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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063776
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】電力変換器
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20240502BHJP
【FI】
H01L25/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023183407
(22)【出願日】2023-10-25
(31)【優先権主張番号】22203848
(32)【優先日】2022-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】506292974
【氏名又は名称】マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】MAHLE International GmbH
【住所又は居所原語表記】Pragstrasse 26-46, D-70376 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ダニイェル ストルファ
(72)【発明者】
【氏名】ルカ ヴェルデフ
(72)【発明者】
【氏名】ブラーズ チムザール
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電動駆動系の電気機械用の電子制御ユニットを提供する。
【解決手段】電子制御ユニット1は、複数のパワー半導体3を有する少なくとも1つの半導体ボード2と、ベースプレート4と、電力端子9と、複数の相端子10と、を有し、相端子10は、少なくとも1つの半導体ボード2における端子コンタクト11に接続されている。相端子10の少なくとも1つは、電気機械の界磁巻線に電気的に接続するにベースプレート4から離れる方向に延在している第1スタッド12と、少なくとも1つの半導体ボード2における端子コンタクトの1つに相端子を接続するための第2スタッドと、を有し、第1スタッド及び第2スタッドは、接続部を介して電気的に接続されており、第2スタッドは、ベースプレート4における凹所16内に延在している。また、第1スタッド12、第2スタッド14および接続部15は、金属製の1つの部品に一体で成形されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動駆動系の電気機械用の電子制御ユニット(1)であって、前記電子制御ユニット(1)は、複数のパワー半導体(3)を有する少なくとも1つの半導体ボード(2)と、前記電子制御ユニットにおいて発生する熱を放散させるためのベースプレート(4)と、前記電子制御ユニットに電力を供給するための電力端子(9)と、前記電気機械に3相電流を供給するための複数の相端子(10)とを有し、前記相端子(10)は、少なくとも1つの前記半導体ボード(2)における端子コンタクト(11)に接続されており、
少なくとも1つの前記相端子(10)は、
-前記電気機械の界磁巻線に電気的に接続するため第1スタッド(12)であって、前記ベースプレート(4)から離れる方向に延在している第1スタッド(12)と、
-少なくとも1つの前記半導体ボード(2)における前記端子コンタクト(11)の1つに前記相端子(10)を接続するための第2スタッド(14)とを有し、前記第1スタッド(12)および前記第2スタッド(14)は、接続部(15)を介して電気的に接続されており、前記第2スタッド(14)は、前記ベースプレート(4)における凹所(16)内に延在している、電子制御ユニット(1)。
【請求項2】
前記第1スタッド(12)、前記第2スタッド(14)および前記接続部(15)は、金属製の1つの部品に一体で成形されている、請求項1記載の電子制御ユニット(1)。
【請求項3】
前記相端子(10)はさらに、少なくとも1つの前記半導体ボード(2)における前記端子コンタクト(11)の1つに前記相端子(10)を接続するための第3スタッド(17)を有し、前記第2スタッド(14)と前記第3スタッド(17)とは、第2接続部(18)を介して電気的に接続されており、前記第3スタッドは、前記ベースプレート(4)における凹所(16)内に延在している、請求項1記載の電子制御ユニット(1)。
【請求項4】
前記第2スタッド(14)および/または前記第3スタッド(17)は前記凹所(16)内に延在しており、それぞれの前記凹所の側壁(19)は、スタッド表面に接触することなく、前記スタッド表面に近接して配置されている、請求項1または2記載の電子制御ユニット(1)。
