(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063783
(43)【公開日】2024-05-13
(54)【発明の名称】フッ化物及びトリメチルアミン含量の低い海洋タンパク質加水分解物
(51)【国際特許分類】
C07K 2/00 20060101AFI20240502BHJP
A23J 3/04 20060101ALI20240502BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20240502BHJP
A61K 38/01 20060101ALI20240502BHJP
A61K 35/60 20060101ALI20240502BHJP
A61K 35/612 20150101ALI20240502BHJP
A61K 31/198 20060101ALI20240502BHJP
A23L 33/18 20160101ALI20240502BHJP
C07K 1/12 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
C07K2/00
A23J3/04 501
A23L5/00 J
A23L5/00 M
A61K38/01
A61K35/60
A61K35/612
A61K31/198
A23L33/18
C07K1/12
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024015787
(22)【出願日】2024-02-05
(62)【分割の表示】P 2020541505の分割
【原出願日】2019-01-30
(31)【優先権主張番号】62/623,658
(32)【優先日】2018-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520223572
【氏名又は名称】エーケル バイオマリーン アンタークティク エーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】エレゴール,カトリン,ヴィズ
(72)【発明者】
【氏名】バガー,クリスティアン,ローレンツ
(72)【発明者】
【氏名】マイレン,フィン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクルン,エリク,ディグマン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】医薬品、栄養補助食品、機能性食品、食品、飲料、及び動物飼料に使用される海産タンパク質加水分解物、ならびにその作製方法を提供する。
【解決手段】乾燥重量基準で、85%超のタンパク質含量、5%未満の脂肪、ならびに特定の含量範囲のフッ化物、TMAO(トリメチルアミンN-オキシド)、TMA(トリメチルアミン)、TVN(全揮発性窒素)、ナトリウム、カルシウム、及び各種アミノ酸のうちの1つ以上を有するタンパク質加水分解物とする。その生成プロセスは、粉砕した海産ミールをクエン酸で洗浄して、洗浄ミールを得ること、前記洗浄ミールをプロテアーゼで処理して、タンパク質加水分解物を得ること、ならびに0.1~10μmの孔径を有するフィルターを用いる精密濾過及び/または1~10nmの孔径を有するフィルターを用いるナノ濾過により、前記加水分解物を濾過して、タンパク質加水分解物及びパーミエートを得ること、を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥重量基準で85%超のタンパク質含量、乾燥重量基準で5%未満の脂肪、及び以下の特性:
a.乾燥重量基準で0.1~200mg/kgのフッ化物含量、
b.乾燥重量基準で0.1~200mgのN/加水分解物100gのTMAO(トリメチルアミンN-オキシド)含量、
c.乾燥重量基準で0.1~200mgのN/加水分解物100gのTMA(トリメチルアミン)含量、
d.乾燥重量基準で0.1~200mgのN/加水分解物100gのTVN(全揮発性窒素)含量、
e.乾燥重量基準で0.01~4.0g/加水分解物100gのナトリウム含量、
f.乾燥重量基準で100~25,000mg/kgの加水分解物のカルシウム含量、
g.6.30~10.30gのリシン/総アミノ酸100gのリシン含量、
h.3.04~7.04gのスレオニン/総アミノ酸100gのスレオニン含量、
i.3.39~7.39gのイソロイシン/総アミノ酸100gのイソロイシン含量、
j.6.27~10.27gのロイシン/総アミノ酸100gのロイシン含量、
k.0.94~3.94gのヒスチジン/総アミノ酸100gのヒスチジン含量、
l.2.76~6.76gのフェニルアラニン/総アミノ酸100gのフェニルアラニン含量、
m.2.39~6.39gのチロシン/総アミノ酸100gのチロシン含量、
n.3.69~7.69gのバリン/総アミノ酸100gのバリン含量、
o.3.76~7.76gのアラニン/総アミノ酸100gのアラニン含量、
p.3.90~7.90gのアルギニン/総アミノ酸100gのアルギニン含量、
q.9.68~13.68gのアスパラギン酸及びアスパラギン/総アミノ酸100gのアスパラギン酸及びアスパラギン含量、
r.11.54~17.54gのグルタミン酸及びグルタミン/総アミノ酸100gのグルタミン酸及びグルタミン含量、
s.2.50~6.50gのグリシン/総アミノ酸100gのグリシン含量、
t.1.84~5.84gのプロリン/総アミノ酸100gのプロリン含量、
u.2.35~6.35gのセリン/総アミノ酸100gのセリン含量、
v.1.22~5.22gのメチオニン/総アミノ酸100gのメチオニン含量、
w.0.24~1.04gのシステイン及びシスチン/総アミノ酸100gのシステイン及びシスチン含量、
x.0.76~1.76gのトリプトファン/総アミノ酸100gのトリプトファン含量、
のうちの1つ以上を有することを特徴とする、タンパク質加水分解物。
【請求項2】
前記タンパク質加水分解物が、乾燥重量基準で0.1~30mg/kgのフッ化物含量を有する、請求項1に記載のタンパク質加水分解物。
【請求項3】
前記タンパク質加水分解物が、乾燥重量基準で0.1~10mgのN/加水分解物100gのTMAO含量を有する、請求項1に記載のタンパク質加水分解物。
【請求項4】
前記タンパク質加水分解物が、乾燥重量基準で0.1~30mgのN/加水分解物100gのTMA含量を有する、請求項1に記載のタンパク質加水分解物。
【請求項5】
前記タンパク質加水分解物が、乾燥重量基準で0.1~60mgのN/加水分解物100gのTVN含量を有する、請求項1に記載のタンパク質加水分解物。
【請求項6】
前記タンパク質加水分解物が、特性a、b、c、d、e、及びfのうちの2つを有する、請求項1に記載のタンパク質加水分解物。
【請求項7】
前記タンパク質加水分解物が、特性a、b、c、d、e、及びfのうちの3つを有する、請求項1に記載のタンパク質加水分解物。
【請求項8】
前記タンパク質加水分解物が、特性a、b、c、d、e、及びfのうちの4つを有する、請求項1に記載のタンパク質加水分解物。
【請求項9】
前記タンパク質加水分解物が、特性a、b、c、d、e、及びfのうちの5つを有する、請求項1に記載のタンパク質加水分解物。
【請求項10】
前記タンパク質加水分解物が、特性a、b、c、d、e、及びfを有する、請求項1に記載のタンパク質加水分解物。
【請求項11】
前記タンパク質加水分解物がさらに、特性g、h、i、j、k、l、m、n、o、p、q、r、s、t、u、v、w、及びxの全てを有する、請求項6~10のいずれかに記載のタンパク質加水分解物。
【請求項12】
前記加水分解物の必須アミノ酸含量が、39.36~49.36gの必須アミノ酸/総アミノ酸100gである、請求項1~11のいずれか1項に記載のタンパク質加水分解物。
【請求項13】
前記加水分解物の分枝鎖アミノ酸含量が、16.35~22.35gの分枝鎖アミノ酸/総アミノ酸100gである、請求項1~12のいずれか1項に記載のタンパク質加水分解物。
【請求項14】
前記加水分解物の硫黄含有アミノ酸含量が、2.86~4.86gの硫黄含有アミノ酸/総アミノ酸100gである、請求項1~13のいずれか1項に記載のタンパク質加水分解物。
【請求項15】
前記タンパク質加水分解物がさらに、乾燥重量基準で89%超のタンパク質含量が及び乾燥重量基準で2%未満の脂肪含量を有することを特徴とする、請求項1~14のいずれか1項に記載のタンパク質加水分解物。
【請求項16】
前記タンパク質加水分解物が、3%未満の含水量を有する、請求項1~15のいずれか1項に記載のタンパク質加水分解物。
【請求項17】
前記タンパク質加水分解物がさらに、中立的な味で、魚の味がしないことを特徴とする、請求項1~16のいずれか1項に記載のタンパク質加水分解物。
【請求項18】
前記タンパク質加水分解物がさらに、水または他の水性媒体に添加される時に、透過溶液に分散することを特徴とする、請求項1~17のいずれか1項に記載のタンパク質加水分解物。
【請求項19】
水100g中の前記タンパク質加水分解物乾燥重量4.5gの溶液のOD590が、0.4未満である、請求項18に記載のタンパク質加水分解物。
【請求項20】
前記タンパク質加水分解物が、水100gに前記タンパク質加水分解物乾燥重量4.5gを溶解させることによりアッセイされる場合、80%超の水溶性である、請求項1~19のいずれか1項に記載のタンパク質加水分解物。
【請求項21】
加熱処理済みタンパク質加水分解物が、水100gに前記タンパク質加水分解物乾燥重量4.5gを溶解させて85℃に5分間加熱することによりアッセイされる場合、60%超の水溶性である、請求項1~20のいずれか1項に記載のタンパク質加水分解物。
【請求項22】
前記タンパク質加水分解物が、海産タンパク質加水分解物である、請求項1~21のいずれか1項に記載のタンパク質加水分解物。
【請求項23】
前記海産タンパク質加水分解物が、オキアミタンパク質加水分解物である、請求項22に記載のタンパク質加水分解物。
【請求項24】
タンパク質加水分解物を生成するためのプロセスであって、
海産ミールを得ること、
前記海産ミールを粉砕すること、
前記粉砕ミールを及び/またはクエン酸で洗浄して、洗浄ミールを得ること、
前記洗浄ミールをプロテアーゼで処理して、タンパク質加水分解物を得ること、ならびに
0.1~10μmの孔径を有するフィルターを用いる精密濾過及び/または1~10nmの孔径を有するフィルターを用いるナノ濾過により、前記加水分解物を濾過して、タンパク質加水分解物及びパーミエートを得ること、
を含む、前記プロセス。
【請求項25】
前記ミールが、溶媒抽出ミールである、請求項24に記載のプロセス。
【請求項26】
さらに、濾過前に前記プロテアーゼを不活化するステップを含む、請求項24~25のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項27】
さらに、前記タンパク質加水分解物を乾燥させて、乾燥タンパク質加水分解物を得るステップを含む、請求項24~26のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項28】
前記乾燥タンパク質加水分解物が、乾燥重量基準で85%超のタンパク質含量、乾燥重量基準で5%未満の脂肪、及び以下の特性:
a.乾燥重量基準で0.1~200mg/kgのフッ化物含量、
b.乾燥重量基準で0.1~200mgのN/加水分解物100gのTMAO含量、
c.乾燥重量基準で0.1~200mgのN/加水分解物100gのTMA含量、
d.乾燥重量基準で0.1~200mgのN/加水分解物100gのTVN含量、
e.乾燥重量基準で0.05~4.0g/100gのナトリウム含量、
f.乾燥重量基準で100~25,000mg/kgのカルシウム含量、
g.6.30~10.30gのリシン/アミノ酸100gのリシン含量、
h.3.04~7.04gのスレオニン/アミノ酸100gのスレオニン含量、
