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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063821
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】表示システム
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20240101AFI20240507BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20240507BHJP
   G01C 21/36 20060101ALI20240507BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20240507BHJP
   G09G 5/373 20060101ALI20240507BHJP
   G09G 5/38 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
B60K35/00 Z
B60R11/02 C
G01C21/36
G09G5/00 510A
G09G5/00 550C
G09G5/373
G09G5/38 100
G09G5/373 100
G09G5/373 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171925
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】家田 純一
【テーマコード(参考)】
2F129
3D020
3D344
5C182
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB20
2F129BB22
2F129BB26
2F129EE02
2F129EE52
2F129GG17
2F129HH02
2F129HH12
3D020BA04
3D020BA20
3D020BB01
3D020BC02
3D020BD09
3D020BE03
3D344AA21
3D344AA27
3D344AA30
3D344AB01
3D344AC30
3D344AD01
3D344AD13
5C182AA03
5C182AB15
5C182AB25
5C182AC03
5C182AC43
5C182BA06
5C182BA14
5C182BA29
5C182CB12
5C182CB13
5C182CB14
5C182CB42
(57)【要約】
【課題】移動体において乗員が表示画像を見る際に酔いが生じることを抑制する。
【解決手段】移動体に搭載されて用いられる表示システムは、表示部を有する表示装置と、制御装置であって、移動体の予測動作と現実動作とのうちの少なくとも一方を示す動作情報を取得する動作情報取得部と、表示画像の大きさと表示位置とのうちの少なくとも一方と、表示部の位置と、のうちの少なくとも一方を、動作情報が示す移動体の動作に応じて調整することにより、移動体の乗員から見た表示画像の大きさと位置とのうちの少なくとも一方を調整する表示調整部と、を有する制御装置と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載されて用いられる表示システムであって、
画像を表示可能な表示部を有する表示装置と、
前記表示装置を制御する制御装置であって、
前記移動体の予測動作と、前記移動体の実際の動作である現実動作と、のうちの少なくとも一方を示す動作情報を取得する動作情報取得部と、
前記表示部に表示される表示画像の大きさと前記表示部における前記表示画像の表示位置とのうちの少なくとも一方と、前記表示部の位置と、のうちの少なくとも一方を、前記動作情報が示す前記移動体の動作に応じて調整することにより、前記移動体の乗員から見た前記表示画像の大きさと位置とのうちの少なくとも一方を調整する表示調整部と、を有する制御装置と、
を備える表示システム。
【請求項2】
請求項1に記載の表示システムにおいて、
前記表示装置に接続され、前記移動体内における前記表示装置の位置を調整する位置調整装置を、さらに備え、
前記表示調整部は、前記位置調整装置を制御して前記移動体内における前記表示装置の位置を調整することにより、前記表示部の位置を変位させて、前記乗員から見た前記表示画像の大きさと位置とのうちの少なくとも一方を調整する、表示システム。
【請求項3】
請求項1に記載の表示システムにおいて、
前記移動体は、設定された経路情報を有するナビゲーション装置と、前記移動体の現在の動作状態を検出する状態センサと、前記移動体の周囲を撮像する撮像装置と、のうちの少なくとも一つを有し、
前記制御装置は、前記ナビゲーション装置から取得する経路情報と、前記状態センサが検出する前記動作状態と、前記撮像装置により得られる撮像画像と、のうちの少なくとも一つから前記予測動作を特定する動作予測部を、さらに有し、
前記動作情報取得部は、前記動作予測部により特定された前記予測動作を示す情報を、前記動作情報として取得する、表示システム。
【請求項4】
請求項1に記載の表示システムにおいて、
前記移動体は、前記移動体の現在の動作状態を検出する状態センサを有し、
前記動作情報取得部は、前記状態センサにより検出される前記動作状態を示す情報を、前記現実動作を示す前記動作情報として取得する、表示システム。
【請求項5】
請求項1に記載の表示システムにおいて、
前記表示部は、前記移動体において、前記乗員から見て前記移動体の進行方向に配置されて用いられ、
前記表示調整部は、
(a1)前記動作情報が示す前記移動体の動作が加速である場合に、前記表示画像を拡大することと、
(b1)前記動作情報が示す前記移動体の動作が減速である場合に、前記表示画像を縮小することと、
(c1)前記動作情報が示す前記移動体の動作が右に曲がる場合に、前記表示位置を左に移動させることと、
(d1)前記動作情報が示す前記移動体の動作が左に曲がる場合に、前記表示位置を右に移動させることと、
(e1)前記動作情報が示す前記移動体の動作が前傾する場合に、前記表示位置を下に移動させることと、
(f1)前記動作情報が示す前記移動体の動作が後傾する場合に、前記表示位置を上に移動させることと、
のうちの少なくとも1つを、前記動作情報が示す前記移動体の動作に応じて調整する、表示システム。
【請求項6】
請求項5に記載の表示システムにおいて、
前記表示調整部は、
(a2)前記移動体の加速度の大きさに応じて前記表示画像の拡大率を調整することと、
(b2)前記移動体の減速度の大きさに応じて前記表示画像の縮小率を調整することと、
(c2)前記移動体の右に曲がる際の移動速度に応じて前記表示位置の左への移動速度を調整することと、
(d2)前記移動体の左に曲がる際の移動速度に応じて前記表示位置の右への移動速度を調整することと、
(e2)前記移動体の前傾の角度に応じて前記表示位置の下への移動量を調整することと、
(f2)前記移動体の後傾の角度に応じて前記表示位置の上への移動量を調整することと、
のうちの少なくとも1つを実行する、表示システム。
【請求項7】
請求項1に記載の表示システムにおいて、
前記表示部は、前記移動体において、前記乗員から見て前記移動体の進行方向に配置されて用いられ、
前記表示調整部は、
(a3)前記動作情報が示す前記移動体の動作が加速である場合に、前記表示部を前記移動体の進行方向と平行な方向に沿って前記乗員に近づけることと、
(b3)前記動作情報が示す前記移動体の動作が減速である場合に、前記表示部を前記移動体の進行方向と平行な方向に沿って前記乗員から遠ざけることと、
(c3)前記動作情報が示す前記移動体の動作が右に曲がる場合に、前記表示部を左に移動させることと、
(d3)前記動作情報が示す前記移動体の動作が左に曲がる場合に、前記表示部を右に移動させることと、
(e3)前記動作情報が示す前記移動体の動作が前傾する場合に、前記表示部を下に移動させることと、
(f3)前記動作情報が示す前記移動体の動作が後傾する場合に、前記表示部を上に移動させることと、
のうちの少なくとも1つを、前記動作情報が示す前記移動体の動作に応じて調整する、表示システム。
