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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063789
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/06 20060101AFI20240507BHJP
   B65H 85/00 20060101ALI20240507BHJP
   B65H 29/60 20060101ALI20240507BHJP
   B65H 29/58 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
B65H7/06
B65H85/00
B65H29/60 B
B65H29/58 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171865
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】原 昌史
【テーマコード(参考)】
3F048
3F053
3F100
【Fターム(参考)】
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA11
3F048BA13
3F048BB02
3F048BD01
3F048CC06
3F048DA06
3F048DA07
3F048EB36
3F053BA14
3F053BA19
3F053BA27
3F053EA01
3F053EB01
3F053EB04
3F053ED18
3F053ED19
3F053LA01
3F053LB01
3F100AA01
3F100BA12
3F100CA01
3F100CA12
3F100CA15
3F100EA02
3F100EA03
3F100EA04
3F100EA05
3F100EA11
(57)【要約】
【課題】搬送装置において、媒体の除去を容易に行うことができるようにする。
【解決手段】レジストローラ対31は、印刷搬送部50(処理搬送部)よりも用紙P(媒体)の搬送方向における上流側に配置され、用紙Pが突き当てられ、この突き当てられた用紙Pを搬送する。浮き検知センサS(異常検知センサ)は、レジストローラ対31よりも搬送方向における下流側で且つ印刷部40(処理部)よりも搬送方向における上流側において用紙Pの浮き(搬送異常)を検知する。制御部81は、浮き検知センサSが用紙Pの浮きを検知した場合に、この浮きが検知された用紙P(用紙P12)をレジストローラ対31によって搬送方向とは反対方向に逆転搬送させ、浮きが検知された用紙Pよりも搬送方向における下流側に位置する用紙P(用紙P11)を印刷搬送部50によって搬送方向に搬送させる。
【選択図】図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体の処理を行う処理部に対向して配置され、前記媒体を搬送する処理搬送部と、当該処理搬送部よりも前記媒体の搬送方向における上流側に配置され、前記媒体が突き当てられ、当該突き当てられた媒体を搬送するレジストローラ対とを含む搬送部と、
前記搬送部を制御する制御部と、
前記レジストローラ対よりも前記搬送方向における下流側で且つ前記処理部よりも前記搬送方向における上流側において前記媒体の搬送異常を検知する異常検知センサとを備え、
前記制御部は、前記異常検知センサが前記媒体の搬送異常を検知した場合に、当該搬送異常が検知された媒体を前記レジストローラ対によって前記搬送方向とは反対方向に逆転搬送させ、前記搬送異常が検知された媒体よりも前記搬送方向における下流側に位置する前記媒体を前記処理搬送部によって前記搬送方向に搬送させる
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記搬送部は、両面処理用の循環経路において前記媒体の表裏を反転させて搬送する反転搬送部と、前記循環経路から前記レジストローラ対へ前記媒体を再供給する再供給搬送部とを更に含み、
前記反転搬送部は、前記媒体を蓄積する蓄積部を有し、
前記制御部は、前記異常検知センサが前記再供給搬送部によって搬送された前記媒体の搬送異常を検知した場合に、当該搬送異常が検知された媒体を前記レジストローラ対、前記再供給搬送部、及び前記反転搬送部によって前記反対方向に、前記蓄積部へ逆転搬送させる
