(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063816
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】水性インキ、それを用いた印刷物及び積層体
(51)【国際特許分類】
C09D 11/10 20140101AFI20240507BHJP
【FI】
C09D11/10
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171917
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(72)【発明者】
【氏名】村上 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】佐井 哲哉
【テーマコード(参考)】
4J039
【Fターム(参考)】
4J039AB08
4J039AE04
4J039BC09
4J039BE01
4J039BE12
4J039BE22
4J039CA06
4J039DA02
4J039EA43
4J039EA44
4J039GA01
4J039GA03
(57)【要約】
【課題】本発明は、顔料分散性、インキ安定性、及び印刷効果が良好であり、印刷物又は積層体とした際の耐レトルト性が良好な水性インキを提供することを目的とする。
【解決手段】顔料、水性ウレタン樹脂、ロジン系樹脂、及びアセチレングリコール系界面活性剤を含有する水性インキであって、前記ロジン系樹脂の酸価が、10~280mgKOH/gである、水性インキ。フレキソ印刷用又はグラビア印刷用である、前記の水性インキ。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料、水性ウレタン樹脂、ロジン系樹脂、及びアセチレングリコール系界面活性剤を含有する水性インキであって、
前記ロジン系樹脂の酸価が、10~280mgKOH/gである、水性インキ。
【請求項2】
フレキソ印刷用又はグラビア印刷用である、請求項1に記載の水性インキ。
【請求項3】
アセチレングリコール系界面活性剤の含有率が、水性インキの全質量を基準として、0.1~5質量%である、請求項1又は2に記載の水性インキ。
【請求項4】
ロジン系樹脂が、水溶性ロジン樹脂及び/又はエマルジョン型ロジン樹脂を含有する、請求項1又は2に記載の水性インキ。
【請求項5】
水性ウレタン樹脂が、ポリエーテルポリオール由来の構成単位、及び/又はポリエステルポリオール由来の構成単位を含有する、請求項1又は2に記載の水性インキ。
【請求項6】
水性ウレタン樹脂が、ポリエーテルポリオール由来の構成単位を含有し、
前記ポリエーテルポリオールが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラメチレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項5に記載の水性インキ。
【請求項7】
水性ウレタン樹脂が、ポリエステルポリオール由来の構成単位を含有し、
前記ポリエステルポリオールが、二塩基酸由来の構成単位を含有し、前記二塩基酸が、アジピン酸、コハク酸、アゼライン酸及びダイマー酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項5に記載の水性インキ。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の水性インキからなるインキ層と基材1とを含有する、印刷物。
【請求項9】
基材1、請求項1又は2に記載の水性インキからなるインキ層、及び基材2をこの順に有する、積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性インキ、それを用いた印刷物及び積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
グラビアインキ及びフレキソインキは、絵柄印刷として、被印刷体に美粧性、機能性を付与させる目的で広く用いられているが、近年、包装物の多様性や包装技術の高度化、さらには有機溶剤に代表される法規制面からの環境課題に対する取組みなど、印刷インキへの要求は年々多様化している。例えば、近年の環境保全、法規制面への課題を解決するための手段として、溶剤系インキから水性インキへの転換が提案されており、水性インキは、一般包装紙や段ボール等の紙器、プラスチックフィルム基材等の印刷に広く用いられてきている。しかし、水性インキは溶剤のインキと比較すると、塗膜物性や印刷効果、印刷適性などの課題が未だ多いのが事実である。
【0003】
また、カーボンニュートラル(燃焼で排出される二酸化炭素の量と、植物などの生長により吸収・固定される二酸化炭素の量とを同一量とする)達成のための一手段として、植物原料などのバイオマス由来原料の利用がある。印刷インキにおいても、含まれる樹脂等にバイオマス由来の原料を使用することが検討されている(特許文献1)。
【0004】
上記バイオマス由来の原料の一つとして、水性インキにロジン系樹脂を使用することが検討されている。例えば、特許文献2には、多糖類由来の構成成分を有するアクリル系樹脂及び多糖類由来の構成成分を有しない樹脂を含み、更に、ロジン系樹脂を含有する、水性フレキソインキの発明が開示されている。しかし、ロジン系樹脂のみでは、インキを基材に印刷し、更に基材を積層して積層体にした場合にラミネート強度及び耐レトルト性が不十分であることや、他の構成成分とロジン系樹脂との相溶性が低く、インキの安定性が低いケースが考えられる。
【0005】
また、特許文献3には、水性媒体、バイオマス由来のウレタン樹脂及びロジン系樹脂を含むインキ組成物、印刷塗膜及び積層体の発明が開示されている。しかし、酸価が高いロジン系樹脂を用いているため、水性ウレタン樹脂とロジン系樹脂の相溶性や、ロジン系樹脂の再溶解性が不十分である懸念があり、インキの安定性不良や印刷不良が起こりうる。またインキを用いて包装袋を作成し、レトルトした場合、ロジン樹脂の酸価が高いためラミネート強度が低下すると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2018/199085号
【特許文献2】特開2021-167377号公報
【特許文献3】特開2021-008569号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、顔料分散性、インキ安定性、及び印刷効果が良好であり、印刷物又は積層体とした際の耐レトルト性が良好な水性インキを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らが鋭意検討を進めた結果、以下に記載の水性インキを用いることで本願課題を解決できることを見出し、本発明を成すに至った。
【0009】
すなわち本発明は、顔料、水性ウレタン樹脂、ロジン系樹脂、及びアセチレングリコール系界面活性剤を含有する水性インキであって、前記ロジン系樹脂の酸価が、10~280mgKOH/gである、水性インキに関する。
【0010】
また本発明は、フレキソ印刷用又はグラビア印刷用である、上記の水性インキに関する。
【0011】