【請求項8】
請求項7に記載の表示システムにおいて、
前記表示調整部は、
(a4)前記移動体の加速度の大きさに応じて前記表示部の近づき速度を調整することと、
(b4)前記移動体の減速度の大きさに応じて前記表示画像の遠ざかり速度を調整することと、
(c4)前記移動体の右に曲がる際の移動速度に応じて前記表示部の左への移動速度を調整することと、
(d4)前記移動体の左に曲がる際の移動速度に応じて前記表示部の右への移動速度を調整することと、
(e4)前記移動体の前傾の角度に応じて前記表示部の下への移動量を調整することと、
(f4)前記移動体の後傾の角度に応じて前記表示部の上への移動量を調整することと、
のうちの少なくとも1つを実行する、表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体に搭載されて用いられる表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両や船等の移動体において、乗員が表示装置に表示された画像を見ていると酔う場合がある。このようないわゆる乗り物酔いは、例えば、車両の加減速や曲がる際の体感と、画像を見ているときに視覚から得られる情報とが一致しないこと等により発生する。このような移動体における画像を見る場合に生じる「酔い」の発生を防止するための技術が提案されている。特許文献1には、フロントガラスや液晶ディスプレイに、表示画像とは別に、酔い防止情報として、円形や四角形といった所定形状の図形を多数表示させ、かかる酔い防止情報を車両の動きに合わせて移動させて表示させることにより、乗員の体感と視覚から得られる情報とを一致させるようにする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-86552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の酔い防止システムでは、表示画像とは別に、酔い防止情報である円形等の図形が多数表示されるので、乗員にとって表示画像を見る際に煩わしい。特に自動運転可能な車両においては、液晶ディスプレイ等の表示装置において動画像を表示させて乗員がこれを視聴することが想定され、かかる動画像視聴の際には、酔い防止情報の存在が非常に煩わしくなる。また、自動運転中において乗員は液晶ディスプレイで動画像を視聴している、或いは、読書をしていることが想定され、このような場合には、フロントガラスに酔い防止情報を表示させても「酔い防止」の効果を得ることができない。このように、移動体における酔い防止については、なお一層の改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば、移動体に搭載されて用いられる表示システムが提供される。この表示システムは、画像を表示可能な表示部を有する表示装置と、前記表示装置を制御する制御装置であって、前記移動体の予測動作と、前記移動体の実際の動作である現実動作と、のうちの少なくとも一方を示す動作情報を取得する動作情報取得部と、前記表示部に表示される表示画像の大きさと前記表示部における前記表示画像の表示位置とのうちの少なくとも一方と、前記表示部の位置と、のうちの少なくとも一方を、前記動作情報が示す前記移動体の動作に応じて調整することにより、前記移動体の乗員から見た前記表示画像の大きさと位置とのうちの少なくとも一方を調整する表示調整部と、を有する制御装置と、を備える表示システム。
この形態の表示システムによれば、表示調整部は、表示部に表示される表示画像の大きさと表示部における表示画像の表示位置とのうちの少なくとも一方と、表示部の位置と、のうちの少なくとも一方を、動作情報が示す移動体の動作に応じて調整することにより、移動体の乗員から見た表示画像の大きさと位置とのうちの少なくとも一方を調整するので、移動体の動作の体感と、表示画像を見る際に視覚から得られる情報とを一致させることが可能となる。このため、移動体において乗員が表示画像を見る際に酔いが生じることを抑制できる。また、表示部に表示画像の他に酔い防止のための図形などを表示しないので、乗員の煩わしさを抑制できる。
(2)上記形態の表示システムにおいて、前記表示装置に接続され、前記移動体内における前記表示装置の位置を調整する位置調整装置を、さらに備え、前記表示調整部は、前記位置調整装置を制御して前記移動体内における前記表示装置の位置を調整することにより、前記表示部の位置を変位させて、前記乗員から見た前記表示画像の大きさと位置とのうちの少なくとも一方を調整してもよい。
この形態の表示システムによれば、表示調整部は、位置調整装置を制御して移動体内における表示装置の位置を調整することにより、表示部の位置を変位させて、乗員から見た表示画像の大きさと位置とのうちの少なくとも一方を調整するので、乗員から見た表示画像の大きさと位置とのうちの少なくとも一方を確実に調整できる。
(3)上記形態の表示システムにおいて、前記移動体は、設定された経路情報を有するナビゲーション装置と、前記移動体の現在の動作状態を検出する状態センサと、前記移動体の周囲を撮像する撮像装置と、のうちの少なくとも一つを有し、前記制御装置は、前記ナビゲーション装置から取得する経路情報と、前記状態センサが検出する前記動作状態と、前記撮像装置により得られる撮像画像と、のうちの少なくとも一つから前記予測動作を特定する動作予測部を、さらに有し、前記動作情報取得部は、前記動作予測部により特定された前記予測動作を示す情報を前記動作情報として取得してもよい。
この形態の表示システムによれば、制御装置は、ナビゲーション装置から取得する経路情報と、状態センサが検出する動作状態と、撮像装置により得られる撮像画像と、のうちの少なくとも一つから予測動作を特定する動作予測部を、さらに有し、動作情報取得部は、動作予測部により特定された予測動作を示す情報を、動作情報として取得するので、予測動作として精度の高い動作を予測でき、また、かかる精度の高い予測動作を動作情報として用いるので、酔いの発生をより確実に抑制できる。
(4)上記形態の表示システムにおいて、前記移動体は、前記移動体の現在の動作状態を検出する状態センサを有し、前記動作情報取得部は、前記状態センサにより検出される前記動作状態を示す情報を、前記現実動作を示す前記動作情報として取得してもよい。
この形態の表示システムによれば、動作情報取得部は、移動体が有する状態センサにより検出される動作状態を示す情報を、現実動作を示す動作情報として取得するので、現実動作として精度の高い動作を特定でき、また、かかる精度の高い動作状態を示す情報を動作情報として用いるので、酔いの発生をより確実に抑制できる。
(5)上記形態の表示システムにおいて、前記表示部は、前記移動体において、前記乗員から見て前記移動体の進行方向に配置されて用いられ、前記表示調整部は、(a1)前記動作情報が示す前記移動体の動作が加速である場合に、前記表示画像を拡大することと、(b1)前記動作情報が示す前記移動体の動作が減速である場合に、前記表示画像を縮小することと、(c1)前記動作情報が示す前記移動体の動作が右に曲がる場合に、前記表示位置を左に移動させることと、(d1)前記動作情報が示す前記移動体の動作が左に曲がる場合に、前記表示位置を右に移動させることと、(e1)前記動作情報が示す前記移動体の動作が前傾する場合に、前記表示位置を下に移動させることと、(f1)前記動作情報が示す前記移動体の動作が後傾する場合に、前記表示位置を上に移動させることと、のうちの少なくとも1つを、前記動作情報が示す前記移動体の動作に応じて調整してもよい。
この形態の表示システムによれば、移動体の動作が加速である場合に表示画像を拡大することと、移動体の動作が減速である場合に表示画像を縮小することと、移動体の動作が右に曲がる場合に表示位置を左に移動させることと、移動体の動作が左に曲がる場合に表示位置を右に移動させることと、移動体の動作が前傾する場合に表示位置を下に移動させることと、移動体の動作が後傾する場合に表示位置を上に移動させることと、のうちの少なくとも1つを、動作情報が示す移動体の動作に応じて調整するので、移動体の動作の体感と、表示画像を見る際に視覚から得られる情報とを、より一層一致させることができる。