ことを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
前記再供給搬送部とは異なる経路で前記レジストローラ対へ前記媒体を供給する供給部を更に備え、
前記制御部は、前記異常検知センサが前記供給部によって供給された前記媒体の搬送異常を検知した場合に、前記再供給搬送部によって再供給され且つ前記レジストローラ対に到達していない前記媒体を、前記再供給搬送部及び前記反転搬送部によって前記反対方向に、前記蓄積部へ逆転搬送させる
ことを特徴とする請求項2記載の搬送装置。
【請求項4】
前記レジストローラ対が前記媒体を前記反対方向に逆転搬送するときの搬送力は、前記処理搬送部が前記媒体を前記搬送方向に搬送するときの搬送力よりも強いことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の搬送装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記レジストローラ対が前記媒体を前記反対方向に逆転搬送する場合、前記処理搬送部の前記搬送力を弱める
ことを特徴とする請求項4記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体の搬送異常を検知する異常検知センサを備える搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷装置において、インクジェットヘッドの上流側において用紙の浮き上がりを検知した場合に、用紙がインクジェットヘッドに接触しないように、インクジェットヘッドに対向して配置されたベルトプラテンによる搬送を停止させる手法が知られている。
【0003】
また、印刷装置において、用紙の表裏を反転させる反転経路における用紙が往復するための空間として排紙台内部の空間を用い、搬送を停止させる場合に、反転経路内に停滞した用紙を排紙台内部の空間に排出する印刷装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5186326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、印刷部等の処理部に対向して配置されたベルトプラテン等の処理搬送部では、処理部の上流側で媒体の浮きが検知されると、処理搬送部の搬送動作が停止し、浮きが検知された媒体のみならず、浮きが検知されていない媒体の搬送も停止する。また、処理搬送部と、その下流側の搬送部とに跨って位置する媒体についても、下流側の搬送部を稼働させても、下流側の搬送部の搬送力のみでは搬送できない場合がある。そのため、搬送経路に多くの媒体が残ってしまう。このように搬送経路に多くの媒体が残ると、ユーザは、複数箇所で装置筐体の扉を開けて装置内部にアクセスして媒体の除去を行うことになり、作業負担が生じる。
【0006】
また、処理部と処理搬送部とは、近接していることが多く、処理搬送部上の媒体をユーザが除去するためには、処理搬送部の下降などの退避動作を待つ必要があり、待ち時間が生じる。
【0007】
本発明の目的は、媒体の除去を容易に行うことができる搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの態様では、搬送装置は、媒体の処理を行う処理部に対向して配置され、前記媒体を搬送する処理搬送部と、当該処理搬送部よりも前記媒体の搬送方向における上流側に配置され、前記媒体が突き当てられ、当該突き当てられた媒体を搬送するレジストローラ対とを含む搬送部と、前記搬送部を制御する制御部と、前記レジストローラ対よりも前記搬送方向における下流側で且つ前記処理部よりも前記搬送方向における上流側において前記媒体の搬送異常を検知する異常検知センサとを備え、前記制御部は、前記異常検知センサが前記媒体の搬送異常を検知した場合に、当該搬送異常が検知された媒体を前記レジストローラ対によって前記搬送方向とは反対方向に逆転搬送させ、前記搬送異常が検知された媒体よりも前記搬送方向における下流側に位置する前記媒体を前記処理搬送部によって前記搬送方向に搬送させる。
【発明の効果】
【0009】
前記態様によれば、媒体の除去を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施の形態に係る搬送装置を備える印刷装置の内部構造を示す図である。
図2】一実施の形態における印刷装置の制御構成を示す図である。
図3A】一実施の形態における浮き検知時の第1搬送動作を説明するための説明図(その1)である。