また本発明は、アセチレングリコール系界面活性剤の含有率が、水性インキの全質量を基準として、0.1~5質量%である、上記の水性インキに関する。
【0012】
また本発明は、ロジン系樹脂が、水溶性ロジン樹脂及び/又はエマルジョン型ロジン樹脂を含有する、上記の水性インキに関する。
【0013】
また本発明は、水性ウレタン樹脂が、ポリエーテルポリオール由来の構成単位、及び/又はポリエステルポリオール由来の構成単位を含有する、上記の水性インキに関する。
【0014】
また本発明は、水性ウレタン樹脂が、ポリエーテルポリオール由来の構成単位を含有し、前記ポリエーテルポリオールが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラメチレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、上記の水性インキに関する。
【0015】
また本発明は、水性ウレタン樹脂が、ポリエステルポリオール由来の構成単位を含有し、前記ポリエステルポリオールが、二塩基酸由来の構成単位を含有し、前記二塩基酸が、アジピン酸、コハク酸、アゼライン酸及びダイマー酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、上記の水性インキに関する。
【0016】
また本発明は、上記の水性インキからなるインキ層と基材1とを含有する、印刷物に関する。
【0017】
また本発明は、基材1、上記の水性インキからなるインキ層、及び基材2をこの順に有する、積層体に関する。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、顔料分散性、インキ安定性、及び印刷効果が良好であり、印刷物又は積層体とした際の耐レトルト性が良好な水性インキを提供することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
【0020】
本明細書では、上記「水性インキ」を単に「インキ」、「水性ウレタン樹脂」は単に「ウレタン樹脂」と称することがあるが同義である。
【0021】
<水性インキ>
本発明の水性インキは、顔料、水性ウレタン樹脂、ロジン系樹脂、及びアセチレングリコール系界面活性剤を含有し、前記ロジン系樹脂の酸価が、10~280mgKOH/gである。また必要に応じて添加剤及び液状媒体を含むことも好ましい。
【0022】
本発明のインキが、酸価10~280mgKOH/gのロジン系樹脂、及びアセチレングリコール系界面活性剤を含むことで、それらと水性ウレタン樹脂とが効果的に相溶し、インキが安定化する。さらに、水性インキにより形成したインキ層の凝集力が高まるため、印刷物又は積層体とした際の耐レトルト性が向上する。
【0023】
また、アセチレングリコール系界面活性剤が、水性ウレタン樹脂及びロジン系樹脂の顔料吸着能を向上させることにより、顔料の分散安定性に優れた水性インキが得られる。
また、アセチレングリコール系界面活性剤により、水性ウレタン樹脂及びロジン系樹脂の再溶解性が向上し、特にロジン系樹脂の再溶解性が特段優れるため、レベリング性等の印刷効果が向上する。
上記メカニズムに関する考察は一例であり、本発明を限定するものではない。
【0024】
<顔料>
本発明の水性インキに含まれる顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム等の無彩色の顔料又は有彩色の有機顔料が使用できる。イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックなどの有機顔料は、水性インキ100質量%中、5~30質量%の割合で配合する事が好ましい。また、白の酸化チタンの場合は、水性インキ100質量%中、10~60質量%の割合で配合することが好ましい。
【0025】
有機顔料としては、トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザエロー、ベンジジンエロー、ピラゾロンレッドなどの不溶性アゾ顔料、リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2Bなどの溶性アゾ顔料、アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーンなどの建染染料からの誘導体、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系有機顔料、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタなどのキナクリドン系有機顔料、ペリレンレッド、ペリレンスカーレットなどのペリレン系有機顔料、イソインドリノンエロー、イソインドリノンオレンジなどのイソインドリノン系有機顔料、ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジなどのピランスロン系有機顔料、チオインジゴ系有機顔料、縮合アゾ系有機顔料、ベンズイミダゾロン系有機顔料、キノフタロンエローなどのキノフタロン系有機顔料、イソインドリンエローなどのイソインドリン系有機顔料、その他の顔料として、フラバンスロンエロー、アシルアミドエロー、ニッケルアゾエロー、銅アゾメチンエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレット等が挙げられる。
【0026】
有機顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーで例示すると、C.I.ピグメントエロー12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、109、110、117、120、125、128、129、137、138、139、147、148、150、151、153、154、155、166、168、180、185、C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、C.I.ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、177、180、192、202、206、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64、C.I.ピグメントグリーン7、36、C.I.ピグメントブラウン23、25、26等が挙げられる。
【0027】
カーボンブラックの具体例としては、デグサ社製「Special Black350、250、100、550、5、4、4A、6」「PrintexU、V、140U、140V、95、90、85、80、75、55、45、40、P、60、L6、L、300、30、3、35、25、A、G」、キャボット社製「REGAL400R、660R、330R、250R」「MOGUL E、L」、三菱化学社製「MA7、8、11、77、100、100R、100S、220、230」「#2700、#2650、#2600、#200、#2350、#2300、#2200、#1000、#990、#980、#970、#960、#950、#900、#850、#750、#650、#52、#50、#47、#45、#45L、#44、#40、#33、#332、#30、#25、#20、#10、#5、CF9、#95、#260」等が挙げられる。