(6)上記形態の表示システムにおいて、前記表示調整部は、(a2)前記移動体の加速度の大きさに応じて前記表示画像の拡大率を調整することと、(b2)前記移動体の減速度の大きさに応じて前記表示画像の縮小率を調整することと、(c2)前記移動体の右に曲がる際の移動速度に応じて前記表示位置の左への移動速度を調整することと、(d2)前記移動体の左に曲がる際の移動速度に応じて前記表示位置の右への移動速度を調整することと、(e2)前記移動体の前傾の角度に応じて前記表示位置の下への移動量を調整することと、(f2)前記移動体の後傾の角度に応じて前記表示位置の上への移動量を調整することと、のうちの少なくとも1つを実行してもよい。
この形態の表示システムによれば、移動体の加速度の大きさに応じて表示画像の拡大率を調整することと、移動体の減速度の大きさに応じて表示画像の縮小率を調整することと、移動体の右に曲がる際の移動速度に応じて表示位置の左への移動速度を調整することと、移動体の左に曲がる際の移動速度に応じて表示位置の右への移動速度を調整することと、移動体の前傾の角度に応じて表示位置の下への移動量を調整することと、移動体の後傾の角度に応じて表示位置の上への移動量を調整することと、のうちの少なくとも1つを実行するので、移動体の動作の体感と、表示画像を見る際に視覚から得られる情報とを、より一層一致させることができる。
(7)上記形態の表示システムにおいて、前記表示部は、前記移動体において、前記乗員から見て前記移動体の進行方向に配置されて用いられ、前記表示調整部は、(a3)前記動作情報が示す前記移動体の動作が加速である場合に、前記表示部を前記移動体の進行方向と平行な方向に沿って前記乗員に近づけることと、(b3)前記動作情報が示す前記移動体の動作が減速である場合に、前記表示部を前記移動体の進行方向と平行な方向に沿って前記乗員から遠ざけることと、(c3)前記動作情報が示す前記移動体の動作が右に曲がる場合に、前記表示部を左に移動させることと、(d3)前記動作情報が示す前記移動体の動作が左に曲がる場合に、前記表示部を右に移動させることと、(e3)前記動作情報が示す前記移動体の動作が前傾する場合に、前記表示部を下に移動させることと、(f3)前記動作情報が示す前記移動体の動作が後傾する場合に、前記表示部を上に移動させることと、のうちの少なくとも1つを、前記動作情報が示す前記移動体の動作に応じて調整してもよい。
この形態の表示システムによれば、移動体の動作が加速である場合に表示部を移動体の進行方向と平行な方向に沿って乗員に近づけることと、移動体の動作が減速である場合に表示部を移動体の進行方向と平行な方向に沿って乗員から遠ざけることと、移動体の動作が右に曲がる場合に表示部を左に移動させることと、移動体の動作が左に曲がる場合に、表示部を右に移動させることと、移動体の動作が前傾する場合に表示部を下に移動させることと、移動体の動作が後傾する場合に表示部を上に移動させることと、のうちの少なくとも1つを、動作情報が示す移動体の動作に応じて調整するので、移動体の動作の体感と、表示画像を見る際に視覚から得られる情報とを、より一層一致させることができる。
(8)上記形態の表示システムにおいて、前記表示調整部は、(a4)前記移動体の加速度の大きさに応じて前記表示部の近づき速度を調整することと、(b4)前記移動体の減速度の大きさに応じて前記表示画像の遠ざかり速度を調整することと、(c4)前記移動体の右に曲がる際の移動速度に応じて前記表示部の左への移動速度を調整することと、(d4)前記移動体の左に曲がる際の移動速度に応じて前記表示部の右への移動速度を調整することと、(e4)前記移動体の前傾の角度に応じて前記表示部の下への移動量を調整することと、(f4)前記移動体の後傾の角度に応じて前記表示部の上への移動量を調整することと、のうちの少なくとも1つを実行してもよい。
この形態の表示システムによれば、移動体の加速度の大きさに応じて表示部の近づき速度を調整することと、移動体の減速度の大きさに応じて表示部の遠ざかり速度を調整することと、移動体の右に曲がる際の移動速度に応じて表示部の左への移動速度を調整することと、移動体の左に曲がる際の移動速度に応じて表示部の右への移動速度を調整することと、移動体の前傾の角度に応じて表示部の下への移動量を調整することと、移動体の後傾の角度に応じて表示部の上への移動量を調整することと、のうちの少なくとも1つを実行するので、移動体の動作の体感と表示画像を見る際に視覚から得られる情報とを、より一層一致させることができる。
本開示は、種々の形態で実現することも可能である。例えば、表示システムを搭載した車両、表示部の位置調整装置、表示調整方法、これらのシステム、装置、および方法を実現するためのコンピュータプログラム、かかるコンピュータプログラムを記憶した記憶媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一実施形態としての表示システムの構成を示すブロック図である。
図2】表示システムの車両への具体的な適用例を示す説明図である。
図3】表示システムの車両への具体的な適用例を示す説明図である。
図4】第1実施形態における表示調整処理の手順を示すフローチャートである。
図5】本実施形態における表示調整処理を実行した際の表示画像の変化を模式的に示す説明図である。
図6】第2実施形態における表示調整処理の手順を示すフローチャートである。
図7】第2実施形態における表示調整処理の手順を示すフローチャートである。
図8】第3実施形態における表示調整処理の手順を示すフローチャートである。
図9】第3実施形態における表示調整処理を実行した際の表示装置および表示画像の変化を模式的に示す説明図である。
図10】第4実施形態における表示調整処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
A1.システム構成:
図1は、本開示の一実施形態としての表示システム100の構成を示すブロック図である。本実施形態において、表示システム100は、車両VLに搭載されて用いられる。本実施形態において、車両VLは、手動運転の他自動運転も可能である。自動運転とは、操舵やアクセルやブレーキなどの運転機能のうちの少なくとも一部を自動化した運転を意味する。なお、車両VLは、手動運転のみ或いは自動運転のみを実行可能であってもよい。また、表示システム100は、車両VLに限らず、船舶や飛行体など、任意の種類の移動体に搭載されて用いられても良い。
【0009】
車両VLには、表示システム100の他、状態センサ901、撮像装置902およびナビゲーション装置903を備える。状態センサ901とは、車両VLの現在の動作状態を検出するためのセンサである。状態センサ901としては、例えば、車速センサ、ヨーレートセンサ、ジャイロセンサ、加速度センサ、荷重(G)センサ、温度センサ、明るさセンサ、雨水センサなどが該当する。本実施形態では、少なくとも走行中において、車両VLが加速しているか、減速しているか、右に曲がっているか、左に曲がっているか、前傾しているか、後傾しているかの4種類の動作状態を検出可能なセンサが、状態センサ901として用いられる。「前傾」とは、水平方向に対して車両VLの前方側が上向きになる状態を意味する。例えば、上り坂を走行する場合などに、車両VLは前傾する。「後傾」とは、水平方向に対して車両VLの後方側が上向きになる(換言すると、車両VLの前方側は下向きになる)状態を意味する。例えば、下り坂を走行する場合などに、車両VLは前傾する。
【0010】
撮像装置902は、車両VLの周囲を撮像して撮像画像を得る。かかる撮像画像は、例えば、車両VLの現在位置を特定するためや、車両VLの周囲に存在する他車両や歩行者等の障害物を特定するために用いられる。ナビゲーション装置903は、車両VLの乗員によって設定された経路情報904を有する。車両VLでは、かかる経路情報904にしたがって、表示システム100を利用して地図情報と予定経路が表示されたり、車両VLが自動運転されたりする。
【0011】
表示システム100は、表示装置20と、位置調整装置30と、制御装置10とを備える。表示装置20は、表示部21と、マイク22と、スピーカ23と、カメラ24とを備える。表示部21は、画像を表示可能である。「画像」とは、各種操作用メニュー画面や各種SNSのコンテンツ等を示す静止画像の他、後述の状態センサにより得られる周囲の状況を示す映像や映画等の映像コンテンツといった動画像も含む広い概念を意味する。本実施形態において、表示部21は、タッチパネル機能を有する液晶ディスプレイ装置により構成されている。
