(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063758
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタの印刷ゾーンに印刷ヘッド洗浄モジュールを格納するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20240502BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
B41J2/165 201
B41J2/01 301
B41J2/165 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023178971
(22)【出願日】2023-10-17
(31)【優先権主張番号】18/050,020
(32)【優先日】2022-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア イー.レイク
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン アール.スロット
(72)【発明者】
【氏名】チャド ジェイ.スリーンス
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056JA01
2C056JB00
2C056JB04
2C056JB15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】インクジェットプリンタ内の印刷ヘッドメンテナンスステーションのフットプリントを低減することは、印刷設備内のフロア上のプリンタのフットプリントを低減させる。
【解決手段】インクジェットプリンタは、1つ以上の印刷ヘッドメンテナンスステーションを含む。各ステーションは、インクジェットプリンタの印刷ゾーン内に位置決めされ、少なくとも1つの印刷ヘッド洗浄モジュール304A及び304Bを含む。少なくとも1つの印刷ヘッド洗浄モジュール304Aまたは304Bは、媒体搬送部と少なくとも1つの印刷ヘッド320Aまたは320Bとの間にない第1の位置から、少なくとも1つの印刷ヘッド洗浄モジュールが少なくとも1つの印刷ヘッド320Aまたは320Bと媒体搬送部との間にある第2の位置に移動するように構成されている。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットプリンタのための印刷ヘッドメンテナンスステーションであって、
プリンタの印刷ゾーン内で、前記インクジェットプリンタ内の任意の印刷ヘッドと媒体搬送経路との間にもない第1の位置に位置決めされるように構成された少なくとも1つの印刷ヘッド洗浄モジュールと、
前記少なくとも1つの印刷ヘッド洗浄モジュールを、前記第1の位置から、前記少なくとも1つの印刷ヘッド洗浄モジュールが前記インクジェットプリンタ内の少なくとも1つの印刷ヘッドと前記媒体搬送経路との間にある第2の位置に移動させるように構成されたアクチュエータと、
を備える、印刷ヘッドメンテナンスステーション。
【請求項2】
内部表面及び外部表面を有するトラックと、
前記トラックの前記外部表面の一部分に形成されたラックと、
前記アクチュエータに動作可能に接続されたピニオンであって、前記ピニオンは、前記アクチュエータが前記ピニオンを回転させ、前記少なくとも1つの印刷ヘッド洗浄モジュールを前記第1の位置から前記第2の位置に移動させるように動作するときに、前記ラックに沿って移動するように構成されている、ピニオンと、
を更に備える、請求項1に記載の印刷ヘッドメンテナンスステーション。
【請求項3】
前記ピニオンが、前記アクチュエータによって駆動されるシャフトに装着されている、請求項2に記載の印刷ヘッドメンテナンスステーション。
【請求項4】
前記少なくとも1つの印刷ヘッド洗浄モジュールが、第1の印刷ヘッド洗浄モジュール及び第2の印刷ヘッド洗浄モジュールであり、前記第2の印刷ヘッド洗浄モジュールが、前記第1の位置において、前記第1の印刷ヘッド洗浄モジュールよりも高い重力ポテンシャルに位置決めされる、請求項3に記載の印刷ヘッドメンテナンスステーション。
【請求項5】
第1の端部及び第2の端部を有するリンクであって、前記リンクが、前記第1の印刷ヘッド洗浄モジュールと前記第2の印刷ヘッド洗浄モジュールとを一緒に結合するように構成されており、前記アクチュエータによって駆動される前記駆動シャフトが、前記リンクを通って前記ピニオンまで延在する、リンク
を更に備える、請求項4に記載の印刷ヘッドメンテナンスステーション。
【請求項6】
前記リンクの前記第1の端部が前記第1の枢動ピンの周りで回転するように、前記第1の印刷ヘッド洗浄モジュールから、かつ前記リンクの前記第1の端部を通って延在する第1の枢動ピンと、
前記リンクの前記第2の端部が前記第2の枢動ピンの周りで回転するように、前記第2の印刷ヘッド洗浄モジュールから、かつ前記リンクの前記第2の端部を通って延在する第2の枢動ピンと、
を更に備える、請求項5に記載の印刷ヘッドメンテナンスステーション。
【請求項7】
前記トラックが、
第1の垂直部分と、
第2の水平部分と、
前記第1の垂直部分と前記第2の水平部分とを接続する、第3の湾曲部分と、を更に備え、
前記ラックが、少なくとも、前記第1の垂直部分の一部分、前記第2の水平部分の一部分、及び前記第3の湾曲部分に形成されている、
請求項6に記載の印刷ヘッドメンテナンスステーション。
【請求項8】
前記第1の印刷ヘッド洗浄モジュールに装着された少なくとも1つのカムフォロワと、
前記第2の印刷ヘッド洗浄モジュールに装着された少なくとも1つの他のカムフォロワであって、各カムフォロワが、前記トラックの前記内部表面に沿って移動するように構成されている、少なくとも1つの他のカムフォロワと、