図3B】一実施の形態における浮き検知時の第1搬送動作を説明するための説明図(その2)である。
図3C】一実施の形態における浮き検知時の第1搬送動作を説明するための説明図(その3)である。
図4A】一実施の形態における浮き検知時の第2搬送動作を説明するための説明図(その1)である。
図4B】一実施の形態における浮き検知時の第2搬送動作を説明するための説明図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態に係る搬送装置について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、一実施の形態に係る搬送装置を備える印刷装置1の内部構造を示す図である。
【0013】
図2は、印刷装置1の制御構成を示す図である。
【0014】
図1及び図2に示すように、印刷装置1は、外部給紙部10と、内部給紙部20と、印刷部40と、印刷搬送部50と、排紙部60と、浮き検知センサSとを備える。また、図1に示すように、印刷装置1は、レジストローラ対31と、上昇搬送部32と、両面搬送部33と、反転搬送部34と、再給紙部35と、排紙搬送部36と、直進搬送部37と、経路切り替え部38,39とを備える。また、図2に示すように、印刷装置1は、搬送駆動部70と、制御部81と、記憶部82と、インターフェース部83とを備える。
【0015】
図1には、外部給紙部10又は内部給紙部20から続く用紙Pの直進経路R1を実線で、印刷部40の上方に位置する両面印刷(両面処理の一例)用の循環経路R2から排紙経路R3へ続く経路を2点鎖線で、循環経路R2の反転経路R2aを破線で示す。なお、用紙Pは、媒体の一例である。そして、本明細書において、給紙は供給の一例であり、排紙は排出の一例である。そのため、給紙は供給に、排紙は排出に、それぞれ置き換えることができる。媒体は、紙以外の素材からなるシート状のものや、封筒などの折り返し部分を有するものなどであってもよい。
【0016】
外部給紙部10は、印刷装置1の外部に露出するように配置されている。外部給紙部10は、印刷前の用紙Pが積載される給紙トレイ11と、この給紙トレイ11に積載された複数枚の用紙Pのうち最上位に位置する用紙Pを繰り出して搬送する給紙ローラ12とを有する。図示はしないが、外部給紙部10には、給紙トレイ11や給紙ローラ12を駆動するモータ等のアクチュエータなども配置されている。なお、外部給紙部10及び後述する内部給紙部20は、再給紙部35とは異なる経路でレジストローラ対31へ用紙P(媒体)を供給する供給部の一例である。
【0017】
内部給紙部20は、第1給紙部21と、第2給紙部22と、第3給紙部23とを有する。
【0018】
第1給紙部21、第2給紙部22、及び第3給紙部23は、この順に上から並んで、印刷装置1の内部に配置されている。第1給紙部21、第2給紙部22、及び第3給紙部23のそれぞれは、印刷前の用紙Pが積載される給紙トレイ21a,22a,23aと、この給紙トレイ21a,22a,23aに積載された複数枚の用紙Pのうち最上位に位置する用紙Pを繰り出して搬送する給紙ローラ21b,22b,23bとを有する。図示はしないが、内部給紙部20には、給紙ローラ21b,22b,23bを駆動するモータ等のアクチュエータなども配置されている。
【0019】
レジストローラ対31は、外部給紙部10又は内部給紙部20から続く直進経路R1において、印刷部40及び印刷搬送部50の搬送方向上流側に配置されている。レジストローラ対31は、印刷部40に向けて搬送される用紙Pが突き当てられる。これにより、レジストローラ対31は、用紙Pの斜行を補正し、用紙Pをニップしつつ搬送する。
【0020】
レジストローラ対31よりも搬送方向における下流側で且つ印刷部40よりも搬送方向における上流側には、用紙Pの浮きを検知する浮き検知センサSが配置されている。この浮き検知センサSは、用紙P(媒体)の浮き(搬送異常)を検知する異常検知センサの一例である。浮き検知センサSは、例えば、用紙Pの上方に位置するゲートやガイドなどの部材が用紙Pによって持ち上げられたことを検知するか或いは用紙Pを直接的に検知する光学式センサ、変位センサなどであり、用紙Pの浮きを検知する。なお、用紙Pの搬送異常は、例えば、用紙Pの先端の浮き上がりや用紙Pの先端の折れ曲がりなどによる用紙Pの浮きに限らず、用紙Pの重送などによっても生じる。
【0021】