【0028】
酸化チタンの具体例としては、石原産業社製「タイペークCR-50、50-2、57、80、90、93、95、953、97、60、60-2、63、67、58、58-2、85」「タイペークR-820,830、930、550、630、680、670、580、780、780-2、850、855」「タイペークA-100、220」「タイペークW-10」「タイペークPF-740、744」「TTO-55(A)、55(B)、55(C)、55(D)、55(S)、55(N)、51(A)、51(C)」「TTO-S-1、2」「TTO-M-1、2」、テイカ社製「チタニックスJR-301、403、405、600A、605、600E、603、805、806、701、800、808」「チタニックスJA-1、C、3、4、5」、デュポン社製「タイピュアR-900、902、960、706、931」等が挙げられる。
【0029】
<水性ウレタン樹脂>
本発明の水性インキは、水性ウレタン樹脂を含む。水性ウレタン樹脂は、ポリオールとポリイソシアネートとを縮合反応させてなる、末端にヒドロキシ基を有するものが好ましい。またウレタン樹脂は、ポリオールとポリイソシアネートとの縮合反応物である末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、鎖延長剤との反応により得られる水性ウレタンウレア樹脂としてもよい。
【0030】
水性ウレタン樹脂の酸価は15~60mgKOH/gであり、好ましくは20~55mgKOH/gであり、より好ましくは25~50mgKOH/gであり、更に好ましくは25~45mgKOH/gである。上記範囲内であれば、酸性基が塩基で中和されることで、水への分散性及び溶解性が十分となり、インキの安定性が得られるとともに、顔料分散性及び印刷安定性にも優れる。なお、酸価は、酸をアルカリで滴定して算出した樹脂1g中の酸量を、水酸化カリウムのmg数に換算した値で、JISK0070に従って測定した値である。
【0031】
水性ウレタン樹脂の水酸基価は0.1~30mgKOH/gであることが好ましく、1~25mgKOH/gであることが好ましい。水性ウレタン樹脂の水への溶解性が良好となる結果、インキ安定性、更には積層体のラミネート強度が良好となるためである。なお、水酸基価は、樹脂中の水酸基をエステル化又はアセチル化し、残存する酸をアルカリで逆滴定して算出した樹脂1g中の水酸基量を、水酸化カリウムのmg数に換算した値で、JISK0070に従って測定した値である。
【0032】
水性ウレタン樹脂の質量平均分子量は、5,000~100,000であることが好ましく、10,000~80,000であることがより好ましく、20,000~70,000であることが更に好ましい。
【0033】
上記水性ウレタン樹脂の含有率は、インキ総質量中1~30質量%であることが好ましく、5~15質量%であることがなお好ましい。
【0034】
<ポリオール>
水性ウレタン樹脂は、ポリエーテルポリオール由来の構成単位及び/又はポリエステルポリオール由来の構成単位を含有することが好ましく、更にカルボキシル基を有するポリオール由来の構成単位を含むことも好ましい。
【0035】
(ポリエーテルポリオール)
ポリエーテルポリオールは、顔料分散性及びインキ安定性の観点から、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラメチレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。当該ポリエーテルポリオールは、単独又は2種以上を混合して用いることができ、なおこれらは共重合されたポリエーテルポリオールであってもよいし、単独のポリエーテルポリオールを併用した形態であってもよい。なお上記以外のポリエーテルポリオールを併用することも可能である。例えば、酸化メチレン、1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオールなどの重合体又は共重合体が挙げられる。
上記ポリエーテルポリオールは、インキのバイオマス度の観点からバイオマス由来であることが好ましい。
【0036】
ポリエーテルポリオールの含有率は、水性ウレタン樹脂の総質量中、5~80質量%であることが好ましく、10~70質量%であることがより好ましく、15~60質量%であることが更に好ましい。
上記範囲であると、インキの溶解性及び潤滑性に優れ、インキの印刷効果に優れるため好ましい。
【0037】
(ポリエステルポリオール)
ポリエステルポリオールとしては、例えば、二塩基酸とジオールの縮合物であることが好ましく、インキ安定性及び耐レトルト性の観点から、前記二塩基酸が、アジピン酸、コハク酸、アゼライン酸及びダイマー酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0038】
上記ジオールは、分岐状ジオールを含むことが好ましく、分岐状ジオール及び直鎖状ジオールの双方を含むことがなお好ましい。ここで、直鎖状ジオールとは、炭素原子数2以上であるジオールであり、アルキレングリコール、ジアルキレングリコール、トリアルキレングリコールその他のジオールをいう。また、分岐状ジオールとは、アルキレングリコールの炭化水素基の少なくとも1つの水素原子が水素原子以外で置換されたジオールをいう。
【0039】
上記分岐状ジオールとしては、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール(以下、BEPGとも記載する)と、2-メチル-1,3-プロパンジオール(以下、MPOとも記載する)、3-メチル-1,5-ペンタンジオール(MPDとも記載する)、ネオペンチルグリコール(NPGとも記載する)、1,2-プロピレングリコール(PGとも記載する)、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,3-ブタンジオール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。
上記分岐状ジオールはバイオマス度の観点からバイオマス由来であることも好ましい。
【0040】
直鎖状ジオールとしては、アルキレングリコールであることが好ましく、かかる化合物としては、エチレングリコール(EGとも記載する)、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール(1,3-PDとも記載する)、1,4-ブタンジオール(1,4―BDとも記載する)、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,4-ブチンジオール、1,4-ブチレンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等が挙げられる。
中でも炭素数8以下、好ましくは炭素数6以下の直鎖状ジオールが好ましく、EG、1,3-PD、1,4-BD、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオールであることがより好ましく、EG、1,3-PD、1,4-BDであることが特に好ましい。
上記直鎖状ジオールはバイオマス度の観点から、バイオマス由来であることが好ましい。