を更に備える、請求項7に記載の印刷ヘッドメンテナンスステーション。
【請求項9】
前記第1の印刷ヘッド洗浄モジュールが、ワイパを更に備え、
前記第2の印刷ヘッド洗浄モジュールが、ワイパを含む、
請求項8に記載の印刷ヘッドメンテナンスステーション。
【請求項10】
インクジェットプリンタであって、
前記インクジェットプリンタを通る媒体搬送経路に沿って媒体を移動させるように構成された媒体搬送部と、
少なくとも1つの印刷ヘッドであって、前記媒体搬送部が前記媒体を前記少なくとも1つの印刷ヘッドを通過して移動させる際に、前記媒体上にインク滴を噴射するように構成された少なくとも1つの印刷ヘッドと、
前記インクジェットプリンタの印刷ゾーン内で、前記少なくとも1つの印刷ヘッド洗浄モジュールが前記媒体搬送部と前記少なくとも1つの印刷ヘッドとの間に介在しない第1の位置に位置決めされた少なくとも1つの印刷ヘッド洗浄モジュールと、
前記少なくとも1つの印刷ヘッド洗浄モジュールを、前記第1の位置から、前記少なくとも1つの印刷ヘッド洗浄モジュールが前記少なくとも1つの印刷ヘッドと前記媒体搬送部との間に介在する第2の位置に移動させるように構成されたアクチュエータと、
を備える、インクジェットプリンタ。
【請求項11】
内部表面及び外部表面を有するトラックと、
前記トラックの前記外部表面の一部分に形成されたラックと、
前記アクチュエータに動作可能に接続されたピニオンであって、前記ピニオンは、前記アクチュエータが前記ピニオンを回転させ、前記少なくとも1つの印刷ヘッド洗浄モジュールを前記第1の位置から前記第2の位置に移動させるように動作するときに、前記ラックに沿って移動するように構成されている、ピニオンと、
を更に備える、請求項10に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項12】
前記ピニオンが、前記アクチュエータによって駆動されるシャフトに装着されている、請求項11に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項13】
前記少なくとも1つの印刷ヘッド洗浄モジュールは、第1の印刷ヘッド洗浄モジュール及び第2の印刷ヘッド洗浄モジュールであり、前記少なくとも1つの印刷ヘッドは、第1の印刷ヘッド及び第2の印刷ヘッドであり、前記第2の印刷ヘッド洗浄モジュールは、前記第1の印刷ヘッド洗浄モジュール及び前記第2の印刷ヘッド洗浄モジュールが前記第1の位置にあるときに、前記第1の印刷ヘッド洗浄モジュールよりも高い重力ポテンシャルに位置決めされる、請求項12に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項14】
第1の端部及び第2の端部を有するリンクであって、前記リンクが、前記第1の印刷ヘッド洗浄モジュールと前記第2の印刷ヘッド洗浄モジュールとを一緒に結合するように構成されており、前記アクチュエータによって駆動される前記駆動シャフトが、前記リンクを通って前記ピニオンまで延在する、リンク
を更に備える、請求項13に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項15】
前記リンクの前記第1の端部が前記第1の枢動ピンの周りで回転するように、前記第1の印刷ヘッド洗浄モジュールから、かつ前記リンクの前記第1の端部を通って延在する第1の枢動ピンと、
前記リンクの前記第2の端部が前記第2の枢動ピンの周りで回転するように、前記第2の印刷ヘッド洗浄モジュールから、かつ前記リンクの前記第2の端部を通って延在する第2の枢動ピンと、
を更に備える、請求項14に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項16】
前記トラックが、
第1の垂直部分と、
第2の水平部分と、
前記第1の垂直部分と前記第2の水平部分とを接続する、第3の湾曲部分と、を更に備え、
前記ラックが、少なくとも、前記第1の垂直部分の一部分、前記第2の水平部分の一部分、及び前記第3の湾曲部分に形成されている、
請求項15に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項17】
前記トラックの前記第2の水平部分が、前記媒体搬送部と平行であり、かつ前記媒体搬送部よりも高い重力ポテンシャルにある、請求項16に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項18】
前記第1の印刷ヘッド洗浄モジュールに装着された少なくとも1つのカムフォロワと、
前記第2の印刷ヘッド洗浄モジュールに装着された少なくとも1つの他のカムフォロワであって、各カムフォロワが、前記トラックの前記内部表面に沿って移動するように構成されている、少なくとも1つの他のカムフォロワと、
を更に備える、請求項17に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項19】
前記第1の印刷ヘッド洗浄モジュールが、ワイパを更に備え、
前記第2の印刷ヘッド洗浄モジュールが、ワイパを更に備える、
請求項18に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項20】
インクジェットプリンタであって、
前記インクジェットプリンタを通る媒体搬送経路に沿って媒体を移動させるように構成された媒体搬送部と、
少なくとも1つの印刷ヘッドであって、前記媒体搬送部が前記媒体を前記少なくとも1つの印刷ヘッドを通過して移動させる際に、前記媒体上にインク滴を噴射するように構成された少なくとも1つの印刷ヘッドと、