【請求項5】
前記第2スタッドにはねじ穴が設けられており、前記第2スタッドは、前記半導体ボード(2)を貫通して前記ねじ穴内に延在するねじ(7)を介して、前記ベースプレート(4)側を向いた、少なくとも1つの前記半導体ボード(2)の面に取り付けられている、請求項1から4までのいずれか1項記載の電子制御ユニット(1)。
【請求項6】
複数のキャパシタが、前記半導体ボード(2)に接続されており、かつ前記ベースプレート(4)側を向いた、前記半導体ボード(2)の面に配置されており、複数の前記キャパシタは、前記ベースプレート(4)の前記凹所部(16)に収容されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の電子制御ユニット(1)。
【請求項7】
さらに、保持ブラケット(6)と、前記ベースプレート(4)に向かって前記パワー半導体(3)に付勢するための弾性付勢手段(8)とを有し、前記保持ブラケット(6)は、当該保持ブラケット(6)に前記弾性付勢手段(8)を取り付けるための手段を有し、前記保持ブラケット(6)が、前記ベースプレート(4)に取り付けられている、請求項1から6までのいずれか1項記載の電子制御ユニット(1)。
【請求項8】
前記弾性付勢手段(8)は、複数の板ばね(8)を有する、請求項7記載の電子制御ユニット(1)。
【請求項9】
前記ベースプレート(4)は、前記半導体ボード(2)とは反対側を向いた面に放熱フィンおよび/またはピン(5)を有する、請求項1から8までのいずれか1項記載の電子制御ユニット(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項1の上位概念記載の電気制御ユニットに関する。
【0002】
背景技術
電気機械用の電子電力インバータは、例えば欧州特許第3609066号明細書において公知である。電力インバータは、半導体ボードと、キャパシタボードと、電力端子と、相端子スタッドとを備えたハウジングを有する。キャパシタボードのキャパシタは、熱交換プレートの凹所に収容されている。相端子スタッドは、半導体ボードのコンタクトに載置され、またキャパシタボードおよび減衰プレートを介し、押圧プレートによって半導体ボードのコンタクトに向かって付勢されている。
【0003】
発明の概要
請求項1に規定された、本発明による電子制御ユニットは、相端子の過熱のリスクを低減することができ、ゆえに、電子制御ユニットへのダメージを防止することができるという利点を有する。
【0004】
これは、本発明の第1態様に従い、電動駆動系の電気機械用の電子制御ユニットによって達成され、電子制御ユニットは、複数のパワー半導体を有する少なくとも1つの半導体ボードと、電子制御ユニットにおいて発生する熱を放散させるためのベースプレートと、電子制御ユニットに電力を供給するための電力端子と、電気機械に3相電流を供給するための複数の相端子とを有し、相端子は、少なくとも1つの半導体ボードにおける端子コンタクトに接続されている。相端子の少なくとも1つは、電気機械の界磁巻線に電気的に接続するための第1スタッドであって、ベースプレートから離れる方向に延在している第1スタッドと、少なくとも1つの半導体ボードにおける端子コンタクトのうちの1つに相端子を接続するための第2のスタッドとを有し、第1スタッドおよび第2スタッドは、接続部を介して電気的に接続されており、第2スタッドは、ベースプレートにおける凹所内に延在している。
【0005】
相端子と半導体ボードとの接続領域では熱が発生し、ベースプレートにおける凹所内に延在するスタッドの形態でこの接続を設けることにより、接続領域からベースプレート内に効率的に熱を移動させることができる。
【0006】
ベースプレートは、鋳造アルミニウムのプレートであってよく、その中に凹所が機械加工される。ベースプレートは好ましくは、半導体ボードとは反対側を向いた面における放熱フィンおよび/またはピンを有する。
【0007】
第1スタッドと第2スタッドと接続部とは、金属製の1つの部品に一体で成形されている。したがって、半導体ボードにおける相接続点と界磁巻線との間の接続点の個数が減少し、発熱源が減少する。
【0008】
複数の相端子の第1スタッドおよび電力端子は好ましくは、積層方向に見ると、半導体ボードに直線的に隣接して配置されている。
【0009】
それぞれの相端子が、半導体ボードにおける2つの端子コンタクトに接続されているケースについては、例えば、相端子がインバータの2つのブリッジアームに接続されている場合、相端子は、少なくとも1つの半導体ボードにおける端子コンタクトの1つに相端子を接続するための第3スタッドを有していてよく、第2スタッドおよび第3スタッドは、第2接続部を介して電気的に接続されており、第3スタッドもベースプレートにおける凹所内に延在している。
