メッシュ1121の隙間から、服地部11の外面側へと排水されることとなる。
【0042】
[(b) 内面カバー]
内面カバー12は、ファン取付孔111を服地部11の内面側から覆うようにして服地部11に取り付けられたシート状の部材であり、
図1、
図3及び
図4に示すように、ファン取付孔111の前方に配置されたカバー本体121と、カバー本体121と服地部11との間を接続する左右一対の側面部122と、から形成されている。また、カバー本体121の上端部と服地部11との間に、空気送出部123が形成されている。
なお、伸ばした状態の服地部11を内面側から垂直に見た際(
図1において前方から見た際)に、ファン取付孔111が見えない状態であれば、内面カバー12がファン取付孔111を服地部11の内面側から覆っているものとする。
【0043】
内面カバー12に使用するシート状の部材としては、例えば服地部11に用いられるのと同一の雨水を透過させない程度の防水性を有するものを用いればよい。
【0044】
カバー本体121は、服地部11のファン取付孔111が形成された部分の前方に、服地部11の内面側と対向するように配置されたシート状の部材であり、
図1及び
図4に示すように、前方から見た際に下方へと徐々に左右方向の幅が狭くなるように形成されている。
【0045】
側面部122は、
図4に示すように、カバー本体121の左右両端部と服地部11とを繋ぐようにして備えられたシート状の部材である。
また、側面部122は、
図3及び
図4に示すように、下方へと徐々に前後方向の幅が狭くなり、カバー本体121が下方へと徐々に服地部11の内面側に近づくように形成されている。
また、上記のようにカバー本体121の左右方向の幅が徐々に狭くなることから、内面カバー12の下端部においては、
図4に示すように右側の側面部122と左側の側面部122とが接することとなる。
【0046】
空気送出部123は、ファン2によって内面カバー12内の空間(この場合、内面カバー12と服地部11との間の空間)内に導入された空気を、服地部11内の空間のうち、内面カバー12内の空間以外の空間へと送出するための開口部である。なお、この場合、内面カバー12と服地部11との間の空間は、前方及び左右方向が内面カバー12によって覆われ、後方が服地部11によって覆われた空間となるが、内面カバー12によって3方向以上が覆われていれば当該空間は内面カバー12内の空間に該当するものとする。
【0047】
内面カバー12は、
図4に示すように、上端部を除いた全周(左右の側面部122の後端部)が服地部11の内面側に接続されており、空気送出部123は、内面カバー12の上端部と服地部11との間に形成されている。
【0048】
[(c) 前身頃開閉手段]
前身頃開閉手段13は、ウェア本体1を前開きとし、着用者Wがファン付きウェア100を着用する際に、ウェア本体1の前部を開閉するための手段であり、
図1に示すように、服地部11の前身頃の分割部分の左右両側に、例えば線ファスナー等を備えて、当該分割部分を着脱自在とすることにより形成されている。
【0049】
[(d) 空気漏れ防止手段]
空気漏れ防止手段14は、ファン付きウェア100を着用者Wが着用した際に、ウェア本体1と着用者Wの身体との間の空間内の空気がウェア本体1の下端部から外部空間に漏れることを防止するための手段であり、
図1から
図3に示すように、服地部11の下端部近傍に、例えば、ゴム紐等の伸縮性のある部材を、前身頃開閉手段13を接続した際に着用者Wの身体を周回するように備えることによって構成されている。
【0050】
[(e) 電源部保持部]
電源部保持部15は、電源部3を、接続ケーブル4を通じてファン2へと電力を供給可能な位置において保持するための手段であり、例えば、
図1に示すように、服地部11の前身頃の内面側に備えられた電源部3を収納可能なポケットを用いることができる。
【0051】
[(f) ケーブル保持部]
ケーブル保持部16は、接続ケーブル4を、服地部11の内面側において保持するための手段であり、例えば、一般的なベルト通しのように、上下方向に長い布を上下2か所において縫い付けることにより、接続ケーブル4を挿通可能な開口部を有するリング状に形成され、当該開口部に接続ケーブル4を挿通させることによって、これを服地部11の内面側において保持することができるように構成されている。