i.3.39~7.39gのイソロイシン/アミノ酸100gのイソロイシン含量、
j.6.27~10.27gのロイシン/アミノ酸100gのロイシン含量、
k.0.94~3.94gのヒスチジン/アミノ酸100gのヒスチジン含量、
l.2.76~6.76gのフェニルアラニン/アミノ酸100gのフェニルアラニン含量、
m.2.39~6.39gのチロシン/アミノ酸100gのチロシン含量、
n.3.69~7.69gのバリン/アミノ酸100gのバリン含量、
o.3.76~7.76gのアラニン/アミノ酸100gのアラニン含量、
p.3.90~7.90gのアルギニン/アミノ酸100gのアルギニン含量、
q.9.68~13.68gのアスパラギン酸/アミノ酸100gのアスパラギン酸含量、
r.11.54~17.54gのグルタミン酸/アミノ酸100gのグルタミン酸含量、
s.2.50~6.50gのグリシン/アミノ酸100gのグリシン含量、
t.1.84~5.84gのプロリン/アミノ酸100gのプロリン含量、
u.2.35~6.35gのセリン/アミノ酸100gのセリン含量、
v.1.22~5.22gのメチオニン/アミノ酸100gのメチオニン含量、
w.0.24~1.04gのシステイン及びシスチン/アミノ酸100gのシステイン及びシスチン含量、
x.0.76~1.76gのトリプトファン/アミノ酸100gのトリプトファン含量、
のうちの1つ以上を有する、請求項27に記載のプロセス。
【請求項29】
前記タンパク質加水分解物が、乾燥重量基準で0.1~30mg/kgのフッ化物含量を有する、請求項28に記載のプロセス。
【請求項30】
前記タンパク質加水分解物が、乾燥重量基準で0.1~10mgのN/加水分解物100gのTMAO含量を有する、請求項28に記載のプロセス。
【請求項31】
前記タンパク質加水分解物が、乾燥重量基準で0.1~30mgのN/加水分解物100gのTMA含量を有する、請求項28に記載のプロセス。
【請求項32】
前記タンパク質加水分解物が、乾燥重量基準で0.1~60mgのN/加水分解物100gのTVN含量を有する、請求項28に記載のプロセス。
【請求項33】
前記タンパク質加水分解物が、特性a、b、c、d、e、及びfのうちの2つを有する、請求項28に記載のプロセス。
【請求項34】
前記タンパク質加水分解物が、特性a、b、c、d、e、及びfのうちの3つを有する、請求項28に記載のプロセス。
【請求項35】
前記タンパク質加水分解物が、特性a、b、c、d、e、及びfのうちの4つを有する、請求項28に記載のプロセス。
【請求項36】
前記タンパク質加水分解物が、特性a、b、c、d、e、及びfのうちの5つを有する、請求項28に記載のプロセス。
【請求項37】
前記タンパク質加水分解物が、特性a、b、c、d、e、及びfを有する、請求項28に記載のプロセス。
【請求項38】
前記タンパク質加水分解物がさらに、特性g、h、i、j、k、l、m、n、o、p、q、r、s、t、u、v、w、x、y、及びzの全てを有する、請求項28~37のいずれかに記載のプロセス。
【請求項39】
前記加水分解物の必須アミノ酸含量が、39.36~49.36gの必須アミノ酸/総アミノ酸100gである、請求項28~38のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項40】
前記加水分解物の分枝鎖アミノ酸含量が、16.35~22.35gの分枝鎖アミノ酸/総アミノ酸100gである、請求項28~39のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項41】
前記加水分解物の硫黄含有アミノ酸含量が、2.86~4.86gの硫黄含有アミノ酸/総アミノ酸100gである、請求項28~40のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項42】
前記タンパク質加水分解物がさらに、乾燥重量基準で89%超のタンパク質含量が及び乾燥重量基準で2%未満の脂肪含量を有することを特徴とする、請求項28~41のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項43】
前記タンパク質加水分解物が、3%未満の含水量を有する、請求項28~42のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項44】
前記タンパク質加水分解物がさらに、中立的な味で、魚の味がしないことを特徴とする、請求項28~44のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項45】
前記タンパク質加水分解物がさらに、水または他の水性媒体に添加される時に、透過溶液に分散することを特徴とする、請求項28~44のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項46】
水100g中の前記タンパク質加水分解物乾燥重量4.5gの溶液のOD590が、0.4未満である、請求項45に記載のタンパク質加水分解物。
【請求項47】
前記タンパク質加水分解物が、水100gに前記タンパク質加水分解物乾燥重量4.5gを溶解させることによりアッセイされる場合、80%超の水溶性である、請求項28~46のいずれか1項に記載のタンパク質加水分解物。
【請求項48】
加熱処理済みタンパク質加水分解物が、水100gに前記タンパク質加水分解物乾燥重量4.5gを溶解させて85℃に5分間加熱することによりアッセイされる場合、60%超の水溶性である、請求項28~47のいずれか1項に記載のタンパク質加水分解物。
【請求項49】
前記タンパク質加水分解物が、海産タンパク質加水分解物である、請求項24~48のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項50】
前記海産タンパク質加水分解物が、オキアミタンパク質加水分解物である、請求項49に記載のプロセス。
【請求項51】
請求項24~50のいずれか1項に記載のプロセスにより作製された、タンパク質加水分解物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品、栄養補助食品、機能性食品、食品、飲料、及び動物飼料に使用されるタンパク質加水分解物、ならびに海産加水分解物を作製するための方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
海産2次製品の生理活性ペプチドは、機能性食品への組み込み及び医療目的に大きな可能性を提供するので、関心が高まっている。海産源由来の生理活性ペプチドは、とりわけ、抗酸化作用、降圧作用、抗菌作用、免疫調節作用、抗癌作用、及び糖尿病2作用を含む広範囲の生理学的機能を示すことがわかっている。研究のほとんどは、健康食品及び機能性食品に商業的に使用される加水分解物の調製及び特性評価に焦点を定めている。
【0003】
海産飼料に使用される且つヒト用サプリメントとしてのオキアミ加水分解物が記載されている。例えば、以下を参照のこと:WO2010030193;WO2013102792;Kolkovski et al.,J.World Aqua.Soc.,Volume 31,Issue 1(2000)pp.81-88。これらのオキアミ加水分解物は一般に、脂質を大量に含有する供給源から生成される。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、医薬品、栄養補助食品、機能性食品、食品、飲料、及び動物飼料に使用されるタンパク質加水分解物、ならびに海産タンパク質加水分解物を作製するための方法を提供する。
【0005】
一部の好ましい実施形態では、本発明は、乾燥重量基準で85%を超えるタンパク質含量、乾燥重量基準で5%未満の脂肪、及び以下の特性のうちの1つ以上を有することを特徴とするタンパク質加水分解物を提供する:
a.乾燥重量基準で0.1~200mg/kgの加水分解物のフッ化物含量、
b.乾燥重量基準で0.1~200mgのN/加水分解物100gのTMAO(トリメチルアミンN-オキシド)含量、
c.乾燥重量基準で0.1~200mgのN/加水分解物100gのTMA(トリメチルアミン)含量、
d.乾燥重量基準で0.1~200mgのN/加水分解物100gのTVN(全揮発性窒素)含量、
e.乾燥重量基準で0.01~4.0g/加水分解物100gのナトリウム含量、
f.乾燥重量基準で100~25,000mg/kgの加水分解物のカルシウム含量、
g.6.30~10.30gのリシン/総アミノ酸100gのリシン含量、
h.3.04~7.04gのスレオニン/総アミノ酸100gのスレオニン含量、
i.3.39~7.39gのイソロイシン/総アミノ酸100gのイソロイシン含量、
j.6.27~10.27gのロイシン/総アミノ酸100gのロイシン含量、
k.0.94~3.94gのヒスチジン/総アミノ酸100gのヒスチジン含量、
l.2.76~6.76gのフェニルアラニン/総アミノ酸100gのフェニルアラニン含量、
m.2.39~6.39gのチロシン/総アミノ酸100gのチロシン含量、
n.3.69~7.69gのバリン/総アミノ酸100gのバリン含量、
o.3.76~7.76gのアラニン/総アミノ酸100gのアラニン含量、
p.3.90~7.90gのアルギニン/総アミノ酸100gのアルギニン含量、
q.9.68~13.68gのアスパラギン酸及びアスパラギン/総アミノ酸100gのアスパラギン酸/アスパラギン含量、
r.11.54~17.54gのグルタミン酸及びグルタミン/総アミノ酸100gのグルタミン酸/グルタミン含量、
s.2.50~6.50gのグリシン/総アミノ酸100gのグリシン含量、
t.1.84~5.84gのプロリン/総アミノ酸100gのプロリン含量、
u.2.35~6.35gのセリン/総アミノ酸100gのセリン含量、
v.1.22~5.22gのメチオニン/総アミノ酸100gのメチオニン含量、
w.0.24~1.04gのシステイン及びシスチン/総アミノ酸100gのシステイン及びシスチン含量、
x.0.76~1.76gのトリプトファン/総アミノ酸100gのトリプトファン含量。
【0006】
一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、乾燥重量基準で0.1~30mg/kgのフッ化物含量を有する。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、乾燥重量基準で0.1~10mgのN/加水分解物100gのTMAO含量を有する。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、乾燥重量基準で0.1~30mgのN/加水分解物100gのTMA含量を有する。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、乾燥重量基準で0.1~60mgのN/加水分解物100gのTVN含量を有する。
【0007】
一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、特性a、b、c、d、e、及びfのうちの2つを有する。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、特性a、b、c、d、e、及びfのうちの3つを有する。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、特性a、b、c、d、e、及びfのうちの4つを有する。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、特性a、b、c、d、e、及びfのうちの5つを有する。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、特性a、b、c、d、e、及びfを有する。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物はさらに、特性g、h、i、j、k、l、m、n、o、p、q、r、s、t、u、v、w、及びxの全てを有する。