前記インクジェットプリンタの印刷ゾーン内で、前記媒体搬送部と前記少なくとも1つの印刷ヘッドとの間ではない第1の位置に位置決めされるように構成された少なくとも1つの構成要素と、
前記少なくとも1つの構成要素を、前記第1の位置から、前記少なくとも1つの構成要素が前記少なくとも1つの印刷ヘッドと前記媒体搬送部との間にある第2の位置に移動させるように構成されたアクチュエータと、
を備える、インクジェットプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、媒体上にインク画像を生成するデバイスに関し、より具体的には、このようなデバイス内の印刷ヘッドメンテナンスステーションに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタとしても知られるインクジェット画像化デバイスは、印刷ヘッドから液体インクを噴射して、画像を画像受容表面上に形成する。印刷ヘッドは、アレイ状に配置された複数のインクジェットを含む。各印刷ヘッドは、マニホールドの一端でインク供給源に結合されたマニホールドを含む。インクがインク供給源に結合された端部からマニホールドの反対側の端部に流れ、そこでインクが印刷ヘッドを通って移動してインクジェットに供給されるときに、加熱器がマニホールドの長さにわたって延在してインクを加熱する。各インクジェットは、印刷ヘッドコントローラに結合された熱又は圧電アクチュエータを有する。印刷ヘッドコントローラは、印刷される画像に関するデジタルデータコンテンツに対応する発射信号を生成する。インクジェット内のアクチュエータは、インクジェットのインクチャンバ内に膨張することによって発射信号に応答して、インクチャンバから、かつノズルを通って画像受容表面上にインク滴を噴射し、発射信号を生成するために使用されたデジタル画像コンテンツに対応するインク画像を形成する。画像受容表面は、通常、媒体材料の連続ウェブ又は一連の媒体シートである。
【0003】
色画像を生成するために使用されるインクジェットプリンタは、典型的には、複数の印刷ヘッドモジュールを含む。各印刷ヘッドモジュールは、通常、単一色のインクを噴射する1つ以上の印刷ヘッドを含む。典型的なインクジェットカラープリンタでは、4つの印刷ヘッドモジュールが、プロセス方向において位置決めされ、各印刷ヘッドモジュールが、異なる色のインクを噴射する。本文書で使用される場合、「プロセス方向」という用語は、画像受容表面がプリンタ内の印刷ヘッドを通過する際の画像受容表面の移動方向を意味する。最も頻繁に使用される4つのインク色は、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックである。これらの4色のインクを噴射する印刷ヘッドモジュールで構成されたプリンタの一般的な命名は、CMYKカラープリンタである。いくつかのCMYKプリンタは、各色のインクのための2つの印刷ヘッドモジュールを有する。同じ色のインクを印刷する印刷ヘッドモジュールは、クロスプロセス方向において隣接する印刷ジェット間の距離の2分の1だけ互いにオフセットされており、2つのモジュールにある印刷ヘッドによって噴射されるインクの色のラインの、1インチ当たりの画素数を2倍にする。本文書で使用される場合、「クロスプロセス方向」という用語は、画像受容表面の平面においてプロセス方向に垂直な方向を意味する。
【0004】
印刷ヘッド内のインクジェットから噴射されたインクの一部は、フェースプレートに付着し、埃及び他のデブリを収集する可能性がある。インク及びデブリがフェースプレートから除去されない場合、残留インク及びデブリは、フェースプレートにおける1つ以上の開口部を塞ぐ可能性がある。追加的に、インクがインクジェットのノズル内で乾燥し、インクジェットを動作不能にする可能性がある。本文書で使用される場合、「動作不能インクジェット」という用語は、もはやインク滴を噴射しないか、低減された体積を有するインク滴を噴射するか、又はインクジェットのノズルとインクジェットに対向するインク滴受容表面との間の法線から逸脱したインク滴を噴射するインクジェットを意味する。動作不能なインクジェットの数が、印刷画像の品質に悪影響を及ぼすレベルに達するときに、印刷ヘッド洗浄は、典型的には、印刷ヘッドモジュール内の各印刷ヘッドのための印刷ヘッド洗浄モジュールを有する、印刷ヘッドメンテナンスステーションを用いて実施される。
【0005】
印刷ヘッドメンテナンスステーションは、プリンタシャーシ内に装着され、ステーション内の印刷ヘッド洗浄モジュールを、洗浄のために印刷ヘッドモジュールの印刷ヘッドに対して移動させるように構成されている。いくつかの印刷ヘッド洗浄モジュールは、印刷ヘッド内のインクマニホールドに適用されるときに、印刷ヘッド内のインクジェット及びノズルを通してインクを押し出す圧力源を含む。このパージされたインクは、印刷ヘッドのフェースプレート上に滲み出し、次いで、ワイパが印刷ヘッドのフェースプレートにわたって移動して、パージされたインクを廃インク容器内に方向付ける。いくつかの印刷ヘッド洗浄モジュールはまた、乾燥したパージされたインクを液化するためにフェースプレート上に不揮発性溶媒を塗布するアプリケータを含む。次いで、1つ以上のワイパは、フェースプレートにわたって移動して、溶剤を拡散させ、溶解したデブリ及びインクをフェースプレートから除去するのを助ける。本文書で使用される場合、「印刷ヘッド洗浄モジュール」という用語は、印刷ヘッドの動作状態を維持又は修復するために使用される少なくとも1つの構成要素を有するアセンブリを意味する。このような構成要素は、キャップ、ワイパ、溶媒アプリケータなどを含む。本文書で使用される場合、「印刷ヘッドメンテナンスステーション」という用語は、印刷ヘッドモジュール内の印刷ヘッドを洗浄するように構成された印刷ヘッド洗浄モジュールのアセンブリを意味する。
