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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063805
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】車両用スライドドア開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/643 20150101AFI20240507BHJP
   F16H 1/08 20060101ALI20240507BHJP
   F16H 57/02 20120101ALI20240507BHJP
   F16H 57/028 20120101ALI20240507BHJP
   E05F 11/04 20060101ALI20240507BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20240507BHJP
   B60J 5/06 20060101ALI20240507BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
E05F15/643
F16H1/08
F16H57/02
F16H57/028
E05F11/04
H02K7/116
B60J5/06 A
B60J5/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171903
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【弁理士】
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【弁理士】
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 直也
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 一幸
【テーマコード(参考)】
2E050
2E052
3J009
3J063
5H607
【Fターム(参考)】
2E050NA06
2E050QC04
2E050QE04
2E052AA09
2E052CA06
2E052DA04
2E052DB04
2E052EA16
2E052EB01
2E052EC01
2E052LA01
3J009EA03
3J009EA12
3J009EA32
3J009EA43
3J009FA04
3J063AB02
3J063AB22
3J063AC01
3J063BA09
3J063BA10
3J063BB02
3J063BB41
3J063BB46
3J063CB01
3J063CB21
3J063CD41
3J063CD45
3J063CD67
3J063XB00
3J063XC05
5H607AA04
5H607BB01
5H607BB04
5H607CC03
5H607DD03
5H607EE31
(57)【要約】
【課題】車両用スライドドア開閉装置において、簡単な構成で、モータの駆動時の作動音を良好なものとする。
【解決手段】モータ20の動力を出力可能なドライブユニット6と、ドライブユニット6から出力されるモータ20の動力をスライドドア3に伝達可能な動力伝達部材10を有するガイドユニット5と、を備え、動力伝達部材10がモータ20の動力により移動することによってスライドドア3を自動開閉させるようにした車両用スライドドア開閉装置において、ドライブユニット6は、モータ20と、モータ20の回転を減速して動力伝達部材10に伝達可能な減速ギヤ群24と、モータ20を囲繞するモータ収容部221を有するモータケーシング22と、モータケーシング22に設けられ、特定の周波数の音を低減可能なヘルムホルツ共鳴器23と、を含む。

【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの動力を出力可能なドライブユニットと、前記ドライブユニットから出力される前記モータの動力によって移動して、当該移動をスライドドアに伝達可能な動力伝達部材を有するガイドユニットと、を備え、前記動力伝達部材が前記モータの動力により移動することによって前記スライドドアを自動開閉させるようにした車両用スライドドア開閉装置において、
前記ドライブユニットは、
前記モータと、
前記モータの回転を減速して前記動力伝達部材に伝達可能な減速ギヤ群と、
前記モータを囲繞するモータ収容部を有するモータケーシングと、
前記モータケーシングに設けられ、特定の周波数の音を低減可能なヘルムホルツ共鳴器と、を含むことを特徴とする車両用スライドドア開閉装置。
【請求項2】
前記モータ収容部は、内面が前記モータに接触しないように前記モータを囲繞することを特徴とする請求項1記載の車両用スライドドア開閉装置。
【請求項3】
前記モータ収容部の内面に無数の凹凸を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の車両用スライドドア開閉装置。
【請求項4】
前記ヘルムホルツ共鳴器は、前記モータケーシングの上部に設けられ、所定の内容積を有する容器と、前記容器の内部空間と前記モータ収容部内とを連通する管部とにより構成されることを特徴とする請求項1又は2記載の車両用スライドドア開閉装置。
【請求項5】
前記容器の内面に無数の凹凸を設けたことを特徴とする請求項4記載の車両用スライドドア開閉装置。