【0041】
ポリエステルポリオールに含まれるジオール中の分岐状ジオール及び直鎖状ジオールの質量比(分岐状ジオール:直鎖状ジオール)は、10:90~90:10であることが好ましく、20:80~80:20であることがなお好ましい。30:70~70:30であることが更に好ましい。
【0042】
なお、分岐状ジオールと直鎖状ジオールはそれぞれをひとつのポリエステルポリオール中に存在させてもよいし、分岐状ジオールのみを含むポリエステルポリオールと、直鎖状ジオールのみを含むポリエステルポリオールを混合物原料として利用し、水性ウレタン樹脂としてもよい。
【0043】
ポリエステルポリオールの含有率は、水性ウレタン樹脂の総質量中、5~80質量%であることが好ましく、10~70質量%であることがより好ましく、15~60質量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、インキの溶解性及び潤滑性に優れ、インキの印刷安定性に優れるため好ましい。
【0044】
(カルボキシル基を有するポリオール)
水性ウレタン樹脂を水媒体中に溶解又は分散させるためには、水性ウレタン樹脂が親水性である必要がある。上記で挙げたポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールも親水性を有するが、更に、カルボキシル基を有するポリオールを併用することが好ましい。当該カルボキシル基は、塩基性化合物で中和されていることが好ましい。
【0045】
カルボキシル基を有するポリオールとしては、例えば、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、2,2-ジメチロール酪酸、2,2-ジメチロールペンタン酸等のジメチロールアルカン酸、ジヒドロキシコハク酸、ジヒドロキシプロピオン酸、ジヒドロキシ安息香酸等が挙げられる。これらのカルボキシル基含有ポリオールは単独、又は複数で使用することができる。
中でも、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸であることが好ましい。
【0046】
カルボキシル基を有するポリオールを含む場合、カルボキシル基を有するポリオールの含有率は、水性ウレタン樹脂総質量中、1~50質量%であることが好ましく、2~30質量%であることがより好ましく、3~15質量%であることが更に好ましい。
上記範囲であると、インキ安定性、印刷効果、及び積層体のラミネート強度に優れるため好ましい。
【0047】
(その他ポリオール)
その他ポリオールとしては、ポリカーボネートポリオール等が好適に挙げられる。ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ポリオールとジアルキルカーボネート、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネート等のカーボネート化合物との反応により得られるものを挙げることができる。ポリカーボネートポリオールを構成するポリオールとしては、ポリエステルポリオールの構成成分として先に例示したポリオールを用いることができる。また、ジアルキルカーボネートとしてはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等を、アルキレンカーボネートとしてはエチレンカーボネート等を、ジアリールカーボネートとしてはジフェニルカーボネート等を挙げることができる。
【0048】
(ポリアミンによる鎖延長反応)
水性ウレタン樹脂の合成においては、必要に応じてポリアミンによる鎖延長反応をおこなってもよい。鎖延長反応は、イソシアネート基過剰のウレタンプレポリマーを合成した後、ジアミンその他のポリアミンを鎖延長剤として反応させる。この反応は、樹脂溶液の著しい増粘の観点から、樹脂を中和して水性化する際に行う事が好ましい。鎖延長により、水性ウレタン樹脂の更なる高分子量化が可能である。また、ウレア結合が導入される事で、水性ウレタン樹脂の更なる凝集力向上も期待できる。
【0049】
ポリアミンとしては、例えば、ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,4-テトラメチレンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミンヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジン及びその誘導体、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドなどのジアミン類;
ジエチレントリアミンなどのトリアミン類;
エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ビス(β-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-シクロヘキサンジオール、ビス(β-ヒドロキシエチル)テレフタレート、キシリレングリコールなどのジオール類;
トリメチロールプロパンなどのトリオール類;
ペンタエリスリトールなどのペンタオール類;
N-(β-アミノエチル)エタノールアミンなどのアミノアルコール類
等の公知の鎖延長剤を使用できる。
単官能のモノアミン又はモノオールを併用すれば、鎖延長の停止による分子量の制御も可能である。
【0050】
(ポリイソシアネート)
本発明におけるポリイソシアネートとしてはジイソシアネートが好ましく、かかる化合物としては、芳香族、脂肪族又は脂環族の各種公知のジイソシアネートを使用することができる。例えば、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4、4’-ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネートやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等が代表例として挙げられる。これらは単独又は2種以上を混合して用いることができる。中でもイソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましく、溶解性の観点からイソホロンジイソシアネートがさらに好ましい。
【0051】
<水性ウレタン樹脂の製造方法>
水性ウレタン樹脂の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法で製造される。例えば、特許第4900136号に記載されたように、有機溶剤を用いずにポリオールとポリイソシアネートとを重合させる方法等が挙げられる。より具体的には、例えば、ポリオ-ル及びポリイソシアネートを仕込んだ後、乾燥窒素で置換し、90℃~220℃で10分~5時間反応させる。その後、冷却しながら中和剤を加えることにより得られる。
【0052】
<ロジン系樹脂>
本発明の水性インキは、酸価が10~280mgKOH/gであるロジン系樹脂を含む。
【0053】
ロジン系樹脂としては、ロジン及び/又はロジン誘導体が挙げられ、ロジン誘導体が好ましい。
