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特開2024-63753吸着剤の交換を可能にするハードディスクドライブブリーザフィルタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063753
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】吸着剤の交換を可能にするハードディスクドライブブリーザフィルタ
(51)【国際特許分類】
   G11B 33/12 20060101AFI20240502BHJP
   G11B 33/14 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
G11B33/12 313T
G11B33/14 501Q
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023175059
(22)【出願日】2023-10-10
(31)【優先権主張番号】63/419,659
(32)【優先日】2022-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/222,872
(32)【優先日】2023-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504056130
【氏名又は名称】ウェスタン デジタル テクノロジーズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100207837
【弁理士】
【氏名又は名称】小松原 寿美
(72)【発明者】
【氏名】住谷 武次
(72)【発明者】
【氏名】長廣 真
(72)【発明者】
【氏名】タムラ ヒトシ
(72)【発明者】
【氏名】平山 直樹
(57)【要約】      (修正有)
【課題】内部吸着剤が容易に交換可能な電子デバイス用のブリーザフィルタを提供する。
【解決手段】ハードディスクドライブ(HDD)等の電子デバイス用の吸着剤ブリーザフィルタ300は、第1の吸着剤を収容し、少なくとも第1のオリフィス308及び第2のオリフィス310を介して外部環境と環境的に結合された第1のチャンバ304と、第1のチャンバ内のゼオライト又はシリカゲルビーズ等の対応する交換可能な第1の吸着剤305と、第2の吸着剤を収容するための第1のチャンバに隣接する第2のチャンバ306と、第2のチャンバ内の炭素ビーズ等の対応する第2の吸着剤307と、を備える。第1のオリフィスは、第1の吸着剤がそれを通して第1のチャンバ内に装填されることができるような貫通孔であり、第2のオリフィスは、第1のチャンバから外部環境に移動することができないようなスリット状又は格子状の孔である。
【選択図】図3C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピンドル上に回転可能に取り付けられた複数のディスク媒体と、
前記複数のディスク媒体のうちの第1のディスク媒体に対して書き込み及び読み取りをするように構成された読み書きヘッドを備えるヘッドスライダと、
前記第1のヘッドスライダを動かして前記第1のディスク媒体の部分にアクセスするように構成されたロータリアクチュエータと、
前記ディスク媒体、前記ヘッドスライダ及び前記ロータリアクチュエータが収容されるエンクロージャと、
前記エンクロージャ内に配置され、一方の側で外部環境と、他方の対向する側で内部環境と環境的に結合されたブリーザフィルタであって、
第1の吸着剤を収容するように構成され、少なくとも第1のオリフィス及び第2のオリフィスを介して外部環境と環境的に結合された第1のチャンバと、
該第1のチャンバ内の第1の吸着剤と、
前記第1のチャンバに隣接し、第2の吸着剤を収容するように構成され、前記内部環境と環境的に結合された第2のチャンバと、
該第2のチャンバ内の第2の吸着剤とを備える、ブリーザフィルタとを備える、ハードディスクドライブ。
【請求項2】
前記ブリーザフィルタの前記第1のオリフィスが、前記第1の吸着剤が前記第1のオリフィスを介して前記第1のチャンバ内に装填され得るように、前記外部環境と前記第1のチャンバとの間の貫通孔として構成され、
前記ブリーザフィルタの前記第2のオリフィスが、前記外部環境と前記第1のチャンバとの間の鉄格子として構成され、それにより、前記第1の吸着剤を前記第1のチャンバ内に装填する間、前記第1の吸着剤が、前記第2のオリフィスを介して前記第1のチャンバから前記外部環境に移動することができない、請求項1に記載のハードディスクドライブ。
【請求項3】
前記ブリーザフィルタの前記第1の吸着剤が、ビーズの形態のゼオライト材料を含み、
前記ブリーザフィルタの前記第2の吸着剤が、ビーズの形態の炭素材料を含む、請求項2に記載のハードディスクドライブ。
【請求項4】
前記ブリーザフィルタの前記第1の吸着剤が、ビーズの形態のシリカゲル材料を含み、
前記ブリーザフィルタの前記第2の吸着剤が、ビーズの形態の炭素材料を含む、請求項2に記載のハードディスクドライブ。
【請求項5】
前記第1のオリフィスが、前記第1の吸着剤を前記第1のオリフィスを介して前記第1のチャンバから取り出すことができるように構成されている、請求項2に記載のハードディスクドライブ。
【請求項6】