【0012】
位置調整装置30は、表示装置20に接続され、車両VL内(後述の客室CA)内における表示装置20の位置を調整する。位置調整装置30の詳細構成については、後述する。
【0013】
制御装置10は、表示装置20を制御する。「表示装置20を制御する」とは、表示装置20における表示動作や表示内容を制御することに加えて、表示装置20の位置を、位置調整装置30を制御することにより調整することも含む広い意味を有する。本実施形態において、制御装置10は、互いに内部バス15を介して通信可能な、CPU11、無線通信装置12、ROM13、およびRAM14を備えるコンピュータとして構成されている。例えば、制御装置10は、車両VLに搭載されたECU(Electronic Control Unit)として構成されてもよい。ROM13には、予め制御プログラムが記憶されており、CPU11は、かかる制御プログラムをRAM14に展開して実行することにより、動作予測部111、動作情報取得部112、および表示調整部113として機能する。
【0014】
動作予測部111は、車両VLの予測される動作(以下、「予測動作」と呼ぶ)を特定する。本実施形態において、予測動作は、1~10秒後の車両VLの動作を意味する。例えば、3秒後の車両VLの動作であってもよい。なお、「予測動作」は、1~10秒に限らず、1秒未満或いは10秒よりも長い任意の時間の後における車両VLの動作であってもよい。本実施形態において、動作予測部111は、ナビゲーション装置903から取得する経路情報904と、状態センサ901が検出する車両VLの動作状態(以下、単に「動作状態」とも呼ぶ)と、撮像装置902により得られる撮像画像とのうちの少なくとも1つから、予測動作を特定する。例えば、経路情報904に基づき、現在の車速からすれば、3秒後に右カーブに差し掛かると推定される場合、予測動作として「右に曲がる」を特定する。また、例えば、加速度センサの検出する加速度が車両VLの進行方向にプラスの加速度である場合には、予測動作として「加速」を特定する。また、例えば、撮像装置902により得られる撮像画像に20~30mほど先に上り坂が映っている場合には、予測動作として「前傾」を特定する。なお、例えば、経路情報904に基づき、3秒後に左カーブに差し掛かることを特定し、且つ、左方向への加速度を検出し、左方向へのヨーレートを検出した場合には、「左に曲がる」と特定するように、複数の情報を組み合わせて予測動作を特定してもよい。
【0015】
動作情報取得部112は、動作予測部111から予測動作を示す動作情報を取得する。
【0016】
表示調整部113は、乗員から見た表示部21に表示される表示画像の大きさと位置とを調整する。後述のように、本実施形態において、表示調整部113は、表示部21の表示される表示画像の大きさおよび表示部21における表示位置を調整することにより、乗員から見た表示部21に表示される表示画像の大きさと位置とを調整する。
【0017】
無線通信装置12は、表示装置20および位置調整装置30と無線通信を行う。かかる無線通信としては、例えば、IEEE802.11において規定される無線LANの他、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等の任意の規格において規定される無線通信を利用してもよい。なお、制御装置10は、無線通信装置12に代えて有線通信装置を備え、表示装置20および位置調整装置30と有線通信を行ってもよい。
【0018】
図2および図3は、表示システム100の車両VLへの具体的な適用例を示す説明図である。なお、図3では、表示装置20を構成する要素のうち、一部の要素の符号を図示の便宜上省略している。図2および図3に示すように、表示システム100のうち、表示装置20および位置調整装置30は、客室CA内に配置され、その他の構成要素は、フロント車室FR内に配置されている。図2および図3では、自動運転中における車両VLの客室CA内の様子が表されている。図2の例では、客室CA内に配置されたシートDRSに乗員p1が座っており、乗員p1は、表示装置20に表示されている図示しない動画像を見ている。本実施形態では、自動運転中は、基本的には、図2に示すように、ステアリング装置800は、ダッシュボード700に設けられた収容空間SPに収容されている。この収容空間SPには、客室CA側に開口703を有しており、かかる開口703を介してステアリング装置800の他、位置調整装置30が出し入れされる。これに対して、例えば、自動運転から手動運転に切り替えるべきタイミングが近づいた場合などにおいては、図3に示すように、ステアリング装置800が開口703を介して収容空間SPから客室CA内に露出して、乗員p1によって操作され得る。図3の例では、乗員p1は、表示部21において地図情報を確認したり、シートDRSのリクライニング角度やシートポジションを変更するためのメニュー画面を操作したりしている。
【0019】
図2および図3に示すように、位置調整装置30は、いわゆるリンク機構のように機能して、表示装置20の客室CA内における位置を調整する。これにより、表示装置20は、乗員p1から見て、手前側、奥側、右側、左側、上側、下側に変位することができる。位置調整装置30の一端は、収容空間SPを介してフロント車室FRに設けられた図示しない支持部材に固定されており、他端は表示装置20に接続されている。位置調整装置30は、第1腕部321と、第1関節部322と、第2腕部323と、第2関節部324と、第3腕部325と、第3関節部326と、第4腕部327と、第4関節部328を備えている。また、位置調整装置30は、各関節部322~328を独立して駆動させるモータを有する図示しない駆動部を備えている。かかる駆動部は、制御装置10からの指示に応じてモータを駆動させることにより、各関節部322~328を独立して駆動(移動)させる。
【0020】
第1腕部321は、表示装置20と接続している。本実施形態において、第1腕部321は、一方の端部において、角度を調整するための図示しない接続部を介して表示装置20と接続している。これにより、位置調整装置30は、表示装置20が鉛直方向に対して角度を成すように、表示装置20を傾けることができる。第1関節部322は、第1腕部321の他方の端部と、第2腕部323を接続する。第1関節部322は、第1腕部321を、車両VLの前後方向と、上下方向と、左右方向に曲げることにより、第1腕部321を変位させることができるボールジョイントである。図2において、第1腕部321が図3の状態と比べて車両VLの後方に配されるように、第1関節部322が、関節を伸ばしている様子を表している。第1腕部321が曲げられることにより、第1腕部321と接続する表示装置20が、車両VLの後方に変位される。
【0021】
第2腕部323は、第1腕部321と、第1関節部322を介して接続している。また、第2腕部323は、第2関節部324を介して、第3腕部325と接続している。第2関節部324は、第2腕部323と第3腕部325を接続している。第2関節部324は、第2腕部323を、車両VLの前後方向と、上下方向と、左右方向に曲げることにより、第2腕部323を車両VLの前後方向および上下方向に変位させることができるボールジョイントである。図2において、第2腕部323が図3の状態と比べて車両VLの後方に配されるように、第2関節部324が、関節を伸ばしている状態を表している。第2腕部323が変位されることにより、第2腕部323と、第1関節部322を介して接続する第1腕部321と接続する表示装置20が、車両VLの後方に変位される。
【0022】
第3腕部325は、第4腕部327と、第3関節部326を介して接続している。第3関節部326は、第3腕部325を、車両VLの前後方向と、上下方向と、左右方向に曲げることができるボールジョイントである。第3腕部325が変位されることにより、第3腕部325と、第1関節部322および第2関節部324を介して接続する表示装置20の、変位が可能となる。