ロジンとしては、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン等が挙げられる。ロジンは、マツ科植物の樹液主要成分として得られる天然樹脂である。ロジンは、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラスリトリン酸、ピマール酸、イソピマール酸、サンダラコピマール酸、デヒドロアビエチン酸等の樹脂酸を主成分とする。
【0054】
ロジン誘導体は、前記ロジンを変性して得られる化合物であり、例えば、ロジンエステル、ロジン変性マレイン酸樹脂、水添ロジン、不均化ロジン、ロジン変性フェノール樹脂、重合ロジン、ロジン変性ポリオール、マレイン酸変性ロジンが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0055】
ロジン系樹脂の酸価は、10~280mgKOH/gであり、15~270mgKOH/gであることがより好ましく、20~260mgKOH/gであることが更に好ましく、25~250mgKOH/gであることが特に好ましい。
【0056】
また、ロジン系樹脂の軟化点は、インキ安定性及び印刷効果の観点から、10~180℃の範囲が好ましく、より好ましくは30℃~150℃、更に好ましくは50℃~120℃である。軟化点は、JIS K 5902に規定する環球法により測定される値である。
【0057】
ロジン系樹脂としては、顔料分散性、インキ安定性、印刷効果及び耐レトルト性の観点から、水溶性ロジン樹脂及び/又はエマルジョン型ロジン樹脂であることが好ましい。
【0058】
(水溶性ロジン樹脂)
水溶性ロジン樹脂とは、ロジン又はロジン誘導体に親水性基を導入することで、水媒体中に可溶化させたロジン又はロジン誘導体である。
水溶性ロジン樹脂は、具体的には、ハリマ化成社製、ハリマックT-80、AS-5、ハリエスターMSR-4、テスポール1150、1154、1158、荒川化学工業社製、マルキード31、32、33等を例示できる。水溶性ロジン樹脂は、塩基性化合物により中和されたものが好ましく、当該中和により水溶化される。塩基性化合物としては、例えば、アンモニアやアルキルアミンその他の有機アミン等を挙げられる。
【0059】
(エマルジョン型ロジン樹脂)
エマルジョン型ロジン樹脂とは、ロジン又はロジン誘導体を分散剤等により水媒体中に安定に分散させたロジン又はロジン誘導体である。
エマルジョン型ロジン樹脂としては、松脂等の非化石原料からなる、ロジンエステル等のロジン誘導体やロジンを、低分子乳化剤やアクリル系共重合体からなる高分子乳化剤その他の乳化剤の存在下で、微粒子状に水に分散させてなるものが好適に利用できる。具体的には、ハリマ化成社製 ハリエスターSK218NS、SK370N、SK385NS、SK501NS、LAWTER社製 Snowpack XW-2442、XW-2551、XW-2561、XW-2582、SE780G、100G、荒川化学社製 スーパーエステル NS-121、NS-100H、E-865NT等が例示できる。
【0060】
ロジン系樹脂の含有率は、水性インキの総質量を基準として、1~10質量%であることが好ましく、2~8質量%であることがより好ましい。
【0061】
水性インキに含まれる水性ウレタン樹脂とロジン系樹脂との質量比は、95:5~40:60が好ましく、90:10~50:50がなお好ましく、85:15~55:45が更に好ましい。
【0062】
<アセチレングリコール系界面活性剤>
本発明の水性インキは、アセチレングリコール系界面活性剤を含む。アセチレングリコール系界面活性剤は、アセチレン基由来の構造単位を含有する、非イオン性の界面活性剤である。アセチレングリコール系界面活性剤は、エチレンオキサイド付加されたアセチレングリコール系界面活性剤であることが好ましい。当該アセチレングリコール系界面活性剤と、水性ウレタン樹脂及び酸価が10~280mgKOH/gであるロジン系樹脂とを併用することにより、アセチレングリコール系界面活性剤が水性ウレタン樹脂及びロジン系樹脂の顔料吸着能及び再溶解性を向上させ、顔料分散性、インキ安定性及び印刷効果の向上に寄与する。
【0063】
アセチレングリコール系界面活性剤の含有率は、インキ総質量中、0.01~8質量%であることが好ましく、0.05~5質量%であることがより好ましく、0.1~3質量%であることが更に好ましく0.2~2質量%であることが特に好ましい。
【0064】
アセチレングリコール系界面活性剤の市販品を例示すると、サーフィノール61、104、420、440、465、485、SE、SE-F、ダイノール604、607、オルフィンE1004、E1010、E1020、PD-001、PD-002W、PD-004、PD-005、EXP.4001、EXP.4200、EXP.4123、EXP.4300(日信化学工業社製)等が挙げられる。上記の界面活性剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0065】
また、アセチレングリコール系界面活性剤のHLB(Hydrophile-Lipophile Balance)値は、1以上8以下であることが好ましい。より好ましくは1以上6以下であり、更に好ましくは1以上4以下である。なお上記HLB値は、グリフィン法により算出される値を指す。
【0066】
<添加剤>
水性インキに使用できる添加剤としては、硬化剤、ブロッキング防止剤、増粘剤、レオロジー調整剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、表面張力調整剤、中和剤、ポリオレフィン粒子等が好適に挙げられる。
【0067】
(中和剤)
水性インキ中の樹脂の再溶解性を向上させる目的で、各種中和剤を含有する事が好ましい。中和剤として使用する塩基性化合物としては、アンモニア;モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン、N-メチルモルホリン、2-アミノ-2-エチル-1-プロパノール等の有機アミン類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ類等が挙げられ、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、アンモニア、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミンが好ましい。
【0068】
(ポリオレフィン粒子)
本発明の水性インキは、インキ被膜の耐擦性を向上する目的及び水性インキの乾燥性を向上させる目的で、更にポリオレフィン粒子を含むことが好ましい。
【0069】
ポリオレフィン粒子の融点は、90~140℃であることが好ましく、95~135℃であることがより好ましく、95~125℃であることが更に好ましい。ポリオレフィン粒子の平均粒子径は0.5~10μmであることが好ましく、0.5~8μmであることがより好ましく、0.5~5μmであることが更に好ましい。なお、平均粒子径はコールターカウンター法による測定値である。上記粒子径及び融点のポリオレフィン粒子は、水性ウレタン樹脂及びロジン系樹脂となじんだ強いインキ被膜を形成し、耐水摩擦性の良化を促す。
【0070】
ポリオレフィン粒子の含有率は、水性インキ総質量中、固形分で0.5~5質量%であることが好ましい。0.5質量%以上で耐水摩擦性が向上し、5質量%以下で使用すると水性インキの経時安定性も良好となる。