前記ブリーザフィルタの前記第2のチャンバが、前記外部環境から前記内部環境への方向において前記第1のチャンバに隣接している、請求項1に記載のハードディスクドライブ。
【請求項7】
第1の吸着剤を収容するように構成され、少なくとも第1のオリフィス及び第2のオリフィスを介して外部環境と環境的に結合された第1のチャンバと、
該第1のチャンバ内の第1の吸着剤と、
前記第1のチャンバに隣接し、第2の吸着剤を収容するように構成された第2のチャンバと、
該第2のチャンバ内の第2の吸着剤と、
前記ブリーザフィルタの前記第1のオリフィスが、前記第1の吸着剤が前記第1のオリフィスを介して前記第1のチャンバ内に装填され得るように、前記外部環境と前記第1のチャンバとの間の貫通孔として構成され、
前記ブリーザフィルタの前記第2のオリフィスが、前記外部環境と前記第1のチャンバとの間のスリット孔として構成され、それにより、前記第1の吸着剤を前記第1のチャンバ内に装填する間、前記第1の吸着剤が、前記第2のオリフィスを介して前記第1のチャンバから前記外部環境に移動することができない、吸着剤ブリーザフィルタ。
【請求項8】
前記第1の吸着剤が、ゼオライト又はシリカゲルビーズを含み、
前記第2の吸着剤が炭素ビーズを含む、請求項7に記載の吸着剤ブリーザフィルタ。
【請求項9】
請求項8に記載の吸着剤ブリーザフィルタを備える、ハードディスクドライブ。
【請求項10】
前記第1のオリフィスが、前記第1の吸着剤を前記第1のオリフィスを介して前記第1のチャンバから取り出すことができるように構成されている、請求項8に記載の吸着剤ブリーザフィルタ。
【請求項11】
前記第2のチャンバが、前記外部環境から離れる方向において前記第1のチャンバに隣接している、請求項7に記載の吸着剤ブリーザフィルタ。
【請求項12】
前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間に配置された第1のシートフィルタを更に備える、請求項7に記載の吸着剤ブリーザフィルタ。
【請求項13】
前記第1のシートフィルタに対向する位置で前記第2のチャンバに隣接する第2のシートフィルタを更に備える、請求項12に記載の吸着剤ブリーザフィルタ。
【請求項14】
ハードディスクドライブ(HDD)内に配置された吸着剤ブリーザフィルタを再充填する方法であって、
前記ブリーザフィルタの容器内の貫通孔及び前記吸着剤ブリーザフィルタの前記容器内の格子で覆われたオリフィスを介して前記HDDの外部の環境と環境的に結合された第1の区画と、前記第1の区画内で吸着するための第1の手段とを備える吸着剤ブリーザフィルタのために、
前記HDDの外部の環境から前記第1の貫通孔に吸引力を印加して、前記第1の区画から吸着するための前記第1の手段を取り外すことと、
前記格子で覆われたオリフィスにより、吸着するための前記第1の手段の他のユニットのいずれかが前記格子で覆われたオリフィスを介して前記第1の区画から前記HDDの外部の環境に移動することを妨げるように、前記第1の貫通孔を介して吸着するための前記第1の手段の別のユニットを前記第1の区画に注入することとを含む、方法。
【請求項15】
前記吸引力が、前記HDDの第1のカバーの同一線上の孔を介して前記第1の貫通孔に印加される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記吸引力を印加する前に、前記第1のカバー内の前記孔を覆う一時的シールを除去することを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記吸着剤ブリーザフィルタが、前記第1の区画に隣接し、前記HDDの内部の環境と環境的に結合された第2の区画と、該第2の区画内の炭素ビーズとを更に備え、
前記印加すること及び前記注入することが、クリーンルーム環境の外部で実行される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記ブリーザフィルタの前記第2の区画が、前記HDDの外部の環境から前記HDDの内部の環境への方向において前記第1の区画に隣接する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記吸着剤ブリーザフィルタが、前記第1の区画と前記第2の区画との間に配置されたシートフィルタを更に備える、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、概して電子デバイスに関し、特に、内部吸着剤が容易に交換可能である電子デバイスブリーザフィルタの手法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスクドライブ(hard disk drive、HDD)は、電子不揮発性記憶デバイスであり、不揮発性記憶デバイスは、保護エンクロージャ内に収容されており、デジタル符号化データを、磁気表面を有する1つ以上の円形ディスクに記憶する。HDDが動作中のとき、各磁気記録ディスクは、スピンドルシステムによって急速に回転される。データは、アクチュエータによってディスクの特定の場所の上に位置決めされた読み取り-書き込みトランスデューサ(又は読み取り-書き込み「ヘッド」)を使用して磁気記録ディスクから読み取られ、磁気記録ディスクに書き込まれる。読み取り-書き込みヘッドは、磁場を使用して、磁気記録ディスクの表面にデータを書き込み、この表面からデータを読み取る。書き込みヘッドは、書き込みヘッドのコイルを通って流れる電流を使用して磁場を生成することによって機能する。異なるパターンの正及び負の電流を伴って、書き込みヘッドに電気パルスが送られる。書き込みヘッドのコイル内の電流は、ヘッドと磁気ディスクとの間の間隙にわたる局所的な磁場を生成し、次いでこの磁場が記録媒体上の小領域を磁化する。