上昇搬送部32は、直進経路R1から循環経路R2へ用紙Pを上昇させながら搬送する。上昇搬送部32は、用紙Pをニップしつつ搬送する加速ローラ対32a,32bを有する。
【0022】
両面搬送部33は、循環経路R2の上昇搬送部32よりも搬送方向下流側において、用紙Pを搬送する。両面搬送部33は、用紙Pをニップしつつ搬送する等速ローラ対33a,33b,33c,33dを有する。
【0023】
反転搬送部34は、循環経路R2の両面搬送部33よりも搬送方向下流側に設けられた反転経路R2aにおいて、用紙Pの表裏を反転させて搬送するスイッチバック搬送を行う。反転搬送部34は、用紙Pをニップしつつ搬送するスイッチバックローラ対34a,34bと、後述する排紙トレイ61の下部に設けられた蓄積部34cとを有する。この蓄積部34cは、反転経路R2aの先端よりも奥に設けられている。蓄積部34cは、例えば直方体の排紙トレイ61の内部に、浮きが検知された用紙Pなどを蓄積する。排紙トレイ61には、ユーザが蓄積部34cから用紙Pを除去するための隙間が設けられているとよい。なお、蓄積部34cは、排紙トレイ61とは独立して配置されていてもよいし、反転搬送部34とは異なる位置などに配置されていてもよい。
【0024】
再給紙部35は、両面搬送部33及び反転搬送部34よりも搬送方向下流側において、用紙Pを印刷部40に向けて再給紙する。再給紙部35は、循環経路R2からレジストローラ対31へ用紙P(媒体)を再供給する再供給搬送部の一例である。
【0025】
排紙搬送部36は、反転経路R2aよりも搬送方向上流側で循環経路R2に連結された排紙経路R3において、用紙Pを排紙部60に向けてニップしつつ搬送する排紙ローラ対である。
【0026】
直進搬送部37は、直進経路R1の搬送方向下流側端部に配置され、印刷装置1に連結される図示しない外部排紙部、搬送部、後処理装置などに向けて、用紙Pをニップしつつ搬送する直進ローラ対である。
【0027】
経路切り替え部38は、印刷部40によって印刷が行われた直進経路R1の用紙Pの搬送経路を、直進経路R1と循環経路R2とに切り替える。経路切り替え部38は、例えばフリッパである。
【0028】
経路切り替え部39は、循環経路R2を搬送される用紙Pの搬送経路を、反転経路R2aと排紙経路R3とに切り替える。経路切り替え部39は、例えばフリッパである。
【0029】
印刷部40は、例えば、印刷に用いられる各色分の図示しないラインヘッド型インクジェットヘッドを有する。なお、印刷部40の印刷方式は、インクジェット印刷方式以外の印刷方式であってもよい。
【0030】
ここで、印刷部40は、用紙P(媒体)に印刷(処理)を行う処理部の一例である。この処理部としては、処理の一例としての検査を行う検査部などであってもよく、印刷部40に限られない。そして、印刷装置1は、処理部(印刷部40)と、搬送装置とを備える処理装置の一例である。この処理装置としては、印刷装置1に限らず、検査装置などであってもよい。また、搬送装置は、例えば、印刷装置1のうち印刷部40を除いた構成を備えるものであるが、少なくとも、処理搬送部(印刷搬送部50)及びレジストローラ対31を含む搬送部と、この搬送部を制御する制御部81とを備えるものであればよい。
【0031】
印刷搬送部50は、印刷部40に対向して配置され、用紙Pを搬送する。印刷搬送部50は、処理搬送部の一例である。例えば、印刷搬送部50は、複数のプーリ51と、これらのプーリ51に掛け渡されたベルト52と、このベルト52に設けられた複数の孔を通してエアを吸引することによって用紙Pをベルト52に吸着させる吸引ファン53と、印刷搬送部50の搬送方向上流側端部のプーリ51に対向するように配置されたガイドローラ54と、印刷搬送部50の搬送方向下流側端部のプーリ51に対向するように配置されたガイドローラ55とを有する。印刷搬送部50は、例えば、ベルト52の内部で且つ印刷部40の下方に位置するプラテンを有するものについては、ベルトプラテンと呼ぶことができる。印刷搬送部50は、メンテナンス時などに下降することで、印刷部40との間隔を広げることが可能である。なお、印刷搬送部50は、エアの吸引を行うものに限られず、例えば、用紙Pを静電吸着によって吸着しながら搬送するものなどであってもよい。
【0032】
排紙部60は、印刷装置1の外部に露出するように配置されている。排紙部60は、印刷後の用紙Pが積載される排紙トレイ61と、この排紙トレイ61に向けて用紙Pを搬送する排紙ローラ対62とを有する。
【0033】