【0071】
ポリオレフィン粒子としては、市販のポリオレフィン粒子を使用することができる。例えば、三井化学社製、ケミパールW100、W200、W300、W310、W306、W400、W401、W4005、W410、W500、WF640、W700、W800、W900、W950、WH201、WP100が挙げられる。
【0072】
(ヒドラジド系添加剤)
また、本発明の水性インキは、基材への密着性向上や、樹脂の常温架橋(ケト基含有の場合)等の目的で、ヒドラジド系添加剤を含有する事ができる。ヒドラジド系添加剤としては、例えば、アジピン酸ヒドラジドが挙げられる。
【0073】
<液状媒体>
水性インキには、液状媒体として水を含むことが好ましく、基材への濡れ性、インキの乾燥性を制御する目的で、更に親水性溶剤を含有することが好ましい。親水性溶剤の含有率は、インキのレベリング性、乾燥性の観点から、水性インキ100質量%中、1~10質量%であることが好ましく、2~5質量%であることがより好ましい。
【0074】
親水性溶剤としては、例えば、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-ブタノール、2-メチル-2-プロパノールなどの一価のアルコール溶剤;
エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ペンチレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等のグリコール系溶剤;
エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤;
N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、ε-カプロラクタム等のラクタム系溶剤;
ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、出光製エクアミドM-100、エクアミドB-100等のアミド系溶剤が挙げられる。
これらは1種類又は2種以上を併用して用いることができる。
【0075】
<水性インキの製造方法>
水性インキは、例えば特開2020-186344号公報に記載されたように、樹脂及び着色顔料などを、水及び規定量の溶剤に溶解及び/又は分散処理(顔料分散)をすることにより製造することができる。その後、得られた分散体に、必要に応じて添加剤、液状媒体等を配合することにより、水性インキを製造することができる。顔料分散に使用する分散機としては、一般に使用される、例えば、ローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミルなどを用いることができる。中でも、サンドミル、ガンマミルその他のビーズミルで分散することが好ましい。
【0076】
前記方法で製造された水性インキの粘度は、顔料の沈降を防ぎ、適度に分散させる観点から10mPa・s以上、インキ製造時や印刷時の作業性効率の観点から1000mPa・s以下の範囲であることが好ましい。尚、上記粘度はB型粘度計で25℃において測定された粘度である。当該粘度計はトキメック社製などのものが使用できる。
【0077】
<印刷物>
本実施形態における印刷物は、基材の表面に、上述の水性インキを用いて形成されるインキ層を有するものである。目的とする印刷物に応じて、グラビア印刷法又はフレキソ印刷法のどちらの版方式にも用いることができる。
【0078】
グラビア印刷法又はフレキソ印刷法は両者ともに印刷は巻き取り方式であり、高速印刷が可能であり、生産性に優れる。
【0079】
(グラビア印刷法)
グラビア印刷は、通常、円筒状のシリンダーの周面に絵柄及び/又は文字などを表現するセル(凹部)を設けたグラビア版を用い、このセルにインキが充填され、被印刷体(基材)をグラビア版と圧胴との間を圧接通過させることにより、前記セルに充填したインキを被印刷体に転移させて、被印刷体に絵柄及び/又は文字などを再現する印刷方式である。
【0080】
(フレキソ印刷法)
フレキソ印刷は、インキを溜める容器からインキを直接、又はインキ供給用ポンプ等を介して、表面に凹凸形状を有するアニロックスローラに供給し、このアニロックスローラに供給されたインキが、版面の凸部との接触により版面に転移し、さらに版面と基材との接触により最終的に基材に転移して、絵柄及び/又は文字が形成される。
【0081】
<基材>
基材は巻取方式であるため規定の幅に揃えられたロール状のものである。従って、1枚1枚が予め切り離されている枚葉紙とは異なる。基材の幅は、使用する印刷機の版幅、及びグラビア版の画像(絵柄)部分の幅を基準として適宜選択される。複数色のインキを重ねて印刷する場合、当該インキはそれらの印刷の順番について特に限定されない。
【0082】
(基材1)
基材1の種類及び厚み等は特に限定されないが、プラスチック基材であることが好ましい。印刷物に用いるプラスチック基材として、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリ乳酸等のポリエステル系樹脂;ナイロン6、ナイロン12等のポリアミド系樹脂;ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂などのポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどの含塩素系樹脂;エチレン-ビニルアルコール共重合物系樹脂;セロハン;紙;アルミニウム、ステンレス、鉄などの金属箔;もしくは、これらの複合材料からなるフィルム状又はシート状のものが利用できる。
中でもポリオレフィン系樹脂及び/又はポリエステル系樹脂であることが好ましい。
【0083】
上記基材1は、印刷される面(インキ層と接する面)が易接着処理されていることが好ましく、易接着処理とは、例えば、コロナ放電処理、紫外線/オゾン処理、プラズマ処理、酸素プラズマ処理、プライマー処理等が挙げられる。例えばコロナ放電処理では基材上に水酸基、カルボキシル基、カルボニル基等が発現する。これらの官能基は、インキ中の樹脂が水酸基等の官能基を有する場合に、それらと水素結合を形成することができる。
【0084】
<積層体>
本実施形態における積層体は、上記印刷物のインキ層上に、更にラミネート工程を経て得ることができる。インキ層上にアンカーコート又は接着剤等を塗布し、乾燥後、基材2と貼り合せることで得られる。当該基材2は上記の基材1と同一でもよいし、異なっていてもよく、熱可塑性(ヒートシール性)を有することが好ましい。たとえば、未延伸ポリオレフィン基材が挙げられる。
なお当該積層体において水性インキからなるインキ層は中間層(例えば、基材1/インキ層/接着剤層/基材2)として位置する。
【0085】
上記ラミネ-トの方法としては、ノンソルラミネート法、ドライラミネート法、押出しラミネート法などが好適である。中でもノンソルラミネート法によるラミネートが好ましい。
【0086】
(ノンソルラミネート法)
ノンソルラミネート法とは、無溶剤の接着剤を、得られた印刷物のインキ層上に塗布し、シーラント基材と圧着して積層する方法である。接着剤としてはポリオール/イソシアネートの2液型が主流であり、具体的には東洋モートン社製・EA-N373A/EA-N373Bなどが好適に挙げられる。