【0052】
[b ファン]
ファン2は、ファン取付孔111を通して、ウェア本体1内の服地部11と内面カバー12との間の空間に空気を導入するための装置であり、
図2及び
図3に示すように、ウェア本体1の服地部11のファン取付孔111を挿通し、空気を取り込む部分が服地部11の外面側に位置し、空気を送出する部分が服地部11の内面側に位置するようにして取り付けられる
ファン2には、電源部3より、接続ケーブル4を通じて稼働に必要な電力が供給される。
【0053】
ファン2は、ファン取付孔111を挿通するようにしてウェア本体1に取り付けられ、外部空間の空気をウェア本体1内の服地部11と内面カバー12との間の空間へと導入できるものであればよいが、モータの電気部品について、例えば樹脂によって封止することによって防水性を有するようにすることが、ファン2の故障を防止する上で好ましい。
また、本実施形態の場合、服地部11の着用者Wの腰部に対応する位置に備えられた2つのファン取付孔111に2つのファン2を取り付けるようにしており、このような配置が最も好ましいものの、ファン2を取り付ける位置及び取り付ける個数はこれに限られるものではない。
【0054】
[c 電源部]
電源部3は、ファン2に電力を供給するための手段であり、例えば、安全保護回路が付加されたリチウムイオン組電池が内蔵され、接続ケーブル4を介してファン2と接続される。また、電源部3は、ファン2に供給する電力のオン/オフを切り替えるスイッチを備える。
電源部3は、ファン2に電力を供給することができるものであれば、その具体的な構成は特に限定されない。
【0055】
電源部3は、
図1に示すように、ウェア本体1の内面側に備えられたポケットである電源部保持部15内に収納されて、ウェア本体1に取り付けられる。
【0056】
[d 接続ケーブル]
接続ケーブル4は、電源部3とファン2とを接続するケーブルであり、接続ケーブル4を通じて、電源部3からファン2に対して、ファン2の稼働に必要な電力が供給される。
接続ケーブル4は、
図1に示すように、一端部が電源部3に接続されると共に、他端部が二つに枝分かれし、それぞれの端部が空気送出部123から内面カバー12と服地部11との間の空間内に通され、当該空間内においてファン2と接続される。
【0057】
[(2) 実施形態の効果]
本実施形態に係るファン付きウェア100によれば、ウェア本体1が、ファン取付孔111が形成された服地部11と、ファン取付孔111を服地部11の内面側から覆う内面カバー12と、を備えることによって、ファン取付孔111からウェア本体1内に雨水が取り込まれた場合に、取り込まれた雨水が内面カバー12で遮られ、ウェア本体1内に広がり難くなる。
これによって、雨天時にファン付きウェア100を使用しても、ウェア本体1内の着用者の身体やウェア本体1内に着用した衣服を濡れにくくすることができる。
【0058】
また、例えば、ファン取付孔111を服地部11の外面側から覆うようにして、シート状の部材によって形成されたカバーを取り付けると、ファン2を作動させた際に、ファン2の服地部11の外面側に位置する部分に形成された空気の取り込み部にこのようなカバーが張り付いてしまい、ファン2によるウェア本体1内への空気の取り込みが阻害されるおそれがあるが、ファン取付孔111を服地部11の内面側から覆うようにして内面カバー12を備えることによって、このようなカバーによってウェア本体1内への空気の取り込みが阻害されるおそれも低減できる。
【0059】
また、内面カバー12が空気送出部123を備えることから、空気送出部123を介して、内面カバー12と服地部11との間の空間から、ファン2によって当該空間内に導入された空気をウェア本体1内のその他の空間へと送出することができる。
【0060】
また、内面カバー12の上端部を除いた全周が服地部11に接続され、内面カバー12の上端部と服地部11との間に空気送出部123が形成されていることで、空気送出部123が、ファン取付孔111よりも上方に形成されることから、ウェア本体1内の内面カバー12と服地部11との間の空間内へとファン2によって取り込まれた雨水が、空気送出部123からウェア本体1内のその他の空間内に達しにくくすることができる。
【0061】