【0023】
第4腕部327は、第4関節部328と接続している。第4関節部328は、ダッシュボード700に対して客室CAとは反対の側において、フロント車室FR内に設けられた図示しない支持部材と接続している。これにより、位置調整装置30が、車両VLに固定される。第4関節部328は、第4腕部327を、車両1の前後方向と、上下方向と、左右方向に曲げることにより、第4腕部327を変位させることができるボールジョイントである。なお、本実施形態において、ステアリング装置800と位置調整装置30が接触しないように、ステアリング装置800の傾きと、位置調整装置30の位置が調整される。
【0024】
A2.表示調整処理:
図4は、第1実施形態における表示調整処理の手順を示すフローチャートである。上記構成を有する表示システム100では、車両VLの起動後(始動後)、図4に示す表示調整処理が実行される。表示調整処理とは、車両VLの乗員p1から見た表示部21に表示される表示画像(以下、単に「表示画像」とも呼ぶ)の大きさと位置とのうちの少なくとも一方を調整するための処理である。
【0025】
動作情報取得部112は、予測動作に関する動作情報を、動作予測部111から取得する8(ステップS100)。表示調整部113は、ステップS100により取得された動作情報に基づき予測動作を特定する(ステップS105)。
【0026】
表示調整部113は、予測動作が「加速」であるか否かを判定する(ステップS110)。予測動作が「加速」であると判定された場合(ステップS110:YES)、表示調整部113は、表示画像を拡大する(ステップS115)。本実施形態では、ステップS115における拡大率は所定の値である。
【0027】
予測動作が「加速」でないと判定された場合(ステップS110:NO)、表示調整部113は、予測動作が「減速」であるか否かを判定する(ステップS120)。予測動作が「減速」であると判定された場合(ステップS120:YES)、表示調整部113は、表示画像を縮小する(ステップS125)。本実施形態では、ステップS125における縮小率は所定の値である。
【0028】
予測動作が「減速」でないと判定された場合(ステップS120:NO)、表示調整部113は、予測動作が「右に曲がる」であるか否かを判定する(ステップS130)。予測動作が「右に曲がる」であると判定された場合(ステップS130:YES)、表示調整部113は、表示画像の表示位置を左に移動する(ステップS135)。本実施形態では、ステップS135における移動量は所定の値である。
【0029】
予測動作が「右に曲がる」でないと判定された場合(ステップS130:NO)、表示調整部113は、予測動作が「左に曲がる」であるか否かを判定する(ステップS140)。予測動作が「左に曲がる」であると判定された場合(ステップS140:YES)、表示調整部113は、表示画像の表示位置を右に移動する(ステップS145)。本実施形態では、ステップS145における移動量は所定の値である。
【0030】
予測動作が「左に曲がる」でないと判定された場合(ステップS140:NO)、表示調整部113は、予測動作が「前傾」であるか否かを判定する(ステップS150)。予測動作が「前傾」であると判定された場合(ステップS150:YES)、表示調整部113は、表示画像の表示位置を下に移動させる(ステップS155)。本実施形態では、ステップS155における移動量は所定の値である。
【0031】
予測動作が「前傾」でないと判定された場合(ステップS150:NO)、表示調整部113は、予測動作が「後傾」であるか否かを判定する(ステップS160)。予測動作が「後傾」であると判定された場合(ステップS160:YES)、表示調整部113は、表示画像の表示位置を上に移動させる(ステップS165)。本実施形態では、ステップS165における移動量は所定の値である。
【0032】
これに対して、予測動作が「後傾」でないと判定された場合(ステップS160:NO)、処理は、ステップS100に戻る。また、上述のステップS115、S125、S135、S145、S155、S165の完了後も処理はステップS100に戻る。
【0033】
図5は、本実施形態における表示調整処理を実行した際の表示画像の変化を模式的に示す説明図である。図5では、車両VLが定速直進している際に表示部21に表示される表示画像C1を上段に表し、下段には、加速、減速、右に曲がる、左に曲がる、前傾、後傾のそれぞれの動作時に表示部21に表示されるC1を表している。
【0034】
上述のステップS115の結果、表示画像C1は、拡大して表示部21に表示される。このため、加速の体感に合わせて表示画像C1が拡大して自らに近づくように感じるため、乗員p1にとって体感と視覚から得られる情報とが一致することとなる。
【0035】
上述のステップS125の結果、表示画像C1は、縮小して表示部21に表示される。このため、減速の体感に合わせて表示画像C1が縮小して自らから遠ざかるように感じるため、乗員p1にとって体感と視覚から得られる情報とが一致することとなる。
【0036】
上述のステップS135の結果、表示画像C1は、左に移動して表示される。このため、右に曲がる体感に合わせて表示画像C1が左に移動するように感じるため、乗員p1にとって体感と視覚から得られる情報とが一致することとなる。
【0037】
上述のステップS145の結果、表示画像C1は、右に移動して表示される。このため、左に曲がる体感に合わせて表示画像C1が右に移動するように感じるため、乗員p1にとって体感と視覚から得られる情報とが一致することとなる。
【0038】
上述のステップS155の結果、表示画像C1は、下に移動して表示される。このため、前傾する体感に合わせて表示画像C1が下に移動するように感じるため、乗員p1にとって体感と視覚から得られる情報とが一致することとなる。
【0039】
上述のステップS165の結果、表示画像C1は、上に移動して表示される。このため、後傾する体感に合わせて表示画像C1が上に移動するように感じるため、乗員p1にとって体感と視覚から得られる情報とが一致することとなる。
【0040】
このように、表示調整処理により、乗員p1にとって体感と視覚から得られる情報とが一致することとなる。このため、車両VLにおいて、乗員p1が表示画像C1を見る際に酔ってしまうことを抑制できる。
【0041】
以上説明した第1実施形態の表示システム100によれば、表示調整部113は、表示部21に表示される表示画像C1の大きさと表示部21における表示画像C1の表示位置とのうちの少なくとも一方を、動作情報が示す車両VLの動作に応じて調整することにより、車両VLの乗員p1から見た表示画像C1の大きさと位置とのうちの少なくとも一方を調整するので、車両VLの動作の体感と、表示画像を見る際に視覚から得られる情報とを一致させることが可能となる。このため、車両VLにおいて乗員p1が表示画像を見る際に酔いが生じることを抑制できる。また、表示部21に表示画像の他に酔い防止のための図形などを表示しないので、乗員p1の煩わしさを抑制できる。
【0042】
また、制御装置10は、ナビゲーション装置903から取得する経路情報904と、状態センサ901が検出する動作状態と、撮像装置902により得られる撮像画像と、のうちの少なくとも一つから予測動作を特定する動作予測部111を、さらに有し、動作情報取得部112は、動作予測部111により特定された予測動作を示す情報を、動作情報として取得するので、予測動作として精度の高い動作を予測でき、また、かかる精度の高い予測動作を動作情報として用いるので、酔いの発生をより確実に抑制できる。
【0043】
また、車両VLの動作が加速である場合に表示画像C1を拡大することと、車両VLの動作が減速である場合に表示画像C1を縮小することと、車両VLの動作が右に曲がる場合に表示画像C1の表示位置を左に移動させることと、車両VLの動作が左に曲がる場合に表示画像C1の表示位置を右に移動させることと、車両VLの動作が前傾する場合に表示画像C1の表示位置を下に移動させることと、車両VLの動作が後傾する場合に表示画像C1の表示位置を上に移動させることと、のうちの少なくとも1つを、動作情報が示す移動体の動作に応じて調整するので、車両VLの動作の体感と、表示画像C1を見る際に視覚から得られる情報とを、より一層一致させることができる。