【0008】
一部の好ましい実施形態では、加水分解物の必須アミノ酸含量は、39.36~49.36gの必須アミノ酸/総アミノ酸100gである。一部の好ましい実施形態では、加水分解物の分岐鎖アミノ酸含量は、16.35~22.35gの分岐鎖アミノ酸/総アミノ酸100gである。一部の好ましい実施形態では、加水分解物の硫黄含有アミノ酸含量は、2.86~4.86gの硫黄含有アミノ酸/総アミノ酸100gである。
【0009】
一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、特性a、b、c、及びd、ならびに特性g、h、i、j、k、l、n、v、及びxのうちの1つ以上を有する。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、特性a、ならびに特性g、h、i、j、k、l、n、v、及びxを有する。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、特性a及びb、ならびに特性g、h、i、j、k、l、n、v、及びxを有する。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、特性a、b、及びc、ならびに特性g、h、i、j、k、l、n、v、及びxを有する。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、特性a、b、c、及びd、ならびに特性g、h、i、j、k、l、n、v、及びxを有する。
【0010】
一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、特性a、b、c、及びd、ならびに特性i、j、及びnのうちの1つ以上を有する。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、特性a、ならびに特性i、j、及びnを有する。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、特性a及びb、ならびに特性i、j、及びnを有する。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、特性a、b、及びc、ならびに特性i、j、及びnを有する。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、特性a、b、c、及びd、ならびに特性i、j、及びnを有する。
【0011】
一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、特性a、b、c、及びd、ならびに特性v及びwのうちの1つ以上を有する。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、特性a、ならびに特性v及びwを有する。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、特性a及びb、ならびに特性v及びwを有する。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、特性a、b、及びc、ならびに特性v及びwを有する。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、特性a、b、c、及びd、ならびに特性v及びwを有する。
【0012】
一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物はさらに、乾燥重量基準で89%、90%、91%、92%、93%、94%、または95%を超えるタンパク質含量及び乾燥重量基準で2%の脂肪含量を有することを特徴とする。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、3%未満の含水量を有する。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物はさらに、中立的な味で、魚の味がしないことを特徴とする。
【0013】
一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物はさらに、水または他の水性媒体に加えられた時に、透明な溶液に分散することを特徴とする。一部の好ましい実施形態では、水100g中のタンパク質加水分解物乾燥重量4.5gの溶液のOD590は、0.4未満である。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、水100gにタンパク質加水分解物乾燥重量4.5gを溶解させることによりアッセイされる場合、80%超の水溶性である。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、水100gにタンパク質加水分解物乾燥重量4.5gを溶解させて85℃に5分間加熱することによりアッセイされる場合、60%超の水溶性である。
【0014】
一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、海産タンパク質加水分解物である。一部の好ましい実施形態では、海産タンパク質加水分解物は、オキアミタンパク質加水分解物である。一部の好ましい実施形態では、オキアミタンパク質加水分解物は、50ppm未満のアスタキサンチン含量を有する。
【0015】
一部の好ましい実施形態では、本発明は、タンパク質加水分解物を生成するためのプロセスを提供し、特に好ましい実施形態では、上記のタンパク質加水分解物は、海産ミールを得ること;海産ミールを粉砕すること;粉砕ミールを水及び/またはクエン酸水溶液で洗浄して、洗浄ミールを得ること;洗浄ミールをプロテアーゼで処理して、タンパク質加水分解物を得ること;ならびに0.1~10μmの孔径を有するフィルターを用いる精密濾過及び/または1~10nmの孔径を有するフィルターを用いるナノ濾過により加水分解物を濾過して、タンパク質加水分解物及びパーミエートを得ること、を含む。一部の好ましい実施形態では、ミールは、溶媒抽出ミールである。一部の好ましい実施形態では、プロセスはさらに、濾過前にプロテアーゼを不活化するステップを含む。一部の好ましい実施形態では、プロセスはさらに、タンパク質加水分解物を乾燥させて、タンパク質加水分解物を得るステップを含む。一部の好ましい実施形態では、海産ミールは、オキアミミールである。オキアミミールは、好ましくは、全脂オキアミミールまたは脱脂オキアミミールであり得る。一部の好ましい実施形態では、プロテアーゼは、出発の海産ミールと比較して非天然である(すなわち、プロテアーゼは、ミールを作製するために使用される海産生物では自然に発生しない)。
【0016】
他の好ましい実施形態では、本発明は、乾燥重量基準で85%超のタンパク質含量、乾燥重量基準で2%未満の脂肪、及び4%未満の水分を有することを特徴とするオキアミタンパク質加水分解物濃縮物を含む組成物を提供する。
【0017】
一部の好ましい実施形態では、オキアミタンパク質加水分解物濃縮物はさらに、乾燥重量基準で89%超のタンパク質含量、乾燥重量基準で1%未満の脂肪、及び3%未満の水分を有することを特徴とする。一部の好ましい実施形態では、オキアミタンパク質加水分解物濃縮物はさらに、5~7%(AAのg/タンパク質100g)のアルギニン含量を有することを特徴とする。一部の好ましい実施形態では、オキアミタンパク質加水分解物濃縮物はさらに、8~10%(AAのg/タンパク質100g)のロイシン含量を有することを特徴とする。一部の好ましい実施形態では、オキアミタンパク質加水分解物濃縮物はさらに、17~19.5%(AAのg/タンパク質100g)の組み合わされた分岐鎖アミノ酸(すなわち、ロイシン、イソロイシン、及びバリン)含量を有することを特徴とする。一部の好ましい実施形態では、オキアミタンパク質加水分解物濃縮物はさらに、2~4%(AAのg/タンパク質100g)のメチオニン及びシステインの混合含量を有することを特徴とする。一部の好ましい実施形態では、オキアミタンパク質加水分解物濃縮物はさらに、w/w基準で50%~80%の2~20アミノ酸のペプチド(遊離アミノ酸のペプチド及びポリペプチドの長さ/総重量で2~20アミノ酸のペプチド)を含むことを特徴とする。
【0018】
一部の好ましい実施形態では、オキアミタンパク質加水分解物濃縮物はさらに、60ppm未満のトリメチルアミンオキシドを含むことを特徴とする。一部の好ましい実施形態では、オキアミタンパク質加水分解物濃縮物はさらに、50ppm未満のフッ化物を含むことを特徴とする。一部の好ましい実施形態では、オキアミタンパク質加水分解物濃縮物はさらに、1%未満の塩を含むことを特徴とする。一部の好ましい実施形態では、オキアミタンパク質加水分解物濃縮物はさらに、中立的な味で、魚の味がしないことを特徴とする。一部の好ましい実施形態では、オキアミタンパク質加水分解物濃縮物はさらに、水または他の水性媒体に加えられた時に、透過または透明溶液に分散することを特徴とする。
【0019】
一部の好ましい実施形態では、本発明は、オキアミタンパク質加水分解物濃縮物を生成するためのプロセスを提供し、プロセスは、溶媒抽出オキアミミールを得ること、溶媒抽出オキアミミールを水及び/またはクエン酸で洗浄して洗浄溶媒抽出オキアミミールを得ること、洗浄溶媒抽出オキアミミールをプロテアーゼで処理してオキアミタンパク質加水分解物を得ること、ならびに精密濾過及び/またはナノ濾過で加水分解物を濾過して、w/w基準で50%~80%の2~10アミノ酸のペプチド(遊離アミノ酸のペプチド及びポリペプチドの長さ/総重量で2~10アミノ酸のペプチド)を含むことを特徴とするオキアミタンパク質加水分解物濃縮物及びパーミエートを得ること、を含む。
【0020】
一部の好ましい実施形態では、プロセスはさらに、洗浄前に溶媒抽出オキアミミールを粉砕するステップを含む。一部の好ましい実施形態では、プロセスはさらに、濾過前にプロテアーゼを不活化するステップを含む。一部の好ましい実施形態では、プロセスはさらに、オキアミタンパク質加水分解物濃縮物を乾燥させて、顆粒オキアミタンパク質加水分解物濃縮物を得るステップを含む。
【0021】
一部の好ましい実施形態では、顆粒オキアミタンパク質加水分解物は、乾燥重量基準で85%超のタンパク質含量、乾燥重量基準で2%未満の脂肪、及び4%未満の水分を有することを特徴とする。一部の好ましい実施形態では、顆粒オキアミタンパク質加水分解物濃縮物はさらに、乾燥重量基準で89%超のタンパク質含量、乾燥重量基準で1%未満の脂肪、及び3%未満の水分を有することを特徴とする。一部の好ましい実施形態では、顆粒オキアミタンパク質加水分解物濃縮物はさらに、5~7%(AAのg/タンパク質100g)のアルギニン含量を有することを特徴とする。一部の好ましい実施形態では、顆粒オキアミタンパク質加水分解物濃縮物はさらに、8~10%(AAのg/タンパク質100g)のロイシン含量を有することを特徴とする。一部の好ましい実施形態では、顆粒オキアミタンパク質加水分解物濃縮物はさらに、17~19.5%(AAのg/タンパク質100g)の組み合わされた分枝鎖アミノ酸含量を有することを特徴とする。一部の好ましい実施形態では、顆粒オキアミタンパク質加水分解物濃縮物はさらに、2~4%(AAのg/タンパク質100g)のメチオニン及びシステインの混合含量を有することを特徴とする。
【0022】
一部の好ましい実施形態では、顆粒オキアミタンパク質加水分解物濃縮物はさらに、60ppm未満のトリメチルアミンオキシドを含むことを特徴とする。一部の好ましい実施形態では、顆粒オキアミタンパク質加水分解物濃縮物はさらに、50ppm未満のフッ化物を含むことを特徴とする。一部の好ましい実施形態では、顆粒オキアミタンパク質加水分解物濃縮物はさらに、1%未満の塩を含むことを特徴とする。一部の好ましい実施形態では、顆粒オキアミタンパク質加水分解物濃縮物はさらに、中立的な味で、魚の味がしないことを特徴とする。一部の好ましい実施形態では、顆粒オキアミタンパク質加水分解物濃縮物はさらに、水または他の水性媒体に加えられた時に、透明溶液に分散することを特徴とする。