また、内面カバー12と服地部11との間の空間内の水を服地部11の外面側へと排水する排水孔112を備えることで、ファン2によってウェア本体1内に取り込まれた雨水をウェア本体1外へと排水することができる。
【0062】
また、排水孔112が、ファン取付孔111の下方に形成されていることで、ファン取付孔111に取り付けられたファン2によってウェア本体1内へと取り込まれた雨水を、排水孔112から排水し易くなる。
【0063】
また、内面カバー12が、下方へと徐々に左右方向の幅が狭くなるように形成され、排水孔112が、服地部11の内面カバー12によって覆われた部分の下端部近傍に形成されていることで、内面カバー12と服地部11との間の空間内の水を排水孔112へと誘導し易くなる。
【0064】
また、内面カバー12が、服地部11のファン取付孔111が形成された部分の内面側と対向するように配置されたカバー本体121と、カバー本体121と服地部11とを接続し、下方へと徐々に前後方向の幅が狭くなるように形成された側面部122と、を備え、排水孔112が、服地部11の内面カバー12によって覆われた部分の下端部近傍に形成されていることで、カバー本体121を排水孔112が形成された部分に向けて徐々に服地部11に近づくように配置することができ、内面カバー12と服地部11との間の空間内の水を排水孔112へと誘導し易くなる。
【0065】
また、排水孔112にメッシュ1121が備えられていることで、排水孔112から、メッシュの網目を超えるような大きさのごみ等がウェア本体1内へと侵入することを防止できる。
【0066】
[2 第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係るファン付きウェア100Aについて、
図5から
図10に基づいて説明する。なお、第1実施形態に係るファン付きウェア100と同一の部分については説明を省略する。
【0067】
[(1) 実施形態の構成]
実施形態に係るファン付きウェア100Aは、
図5及び
図6に示すように、ウェア本体1Aと、ファン2Aと、電源部3と、接続ケーブル4と、を備える。
【0068】
[a ウェア本体]
ウェア本体1Aは、ファン付きウェア100Aの内、ファン2A、電源部3、接続ケーブル4等の電気部品を除いた部分であり、
図5及び
図6に示すように、着用者Wの胴部及び腕部を覆うブルゾン型の上衣の形状に形成されている。なお、この場合もウェア本体1Aの形状はこのようなブルゾン型の上衣の形状に限られない。
【0069】
ウェア本体1Aは、服地部11Aと、内面カバー12Aと、前身頃開閉手段13と、空気漏れ防止手段14と、電源部保持部15と、ケーブル保持部16と、を備えて構成されている。
【0070】
[(a) 服地部]
服地部11Aは、雨水を透過させない程度の防水性を有するシート状の部材によって、着用者Wの胴部及び腕部を覆うブルゾン型の上衣の形状に形成された部分である。
【0071】
服地部11Aには、
図5から
図7に示すように、ファン取付孔111と、挿通部113と、が形成されている。
【0072】
挿通部113は、後述のように内面カバー12Aの下端部に備えられた突出部125を、服地部11Aの内面側から外面側へと挿通させることができる開口部であり、
図5から
図7及び
図10に示すように、服地部11Aのファン取付孔111の下方の位置に、左右方向に延在する切れ目を設けることによって形成されている。また、挿通部113は、
図7及び
図10に示すように、上下方向において所定の幅で服地部11Aを形成するシート状の部材が前後に重なるようにして形成されていることが好ましい。
【0073】
[(b) 内面カバー]
内面カバー12Aは、ファン取付孔111を服地部11Aの内面側から覆うようにして服地部11Aに取り付けられる部材であり、樹脂材料等の服地部11Aを形成するシート状の部材と比較して硬質な材料により、服地部11Aと別体として形成されている。なお、服地部11Aに対して着脱自在であれば、内面カバー12Aは服地部11Aと別体として形成されているものとする。
【0074】
内面カバー12Aに使用する材料としては、雨水を透過させない程度の防水性を有し、かつ服地部11Aに取り付けられた状態で形状を維持できる程度の強度を有するものを用いればよい。