【0003】
内部がヘリウムで気密封止されたHDDが製造されている。更に、空気よりも軽い他のガスが、封止HDD内の空気の代替として使用するために企図されてきた。ヘリウムの密度が空気の密度の1/7であるため、ヘリウム雰囲気でHDDを封止し、動作させる様々な利点がある。例えば、ヘリウム中でHDDを動作させることにより、回転ディスク積層体に作用する抵抗力及びディスクスピンドルモータによって使用される機械的電力が低減される。更に、ヘリウム中で動作することにより、ディスク及びサスペンションのフラッタが低減され、より小さくより狭いデータトラックピッチを可能にすることによって、ディスクを互いに接近させて配置し、かつディスクが面密度(ディスク表面の所与の領域に記憶することができる情報ビットの量の尺度)を増加させることを可能にする。ヘリウムのより低い剪断力及びより効率的な熱伝導はまた、HDDが冷却器を動作させ、かつHDDが発する音響ノイズが少ないことを意味する。低湿度、高度及び外部圧力変動に対する低感度、並びに腐食性ガス又は汚染物質の不在に起因して、HDDの信頼性も向上する。
【0004】
ヘリウムが充填され、封止されたHDDの製造には課題が残っている。例えば、粒子状汚染物質は、気密封止前の製造プロセスの様々な段階中にHDD内に導入される可能性がある。微粒子は、記録ディスクに傷をつけたり、スライダの浮上高さの問題を引き起こしたりする等、HDD内部で特に問題となる可能性がある。最終的に、HDD内に望ましくなく導入された微粒子は、HDDの故障を引き起こす可能性がある。HDD内への粒子状汚染物質の導入を抑制する1つの手法は、HDD内に吸収/吸着ブリーザフィルタ(一般に「ABフィルタ」と呼ばれる)を使用することであり、ABフィルタは、HDDの内部環境と外部周囲環境との間の境界面で動作する。気密封止されたHDDの文脈では、ABフィルタは、湿度制御プロセス中にHDD内に注入される乾燥空気及び/又はガス注入プロセス中にHDD内に注入される空気より軽いガス(例えば、ヘリウム)等、製造プロセス中にHDD内に注入されるガスを濾過するように機能することができる。しかしながら、既知のABフィルタは、特に封止前の製造及び試験手順の持続時間を考慮すると、その性能が制限される。したがって、これらのABフィルタは、最終的なHDD封止の前に交換する必要がある場合があり、これによって追加のコストが課される。
【0005】
本セクションに記載され得るいずれの手法も、追求され得る手法であるが、必ずしも以前に考案又は追求されている手法ではない。したがって、別段の指示がない限り、本セクションに記載された手法のいずれも、それらが本セクションに含まれることによって単に先行技術として適格であると仮定されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
実施形態は、添付図面の図において、限定としてではなく、例として示されており、同様の参照番号は類似の要素を指す。
図1】実施形態によるハードディスクドライブ(HDD)を示す平面図である。
図2A】HDD用ブリーザフィルタの一例を示す斜視図である。
図2B】HDDに設置された図2Aの例示的なブリーザフィルタの断面図である。
図3A】一実施形態による交換可能な吸着剤を可能にするブリーザフィルタを示す斜視図である。
図3B】一実施形態による、図3Aのブリーザフィルタを示す上面図である。
図3C】一実施形態による、図3Aのブリーザフィルタを示す側断面図である。
図4】一実施形態による、図3Aのブリーザフィルタの装填及び取り出しを示す側断面図である。
図5】一実施形態による、HDD内部の吸着剤ブリーザフィルタを再充填する方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
例えばハードディスクドライブ(HDD)等の電子デバイスのため、内部吸着剤が容易に交換可能であるブリーザフィルタの手法が記載される。以下の記載では、説明を目的として、本明細書に記載された本発明の実施形態の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、本明細書に記載された本発明の実施形態は、これらの具体的な詳細なしで実施され得ることは明らかであろう。他の例では、本明細書に記載された本発明の実施形態を不必要に不明瞭にすることを回避するために、既知の構造及びデバイスがブロック図の形態で表される。
【0008】
導入
用語
本明細書における「実施形態」、「一実施形態」などへの言及は、記載されている特定の特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味することが意図される。しかしながら、そのような語句の実例は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すとは限らない。
【0009】