【請求項6】
前記モータ収容部は、前記モータを前記モータ収容部内に支持するための支持プレートにより閉塞されることを特徴とする請求項1又は2記載の車両用スライドドア開閉装置。
【請求項7】
前記減速ギヤ群は、前記モータケーシングに接合されるギヤケーシングに囲繞され、
前記モータケーシングと前記ギヤケーシングとのそれぞれの接合面のうち、いずれか一方の接合面に凹溝を設けると共に前記凹溝に弾性力を有するOリングを嵌合し、
前記いずれか他方の接合面に前記凹溝に嵌合する突部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の車両用スライドドア開閉装置。
【請求項8】
前記減速ギヤ群は、前記モータケーシングに接合されるギヤケーシングに囲繞され、
前記モータケーシングと前記ギヤケーシングとの接合面をそれぞれ段差部を有する形状として、それぞれの段差部をオーバーラップさせて接合したことを特徴とする請求項1又は2記載の車両用スライドドア開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のスライドドアを自動開閉させるための車両用スライドドア開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両のスライドドアを自動開閉させるための車両用スライドドア開閉装置が記載されている。特許文献1に記載の車両用スライドドア開閉装置は、スライドドアを自動開閉させるための動力を出力するドライブユニット(モータモジュール)と、ドライブユニットから出力される動力をスライドドアに伝達して、スライドドアを開閉作動させるためのガイドユニット(ガイドモジュール)とを備える。
【0003】
ドライブユニットは、上下に分割されたケーシングと、上側のケーシングに固定される金属製ベースプレートに回転軸が上下方向を向くように支持されるモータと、上側のケーシングに固定されてモータを囲繞する合成樹脂製のカバーと、モータの回転軸線上にあって、電磁クラッチを介してモータの回転軸と一体的に回転可能な第1ギヤと、第1ギヤに噛合して第1ギヤの回転を減速する第2ギヤと、第2ギヤに噛合して第2ギヤの回転をさらに減速する第3ギヤと、を含んで構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-109446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような車両用スライドドア開閉装置を軽自動車に搭載する場合には、コスト及び大きさの関係から、モータは低出力で高速回転の小型モータが採用されるのが一般的である。しかしながら、モータを高速回転仕様のものを採用すると、車両用スライドドア開閉装置の搭載位置によっては、モータが乗員に隣接することで、スライドドアを自動開閉させるためにモータが回転した際、モータから発生する作動音が耳障りに感じる虞がある。
【0006】
また、特許文献1に記載の車両用スライドドア開閉装置においては、カバーとモータとの間に空気層を形成することで、モータの作動音を減衰させるものとしているが、それだけでは、モータの作動音を十分に減衰させるには空気層を大きく設定する必要があり、装置の大型化を招く虞がある。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑み、簡単な構成で、モータの駆動時の作動音を良好なものとした車両用スライドドア開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
モータの動力を出力可能なドライブユニットと、前記ドライブユニットから出力される前記モータの動力によって移動して、当該移動をスライドドアに伝達可能な動力伝達部材を有するガイドユニットと、を備え、前記動力伝達部材が前記モータの動力により移動することによって前記スライドドアを自動開閉させるようにした車両用スライドドア開閉装置において、前記ドライブユニットは、前記モータと、前記モータの回転を減速して前記動力伝達部材に伝達可能な減速ギヤ群と、前記モータを囲繞するモータ収容部を有するモータケーシングと、前記モータケーシングに設けられ、特定の周波数の音を低減可能なヘルムホルツ共鳴器と、を含むことを特徴とする。この構成によって、ドライブユニットのモータを高速回転仕様の小型モータとした場合であっても、モータケーシングに設けたヘルムホルツ共鳴器により、ドライブユニットから発生する特定の周波数帯の音圧を低減して、良好な作動音を得ることが可能となる。
【0009】
好ましくは、前記モータ収容部は、内面が前記モータに接触しないように前記モータを囲繞する。この構成によって、モータの外側面とモータ収容部の内面との間に空間が形成されることで、モータの駆動時における騒音を低減させることが可能になる。
【0010】
好ましくは、前記モータ収容部の内面に無数の凹凸を設ける。この構成によって、モータの作動音がモータ収容部を透過する透過音を低減できる。
【0011】
好ましくは、前記ヘルムホルツ共鳴器は、前記モータケーシングの上部に設けられ、所定の内容積を有する容器と、前記容器の内部空間と前記モータ収容部内とを連通する管部とにより構成される。この構成によって、ヘルムホルツ共鳴器を簡単な構成として、ドライブユニットから発生する特定の周波数帯の音圧を低減して、良好な作動音を得ることが可能となる。
【0012】