【0087】
(ドライラミネート法)
ドライラミネート法とは、接着剤を有機溶剤で適当な粘度に希釈して、得られた印刷物のインキ層上に塗布し、乾燥後、シーラント基材と圧着して積層する方法である。接着剤としてはポリオール/イソシアネートの2液型が主流であり、具体的には東洋モートン社製・TM-250HV/CAT-RT86L-60、TM-550/CAT-RT37、TM-314/CAT-14B等が挙げられる。
【0088】
(押出しラミネート法)
押出しラミネート法とは、得られた印刷物のインキ層側に、熱可塑性樹脂を溶融して、Tダイと呼ばれるスリット状のダイからフィルム状に押し出したものを、基材に積層する方法である。印刷物のインキ層側には、予めアンカーコート剤を塗布してから、ラミネートすることが多い。また、溶融樹脂を印刷物のインキ層上に押し出し、別の巻出し機からシーラント基材を貼り合わせることもできる。アンカーコート剤としてはイミン系、ブタジエン系、
イソシアネート系のアンカーコート剤が使用できる。具体的には、東洋モートン社製・EL-420(イミン系)、EL-452(ブタジエン系)、EL-530A/B(イソシアネート系)、EL-540/CAT-RT32(イソシアネート系)等が好適に挙げられる。溶融樹脂としては低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体等が使用できる。具体的には、日本ポリエチレン社製ノバテックLD LC600A(低密度ポリエチレン)等が好適に挙げられる。
【実施例0089】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例における「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を表す。
【0090】
<質量平均分子量、数平均分子量>
質量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定を行い、ポリスチレンを標準物質に用いた換算分子量として求めた。測定条件を以下に示す。
GPC装置:昭和電工社製 Shodex GPC-104
カラム:下記カラムを直列に連結して使用した。
昭和電工社製 Shodex LF-404 2本
昭和電工社製 Shodex LF-G
検出器:RI(示差屈折計)
測定条件:カラム温度40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.3mL/分
【0091】
<酸価>
JISK0070に記載の方法に従って求めた。
【0092】
[合成例1-1](ポリエステルポリオールA1の合成)
攪拌機、温度計、分水器及び窒素ガス導入管を備えた丸底フラスコに、ネオペンチルグリコール(NPG)25部、1,3-プロパンジオール(1,3-PD)20部、アジピン酸55部、テトラブチルチタネート0.002部を仕込み、窒素気流下に230℃で縮合により生じる水を除去しながらエステル化を8時間行った。ポリエステルの酸価が15以下になったことを確認後、真空ポンプにより徐々に真空度を上げ反応を終了した。これにより数平均分子量2000、酸価0.3mgKOH/gのポリエステルポリオ-ル(A1)を得た。
【0093】
[合成例1-2~1-8](ポリエステルポリオールA2~A8の合成)
表1に記載の原料及び仕込み比率を用いた以外は、合成例1-1と同様の方法で、ポリエステルポリオールA2~A8を得た。なお、表中に記載する原料の略称を以下に表す。
Bio-コハク酸:コハク酸(バイオマス由来 バイオマス度100%)
NPG:ネオペンチルグリコール
1,3-PD:1,3-プロパンジオール
Bio-NPG:ネオペンチルグリコール(バイオマス由来 バイオマス度100%)
【0094】
【0095】
[合成例2-1](水性ウレタン樹脂PU01の合成)
還流冷却管、滴下漏斗、ガス導入管、撹拌装置、及び温度計を備えた反応器中で窒素ガスを導入しながら、ポリエステルポリオ-ル(A1)を275.0部、2,2-ジメチロールブタン酸(DMBA)35.0部、及びメチルエチルケトン(MEK)250部を混合、撹拌しながらイソホロンジイソシアネート(IPDI)72.0部を1時間かけて滴下し、80℃で4時間反応させて末端イソシアネートプレポリマーとし、末端イソシアネートプレポリマー溶液を得た。得られた末端イソシアネートプレポリマーに対し、2-アミノエチルエタノールアミン(AEA)3.0部及びイソプロパノール(IPA)150部を混合したものを室温で徐々に添加して、40℃で2時間反応させ、溶剤型ポリウレタン樹脂溶液を得た。次に、28%アンモニア水15.0部及びイオン交換水800.0部を上記溶剤型ポリウレタン樹脂溶液に徐々に添加して中和することにより水溶化し、さらに消泡剤0.5部を添加してMEK及びIPAを減圧留去した後、水を加えて固形分調整を行い、固形分30%の水性ウレタン樹脂PU01溶液を得た。水性ウレタン樹脂PU01の酸価及び質量平均分子量の値は表2に記載した。
【0096】
[合成例2-2~2-14](ポリウレタン樹脂PU02~P14の合成)
表2に記載の原料及びの仕込み比率を用いた以外は、合成例2-1と同様の操作で、水性ウレタン樹脂PU02~PU14を得た。
なお、表中に記載の略称は以下を表す。
PTMG:ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量2000)
PEG:ポリエチレングリコール(数平均分子量2000)
PPG:ポリプロピレングリコール(数平均分子量2000)
PPD:ポリトリメチレングリコール(数平均分子量2000)
Bio-PTMG:ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量2000,バイオマス由来 バイオマス度100%)
C-2090:クラレ製MPD/HD/PC系ポリカーボネートポリオール(数平均分子量2000)
【0097】
【0098】
(実施例1)水性インキ(INK1)の製造及び印刷物の作成(グラビア印刷)
顔料[トーヨーカラー社製 藍顔料 C.I.ピグメントブルー15:3]30.0部、合成例1の水性ウレタン樹脂(PU01)35.0部、ロジン系樹脂-1(ロジン樹脂エマルジョン 軟化点100℃、水酸基価0mgKOH/g、酸価120mgKOH/g、固形分50質量%)8.0部、イオン交換水19.0部、アセチレングリコール系界面活性剤[サーフィノール420 日信化学工業社製]0.4部、アジピン酸ヒドラジド0.3部、イソプロパノール2.0部を加え、撹拌機で10分撹拌したのち、ビーズミル分散機であるアイガーミル(アイガー社製 ビーズミル)を使用して10分間で分散処理し、顔料分散液を得た。前記顔料分散液に、三井化学社製ケミパールW500(固形分40.0%)3.0部、28質量%アンモニア水2.0部を加えた後、混練して目的の水性インキ(INK1)を得た。
【0099】
上記で得られたインキINK1を、水/n-プロパノール混合溶剤(質量比1/1)の混合溶剤を用いて、ザーンカップ#3(離合社製)で16秒になるように調整し、岩瀬印刷機械社製のグラビア印刷機を用い、基材1(ポリエチレンテレフタレート基材(PET) E5100 膜厚12μm)に速度50m/分にて2000m印刷を行い、印刷物を得た。版は、腐食250線版深15μmベタ版を用いた。