本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、大部分又はほぼ構造化された、構成された、寸法決めされた等の特徴を記載していることが理解されるであろうが、その製造公差等は、実際には、構造、構成、寸法等が、常には又は必ずしも正確に述べられない状況を結果として生じ得る。例えば、「実質的に垂直な」として構造を記載するとすれば、側壁は全ての実用上の目的で垂直であるが、正確に90度ではない場合があるように、その用語にはその明白な意味が割り当てられる。
【0010】
「最適な」、「最適化する」、「最小の」、「最小化する」、「最大の」、「最大化する」などの用語は、それと関連付けられた特定の値を有しない場合があるが、そのような用語が本明細書で使用される場合、当業者であれば、そのような用語が、本開示の全体と一致する有益な方向に、値、パラメータ、メトリックなどに影響を及ぼすことを含むと理解することが意図される。例えば、何かの値を「最小」として記載することは、値が実際に理論上の最小値(例えば、ゼロ)に等しいことを必要としないが、対応する目標が理論上の最小値に向かって有益な方向に値を移動させることになるという点で、実際的な意味で理解されるべきである。
【0011】
「気密」という用語は、ガスの漏出又は透過経路を名目上有しない(又は無視できる)ように設計された封止配置を記述すると理解されるであろう。なお、「気密の」、「無視できる漏出」、「漏出なし」等の用語が本明細書で使用され得るが、そのようなシステムは、多くの場合、それでも一定の量の透過性を有し、したがって、絶対に漏出がないわけではない。
【0012】
コンテキスト
製造及び試験プロセス中に粒子状汚染物質がHDD内に導入されることがあり、そのような粒子状汚染物質のHDD内への導入を阻止するために、吸収剤/吸着剤ブリーザフィルタ(「ABフィルタ」)が一般に使用されることを想起されたい。図2Aは、HDD用の例示的なブリーザフィルタを示す斜視図であり、図2Bは、HDD内に設置された図2Aの例示的なブリーザフィルタの断面図である。ABフィルタ200は、第1の吸着剤205a(例えば、ゼオライトタブレット)及び隣接する第2の吸着剤205b(例えば、炭素タブレット)を収容する第1の区画204と、第2の区画206とを収容する容器202を備える。第1の区画204は、対応する入口208を介して入力ガスを受け取り、そのようなガスがHDD250の内部環境を通過することを可能にするように構成された入口チャンバとして機能することができる。第1の区画204に隣接して、同様にフィルタ容器202内に、第2の区画206があり、これは、ガスが対応する出口210を介してABフィルタ200を通り外部環境へ出るために通過することができる出口チャンバとして機能することができる。気密封止されたHDDの文脈では、ABフィルタ200は、湿度制御プロセス中にHDD内に注入される乾燥空気及び/又はガス注入プロセス中にHDD内に注入される空気より軽いガス(例えば、ヘリウム)等、製造プロセス中にHDD内に注入されるガスを濾過するように機能することができる。概して、ABフィルタ200は、外部環境(すなわち、それが設置され得る電子デバイスの外部)から入力ガス(複数の場合もある)を受け取り、電子デバイス内部環境から外部環境へ出力ガスを通過させるように構成される。ブリーザ及び/又は他の電子デバイスフィルタは、汚染物質の吸収、汚染物質の吸着、湿度の制御等の複数の機能を果たすように設計及び構成されてもよい。更に、異なる機能は、汚染物質全般及び/又は炭化水素、酸等の特定のタイプの汚染物質に適用することができる。
【0013】
気密封止されたHDDを製造する1つの手法は、様々な機能試験が完了した後に、レーザ溶接を使用して、カバー(典型的には「第1の」カバーの上にある「第2の」カバー)をHDDエンクロージャベースに封止することを伴う。したがって、図2Bには、エンクロージャベース254に取り付けられたHDD250の第1のカバー252も示されており、第1のカバー252は、空気充填HDDを一般に封止するものである。ヘリウム又は何らかの他の空気より軽いガスを含むように構成された気密封止されたHDDでは、第2のカバー(ここでは図示せず)が第1のカバー252の上に配置され、ベース254に気密結合(例えば、溶接)される。HDD250の第1のカバー252は、設置されたABフィルタ200の入口208に対応し同一直線上にあるブリーザ孔258と、ABフィルタ200の出口210に対応し同一直線上にあるブリーザ孔260とを更に備える。典型的には、様々な製造及び試験プロセス中に各ブリーザ孔258、260を封止するために、それぞれシール258s及びシール260s(明確にするために、ここでは破線で示す)等の一時的なシールが使用される。
【0014】
更に、従来のABフィルタは、その性能が制限されており、したがって、HDDの最終的な封止の前に交換する必要があり、追加のコストを招く可能性があることを想起されたい。例えば、ABフィルタ200等のABフィルタは、試験中に内部吸着剤(複数の場合もある)が飽和する可能性があり、対象のHDD内に設置されたときに最終的な封止の前に十分に乾燥させることができないので、廃棄して交換する必要がある場合がある。更に、ABフィルタの交換は、対象となるHDDを開放する必要があり、すなわち第1のカバーを取り外す必要があり、そうでなければ内部構成要素が汚染物質に曝されるので、クリーンルーム環境で実行される必要がある。したがって、製造及び試験中にHDDの内部湿度を管理し、したがって出荷の準備ができているHDD内の湿度を管理することが依然として課題である。