好ましくは、前記容器の内面に無数の凹凸を設ける。この構成によって、容器を透過する透過音を低減できる。
【0013】
好ましくは、前記モータ収容部は、前記モータを前記モータ収容部内に支持するための支持プレートにより閉塞される。この構成によって、モータ収容部からの音漏れを防止して、より良好な作動音を得ることが可能となる。
【0014】
好ましくは、前記減速ギヤ群は、前記モータケーシングに接合されるギヤケーシングに囲繞され、前記モータケーシングと前記ギヤケーシングとのそれぞれの接合面のうち、いずれか一方の接合面に凹溝を設けると共に前記凹溝に弾性力を有するOリングを嵌合し、前記いずれか他方の接合面に前記凹溝に嵌合する突部を設ける。この構成によって、モータケーシングとギヤケーシングとの接合面の隙間を確実に埋めて、モータケーシング及びギヤケーシングからの音漏れを防止できる。
【0015】
好ましくは、前記減速ギヤ群は、前記モータケーシングに接合されるギヤケーシングに囲繞され、前記モータケーシングと前記ギヤケーシングとの接合面をそれぞれ段差部を有する形状として、それぞれの段差部をオーバーラップさせて接合する。この構成によって、モータケーシングとギヤケーシングとの接合面の隙間を無くして、モータケーシング及びギヤケーシングからの音漏れを防止できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、ドライブユニットのモータを高速回転仕様の小型モータとした場合であっても、ヘルムホルツ共鳴器によって、モータ駆動時に発生する特定の周波数帯の音圧を低減することで、良好な作動音を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る車両用スライドドア開閉装置を搭載した車両の側面図である。
図2】車両用スライドドア開閉装置の斜視図である。
図3】車両用スライドドア開閉装置の側面図である。
図4】車両用スライドドア開閉装置の平面図である。
図5】車両用スライドドア開閉装置の分解斜視図である。
図6】ドライブユニット及びガイドユニットの一部を含む分解斜視図である。
図7】ドライブユニットの斜め下方から見た状態の分解斜視図である。
図8図4におけるVIII-VIII線縦断面図である。
図9図4におけるIX-IX線縦断面図である。
図10】ドライブユニットにおける内部及びガイドユニットの要部の斜視図である。
図11図3におけるXI-XI線縦断面図である。
図12図4におけるXII-XII線縦断面図である。
図13図4に示す矢印方向XIIIから見た第2固定部の拡大側面図である。
図14図13におけるXIV-XIV線縦断面図である。
図15図14に示す断面図の斜視図である。
図16】第2免震手段の分解斜視図である。
図17図11におけるXVII-XVII線拡大断面図である。
図18】他の実施例における図17と同一部位の拡大断面図である。
図19】他の他の実施例における図17と同一部位の拡大断面図である。
図20】1/12オクターブ解析で計測した結果の各周波数帯の音圧のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下に説明する一実施形態により限定されるものではなく、以下の一実施形態から当業者が自明の範囲内で適宜変更したものも含む。
【0019】
以下の説明で使用する方位は、断りのない限り、車両用スライドドア開閉装置1を車体に取り付けた状態での方位を指す。
【0020】
図1は、車両の側面図を示す。本実施形態に係る車両用スライドドア開閉装置1は、小型ワゴンタイプの車両2に搭載されることで、後部ドアであるスライドドア3をモータの動力により自動開閉させる。
【0021】
スライドドア3は、上部に取り付けたアッパーガイドローラユニット31が乗降口の上部に固定された前後方向へ延在するアッパーガイドレール41、中央後部に取り付けたセンターガイドローラユニット32が車体パネル21に固定された前後方向へ延在するセンターガイドレール42、また、前下部に取り付けたロアガイドローラユニット33が乗降口の下部に固定された前後方向へ延在するロアガイドレール43にそれぞれ前後方向に移動自在に支持されることにより、車体側面に沿って前後方向へ移動可能に支持されて、車両用スライドドア開閉装置1によって自動開閉する。
【0022】
図2は、車両用スライドドア開閉装置1の斜視図、図3は、同じく側面図、図4は、同じく平面図、図5は、同じく分解斜視図である。
【0023】
車両用スライドドア開閉装置1は、車体パネル44の外側面に固定されたセンターガイドレール42の上側に設置されるガイドユニット5と、車体パネル44の内側に配置され、動力源をなすモータ20を有するドライブユニット6と、を備える。
【0024】
図5から理解できるように、ガイドユニット5の一部を形成するロアケーシング8は、車体パネル44に設けた開口部44aを通って車体パネル44の内側に配置されてドライブユニット6に接続される。ドライブユニット6から出力されるモータ20の動力は、ガイドユニット5の後述の駆動ベルト10に伝達される。これにより、駆動ベルト10に連結されるスライドドア3は、モータ20の動力に基づいて自動開閉する。なお、本実施形態に係る車両用スライドドア開閉装置1は、ドライブユニット6にクラッチを備えていないクラッチレスタイプである。
【0025】
(ガイドユニット5)