【0010】
ベースプレートにおける凹所は、単一の凹所であってよく、その中に第2スタッドおよび第3スタッドが延在している。択一的には、第2スタッドおよび/または第3スタッドのそれぞれ1つに複数の別の凹所が設けられていてよい。
【0011】
それぞれの凹所の側壁は、スタッド表面に接触することなく、スタッド表面に近接して配置されている。したがって、伝導によって相端子からベースプレートに効果的に熱を移動させることができる。このために、凹所の領域においてスタッド表面とベースプレートとの間の間隙には、導熱性の間隙充填ポッティング材料が充填可能である。
【0012】
第2スタッドには、ねじ穴が設けられており、第2スタッドは、半導体ボードを貫通してねじ穴内に延在するねじを介して、ベースプレート側を向いた、少なくとも1つの半導体ボードの面に取り付けられている。第3スタッドにも同様に、ねじ穴が設けられており、半導体ボードを貫通してねじ穴内に延在するねじを介して、ベースプレート側を向いた、少なくとも1つの半導体ボードの面に取り付けられている。ゆえに、相端子は、半導体ボードにおける電気コンタクトにしっかりと取り付けられて、抵抗が最小化されかつ発熱が低減される。
【0013】
第1スタッドにはまた、界磁巻線のねじ取り付け用のねじ穴が設けられていてもよい。
【0014】
また複数のキャパシタが、半導体ボードに接続されており、かつベースプレート側を向いた、半導体ボードの面に配置されていることも可能であり、複数のキャパシタは、ベースプレートの凹所部に収容されている。キャパシタは、第2相端子スタッドまたは第3相端子スタッドと同じ凹所に配置可能である。択一的には、キャパシタは、第2相端子スタッドまたは第3相端子スタッドの凹所とは別の凹所に配置可能である。
【0015】
さらに、電子制御ユニットは、保持ブラケットと、ベースプレートに向かってパワー半導体に付勢するための弾性付勢手段とを有することができ、保持ブラケットは、この保持ブラケットに弾性付勢手段を取り付けるための手段を有し、保持ブラケットは、ベースプレートに取り付けられている。保持ブラケットがベースプレートに取り付けられると、弾性手段は、保持ブラケットとパワー半導体との間で積層方向にサンドイッチされ、ベースプレートに向かってパワー半導体に付勢して、パワー半導体からの熱伝導を改善する。弾性付勢手段は、複数の板ばねを有していてよい。
【0016】
以下では、添付の図面を参照し、単なる実施例として実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明による電子制御ユニットの斜視図である。
図2図1の電子制御ユニットの分解組立図である。
図3図1の電子制御ユニットの部分の分解組立図である。
図4図1の電子制御ユニットの部分を下から見た分解組立図である。
図5図1の電子制御ユニットの断面図である。
図6】本発明による相端子の斜視図である。
【0018】
詳細な説明
図面を参照すると、図1および図2には、本発明による電子制御ユニット1が示されている。電子制御ユニット1は、例えば、電動駆動系の電気機械用のインバータとして使用可能である。電子制御ユニット1は、複数のパワー半導体3を有する少なくとも1つの半導体ボード2と、電子制御ユニット1において発生する熱を放散させるためのベースプレート4とを有する。電子制御ユニット1はさらに、電子制御ユニット1に電力を供給するための電力端子9と、電気機械に3相電流を供給するための複数の相端子10とを有する。相端子10は、少なくとも1つの半導体ボード2における端子コンタクト11に接続されている。図6には、相端子10の1つが示されている。相端子10は、電気機械(図示せず)の界磁巻線への電気接続のための第1スタッド12を有する。図5に見られるように、第1スタッド12は、ベースプレート4から離れる方向に延在しており、積層方向13にベースプレート4の上方に配置されている。積層方向13は、半導体ボード2がベースプレート4上で積層される方向である。
【0019】
複数の相端子10の第1スタッド12と、電力端子9とは、積層方向13に見ると、半導体ボード2において隣接して一直線で配置されている。
【0020】
相端子10は、半導体ボード2における端子コンタクト11の1つに相端子10を接続するための第2スタッド14を有する。第1スタッド12と第2スタッド14とは、接続部15を介して電気的に接続されている。第1スタッド12、第2スタッド14および接続部15は、金属製の1つの部品に一体で成形されている。
【0021】
本発明によると、第2スタッド14は、ベースプレート4において凹所16内に延在している。したがって、相端子10と半導体ボード2との接続領域において発生した熱は、第2スタッド14からベースプレートへの伝導を介して接続領域から効率よく移動させることができる。