【0023】
一部の好ましい実施形態では、本発明は、上記のプロセスにより作製されたオキアミタンパク質加水分解物濃縮物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明によるオキアミタンパク質加水分解物のアミノ酸プロファイルを示す棒グラフである。
【
図2】本発明によるオキアミタンパク質加水分解物のペプチドサイズ分布を示す棒グラフである。
【
図3】本発明によるプロセスのフローチャートである。
【0025】
定義
本明細書で使用される場合、「加水分解物」という用語は、外因性プロテアーゼまたは供給源タンパク質に対して非天然であるプロテアーゼなどの追加の酵素による供給源タンパク質の酵素的加水分解から生じる異なる鎖長のアミノ酸及びペプチドの混合物を指す。
【0026】
本明細書で使用される場合、「経口送達ビヒクル」という用語は、限定されないが、カプセル剤、丸剤、錠剤、及びシロップ剤を含む、医薬品を経口送達する任意の手段を指す。
【0027】
本明細書で使用される場合、「食品」という用語は、ヒト、非反芻動物、または反芻動物による摂取に適する任意の食品または飼料を指す。「食品」は、調製及び包装された食品(例えば、マヨネーズ、サラダドレッシング、パン、もしくはチーズ食品)または動物飼料(例えば、押し出されてペレット化された動物飼料または粗混合飼料)であり得る。「調製済み食品」とは、ヒトの摂取について承認された任意の包装済み食品を意味する。
【0028】
本明細書で使用される場合、「食料品」という用語は、ヒトまたは動物の摂取に適する任意の物質を指す。
【0029】
本明細書で使用される場合、「機能性食品」という用語は、生物学的に活性なサプリメントが添加されている食品を指す。
【0030】
本明細書で使用される場合、「栄養補助食品」という用語は、食事の一部として使用されるべき健康補助食品または栄養補助食品として製剤化される食品を指す。
【0031】
本明細書で使用される場合、w/w(重量/重量)という用語は、別途明記のない限り、重量基準での組成物中の所与の物質の量を指し、全組成物重量の百分率として表される。
【0032】
本明細書で使用される場合、「オキアミミール」という用語は、オキアミから作製された粉末を指す。オキアミミールの例としては、乾燥オキアミミール(例えば、含水量3~15%を有するオキアミミール)、脱脂オキアミミール(例えば、溶媒抽出により脂肪が除去されているオキアミミール)、全脂オキアミミール(溶剤抽出されていないオキアミミール)、及びオキアミミールの副画分が挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
本明細書で使用される場合、「タンパク質」という用語は、加水分解物または組成物のタンパク質含量に関連して使用される時、加水分解物または組成物中のポリペプチド、ペプチド、及びアミノ酸の含量を指す。別途記載のない限り、タンパク質含量は、例えば、加水分解物の、全窒素含量を測定して、6.25の換算係数を乗じることにより決定される。全窒素含量を決定する任意の好適な方法が利用されてもよい。例えば、一部の好ましい実施形態では、Kjeldahl法が、利用される。加水分解物中のアミノ酸の含量は、(例えば、Kjeldahl法により決定された)総タンパク質100グラム当たりの(例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で決定された)アミノ酸のグラムとして、または(例えば、タンパク質にみられる一般的な20のアミノ酸の、HPLCで測定された)総アミノ酸100g当たりのアミノ酸のグラムとして、表されてもよい。
【0034】
本明細書で使用される場合、「必須アミノ酸」という用語は、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、及びバリンである、ヒトが合成することができない9つのアミノ酸を指す。
【0035】
本明細書で使用される場合、「分岐鎖アミノ酸」という用語は、ロイシン、イソロイシン、及びバリンを指す。
【0036】
本明細書で使用される場合、「硫黄含有アミノ酸」という用語は、メチオニン及びシステイン(本明細書で報告される評価ではシステイン及びシスチンとして表され得る)を指す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明は、医薬品、栄養補助食品、機能性食品、食品、飲料、及び動物飼料に使用されるタンパク質加水分解物、ならびにタンパク質加水分解物を作製するための方法を提供する。特に好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、海産タンパク質加水分解物である。海産タンパク質加水分解物は、タンパク質を含む任意の好適な海産の出発材料から調製されてもよい。一部の好ましい実施形態では、海産タンパク質加水分解物は、全部のオキアミ(例えば、新鮮または冷凍オキアミ)、殻から取り出されたオキアミ、またはオキアミミールから調製される。一部の特に好ましい実施形態では、海産タンパク質加水分解物は、限定されないが、乾燥オキアミミール、脱脂オキアミミール、全脂オキアミミール、及びオキアミミールの画分を含むオキアミミールから調製される。本発明は、任意の特定のオキアミ種の使用に限定されない。例えば、オキアミの種は、Euphausia
superbaまたはEuphausia pacificaであり得る。他の好ましい実施形態では、海産タンパク質加水分解物は、魚(例えば、ニシン、サケ、タラ、野生魚、養殖魚)、イカ、魚卵、藻類、エビ、Calanus、カニ、ロブスター、及び軟体動物などの好適な海産バイオマス、これらの海産バイオマスの加工から生じる副産物、ならびにCalanus、イカ、ニシン、ニシン卵、または藻類の溶媒抽出から生じた全脂及び脱脂ミール、乾燥及び/または溶媒抽出または脱脂ミールを含むこれらの海産バイオマスから調製されたミールから調製される。
【0038】
本発明の開発中に、オキアミミールなどのミールを加工して、低いフッ化物含量及び独特のアミノ酸プロファイルなどの特性と共に許容可能な味及び臭いを有する加水分解物を得ることが困難であることが発見された。以前のオキアミ加水分解物は、例えば、WO2010/030193に記載されている。その出願は、フッ化物を低減させるための方法について記載するが、得られる製品(Rimfrostオキアミ粉末として販売されていると考えられる)は、大量の脂肪及び約55~60%のタンパク質のみを含有する。Zhang et al.,Fisheries Sci.(2002)68:672-679などの参考文献は、オキアミ加水分解物について記載するが、フッ化物またはTMAOの低減の証拠はない。Zhang et al.で生成されたタンパク質の品質はまた、加水分解物の報告されたアミノ酸組成により明らかなように、低いようである。
【0039】
本発明は、味覚、嗅覚、及びフッ化物レベルと関連する問題に対処し、加水分解及び後続のナノ濾過を含む濾過ステップ前のミールを洗浄及び/または粉砕することを含む多段階プロセスを利用することにより、特殊なアミノ酸組成物を有する製品を提供する。これらの組成物及びプロセスは、オキアミミールで例示されるが、他のミールにも等しく適用可能である。実施例に示されるように、得られる加水分解生成物は、ユニークなアミノ酸プロファイルを有しながら、味覚及び嗅覚の改善(及び関連する低レベルのTMAO(トリメチルアミンN-オキシド)、TMA(トリメチルアミン)、及びTVN(全揮発性窒素))ならびに低フッ化物レベルを有することを特徴とする。本発明のタンパク質加水分解物が、9つの必須アミノ酸:ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、及びバリン、の十分なレベルで、完全なタンパク質源であることを、アミノ酸プロファイルは明らかにする。非限定例として、本発明のオキアミタンパク質加水分解物のアミノ酸スコアは、卵タンパク質の場合の121のスコア及びホエー加水分解物の場合の115のスコアと比較して129~159の範囲であると計算されている。完全なタンパク質は、このスケールで100以上のスコアを有する。アミノ酸スコアは、WHO(2007):Protein and amino acid requirements in human nutrition(全体が参照により本明細書に組み込まれる)に詳細に記載される。従って、本発明のタンパク質加水分解物は、必須アミノ酸の優れた供給源であり、必須アミノ酸の完全な供給源として単独で使用されても、または必須アミノ酸中でより低くなり得る他のタンパク質源を補足するために使用されてもよい。
【0040】
1.出発材料
上で考察されるように、本発明は、特定の任意の生物学的出発材料の使用に限定されない。特に好ましい実施形態では、海産タンパク質加水分解物は、出発ミール、例えば、Euphausia superbaまたはEuphausia pacificaオキアミミールからの油の抽出から生じる全脂オキアミミールまたは溶媒抽出ミール(脱脂オキアミミール)などのオキアミミールから調製される。オキアミミールは、オキアミミールを得るために、好ましくは、新鮮な、最も好ましくは、生きているオキアミを、漁船上で調理して乾燥させることにより作製される。例示的なオキアミミールが得られたこのプロセスは、70%のおおよそのタンパク質含量、20%のおおよその脂肪含量、及び8%未満のおおよその含水量を有し得る。他の好ましい実施形態では、海産タンパク質加水分解物は、好適な海産バイオマス(例えば、魚(例えば、ニシン、サケ、タラ、野生魚、養殖魚)、イカ、魚卵、藻類、エビ、Calanus、カニ、ロブスター、もしくは軟体動物のバイオマス)、これらのバイオマス由来の海産副産物、またはバイオマスから調製されたミールから調製される。
【0041】
一部の好ましい実施形態では、生物学的出発材料は、オキアミミールである。オキアミミールは、好ましくは、任意の標準的な海産ミールプロセスにより作製することができる。一般に、オキアミミールは、新たに捕獲されたオキアミを低温(約80~85℃)で調理し、約5~8%の含水量を低減させるために乾燥させ、次に、粉砕することにより生成される。製品がヒトの摂取を対象とする実施形態では、抗酸化剤を添加せずに、窒素下で、ミールを包装及び保存することが好ましい。一部の特に好ましい実施形態では、オキアミミールは、溶媒抽出または脱脂オキアミミールである。溶媒抽出オキアミミールは、任意のタイプの油抽出プロセス、例えば、エタノール、メタノール、ヘプタン、またはエントレーナを用いるもしくは用いない二酸化炭素などの超臨界溶媒を用いる抽出、からの残渣ミールであってよい。一部の好ましい実施形態では、溶媒抽出オキアミミールは、PCT/GB2008/001080またはPCT/IB2016/000208に記載された抽出プロセスから生じる残渣脱脂オキアミミールであり、これらの両方は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0042】
一部の好ましい実施形態では、オキアミミールは、ミールから脂質を抽出するために好適な溶媒と混合される。先行技術の方法とは対照的に、本発明は、最初の溶媒抽出物中の汚染物質の量の増加という代償を払って、オキアミミールから最大量の脂質を抽出することが好ましい条件を利用する。好ましい実施形態では、溶媒は、有機プロトン性溶媒であるが、食品グレードの脂質の抽出での使用に既知の他の溶媒、例えば、アセトン、ヘキサンなども使用されてもよい。好適な有機プロトン性溶媒としては、n-ブタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ニトロメタン、エタノール、及びメタノールが挙げられるが、これらに限定されない。特に好ましい実施形態では、プロトン性溶媒は、エタノールである。