図2~6に示すように、ガイドユニット5は、センターガイドレール42の上側に配置される合成樹脂製のガイド部材7と、ガイド部材7の車内側に設けられるロアケーシング8と、ロアケーシング8内に回動可能に支持される歯付きの駆動プーリ9と、ガイド部材7の前部及び後部に枢支されたプーリ(図示略)、並びに駆動プーリ9に掛け回されることにより、駆動プーリ9の回転に基づいてガイド部材7の長手方向(前後方向)に沿って循環移動するゴム製で環状の動力伝達部材をなす駆動ベルト10と、駆動ベルト10とセンターガイドローラユニット32とを互いに接続するベルト接続具11と、ガイド部材7の上側に固定されて、ガイド部材7及び駆動ベルト10を上側及び外側から覆う合成樹脂製の防水カバー12と、を備える。
【0026】
ガイド部材7は、平面視においてセンターガイドレール42と略同様な形状を呈して、センターガイドレール42の上面に重なり合うような形態で車体パネル44の外側面に固定される。
【0027】
ロアケーシング8は、車内側へ突出するようにガイド部材7に設けられて、車体パネル44の開口部44aを通って車体パネル44の内側に配置される。ロアケーシング8のフランジ部81は、後述の第2免震手段27のボルト13によってドライブユニット6の後述のギヤケーシング25と共に車体パネル44に固定される。ロアケーシング8が車体パネル44に固定された状態においては、フランジ部81の外周に設けたゴム製のシール部材14が車外側から車体パネル44の開口部44a周辺に密接することで、車体パネル44の開口部44aを閉塞し、開口部44aからの雨水浸入を阻止する。
【0028】
駆動プーリ9は、ロアケーシング8内に上下方向の軸線回りに回転可能に支持されて、ドライブユニット6のモータ20の動力により減速回転する後述の出力軸244に相対的に回転不能に連結されることで出力軸244と一体回動する。なお、ロアケーシング9における駆動プーリ9を収容する領域の上側は、出力軸244が挿通する部分を除いて金属製のカバープレート16により閉塞される。
【0029】
駆動プーリ9がモータ20の動力に基づいて回動した場合には、図10に示すように、駆動プーリ9の外周に掛け回された駆動ベルト10が駆動プーリ9の回転に伴って、ガイド部材7の長手方向に沿って移動し、駆動ベルト10に接続されたベルト接続具11及び当該ベルト接続具11に接続されたセンターガイドローラユニット32が前後方向へ移動することで、スライドドア3は自動開閉する。
【0030】
防水カバー12は、合成樹脂製の複数のファスナ15によりガイド部材7の上面に固定されて、ガイド部材7及び駆動ベルト10の上側及び外側を覆うことで、ガイド部材7と駆動ベルト10とが互いに接触する接触面への雨水の付着を防止する。これにより、寒冷地においてガイド部材7と駆動ベルト10とが互いに接触する接触面に付着した雨水が凍結する等して、駆動ベルト10がガイド部材7の表面に張り付いてしまうような事態を防止する。
【0031】
(ドライブユニット6)
図6は、ドライブユニット6及びロアケーシング9の一部を含む分解斜視図、図7は、ドライブユニット6の斜め下方向から見た分解斜視図、図8は、図4におけるVIII-VIII線縦断面図、図9は、図4におけるIX-IX線縦断面図、図10は、ドライブユニット6における内部及びガイドユニット6の要部の斜視図、図11は、図3におけるXI-XI線横断面図である。
【0032】
特に図6から理解できるように、ドライブユニット6は、モータ20と、モータ20の下部に固定される金属製の支持プレート21と、モータ20を囲繞するモータ収容部221を有する合成樹脂製のモータケーシング22と、モータケーシング22の上部に設けられるヘルムホルツ共鳴器23と、モータ20の回転を減速する減速ギヤ群24と、減速ギヤ群24を収容する合成樹脂製のギヤケーシング25と、を含む。
【0033】
モータケーシング22は、モータ20を囲繞するモータ収容部221と、減速ギヤ群24を上側から覆うようにギヤケーシング25の上面開口を閉塞する閉塞部222と、を有して、閉塞部222の下部がギヤケーシング25に接合される。好ましくは、モータケーシング22の材質とギヤケーシング25の材質とを互いに異なる材質とする。このようにすると、モータケーシング22とギヤケーシング25との接合面における真実接触部の凝着剥がれによる打音発生を防止できる。さらには、モータ収容部221の内表面にシボ加工により細かい無数の凹凸部221aを形成する。これにより、モータ20の作動音がモータ収容部221を透過する透過音を低減できる。
【0034】
さらに好ましくは、図8にA部拡大図として示すように、モータケーシング22の閉塞部222をギヤケーシング25に接合する接合面においては、ギヤケーシング25に全周に設けた上向きのフランジ部25aの上端面の全周に凹溝25bを設け、当該凹溝25b内にゴム製のOリング17を嵌合すると共に、モータケーシング22における閉塞部22の全周に設けた下向のフランジ部22aの下端面に設けた突部22bを凹溝25b内に嵌合させて接合する。これにより、モータケーシング22とギヤケーシング25との接合面の隙間を確実に埋めることができ、モータケーシング22及びギヤケーシング25からの音漏れを防止できる。
【0035】
なお、本実施形態においては、上述のように、Oリング17をギヤケーシング25のフランジ部25aに嵌合したが、これに代えて、モータケーシング22のフランジ部22aに凹溝を設け、ギヤケーシング25のフランジ部25aにフランジ部を設け、Oリングをモータケーシング25側の凹溝に嵌合しても良い。この場合でも上述と同様な作用効果を奏する。
【0036】