【0015】
吸着剤交換を可能にするブリーザフィルタ
上記を考慮すると、クリーンルーム環境において完全なABフィルタユニットを廃棄して交換する必要がなく、内部吸着材料が容易に交換可能であるABフィルタを実装することが望ましい場合がある。図3Aは、交換可能な吸着剤を可能にするブリーザフィルタを示す斜視図であり、図3Bは、図3Aのブリーザフィルタを示す上面図であり、図3Cは、図3Aのブリーザフィルタを示す側断面図であり、これらは全て一実施形態によるものである。吸着剤は、収着によって、すなわち、吸収(例えば、別の物質を吸収又は取り込む)又は吸着(例えば、別の物質の分子を取り込んで保持又は接着する)によって別の物質の分子を収集する特性を有する物質として定義される。したがって、「吸着剤」という用語は、本明細書では、吸着材料又は吸収材料のいずれか又は両方を特徴付けるために使用される。
【0016】
吸着剤ブリーザフィルタ300(又は「吸収剤/吸着剤ブリーザフィルタ」又は「吸着剤ブリーザフィルタ」又は「ABフィルタ」)は、第1の吸着剤305(及び/又は吸収剤)を収容するための第1のチャンバ304又は区画と、第2の吸着剤307(及び/又は吸収剤)を収容するための第2のチャンバ306又は区画とを囲む容器302を備える。一般に、ABフィルタ300は、外部環境(例えば、HDD又はそれが設置される他の電子デバイスの外部の環境)から入力ガス(複数の場合もある)を受け取り、電子デバイス内部環境(例えば、HDD又はそれが設置される他の電子デバイスの内部の環境)から外部環境へ出力ガスを通過させるように構成される。一実施形態によれば、ABフィルタ300は、ABフィルタ200が図2BのHDD250に設置される方法と同様に、ハードディスクドライブ(HDD)に設置されるように設計及び構成される。したがって、ABフィルタ300は、第1のオリフィス308及び第2のオリフィス310を更に備え、HDD内のその動作位置にあるとき、それらを用いて外部環境と環境的に結合又はインターフェースされる。上述したように、また本明細書でそうであるように、ブリーザ及び/又は他の電子デバイスフィルタは、汚染物質の吸収、汚染物質の吸着、湿度の制御等の複数の機能を果たすように設計及び構成されてもよく、異なる機能が汚染物質全般及び/又は炭化水素、酸等の特定のタイプの汚染物質に適用されてもよい。
【0017】
再び図2Bを参照すると、HDD250の第1のカバー252のブリーザ孔258は、設置されたABフィルタ300の第2のオリフィス310に対応し同一線上にあり、第1のカバー252のブリーザ孔260は、ABフィルタ300の第1のオリフィス308に対応し同一線上にある。上述したように、様々な製造及び試験プロセス中に各ブリーザ孔258、260を封止するために、それぞれシール258s及びシール260s等の一時的シールが一般に使用される。ベース254に溶接された又は他の方法で気密に接着された第2のカバーを利用する気密封止されたHDDでは、内部環境は、第1のカバー及びエンクロージャベース内の環境を指し、外部環境は、第1のカバーと第2のカバーとの間の環境を指す。このようなHDDを気密封止する前に、内部環境は依然として第1のカバー及びエンクロージャベース内の環境を指し、外部環境は第1のカバーの外部の周囲環境を指す。下側の底部の第2のチャンバ306は、上側の頂部の第1のチャンバ304の下にあり(図3A図3Cに示される位置において、典型的にはHDD内に設置され、HDDベースがHDDカバーの下に配置されている)、したがって、第2のチャンバ306は、外部環境から内部環境への方向において第1のチャンバ304に隣接している。第1のチャンバ304及び第2のチャンバ306は、第1のオリフィス308及び/又は第2のオリフィス310を介して入力ガスを受け取り、そのようなガスが対象の電子デバイス、例えばHDD250の内部環境を通過することを可能にするように構成された入口チャンバとして機能する。同様に、第1のチャンバ304及び第2のチャンバ306は、第1のオリフィス308及び/又は第2のオリフィス310を介してABフィルタ300を通り外部環境へ出るためにガスが通過することができる出口チャンバとして機能する。例えば、気密封止されたHDDの文脈において、ABフィルタ300は、湿度制御プロセス中にHDD内に注入される乾燥空気及び/又はガス注入プロセス中にHDD内に注入される空気より軽いガス(例えば、ヘリウム)等、製造プロセス中にHDD内に注入されるガスを濾過するように機能することができる。
【0018】
図3Cを参照すると、第1のチャンバ304は、第1の吸着剤305を収容するように構成され、第2のチャンバ306は、第2の吸着剤307を収容するように構成される。一実施形態によれば、第1の吸着剤305は、ビーズの形態のゼオライト材料(すなわち、ゼオライトビーズ)を含むか、又はそれから構成され、第2の吸着剤307は、ビーズの形態の炭素材料(すなわち、図2A図2BのABフィルタ200の炭素タブレットとは対照的に、第1のチャンバ304及び第2のチャンバ306を通るより効率的な空気流を可能にする炭素ビーズ)を含むか、又はそれから構成される。別の実施形態によれば、第1の吸着剤305は、シリカゲル材料を含むか、又はシリカゲル材料から構成され、ビーズ又はペレットの形態であってもよい。