【0044】
B.第2実施形態:
第2実施形態の表示システム100は、第1実施形態の表示システム100と同じ構成を有するので、同一の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0045】
図6および図7は、第2実施形態における表示調整処理の手順を示すフローチャートである。第2実施形態の表示調整処理は、ステップS112、S122、S132、S142、S152、S162を追加して実行する点において、図4に示す第1実施形態の表示調整処理と異なる。第2実施形態の表示調整処理におけるその他の手順は、第1実施形態の表示調整処理と同じであるので、同一の手順には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0046】
図6および図7に示すように、予測動作が「加速」であると判定された場合(ステップS110:YES)、ステップS115の実行前に、表示調整部113は、車両VLの加速度の大きさに応じて表示画像C1の拡大率を調整する(ステップS112)。具体的には、加速度が大きいほど拡大率を大きく調整する。なお、この場合の加速度と拡大率との関係は、線形比例の関係に限らず、指数関数的な関係や、段階的な関係であってもよい。ステップS112の完了後、上述のステップS115が実行される。したがって、ステップS115では、加速度に応じて調整された拡大率にて表示画像C1が表示部21に表示されることとなる。
【0047】
予測動作が「減速」であると判定された場合(ステップS120:YES)、ステップS125の実行前に、表示調整部113は、車両VLの減速度の大きさに応じて表示画像C1の縮小率を調整する(ステップS122)。具体的には、減速度が大きいほど減速率を大きく調整する。なお、この場合の減速度と縮小率との関係は、線形比例の関係に限らず、指数関数的な関係や、段階的な関係であってもよい。ステップS122の完了後、上述のステップS125が実行される。したがって、ステップS125では、加速度に応じて調整された縮小率にて表示画像C1が表示部21に表示されることとなる。
【0048】
予測動作が「右に曲がる」であると判定された場合(ステップS130:YES)、ステップS135の実行前に、表示調整部113は、右に曲がる際の車両VLの移動速度に応じて表示画像C1の表示位置の移動量を調整する(ステップS132)。具体的には、右へ曲がる際の移動速度が大きいほど表示位置の移動量を大きく調整する。なお、この場合の車両VLの移動速度と表示位置の移動量との関係は、線形比例の関係に限らず、指数関数的な関係や、段階的な関係であってもよい。ステップS132の完了後、上述のステップS135が実行される。したがって、ステップS135では、車両VLの移動速度に応じて調整された移動量にて表示画像C1が左に移動して表示部21に表示されることとなる。
【0049】
予測動作が「左に曲がる」であると判定された場合(ステップS140:YES)、ステップS145の実行前に、表示調整部113は、左に曲がる際の車両VLの移動速度に応じて表示画像C1の表示位置の移動量を調整する(ステップS142)。具体的には、左へ曲がる際の移動速度が大きいほど表示位置の移動量を大きく調整する。なお、この場合の車両VLの移動速度と表示位置の移動量との関係は、線形比例の関係に限らず、指数関数的な関係や、段階的な関係であってもよい。ステップS142の完了後、上述のステップS145が実行される。したがって、ステップS145では、車両VLの移動速度に応じて調整された移動量にて表示画像C1が右に移動して表示部21に表示されることとなる。
【0050】
予測動作が「前傾」であると判定された場合(ステップS150:YES)、ステップS155の実行前に、表示調整部113は、車両VLの前傾の角度に応じて表示画像C1の表示位置の移動量を調整する(ステップS152)。具体的には、前傾の角度が大きいほど表示位置の移動量を大きく調整する。なお、この場合の前傾の角度と表示位置の移動量との関係は、線形比例の関係に限らず、指数関数的な関係や、段階的な関係であってもよい。ステップS152の完了後、上述のステップS155が実行される。したがって、ステップS155では、前傾の角度に応じて調整された移動量にて表示画像C1が下に移動して表示部21に表示されることとなる。
【0051】
予測動作が「後傾」であると判定された場合(ステップS160:YES)、ステップS165の実行前に、表示調整部113は、車両VLの後傾の角度に応じて表示画像C1の表示位置の移動量を調整する(ステップS162)。具体的には、後傾の角度が大きいほど表示位置の移動量を大きく調整する。なお、この場合の後傾の角度と表示位置の移動量との関係は、線形比例の関係に限らず、指数関数的な関係や、段階的な関係であってもよい。ステップS162の完了後、上述のステップS165が実行される。したがって、ステップS165では、後傾の角度に応じて調整された移動量にて表示画像C1が上に移動して表示部21に表示されることとなる。
【0052】
以上説明した第2実施形態の表示システム100は、第1実施形態の表示システム100と同様な効果を有する。加えて、車両VLの加速度の大きさに応じて表示画像C1の拡大率を調整することと、車両VLの減速度の大きさに応じて表示画像C1の縮小率を調整することと、車両VLの右に曲がる際の移動速度に応じて表示位置の左への移動速度を調整することと、車両VLの左に曲がる際の移動速度に応じて表示位置の右への移動速度を調整することと、車両VLの前傾の角度に応じて表示位置の下への移動量を調整することと、車両VLの後傾の角度に応じて表示位置の上への移動量を調整することと、のうちの少なくとも1つを実行するので、車両VLの動作の体感と表示画像を見る際に視覚から得られる情報とを、より一層一致させることができる。
【0053】
C.第3実施形態:
第3実施形態の表示システム100は、第1実施形態の表示システム100と同じ構成を有するので、同一の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0054】
図8は、第3実施形態における表示調整処理の手順を示すフローチャートである。第3実施形態の表示調整処理は、ステップS115、S125、S135、S145、S155、S165に代えて、ステップS215、S225、S235、S245、S255、S265を実行する点において、図4に示す第1実施形態の表示調整処理と異なる。第3実施形態の表示調整処理におけるその他の手順は、第1実施形態の表示調整処理と同じであるので、同一の手順には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0055】
図8に示すように、予測動作が「加速」であると判定された場合(ステップS110:YES)、表示調整部113は、位置調整装置30を制御して表示装置20の位置を調整することにより、表示部21を車両VLの進行方向(車両VLの長さ方向)と平行な方向に沿って乗員p1に近づける(ステップS215)。本実施形態では、ステップS215における表示部21の近づき速度は所定値である。
【0056】
予測動作が「減速」であると判定された場合(ステップS120:YES)、表示調整部113は、位置調整装置30を制御して表示装置20の位置を調整することにより、表示部21を車両VLの進行方向(車両VLの長さ方向)と平行な方向に沿って乗員p1から遠ざける(ステップS225)。本実施形態では、ステップS225における表示部21の遠ざかり速度は所定値である。
【0057】
予測動作が「右に曲がる」であると判定された場合(ステップS130:YES)、表示調整部113は、位置調整装置30を制御して表示装置20の位置を調整することにより、表示部21を左に移動させる(ステップS235)。本実施形態では、ステップS235における表示部21の移動量は所定値である。
【0058】
予測動作が「左に曲がる」であると判定された場合(ステップS140:YES)、表示調整部113は、位置調整装置30を制御して表示装置20の位置を調整することにより、表示部21を右に移動させる(ステップS245)。本実施形態では、ステップS245における表示部21の移動量は所定値である。