【0006】
以前から知られている印刷ヘッドメンテナンスステーションは、典型的には、1つ以上の印刷ヘッド洗浄モジュールを保持するように構成されたベースプレートを含み、印刷ヘッド洗浄モジュールの各々は、通常、廃インク容器及び1つ以上のワイピングブレードを含む。ベースプレートは、通常、媒体が印刷ヘッドを通過して移動させる際にたどる経路に隣接して位置決めされている。印刷ヘッド洗浄モジュールは、印刷ヘッドメンテナンスステーションによって洗浄される印刷ヘッドモジュール内の印刷ヘッドの位置に適合するパターンでベースプレート上に配置される。アクチュエータは、印刷ヘッドメンテナンスステーションの印刷ヘッド洗浄モジュールが媒体経路に交差するように、印刷ヘッドメンテナンスステーションのベースプレートをクロスプロセス方向に移動させるように動作する。印刷ヘッド洗浄モジュールが印刷ヘッドモジュールの印刷ヘッドに対向する位置に到達するときに、アクチュエータは、ベースプレートの移動を停止する。例えば、
図6は、印刷ヘッドメンテナンスステーション500内の3つの印刷ヘッド洗浄モジュール504A、504B、及び504Cを示す。印刷ヘッドモジュールの印刷ヘッドが洗浄されるときに、印刷ヘッドメンテナンスステーションのベースプレートは、印刷ヘッドメンテナンスステーションの3つの印刷ヘッド洗浄モジュールが印刷ヘッドモジュールの3つの印刷ヘッドに対向するまで、図中の矢印によって示されるようにクロスプロセス方向に移動する。したがって、プリンタ内の印刷ヘッドメンテナンスステーションに必要な格納スペースは、クロスプロセス方向におけるステーションによって洗浄される印刷ヘッドモジュール内の印刷ヘッドのアレイの長さに少なくとも等しいクロスプロセス方向における長さを有していなければならず、このスペースは、媒体の経路に隣接して位置する。その結果、印刷ヘッドメンテナンスステーションは、プリンタの印刷ゾーンに隣接して、少なくとも媒体経路と同じ幅のスペースを占有する。インクジェットプリンタ内の印刷ヘッドメンテナンスステーションのフットプリントを低減することは、印刷設備内のフロア上のプリンタのフットプリントを低減するのを助ける。
【発明の概要】
【0007】
印刷ヘッドメンテナンスステーションは、インクジェットプリンタの印刷ゾーン内に格納され、かつプリンタのフットプリントを低減するように構成されている。印刷ヘッドメンテナンスステーションは、プリンタの印刷ゾーン内で、インクジェットプリンタ内の任意の印刷ヘッドと媒体搬送経路との間にもない第1の位置に位置決めされるように構成された少なくとも1つの印刷ヘッド洗浄モジュールと、少なくとも1つの印刷ヘッド洗浄モジュールを、第1の位置から、少なくとも1つの印刷ヘッド洗浄モジュールがインクジェットプリンタ内の少なくとも1つの印刷ヘッドと媒体搬送経路との間にある第2の位置に移動させるように構成されたアクチュエータと、を含む。
【0008】
インクジェットプリンタは、インクジェットプリンタの印刷ゾーン内に格納され、かつプリンタのフットプリントを低減するように構成された印刷ヘッドメンテナンスステーションを含む。インクジェットプリンタは、インクジェットプリンタを通る媒体搬送経路に沿って媒体を移動させるように構成された媒体搬送部と、少なくとも1つの印刷ヘッドであって、媒体搬送部が媒体を少なくとも1つの印刷ヘッドを通過して移動させる際に、媒体上にインク滴を噴射するように構成された少なくとも1つの印刷ヘッドと、インクジェットプリンタの印刷ゾーン内で、少なくとも1つの印刷ヘッド洗浄モジュールが媒体搬送部と少なくとも1つの印刷ヘッドとの間に介在しない第1の位置に位置決めされた少なくとも1つの印刷ヘッド洗浄モジュールと、少なくとも1つの印刷ヘッド洗浄モジュールを、第1の位置から、少なくとも1つの印刷ヘッド洗浄モジュールが少なくとも1つの印刷ヘッドと媒体搬送部との間に介在する第2の位置に移動させるように構成されたアクチュエータと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
よりコンパクトな印刷ヘッドメンテナンスステーション及びこのようなメンテナンスステーションを組み込むプリンタの前述の態様及び他の特徴は、添付の図面に関連して、以下の説明で解説される。
【0010】
【
図1】低減されたフットプリントを有する印刷ヘッドメンテナンスステーションを伴って構成されているカラーインクジェットプリンタの概略図である。
【
図3A】
図1及び
図2に示すメンテナンスステーション94Dの動作の異なる段階を示す印刷ヘッドメンテナンスステーションの端面図である。
【
図3B】
図1及び
図2に示すメンテナンスステーション94Dの動作の異なる段階を示す印刷ヘッドメンテナンスステーションの端面図である。
【
図3C】
図1及び
図2に示すメンテナンスステーション94Dの動作の異なる段階を示す印刷ヘッドメンテナンスステーションの端面図である。
【
図3D】
図1及び
図2に示すメンテナンスステーション94Dの動作の異なる段階を示す印刷ヘッドメンテナンスステーションの端面図である。
【
図3E】
図1及び
図2に示すメンテナンスステーション94Dの動作の異なる段階を示す印刷ヘッドメンテナンスステーションの端面図である。
【
図4A】メンテナンスステーション94Dの構成要素をより詳細に示す。
【
図4B】ピニオン、洗浄モジュール、及び
図4Aに示す洗浄モジュールのカムフォロワのための経路を示す。
【
図5A】千鳥配列の6つの印刷ヘッドを有する印刷ヘッドモジュールを洗浄するように構成された印刷ヘッドメンテナンスステーションの代替実施形態の側面図である。
【