一実施形態によれば、第1のオリフィス308は、外部環境と第1のチャンバ304との間の貫通孔インターフェースとして構成され、その結果、第1の吸着剤305は、貫通孔の第1のオリフィス308を介して第1のチャンバ304内に装填することができる。一実施形態によれば、図3A図3Bに示され、最も明確に見られるように、第2のオリフィス310は、外部環境と第1のチャンバ304との間のスリット孔インターフェース(すなわち、1つ以上の比較的長く狭い開口部を有する)として構成され、それにより、第1の吸着剤305を第1のチャンバ304に装填する間、第1の吸着剤305は、スリット孔の第2のオリフィス310を介して第1のチャンバ304から外部環境に移動することができず、これは、図4を参照してより詳細に示され、説明される。第2のオリフィス310は、格子又は鉄格子、すなわち、平行なバー又はクロスバーのパーティション、カバー、又はフレーム、或いは格子で覆われたオリフィス又は孔とも想定され、そのように呼ばれ得る。また、第2のオリフィス310の構成は、固体吸着材料/ビーズの通過を禁止しながらガスの通過を可能にする第2のオリフィス310の機能に合わせて、実装ごとに変更してもよいことに留意されたい。非限定的な例として、第2のオリフィス310は、格子状等に構成されてもよく、意図された目的を果たす。
【0019】
ある実施形態によれば、ABフィルタ300は、第1のチャンバ304及び第2のチャンバ306の間に位置付けられ、少なくとも部分的にそれらを形成する、シートフィルタ312を更に備える。シートフィルタ312は、それぞれの内容物305、307が混合しないように、第1のチャンバ304と第2のチャンバ306との間に構造的障壁を設け、スクリーニング、濾過材料としても機能し得る。一実施形態によれば、ABフィルタ300は、第2のチャンバ306と、ABフィルタ300が環境的に結合される内部環境との間に別のシートフィルタ314を更に備える。シートフィルタ314は、対応する内容物307を保持又は収容するために第2のチャンバ306を閉鎖するための構造的障壁を設け、スクリーニング、濾過材料としても機能し得る。
【0020】
吸着剤ブリーザフィルタを再充填する方法
図4は、一実施形態による、図3Aのブリーザフィルタの装填及び取り出しを示す側断面図を含み、図5は、一実施形態による、HDD内部の吸着剤ブリーザフィルタを再充填する方法を示す流れ図である。次に、図4に示す「ビーズ装填」及び「ビーズ取り出し」手順を、図5の方法の例として提示する。図5の方法は、ブリーザフィルタの容器内の貫通孔及び吸着剤ブリーザフィルタの容器内の格子で覆われたオリフィスを介してHDDの外部の環境と環境的に結合された第1のチャンバと、第1のチャンバ内で吸着するための第1の手段とを備える吸着剤ブリーザフィルタの文脈で説明される。
【0021】
ブロック502において、HDDの外部の環境から第1の貫通孔に吸引力を印加して、第1のチャンバから吸着するための第1の手段を除去する。例えば、図4の上部(ビーズ取り出し)を参照すると、HDD250(図2B)の第1のカバー252の同一直線上のブリーザ孔260を通してABフィルタ300の貫通孔の第1のオリフィス308に(例えば、外部真空ホースを介して)吸引402が適用され、それによって、第1の吸着剤305(例えば、加湿ゼオライトビーズ)を第1のチャンバ304から除去する。この吸引過程によって、第1のカバー252の外側の外部環境からの空気は、格子で覆われた第2のオリフィス310を介してABフィルタ300に自然に流入する。一実施形態によれば、ブロック502において吸引力402を印加する前に、第1のカバー252内のブリーザ孔258、260を覆う1つ以上の一時的シール(例えば、図2Bの一時的シール258s、260s)が除去される。
【0022】
ブロック504において、格子で覆われたオリフィスにより、吸着するための第1の手段の他のユニットのいずれかが格子で覆われたオリフィスを介して第1のチャンバからHDDの外部の環境に移動することを妨げるように、第1の貫通孔を介して吸着するための第1の手段の別のユニットを第1のチャンバに注入する。例えば、内部環境からの空気が格子で覆われた第2のオリフィス310を介してABフィルタ300から流出しても、格子で覆われた第2のオリフィス310により、新しい第1の吸着剤305のいずれかが格子で覆われた第2のオリフィス310を介して第1のチャンバ304からHDDの外部の環境へ移動するのを妨げるように、第1の吸着剤305(例えば、乾燥ゼオライトビーズ)の別のユニット、セット、グループが、貫通孔の第1のオリフィス308を介して第1のチャンバ304に注入される(404)(ブロック矢印として示される)。したがって、第1の吸着剤305は、完成したHDD内の所望の湿度レベルを確実にするために、HDDを気密封止する前に交換することができる。
【0023】
一実施形態によれば、少なくとも部分的に、ABフィルタ300が、第1のチャンバ304とHDD250の内部環境との間に第2のチャンバ306又は区画を備え、第2のチャンバ306が、炭素ビーズの第2の吸着剤307(すなわち、ABフィルタ300の内部環境側)を含み、吸着剤積層体312によって第1のチャンバ304から分離されているので、第1のカバー252を取り外すことなくビーズ交換(ブロック502~504)を実行することができ、図5の方法又は手順をクリーンルーム環境外で実行することができ、それによってビーズ交換/HDD湿度制御プロセスの複雑さを有利に低減する。