【0043】
好ましい実施形態では、最初の溶媒抽出ステップで使用されるプロトン性溶媒の濃度は、少なくとも90%、または、好ましくは、約94%~98%、より好ましくは、約95%~97%であり、最も好ましくは、約96%(例えば、96%のエタノールまたはメタノール)である。
【0044】
一部の実施形態では、プロトン性溶媒は、約1:1~10:1、好ましくは、約3:1~6:1、より好ましくは、約4:1~5:1、最も好ましくは、約4.4:1のプロトン性溶媒:生物学的出発材料の比で、生物学的出発材料と混合される。
【0045】
好ましい実施形態では、生物学的出発材料は、約5℃~65℃、約20℃~約60℃、好ましくは、約30℃~50℃、より好ましくは、約30℃~50℃、最も好ましくは、約40℃の温度で、プロトン性溶媒で抽出される。一部の実施形態では、抽出時間(すなわち、生物学的出発材料が溶媒と接触している時間の長さ)は、約10分~約2時間、好ましくは、約15分~60分、より好ましくは、約20分~約45分、最も好ましくは、約30分である。
【0046】
抽出ステップの後、オキアミミール由来の可溶性脂質を含有する粗オキアミ脂質溶液は、例えば、デカンテーション及び/または濾過により、溶媒/オキアミミール混合物から分離される。次に、タンパク質及び他の有用な材料を含む不溶性材料は、エタノールを回収するために乾燥させる。次に、残りの脱脂オキアミミールは、本発明による加水分解物を作製するために使用されてもよい。一部の好ましい実施形態では、脱脂オキアミミールは、15%または12%wt/wt未満の脂肪、65%または70%wt/wt超の粗タンパク質及び/または5%もしくは3%w/w未満の水分を含有する。
【0047】
従って、本発明のプロセスは、多種多様な出発材料と共に使用されてもよい。プロセスの考察の残りは、一般に、出発材料としての溶媒抽出オキアミミールなどの海産ミールの使用を指す。しかし、本明細書で考えられる出発材料のいずれかが、記載のプロセスにおいてオキアミミールの代わりになり得ることが理解されるであろう。
【0048】
2.加水分解プロセス及び組成
一部の好ましい実施形態では、本発明は、ミールを得ること、ミールを水及び/またはクエン酸で洗浄して洗浄ミールを得ること、ならびにミールをプロテアーゼで処理して加水分解物を得ること、ならびに精密濾過及び/または限外濾過及び/またはナノ濾過またはダイアフィルトレーションによる加水分解物を濾過することを含む、タンパク質加水分解物を生成するためのプロセスを提供する。一部の好ましい実施形態では、ミールは、オキアミミールである。一部の特に好ましい実施形態では、オキアミミールは、脱脂オキアミミールまたは全脂オキアミミールである。他の好ましい実施形態では、ミールは、全脂または脱脂魚(例えば、ニシンまたはサケ)、魚卵(例えば、ニシン卵)、イカ、Calanus、または藻類ミールである。ミールが溶媒抽出オキアミミールである一部の好ましい実施形態では、濾過後に得られる加水分解物は、w/w基準で50%~80%の2~10アミノ酸のペプチド(遊離アミノ酸ペプチド及びポリペプチドの長さ/総重量で2~10アミノ酸のペプチド)ならびにパーミエートを含むことを特徴とする。このプロセスにより生成される好ましいオキアミタンパク質加水分解物のさらなる特徴は、以下に詳細に記載される。
【0049】
一部の好ましい実施形態では、プロセスは、
図3に示されるような、1つ以上の追加のステップを含む。一部の好ましい実施形態では、ミールは、粒径を低減させるために、洗浄前に、粉砕され、好ましくは、湿式粉砕される。一部の好ましい実施形態では、粉砕ステップは、100μm未満、好ましくは、約50μmのミールの粒径に低減させる。次に、ミールは、水または別の好適な水性媒体(例えば、クエン酸溶液などの酸性溶液、塩溶液、もしくは塩基性溶液)で洗浄される。一部の実施形態では、洗浄ステップは、水及び酸性洗浄ステップの組み合わせを含む。例えば、一部の実施形態では、溶媒抽出ミールは、最初にいくつかの容量の水で洗浄され、その後、クエン酸で洗浄され、次に、水で1回以上すすがれた。
【0050】
本発明は、特定のプロテアーゼまたはペプチダーゼの使用に限定されない。一部の好ましい実施形態では、プロテアーゼは、セリンプロテアーゼである。好適なセリンプロテアーゼとしては、例えば、Bacillus subtilisから得られるズブチリシンA及び他のズブチリシンSが挙げられる。好適な市販のプロテアーゼは、Novozymesにより販売されており、限定されないが、ALCALASE(商標)2.4L FG、ALCALASE(商標)2.5L、SAVINASE(商標)12T、SAVINASE(商標)16L、及びESPERASE(商標)8.0Lを含む。一部の好ましい実施形態では、プロセスは、洗浄及び/または粉砕された溶媒抽出オキアミミールを、ALCALASE(商標)で、30~70℃、より好ましくは、50~60℃、最も好ましくは、約60℃の温度、5~9、好ましくは、7~8、最も好ましくは、7.5のpHで、最大24時間(例えば、30分~24時間)、例えば、1~3時間、約2時間、または約1時間処理することを含む。他の好適なプロテアーゼとしては、当該技術分野で既知の、システインプロテアーゼ、スレオニンプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、及びアスパラギンペプチドリアーゼが挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
一部の好ましい実施形態では、プロセスは、濾過前のプロテアーゼを不活化するステップを含む。さらに好ましい実施形態では、プロセスは、タンパク質加水分解物を乾燥させて、顆粒タンパク質加水分解物を得るステップを含む。乾燥ステップは、噴霧乾燥を含む当該技術分野で既知の方法により実施されてもよい。
図3に記載されているように、プロセスはまた、好ましくは、真空濃縮、低温殺菌、及び濾過の追加のステップを含んでもよい。本発明は、任意の特定の濾過ステップの使用に限定されない。好ましい実施形態では、限外濾過及びナノ濾過の組み合わせが利用される。限外濾過は一般に、分子量カットオフが約100kDaのメンブレンフィルターなどのフィルターを利用する。ナノ濾過は一般に、孔径が約1~10ナノメートルであり、例えば、分子量カットオフが約300Daであるメンブレンフィルターなどのフィルターを利用する。一部の実施形態では、ナノ濾過ステップに加えて、またはナノ濾過ステップの代わりに、ダイアフィルトレーションステップが利用されてもよい。
【0052】
本発明のプロセスは、味覚及び嗅覚の改善(低いTMA、TMAO、及びTVNレベルにより明らかなように)ならびに出発原料と比較して低いフッ化物レベルを含む、感覚刺激特性が改善された海産タンパク質加水分解物を生成する。一部の好ましい実施形態では、海産タンパク質加水分解物は、乾燥重量基準で85%超のタンパク質含量、乾燥重量基準で2%未満の脂肪、及び4%未満の水分を有することを特徴とする。一部の好ましい実施形態では、海産タンパク質加水分解物はさらに、乾燥重量基準で89%超のタンパク質含量、乾燥重量基準で1%未満の脂肪、及び3%未満の水分を有することを特徴とする。
【0053】
一部の特に好ましい実施形態では、オキアミ加水分解物は、乾燥重量基準で85%超のタンパク質含量、乾燥重量基準で5%未満の脂肪、及び以下の特性のうちの1つ以上を有することを特徴とする:
a.乾燥重量基準で0.1~200mg/kg、好ましくは、乾燥重量基準で0.1~30mg/kg、より好ましくは、0.1~10mg/kg、さらにより好ましくは、乾燥重量基準で0.1~5mg/kg、最も好ましくは、乾燥重量基準で0.1~3mg/kg、あるいは乾燥重量基準で200、30、10、3、または1mg/kg未満のFのフッ化物含量、
b.乾燥重量基準で0.1~200mgのN/加水分解物100g、好ましくは、乾燥重量基準で0.1~100mgのN/加水分解物100g、より好ましくは、乾燥重量基準で0.1~30mgのN/加水分解物100g、さらにより好ましくは、乾燥重量基準で0.1~25mgのN/加水分解物100g、最も好ましくは、乾燥重量基準で0.1~10mgのN/加水分解物100gのTMAO含量、
c.乾燥重量基準で0.1~200mgのN/加水分解物100g、好ましくは、乾燥重量基準で0.1~100mgのN/加水分解物100g、より好ましくは、乾燥重量基準で0.1から50mgのN/加水分解物100g、さらにより好ましくは、乾燥重量基準で0.1から30mgのN/加水分解物100g、最も好ましくは、乾燥重量基準で0.1~10mgのN/加水分解物100gのTMA含量、
d.乾燥重量基準で0.1~200mgのN/加水分解物100g、好ましくは、乾燥重量基準で0.1~100mgのN/加水分解物100g、より好ましくは、乾燥重量基準で0.1~60mgのN/加水分解物100g、最も好ましくは、乾燥重量基準で0.1~20mgのN/加水分解物100gのTVN含量、
e.乾燥重量基準で0.01~4.0g/加水分解物100g、より好ましくは、乾燥重量基準で0.1~1.0g/加水分解物100g、最も好ましくは、乾燥重量基準で0.01~0.2g/加水分解物100gのナトリウム含量、
f.乾燥重量基準で100~25,000mg/加水分解物1kg、より好ましくは、乾燥重量基準で10,000~25,000mg/加水分解物1kg、最も好ましくは、乾燥重量基準で12,000~16,000mg/加水分解物1kgのカルシウム含量、
g.6.30~10.30gのリシン/総アミノ酸100g、好ましくは、7.30~9.30gのリシン/総アミノ酸100g、より好ましくは、7.80~8.80gのリシン/総アミノ酸100g、あるいは6.29~10.29gのリシン/タンパク質100g、好ましくは、7.29~9.29gのリシン/タンパク質100g、より好ましくは、7.79~8.79gのリシン/タンパク質100gのリシン含量、
h.3.04~7.04グラムのスレオニン/総アミノ酸100g、好ましくは、4.04~6.04gのスレオニン/総アミノ酸100g、または、より好ましくは、4.54~5.54gのスレオニン/総アミノ酸100g、あるいは3.36~7.36gのスレオニン/タンパク質100g、好ましくは、4.36~6.36gのスレオニン/タンパク質100g、より好ましくは、4.86~5.86gのスレオニン/タンパク質100gのスレオニン含量、
i.3.39~7.39gのイソロイシン/総アミノ酸100g、好ましくは、4.39~6.39gのイソロイシン/総アミノ酸100g、より好ましくは、4.89~5.89gのイソロイシン/総アミノ酸100g、あるいは3.38~7.38gのイソロイシン/タンパク質100g、好ましくは、4.38~6.38gのイソロイシン/タンパク質100g、より好ましくは、4.88~5.88gのイソロイシン/タンパク質100gのイソロイシン含量、
j.6.27~10.27gのロイシン/総アミノ酸100g、好ましくは、7.27~9.27gのロイシン/総アミノ酸100g、または、より好ましくは、7.77~8.77gのロイシン/総アミノ酸100g、あるいは6.37~10.37gのロイシン/タンパク質100g、好ましくは、7.37~9.37gのロイシン/タンパク質100g、より好ましくは、7.87~8.87gのロイシン/タンパク質100gのロイシン含量、
k.0.94~3.94gのヒスチジン/総アミノ酸100g、好ましくは、1.44~3.44gのヒスチジン/総アミノ酸100g、より好ましくは、1.94~2.94gのヒスチジン/総アミノ酸100g、あるいは1.09~4.09gのヒスチジン/タンパク質100g、好ましくは、1.59~3.69gのヒスチジン/タンパク質100g、より好ましくは、2.09~3.09gのヒスチジン/タンパク質100gのヒスチジン含量、