図6】印刷ヘッドモジュールの印刷ヘッドを整備するための先行技術のメンテナンスステーションの移動方向を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書で開示されたプリンタ及びプリンタの印刷ヘッドメンテナンスステーションのための環境、並びにプリンタ及び印刷ヘッドメンテナンスステーションの詳細の一般的な理解のために、図面を参照する。図面では、同様の参照番号が、同様の要素を指定するために図面を通じて使用されている。本文書で使用される場合、「プリンタ」という語は、インク滴を媒体上に噴射してインク画像を形成する任意の装置を包含する。
【0012】
以下に説明されるプリンタは、印刷ヘッドモジュール内の印刷ヘッドに対向して印刷ヘッド洗浄ステーションを展開するために、印刷ヘッドメンテナンスステーションの印刷ヘッド洗浄モジュールを垂直方向に移動させるように動作されるアクチュエータを有する湾曲ラックアンドピニオンシステム上に構成されている1つ以上の印刷ヘッドメンテナンスステーションを含む。この新しい格納構成により、印刷ヘッドメンテナンスステーションをプリンタの印刷ゾーン内に位置決めすることが可能になる。本文書で使用される場合、「垂直」という用語は、配置内の少なくとも1つの物体が、配置内の別の物体とは異なる重力ポテンシャルに位置決めされた物体の配置を意味する。本文書で使用される場合、「印刷ゾーン」という用語は、プリンタ内の印刷ヘッドと、プリンタ内の印刷ヘッドに対向する媒体搬送経路の領域と、を包含する体積のものを意味し、本文書で使用される場合、「媒体搬送経路」という用語は、プリンタ内の格納容器から、プリンタから除去される前のプリンタ内の印刷された媒体の最終貯蔵場所までの媒体の経路を意味する。
【0013】
図1は、それぞれ印刷ヘッドモジュール34A、34B、34C、及び34Dのためのメンテナンスステーション94A、94B、94C、及び94Dを伴って構成されている高速カラーインクジェットプリンタ10を示す。各メンテナンスステーションは、メンテナンスステーションが印刷ヘッドとともに印刷ゾーン内に位置することを可能にするために、印刷ヘッド洗浄モジュールを垂直に格納する。例示されるように、プリンタ10は、媒体シート供給部S
1又はS
2のうちの1つから取り出された媒体シートの表面上にインク画像を直接形成するプリンタであり、シートSは、1つ以上のアクチュエータ40を動作させるコントローラ80によってプリンタ10を通って移動され、アクチュエータ40は、コンベヤ52のローラ又は少なくとも1つの駆動ローラに動作可能に接続されており、コンベヤ52は、プリンタの印刷ゾーンPZ(
図2に示す)を通過する媒体搬送部42の一部分を備える。プリンタの実施形態では、印刷ヘッドモジュールは、複数の印刷ヘッドを有し、各印刷ヘッドが、プリンタが印刷することができるクロスプロセス方向において、最も広い媒体の幅未満の幅を有する。これらのモジュールでは、印刷ヘッドは、単一の印刷ヘッドよりも広い媒体が印刷されることを可能にするずらされたアレイ状に配置されている。追加的に、モジュール内、又はモジュール間の印刷ヘッドはまた、印刷ヘッドによってクロスプロセス方向に噴射された液滴の密度が、クロスプロセス方向において、印刷ヘッド内のインクジェット間の最小の間隔よりも大きくなり得るように組み合わせることができる。プリンタ10は、2つのみの媒体シート供給部を伴って描写されているが、プリンタは、各々が異なる種類又はサイズの媒体を含む、3つ以上のシート供給部で構成することができる。
【0014】
図1のプリンタ10における印刷ゾーンPZを
図2に示す。印刷ゾーンPZは、シートがプロセス方向において通過する最初のインクジェットから、シートがプロセス方向において通過する最後のインクジェットまでの距離と等しいプロセス方向における長さを有し、クロスプロセス方向において互いに真向かいにある、印刷ゾーンの両側の最も外側にあるインクジェット間の最大距離である幅を有する。
図2に示す各印刷ヘッドモジュール34A、34B、34C、及び34Dは、それぞれ、印刷ヘッドキャリアプレート316A、316B、316C、及び316Dのうちの1つに装着された3つの印刷ヘッド204を有する。印刷ヘッドは、中央印刷ヘッドがプロセス方向において他の2つの印刷ヘッドからオフセットされるようにずらされているが、印刷ヘッドの端部は、モジュールの印刷ヘッドが、3つの印刷ヘッド内のインクジェットの全てが動作するときに、通過する媒体にわたってクロスプロセス方向に延在する画素の連続線を印刷することができるように位置決めされている。印刷ヘッドモジュール34A、34B、34C、及び34Dの各々は、プロセス方向において印刷ヘッドモジュールに続く対応するメンテナンスステーション94A、94B、94C、及び94Dを有する。メンテナンスシステムの構成及び動作は、以下でより詳細に説明される。
【0015】
図1に示されるように、印刷された画像は、インク画像がシートS上に印刷された後、画像乾燥機30の下を通過する。画像乾燥機30は、インク画像を加熱し、画像をウェブに少なくとも部分的に固定するために、赤外線ヒータ、加熱空気送風機、エアリターン、又はこれらの構成要素の組み合わせを含むことができる。赤外線加熱器は、ウェブの表面上の印刷された画像に赤外線熱を加えて、インク中の水又は溶媒を蒸発させる。加熱空気送風機は、扇風機、又は他の加圧空気源を使用して、インク上に加熱空気を方向付けて、インクからの水又は溶媒の蒸発を補う。次いで、空気が収集され、空気戻りによって排気されて、プリンタ内の他の構成要素との乾燥機空気流の干渉を低減する。
【0016】