さらに、図8には、モータケーシング22の閉塞部22をギヤケーシング25に接合する接合面の他の実施例の断面図を示す。他の実施例は、ギヤケーシング25におけるフランジ部25aの上端面の断面形状を内側半部が上方へ突出する段差部25cを有する形状とし、モータケーシング22におけるフランジ部22aの下端面の断面形状を外側半部が下方へ突出する段差部22cを有する形状として、ギヤケーシング25側の段差部25cとモータケーシング22側の段差部22cとを互いにオーバーラップさせて接合する。これにより、前記実施例と同様に、モータケーシング22とギヤケーシング25との接合面の隙間を無くすることができ、モータケーシング22及びギヤケーシング25からの音漏れを防止できる。
【0037】
モータ20は、高速回転可能な小型のブラシ付モータである。モータ20の下部は、複数のボルト28により支持プレート21に固定される。支持プレート21は、複数のボルト29によりモータケーシング22におけるモータ収容部221の下部に固定される。これにより、モータ20は、回転軸20aが下方を向き、かつモータ20の外側面がモータケーシング22におけるモータ収容部221の内面に不接触で、かつモータ20の外側面とモータ収容部221の内面との間に空間が形成されるようにしてモータ収容部221内に支持される。モータ20の外側面とモータ収容部221の内面との間に空間を形成することで、モータ20の駆動時における騒音を低減することができる。
【0038】
モータ20における回転軸20aを支持するための軸受部20bは、支持プレート21に設けた円形の孔21aに嵌合されることで位置決めされる。また、回転軸20aの下部に止着された第1ギヤ201は、支持プレート21の孔21aを通って減速ギヤ群24が収容されるギヤケーシング25内に突出する。
【0039】
支持プレート21は、モータ20の下部に固定されると共に、モータ収容部221の下部に固定されることで、モータ21を支持した状態でモータ収容部221を下方から閉塞する。これにより、モータ収容部221からの音漏れを防止できる。さらには、モータ20を支持プレート21によって、ギヤケーシング25と別体のモータケーシング22側に支持することで、ドライブユニット6におけるモータケーシング22側のサブアッシー化を可能にして、ドライブユニット6の組立を効率的に行うことが可能となる。
【0040】
好ましくは、支持プレート21を金属製とする。支持プレート21を金属製とすることで、合成樹脂製としたものに比して、薄い板厚でモータケーシング22の剛性の向上を図ってドライブユニット5の小型化を可能にすると共に、後述のように、第1ギヤ201を止着したモータ20の回転軸20a、及び第1ギヤ201に噛合する第2ギヤ241を回転自在に支持するための軸243の位置決めを正確に行うことが可能となる。さらには、モータ20をモータケーシング22に固定される支持プレート21により支持すると共に、モータケーシング22をギヤケーシング25に直接接合したことにより、ドライブユニット6の構成簡素化及び小型化、特に上下方向への小型化を図ることができる。
【0041】
ヘルムホルツ共鳴器23は、モータケーシング22の上部に設けられる容器部231と、容器部231の内部空間とモータケーシング22におけるモータ収容部221内を連通する管部232と、を有する。管部232は、モータ収容部221の上部に上下方向へ貫通するように設けられる。
【0042】
容器部231は、例えば中空の直方体状に形成されて所定の内容積を有している。好ましくは、容器部231の内側の表面に、シボ加工により細かい無数の凹凸231aを形成する。これにより、容器部231内に進入した音が容器部231を透過する透過音を低減できる。
【0043】
ヘルムホルツ共鳴器23は、容器部231と管部232とで形成されることで、特定の周波数帯で音を低減するものであり、特定の音の周波数をfとし、管部232の開口面積をSとし、管部232の長さをLとし、容器部231の内容積をVとし、音速をcとした場合、一般に以下の数式が成り立つことが知られている。
【0044】
【数1】
【0045】
本実施形態においては、特定の周波数帯、すなわち低減したい音の周波数帯が630Hz~800Hzがなるように、管部232の開口面積S、管部232の長さL、容器部231の内容積Vがそれぞれ決定される。
【0046】
本出願人は、上記数式に基づいて、管部232の開口面積S、管部232の長さL、容器部231の内容積Vをそれぞれ決定して、ヘルムホルツ共鳴器23を製作して各周波数帯の音圧を1/12オクターブ解析で計測した結果、図20(a)、(b)に示すグラフのような結果を得た。図20(a)は、ヘルムホルツ共鳴器23をモータケーシング22に未装着のドライブユニット6の計測結果であり、図20(b)は、ヘルムホルツ共鳴器23をモータケーシング22に装着したドライブユニット6の計測結果である。これらの計測結果から理解できるように、OA値(オーバーオール値)が46.6dbから42.8db、周波数630Hzの音圧が47.3dbから31.8db、周波数800Hzの音圧が38.8dbから26.1dbにそれぞれ低減した。これによって、高速回転の小型モータを使用した場合であっても、ドライブユニット6から発生する特定の周波数帯の音圧を低減して、良好な作動音を得ることが可能となる。
【0047】