図2に示す搬送駆動部70は、レジストローラ対31を駆動するレジスト駆動部71と、上昇搬送部32を駆動する上昇駆動部72と、両面搬送部33を駆動する両面駆動部73と、反転搬送部34を駆動する反転駆動部74と、再給紙部35を駆動する再給紙駆動部75と、排紙搬送部36を駆動する排紙駆動部76と、直進搬送部37を駆動する直進駆動部77と、経路切り替え部38,39を駆動する切り替え駆動部78,79とを有する。各駆動部は、1つ又は複数のモータ等のアクチュエータを含む。また、単一のアクチュエータが複数の駆動部を兼ねてもよい。
【0034】
制御部81は、印刷装置1全体の動作を制御する演算処理装置として機能するプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit)を有する。詳しくは後述するが、制御部81は、浮き検知センサSが用紙Pの浮きを検知した場合に、この浮きが検知された用紙Pをレジストローラ対31によって搬送方向とは反対方向に逆転搬送させ、浮きが検知された用紙Pよりも搬送方向における下流側に位置する用紙Pを印刷搬送部50によって搬送方向に搬送させる。
【0035】
記憶部82は、例えば、所定の制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリであるROM(Read Only Memory)、プロセッサが各種の制御プログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用される随時書き込み読み出し可能な半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)などのメモリ、ハードディスク装置などを有する。
【0036】
インターフェース部83は、外部機器との各種情報の授受を行う。例えば、インターフェース部83は、ユーザ端末から印刷データを含む印刷ジョブを受信する。
【0037】
次に、印刷装置1における通常の印刷動作について説明する。
【0038】
図2に示す制御部81は、印刷ジョブが入力されると、用紙Pの給紙及び搬送を行うよう印刷装置1の各部を制御する。また、制御部81は、印刷ジョブに含まれる画像データに所定の画像処理を施した後、印刷搬送部50により搬送される用紙Pに印刷を行うように印刷部40を制御する。
【0039】
ここで、片面印刷の場合、図1に示すように、外部給紙部10、第1給紙部21、第2給紙部22、及び第3給紙部23のいずれかから未印刷の用紙Pが順次繰り出され、印刷搬送部50において所定の紙間で各用紙Pが搬送されるようなタイミングで順次給紙される。給紙された用紙Pは、印刷搬送部50において所定の搬送速度で搬送されつつ、印刷部40によって印刷が行われる。印刷が行われた用紙Pは、排紙部60から排紙される。
【0040】
排紙先が後処理装置である場合、印刷済みの用紙Pの搬送経路は、経路切り替え部38により、そのまま直進経路R1を通る経路に設定される。そして、用紙Pは、直進搬送部37によって後処理装置へ排紙される。一方、排紙先が排紙部60である場合、印刷済みの用紙Pの搬送経路は、経路切り替え部38により循環経路R2へ導かれ、経路切り替え部39により排紙経路R3へ導かれる。そして、用紙Pは、排紙搬送部36により排紙部60へ排紙される。
【0041】
両面印刷の場合、例えば、片面印刷時の給紙タイミングに対して各用紙Pの給紙タイミング間の時間が2倍となるタイミングで未印刷の用紙Pが順次給紙される。給紙された用紙Pは、片面印刷時と同様に、印刷搬送部50により搬送されつつ印刷部40によって印刷が行われる。
【0042】
片面印刷後の用紙Pは、経路切り替え部38により両面印刷用の循環経路R2に導かれ、上昇搬送部32及び両面搬送部33により搬送された後、経路切り替え部39により反転経路R2aへ搬送される。反転搬送部34に到達した用紙Pは、スイッチバックローラ対34a,34bによってスイッチバック搬送され、表裏が反転する。
【0043】
次いで、用紙Pは、再給紙部35によりレジストローラ対31へ再給紙される。そして、用紙Pは、上述のようにレジストローラ対31によって斜行が補正された後、印刷部40に搬送される。
【0044】
ここで、片面印刷後の用紙Pは、順次給紙される未印刷の用紙Pと交互に印刷部40に送られるようなタイミングで再給紙される。上述のように、両面印刷では、片面印刷の場合の給紙タイミングに対して、各用紙Pの給紙タイミング間の時間が2倍である。このため、未印刷の用紙Pの間に片面印刷後の用紙Pを挿入し、未印刷の用紙Pの給紙と交互に片面印刷後の用紙Pを再給紙することが可能になっている。