二重経路72は、基材が印刷された後に媒体搬送部42からシートを受容し、そのシートを、印刷ヘッドを通過する移動の方向とは反対の方向にローラの回転によって移動させるように提供される。二重経路72内の位置76において、基材は、媒体搬送部42によって運ばれているジョブストリームに合流することができるように、反転することができる。コントローラ80は、シートを選択的にひっくり返すように構成されている。すなわち、コントローラ80は、シートの裏面を印刷できるようにシートを反転させるためにアクチュエータを動作させることができるか、又はシートの印刷された面を再び印刷できるように、シートを反転させることなくシートが搬送経路に戻されるように、アクチュエータを動作させることができる。枢動部材88の移動により、二重経路72へのアクセスが提供される。枢動部材88の回転は、枢動部材88に動作可能に接続されたアクチュエータ40を選択的に動作させるコントローラ80によって制御される。
図1に示されるように、枢動部材88が反時計回りに回転されるとき、媒体搬送部42からの基材は、二重経路72に方向転換される。枢動部材88を方向転換位置から時計回り方向に回転させることにより、二重経路72へのアクセスが閉じられるため、媒体搬送部上の基材は、容器56に移動する。別の枢動部材86が、二重経路72にある位置76と媒体搬送部42との間に位置決めされている。コントローラ80が、アクチュエータを動作させて、枢動部材86を反時計回り方向に回転させると、二重経路72からの基材は、媒体搬送部42上でジョブストリームに合流する。枢動部材86を時計回り方向に回転させることにより、媒体搬送部42への二重経路アクセスが閉じられる。
【0017】
図1に更に示されるように、二重経路72に方向転換されなかった印刷済み媒体シートSは、媒体搬送部によって、これらのシートが収集されるシート容器56に運ばれる。印刷されたシートが容器56に到達する前に、これらのシートは、光学センサ84を通り過ぎる。光学センサ84は、印刷されたシートの画像データを生成し、この画像データは、コントローラ80によって分析される。コントローラ80は、印刷ジョブの媒体シート上の印刷画像における縞を検出するように構成されている。印刷ジョブの実行中に、ジョブストリーム内のシートにテストパターン画像が周期的に印刷される。これらのテストパターン画像は、コントローラ80によって分析されて、存在する場合、テストパターンにインクを噴射するように動作された、どのインクジェットが実際にインクを噴射したかを判定し、インクジェットがインク滴を噴射した場合、インク滴が適切な質量でその意図された位置に降着したかどうかを判定する。噴射すると想定されたインク滴を噴射しない、又は正しい質量を有していない滴を噴射する、若しくは誤った位置に降着する任意のインクジェットは、本明細書では動作不能なインクジェットと呼ばれる。コントローラは、コントローラに動作可能に接続されたデータベース92に、動作不能なインクジェットを識別するデータを記憶することができる。テストパターンが印刷されたこれらのシートは、ランタイムミッシングインクジェット(run-time missing inkjet、RTMJ)シートと呼ばれることがあり、これらのシートは、印刷ジョブの出力から廃棄される。ユーザは、ユーザインターフェース50を動作させて、動作不能なインクジェットの数及び動作不能なインクジェットが位置する印刷ヘッドを識別するインターフェース上に表示されるレポートを取得することができる。光学センサは、デジタルカメラ、LEDのアレイ、及び光検出器、又は通過表面の画像データを生成するように構成された他のデバイスとすることができる。すでに述べたように、媒体搬送部はまた、シートを反転させ、そのシートを、印刷ヘッドモジュールの前に媒体搬送部に戻すことができ、その結果、シートの反対側を印刷することができる二重経路を含む。
図1は、シート容器に収集されている印刷済みシートを示しているが、これらのシートは、媒体シートの折り畳み、丁合、綴じ、及びステープル留めなどの作業を実施する他の処理ステーション(図示せず)に方向付けることができる。
【0018】
機械又はプリンタ10の様々なサブシステム、構成要素及び機能の動作及び制御は、コントローラ又は電子サブシステム(electronic subsystem、ESS)80の助けを借りて実施される。ESS又はコントローラ80’は、印刷ヘッドモジュール34A~34D(したがって印刷ヘッド)、アクチュエータ40、及び乾燥機30の構成要素に動作可能に接続されている。ESS又はコントローラ80は、例えば、電子データ記憶装置を伴う中央処理装置(central processor unit、CPU)、及びディスプレイ又はユーザインターフェース(user interface、UI)50を有する自己完結型コンピュータである。ESS又はコントローラ80は、例えば、センサ入力及び制御回路、並びに画素配置及び制御回路を含む。加えて、CPUは、走査システム又はオンライン若しくはワークステーション接続(図示せず)などの画像入力源と、印刷ヘッドモジュール34A~34Dとの間の画像コンテンツデータの流れを読み出し、捕捉し、準備し、かつ管理する。したがって、ESS又はコントローラ80は、印刷プロセスを含む他の全ての機械サブシステム及び機能を操作及び制御するための主要なマルチタスクプロセッサである。
【0019】
コントローラ80は、プログラム命令を実行する汎用又は専用のプログラマブルプロセッサを用いて実装することができる。プログラムされた機能を実施するために必要とされる命令及びデータは、プロセッサ又はコントローラに関連付けられたメモリ内に記憶され得る。プロセッサ、それらのメモリに記憶されプログラムされた命令及びデータ、並びにインターフェース回路は、以下に説明される動作を実施するようにコントローラを構成する。これらの構成要素は、印刷回路カード上に提供され得るか、又は特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)内の回路として提供され得る。回路の各々は、別個のプロセッサで実装することができるか、又は複数の回路は、同じプロセッサ上に実装することができる。代替的に、回路は、超大規模集積回路(very large scale integrated、VLSI)内に提供される個別の構成要素又は回路で実装することができる。また、本明細書に説明される回路は、プロセッサ、ASIC、個別の構成要素、又はVLSI回路の組み合わせで実装することができる。