【0100】
(実施例2~25及び比較例1~6)水性インキ(INK2~31)の製造及び印刷物の作成
表3及び表4に示す各原料及び比率を用いた以外は上記実施例1と同様の方法でアイガーミル(アイガー社製 ビーズミル)を使用して10分間で分散処理し、実施例2~25及び比較例1~6のインキINK2~31を作製、グラビア印刷機で印刷を行い印刷物を得た。
【0101】
(実施例26)(フレキソ印刷)
上記水性インキ(INK1)を、フレキソ版(感光性樹脂版 KODAK社製 FLEXCEL NXHデジタルフレキソプレート 版厚1.14mm 版線数150lpi)及びアニロックスロール(900lpi 3cc/m2)を具備したフレキソ印刷機(MIRAFLEX CM)にて、基材1(ポリエチレンテレフタレート基材(PET) E5100 膜厚12μm)上に、速度300m/分にて2000m印刷を行い、印刷物を得た。
【0102】
(実施例1~26及び比較例1~6)積層体を用いた包装袋の作成
上記で得られた印刷物のインキ層上に、ウレタン系接着剤として東洋モートン社製TM250-HVを、2g/m2で塗布し、アルミ箔基材(東洋アルミ社製 膜厚7μm)と貼りあわせ、更に続いてZK-207(東レ社製 未延伸ポリプロピレン(CPP)基材 膜厚60μm)と貼りあわせて積層体を得た。この積層体をCPP面同士の縁を190℃にて熱融着することで製袋し、包装袋を得た。なお、内容物は水とした。本包装袋を用いて耐レトルト性試験を行った。
なお、表中に記載の略称は以下を表す。
ロジン系樹脂-1:エマルジョン型ロジン樹脂 軟化点100℃、水酸基価0mgKOH/g、酸価120mgKOH/g、固形分50質量%
ロジン系樹脂-2:ロジン変性マレイン樹脂アンモニウム塩(水溶性ロジン樹脂) 軟化点100℃、水酸基価0mgKOH/g 酸価140mgKOH/g、固形分30質量%
ロジン系樹脂-3:エマルジョン型ロジン樹脂 軟化点100℃、水酸基価0mgKOH/g 酸価10mgKOH/g、固形分50質量%
ロジン系樹脂-4:エマルジョン型ロジン樹脂 軟化点100℃、水酸基価0mgKOH/g 酸価260mgKOH/g、固形分50質量%
ロジン系樹脂-5:マレイン酸ロジン(水溶性ロジン樹脂及びエマルジョン型ロジン樹脂ではない) 軟化点145℃、水酸基価0mgKOH/g 酸価20mgKOH/g、固形分50質量%
ロジン系樹脂-6:エマルジョン型ロジン樹脂 軟化点100℃、水酸基価0mgKOH/g 酸価5mgKOH/g、固形分50質量%
ロジン系樹脂-7:エマルジョン型ロジン樹脂 軟化点100℃、水酸基価0mgKOH/g 酸価300mgKOH/g、固形分50質量%
タイペークCR80:石原産業社製 酸化チタン
サーフィノール420:日信化学工業社製 アセチレングリコール系界面活性剤 HLB値 4 固形分100質量%
サーフィノールSE-F:日信化学工業社製 アセチレングリコール系界面活性剤 HLB値 6 固形分81質量%
サーフィノール485:日信化学工業社製 アセチレングリコール系界面活性剤 HLB値 17 固形分100質量%
BYK333:ビックケミー社製 シリコン系界面活性剤
【0103】
上記実施例1~26及び比較例1~6の水性インキを使用した印刷物及び積層体を用いた包装袋を用いて、顔料分散性、インキ安定性、印刷効果、及び耐レトルト性について以下に記載する方法で評価を行った。
【0104】
[顔料分散性]
上記で得られた水性インキについて、日機装社製 マイクロトラックMT-3000(レーザー回折型粒度分布測定装置)により、粒度分布を測定した。サンプル溶液はサンプルローディングにより、DV値(検出器で受光した試料からの散乱光量積算値を使用した濃度指標)が適性範囲内になるように希釈して測定した。評価基準は以下の通りである。
[藍顔料を含む水性インキの場合]
A:メディアン径d50が300nm未満である。(優良)
B:メディアン径d50が300nm以上500nm未満である(使用可)
C:メディアン径d50が500nm以上1000nm未満である
D:メディアン径d50が1000nm以上である(不良)
d50が小さいほど顔料分散性に優れており、実用レベルの評価はA~Cである。
[白顔料を含む水性インキの場合]
A:メディアン径d50が500nm未満である(優良)
B:メディアン径d50が500nm以上1000nm未満である(良好)
C:メディアン径d50が1000nm以上1500nm未満である(使用可)
D:メディアン径d50が1500nm以上である(不良)
【0105】
[インキ安定性]
上記で得られた水性インキについて、インキを100ml瓶に入れて蓋をし、40℃で5日間静置した。その後25℃にてインキ作成当初の粘度と静置後の粘度とを比較し、増粘した度合いをザーンカップ#4流出時間の差にて評価した。評価基準は以下の通りである。
A:インキの粘度変化が、ザーンカップ#4で2秒未満(優良)
B:インキの粘度変化が、ザーンカップ#4で2秒以上4秒未満(良好)
C:インキの粘度変化が、ザーンカップ#4で4秒以上8秒未満(使用可)
D:インキの粘度変化が、ザーンカップ#4で8秒以上(不良)
なお、実用レベルの評価はA~Cである。
【0106】
[印刷効果](レベリング性)
上記で得られた印刷物について、レベリング性の評価を行った。評価基準は以下の通りである。
A:網点100%部に蛍光灯に透かしてもムラがない(優良)
B:網点100%部に蛍光灯に透かして目視できるムラがある(良好)
C:網点90%部まで抜けが有りベタ形成が不十分で、網点100%部はベタ形成している(使用可)
D:網点100%部で抜けが有りベタ形成が不十分である(不良)
なお、実用レベルの評価はA~Cである。
【0107】
[耐レトルト性]
上記実施例及び比較例で得られた積層体を用いた包装袋について、120℃、80分のレトルト試験を行い、レトルト直後のラミネート強度をレトルト試験前のラミネート強度を比較した。ラミネート強度については、積層体を巾15mmで裁断し、インキ層と基材2の層間で剥離させた後、剥離強度をインテスコ製201万能引張り試験機にてラミネート強度を評価した。評価基準は以下の通りである。
A:レトルト前後で剥離強度低下が全くみられず、レトルト後の剥離強度が2.0N/15mm以上のもの(優良)
B:レトルト前後で1.0N/15mm未満の剥離強度低下がみられ、レトルト後の剥離強度が2.0N/15mm以上のもの(良好)
C:レトルト前後で1.0N/15mm以上の剥離強度低下がみられ、レトルト後の剥離強度が1.0N/15mm以上2.0N/15mm未満のもの(使用可)
D:レトルト前後で1.0N/15mm以上の剥離強度低下がみられ、レトルト後の剥離強度が1.0N/15mm未満のもの(不良)
なお、実用レベルの評価はA~Cである。
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
<評価結果>
表3に示される通り、実施例では顔料分散性、インキ安定性、印刷効果及び耐レトルト性全てが実用レベルである水性インキが得られた。一方、表4に示される通り、比較例の水性インキは、顔料分散性、インキ安定性、印刷効果及び耐レトルト性のうちのいずれか一つ以上において実用レベルに満たないものであった。