【0045】
片面印刷後の用紙Pは、反転搬送部34によりスイッチバックされた後、未印刷面を上向きにして印刷部40へ送られる。片面印刷後の用紙Pは、印刷搬送部50により搬送されつつ印刷部40によって未印刷面に印刷が行われる。そして、両面印刷済みの用紙Pは、排紙部60又は後処理装置へ排紙される。
【0046】
次に、浮き検知時の第1搬送動作(図3A図3C)及び第2搬送動作(図4A及び図4B)について説明する。
【0047】
まず、図3Aに示すように、外部給紙部10又は内部給紙部20から給紙された1枚目の用紙P11が印刷部40による印刷が未完了の状態で印刷搬送部50上を搬送され、再給紙部35により再給紙された後続の2枚目の用紙P12が浮き検知センサSによって先端の浮きを検知された場合について考える。
【0048】
この場合、図3Bに示すように、1枚目の用紙P11については、浮き検知センサSによって浮きが検知されていないため、制御部81は、印刷搬送部50による搬送を継続させ、印刷搬送部50から退避させる。一方、2枚目の用紙P12については、制御部81は、レジストローラ対31に、搬送方向とは反対方向に逆転搬送させる。
【0049】
なお、浮き検知センサSによって浮きが検知された2枚目の用紙P12は、浮き検知センサSが印刷搬送部50上に位置するため、少なくとも先端部分が印刷搬送部50上に位置する。そのため、レジストローラ対31が2枚目の用紙P12(媒体の一例)を逆転搬送するときの搬送力は、印刷搬送部50が2枚目の用紙P12(媒体の一例)を搬送方向に搬送するときの搬送力(少なくとも、媒体の先端のみが印刷搬送部50上に位置するときの搬送力)よりも強いとよい。また、制御部81は、レジストローラ対31が2枚目の用紙P12を逆転搬送する場合、印刷搬送部50の搬送力を弱めてもよい。例えば、制御部81は、レジストローラ対31が2枚目の用紙P12を逆転搬送する場合、吸引ファン53によるエアの吸引力を弱めたり、ベルト52による搬送速度を遅くしたりすることによって、印刷搬送部50の搬送力を弱めてもよい。
【0050】
そして、図3Cに示すように、制御部81は、浮きが検知された2枚目の用紙P12をレジストローラ対31、再給紙部35、及び反転搬送部34によって搬送方向とは反対方向に、蓄積部34cへ逆転搬送させる。また、制御部81は、1枚目の用紙P11を上昇搬送部32、両面搬送部33、及び反転搬送部34によって蓄積部34cに搬送させる。
【0051】
なお、制御部81は、1枚目の用紙P11及び2枚目の用紙P12を、蓄積部34cとは異なる場所(ユーザが印刷装置1の外部からアクセス可能な場所)まで搬送し、留まらせてもよい。また、制御部81は、1枚目の用紙P11や循環経路R2内の他の用紙Pで印刷が完了しているものがあれば、排紙部60に排紙させるとよい。また、制御部81は、例えば、1枚目の用紙P11の後端で浮きが検知された場合、印刷搬送部50の搬送を停止させるとよい。
【0052】
次に、図4Aに示すように、再給紙部35によって再給紙された1枚目の用紙P21が印刷部40による印刷が未完了の状態で印刷搬送部50上を搬送され、内部給紙部20(又は外部給紙部10)から給紙された2枚目の用紙P22が浮き検知センサSによって先端の浮きを検知され、3枚目の用紙P23が再給紙部35によって再給紙され且つレジストローラ対31に到達していない場合について考える。
【0053】
この場合、図4Bに示すように、1枚目の用紙P21については、浮き検知センサSによって浮きが検知されていないため、制御部81は、印刷搬送部50による搬送を継続させ、印刷搬送部50から退避させ、例えば蓄積部34cまで搬送させる。また、制御部81は、浮きが検知された2枚目の用紙P22については、レジストローラ対31に逆転搬送させ、レジストローラ対31と内部給紙部20との間の例えばユーザが印刷装置1の外部からアクセス可能な場所に留まらせる。また、制御部81は、レジストローラ対31に到達していない3枚目の用紙P23については、再給紙部35及び反転搬送部34によって搬送方向とは反対方向に、蓄積部34cへ逆転搬送させる。
【0054】