ギヤケーシング25は、減速ギヤ群24を収容するギヤ収容部251と、第1免震手段26の一部を構成するボルト32によりロアケーシング8の上面に固定される第1固定部252と、前後の第2免震手段27、27の一部を構成するボルト13、13によりロアケーシング8のフランジ部81に固定される前後の第2固定部253、253と、を有する。前後の第2固定部253、253は、ロアケーシング8のフランジ部81との間に車体パネル44を挟み込んだ状態でフランジ部81に固定される。
【0048】
ギヤケーシング25には、モータケーシング22が上方から覆い被さるように固定される。これにより、ギヤケーシング25のギヤ収容部251に収容される減速ギヤ群24は、モータケーシング22の閉塞部222により囲繞される。
【0049】
減速ギヤ群24は、モータ20の回転軸20aに止着された第1ギヤ201と、上下方向を向く軸243により回転自在に支持されて第1ギヤ201に噛合する第2ギヤ241と、上下方向を向く出力軸244により回転自在に支持されて第2ギヤ241に噛合する第3ギヤ242とを含む。
【0050】
図11に示す要部の平面図に基いて説明すると、第1ギヤ201、第2ギヤ241及び第3ギヤ242のそれぞれの位置関係は、次のように設定される。
ガイド部材7の長手方向(前後方向)に平行な直線をL1とし、第1ギヤ201の回転中心に相当するモータ20の回転軸20aの中心と第2ギヤ241の回転中心に相当する軸243の中心とを結んだ直線の延長線をL3とし、軸243の中心と第3ギヤ242の回転中心に相当する出力軸244の中心とを結んだ直線の延長線をL2とした場合:
・延長線L1と延長線L2との交差角度θ1を鋭角とする。
・延長線L1と延長線L3との交差角度θ2を鋭角とする。
・延長線L2と延長線L3との交差角度θ3を鋭角とする。
上述のような位置関係とすることにより、ドライブユニット6の前後方向への寸法拡大を抑制できる。さらには、各軸の設定位置を変更することで、種々の車両に対して対応できる。
【0051】
モータ20の回転軸20aの下部に止着された第1ギヤ201は、支持プレート21の孔21aを通ってギヤケーシング25のギヤ収容部251内に突出する。
【0052】
第2ギヤ241は、軸243によりギヤケーシング25のギヤ収容部251内に回転自在に支持されると共に、上部に大径ギヤ241a、下部に小径ギヤ241bを有する2段ギヤであって、大径ギヤ241aが第1ギヤ201に噛合することでモータ20の動力により軸243を中心に減速回転する。好ましくは、軸243の上端部を支持プレート21に設けた軸孔21bに挿入支持し、同じく下部をギヤケーシング25側に支持する。このように、第2ギヤ241を回転自在に支持するための軸243の上端部を、モータ20の軸受部20bを位置決めした支持プレート21に挿入支持することによって、第1ギヤ201と第2ギヤ241との噛合精度が向上して、特に高速回転する第1ギヤ201と第2ギヤ241との噛合時に発生する騒音の低減を図ることができる。
【0053】
第3ギヤ242は、出力軸244と共に回転自在に支持されて、第2ギヤ241の小径ギヤ部241bに噛合することで、モータ20の動力に基づいて第1ギヤ201、第2ギヤ241を介して出力軸244と共に減速回転する。
【0054】
出力軸244は、第3ギヤ242と一体回転するように第3ギヤ242の中心孔に圧入されると共に、上端が上側のベアリング30によりモータケーシング22側に回転自在に支持され、下部が下側のベアリング31によりギヤケーシング25側に回転自在に支持される。
【0055】
出力軸244の下端部は、下側のベアリング31、ギヤケーシング25の底部、及びロアケーシング8に固定されたカバープレート16をそれぞれ貫通してロアケーシング8の収容部82内に収容された駆動プーリ9の中心孔9aに相対的に回転不能に圧入される。これにより、第3ギヤ242と駆動プーリ9とは、出力軸243と共に一体的に回転する。そして、駆動プーリ9が回転することで、駆動ベルト10は、ガイド部材7の長手方向に沿って循環移動する。
【0056】
図12は、図4におけるXII-XII線拡大縦断面図、図13は、図4に示す矢印方向XIIIから見た第2固定部253の拡大側面図、図14は、図13におけるXIV-XIV線縦断面図、図15は、図14に示す断面の斜視図、図16は、第2免震手段27の分解斜視図及びそれに関係する部分の斜視図、図17は、図11におけるXVII-XVII線縦断面図である。
【0057】
ギヤケーシング25の第1固定部252は、ギヤケーシング25の車内側に位置する部位に設けられ、上下方向を向く第1免震手段26によりガイドユニット5のロアケーシング8の上部に固定される。同じく前後の第2固定部253、253は、車体パネル44に対向する部位に設けられ、車内外方向を向く第2免震手段27、27によりロアケーシング8のフランジ部81と共に車体パネル44に固定される。
【0058】
図12に示すように、第1免震手段26は、第1固定部252に設けた平面視略半円状の取付孔252aに嵌合されるゴム製の鍔付き円筒状の弾性部材261と、弾性部材261内に下方から挿入される合成樹脂製の鍔付き円筒状のカラー262と、弾性部材261の上面に固定される金属製のワッシャー263と、カラー262に挿入されてロアケーシング8に固着された鍔付きナット83に螺合するボルト32と、を含む。
【0059】
第1免震手段26によりギヤケーシング25の第1固定部252をロアケーシング8に固定した状態について、図12を参照して説明すると、以下のようになる。
【0060】