【0024】
例示的な動作コンテキストの物理的説明
実施形態は、ハードディスクドライブ(HDD)等の電子データ記憶デバイス(electronic data storage device、DSD)の文脈で使用され得る。したがって、実施形態によれば、従来のHDD100を示す平面図は、従来のHDDが典型的にどのように動作するかを記載するのを助長するために図1に示されている。
【0025】
図1は、磁気読み取り-書き込みヘッド110aを含むスライダ110bを含むHDD100の構成要素の機能的配置を示す。まとめて、スライダ110b及びヘッド110aはヘッドスライダと称され得る。HDD100は、ヘッドスライダを含む少なくとも1つのヘッドジンバルアセンブリ(head gimbal assembly、HGA)110と、典型的にはフレクシャを介してヘッドスライダに装着されたリードサスペンション110cと、リードサスペンション110cに装着されたロードビーム110dとを含む。HDD100はまた、スピンドル124上に回転可能に取り付けられた少なくとも1つの記録媒体120と、媒体120を回転させるためにスピンドル124に取り付けられた駆動モータ(不可視)と、を含む。トランスデューサとも称され得る読み取り-書き込みヘッド110aは、HDD100の媒体120に記憶された情報をそれぞれ書き込み及び読み取るための書き込み要素及び読み取り要素を含む。媒体120又は複数のディスク媒体は、ディスククランプ128でスピンドル124に固定されてもよい。
【0026】
HDD100は、HGA110に取り付けられたアーム132と、キャリッジ134と、キャリッジ134に取り付けられたボイスコイル140を含む電機子136とボイスコイル磁石(不可視)を含むステータ144とを含むボイスコイルモータ(voice coil motor、VCM)と、を更に含む。VCMの電機子136は、キャリッジ134に取り付けられており、アーム132及びHGA110を移動させ、媒体120の部分にアクセスするように構成されており、全てまとめて、介在するピボット軸受アセンブリ152で枢動シャフト148上に装着されている。複数のディスクを有するHDDの場合、キャリッジ134は、キャリッジに櫛の外観を与える連動したアームアレイを搬送するようにキャリッジが配置されているため、「Eブロック」又は櫛と称され得る。
【0027】
ヘッドスライダが結合されたフレクシャと、フレクシャが結合されたアクチュエータアーム(例えば、アーム132)及び/又はロードビームと、アクチュエータアームが結合されたアクチュエータ(例えば、VCM)と、を含む、ヘッドジンバルアセンブリ(例えば、HGA110)を備えるアセンブリは、ヘッドスタックアセンブリ(HSA)と総称され得る。ただし、HSAは、記載されたものよりも多い又は少ない構成要素を含んでもよい。例えば、HSAは、電気相互接続部品を更に含むアセンブリを指し得る。一般に、HSAは、読み取り動作及び書き込み動作のために、ヘッドスライダを媒体120の部分にアクセスするように移動させるように構成されたアセンブリである。
【0028】
図1を更に参照すると、ヘッド110aへの書き込み信号及びヘッド110aからの読み取り信号を含む電気信号(例えば、VCMのボイスコイル140への電流)は、可撓性ケーブルアセンブリ(flexible cable assembly、FCA)156(又は「フレックスケーブル」)によって送信される。フレックスケーブル156とヘッド110aとの間の相互接続は、読み取り信号用のオンボード前置増幅器、並びに他の読み取りチャネル及び書き込みチャネル電子部品を有し得る、アーム電子機器(arm-electronics、AE)モジュール160を含んでもよい。AEモジュール160は、図示のようにキャリッジ134に取り付けられてもよい。フレックスケーブル156は、いくつかの構成では、HDD筐体168によって提供された電気フィードスルーを通して電気通信を提供する電気コネクタブロック164に結合されてもよい。HDD筐体168(又は「モータベースアセンブリ」又は「エンクロージャベース」又は「ベースプレート」又は単に「ベース」)は、HDDカバーとともに、HDD100の情報記憶構成要素のための半封止された(又は、いくつかの構成では気密封止された)保護エンクロージャをもたらす。
【0029】
デジタル信号プロセッサ(digital-signal processor、DSP)を含むディスクコントローラ及びサーボ電子機器を含む他の電子部品は、駆動モータ、VCMのボイスコイル140及びHGA110のヘッド110aに、電気信号を提供する。駆動モータに提供される電気信号は、駆動モータがスピンドル124にトルクを提供しながら回転することを可能にし、次いでトルクはスピンドル124に添設された媒体120に伝達される。その結果、媒体120は、方向172に回転する。回転媒体120は、スライダ110bが、情報が記録された薄い磁気記録層と接触することなく媒体120の表面の上方に浮上するように、スライダ110bの空気軸受表面(ABS)が乗る空気軸受として作用する空気のクッションを形成する。同様に、非限定的な例としてのヘリウムなどの空気より軽いガスが利用されるHDDにおいて、回転する媒体120は、スライダ110bがその上に乗るガス又は流体軸受として作用する、ガスのクッションを生成する。
【0030】