l.2.76~6.76gのフェニルアラニン/総アミノ酸100g、好ましくは、3.76~5.76gのフェニルアラニン/総アミノ酸100g、より好ましくは、4.26~5.26gのフェニルアラニン/総アミノ酸100g、あるいは3.05~7.05gのフェニルアラニン/タンパク質100g、好ましくは、4.05~6.05gのフェニルアラニン/タンパク質100g、より好ましくは、4.55~5.55gのフェニルアラニン/タンパク質100gのフェニルアラニン含量、
m.2.39~6.39gのチロシン/総アミノ酸100g、好ましくは、3.39~5.39gのチロシン/総アミノ酸100g、より好ましくは、3.89~4.89gのチロシン/総アミノ酸100g、あるいは2.46~6.46gのチロシン/タンパク質100g、好ましくは、3.46~5.46gのチロシン/タンパク質100g、より好ましくは、3.96~4.96gのチロシン/タンパク質100gのチロシン含量、
n.3.69~7.69gのバリン/総アミノ酸100g、好ましくは、4.69~6.69gのバリン/総アミノ酸100g、より好ましくは、5.19~6.19gのバリン/総アミノ酸100g、あるいは3.88~7.88gのバリン/タンパク質100g、好ましくは、4.88~6.88gのバリン/タンパク質100g、より好ましくは、5.38~6.38gのバリン/タンパク質100gのバリン含量、
o.3.76~7.76gのアラニン/総アミノ酸100g、好ましくは、4.76~6.76gのアラニン/総アミノ酸100g、または、より好ましくは、5.26~6.26gのアラニン/総アミノ酸100g、あるいは3.80~7.80gのアラニン/タンパク質100g、好ましくは、4.80~6.80gのアラニン/タンパク質100g、より好ましくは、5.30~6.30gのアラニン/タンパク質100gのアラニン含量、
p.3.90~7.90gのアルギニン/総アミノ酸100g、好ましくは、4.90~6.90gのアルギニン/総アミノ酸100g、または、より好ましくは、5.40~6.40gのアルギニン/総アミノ酸100g、あるいは3.98~7.98gのアルギニン/タンパク質100g、好ましくは、4.98~6.98gのアルギニン/タンパク質100g、より好ましくは、5.48~6.48gのアルギニン/タンパク質100gのアルギニン含量、
q.9.68~13.68gのアスパラギン酸及びアスパラギン/総アミノ酸100g、好ましくは、10.68~12.68gのアスパラギン酸及びアスパラギン/総アミノ酸100g、または、より好ましくは、11.18~12.18gのアスパラギン酸及びアスパラギン/総アミノ酸100g、あるいは10.37~14.37gのアスパラギン酸及びアスパラギン/タンパク質100g、好ましくは、11.37~13.37gのアスパラギン酸及びアスパラギン/タンパク質100g、より好ましくは、11.87~12.87gのアスパラギン酸及びアスパラギン/タンパク質100gのアスパラギン酸/アスパラギン含量、
r.11.54~17.54gのグルタミン酸及びグルタミン/総アミノ酸100g、好ましくは、12.54~16.54gのグルタミン酸及びグルタミン/総アミノ酸100g、または、より好ましくは、13.54~15.54gのグルタミン酸及びグルタミン/総アミノ酸100g、あるいは11.66~17.66gのグルタミン酸及びグルタミン/タンパク質100g、好ましくは、12.66~16.66gのグルタミン酸及びグルタミン/タンパク質100g、より好ましくは、13.66~15.66gのグルタミン酸及びグルタミン/タンパク質100gのグルタミン酸/グルタミン含量、
s.2.50~6.50のグリシン/総アミノ酸100g、好ましくは、3.50~5.50gのグリシン/総アミノ酸100g、より好ましくは、4.00~5.00gのグリシン/総アミノ酸100g、あるいは2.70~6.70gのグリシン/タンパク質100g、好ましくは、3.70~5.70gのグリシン/タンパク質100g、より好ましくは、4.20~5.20gのグリシン/タンパク質100gのグリシン含量、
t.1.84~5.84gのプロリン/総アミノ酸100g、好ましくは、2.84~4.84gのプロリン/総アミノ酸100g、または、より好ましくは、3.34~4.34gのプロリン/総アミノ酸100g、あるいは2.27~6.27gのプロリン/タンパク質100g、好ましくは、3.27~5.27gのプロリン/タンパク質100g、より好ましくは、3.77~4.77gのプロリン/タンパク質100gのプロリン含量、
u.2.35~6.35gのセリン/総アミノ酸100g、好ましくは、3.35~5.35gのセリン/総アミノ酸100g、より好ましくは、3.85~4.85gのセリン/総アミノ酸100g、あるいは2.64~6.64gのセリン/タンパク質100g、好ましくは、3.64~5.64gのセリン/タンパク質100g、より好ましくは、4.14~5.14gのセリン/タンパク質100gのセリン含量、
v.1.22~5.22gのメチオニン/総アミノ酸100g、好ましくは、2.22~4.22gのメチオニン/総アミノ酸100g、または、より好ましくは、2.72~3.72gのメチオニン/総アミノ酸100g、あるいは1.69~5.69gのメチオニン/タンパク質100g、好ましくは、2.69~4.69gのメチオニン/タンパク質100g、より好ましくは、3.19~4.19gのメチオニン/タンパク質100gのメチオニン含量、
w.0.24~1.04gのシステイン及びシスチン/総アミノ酸100g、好ましくは、0.44~0.84gのシステイン及びシスチン/総アミノ酸100g、または、より好ましくは、0.54~0.74のシステイン及びシスチン/総アミノ酸100g、あるいは0.249~1.049gのシステイン及びシスチン/タンパク質100g、好ましくは、0.449~0.849gのシステイン及びシスチン/タンパク質100g、より好ましくは、0.549~0.749gのシステイン及びシスチン/タンパク質100gのステイン/シスチン含量、
x.0.76~1.76gのトリプトファン/総アミノ酸100g、好ましくは、0.96~1.56gのトリプトファン/総アミノ酸100g、または、より好ましくは、1.06~1.46gのトリプトファン/総アミノ酸100g、あるいは0.8~1.8gのトリプトファン/タンパク質100g、好ましくは、1.0~1.6gのトリプトファン/タンパク質100g、より好ましくは、1.1~1.5gのトリプトファン/タンパク質100gのトリプトファンの含量、
【0054】
以上のように、総アミノ酸含量の範囲は、HPLCで測定された場合の(タンパク質中でみられる20アミノ酸の)総アミノ酸100グラム当たりの特定のアミノ酸のグラムで、あるいは(例えば、Kjeldahl法で測定される場合)総タンパク質100グラム当たりの(HPLCで測定された)アミノ酸のグラムとして、提供される。
【0055】
さらに好ましい一部の実施形態では、上記の加水分解物は、乾燥重量基準で90%、91%、92%、93%、94%、もしくは95%超のタンパク質含量及び/または乾燥重量基準で3%、2%、もしくは1%未満の脂肪含量を有する。
【0056】
一部の好ましい実施形態では、加水分解物はさらに、0.1~30ppmのフッ化物含量、及び/または0.1~10ppmのTMAO含量;及び/または0.1~30ppmのTMA含量;及び/または0.1~60ppmのTVN含量を有する。
【0057】
上記の加水分解物は、記載の特性のうちの1つ以上を有し得ること、及び特性のうちのいずれかは、特許請求された組成物を同定するために組み込まれ得ることを容易に認識されることが理解されるであろう。例えば、一部の好ましい実施形態では、加水分解物は、特性a、b、c、d、e、及びfのうちの2つを有する。一部の好ましい実施形態では、加水分解物は、特性a、b、c、d、e、及びfのうちの3つを有する。一部の好ましい実施形態では、加水分解物は、特性a、b、c、d、e、及びfのうちの4つを有する。一部の好ましい実施形態では、加水分解物は、特性a、b、c、d、e、及びfのうちの5つを有する。一部の好ましい実施形態では、加水分解物は、特性a、b、c、d、e、及びfを有する。一部の好ましい実施形態では、加水分解物は、特性a、b、c、及びdを有する。一部の好ましい実施形態では、加水分解物は、特性a及びbを有する。一部の好ましい実施形態では、加水分解物はさらに、特性a、b、c、d、e、及びfのうちの1つ以上(例えば、全て)に加えて、特性g、h、i、j、k、l、m、n、o、p、q、r、s、t、u、v、w、及びxの全てを有する。
【0058】
一部の好ましい実施形態では、加水分解物は、特性a及び特性g~xを有する。一部の好ましい実施形態では、加水分解物は、特性b及び特性g~xを有する。一部の好ましい実施形態では、加水分解物は、特性c及び特性g~xを有する。一部の好ましい実施形態では、加水分解物は、特性d及び特性g~xを有する。一部の好ましい実施形態では、加水分解物は、特性a、b、及びg~xを有する。一部の好ましい実施形態では、加水分解物は、特性a、c、及びg~xを有する。一部の好ましい実施形態では、加水分解物は、特性a、d、及びg~xを有する。一部の好ましい実施形態では、加水分解物は、特性a、b、c、及びg~xを有する。一部の好ましい実施形態では、加水分解物は、特性a、b、d、及びg~xを有する。一部の好ましい実施形態では、加水分解物は、特性b、c、d、及びg~xを有する。
【0059】
一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、特性a、b、c、及びd、ならびに特性g、h、i、j、k、l、n、v、及びxのうちの1つ以上を有する。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、特性a、ならびに特性g、h、i、j、k、l、n、v、及びxを有する。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、特性a及びb、ならびに特性g、h、i、j、k、l、n、v、及びxを有する。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、特性a、b、及びc、ならびに特性g、h、i、j、k、l、n、v、及びxを有する。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、特性a、b、c、及びd、ならびに特性g、h、i、j、k、l、n、v、及びxを有する。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、特性a、b、c、及びd、ならびに特性i、j、及びnのうちの1つ以上を有する。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、特性a、ならびに特性i、j、及びnを有する。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、特性a及びb、ならびに特性i、j、及びnを有する。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、特性a、b、及びc、ならびに特性i、j、及びnを有する。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、特性a、b、c、及びd、ならびに特性i、j、及びnを有する。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、特性a、b、c、及びd、ならびに特性v及びwのうちの1つ以上を有する。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、特性a、ならびに特性v及びwを有する。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、特性a及びb、ならびに特性v及びwを有する。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、特性a、b、及びc、ならびに特性v及びwを有する。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物は、特性a、b、c、及びd、ならびに特性v及びwを有する。