弾性部材261は、上下の鍔部261a、261aが第1固定部252を上下方向(板厚方向)から挟み込むようにして、上下の鍔部261a、261a間の胴部261bが取付孔252aに嵌合することで第1固定部252に保持される。ワッシャー263は、弾性部材261の上側の鍔部261aの上面に固定される。
【0061】
カラー262は、鍔部262aが下側になるように弾性部材261に挿入される。弾性部材261の下側の鍔部261aは、カラー262の鍔部262aと取付孔252aの周辺との間に挟み込まれる。カラー262の鍔部262aの下面は、ロアケーシング8に固着された鍔付きナット83の上面に圧接する。
【0062】
ボルト32は、上方から弾性部材261に固定されたワッシャー263及び弾性部材261に挿入されたカラー262を貫通して、ロアケーシング8に固着された鍔付きナット83に螺合する。ボルト32の頭部32aは、ワッシャー263に圧接する。
【0063】
上述のように、第1免震手段26によりギヤケーシング25の第1固定部252をロアケーシング8に固定することにより、ギヤケーシング25の第1固定部252からロアケーシング8、及びその逆への振動伝達を減衰させることができる。
【0064】
次に、第2免震手段27について説明する。
なお、前後の第2免震手段27、27は、互いに同一構造であり、また第1免震手段26とも方向が異なるだけで実質的に同一構造である。また、前後の第2固定部253についても実質的に同一構造であるので、以下の説明においては、前側の第2固定部253に取り付けられる第2免震手段27を代表して説明する。
【0065】
図13~17に示すように、第2免震手段27は、第2固定部253に設けた側面視略半円状の取付孔253aに嵌合されるゴム製の鍔付き円筒状の弾性部材271と、弾性部材271の孔に車内側から挿入され、ボルト13の軸径よりも大径の孔を有する合成樹脂製の鍔付き円筒状のカラー272と、弾性部材271の車内側の鍔部271aに固定される金属製のワッシャー273と、カラー272に挿入されてロアケーシング8のフランジ部81に固着された鍔付きナット84に螺合するボルト13と、を含む。
【0066】
図16、17から理解できるように、第2免震手段27における弾性部材271の内周面には、軸方向に延伸する突部271cが周方向に所定の間隔をもって複数設けられる。突部271cは、カラー272の外周面に当接することで、弾性部材271とカラー272とが互いに接触する部分の接触面を減少させることで振動伝達を減衰させる。なお、前述の第1免震手段26については、弾性部材26の突部についての図示及び説明は省略したが、第1免震手段26における弾性部材261の内周面にも、突部271cと同様な突部が設けられる。
【0067】
第2免震手段27によりギヤケーシング25の第2固定部253をロアケーシング8のフランジ部81に固定した状態について、図14、15を参照して説明すると、以下のようになる。
【0068】
第2固定部253は、第2固定部253とロアケーシング8のフランジ部81との間に車体パネル44を挟み込んだ状態で、車体パネル44及びフランジ部81にそれぞれ固定される。
【0069】
弾性部材271は、車内外の鍔部271a、271aが第2固定部253を車内外から挟み込むようにして、車内外の鍔部271a、271a間の胴部271bが取付孔253aに嵌合することで第2固定部253に保持される。
【0070】
ワッシャー273は、径方向及びボルト13の軸方向へ移動しないように、弾性筒部材271の車内側の鍔部271aの表面に固定される。
【0071】
カラー272は、鍔部272aが車外側になるように弾性部材271に挿入される。弾性部材271の車外側の鍔部271aは、カラー272の鍔部272aと取付孔253aの周辺との間に挟み込まれる。カラー272の鍔部272aの外側を向く面は、車体パネル44に設けたボルト孔44bの周囲に圧接する。
【0072】
ボルト13は、車内側から弾性部材271に固定されたワッシャー273、弾性部材271に挿入されたカラー272、及び車体パネル44のボルト孔44bを貫通して、ロアケーシング8のフランジ部81に固着された鍔付きナット84に螺合することで、カラー272の鍔部272aとロアケーシング8のフランジ部81の間に車体パネル44を挟み込んだ状態で第2固定部253を車体パネル44及びフランジ部81に固定する。
【0073】
ボルト13の頭部13aは、ワッシャー273の表面に圧接している。ワッシャー273の孔に設けた内向きの複数の突起273aは、ボルト13における頭部13aに連なる軸部の外周面に当接することでボルト13の挿入位置を規制して、ボルト13の軸部が弾性部材271に挿入されたカラー272の内周面に接触しないようにしている。なお、第1免震手段26のワッシャー263について、突起273aについての説明及び図示は省略したが、ワッシャー263にも同様な突起が設けられる。
【0074】
カラー272の外周面は、弾性部材271の内周面に設けた突部271cに接触している。これにより、カラー272の外周面の全面が弾性部材271の内周面に接触しないようにしている。
【0075】
上述のように、第2免震手段27によりギヤケーシング25の第2固定部253を車体44及びロアケーシング8のフランジ部81に固定することによって、ドライブユニット6のギヤケーシング25は、車体パネル44及びガイドユニット5におけるガイド部材7の一部を構成するロアケーシング8に対して、直接接触しないように固定される。これにより、ドライブユニット6から車体パネル44及びガイドユニット5、及びその逆への振動伝達を減衰させることができる。この結果、モータ20の駆動時にドライブユニット6から発生する振動は、車体パネル44及びガイドユニット5に伝達され難くなるため、スライドドア3を静音で自動開閉させることができる。また、車両走行時における車体パネル44の振動がドライブユニット6に伝達され難くなるため、減速ギヤ群24の各噛合代のずれや磨耗に起因する作動音の悪化を抑制可能となる。