【0075】
内面カバー12Aは、
図5から
図10に示すように、ファン取付孔111を服地部11Aの内面側から覆うカバー部124と、カバー部124の下端部から下方へと突出する突出部125と、を備える。
なお、この場合も、伸ばした状態の服地部11Aを内面側から垂直に見た際(
図5において前方から見た際)に、ファン取付孔111が見えない状態であれば、内面カバー12Aのカバー部124がファン取付孔111を服地部11Aの内面側から覆っているものとする。
【0076】
[カバー部]
カバー部124は、
図5及び
図7から
図10に示すように、カバー部124の前面に配置された前面部1241と、カバー部124の後面に配置された後面部1242と、前面部1241と後面部1242との間を接続する左右一対の側面部1243と、から形成されている。また、前面部1241の上端部と後面部1242の上端部との間に、空気送出部1244が形成されている。
【0077】
前面部1241及び後面部1242は、
図8及び
図9に示すように、前後方向から見た際に同一の形状となり、下方へと徐々に左右方向の幅が狭くなるように形成されている。
また、後面部1242には、
図7、
図8及び
図10に示すように、後述のようにファン2Aのファン本体21を挿通させるための開口部であるファン挿通孔12421が形成されている。
ファン挿通孔12421は、服地部11Aに形成されたファン取付孔111と同一の直径の円形となるように形成されている。
【0078】
側面部1243は、
図8及び
図9に示すように、前面部1241の左端部と後面部1242の左端部とを繋ぎ、また、前面部1241の右端部と後面部1242の右端部とを繋ぐようにして左右一対備えられている。
また、側面部1243は、
図7から
図10に示すように、下方へと徐々に前後方向の幅が狭くなり、前面部1241と後面部1242との前後方向の間隔が狭くなるように形成されている。
【0079】
空気送出部1244は、ファン2Aによって内面カバー12A内の空間内に導入された空気を、服地部11A内の空間のうち、内面カバー12A内の空間以外の空間へと送出するための開口部である。
【0080】
[突出部]
突出部125は、
図5,
図7、
図8及び
図10に示すように、カバー部124の下端部から突出するように形成された部分であり、
図7及び
図10に示すように内部が中空となる筒状に形成され、下端部に、内面カバー12A内の空間内の水を当該空間外へと排水する排水部1251を備える。
【0081】
上記のように筒状に形成された突出部125内の空間は、
図7及び
図10に示すように、上端部においてカバー部124内の空間に接続され、下端部において排水部1251に接続されている。
【0082】
[b ファン]
ファン2Aは、ファン取付孔111を通して、ウェア本体1A内の空間に空気を導入するための装置であり、電源部3より、接続ケーブル4を通じて稼働に必要な電力が供給される。
【0083】
ファン2Aは、
図9及び
図10に示すように、ファン本体21と、取付リング22と、を備える。
【0084】
[(a) ファン本体]
ファン本体21は、
図10に示すように、空気の流れを生じさせるプロペラ215が収納された、ファン2Aの本体をなす部分である。
【0085】
ファン本体21内に収納されたプロペラ215は、モータ216により、前後方向の軸を回転軸として回転させることによって、後述の空気取込部211側から空気送出部212側へと向かう(後方から前方へと向かう)空気の流れを生じさせる。プロペラの形状は、空気取込部211側から空気送出部212側へと向かう空気の流れを生じさせることができるものであれば特に限定されない。また、この場合も、モータ216の電気部品について、例えば樹脂によって封止することによって防水性を有するようにすることが、ファン2Aの故障を防止する上で好ましい。
【0086】
ファン本体21には、
図10に示すように、ウェア本体1Aに取り付けた際にウェア本体1Aの服地部11Aの外面側(後方側)に位置する部分に、内部のプロペラ215を回転させた際に空気が取り込まれる部分である空気取込部211が形成され、ウェア本体1Aに取り付けた際にウェア本体1Aの服地部11Aの内面側(前方側)に位置する部分に、内部のプロペラを回転させた際に空気が送出される部分である空気送出部212が形成されている。