【0060】
一部の好ましい実施形態では、加水分解物はさらに、39.36~49.36gの必須アミノ酸/総アミノ酸100g、好ましくは、41.36~47.36gの必須アミノ酸/総アミノ酸100g、より好ましくは、42.36~46.36gの必須アミノ酸/総アミノ酸100g、最も好ましくは、43.36~45.36gの必須アミノ酸/総アミノ酸100gの必須アミノ酸含量を有することを特徴とする。
【0061】
一部の好ましい実施形態では、加水分解物はさらに、16.35~22.35gの分岐鎖アミノ酸/総アミノ酸100g、17.35~21.35gの分岐鎖アミノ酸/総アミノ酸100g、より好ましくは、18.35~20.35gの分枝鎖アミノ酸/総アミノ酸100gの分岐鎖アミノ酸含量を有することを特徴とする。
【0062】
一部の好ましい実施形態では、加水分解物はさらに、2.86~4.86gの硫黄含有アミノ酸/総アミノ酸100g、好ましくは、3.16~4.56gの硫黄含有アミノ酸/総アミノ酸100g、より好ましくは、3.46~4.26gの硫黄含有アミノ酸/総アミノ酸100gの硫黄含有アミノ酸含量を有することを特徴とする。
【0063】
一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物はさらに、5~7%(gのアミノ酸(「AA」)/タンパク質100g)のアルギニン含量を有することを特徴とする。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物はさらに、7~10%(AAのg/タンパク質100g)のロイシン含量を有することを特徴とする。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物はさらに、17~19.5%(AAのg/タンパク質100g)の組み合わされた分岐鎖アミノ酸含量を有することを特徴とする。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物はさらに、2~4%(AAのg/タンパク質100g)のメチオニン及びシステインの混合含量を有することを特徴とする。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物はさらに、0.1%~3%(AAのg/タンパク質100g)、より好ましくは、0.2%~2%(AAのg/タンパク質100g)のトリプトファンの含量を有することを特徴とする。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物はさらに、w/w基準で50%~80%の2~10アミノ酸のペプチド(遊離アミノ酸ペプチド及びポリペプチドの長さ/総重量で2~10アミノ酸のペプチド)を含むことを特徴とする。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物はさらに、w/w基準で50%~80%の2~20アミノ酸のペプチド(遊離アミノ酸ペプチド及びポリペプチドの長さ/総重量で2~20アミノ酸のペプチド)を含むことを特徴とする。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物はさらに、w/w基準で50%~80%の2~15アミノ酸のペプチド(遊離アミノ酸ペプチド及びポリペプチドの長さ/総重量で2~15アミノ酸のペプチド)を含むことを特徴とする。一部の好ましい実施形態では、タンパク質加水分解物はさらに、w/w基準で50%~80%の2~20アミノ酸のペプチド(遊離アミノ酸ペプチド及びポリペプチドの長さ/総重量で2~10アミノ酸のペプチド)を含むことを特徴とする。
【0064】
一部の好ましい実施形態では、海産タンパク質加水分解物はさらに、60ppm未満のトリメチルアミンオキシドを含むことを特徴とする。一部の好ましい実施形態では、海産タンパク質加水分解物はさらに、50ppm未満のフッ化物を含むことを特徴とする。一部の好ましい実施形態では、海産タンパク質加水分解物はさらに、4%未満、最も好ましくは、1%未満のナトリウムを含むことを特徴とする。一部の好ましい実施形態では、海産タンパク質加水分解物はさらに、中立的な味で、魚の味がしないことを特徴とする。
【0065】
一部の好ましい実施形態では、海産タンパク質加水分解物はさらに、水または他の水性媒体に添加された時に、透明溶液に分散することを特徴とする。例えば、一部の実施形態では、乾燥重量基準で本発明の加水分解物4.5グラムがpH3~9(例えば、pH6)で100gの水に溶解する場合、590nmでの光学密度(OD590)は、0.4未満、好ましくは、0.3未満である。一部の実施形態では、加水分解物は、好ましくは、0.1~50ppmで、0.1~10ppm、または0.1~5ppmのアスタキサンチン、より好ましくは、50ppm未満、10ppm未満、または5ppm未満のアスタキサンチンを有する。
【0066】
一部の実施形態では、海産タンパク質加水分解物の溶解度は、20~25℃(例えば、23℃)で水100グラムに、乾燥重量基準で加水分解物4.5グラムを溶解させ、撹拌し、溶液を1500g5分間遠心分離させ、遠心分離後の溶液中の材料の乾燥重量を測定することにより、アッセイされてもよい。一部の好ましい実施形態では、加水分解物の溶解度は、このアッセイにより測定される場合、pH3~7(例えば、pH3.5)で80%、90%、91%、92%、92%、94%以上であり、pH9で75%、80%、または90%以上である。一部の実施形態では、85℃で5分間の熱処理後の溶解度は、pH3~9(例えば、pH6)でアッセイにより測定される場合、60%以上である。
【0067】
3.加水分解生成物
本発明の加水分解物は、様々な製品に組み込まれてもよい。従って、一部の好ましい実施形態では、本発明は、本発明による加水分解物、特に、オキアミタンパク質加水分解物を含む、食品、飲料、機能性食品、動物飼料、パウダープロテインサプリメント、ミール代替品、飲料粉末、プロテインシェイクパウダーなどを提供する。
【0068】
本発明の加水分解物は、好ましくは、経口投与される。従って、一部の実施形態では、本発明の加水分解物(前のセクションで説明されるような)は、経口摂取用の許容可能な賦形剤及び/または担体と共に製剤化される。担体の実際の形態、組成自体は、重要ではない。担体は、液体、ゲル、ゲルキャップ、カプセル、粉末、固体錠剤(コーティングまたは非コーティング)、茶などであってよい。経口送達ビヒクルは、好ましくは、錠剤またはカプセル剤の形態である。好適な賦形剤及び/または担体としては、植物油、魚油、オキアミ油、マルトデキストリン、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、微結晶セルロース、ブドウ糖、米粉、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、スクロース、植物ガム、ラクトース、メチルセルロース、ポビドン、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチなど(それらの混合物を含む)が挙げられる。好ましい担体としては、炭酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、マルトデキストリン、及びそれらの混合物が挙げられる。種々の成分及び賦形剤及び/または担体を混合し、従来の技術を使用して所望の形態に形成される。本発明の錠剤またはカプセル剤は、約6.0~7.0のpHで溶解する腸溶性コーティングでコーティングされてもよい。小腸で溶解するが胃では溶解しない好適な腸溶性コーティングは、セルロースアセタートフタラートである。製剤及び投与のための技術のさらなる詳細は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Maack Publishing Co.、ペンシルベニア州イーストン)の最新版にみられ得る。
【0069】
一部の実施形態では、加水分解物は、着香剤または甘味剤と共に、経口投与用に製剤化される。有用な着香剤の例としては、純粋なアニス抽出物、模造バナナ抽出物、模造チェリー抽出物、チョコレート抽出物、純粋なレモン抽出物、純粋なオレンジ抽出物、純粋なペパーミント抽出物、模造パイナップル抽出物、模造ラム抽出物、模造イチゴ抽出物、もしくは純粋なバニラ抽出物;または、バーム油、ベイ油、ベルガモット油、シダーウッド油、クルミ油、チェリー油、シナモン油、クローブ油、もしくはペパーミント油などの揮発性油;ピーナッツバター、チョコレート着香剤、バニラクッキーの粉、バタースコッチもしくはタフィーが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、健康補助食品は、ココアまたはチョコレートを含む。乳化剤が、最終製品の安定性のために添加されてもよい。好適な乳化剤の例としては、レシチン(例えば、卵または大豆由来)、及び/またはモノグリセリド及びジグリセリドが挙げられるが、これらに限定されない。他の乳化剤は当業者に容易に明らかであり、好適な乳化剤(複数可)の選択は、部分的には、製剤及び最終製品に依存する。上記の炭水化物に加えて、栄養補助食品は、天然または人工の(好ましくは、低カロリー)甘味料、例えば、糖類、シクラメート、アスパルタミン、アスパルテーム、アセスルファムK、及び/またはソルビトールを含有し得る。
【0070】
健康補助食品は、特に、健康補助食品により食事に添加されるカロリー数を制限することが望ましい場合、1つ以上の不活性成分を含んでもよい。例えば、本発明の健康補助食品はまた、例えば、ハーブ、ビタミン、ミネラル、エンハンサー、着色剤、甘味剤、風味剤、不活性成分などを含む任意の成分を含有してもよい。例えば、本発明の健康補助食品は、以下のうちの1つ以上を含有し得る:アスコルビン酸塩(アスコルビン酸、ミネラルアスコルビン酸塩、ローズヒップ、アセロラなど)、デヒドロエピアンドステロン(DHEA)、緑茶(ポリフェノール)、イノシトール、昆布、ダルス、フラボノイド、マルトデキストリン、イラクサ、ナイアシン、ナイアシンアミド、ローズマリー、セレン、シリカ(二酸化ケイ素、シリカゲル、ホーステイル、シェイブグラスなど)、スピルリナ、亜鉛など。そのような任意の成分は、天然に存在する形態または濃縮された形態のいずれかであり得る。
【0071】
一部の実施形態では、健康補助食品はさらに、限定されないが、リン酸カルシウムまたは酢酸カルシウム、三塩基性;リン酸カリウム、二塩基性;硫酸マグネシウムまたは酸化マグネシウム;塩(塩化ナトリウム);塩化カリウムまたは酢酸カリウム;アスコルビン酸;オルトリン酸第二鉄;ナイアシンアミド;硫酸亜鉛または酸化亜鉛;パントテン酸カルシウム;グルコン酸銅;リボフラビン;β-カロテン;塩酸ピリドキシン;チアミンモノニトレート;葉酸;ビオチン;塩化クロムまたはピコリン酸クロム;ヨウ化カリウム;セレン酸ナトリウム;モリブデン酸ナトリウム;フィロキノン;ビタミンD3;シアノコバラミン;セレン酸ナトリウム;硫酸銅;ビタミンA;ビタミンC;イノシトール;ヨウ化カリウムを含むビタミン及びミネラルを含む。ビタミン及びミネラルの好適な投薬量は、例えば、米国のRDAガイドラインを調べることにより取得されてもよい。
【0072】