【0059】
予測動作が「前傾」であると判定された場合(ステップS150:YES)、表示調整部113は、位置調整装置30を制御して表示装置20の位置を調整することにより、表示部21を下に移動させる(ステップS255)。本実施形態では、ステップS255における表示部21の移動量は所定値である。
【0060】
予測動作が「後傾」であると判定された場合(ステップS160:YES)、表示調整部113は、位置調整装置30を制御して表示装置20の位置を調整することにより、表示部21を上に移動させる(ステップS265)。本実施形態では、ステップS265における表示部21の移動量は所定値である。
【0061】
図9は、第3実施形態における表示調整処理を実行した際の表示装置20および表示画像C1の変化を模式的に示す説明図である。図9では、車両VLが定速直進している際に表示部21に表示される表示画像C1を上段に表し、中断および下段には、加速、減速、右に曲がる、左に曲がる、前傾、後傾のそれぞれの動作時に表示部21に表示されるC1を表している。
【0062】
上述のステップS215の結果、表示装置20は、乗員p1に近づく。このため、乗員p1から見た表示画像C1は、拡大することとなる。このため、加速の体感に合わせて表示画像C1が拡大して感じるため、乗員p1にとって体感と視覚から得られる情報とが一致することとなる。
【0063】
上述のステップS225の結果、表示装置20は、乗員p1から遠ざかる。このため、乗員p1から見た表示画像C1は、縮小することとなる。このため、減速の体感に合わせて表示画像C1が縮小して感じるため、乗員p1にとって体感と視覚から得られる情報とが一致することとなる。
【0064】
上述のステップS235の結果、表示装置20は、左に移動する。このため、乗員p1から見た表示画像C1は、左に移動することとなる。このため、右に曲がる体感に合わせて表示画像C1が左に移動するように感じるため、乗員p1にとって体感と視覚から得られる情報とが一致することとなる。
【0065】
上述のステップS245の結果、表示装置20は、右に移動する。このため、乗員p1から見た表示画像C1は、右に移動することとなる。このため、左に曲がる体感に合わせて表示画像C1が右に移動するように感じるため、乗員p1にとって体感と視覚から得られる情報とが一致することとなる。
【0066】
上述のステップS255の結果、表示装置20は、下に移動する。このため、乗員p1から見た表示画像C1は、下に移動することとなる。このため、前傾の体感に合わせて表示画像C1が下に移動するように感じるため、乗員p1にとって体感と視覚から得られる情報とが一致することとなる。
【0067】
上述のステップS265の結果、表示装置20は、上に移動する。このため、乗員p1から見た表示画像C1は、上に移動することとなる。このため、前傾の体感に合わせて表示画像C1が上に移動するように感じるため、乗員p1にとって体感と視覚から得られる情報とが一致することとなる。
【0068】
以上説明した第3実施形態の表示システム100は、第1実施形態の表示システム100と同様な効果を有する。加えて、車両VLの動作が加速である場合に表示部21を車両VLの進行方向と平行な方向に沿って乗員p1に近づけることと、車両VLの動作が減速である場合に表示部21を移動体の進行方向と平行な方向に沿って乗員p1から遠ざけることと、車両VLの動作が右に曲がる場合に表示部21を左に移動させることと、車両VLの動作が左に曲がる場合に、表示部21を右に移動させることと、車両VLの動作が前傾する場合に表示部21を下に移動させることと、車両VLの動作が後傾する場合に表示部21を上に移動させることと、のうちの少なくとも1つを、動作情報が示す車両VLの動作に応じて調整するので、車両VLの動作の体感と、表示画像C1を見る際に視覚から得られる情報とを、より一層一致させることができる。
【0069】
D.第4実施形態:
第4実施形態の表示システム100は、第1実施形態の表示システム100と同じ構成を有するので、同一の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0070】
図10は、第4実施形態における表示調整処理の手順を示すフローチャートである。第4実施形態の表示調整処理は、ステップS212、S222、S232、S242、S252、S262を追加して実行する点において、図8に示す第3実施形態の表示調整処理と異なる。第4実施形態の表示調整処理におけるその他の手順は、第3実施形態の表示調整処理と同じであるので、同一の手順には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。なお、図10に示す手順の前の手順は、図6に示す第2実施形態の手順と同じであるので、図示を省略する。
【0071】
図6および図10に示すように、予測動作が「加速」であると判定された場合(ステップS110:YES)、ステップS215の実行前に、表示調整部113は、車両VLの加速度の大きさに応じて表示部21の近づき速度を調整する(ステップS212)。具体的には、加速度が大きいほど近づき速度を大きく調整する。なお、この場合の加速度と近づき速度との関係は、線形比例の関係に限らず、指数関数的な関係や、段階的な関係であってもよい。ステップS212の完了後、上述のステップS215が実行される。したがって、ステップS215では、加速度に応じて調整された近づき速度にて表示部21が乗員p1に近づくこととなる。
【0072】
予測動作が「減速」であると判定された場合(ステップS120:YES)、ステップS225の実行前に、表示調整部113は、車両VLの減速度の大きさに応じて表示部21の遠ざかり速度を調整する(ステップS222)。具体的には、減速度が大きいほど遠ざかり速度を大きく調整する。なお、この場合の減速度と遠ざかり速度との関係は、線形比例の関係に限らず、指数関数的な関係や、段階的な関係であってもよい。ステップS222の完了後、上述のステップS225が実行される。したがって、ステップS125では、減速度の大きさに応じて調整された近づき速度にて表示部21が乗員p1から遠ざかることとなる。
【0073】
予測動作が「右に曲がる」であると判定された場合(ステップS130:YES)、ステップS235の実行前に、表示調整部113は、右に曲がる際の車両VLの移動速度に応じて表示部21の左への移動量を調整する(ステップS232)。具体的には、右へ曲がる際の移動速度が大きいほど表示部21の移動量を大きく調整する。なお、この場合の車両VLの移動速度と表示部21の移動量との関係は、線形比例の関係に限らず、指数関数的な関係や、段階的な関係であってもよい。ステップS232の完了後、上述のステップS235が実行される。したがって、ステップS235では、車両VLの移動速度に応じて調整された移動量にて表示部21が左に移動することとなる。
【0074】
予測動作が「左に曲がる」であると判定された場合(ステップS140:YES)、ステップS245の実行前に、表示調整部113は、左に曲がる際の車両VLの移動速度に応じて表示部21の右への移動量を調整する(ステップS242)。具体的には、左へ曲がる際の移動速度が大きいほど表示部21の移動量を大きく調整する。なお、この場合の車両VLの移動速度と表示部21の移動量との関係は、線形比例の関係に限らず、指数関数的な関係や、段階的な関係であってもよい。ステップS242の完了後、上述のステップS245が実行される。したがって、ステップS245では、車両VLの移動速度に応じて調整された移動量にて表示部21が右に移動することとなる。
【0075】
予測動作が「前傾」であると判定された場合(ステップS150:YES)、ステップS255の実行前に、表示調整部113は、前傾の角度に応じて表示部21の下への移動量を調整する(ステップS252)。具体的には、前傾の角度が大きいほど表示部21の移動量を大きく調整する。なお、この場合の前傾の角度と表示部21の移動量との関係は、線形比例の関係に限らず、指数関数的な関係や、段階的な関係であってもよい。ステップS252の完了後、上述のステップS255が実行される。したがって、ステップS255では、前傾の角度に応じて調整された移動量にて表示部21が下に移動することとなる。