なお、制御部81は、1枚目の用紙P21や循環経路R2内の他の用紙Pで印刷が完了しているものがあれば、排紙部60に排紙させるとよい。また、制御部81は、2枚目の用紙P22を内部給紙部20(又は外部給紙部10)まで戻すように搬送させてもよいし、印刷装置1の構成によって可能であれば、蓄積部34cまで搬送させてもよい。また、制御部81は、1枚目及び3枚目の用紙P21,P23を、蓄積部34cとは異なる場所(ユーザが印刷装置1の外部からアクセス可能な場所)まで搬送し、留まらせてもよい。
【0055】
以上説明した本実施の形態では、搬送装置は、印刷搬送部50(処理搬送部の一例)及びレジストローラ対31を含む搬送部と、制御部81と、浮き検知センサS(異常検知センサの一例)とを備える。印刷搬送部50は、用紙P(媒体の一例)の印刷(処理の一例)を行う印刷部40(処理部の一例)に対向して配置され、用紙Pを搬送する。レジストローラ対31は、印刷搬送部50よりも用紙Pの搬送方向における上流側に配置され、用紙Pが突き当てられ、この突き当てられた用紙Pを搬送する。制御部81は、搬送部を制御する。浮き検知センサSは、レジストローラ対31よりも搬送方向における下流側で且つ印刷部40よりも搬送方向における上流側において用紙Pの浮き(搬送異常の一例)を検知する。制御部81は、浮き検知センサSが用紙Pの浮きを検知した場合に、この浮きが検知された用紙P(例えば、用紙P12,P22)をレジストローラ対31によって搬送方向とは反対方向に逆転搬送させ、浮きが検知された用紙Pよりも搬送方向における下流側に位置する用紙P(例えば、用紙P11,P21)を印刷搬送部50によって搬送方向に搬送させる。
【0056】
これにより、浮き検知センサSによって用紙Pの浮きが検知された場合に、浮きが検知された用紙P(例えば、用紙P12,P22)についてはレジストローラ対31の逆転搬送によって印刷搬送部50から退避させ、浮きが検知された用紙Pの下流側に位置する用紙P(例えば、用紙P11,P21)については、印刷搬送部50の搬送によって印刷搬送部50から退避させることができる。そのため、印刷部40と印刷搬送部50との間からユーザが用紙Pを除去するために、印刷搬送部50の下降などの退避動作をユーザが待つのを回避することができる。また、印刷搬送部50から用紙Pを退避させることで、少なくとも印刷搬送部50における用紙Pの除去を省略することができるため、作業負担を軽減することができる。よって、本実施の形態によれば、用紙Pの除去を容易に行うことができる。
【0057】
また、本実施の形態では、搬送部は、両面印刷(両面処理の一例)用の循環経路R2において用紙Pの表裏を反転させて搬送する反転搬送部34と、循環経路R2からレジストローラ対31へ用紙Pを再給紙(再供給の一例)する再給紙部35(再供給搬送部の一例)とを更に含み、反転搬送部34は、用紙Pを蓄積する蓄積部34cを有し、制御部81は、浮き検知センサSが再給紙部35によって搬送された用紙Pの浮きを検知した場合に、この浮きが検知された用紙P(例えば、用紙P12)をレジストローラ対31、再給紙部35、及び反転搬送部34によって反対方向に、蓄積部34cへ逆転搬送させる。
【0058】
これにより、浮きが検知された用紙Pを、反転搬送部34における所定の蓄積部34cに蓄積させることができるため、用紙Pの除去をより一層容易に行うことができる。
【0059】
また、本実施の形態では、搬送装置は、再給紙部35とは異なる経路でレジストローラ対31へ用紙Pを給紙(供給の一例)する外部給紙部10及び内部給紙部20(供給部の一例)を更に備え、制御部81は、浮き検知センサSが外部給紙部10又は内部給紙部20によって給紙された用紙P(例えば、用紙P22)の浮きを検知した場合に、再給紙部35によって再給紙され且つレジストローラ対31に到達していない用紙P(例えば、用紙P23)を、再給紙部35及び反転搬送部34によって搬送方向とは反対方向に、蓄積部34cへ逆転搬送させる。
【0060】
これにより、浮きが検知された用紙Pのみならず浮きが検知された用紙Pの上流側に位置する用紙Pについても、反転搬送部34における所定の蓄積部34cに蓄積させることができるため、用紙Pの除去をより一層容易に行うことができる。
【0061】
また、本実施の形態では、レジストローラ対31が用紙Pを反対方向に逆転搬送するときの搬送力は、印刷搬送部50が用紙Pを搬送方向に搬送するときの搬送力よりも強い。
【0062】
これにより、浮き検知センサSによって浮きを検知された用紙Pがレジストローラ対31によって逆転搬送される際に、下流側に位置する用紙Pを搬送する印刷搬送部50の搬送力によって、搬送方向に引っ張られるのを抑制することができる。
【0063】