他の実施形態では、本発明は、本発明の加水分解物を含む栄養補助食品(例えば、エネルギーバーまたはミール代替バーまたは飲料)を提供する。栄養補助食品は、ミールまたはスナック代替品として役立ち、一般に、栄養カロリーを提供し得る。好ましくは、栄養補助食品は、バランスのとれた量の炭水化物、タンパク質、及び脂肪を提供する。栄養補助食品はさらに、炭水化物、単純な中鎖長、もしくは多糖類、またはそれらの組み合わせを含み得る。単糖は、望ましい感覚刺激特性について選択することができる。未調理のコーンスターチは、複合炭水化物の一例である。それが高分子量構造を維持すべきことが望ましい場合、加熱により、複合炭水化物が単純炭水化物(単純炭水化物は、単糖または二糖である)に分解されるので、それは、調理または加熱処理されていない食品製剤またはその一部にのみ含まれるはずである。栄養補助食品は、一実施形態では、3レベルの鎖長の炭水化物源の組み合わせ(単純、中程度、及び複合、例えば、スクロース、マルトデキストリン、及び未調理のコーンスターチ)を含有する。
【0073】
さらに別の実施形態では、本発明は、本発明の加水分解物を含む食品、調製済み食品、または他の食料品(例えば、機能性食品)を提供する。好ましい実施形態では、食品は、上記の有効量の構成成分を含む。例えば、一部の実施形態では、加水分解物を含む飲料及び固形または半固形食品が提供される。これらの形態は、飲料(例えば、ソフトドリンク、牛乳及びその他の乳飲料、ならびにダイエットドリンク)、焼き菓子、プリン、乳製品、菓子、スナック食品、もしくは冷凍菓子、またはノベルティ(例えば、アイスクリーム、ミルクシェイク)、調製済み冷凍ミール、キャンディー、スナック製品(例えば、チップ)、スープ、スプレッド、ソース、サラダドレッシング、調製済み肉製品、チーズ、ヨーグルト、及び他の任意の脂肪または油含有食品、ならびに食品成分(例えば、小麦粉)を含み得るが、これらに限定されない。
【0074】
一部の好ましい実施形態では、加水分解物は、チュアブルマトリックスに組み込まれる。好ましいチュアブルマトリックスゼリーキャンディー及びゼラチンベースのグミキャンディー。例示的なグミキャンディーとしては、クマグミ、ワームグミ、カエルグミ、ハンバーガーグミ、サクランボグミ、ソーダボトルグミ、サメグミ、軍人グミ、カバグミ、ロブスターグミ、スイカグミ、タコグミ、リンゴグミ、モモグミ、及びオレンジグミが挙げられる。「グミ(gummi)」及び「グミ(gummy)」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0075】
理解されるように、本発明の加水分解物は、健康補助食品、栄養補助食品、もしくは機能性食品として送達されても、または食品もしくは飲料に組み込まれてもよい。従って、一部の実施形態では、本発明は、上記のタンパク質加水分解物を1つ以上の追加の構成成分と混合して、所望の製品(すなわち、健康補助食品、栄養補助食品、機能性食品、食品、または飲料)を形成することを含む、健康補助食品、栄養補助食品、機能性食品、食品、または飲料を調製するための方法を提供する。これらの製品の追加の構成成分は、上で詳細に記載される。さらに、本発明は、健康補助食品、栄養補助食品、機能性食品、食品、または飲料の調製における成分として、本明細書に記載のタンパク質加水分解物の使用を提供する。
【0076】
一部の好ましい実施形態では、加水分解物は、動物飼料及び食料に組み込まれる。本発明による動物飼料は、猫及び犬などのコンパニオンアニマル、ならびに家禽、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウサギ、及びトリを含む飼育動物及び野生動物、マス、サーモン、ナマズ、及びティラピアなどの魚、エビ、ならびに水産養殖により生産された他の種のために製剤化されてもよい。多くの異なる飼料は、多くの異なる飼料成分から動物用に製剤化されてもよい。食料は一般に、National Research Councilの基準に従って栄養素を提供するように製剤化される。(加水分解物に加えて)食料に使用される飼料は、市場価格及び入手可能性に応じて選択することができる。従って、食料の一部の構成成分は、時がたつにつれて変化し得る。本発明の飼料において、食料は、タンパク質構成成分の一部として、本発明による加水分解物を含有することになるが、他の構成成分は、構成成分の価格に基づいて、時がたつにつれて変動し得る。飼料製剤、実際の食料、及びNRCガイドラインの考察については、以下を参照のこと、Church,Livestock Feeds and Feeding,O&B Books,Inc.,Corvallis,Oreg.(1984)and Feeds and Nutrition Digest,Ensminger,Oldfield and Heineman eds.,Ensminger Publishing Corporation,Clovis,Calif.(1990)(参照により本明細書に組み込まれる)。
【0077】
本発明の動物飼料は、NRC要件に従って特徴づけられてもよい。NRCの要件は、Church,Livestock Feeds and Feeding,O&B Books,Inc.,Corvallis,Oreg.(1984)または他の栄養上の基準に見出され得る。動物食料は従来、タンパク質及びエネルギー要件を使用してバランスがとられ、その後、必要であれば、他の要件を満たすように調整される。本発明の動物食料は、育成及び維持の異なる段階に対するNRC要件を満たすために、飼料のバランスをとる必要がある他の飼料材料に加えて、本発明による加水分解物、例えば、0.5%~30%wt/wt、0.5%~20%wt/wt、0.5%~10%wt/wt、または0.5%~5%wt/wtの加水分解物、を含有するであろう。タンパク質及びエネルギーの相対量は、栄養上の基準の要件を反映するように調整される。飼料構成成分の量は、給餌される動物の段階と共に変動するであろう。若年動物用の育成用食料は、より高いタンパク質レベルを有することになるが、市場向け動物を仕上げるための仕上げ用食料は、炭水化物により供給される、より高いエネルギー値を有することになる。一部の給餌状況では、適切なアミノ酸及び全体的なタンパク質含量を提供するように注意すべきである。ほとんどの動物の食事では、エネルギー要件は穀物のデンプンにより満たされる。エネルギー要件はまた、食料に脂肪を添加することにより満たされ得る。本発明では、CFAPは、エネルギー要件の一部を提供する。
【0078】
他の成分が、飼料に添加されてもよい。これらの成分としては、カルシウム、リン、塩、セレン、及び亜鉛などのミネラルサプリメント;ビタミンA、B、D、E、及びKなどのビタミンサプリメント;リシンなどのアミノ酸サプリメント;抗コクシジウム剤、またはバシトラシンもしくはバージニアマイシン(virginamycin)などの成長促進剤;ならびにクロルテトラサイクリン、スルファチオゾール(sulfathiozole)、及びペニシリンなどの他の活性薬が挙げられるが、これらに限定されない。ビタミン、ミネラル、及び抗生物質サプリメント製剤について、以下を参照のこと、Church,Livestock Feeds and Feeding,O&B Books,Inc.,Corvallis,Oreg.(1984)。
【0079】
好ましい実施形態では、加水分解物は、飼育動物への投与用のペレット状飼料に組み込まれる。ペレット状飼料は、最初に飼料構成成分を混合し、次に、加熱及び加圧しながらダイを通して飼料構成成分を圧縮して押し出すことにより、作成される。飼料は、当該技術分野で既知の方法によりペレット化され、これは、参照により本明細書に組み込まれるMacBain,Pelleting Animal Feed,American Feed Manufacturers Association,Arlington,Va.(1974)に記載される。添加脂肪をペレット状飼料に組み込む時、粉状ペレットを作製しないように注意する必要がある。一般に、ペレット化中に、脂肪の約2%のみが添加され、ペレットが冷却された後に、残りが添加される。
【実施例0080】
実施例1
PCT/IB2016/000208に記載のプロセスに従って生成された溶媒抽出オキアミミールは、平均粒径50μmまで、16,000RPMのピンミールで粉砕される。次に、粉砕されたタンパク質組成物が、クエン酸で洗浄され(65℃、9分、0.19M、pH4)、続いて、65℃の熱水で9分間3回洗浄される。次に、洗浄されたタンパク質組成物が、ALCALASEでpH7.5及び52.5℃で2.5時間処理され、次に、65℃の熱湯で9分間洗浄される。次に、得られる加水分解物は、濃縮物を得るために、精密濾過及びナノ濾過(1.25L/h/m2/bar、5bar圧力未満)される。次に、濃縮物が、噴霧乾燥(アグロメレーション、3段階乾燥、入口182℃、出口82.5℃)により造粒される。加水分解物濃縮物は、表1~3ならびに
図1及び2に記載される特性を有する。
【表1】
【表2】
【表3】
【0081】
実施例2
オキアミ加水分解物を作製するための2つのプロセスを比較した。記載される場合を除いて、
図3のプロセスを利用した。最初のプロセスでは、湿式粉砕及び限外濾過ステップはなかった。加水分解時間は、1時間であった。得られる加水分解物は、「バッチA」と呼ばれる。加水分解後、ナノ濾過ステップを利用した。第2のプロセスは、加水分解前に湿式粉砕、加水分解後に限外濾過及びナノ濾過の両方を利用する。加水分解時間は、14.5時間であった。得られる加水分解物は、「バッチB」と呼ばれる。バッチA及びバッチBについて選択された値の比較が表4に提供される。表5は、バッチBのアミノ酸組成を提供し、本発明のプロセスにより作製された複数のオキアミ加水分解物バッチにわたる平均アミノ酸含量も提供する。表5の3列目では、アミノ酸含量は、タンパク質100グラム当たりのグラムアミノ酸として表される。加水分解物100gの中のアミノ酸のグラムを、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で決定した。タンパク質含量を、Kjeldahl法で決定した。表5の4列目では、脱脂オキアミミール及び全脂オキアミミールを含む異なるミールから作製された混合バッチに対するアミノ酸含量が記載される。列4では、アミノ酸含量は、(HPLCで測定された)総アミノ酸100グラムの当たりの示されたアミノ酸のグラムで記載される。以上のように、バッチBの加水分解物は、フッ化物(F)含量、TMAO、TMA、及びTVN含量の値が実質的に改善されている。後続のバッチ(「バッチC」)は、乾燥重量基準で1.09mg/kgのF含量ならびにTMA、TMAO、及びTVNの低い値を有することが見出された。加水分解物は、特に、必須及び分岐鎖アミノ酸の含量及び組成に関して、優れたアミノ酸組成を有する。
【表4】
【表5】
前記オキアミタンパク質加水分解物が、乾燥重量基準で0.1~10mgのN/加水分解物100gのTMAO含量を有する、請求項1又は2に記載のオキアミタンパク質加水分解物。
前記オキアミタンパク質加水分解物が、乾燥重量基準で0.1~30mgのN/加水分解物100gのTMA含量を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のオキアミタンパク質加水分解物。
前記オキアミタンパク質加水分解物が、乾燥重量基準で0.1~60mgのN/加水分解物100gのTVN含量を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のオキアミタンパク質加水分解物。
前記オキアミタンパク質加水分解物が、乾燥重量基準で89%超のタンパク質含量、及び、乾燥重量基準で2%未満の脂肪含量を有することをさらに特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のオキアミタンパク質加水分解物。
前記オキアミタンパク質加水分解物が、水100gに前記オキアミタンパク質加水分解物乾燥重量4.5gを溶解させることによりアッセイされる場合、80%超の水溶性である、請求項1~7のいずれか1項に記載のオキアミタンパク質加水分解物。
加熱処理済みタンパク質加水分解物が、水100gに前記タンパク質加水分解物乾燥重量4.5gを溶解させて85℃に5分間加熱することによりアッセイされる場合、60%超の水溶性である、請求項1~8のいずれか1項に記載のオキアミタンパク質加水分解物。