【0076】
予測動作が「後傾」であると判定された場合(ステップS160:YES)、ステップS265の実行前に、表示調整部113は、後傾の角度に応じて表示部21の上への移動量を調整する(ステップS262)。具体的には、後傾の角度が大きいほど表示部21の移動量を大きく調整する。なお、この場合の後傾の角度と表示部21の移動量との関係は、線形比例の関係に限らず、指数関数的な関係や、段階的な関係であってもよい。ステップS262の完了後、上述のステップS265が実行される。したがって、ステップS265では、後傾の角度に応じて調整された移動量にて表示部21が上に移動することとなる。
【0077】
以上説明した第4実施形態の表示システム100は、第1実施形態および第3実施形態の表示システム100と同様な効果を有する。加えて、車両VLの加速度の大きさに応じて表示部21の近づき速度を調整することと、車両VLの減速度の大きさに応じて表示部21の遠ざかり速度を調整することと、車両VLの右に曲がる際の移動速度に応じて表示部21の左への移動速度を調整することと、車両VLの左に曲がる際の移動速度に応じて表示部21の右への移動速度を調整することと、車両VLの前傾の角度に応じて表示部21の下への移動量を調整することと、車両VLの後傾の角度に応じて表示部21の上への移動量を調整することと、のうちの少なくとも1つを実行するので、車両VLの動作の体感と、表示画像C1を見る際に視覚から得られる情報とを、より一層一致させることができる。
【0078】
E.他の実施形態:
(E1)各実施形態の表示調整処理のステップS100において、動作情報取得部112は、予測動作に関する動作情報を取得していたが、予測動作に代えて、現実動作に関する動作情報を取得してもよい。そして、ステップS105では、予測動作に代えて、現実動作を特定し、かかる現実動作に応じてステップS110~S265が実行されてもよい。「現実動作」とは、車両VLの実際の動作(現在の動作)を意味する。例えば、現実動作が「車両VLが右に曲がっている」であると撮像画像や加速度センサの検出情報からなる動作情報に基づき判定された場合には、上述のステップS135やS235が実行され、表示画像C1の表示位置や表示部21の位置が左に移動されてもよい。かかる構成においても、各実施形態と同様な効果を奏することができる。なお、予想動作に関する動作情報と、現実動作に関する動作情報とを組み合わせて用いてもよい。例えば、両方の動作情報が示す動作が「加速」であると認められる場合には、ステップS115またはS215が実行される構成とし、少なくとも一方が示す動作が「加速」でない場合には、ステップS115~165または、S215~S265を実行せずにステップS100に戻る構成としてもよい。
【0079】
(E2)各実施形態において、動作予測部111は、ナビゲーション装置903から取得する経路情報904と、状態センサ901が検出する動作状態と、撮像装置902により得られる撮像画像とのうちの少なくとも1つから、予測動作を特定していた。ここで、動作予測部111は、経路情報904のみに基づき予測動作を特定する構成とし、状態センサ901や撮像装置902を省略してもよい。同様に、撮像装置902により得られる撮像画像のみに基づき予測動作を特定する構成として、ナビゲーション装置903および状態センサ901を省略してもよい。同様に、状態センサ901により検出される動作状態のみに基づき予測動作を特定する構成として、撮像装置902およびナビゲーション装置903を省略してもよい。
【0080】
(E3)各実施形態では、車両VLの予測動作として、加速、減速、右に曲がる、左に曲がる、前傾、後傾のうちのいずれかであるかを特定していたが、本開示はこれに限定されない。加速、減速、右に曲がる、左に曲がる、前傾、後傾のうちのいずれか1つ以上を省略した動作グループのうちから、予測動作がいずれに該当するかを特定してもよい。この場合、第1実施形態および第2実施形態では、表示画像C1の大きさと、表示位置とのいずれかのみを調整する構成としてもよい。また、第3実施形態および第4実施形態では、表示部21の移動方向として、手前および奥行方向と、上下左右の方向とのいずれかのみへの調整を行う構成としてもよい。また、加速、減速、右に曲がる、左に曲がる、前傾、後傾のうちのいずれか2つ以上の動作を合わせた動作を、予測動作として特定してもよい。例えば、「減速」と「右に曲がる」とを合わせた動作を、予測動作として特定してもよい。かかる例においては、例えば、表示画像C1を縮小し、且つ、表示部21における表示画像C1の表示位置を左に移動させてもよい。
【0081】
(E4)各実施形態を組み合わせてもよい。例えば、第1実施形態と第3実施形態とを組み合わせて、予測動作が「加速」の場合には、ステップS115を実行して表示画像C1を拡大すると共に、ステップS215を実行して表示部21を乗員に近づけるように移動させてもよい。同様に、ステップS125とS225とを併せて実行すること、ステップS135とS235とを併せて実行すること、ステップS145とS245とを併せて実行すること、ステップS155とS255とを併せて実行すること、ステップS165とS265とを併せて実行すること、のうちの少なくとも1つを採用してもよい。
【0082】
(E5)第3実施形態および第4実施形態では、表示装置20(表示部21)の位置を調整していたが、表示装置20(表示部21)の位置に代えて、または、表示装置20(表示部21)の位置に加えて、シートDRSの位置を調整する構成としてもよい。かかる構成においては、シートDRSが、手前および奥行方向に加えて、上下左右にも移動可能に構成される。
【0083】
(E6)各実施形態における表示システム100は、あくまでも一例であり、様々に変形可能である。例えば、各実施形態において、車両VLでは、ステアリング装置800は、収容空間SPに収容可能であったが、収容空間SPに収容されず、常に運転席に露出した構成であってもよい。また、第1実施形態および第2実施形態においては、表示装置20は、インストルメントパネルや、客室CAの天井等に固定されて動かない構成であってもよい。また、いずれの運転状況においても、表示装置20の鉛直方向における位置を、乗員p1の視線と一致させる、またはかかる視線よりも上方に位置させてもよい。この構成においては、例えば、カメラ24によって乗員p1の顔を撮像し、得られた撮像画像から視線の方向を特定してもよい。この構成によれば、乗員p1の視線が下向きとなって酔い易くなることを抑制できる。なお、車両VLの乗員が複数人であり、表示装置20が1台のみである構成においては、各人の視線を特定し、その鉛直方向における平均位置、最上位置、最下位置などに基づき、表示装置20の位置を調整するようにしてもよい。また、表示装置20に代えて、或いは、表示装置20に加えて、フロントガラスの内側に画像を表示させてもよい。
【0084】
本開示は、上記各実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した形態中の技術的特徴に対応する各実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0085】
1…車両、10…制御装置、11…CPU、12…無線通信装置、13…ROM、14…RAM、15…内部バス、20…表示装置、21…表示部、22…マイク、23…スピーカ、24…カメラ、30…位置調整装置、100…表示システム、111…動作予測部、112…動作情報取得部、113…表示調整部、321…第1腕部、322…第1関節部、323…第2腕部、324…第2関節部、325…第3腕部、326…第3関節部、327…第4腕部、328…第4関節部、700…ダッシュボード、703…開口、800…ステアリング装置、901…状態センサ、902…撮像装置、903…ナビゲーション装置、904…経路情報、C1…表示画像、CA…客室、DRS…シート、FR…フロント車室、SP…収容空間、VL…車両、p1…乗員
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