また、本実施の形態では、制御部81は、レジストローラ対31が用紙Pを反対方向に逆転搬送する場合、印刷搬送部50の搬送力を弱める。
【0064】
これにより、浮き検知センサSによって浮きを検知された用紙Pがレジストローラ対31によって逆転搬送される際に、下流側に位置する用紙Pを搬送する印刷搬送部50の搬送力によって、搬送方向に引っ張られるのをより一層抑制することができる。
【0065】
なお、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素を適宜組み合わせてもよい。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0066】
[付記1]
媒体の処理を行う処理部に対向して配置され、前記媒体を搬送する処理搬送部と、当該処理搬送部よりも前記媒体の搬送方向における上流側に配置され、前記媒体が突き当てられ、当該突き当てられた媒体を搬送するレジストローラ対とを含む搬送部と、
前記搬送部を制御する制御部と、
前記レジストローラ対よりも前記搬送方向における下流側で且つ前記処理部よりも前記搬送方向における上流側において前記媒体の搬送異常を検知する異常検知センサとを備え、
前記制御部は、前記異常検知センサが前記媒体の搬送異常を検知した場合に、当該搬送異常が検知された媒体を前記レジストローラ対によって前記搬送方向とは反対方向に逆転搬送させ、前記搬送異常が検知された媒体よりも前記搬送方向における下流側に位置する前記媒体を前記処理搬送部によって前記搬送方向に搬送させる
ことを特徴とする搬送装置。
【0067】
[付記2]
前記搬送部は、両面処理用の循環経路において前記媒体の表裏を反転させて搬送する反転搬送部と、前記循環経路から前記レジストローラ対へ前記媒体を再供給する再供給搬送部とを更に含み、
前記反転搬送部は、前記媒体を蓄積する蓄積部を有し、
前記制御部は、前記異常検知センサが前記再供給搬送部によって搬送された前記媒体の搬送異常を検知した場合に、当該搬送異常が検知された媒体を前記レジストローラ対、前記再供給搬送部、及び前記反転搬送部によって前記反対方向に、前記蓄積部へ逆転搬送させる
ことを特徴とする付記1記載の搬送装置。
【0068】
[付記3]
前記再供給搬送部とは異なる経路で前記レジストローラ対へ前記媒体を供給する供給部を更に備え、
前記制御部は、前記異常検知センサが前記供給部によって供給された前記媒体の搬送異常を検知した場合に、前記再供給搬送部によって再供給され且つ前記レジストローラ対に到達していない前記媒体を、前記再供給搬送部及び前記反転搬送部によって前記反対方向に、前記蓄積部へ逆転搬送させる
ことを特徴とする付記2記載の搬送装置。
【0069】
[付記4]
前記レジストローラ対が前記媒体を前記反対方向に逆転搬送するときの搬送力は、前記処理搬送部が前記媒体を前記搬送方向に搬送するときの搬送力よりも強いことを特徴とする付記1から3のいずれか記載の搬送装置。
【0070】
[付記5]
前記制御部は、前記レジストローラ対が前記媒体を前記反対方向に逆転搬送する場合、前記処理搬送部の前記搬送力を弱める
ことを特徴とする付記4記載の搬送装置。
【符号の説明】
【0071】
1 印刷装置
10 外部給紙部
11 給紙トレイ
12 給紙ローラ
20 内部給紙部
21 第1給紙部
22 第2給紙部
23 第3給紙部
21a,22a,23a 給紙トレイ
21b,22b,23b 給紙ローラ
31 レジストローラ対
32 上昇搬送部
32a,32b 上昇ローラ対
33 両面搬送部
33a,33b,33c,33d 両面ローラ対
34 反転搬送部
34a,34b スイッチバックローラ対
34c 蓄積部
35 再給紙部(再給紙ローラ対)
36 排紙搬送部(排紙ローラ対)
37 直進搬送部(直進ローラ対)
38,39 経路切り替え部
40 印刷部
50 印刷搬送部
51 プーリ
52 ベルト
53 吸引ファン
54,55 ガイドローラ
60 排紙部
61 排紙トレイ
62 排紙ローラ対
70 搬送駆動部
71 レジスト駆動部
72 上昇駆動部
73 両面駆動部
74 反転駆動部
75 再給紙駆動部
76 排紙駆動部
77 直進駆動部
78,79 切り替え駆動部
81 制御部
82 記憶部
83 インターフェース部
P 用紙
R1 直進経路
R2 循環経路
R2a 反転経路
R3 排紙経路
S 浮き検知センサ
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B