【0022】
ベースプレート4は、鋳造アルミニウムのプレートまたはブロックであってよく、その中に凹所16が機械加工される。ベースプレート4は好ましくは、半導体ボード2とは反対側を向いた面に放熱フィンおよび/またはピン5を有する。
【0023】
図示した実施形態では、それぞれの相端子10は、半導体ボード2における2つの端子コンタクト11に接続されている。これは、例えば、相端子10がインバータの2つのブリッジアームに接続される場合に必要である。このケースでは、相端子10は、少なくとも1つの半導体ボード2における端子コンタクト11の1つに相端子10を接続するための第3スタッド17を有する。第2スタッド14および第3スタッド17は、第2接続部18を介して電気的に接続されており、第3スタッド17もまた、ベースプレート4における凹所16内に延在している。
【0024】
図示した実施形態では、ベースプレート4における凹所16は、第2スタッド14および第3スタッド17が積層方向13に延在している単一の凹所16である。択一的には、第2スタッド14および/または第3スタッド17のそれぞれ1つに複数の別の凹所16が設けられていてよいか、またはそれぞれが複数の第2スタッド14および/または第3スタッド17をそれぞれ含む複数の凹所16が設けられていてよい。
【0025】
図5に見られるように、それぞれの凹所16の側壁19の部分は、第2スタッド14および/または第3スタッド17のスタッド表面に接触することなく、これらのスタッド表面に近接して配置されている。したがって、相端子10からベースプレート4に効果的に熱を移動させることができる。このために、スタッド14,17からベースプレート4への導熱を促進するために、凹所には熱伝導性充填材料を充填することができる。第2スタッド14および第3スタッド17は一般に、円筒形である。
【0026】
凹所16と、第2スタッド14および第3スタッド17との間の空間には、相端子10からの熱伝導を改善するために、ポッティング物質、例えばシリコーンゲルが充填可能である。
【0027】
第2スタッド14および第3スタッド17にはそれぞれねじ穴20が設けられており、第2スタッド14および第3スタッド17は、半導体ボード2を貫通してねじ穴20内に延在するねじ21を介して、ベースプレート4側を向いた、少なくとも1つの半導体ボード2の面に取り付けられている。ゆえに、相端子10は、半導体ボード2における端子コンタクト11にしっかりと取り付けられて、抵抗が最小化されかつ発熱が低減される。ねじ21の頭部は、電子制御ユニット1の別の部分とのコンタクトを防止するために、特にねじ21の頭部と、アルミニウム製であってよい保持ブラケット6との間の電気的なコンタクトを防止するために、好ましくはプラスチック製の絶縁キャップ24で覆われていてよい。
【0028】
第1スタッドにはまた、界磁巻線のねじ取り付け用のねじ穴22も設けられている。
【0029】
複数のキャパシタ23が、半導体ボードに接続されており、かつベースプレート4側を向いた、半導体ボード2の面に配置されており、複数のキャパシタ23は、ベースプレート4の凹所部16に収容されている。キャパシタ23は、第2相端子スタッド14または第3相端子スタッド17と同じ凹所に配置可能である。択一的に、キャパシタ23は、第2相端子スタッド14または第3相端子スタッド17の凹所16とは別の凹所に配置可能である。
【0030】
電子制御ユニット1は、好ましくはアルミニウム製の保持ブラケット6と、ベースプレート4に向かってパワー半導体3に付勢するための弾性付勢手段8とを有し、保持ブラケット6は、保持ブラケット6に弾性付勢手段8を取り付けるための手段を有し、保持ブラケット6は、ねじ7を介してベースプレート4に取り付けられる。保持ブラケット6がベースプレート4に取り付けられると、弾性手段8は、保持ブラケット6とパワー半導体3との間で積層方向にサンドイッチされ、ベースプレート4に向かってパワー半導体3に付勢して、パワー半導体3からの熱伝導を改善する。弾性付勢手段は、複数の板ばね8を有していてよい。
【符号の説明】
【0031】
1 電子制御ユニット
2 半導体ボード
3 パワー半導体
4 ベースプレート
5 冷却フィン
6 保持ブラケット
7 ねじ
8 板ばね
9 電力端子
10 相端子
11 端子コンタクト
12 第1スタッド
13 積層方向
14 第2スタッド
15 接続部
16 凹所
17 第3スタッド
18 第2接続部
19 側壁
20 ねじ穴
21 ねじ
22 ねじ穴
23 キャパシタ
24 絶縁キャップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】