【0020】
動作中、生成されるインク画像のインク画像コンテンツデータは、走査システム又はオンライン若しくはワークステーション接続のいずれかからコントローラ80に送信される。インク画像コンテンツデータは、モジュール34A~34D内の印刷ヘッドに送出されるインクジェット噴射器発射信号を生成するように処理される。インク画像コンテンツデータとともに、コントローラは、媒体の重量、媒体の寸法、媒体速度、媒体の種類、各シートの各面上に生成されるインク領域被覆率、各シートの各面上に生成される画像の位置、媒体の色、繊維状媒体の媒体繊維配向、印刷ゾーンの温度及び湿度、媒体の含水量、並びに媒体の製造元を識別する印刷ジョブパラメータを受信する。本文書で使用される場合、「印刷ジョブパラメータ」という用語は、印刷ジョブのための非画像コンテンツデータを意味し、「インク画像コンテンツデータ」という用語は、媒体シート上に印刷されるインク画像における画素を形成する各噴射されたインク滴の色及び量を識別するデジタルデータを意味する。
【0021】
図3Aは、インクジェットプリンタの印刷ゾーン内に位置決めされた印刷ヘッドメンテナンスステーション94D内に垂直に格納された印刷ヘッド洗浄モジュール304A及び304Bの端面図を示す。印刷ヘッド洗浄モジュールが、クロスプロセス方向において印刷ヘッド洗浄モジュールによって整備されるべき印刷ヘッドの幅にわたるので、同様の構造が印刷ヘッドメンテナンスステーションの反対側の端部に示されていることを読者は理解されたい。説明を簡略化するために、印刷ヘッドモジュール300の2つの印刷ヘッド洗浄モジュール304A及び304B、並びに2つの印刷ヘッド320A及び320Bのみが、考察を簡略化にするために示されている。2つの印刷ヘッド320A及び320Bは、プロセス方向Pに位置合わせされ、キャリアプレート458に装着され、クロスプロセス方向に印刷ゾーンの幅にわたって延在する。キャリアプレート458は、各端部に一対の調整可能なスタンドオフ454を有する。各スタンドオフ454は、ねじ切りされ、キャリアプレート458のねじ穴に回転可能に装着される。スタンドオフは、キャリアプレートの底部表面を水平にし、印刷ヘッドのフェースプレートと媒体支持プラテン450との間の距離を固定するために、ねじ穴の中で回転される。印刷ヘッドは、図中の両矢印で示されるように、垂直方向において、双方向に移動するように構成されている。印刷動作中、媒体シートはプラテン450の長さに沿って通過し、印刷ヘッドによって媒体上に噴射されたインク滴を受容する。
【0022】
印刷ヘッド洗浄モジュール304A及び304Bは、
図4Aを参照して以下でより完全に説明されるように、アクチュエータとトラック308の外部表面に形成されるラック416を伴うピニオン404との相互作用によって、印刷ヘッドメンテナンスステーション94D内に垂直に配置される。本文書で使用される場合、「トラック」という用語は、物体の移動のための経路を形成するように構成された構造部材を意味する。
図3A~
図3Eに示されるように、トラック308は、水平部分462と、垂直部分466と、水平部分462と垂直部分466とを接続する湾曲部分470と、を有する、フレームである。ラック416は、垂直部分466から水平部分462まで延在するトラック308の外側に形成された一連の歯である。本文書で使用される場合、「垂直部分」という用語は、少なくとも30度~90度の角度だけ水平から逸脱するトラックの部分を意味する。印刷ヘッド洗浄モジュール304A及び304Bは、媒体シートが、印刷ゾーン内に位置し、かつプロセス方向Pにおいて印刷ヘッドに従う場合であっても、印刷ゾーンを通る媒体シートの移動に干渉しない位置に保持される。印刷ヘッドに対してメンテナンスが実施されるときに、アクチュエータがコントローラ80によって動作して、印刷ヘッドを
図3Bに示される位置まで上昇させる。次いで、コントローラ80は、別のアクチュエータを動作させて、ピニオン404を反時計回り方向に回転させて、印刷ヘッド洗浄モジュール304A及び304Bを、
図3Cに示されるように、トラック308上のラック416に沿って、
図3Dに示されるような水平位置に達するまで移動させる。その位置において、印刷ヘッド洗浄モジュール304A及び304Bは、それぞれ印刷ヘッドモジュール300の印刷ヘッド320A及び320Bに対向する。印刷ヘッドモジュール300は、次いで、印刷ヘッドのメンテナンスのために、印刷ヘッド320A及び320Bを印刷ヘッド洗浄モジュール304A及び304Bとそれぞれ嵌合させるように下げられる(
図3E)。印刷ヘッドメンテナンスの後、印刷ヘッドは、印刷ヘッド洗浄モジュールから持ち上げられ、印刷ヘッドメンテナンスステーション300のアクチュエータは、ピニオン404を時計回り方向に回転させて、印刷ヘッド洗浄モジュール304A及び304Bをトラック308上のラック416に沿って、アクチュエータがピニオンの回転を停止したときに印刷ヘッドメンテナンスステーション300内に垂直に配置されるまで移動させる。印刷ヘッド320A及び320Bを、次いで、
図3Aに示す位置まで下げて、印刷を再開する。
【0023】
印刷ヘッド洗浄モジュール304A及び304Bを移動させるためのメカニズムを、