VCMのボイスコイル140に提供される電気信号は、HGA110のヘッド110aが、情報が記録されるトラック176にアクセスすることを可能にする。こうして、弧180を通るVCMスイングの電機子136は、HGA110のヘッド110aが媒体120上の様々なトラックにアクセスすることを可能にする。情報は、セクタ184などの媒体120上のセクタに配置された複数の半径方向に入れ子になったトラック内の媒体120上に記憶される。それに対応して、各トラックは、セクタ化されたトラック部分188などの複数のセクタ化されたトラック部分(又は「トラックセクタ」)から構成されている。各セクタ化されたトラック部分188は、記録された情報と、エラー訂正符号情報、及びトラック176を識別する情報であるABCDサーボバースト信号パターンなどのサーボバースト信号パターンを含むヘッダと、を含んでもよい。トラック176にアクセスする際、HGA110のヘッド110aの読み取り要素はサーボバースト信号パターンを読み取り、サーボバースト信号パターンは、サーボ電子機器に位置誤差信号(position-error-signal、PES)を提供し、サーボ電子機器は、VCMのボイスコイル140に提供される電気信号を制御することによって、ヘッド110aがトラック176に追従することを可能にする。トラック176を見つけ、特定のセクタ化されたトラック部分188を識別すると、ヘッド110aは、トラック176から情報を読み取るか、又は、外部エージェント、例えば、コンピュータシステムのマイクロプロセッサからディスクコントローラによって受信された命令に応じて、トラック176に情報を書き込む。
【0031】
HDDの電子アーキテクチャは、ハードディスクコントローラ(hard disk controller、「HDC」)、インターフェースコントローラ、アーム電子モジュール、データチャネル、モータドライバ、サーボプロセッサ、バッファメモリなどの、HDDの動作のための自体のそれぞれの機能を実行するための、多数の電子部品を含む。そのような部品のうちの2つ以上は、「チップ上のシステム」(system on a chip、「SOC」)と称される単一の集積回路基板上で組み合わされてもよい。そのような電子部品の、全てではないがいくつかは、典型的には、HDD筐体168などのHDDの底部側に結合されたプリント基板上に配置される。
【0032】
図1を参照して示され及び記載されたHDD100などの、本明細書におけるハードディスクドライブへの言及は、「ハイブリッドドライブ」と称されることがある情報記憶デバイスを包含してもよい。ハイブリッドドライブとは、一般に、電気的に消去可能でプログラム可能であるフラッシュ又は他のソリッドステート(例えば、集積回路)メモリなどの不揮発性メモリを使用するソリッドステートデバイス(solid-state storage device、SSD)と組み合わされた従来のHDD(例えば、HDD100を参照)の、両方の機能を有する記憶デバイスを指す。異なるタイプの記憶媒体の動作、管理、及び制御は、通常異なるため、ハイブリッドドライブのソリッドステート部分は、それ自体の対応するコントローラ機能を含んでもよく、コントローラ機能は、HDD機能とともに単一のコントローラに統合され得る。ハイブリッドドライブは、非限定的な例として、頻繁にアクセスされるデータを記憶する、I/O集約データなどを記憶するなどのために、ソリッドステートメモリをキャッシュメモリとして使用するなどによって、ソリッドステート部分をいくつかの方式で動作させて利用するように設計及び構成されてもよい。更に、ハイブリッドドライブは、ホスト接続のための1つ又は複数のインターフェースのいずれかで、単一のエンクロージャの2つの記憶デバイス、すなわち従来のHDD及びSSDとして本質的に設計及び構成されてもよい。
【0033】
拡張物及び代替物
前述の説明において、本発明の実施形態は、実装形態ごとに変わり得る多数の具体的な詳細を参照して記載されてきた。したがって、実施形態のより広い趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更を行うことができる。こうして、本発明であり、本出願人(複数の場合もある)が本発明であることを意図するものの唯一及び排他的な指示物は、本出願に由来する特許請求の範囲のセットであり、そのような特許請求の範囲が由来し、任意の後続の補正を含む、特定の形態をなす。そのような特許請求の範囲に包含される用語について本明細書に明示的に記載される定義は、特許請求の範囲で使用されるような用語の意味を支配するものとする。それゆえ、特許請求項に明示的に記載されていない限定、要素、特性、特徴、利点又は属性は、決してそのような特許請求項の範囲を限定すべきでない。これにより、本明細書及び図面は、制限的な意味ではなく例示的とみなされるものである。
【0034】
加えて、本明細書では、特定のプロセス工程が特定の順序で記載されてもよく、アルファベット及び英数字符号を使用して、特定の工程を識別することができる。本明細書において特記されない限り、実施形態は、そのような工程を実施する任意の特定の順序に必ずしも限定されない。特に、符号は単に工程の簡便な識別に使用され、そのような工程を実施する特定の順序を指定又は必要とすることは意図されていない。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
図5
【外国語明細書】