【0087】
また、ファン本体21は、空気取込部211と空気送出部212との間に、空気取込部211と空気送出部212とを繋ぐ筒状の連結部である筒状部213を備え、筒状部213の空気取込部211側の端部には、筒状部213の側面と略垂直な方向に突出するフランジ214を備える。
【0088】
筒状部213は、プロペラの回転軸に垂直な平面で切った際の断面の外形が円形なる円筒状に形成され、その外径は、服地部11Aのファン取付孔111の直径及び内面カバー12Aのファン挿通孔12421の直径と略同一となるように形成されている。また、筒状部213から突出するフランジ214を前後方向から見た際の形状も円形となる。
また、筒状部213の外面の対向する2か所には、後述の取付リング22の内面側に形成された凹部と嵌合する凸部(図示せず)が形成され、後述のように取付リング22を筒状部213の外面側に固定できるように構成されている。
【0089】
[(b) 取付リング]
取付リング22は、プラスチック等の可撓性を有する材料によって一体的に形成されたリング状の部材であり、
図9及び
図10に示すように、ファン本体21の筒状部213の外面を覆うように取り付けられ、後述のように、取付リング22の一端部と、ファン本体21のフランジ214との間に、ウェア本体1Aの服地部11Aのファン取付孔111の周囲の部分及び内面カバー12Aのファン挿通孔12421の周囲の部分を挟み込むことによって、内面カバー12Aを服地部11Aに取り付けると共に、ファン2Aをウェア本体1Aに取り付けるために用いられる。
【0090】
取付リング22は、ファン本体21内のプロペラ215の回転軸方向(前後方向)から見た際の形状が楕円形状となるリング状に形成されている。また、取付リング22は、内周の長さがファン本体21の筒状部213の外周の長さよりも長く、内周の短径が筒状部213の外周の直径よりも小さいか又は筒状部213の外周の直径と同一となるように形成されている。この場合、取付リング22の内周の長径は筒状部213の外周の直径よりも大きくなる。
【0091】
また、取付リング22の短径方向内面側の2か所の対向する位置には、ファン本体21の筒状部213の外面側に形成された凸部と嵌合する凹部(不図示)が形成されている。
【0092】
上記のように取付リング22は可撓性を有することから、長径方向の外面側からこれを押圧すると、短径方向が外側に膨らみ、取付リング22を真円形状に変形することができる。また、長径方向の外面側から押圧する力を解放すると、取付リング22は、元の楕円形状に戻ることになる。
これを利用して、楕円形状の取付リング22を長径方向の外面側から押圧し、これを撓ませて真円形状に変形させた上で、筒状部213の凸部の位置と、取付リング22の凹部の位置とが重なるようにして、取付リング22を、筒状部213に被せた上で、取付リング22に対する押圧を解除することで、取付リング22を、ファン本体21の筒状部213に取り付けることができる。
また、この際に、取付リング22の一端部と、ファン本体21のフランジ214との間に、ウェア本体1Aの服地部11Aのファン取付孔111の周囲の部分及び内面カバー12Aのファン挿通孔12421の周囲の部分を挟み込むことによって、内面カバー12Aを服地部11Aに取り付けると共に、ファン2Aをウェア本体1Aに取り付けることができる。
【0093】
[c 内面カバーの服地部への取付状態]
内面カバー12Aは、上記のように服地部11Aとは別体として形成され、ファン2Aがウェア本体1Aに取り付けられた際に、同時に内面カバー12Aが服地部11Aに取り付けられることとなる。なお、このように他の部材を介する場合においても、内面カバー12Aと服地部11Aとの位置関係が固定されれば、内面カバー12Aは服地部11Aに取り付けられているものとする。
【0094】
具体的には、ファン2Aをウェア本体1Aに取り付ける場合、まず、ファン2Aのファン本体21をウェア本体1Aの服地部11Aのファン取付孔111が形成された部分の外面側(後方側)に配置し、内面カバー12Aを、ウェア本体1Aの服地部11Aのファン取付孔111が形成された部分の内面側(前方側)に配置する。この際、服地部11Aのファン取付孔111と内面カバー12Aのカバー部124に形成されたファン挿通孔12421とが重なった状態とする。