図4Aにより詳細に示す。閉トラック308の外部表面には、ラック416が形成されている。電気モータなどのアクチュエータ408は、リンク412を通って延在する駆動シャフトを有し、ピニオン404は、アクチュエータによる駆動シャフトの回転がピニオンも回転させるように、駆動シャフトの端部に装着される。ピニオン404の歯の一部分がラック416に係合し、リンク412が枢動ピン428A及び428Bの周りに回転可能に装着されて、印刷ヘッド洗浄モジュール304A及び304Bを互いに対して固設する。アクチュエータ408は、コントローラがアクチュエータを動作させて、ピニオンを時計回り及び反時計回り方向に選択的に回転させることができるようにコントローラ80に動作可能に接続される。カムフォロワ424は、ラック416に対向するトラックの側であるトラック308の内部表面に係合することを可能にする位置で、印刷ヘッド洗浄モジュール304A及び304Bに装着される。コントローラがアクチュエータ408を動作させて、ピニオン404を時計回り方向に回転させるときに、カムフォロワ424は、トラック308の内部表面に沿ってたどり、印刷ヘッド洗浄モジュールがトラックを下降させる。枢動ピン428A及び428Bの周りのリンク412の各端部の回転は、印刷ヘッド洗浄モジュールが
図4Bに示されるような洗浄モジュール経路をたどることを可能にする一方、ピニオン404は、
図4Bに示されるようなラック416によって画定されるピニオン経路に沿って移動し、カムフォロワ424は、
図4Bに示されるようなトラック308によって画定されるカムフォロワ経路に沿って移動する。
【0024】
図1及び
図2に示す印刷ゾーンの実施形態では、印刷ヘッドメンテナンスステーション300の各々は、単一の印刷ヘッド洗浄モジュールを有する。各印刷ヘッドメンテナンスステーションのアクチュエータ408が、その印刷ヘッド洗浄モジュールを展開するように動作するときに、印刷ヘッド洗浄モジュールは、プロセス方向において印刷ヘッド洗浄モジュールに先行する印刷ヘッドに対向して位置決めされるまで、上で説明されるようにトラック308上のラック416を下降させる。したがって、トラック308の水平部分は、中央印刷ヘッドメンテナンスステーションのためのトラックの水平部分よりも内側及び外側印刷ヘッドメンテナンスステーションのための方が長く、ステーションの印刷ヘッド洗浄モジュールが、プロセス方向においてそれらに先行する印刷ヘッドに対向する位置に到達することを可能にする。
【0025】
別の代替実施形態では、印刷ヘッドメンテナンスステーション300は、
図5A及び
図5Bに示されるような6つの印刷ヘッド洗浄モジュール304を用いて構成されている。印刷ヘッド洗浄モジュール304は、千鳥配列で構成された6つの印刷ヘッドを有する印刷ヘッドモジュールに対応するように配置される。印刷ヘッドメンテナンスステーション300は、プロセス方向において印刷ヘッドモジュールの後に位置決めされ、アクチュエータ408は、6つの印刷ヘッド洗浄モジュールは、印刷ヘッドモジュール内の6つの印刷ヘッドのフェースプレートに対向するように、印刷ヘッドメンテナンスステーションの各端部をトラックに沿って移動させて、上で説明されるように印刷ヘッドモジュールの下に印刷ヘッド洗浄モジュールを位置決めするように動作する。次いで、印刷ヘッドモジュールが、6つの印刷ヘッド洗浄モジュール304上に下げられ、印刷ヘッドが、洗浄される。印刷ヘッドメンテナンスステーション300は、アクチュエータ350A及び350Bを用いて構成されて、コントローラ80は、一方の列の3つの印刷ヘッド洗浄モジュールを図中の矢印によって示される方向に移動させ、他方の列の残りの3つの印刷ヘッド洗浄モジュールを図中の第2の矢印によって示される反対方向に移動させるように動作する。各印刷ヘッド洗浄モジュールに関連付けられたワイパは、印刷ヘッドが対応する印刷ヘッド洗浄モジュールの上に位置決めされていた間にパージされた印刷ヘッドのフェースプレートを拭く。ワイパがフェースプレートの長さを走行するときに、コントローラは、アクチュエータ40を動作させて印刷ヘッドモジュールを持ち上げ、印刷ヘッドメンテナンスステーションのアクチュエータ408は、印刷ヘッドモジュールが、媒体経路に対向する印刷位置に戻ることができるように、印刷ヘッドメンテナンスステーションをその上昇位置に戻すように動作する。
【0026】
印刷ヘッドメンテナンスステーションの説明は、インクジェットプリンタの印刷ゾーン内の印刷ヘッド洗浄モジュールの位置決めに限定されているが、この印刷ヘッドメンテナンスステーションの原理は、インクジェットプリンタ内の他の構成要素の位置決め及び展開に拡張することができる。一実施形態では、これらの他の構成要素は、印刷ヘッドである。例えば、他の印刷ヘッドが、印刷ヘッド洗浄モジュールに代用され得る。これらの印刷ヘッドは、プリンタで典型的に使用されるもの以外の他のタイプ又は色のインクを噴射し得る。これらの他のインクタイプが印刷ジョブのために必要とされるときに、典型的に使用される印刷ヘッドは、それらの印刷位置から持ち上げられ得、ステーション構造内に格納された印刷ヘッドは、印刷ヘッドが他のタイプのインクで媒体を印刷することができる場所にそれらを配置するために、印刷ヘッド洗浄モジュールに対して上で説明される方式で展開される。印刷ジョブが終了するときに、これらの印刷ヘッドは、それらの格納位置に戻され、典型的に使用された印刷ヘッドは、別の印刷ジョブを印刷するために下げられる。
【0027】
上で開示されるもの並びに他の特徴及び機能の変形、又はそれらの代替物が、多くの他の異なるシステム又は用途に望ましく組み合わされ得ることが理解されるであろう。以下の「特許請求の範囲」によって包含されることも意図される、様々な現在予期されない代替、修正、変形、又は改善が、後に当業者によって行われ得る。
【外国語明細書】