【0076】
さらには、弾性部材271の内周面に突部271cを設けたことにより、カラー272と弾性部材271との接触面を少なくして、振動伝達をより一層効果的に減衰させることができる。
【0077】
(車両用スライドドア開閉装置1の開閉作用)
ユーザ携帯のワイヤレスリモートスイッチ又はスライドドア3に設けられるドア開閉用の図示略のドアハンドルが操作されると、それに応じて、ドライブユニット6のモータ20が駆動する。
【0078】
モータの駆動による回転軸20aの回転は、第1ギヤ201、第2ギヤ241、第3ギヤ242及び出力軸244を経由して駆動プーリ9に伝達される。モータ20が正転駆動した場合には、駆動プーリ9が図10に示す矢印方向Aへ回転して駆動ベルト10が閉方向へ循環移動することで、スライドドア3は、閉じ方向へ移動する。また、モータ30が逆転駆動した場合には、駆動プーリ9が図10に示す矢印方向Bへ回転して駆動ベルト10が開方向へ移動することで、スライドドア3は、開き方向へ移動する。
【0079】
なお、本実施形態に係る車両用スライドドア開閉装置1は、クラッチレスタイプであることから、スライドドア3を手動により開操作又は閉操作した場合には、スライドドア3の初期の移動を検出すると、スライドドア3の手動開閉操作をアシストするようにモータ20が駆動制御されるようになっている。
【0080】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、上記実施形態に対して、次のような種々の変形や変更及び組み合わせを施すことが可能である。
【0081】
(a)振動伝達を減衰させるための構成として、図17に示すような構成に代えて、図示は省略するが、カラー272の外周面に軸方向へ延伸する複数の突部を設け、当該突部が弾性部材271の内周面に当接するようにする。これにより、弾性部材271とカラー272とが互いに接触する接触面を減少させて、ドライブユニット6からガイドユニット5、及びその逆への振動伝達を減衰させることができる。
【0082】
(b)振動伝達を減衰させるための構成として、図17に示すような構成に代えて、図18に示すように、弾性部材271の胴部271bの外周面に軸方向へ延伸する複数の突部271dを設け、当該突部271dが第1固定部252における取付孔253の内周面に当接するようにする。これにより、弾性部材271と第1固定部252とが互いに接触する接触面を減少させて、ドライブユニット6からガイドユニット5、及びその逆への振動伝達を減衰させることができる。
【0083】
(c)振動伝達を減衰させるための構成として、図17に示すような構成に代えて、図19に示すように、第1固定部252における取付孔253の内周面に周方向に沿って複数の突部253bを設け、突部253bが弾性部材271の外周面に当接するようにする。これにより、弾性部材271と第1固定部252とが互いに接触する接触面を減少させて、ドライブユニット6からガイドユニット5、及びその逆への振動伝達を減衰させることができる。
【0084】
(d)動力伝達部材を、駆動ベルト10に代えて、ケーブルとする。
【符号の説明】
【0085】
1 車両用スライドドア開閉装置 2 車両
3 スライドドア 31 アッパーガイドローラユニット
32 センターガイドローラユニット 33 ロアガイドローラユニット
41 アッパーガイドレール 42 センターガイドレール
43 ロアガイドレール 44 車体パネル
44a 開口部 44b ボルト孔
5 ガイドユニット 6 ドライブユニット
7 ガイド部材 8 ロアケーシング
81 フランジ部 82 収容部
83、84 ナット 9 駆動プーリ
9a 中心孔 10 駆動ベルト(動力伝達部材)
11 ベルト接続具 12 防水カバー
13 ボルト 13a 頭部
13b 軸部 14 シール部材
15 ファスナ 16 カバープレート
17 Oリング 20 モータ
20a 回転軸 20b 軸受部
201 第1ギヤ 21 支持プレート
21a 孔 21b 軸孔
22 モータケーシング 22a フランジ部
22b 突部 22c 段差部
221 モータ収容部 221a 凹凸
222 閉塞部 23 ヘルムホルツ共鳴器
231 容器部 231a 凹凸
232 管部 24 減速ギヤ群
241 第2ギヤ 241a 大径ギヤ
241b 小径ギヤ 242 第3ギヤ(最終減速ギヤ)
243 軸 244 出力軸
25 ギヤケーシング 25a フランジ部
25b 凹溝 25c 段差部
251 ギヤ収容部 252 第1固定部
252a 取付孔 253 第2固定部
253a 取付孔 253b 突部
26 第1免震手段 261 弾性部材
261a 鍔部 261b 胴部
262 カラー 262a 鍔部
263 ワッシャー 27 第2免震手段
271 弾性部材 271a 鍔部
271b 胴部 271c、271d 突部
272 カラー 272a 鍔部
273 ワッシャー 273a 突起
28、29 ボルト 30、31 ベアリング
32 ボルト 32a 頭部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20