また、ファン2Aの取付リング22を、内面カバー12Aのカバー部124内に配置する。
【0095】
続いて、ファン本体21を、空気送出部212が形成された側からファン取付孔111及びファン挿通孔12421に通し、ファン本体21の空気送出部212及び筒状部213がファン挿通孔12421からカバー部124内に突出し、ファン本体21のフランジ214が、服地部11Aのファン取付孔111の周囲の縁部の外面側(後方側)に引っ掛かった状態とする。
【0096】
続いて、カバー部124内において、取付リング22を、ファン本体21の筒状部213に通して固定する。
【0097】
これによって、
図10に示すように、ファン本体21のフランジ214と取付リング22との間に、ウェア本体1Aの服地部11Aのファン取付孔111の周囲の部分と、内面カバー12Aのカバー部124のファン挿通孔12421の周囲の部分と、を挟むことで、ファン2Aをウェア本体1Aに取り付けると共に、ファン取付孔111を服地部11Aの内面側から覆うようにして、内面カバー12Aを服地部11Aに取り付けることができる。
【0098】
[(2) 実施形態の効果]
本実施形態に係るファン付きウェア100Aによれば、ウェア本体1Aが、ファン取付孔111が形成された服地部11Aと、ファン取付孔111を服地部11Aの内面側から覆う内面カバー12Aと、を備えることによって、ファン取付孔111からウェア本体1A内に雨水が取り込まれた場合に、取り込まれた雨水が内面カバー12Aで遮られ、ウェア本体1A内に広がり難くなる。
これによって、第1実施形態に係るファン付きウェア100と同様、雨天時にファン付きウェア100Aを使用しても、ウェア本体1A内の着用者の身体やウェア本体1A内に着用した衣服を濡れにくくすることができる。
【0099】
また、ウェア本体1Aにおいて、服地部11Aと内面カバー12Aとが別体として形成され、着脱自在であることで、例えば、降雨のおそれがなく、ウェア本体1A内に雨水が取り込まれるおそれがない場合には、内面カバー12Aを服地部11Aから外し、降雨のおそれがあり、ウェア本体1A内に雨水が取り込まれるおそれがある場合にのみ内面カバー12Aを服地部11Aに取り付けて使用することが可能となる。
【0100】
また、内面カバー12Aが内面カバー12A内の水を内面カバー12A外へと排水する排水部1251を備え、内面カバー12Aが、排水部1251が服地部11Aの外面側に位置するようにして服地部11Aに取り付けられることで、ファン2Aによって内面カバー12A内へと取り込まれた雨水を、服地部11Aの外面側へと排水することが可能となる。
【0101】
また、内面カバー12Aが、カバー部124から突出する突出部125を備え、排水部1251が突出部125に形成されると共に、服地部11Aが内面カバー12Aの突出部125を挿通させることができる開口部である挿通部113を備えることで、突出部125を挿通部113に挿通させるのみで、容易に排水部1251を服地部11Aの外面側に位置させることができる。
【0102】
また、内面カバー12Aが、ファン2Aを挿通させることができるファン挿通孔12421を備えることで、ファン2Aを、服地部11Aのファン取付孔111及び内面カバー12Aのファン挿通孔12421の両者に挿通させることで、ファン2Aをウェア本体1Aに取り付けると共に、内面カバー12Aを服地部11Aに取り付けることが可能となる。
【符号の説明】
【0103】
100、100A ファン付きウェア
1、1A ウェア本体
11、11A 服地部
111 ファン取付孔(ファン取付部)
112 排水孔(排水部)
1121 メッシュ
113 挿通部
12、12A 内面カバー(ファン取付部カバー)
121 カバー本体
122 側面部
123 空気送出部
124 カバー部
1241 前面部
1242 後面部
12421 ファン挿通孔(ファン挿通部)
1243 側面部
1244 空気送出部
125 突出部
1251 排水部
2、2A ファン
21 ファン本体
211 空気取込部
212 空気送出部
213 筒状部
214 フランジ
215 プロペラ
216 モータ
22 取付リング
3 電源部
4 接続ケーブル
W 着用者